JP2015165555A - 熱発電ユニット - Google Patents

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宏平 高橋
勉 菅野
Tsutomu Sugano
勉 菅野
章裕 酒井
Akihiro Sakai
章裕 酒井
洋正 玉置
Hiromasa Tamaoki
洋正 玉置
草田 英夫
Hideo Kusada
英夫 草田
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Abstract

【課題】熱発電の実用性を向上させる。【解決手段】本開示の熱発電ユニットは、熱発電チューブを備える。熱発電チューブは、内周面と外周面との間の温度差によって軸方向に起電力を発生するように構成されている。熱発電ユニットは、熱発電チューブを内部に収容する容器と、故障判定部とを有する。容器は、内部に流体を流すための流体入口および流体出口と、熱発電チューブが挿入される開口部とを有する。故障判定部は、流体入口から流入する流体および流体出口から排出される流体の間の温度差と、熱発電チューブが発生する起電力とを用いて求められる発電効率に基づいて、熱発電ユニットが故障しているか否かを判定する。【選択図】図27

Description

本願は、熱を電力に変換する熱電変換素子を備える熱発電ユニットに関する。
熱電変換素子(Thermoelectric conversion element)は、熱を電力に、あるいは電力を熱に変換することができる素子である。ゼーベック効果を示す熱電材料から形成した熱電変換素子は、比較的低温(例えば200℃以下)の熱源から熱エネルギーを得て電力に変換することができる。このような熱電変換素子を利用した熱発電技術によれば、従来、蒸気、温水、排気ガスなどの形態で未利用のまま周囲環境に捨てられていた熱エネルギーを回収して有効に活用することが可能になる。
以下、熱電材料から形成した熱電変換素子を「熱発電素子(Thermoelectric generator)」と称する。一般の熱発電素子は、キャリアの電気的極性が互いに異なるp型半導体およびn型半導体が組み合わされた、いわゆる「π型構造」を有する(例えば、特許文献1)。「π型構造」の熱発電素子では、p型半導体とn型半導体とが電気的に直列に、かつ熱的に並列に接続される。「π型構造」では、温度勾配の方向と電流の流れる方向とは互いに平行または反平行である。このため、高温熱源側または低温熱源側の電極に出力端子を設ける必要がある。したがって、各々が「π型構造」を有する複数の熱発電素子を電気的に直列に接続するためには、複雑な配線構造が必要になる。
特許文献2は、互いに対向する第1電極および第2電極の間に、ビスマス層と、ビスマスとは異なる金属からなる金属層とが交互に積層された積層体を有する熱発電素子を開示している。特許文献2に開示される熱発電素子では、第1電極と第2電極とを結ぶ直線の方向に対して積層面が傾斜している。また、特許文献3ならびに非特許文献1および2は、チューブ型熱発電素子を開示している。
特開2013−016685号公報 国際公開第2008/056466号 国際公開第2012/014366号
菅野他、第72回応用物理学会学術講演会 講演予稿集、30a−A−14「非対角熱電効果を用いたチューブ型発電デバイス」 (2011) A.Sakai et al., International conference on thermoelectrics 2012 "Enhancement in performance of the tubular thermoelectric generator (TTEG)" (2012)
熱発電技術を利用した実用的な熱発電ユニットが望まれている。
本開示の熱発電ユニットは、熱発電チューブを備える熱発電ユニットであって、前記熱発電チューブは、外周面および内周面と、前記内周面によって区画される流路とを有し、前記内周面と前記外周面との間の温度差によって前記熱発電チューブの軸方向に起電力を発生するように構成されている。前記熱発電ユニットは、更に、前記熱発電チューブを内部に収容する容器であって、前記内部に流体を流すための流体入口および流体出口と、前記熱発電チューブが挿入される開口部とを有する容器と、前記流体入口から流入する流体および前記流体出口から排出される流体の間の温度差と、前記熱発電チューブが発生する起電力とを用いて求められる発電効率に基づいて、前記熱発電ユニットが故障しているか否かを判定する故障判定部とを備える。
本開示の熱発電ユニットによれば、熱発電の実用性が向上する。
熱発電素子10の断面図である。 図1Aの熱発電素子10の上面図である。 熱発電素子10の上面10aに高温熱源120を接触させ、かつ、下面10bに低温熱源140を接触させた状態を示す図である。 本開示による例示的な熱発電ユニットに使用され得る熱発電チューブTの概略構成を示す斜視図である。 本開示による例示的な熱発電ユニット100の概略構成を示す斜視図である。 本開示による熱発電チューブTの外周面と内周面との間に温度差を与えるための構成の例を示すブロック図である。 熱発電チューブT1〜T10の電気的接続の例を模式的に示す図である。 熱発電システム100が備える熱発電チューブTのうちの1つ(ここでは熱発電チューブT1)を示す斜視図である。 熱発電チューブT1の軸(中心軸)を含む平面に沿って熱発電チューブT1を切断したときの断面を示す図である。 本開示の熱発電ユニットの一態様を示す正面図である。 熱発電ユニット100の側面のうちの一つを示す図(ここでは右側面図)である。 図7BのM−M断面の一部を示す図である。 熱発電ユニットに導入された高温媒体および低温媒体の流れ方向の例を模式的に示す図である。 プレート36の一部の断面と、導電性部材J1の外観とをあわせて示す図である。 導電性部材J1を収容するチャネルC61近傍の分解斜視図である。 第2プレート部分36bのシール面(第1プレート部分36aと対向する面)のうち、開口部A61およびA62に対応する部分を示す斜視図である。 導電性リング状部材56の1つの例示的な形状を示す斜視図である。 導電性リング状部材56の他の例の形状を示す斜視図である。 導電性リング状部材56および熱発電チューブT1を示す断面図である。 導電性リング状部材56に熱発電チューブT1の端部が挿入された状態を示す断面図である。 導電性リング状部材56および導電性部材J1に熱発電チューブT1の端部が挿入された状態を示す断面図である。 導電性リング状部材56および導電性部材J1の一部を示す断面図である。 導電性部材J1の貫通孔Jh1に導電性リング状部材56の弾性部56rが挿入された状態を示す断面図である。 端部に面取り部Cmを有する熱発電チューブTの断面図である。 電気的に直列に接続された熱発電チューブTを流れる電流を模式的に示す図である。 電気的に直列に接続された熱発電チューブTを流れる電流を模式的に示す図である。 2個の開口部A61、A62およびその近傍における電流の向きを模式的に示す図である。 電極に極性の表示を有する熱発電チューブを示す斜視図である。 電極に極性の表示を有する熱発電チューブを示す斜視図である。 図7Aに示される熱発電ユニット100の側面のうちの他の一つを示す図(左側面図)である。 プレート34の一部の断面と、導電性部材K1の外観とをあわせて示す図である。 導電性部材K1を収容するチャネルC41近傍の分解斜視図である。 熱発電チューブTの外周面に接する媒体と、各熱発電チューブT1〜T10の内周面に接する媒体とが混ざり合わないように分離するための構造の例を示す断面図である。 高温媒体と低温媒体との分離および熱発電チューブと導電性部材との間の電気的接続を実現するための構造の他の例を示す断面図である。 高温媒体と低温媒体との分離および熱発電チューブと導電性部材との間の電気的接続を実現するための構造の他の例を示す断面図である。 複数の熱発電ユニットを備える熱発電システムの構成例を示す図である。 複数の熱発電ユニットを備える熱発電システムの構成例を示す図である。 複数の熱発電ユニットを備える熱発電システムの構成例を示す図である。 熱発電システムが備える電気回路の構成例を示すブロック図である。 熱発電システムが使用される形態の構成例を示すブロック図である。 熱発電ユニットの実施形態の概要を説明するためのブロック図である。 センサ導入ソケットを有する熱発電ユニット100Sの断面の一部を示す図である。
本開示の限定的ではない例示的なある熱発電ユニットの一態様は、熱発電チューブを備えており、熱発電チューブは、外周面および内周面と、内周面によって区画される流路とを有している。熱発電チューブは、内周面と外周面との間の温度差によって熱発電チューブの軸方向に起電力を発生するように構成されている。
この熱発電ユニットは、熱発電チューブを内部に収容する容器と、故障判定部とを更に備えている。容器は、その内部に流体を流すための流体入口および流体出口と、熱発電チューブが挿入される開口部とを有している。後に詳しく説明するように、故障判定部は、前記流体入口から流入する流体および前記流体出口から排出される流体の間の温度差と、前記熱発電チューブが発生する起電力とを用いて求められる発電効率に基づいて、前記熱発電ユニットが故障しているか否かを判定する。
ある態様において、熱発電ユニットは、複数の熱発電チューブを電気的に接続する複数の導電性部材を更に備える。熱発電ユニットは、例えば、熱発電チューブの外周面に接触するように熱発電チューブの一端が挿入された少なくとも2つの導電性リング状部材を更に備えている。各導電性リング状部材は、熱発電チューブを、対応する導電性部材に電気的に接続する。
<熱発電素子の基本構成と動作原理>
本開示による熱発電ユニットの実施形態を説明する前に、この熱発電ユニットに使用される熱発電素子の基本構成と動作原理を説明する。後述するように、本開示の熱発電ユニットではチューブ状の熱発電素子が使用される。しかし、チューブ状の熱発電素子の動作原理は、より単純な形状を有する熱発電素子について説明することが可能であり、その方が理解しやすい。
まず、図1Aおよび図1Bを参照する。図1Aは、概略的に直方体の形状を有する熱発電素子10の断面図であり、図1Bは熱発電素子10の上面図である。参考のため、図1Aおよび図1Bには、直交するX軸、Y軸、Z軸が示されている。図示されている熱発電素子10は、金属層20と熱電材料層22とが傾斜した状態で交互に積層された構造(積層体)を有している。この例において、積層体の形状は直方体であるが、他の形状であっても動作原理は同じである。
図示されている熱発電素子10では、上記の積層体を左右から挟み込むように第1電極E1および第2電極E2が設けられている。図1Aに示される断面において、積層面はZ軸方向に対して角度θ(0<θ<πラジアン)だけ傾斜している。
このような構成を有する熱発電素子10では、上面10aと下面10bとの間に温度差が与えられると、熱電材料層22よりも熱伝導性の高い金属層20を優先的に熱が伝達するため、各熱電材料層22の温度勾配にZ軸方向成分が生じる。このため、各熱電材料層22にはゼーベック効果によってZ軸方向の起電力が発生し、起電力が積層体内で直列的に重畳される結果、全体として第1電極E1と第2電極E2との間に大きな電位差が発生する。図1Aおよび図1Bに示される積層体を有する熱発電素子は、特許文献2に開示されている。特許文献2の開示内容の全体を本願に援用する。
図2は、熱発電素子10の上面10aに高温熱源120を接触させ、かつ、下面10bに低温熱源140を接触させた状態を示している。この状態では、高温熱源120から低温熱源140に熱発電素子10を介して熱Qが流れ、熱発電素子10から第1電極E1および第2電極E2を介して電力Pを取り出すことができる。大局的に見た場合、熱発電素子10では、温度勾配の方向(Y軸方向)と電流の方向(Z軸方向)とは直交しており、電力を取り出すための一対の電極E1、E2間に温度差を与える必要がない。なお、図2に示した例では、図の左側から右側に向かって電力Pが流れる様子を模式的に示している。しかしながら、これはあくまでも例示である。例えば、使用される熱電材料の種類が変更されることによって、電力Pの流れ方向が図2とは反対になることもある。
簡単のため、熱発電素子10の積層体の形状が直方体である場合を説明したが、本開示の実施形態では、積層体がチューブ形状を有する熱発電素子を用いる。このようなチューブ状の熱発電素子を本明細書では「熱発電チューブ(Tubular Thermoelectric Generator)」と称する。なお、本明細書において、「チューブ」の用語は「パイプ」の用語とは区別されず、「チューブ」および「パイプ」の両方を含むように解釈される。
<熱発電ユニットの概要>
以下、本開示による熱発電ユニットの概要を説明する。
まず、図3Aおよび図3Bを参照する。図3Aは、熱発電チューブTの一例を示す斜視図である。熱発電チューブTは、中央に貫通孔を有する金属層20および熱電材料層22が傾斜した状態で交互に積層されたチューブ本体Tbと、一対の電極E1、E2とを備えている。このような熱発電チューブTを製造する方法は、例えば特許文献3に開示されている。特許文献3に開示されている方法によれば、底部に孔を有する金属カップと、同様に底部に孔を有する熱電材料カップとを交互に重ね合わせ、その状態でプラズマ焼結を行うことにより、両者を結合する。特許文献3の開示内容の全体を本願に援用する。
図3Aの熱発電チューブTは、その内周面によって規定される内部の流路(以下、「内部流路」と称することがある。)を、例えば高温媒体が流れるように配管に接続される。その場合、熱発電チューブTの外周面は低温媒体に接触させられる。こうして、熱発電チューブTの内周面と外周面との間に温度差が与えられることにより、一対の電極E1、E2の間に電位差が発生し、電力を取り出すことが可能になる。
なお、本明細書では、「高温媒体」または「低温媒体」における「高温」および「低温」の語は、それぞれの媒体の具体的な温度ではなく、これらの間の相対的な温度の高低を表す。また、「媒体」は、典型的には、気体、液体、またはこれらの混合体からなる流体である。「媒体」は、流体中に分散した粉末などの固体を含んでいても良い。
熱発電チューブTの形状は、チューブ状であれば良く、円筒に限定されない。言い換えると、熱発電チューブTの軸に対して垂直な面で熱発電チューブTを切断したとき、「外周面」および「内周面」の切断面上における形状は円である必要は無く、楕円、多角形などの閉曲線であれば良い。また、熱発電チューブTの軸は、典型的には直線であるが、直線に限定されない。これらのことは、図1A、図1Bおよび図2を参照しながら説明した熱発電の原理から明らかである。
図3Bは、本開示による例示的な熱発電ユニット100の概略構成を示す斜視図である。図3Bに示される熱発電ユニット100は、1以上の熱発電チューブTと、これらの熱発電チューブTを内部に収容する容器30とを備えている。図3Bに例示する構成において、熱発電ユニット100は、熱発電チューブTを電気的に接続する複数の導電性部材Jを備えている。図3Bの例では、容器30の内側に10本の熱発電チューブT1〜T10が収められている。10本の熱発電チューブT1〜T10は、典型的には、互いに略平行に配置されるが、配置の態様はこれに限定されない。
熱発電チューブT1〜T10の各々は、前述したように、外周面および内周面と、内周面によって区画される内部流路とを有する。熱発電チューブT1〜T10の各々は、内周面と外周面との間の温度差によってそれぞれの軸方向に起電力を発生するように構成されている。すなわち、熱発電チューブT1〜T10の各々において、外周面と内周面との間に温度差を与えることにより、熱発電チューブT1〜T10から電力が取り出される。例えば、熱発電チューブT1〜T10の各々における内部流路に高温媒体を接触させ、かつ、熱発電チューブT1〜T10の各々の外周面に低温媒体を接触させることにより、熱発電チューブT1〜T10から電力を取り出すことができる。また、逆に、熱発電チューブT1〜T10の各々における内周面に低温媒体を接触させ、かつ、外周面に高温媒体を接触させても良い。
図3Bに示す例では、容器30の内部において熱発電チューブT1〜T10の外周面に接する媒体と、各熱発電チューブT1〜T10の内部流路において各熱発電チューブT1〜T10の内周面に接する媒体とは、それぞれ別々の配管(不図示)を介して供給され、混ざり合わないように分離されている。
図4は、熱発電チューブTの外周面と内周面との間に温度差を与えるための構成の例を示すブロック図である。図4に破線で示す矢印Hは、高温媒体の流れを模式的に示し、実線で示す矢印Lは、低温媒体の流れを模式的に示している。図4に示した例では、高温媒体および低温媒体が、ポンプP1およびP2によってそれぞれ循環する。例えば、熱発電チューブT1〜T10の各々の内部流路に高温媒体が供給され、容器30の内部に低温媒体が供給される。図4では記載が省略されているが、高温媒体には不図示の高温熱源(例えば熱交換器)から熱が供給され、低温媒体からは不図示の低温熱源に熱が供給される。高温熱源としては、従来、未利用のまま周囲環境に捨てられていた比較的低温(例えば200℃以下)の蒸気、温水、排気ガスなどを使用することができる。もちろん、より高温の熱源を用いても良い。
図4に示す例では、高温媒体および低温媒体が、それぞれ、ポンプP1およびP2によって循環しているが、本開示の熱発電ユニットは、そのような例に限定されない。高温媒体および低温媒体の一方または両方が、循環系を構成することなく、各々の熱源から周囲環境に捨てられても良い。例えば、地中から湧き出した高温の温泉水が高温媒体として熱発電ユニット100に与えられ、その後、温度が低下した温泉水として発電以外の用途に利用されたり、そのまま捨てられたりしても良い。低温媒体についても、地下水、川の水、海水が汲み上げられて熱発電ユニット100に与えられても良い。これらは、低温媒体として利用された後、必要に応じて適当な温度に低下され、元の水源に返されたり、周囲環境に捨てられたりしても良い。
再び図3Bを参照する。本開示のある態様による熱発電ユニット100では、導電性部材Jを介して複数の熱発電チューブTが電気的に接続される。図3Bの例では、隣接して配置されている2本の熱発電チューブTが個々の導電性部材Jによって接続されている。全体として、複数の熱発電チューブTは電気的に直列に接続されている。例えば、図3Bにおいて最も手前に見える2本の熱発電チューブT3および熱発電チューブT4の右端部は、導電性部材J3によって相互に接続されている。一方、これら2本の熱発電チューブT3、T4の左端部は、それぞれ、導電性部材J2、J4によって他の熱発電チューブT2、T5に接続されている。
図5は、熱発電チューブT1〜T10の電気的接続の例を模式的に示している。図5に示すように、導電性部材J1〜J9の各々は、2本の熱発電チューブを電気的に接続している。導電性部材J1〜J9は、全体として熱発電チューブT1〜T10を電気的に直列に接続するように配列されている。この例では、熱発電チューブT1〜T10および導電性部材J1〜J9から形成される回路は、一筆書き(traversable)である。この回路は、一部に並列的に接続された熱発電チューブを含んでいて良く、回路が一筆書きであることは必須ではない。
図5の例では、例えば熱発電チューブT1から熱発電チューブT10に電流が流れる。電流は、熱発電チューブT10から熱発電チューブT1に流れても良い。この電流の向きは、熱発電チューブTに使用する熱電材料の種類、熱発電チューブTの内周面と外周面との間で生じる熱流の向き、熱発電チューブTにおける積層面の傾斜の方向などに依存して決まる。熱発電チューブT1〜T10の接続は、熱発電チューブT1〜T10の各々で生じた起電力が相殺されず、重畳されるように決定される。
なお、熱発電チューブT1〜T10を流れる電流の向きと、熱発電チューブT1〜T10の内部流路を流れる媒体(高温媒体または低温媒体)の流れ方向とは、相互に無関係である。例えば、図5の例では、熱発電チューブT1〜T10の内部流路を流れる媒体の流れ方向は、全てに共通して例えば図中の左側から右側であっても良い。
<熱発電チューブTの構成の詳細>
次に、図6Aおよび図6Bを参照して、熱発電チューブTの構成の詳細を説明する。図6Aは、熱発電システム100が備える熱発電チューブTのうちの1つ(ここでは熱発電チューブT1)を示す斜視図である。熱発電チューブT1は、チューブ本体Tb1と、チューブ本体Tb1の両端にそれぞれ設けられた第1電極E1および第2電極E2とを有する。チューブ本体Tb1は、金属層20と熱電材料層22とが交互に積層された構成を有する。本明細書では、第1電極E1と第2電極E2とを結ぶ直線の方向を「積層方向」と称する場合がある。この「積層方向」は熱発電チューブの軸方向に一致している。
図6Bは、熱発電チューブT1の軸(中心軸)を含む平面に沿って熱発電チューブT1を切断したときの断面を示す。図6Bに示されるように、熱発電チューブT1は、外周面24および内周面26を有する。内周面26によって区画される領域が流路F1を形成している。図示されている例では、外周面24および内周面26は、それぞれ、軸方向に垂直な断面の形状が円であるが、これらの形状は前述したように、円に限定されず、楕円または多角形であっても良い。軸方向に垂直な面で切断したときの流路の断面積の大きさは、特に限定されない。熱発電チューブTの内部流路に供給される媒体の流量に応じて、流路の断面積または熱発電チューブの本数が適宜設定されれば良い。
図示されている例において、第1電極E1および第2電極E2は、それぞれ、円筒形状を有しているが、第1電極E1および第2電極E2の形状はこれに限定されない。第1電極E1および第2電極E2は、それぞれ、チューブ本体Tb1の両端またはその近傍において、金属層20および熱電材料層22の少なくとも一方に電気的に接続され、かつ、流路F1を閉塞しない任意の形状を有し得る。図6Aおよび図6Bの例では、第1電極E1および第2電極E2の外周面がチューブ本体Tb1の外周面24に整合しているが、第1電極E1および第2電極E2の外周面とチューブ本体Tb1の外周面24とが整合している必要はない。例えば、第1電極E1および第2電極E2の外周面の直径(外径)がチューブ本体Tb1の外周面24の直径(外径)よりも大きくても良いし、小さくても良い。また、軸方向に垂直な平面で切った第1電極E1および第2電極E2の断面形状が、軸方向に垂直な平面で切ったチューブ本体Tb1の外周面24の断面形状と異なっていても良い。
第1電極E1および第2電極E2は、導電性を有する材料、典型的には金属から形成される。第1電極E1および第2電極E2は、チューブ本体Tb1の両端またはその近傍に位置する1個または複数の金属層20から構成されていても良い。その場合、チューブ本体Tb1の一部が第1電極E1および第2電極E2として機能することになる。あるいは、第1電極E1および第2電極E2は、チューブ本体Tb1の外周面の一部を覆うように設けられた金属層または輪帯状金属部材から形成されていても良いし、チューブ本体Tb1の内周面と接触するようにチューブ本体Tb1の両端から流路F1内に部分的に嵌め込まれた一対の円筒状金属部材であっても良い。
金属層20および熱電材料層22は、図6Bに示されるように、傾斜した状態で交互に積層されている。このような構成を有する熱発電チューブは、基本的には、図1A、図1Bおよび図2を参照しながら説明した原理と同様の原理で動作する。したがって、熱発電チューブT1の外周面24と、熱発電チューブの内周面26との間に温度差を与えると、第1電極E1と第2電極E2との間に電位差が生じる。このときの温度勾配の概略的な方向は、熱発電チューブT1の半径方向(積層方向に垂直な方向)である。
チューブ本体Tb1における積層面の傾斜角度(以下、単に「傾斜角度」と称する。)θは、例えば、5°以上60°以下の範囲内に設定され得る。傾斜角度θは、20°以上45°以下であっても良い。傾斜角度θの適切な範囲は、金属層20を構成する材料と熱電材料層22を構成する熱電材料との組み合わせに依存して異なる。
チューブ本体Tb1における金属層20の厚さと熱電材料層22の厚さとの比(以下、単に「積層比」と称する。)は、例えば、20:1〜1:9の範囲に設定され得る。ここで、金属層20の厚さは、積層面に垂直な方向における厚さ(図6B中、矢印Thで示す厚さ)を意味する。同様に、熱電材料層22の厚さは、積層面に垂直な方向における厚さを意味する。なお、金属層20および熱電材料層22の積層の総数は適宜設定され得る。
金属層20は、任意の金属材料から形成され得、例えばニッケルまたはコバルトから形成され得る。ニッケルおよびコバルトは、高い熱発電特性を示す金属材料の例である。金属層20は、銀または金を含んでいても良い。金属層20は、これらの例示された金属材料を単独で含んでいても良いし、合金として含んでいても良い。金属層20が合金から形成される場合、この合金が、銅、クロムまたはアルミニウムを含んでいても良い。このような合金の例は、コンスタンタン、クロメルまたはアルメルである。
熱電材料層22は、使用温度に応じて任意の熱電材料から形成され得る。熱電材料層22に使用され得る熱電材料の例は、ビスマス、アンチモンなどの単元素からなる熱電材料、BiTe系、PbTe系、SiGe系などの合金系熱電材料、CaxCoO2、NaxCoO2、SrTiO3などの酸化物系熱電材料を含む。本明細書における「熱電材料」とは、絶対値が30μV/K以上のゼーベック係数を有し、かつ、電気抵抗率が10mΩcm以下の材料を意味する。このような熱電材料は、結晶でも、非晶質でも良い。高温媒体の温度が200℃程度またはそれ以下である場合、熱電材料層22は、例えばビスマスアンチモンテルルの緻密体から形成され得る。ビスマスアンチモンテルルの代表的な化学組成は、Bi0.5Sb1.5Te3であるが、これに限定されない。ビスマスアンチモンテルルはセレンなどのドーパントを含んでいても良い。ビスマスとアンチモンの組成比は、適宜調整され得る。
熱電材料層22を構成する熱電材料の他の例としては、テルル化ビスマス、テルル化鉛などが挙げられる。熱電材料層22がテルル化ビスマスから構成される場合、テルル化ビスマスの化学組成をBi2TeXと表記したとき、2<X<4であれば良い。代表的な化学組成は、Bi2Te3である。Bi2Te3は、アンチモンまたはセレンを含有し得る。アンチモンを含有するテルル化ビスマスの化学組成は(Bi1-YSbY2TeXのように表される。このとき、0<Y<1であれば良く、0.6<Y<0.9であるとより好ましい。
第1電極E1および第2電極E2を構成する材料は、導電性に優れる材料であれば任意である。第1電極E1および第2電極E2は、銅、銀、モリブデン、タングステン、アルミニウム、チタン、クロム、金、白金、インジウムなどの金属から形成され得る。あるいは、窒化チタン(TiN)、スズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO2)などの窒化物または酸化物から形成されても良い。ハンダ、銀ロウ、導電性ペーストなどから第1電極E1または第2電極E2を形成しても良い。なお、チューブ本体Tb1の両端が金属層20である場合、前述したように、第1電極E1および第2電極E2は、金属層20で代用され得る。
本明細書では、熱発電チューブの典型例として、金属層と熱発電材料層とが交互に積層された構成を備える素子を説明したが、本開示に使用され得る熱発電チューブの構造は、このような例に限定されない。相対的にゼーベック係数が低く熱伝導率が高い第1の材料から形成された第1の層と、相対的にゼーベック係数が高く熱伝導率が低い第2の材料から形成された第2の層とを積層すれば、上述した熱発電は可能である。金属層20および熱電材料層22は、それぞれ、上記の第1の層および第2の層の例である。
<熱発電ユニットの一態様>
次に、図7Aおよび図7Bを参照する。図7Aは、本開示の熱発電ユニットの一態様を示す正面図であり、図7Bは、熱発電ユニット100の側面のうちの一つを示す図(ここでは右側面図)である。図7Aに示されるように、この態様における熱発電ユニット100は、複数の熱発電チューブTと、複数の熱発電チューブTを内部に収容する容器30とを備えている。このような構造は、一見したところ、熱交換器の「シェル・アンド・チューブ構造」に似ている。しかしながら、熱交換器では、複数のチューブは単に流体を流す管路として機能するだけであり、電気的接続は不要である。本開示の熱発電ユニットを利用した熱発電システムでは、実用上、熱交換器には要求されないチューブ相互間の安定した電気的接続を達成することが求められる。
図4を参照しながら説明したように、熱発電ユニット100には、高温媒体および低温媒体が供給される。例えば、複数の開口部Aを介して、熱発電チューブT1〜T10の各々の内部流路に高温媒体が供給される。一方、容器30の内部には、後述する流体入口38aを介して低温媒体が供給される。これにより、熱発電チューブTの外周面と内周面との間に温度差が与えられる。このとき、熱発電ユニット100において、高温媒体と低温媒体との間の熱交換が行われるとともに、熱発電チューブT1〜T10の各々において、それぞれの軸方向に起電力が発生する。
この態様における容器30は、熱発電チューブTを取り囲む筒状の胴部(シェル)32と、胴部32の開放された両端を塞ぐように設けられた一対のプレート34、36とを有している。より詳細には、プレート34は胴部32の左端に固定され、プレート36は胴部32の右端に固定されている。プレート34および36には、各熱発電チューブTの流路に連通する複数の開口部Aが設けられており、プレート34、36の対応する一対の開口部Aには、それぞれ、熱発電チューブTの両端部が挿入されている。
このプレート34、36は、シェル・アンド・チューブ型熱交換器における管板(チューブシート)と同様に、複数のチューブ(熱発電チューブT)を空間的に分離した状態で支持する機能を有している。しかし、この態様におけるプレート34、36は、後に詳しく説明するように、熱交換器の管板には無い電気的接続機能を有している。
図7Aに示されている例において、プレート34は、胴部32に固定された第1プレート部分34aと、第1プレート部分34aに対して脱着可能に取り付けられた第2プレート部分34bとを有している。同様に、プレート36は、胴部32に固定された第1プレート部分36aと、第1プレート部分36aに対して脱着可能に取り付けられた第2プレート部分36bを有している。プレート34および36に設けられた開口部Aは、それぞれ、第1プレート部分34a、36aおよび第2プレート部分34b、36bを貫通し、各熱発電チューブTの流路を容器30の外部に開放している。
容器30を構成する材料の例は、ステンレス鋼、ハステロイ(登録商標)、インコネル(登録商標)などの金属である。容器30を構成する材料の他の例は、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂などである。胴部32およびプレート34、36は、同一の材料から形成されていても良いし、異なる材料から形成されていても良い。胴部32および第1プレート部分34a、36aが金属から形成されている場合、第1プレート部分34a、36aは、例えば溶接により胴部32に固定される。胴部32の両端にフランジが設けられている場合、このフランジに第1プレート部分34a、36aが固定されていても良い。
動作時、容器30の内部には流体(低温媒体または高温媒体)が導入されるため、容器30の内部は気密または水密が保たれる必要がある。後述するように、プレート34、36の開口部Aでは、熱発電チューブTの端部が挿入された状態で気密または水密を保つためのシールが実現される。胴部32とプレート34、36との間で隙間はなく、動作時には気密または水密が保たれる構造が実現される。
図7Bに示されるように、プレート36には10個の開口部Aが設けられている。同様に、プレート34にも10個の開口部Aが設けられている。図7Aおよび図7Bに示される例において、プレート34の開口部Aとプレート36の開口部Aとは鏡面対称の配置関係にあり、対応する一対の開口部Aの中心点を結ぶ10本の直線は互いに平行である。このような構成によれば、対応する一対の開口部Aによって各熱発電チューブTが平行に支持され得る。容器30内において、複数の熱発電チューブTは平行の関係にある必要はなく、「非平行」または「ねじれ」の関係にあっても良い。
プレート36は、図7Bに示されるように、プレート36に設けられた開口部Aのうちの少なくとも2つを相互に連結するように形成されたチャネル(以下、「連結溝」と称することがある)Cを有する。図7Bに示す例では、チャネルC61は、開口部A61と開口部A62とを相互に連結している。他のチャネルC62〜C65についても同様に、プレート36に設けられた開口部Aのうちの2つを相互に連結している。後述するように、チャネルC61〜C65の各々には、導電性部材が収容される。
図8は、図7BのM−M断面の一部を示す。なお、図8では、容器30の下半分における断面は示されておらず、その正面が示されている。図8に示されるように、容器30は、その内部に流体を流すための流体入口38aおよび流体出口38bを有している。熱発電ユニット100では、流体入口38aおよび流体出口38bが、容器30の上部に配置されている。流体入口38aの配置は、容器30の上部に限定されず、流体入口38aが、例えば容器30の下部に配置されても良い。流体出口38bも同様である。流体入口38aおよび流体出口38bは、それぞれ、流体の入口および出口として固定して使用される必要はなく、流体の入口および出口が定期的または不定期的に反転して用いられても良い。流体の流れ方向が固定されている必要はない。また、流体入口38aおよび流体出口38bの各々の個数は1個に限定されず、流体入口38aおよび流体出口38bの一方または両方が複数であっても良い。
図9は、熱発電ユニット100に導入された高温媒体および低温媒体の流れ方向の例を模式的に示す図である。図9の例では、熱発電チューブT1〜T10の各々の内部流路に高温媒体HMが供給されており、容器30の内部に低温媒体LMが供給されている。この場合、プレート34に設けられた開口部Aを介して、各熱発電チューブの内部流路に高温媒体HMが導入される。各熱発電チューブの内部流路に導入された高温媒体HMは、各熱発電チューブの内周面と接触する。一方、流体入口38aから容器30の内部に低温媒体LMが導入される。容器30の内部に導入された低温媒体LMは、各熱発電チューブの外周面と接触する。
図9に示した例では、高温媒体HMは、各熱発電チューブの内部流路を流れる間に、低温媒体LMと熱の交換を行う。低温媒体LMと熱の交換を行い、温度の低下した高温媒体HMは、プレート36に設けられた開口部Aを介して熱発電ユニット100の外部に排出される。一方、低温媒体LMは、容器30の内部を流れる間に、高温媒体HMと熱の交換を行う。高温媒体HMと熱の交換を行い、温度の上昇した低温媒体LMは、流体出口38bから熱発電ユニット100の外部に排出される。なお、図9に示した高温媒体HMの流れ方向および低温媒体LMの流れ方向は、あくまでも例である。高温媒体HMおよび低温媒体LMのいずれか一方またはこれらの両方が、図の右側から左側に向かって流れていても良い。
ある態様では、熱発電チューブTの流路に高温媒体HM(例えば温水)を導入し、かつ、流体入口38aから低温媒体LM(例えば冷却水)を導入して容器30の内部を低温媒体LMで満たすことができる。逆に、熱発電チューブTの流路には低温媒体LM(例えば冷却水)を導入し、かつ、流体入口38aから高温媒体HM(例えば温水)を導入して容器30の内部を高温媒体HMで満たしても良い。こうして、熱発電チューブTの各々における外周面24と内周面26との間に発電に必要な温度差を与えることができる。
<流体に対するシールおよび熱発電チューブ間の電気的接続の態様>
図10(a)は、プレート36の一部の断面を示す図である。図10(a)は、熱発電チューブT1および熱発電チューブT2の両方の中心軸を含む平面で切断したときの断面を模式的に示している。図10(a)には、プレート36が有する複数の開口部Aのうち、2個の開口部A61、A62およびその近傍の構造が示されている。図10(b)は、図10(a)において矢印V1で示す方向から見たときの導電性部材J1の外観を示す。この導電性部材J1は、2つの貫通孔Jh1、Jh2を有している。より詳細には、導電性部材J1は、貫通孔Jh1を有する第1リング部分Jr1と、貫通孔Jh2を有する第2リング部分Jr2と、これらのリング部分Jr1、Jr2とを接続する連結部Jcとを有している。
プレート36の開口部A61には、図10(a)に示されるように、熱発電チューブT1の端部(第2電極側)が挿入されており、開口部A62には、熱発電チューブT2の端部(第1電極側)が挿入されている。この状態において、導電性部材J1の貫通孔Jh1およびJh2には、それぞれ、熱発電チューブT1の端部および熱発電チューブT2の端部が挿入されている。熱発電チューブT1の端部(第2電極側)と熱発電チューブT2(第1電極側)とは、この導電性部材J1によって電気的に接続される。本明細書では、2本の熱発電チューブを電気的に接続する導電性部材を「連結プレート」と称する場合がある。
なお、第1リング部分Jr1および第2リング部分Jr2の形状は、円環形状に限定されない。熱発電チューブとの間の電気的接続が確保できれば、貫通孔Jh1またはJh2の形状は、円、楕円または多角形であっても良い。例えば、貫通孔Jh1またはJh2の形状が、軸方向に垂直な平面で切断したときの第1電極E1または第2電極E2の断面形状と異なっていても良い。本明細書において、「リング」という場合には、円環状以外の形状も含まれる。
図10(a)の例において、第1プレート部分36aには、開口部A61、A62に対応して凹部R36が設けられている。この凹部R36は、開口部A61と開口部A62との間を連結する溝部分R36cを含んでいる。この溝部分R36cには、導電性部材J1の連結部Jcが位置している。一方、第2プレート部分36bには、開口部A61に対応した凹部R61と開口部A62に対応した凹部R62とが設けられる。この例では、凹部R36と凹部R61、R62とによって形成された空間の内部に、シールおよび電気的接続を実現するための各種の部材が配置されている。当該空間は、導電性部材J1を収容するチャネルC61を形成しており、チャネルC61によって開口部A61と開口部A62とが連結されている。
図10(a)の例では、導電性部材J1の他に、第1のOリング52a、座金54、導電性リング状部材56、第2のOリング52bがチャネルC61に収容されており、各熱発電チューブT1、熱発電チューブT2の端部が、これらの部材の孔を貫いている。容器30の胴部32に近い側に配置された第1のOリング52aは、第1プレート部分36aに形成された座面Bsaと接し、胴部32の内部に供給された流体がチャネルC61の内部に進入しないようにシールを実現している。一方、容器30の胴部32から遠い側に配置された第2のOリング52bは、第2プレート部分36bに形成された座面Bsbと接しており、第2プレート部分36bの外側に存在する流体がチャネルC61の内部に進入しないようにシールを実現している。
Oリング52a、52bは、断面がO形(円形)の環型のシール部品である。Oリング52a、52bは、ゴム、金属、プラスティックなどから形成され、部品同士の隙間からの流体の流出または流入を防ぐ機能を有している。図10(a)において、第2プレート部分36bの右側には、各熱発電チューブTの流路と連通する空間が位置し、その空間内には高温媒体または低温媒体を構成する流体が存在している。例えば図10に示す部材を用いることにより、熱発電チューブTの電気的接続と、高温媒体および低温媒体を構成する流体に対するシールとを実現することができる。なお、導電性リング状部材56の構造と機能の詳細については後述する。
プレート36について説明した構成と同様の構成がプレート34にも設けられている。前述したように、プレート34の開口部Aとプレート36の開口部Aとの関係は鏡面対称にあるが、プレート34とプレート36とにおいて、2つの開口部Aを連結する溝部が形成されている位置は鏡面対称ではない。もしプレート34において熱発電チューブTを電気的に接続する導電性部材の配列パターンと、プレート36において熱発電チューブTを電気的に接続する導電性部材の配列パターンとが鏡面対称であれば、複数の熱発電チューブTを直列的に接続できない。
例示した態様のように、胴部32に固定されたプレート(例えばプレート36)が、第1プレート部分(36a)と第2プレート部分(36b)とを含む場合、第1プレート部分(36a)における複数の開口部Aの各々は、第1のOリング52aを受ける第1の座面(Bsa)を有し、第2プレート部分(36b)における複数の開口部Aの各々は、第2のOリングを受ける第2の座面(Bsb)を有する。しかし、プレート34、36は、図10に示されるような構成を有している必要はなく、例えばプレート36は、第1プレート部分36aと第2プレート部分36bとに分かれている必要もない。第2プレート部分36bの代わりに他の部材によって導電性部材J1を押圧すれば、第1のOリング52aが第1の座面(Bsa)を押圧してシールが実現され得る。
なお、図10(a)の例では、熱発電チューブT1と導電性部材J1との間に導電性リング状部材56が介在している。同様に、熱発電チューブT2と導電性部材J1との間にも、もう1つの導電性リング状部材56が介在している。
導電性部材J1は、典型的には、金属から形成される。導電性部材J1を構成する材料の例は、銅(無酸素銅)、真鍮、アルミニウムなどである。腐食防止の観点から、ニッケルめっきまたは錫めっきが施されても良い。なお、導電性部材J(ここではJ1)と、導電性部材Jの2つの貫通孔(ここではJh1およびJh2)にそれぞれ挿入される熱発電チューブ(ここではT1およびT2)との間の電気的接続が確保できる限りにおいて、導電性部材Jの一部に絶縁性コーティングが施されていても良い。すなわち、導電性部材Jは、金属から形成された本体と、本体の表面の少なくとも一部を覆う絶縁性コートとを有していても良い。例えば、テフロン(登録商標)などの樹脂から絶縁性コートが形成されても良い。導電性部材Jの本体がアルミニウムから構成される場合には、表面の一部に絶縁性コートとしての絶縁酸化被膜を形成しても良い。
図11Aは、導電性部材J1を収容するチャネルC61近傍の分解斜視図である。図11Aに示すように、第1のOリング52a、導電性リング状部材56、導電性部材J1、および第2のOリング52bは、容器30の外側から開口部A61および開口部A62の各々の内部に挿入される。必要に応じて、第1のOリング52aと導電性リング状部材56との間に座金54が配置される。座金54は、導電性部材J1と第2のOリング52bとの間にも配置され得る。座金54は、後述する導電性リング状部材56の平坦部56fとOリング52a(または54b)との間に挿入される。
図11Bは、第2プレート部分36bのシール面(第1プレート部分36aと対向する面)のうち、開口部A61およびA62に対応する部分を示す。上述したように、第2プレート部分36bにおける開口部A61およびA62は、第2のOリング52bを受ける座面Bsbを有している。したがって、第1プレート部分36aのシール面と第2プレート部分36bのシール面とを対向させて、フランジ接合などにより第1プレート部分36aおよび第2プレート部分36bを結合すると、第1プレート部分36a内の第1のOリング52aを座面Bsaに押圧することができる。より詳細には、第2の座面Bsbが、第2のOリング52b、導電性部材J1、および導電性リング状部材56を介して、第1のOリング52aを座面Bsaに押圧する。これにより、高温媒体および低温媒体から導電性部材J1をシールすることができる。
第1プレート部分36aおよび第2プレート部分36bが金属などの導電性材料から形成されている場合、第1プレート部分36aおよび第2プレート部分36bのシール側表面は、絶縁材料によってコートされ得る。第1プレート部分36aおよび第2プレート部分36bのうち、動作時に導電性部材Jに接触する領域は、導電性部材Jから電気的に絶縁されるように絶縁コートされ得る。ある態様では、例えばフッ素スプレーによるフッ素樹脂コートが第1プレート部分36aおよび第2プレート部分36bのシール側表面に形成され得る。
<導電性リング状部材の構成の詳細>
次に、図12Aおよび図12Bを参照しながら、導電性リング状部材56の構成を詳細に説明する。
図12Aは、導電性リング状部材56の1つの例示的な形状を示す斜視図である。図12Aの導電性リング状部材56は、リング状の平坦部56fと、複数の弾性部56rとを備える。平坦部56fは、貫通孔56aを有する。複数の弾性部56rの各々は、平坦部56fの貫通孔56aの周縁から突出し、貫通孔56aの中心に向かって弾性力で付勢されている。このような導電性リング状部材56は、1枚の金属板(厚さは、例えば0.1mm〜数mm)を加工することによって容易に作製することができる。なお、導電性部材Jも、同様に1枚の金属板(厚さは、例えば0.1mm〜数mm)を加工することによって容易に作製することができる。
導電性リング状部材56の貫通孔56aには、熱発電チューブTの端部(第1電極または第2電極)が挿入される。このため、リング状の平坦部56fの貫通孔56aの形状およびサイズは、熱発電チューブTの端部(第1電極または第2電極)における外周面の形状およびサイズに整合するように設計される。
ここで、図13A、図13Bおよび図13Cを参照しながら、導電性リング状部材56の形状をより詳細に説明する。図13Aは、導電性リング状部材56および熱発電チューブT1の一部を示す断面図である。図13Bは、導電性リング状部材56に熱発電チューブT1の端部が挿入された状態を示す断面図である。図13Cは、導電性リング状部材56および導電性部材J1の貫通孔に熱発電チューブT1の端部が挿入された状態を示す断面図である。図13A、図13Bおよび図13Cは、熱発電チューブT1の軸(中心軸)を含む平面に沿って熱発電チューブT1を切断したときの断面を示している。
図13Aに示すように、例えば、熱発電チューブT1の端部(第1電極または第2電極)における外周面が直径Dの円筒面であるとする。この場合、導電性リング状部材56の貫通孔56aは、熱発電チューブT1の端部が通過可能なように、直径がD+δ1(δ1>0)である円形を有するように形成される。これに対して、複数の弾性部56rの各々は、貫通孔56aの中心に向かって弾性力が付勢されるように形成されている。複数の弾性部56rの各々は、図13Aに示したように、例えば、貫通孔56aの中心に向かって傾くように形成される。すなわち、弾性部56rは、外力が与えられない限り、断面の直径がDよりも小さな円筒の外周面(この外周面の直径をD−δ2(δ2>0)とする。)に外接するように加工されている。
D+δ1>D>D−δ2の関係から、熱発電チューブT1の端部が貫通孔56aに挿入されたとき、複数の弾性部56rの各々は、図13Bに示すように、熱発電チューブT1の端部における外周面と物理的に接触する。このとき、複数の弾性部56rの各々は、貫通孔56aの中心に向かって弾性力が付勢されているので、複数の弾性部56rの各々は、熱発電チューブT1の端部における外周面を弾性力で押圧する。こうして、貫通孔56aに挿入された熱発電チューブT1の外周面は、複数の弾性部56rとの間で安定した物理的かつ電気的な接触を実現する。
次に、図13Cを参照する。導電性部材J1は、プレート34、36に設けられた開口部A内において、導電性リング状部材56の平坦部56fに接触する。より詳細には、導電性リング状部材56および導電性部材J1が熱発電チューブT1の端部に装着されたとき、図13Cに示したように、導電性リング状部材56の平坦部56fの表面と、導電性部材J1のリング状部分Jr1の表面とが接触する。このように、この態様では、導電性リング状部材56と導電性部材J1との間の電気的な接続は、平面同士の接触によって行われる。導電性リング状部材56と導電性部材J1との間の接触が平面同士の接触であるので、熱発電チューブT1で発生した電流を流すのに十分な接触面積を確保することができる。平坦部56fの幅Wは、熱発電チューブT1で発生した電流を流すのに十分な接触面積が得られるように適宜設定され得る。なお、導電性リング状部材56と導電性部材J1との間の接触面積が確保できる限りにおいて、平坦部56fの表面または導電性部材J1のリング状部分Jr1の表面が凹凸形状を有していても良い。例えば、平坦部56fの表面に形成された凹凸形状と、平坦部56fの表面に形成された凹凸形状に対応するような凹凸形状を導電性部材J1のリング状部分Jr1の表面に形成することで、より大きな接触面積を確保することもできる。
次に、図14Aおよび図14Bを参照する。図14Aは、導電性リング状部材56および導電性部材J1の一部を示す断面図である。図14Bは、導電性部材J1の貫通孔Jh1に導電性リング状部材56の弾性部56rが挿入された状態を示す断面図である。図14Aおよび図14Bは、熱発電チューブT1の軸(中心軸)を含む平面に沿って導電性リング状部材56および導電性部材J1を切断したときの断面を示している。
ここで、導電性部材Jの貫通孔(ここではJh1)の直径を2Rrとすると、導電性部材Jの貫通孔は、熱発電チューブT1の端部が通過可能なように、D<2Rrを満足するように形成される。また、導電性リング状部材56の平坦部56fの直径を2Rfとすると、導電性部材Jの貫通孔は、平坦部56fの表面と、リング状部分Jr1の表面とが確実に接触するように、2Rr<2Rfを満足するように形成される。
なお、図15に示すように、熱発電チューブTの端部に面取り部Cmが形成されていても良い。導電性リング状部材56が熱発電チューブT1の端部に挿入される時、例えば、導電性リング状部材56の弾性部56rと熱発電チューブTの端部とが接触することによって、熱発電チューブTの端部が損傷することがある。熱発電チューブTが端部に面取り部Cmを有することで、弾性部56rと熱発電チューブTの端部とが接触することによる熱発電チューブTの端部の損傷が抑制される。熱発電チューブTの端部の損傷が抑制されることで、導電性部材J1が高温媒体および低温媒体からより確実にシールされる。また、熱発電チューブT1の外周面と、弾性部56rとの間の電気的な接触不良が低減される。面取り部Cmは、図15に示したような曲面状であっても良いし、平面状であっても良い。
導電性リング状部材56の表面および導電性部材Jの表面に、同一種類の金属でめっきが施されても良い。導電性リング状部材56および導電性部材Jの双方の表面に、例えばニッケルめっきが施されることによって、導電性リング状部材56と導電性部材Jとの間の接触を同一金属間の接触とできる。これにより、導電性リング状部材56と導電性部材Jとの間における電気的なロスが低減される。この場合において、導電性リング状部材56および導電性部材Jのめっきは、少なくとも、これらが互いに接触する部分(例えば平坦部56fの表面と、導電性部材のリング状部分の表面)に施されていれば良い。
こうして、導電性部材J1は、導電性リング状部材56を介して、熱発電チューブTの端部における外周面と電気的に接続する。例示した態様では、第1プレート部分36aおよび第2プレート部分36bを結合することにより、導電性リング状部材56の平坦部56fと導電性部材Jとの安定した電気的接触が実現するとともに、前述したシールを実現できる。
更に、熱発電チューブTの端部に対応させて導電性リング状部材56を配置しておくことで、導電性部材J1のシールをより確実に行うことができる。前述したように、第1のOリング52aは、導電性部材J1、および導電性リング状部材56を介して座面Bsaに押圧される。ここで、導電性リング状部材56は、平坦部56fを有している。すなわち、第1のOリング52aに対する押圧力は、導電性リング状部材56の平坦部56fを介して第1のOリング52aに与えられる。すなわち、導電性リング状部材56が平坦部56fを有するので、第1のOリング52aに対して均等に押圧力を与えることができる。したがって、座面Bsaに対して、第1のOリング52aを確実に押圧することができ、容器内の液体に対するシールを確実に行うことができる。また、第2のOリング52bに対しても同様に適切な押圧力を与えることができるので、容器外の液体に対するシールも確実に行うことができる。
次に、導電性リング状部材56を熱発電チューブTに嵌め込む方法の一例を説明する。
まず、図11Aに示されるように、第1プレート部分36aの開口部A61、A62内に、それぞれ、熱発電チューブT1、熱発電チューブT2の端部が挿入される。その後、第1のOリング52aと、必要に応じて座金54を熱発電チューブの先端から嵌め、開口部A61、A62の奥に移動させる。次に、導電性リング状部材56を熱発電チューブの先端から嵌め、開口部A61、A62の奥に移動させる。その後、導電性部材J1と、必要に応じて座金54および第2のOリング52bを熱発電チューブの先端から嵌め、開口部A61、A62の奥に移動させる。最後に、第2プレート部分36bのシール面を第1プレート部分36aに対向させ、第2プレート部分36bの開口部に熱発電チューブの先端が挿入されるようにして第2プレート部分36bと第1プレート部分36aとを結合する。この結合には、例えば、フランジ接合を適用できる。この場合、第2プレート部分36bおよび第1プレート部分36aの結合は、図7Bに示す第2プレート部分36bに設けられた孔36bhおよび第1プレート部分36aに設けられた孔を介してボルトおよびナットで行うことができる。
導電性リング状部材56と熱発電チューブTとの接続は永久的ではなく、導電性リング状部材56は熱発電チューブTに対して着脱可能である。例えば、熱発電チューブTを新しい熱発電チューブTに交換する場合、上述した導電性リング状部材56を熱発電チューブTに嵌め込む動作の逆の動作を行えば良い。導電性リング状部材56は繰り返して使用することも可能であるし、新しい導電性リング状部材56に交換されても良い。
導電性リング状部材56の形状は、図12Aに示す例に限定されない。平坦部56fの幅(半径方向のサイズ)と貫通孔56aの半径との比率も任意である。また、個々の弾性部56rは多様な形状を有し得るし、複数の弾性部56rの個数も任意である。
図12Bは、導電性リング状部材56の他の例の形状を示す斜視図である。図12Bの導電性リング状部材56も、リング状の平坦部56fと、複数の弾性部56rとを備える。平坦部56fは、貫通孔56aを有する。複数の弾性部56rの各々は、平坦部56fの貫通孔56aの周縁から突出し、貫通孔56aの中心に向かって弾性力で付勢されている。この例では、弾性部56rの個数は4個である。弾性部56rの個数は2個であっても良いが、3個以上であることが好ましい。弾性部56rの個数は例えば6個以上に設定される。
なお、平板状の導電性部材Jを導電性リング状部材56の平坦部56fに接触させる構成によれば、導電性部材Jのリング状部分における貫通孔と、これに挿入される熱発電チューブとの間に隙間(あそび)が許容される。このため、熱発電チューブが脆い材料から形成されている場合でも、導電性部材Jのリング状部分Jr1が熱発電チューブを損傷することなく安定した接続を実現できる。
<熱流の向きと積層面の傾斜の方向との間の関係>
ここで、図16Aおよび図16Bを参照しながら、熱発電チューブTにおける熱流の向きと、熱発電チューブTにおける積層面の傾斜の方向との間の関係を説明する。
図16Aは、電気的に直列に接続された熱発電チューブTを流れる電流を模式的に示す図である。図16Aでは、熱発電チューブT1〜T10のうちの3本(T1〜T3)の断面を模式的に示している。
図16Aでは、熱発電チューブT1の一端(例えば第1電極側の端部)に、導電性部材K1が接続されており、熱発電チューブT1の他端(例えば第2電極側の端部)には、導電性部材(連結プレート)J1が接続されている。導電性部材J1は、熱発電チューブT2の一端(第1電極側の端部)とも接続されており、これにより、熱発電チューブT1と熱発電チューブT2とが電気的に接続される。更に、熱発電チューブT2の他端(第2電極側の端部)と、熱発電チューブT3の一端(第1電極側の端部)とは、導電性部材J2によって電気的に接続されている。
このとき、図16Aに示したように、熱発電チューブT1における積層面の傾斜の方向と、熱発電チューブT2における積層面の傾斜の方向とは、互いに反対である。同様に、熱発電チューブT2における積層面の傾斜の方向と、熱発電チューブT3における積層面の傾斜の方向とは、互いに反対である。すなわち、熱発電ユニット100では、熱発電チューブT1〜T10の各々は、連結プレートを介して自身に接続される熱発電チューブとは、積層面の傾斜の方向が互いに反対である。
ここで、図16Aに示したように、熱発電チューブT1〜T3の各々の内周面に高温媒体HMを接触させ、外周面に低温媒体LMを接触させたとする。すると、熱発電チューブT1では、例えば図の右側から左側に向かって電流が流れる。これに対して、熱発電チューブT2では、熱発電チューブT1とは積層面の傾斜の方向が互いに反対であるので、図の左側から右側に向かって電流が流れる。
図17は、2個の開口部A61、A62およびその近傍における電流の向きを模式的に示す図である。図17は、図10(a)に対応する図である。図17では、電流の流れ方向が、破線の矢印で模式的に示されている。図17に示したように、熱発電チューブT1で生じた電流は、開口部A61側のリング状導電性部材56、導電性部材J1および開口部A62側のリング状導電性部材56を順に介して熱発電チューブT2に向けて流れる。熱発電チューブT2に流入した電流は、熱発電チューブT2で生じた電流と重畳されて熱発電チューブT3に向けて流れる。熱発電チューブT3は、図16Aに示したように、熱発電チューブT2とは積層面の傾斜の方向が互いに反対である。そのため、熱発電チューブT3では、図16Aにおいて右側から左側に向かって電流が流れる。したがって、熱発電チューブT1〜T3の各々で生じた起電力は、相殺されることなく重畳される。このように、積層面の傾斜の方向が交互に反対となるように、複数の熱発電チューブTを順に接続することによって、熱発電ユニットからより大きな電圧を取り出すことができる。
次に、図16Bを参照する。図16Bは、図16Aと同様に、電気的に直列に接続された熱発電チューブTを流れる電流を模式的に示している。図16Bにおいても、図16Aに示した例と同様に、積層面の傾斜の方向が交互に反対となるように、熱発電チューブT1〜T3が順に接続されている。この場合も、相互に接続された2本の熱発電チューブにおいて積層面の傾斜の方向が互いに反対であるので、熱発電チューブT1〜T3の各々で生じた起電力は、相殺されることなく重畳される。
ここで、図16Bに示したように、熱発電チューブT1〜T3の各々の内周面に低温媒体LMを接触させ、外周面に高温媒体HMを接触させると、各熱発電チューブT1〜T3で発生する電圧の極性は、図16Aに示した場合とは逆になる。別の言い方をすれば、各熱発電チューブにおける温度勾配の向きを反転させると、各熱発電チューブにおける起電力の極性(各熱発電チューブを流れる電流の向きといっても良い。)が反転する。したがって、例えば、図16Aに示した場合と同様に導電性部材K1側から導電性部材J3側に向かって電流が流れるようにするには、各熱発電チューブT1〜T3における第1電極側および第2電極側が図16Aに示した場合と反対になるようにすれば良い。なお、図16Aおよび図16Bに示した電流の向きはあくまで例示である。金属層20を構成する材料および熱電材料層22を構成する熱電材料によっては、電流の向きは、図16Aおよび図16Bに示した電流の向きと反対になることもある。
図16Aおよび図16Bを参照して説明したように、熱発電チューブTで発生する電圧の極性は、熱発電チューブTにおける積層面の傾斜の方向に依存する。そのため、例えば熱発電チューブTを交換する場合には、熱発電ユニット100内における熱発電チューブTの内周面と外周面との間の温度勾配を考慮して、適切に熱発電チューブTを配置する必要がある。
図18Aおよび図18Bは、それぞれ、電極に極性の表示を有する熱発電チューブを示す斜視図である。図18Aに示す熱発電チューブTでは、第1電極E1aおよび第2電極E2aに、熱発電チューブで発生する電圧の極性を識別するためのモールド(凹凸形状)Mpが形成されている。図18Bに示す熱発電チューブTでは、第1電極E1bおよび第2電極E2bに、熱発電チューブTにおける積層面が、第1電極E1bおよび第2電極E2bのどちらの側に傾斜しているかを示すマークMkが付されている。モールドまたはマークは互いに組み合わされても良い。モールドまたはマークは、チューブ本体Tbに付与されていても良いし、第1電極および第2電極のいずれか一方にのみ付与されていても良い。
このように、例えば第1電極および第2電極に、熱発電チューブTで発生する電圧の極性を識別するためモールドまたはマークを付与しておくこともできる。これにより、熱発電チューブTにおける積層面が、第1電極E1aおよび第2電極E2aのどちらの側に傾斜しているかを熱発電チューブTの外観から判断することが可能である。モールドまたはマークを付与することに代えて、第1電極と第2電極とを互いに異なる形状としても良い。例えば、第1電極と第2電極との間で、長さ、太さまたは軸方向に垂直な断面の形状などを異ならせても良い。
<熱発電ユニット100の外部に電力を取り出すための電気的接続構造>
再び図5を参照する。図5に示す例では、10本の熱発電チューブT1〜T10が導電性部材J1〜J9によって電気的に直列に接続されている。導電性部材J1〜J9の各々による2つの熱発電チューブTの接続については、前述した通りである。以下、直列回路の両端に位置する2本の発電チューブT1、T10から熱発電ユニット100の外部に電力を取り出すための電気的接続構造の例を説明する。
まず図19を参照する。この図19は、図7Aに示される熱発電ユニット100の側面のうちの他の一つを示す図(左側面図)である。図7Bがプレート36の側の構成を示しているのに対して、図19は、プレート34の側の構成を示している。プレート36について説明した構成および動作と共通する構成および動作の説明は繰り返さない。
図19に示されるように、チャネルC42〜C45は、プレート34に設けられた開口部Aのうちの少なくとも2つを相互に連結している。本明細書では、このようなチャネルを「相互接続部分」と称する場合がある。各相互接続部分に収容される導電性部材は、導電性部材J1と同様の構成を有する。これに対して、プレート34に設けられたチャネルC41は、プレート34における開口部A41から外縁まで延びるように設けられている。本明細書では、プレートに設けられた開口部から外縁まで延びるように設けられているチャネルを「端子接続部分」と称する場合がある。図19に示したチャネルC41およびC46は、端子接続部分である。端子接続部分には、外部回路に接続するための端子として機能する導電性部材が収容される。
図20(a)は、プレート34の一部の断面を示す図である。図20(a)は、熱発電チューブT1の中心軸を含む平面で切断したときの断面を模式的に示しており、図19におけるR−R線断面図に相当する。図20(a)には、プレート34が有する複数の開口部Aのうち、開口部A41およびその近傍の構造が示されている。図20(b)は、図20(a)において矢印V2で示す方向から見たときの導電性部材K1の外観を示す。この導電性部材K1は、一端に貫通孔Khを有している。より詳細には、導電性部材K1は、貫通孔Khを有するリング部分Krと、リング部分Krからリング部分Krの外側に向かって延びる端子部Ktとを有している。導電性部材K1は、導電性部材J1と同様に、典型的には、金属から形成される。導電性リング状部材56の表面および導電性部材K1の表面に、同一種類の金属でめっきが施されても良い。
プレート34の開口部A41には、図20(a)に示されるように、熱発電チューブT1の端部(第1電極側)が挿入されている。この状態において、導電性部材K1の貫通孔Khには、熱発電チューブT1の端部が挿入されている。このように、この態様における導電性部材(J、K1)は、熱発電チューブTを通す少なくとも1個の孔を有する導電性プレートであるといえる。なお、開口部A410およびその近傍の構造は、プレート34の開口部A410に熱発電チューブT10の端部が挿入されること以外は、開口部A41およびその近傍の構造と同様である。
図20(a)の例において、第1プレート部分34aには、開口部A41に対応して凹部R34が設けられている。この凹部R34は、開口部A41から第1プレート部分34aの外縁にまで達する溝部分R34tを含んでいる。この溝部分R34tには、導電性部材K1の端子部Ktが位置している。この例では、凹部R34と、第2プレート部分34bに設けられた凹部R41とによって形成された空間が、導電性部材K1を収容するチャネルを形成している。図10(a)に示した例と同様に、図20(a)の例においても、導電性部材K1の他に、第1のOリング52a、座金54、導電性リング状部材56、第2のOリング52bがチャネルC41に収容されており、熱発電チューブT1の端部が、これらの部材の孔を貫いている。第1のOリング52aは、胴部32の内部に供給された流体がチャネルC41の内部に進入しないように、シールを実現する。また、第2のOリング52bは、第2プレート部分34bの外側に存在する流体がチャネルC41の内部に進入しないように、シールを実現する。
図21は、導電性部材K1を収容するチャネルC41近傍の分解斜視図である。例えば、第1のOリング52a、座金54、導電性リング状部材56、導電性部材K1、座金54および第2のOリング52bが、容器30の外側から開口部A41の内部に挿入される。第2プレート部分34bのシール面(第1プレート部分34aと対向する面)は、図11Bに示した第2プレート部分36bのシール面とほぼ同様の構成を有する。すなわち、第1プレート部分34aおよび第2プレート部分34bを結合することで、第2プレート部分34bの第2の座面Bsbが、第2のOリング52b、導電性部材K1、および導電性リング状部材56を介して、第1のOリング52aを第1プレート部分34aの座面Bsaに押圧する。これにより、高温媒体および低温媒体から導電性部材K1をシールすることができる。
導電性部材K1のリング部分Krは、プレート34に設けられた開口部A内において、導電性リング状部材56の平坦部56fに接触する。こうして、導電性部材K1は、導電性リング状部材56を介して、熱発電チューブTの端部における外周面と電気的に接続する。ここで、導電性部材K1の一端(端子部Kt)は、図20(a)に示したように、プレート34の外部に突出する。したがって、端子部Ktのうち、プレート34の外部に突出した部分は、熱発電ユニットと外部回路とを接続するための端子として機能し得る。図21に示したように、端子部Ktのうち、プレート34の外部に突出した部分がリング状に形成されていても良い。本明細書では、一端に熱発電チューブが挿入され、他端が外部に突出する導電性部材を「端子プレート」と称することがある。
このように、熱発電ユニット100では、端子接続部分に収容された2個の端子プレートに、熱発電チューブT1および熱発電チューブT10がそれぞれ接続されている。また、複数の熱発電チューブT1〜T10は、2個の端子プレートの間において、チャネルの相互接続部分に収容された連結プレートを介して電気的に直列に接続されている。したがって、一端がプレートの外部に突出する2個の端子プレートを介して、複数の熱発電チューブT1〜T10によって生じた電力を外部に取りだすことができる。
導電性リング状部材56および導電性部材(J、K1)の配置は、チャネルC内において適宜変更され得る。このとき、導電性リング状部材56の弾性部56rが導電性部材の貫通孔(Jh1、Jh2またはKh)に挿入されるように、導電性リング状部材56および導電性部材を配置すれば良い。なお、導電性リング状部材56の平坦部56fの一部を延長して、導電性部材K1の端子部Ktの代用とすることもできる。この場合、導電性部材K1を省略しても良い。
なお、上述の態様では、第1プレート部分に設けられた凹部および第2プレート部分に設けられた凹部からチャネルCが形成されたが、第1プレート部分および第2プレート部分のいずれか一方に設けられた凹部からチャネルCが形成されても良い。容器30が金属から構成される場合、導電性部材(連結プレート、端子プレート)と容器30とが導通しないように、チャネルC内部に絶縁性コーティングが施されていても良い。例えば、プレート34(34aおよび34b)が、金属から形成された本体と、本体の表面の少なくとも一部を覆う絶縁性コートとを有していても良い。プレート36(36aおよび36b)も同様に、金属から形成された本体と、本体の表面の少なくとも一部を覆う絶縁性コートとを有していても良い。第1プレート部分に設けられた凹部の表面および第2プレート部分に設けられた凹部の表面に絶縁性コーティングが施されている場合は、導電性部材の表面の絶縁性コーティングを省略できる。
<シールおよび電気的接続のための構造の他の例>
図22は、熱発電チューブTの外周面に接する媒体と、各熱発電チューブT1〜T10の内周面に接する媒体とが混ざり合わないように分離するための構造の例を示す断面図である。図22に示す例では、容器30の外側からブッシング60が挿入されることで、高温媒体と低温媒体との分離および熱発電チューブと導電性部材との間の電気的接続が実現される。
図22の例において、プレート34uに設けられた開口部A41は、雌ネジ部Th34を有している。より詳細には、プレート34uの開口部A41に対応して設けられた凹部R34の壁面にネジ山が形成されている。凹部R34には、雄ネジ部Th60を有するブッシング60が挿入される。ブッシング60は、軸方向に沿って貫通孔60aを有している。ここで、プレート34uの開口部A41に、熱発電チューブT1の端部が挿入されている。したがって、貫通孔60aは、凹部R34にブッシング60が挿入された状態において熱発電チューブT1の内部流路に連通する。
凹部R34とブッシング60との間に形成された空間の内部には、シールおよび電気的接続を実現するための各種の部材が配置される。図22の例では、プレート34uに形成された座面Bsaから容器30の外側に向かって、Oリング52、導電性部材K1およびリング状導電性部材56が順に配置されている。熱発電チューブT1の端部は、これらの部材の孔に挿入されている。Oリング52は、プレート34uに形成された座面Bsaおよび熱発電チューブT1の端部の外周面と接する。ここで、雌ネジ部Th34に雄ネジ部Th60が挿入すると、導電性リング状部材56の平坦部56fおよび導電性プレートK1を介して、雄ネジ部Th60がOリング52を座面Bsaに押圧する。すなわち、胴部32の内部に供給された流体が熱発電チューブT1の内部流路に供給された流体と混ざり合わないようにシールを実現することができる。また、熱発電チューブT1の外周面が導電性リング状部材56の複数の弾性部56rと接触し、導電性リング状部材56の平坦部56fが導電性部材K1のリング部分Krと接触するので、熱発電チューブと導電性部材とを電気的に接続することができる。
このように、図22に示す部材を用いることによって、より簡易な構成で、高温媒体と低温媒体との分離および熱発電チューブと導電性部材との間の電気的接続を実現することもできる。
図23Aおよび図23Bは、高温媒体と低温媒体との分離および熱発電チューブと導電性部材との間の電気的接続を実現するための構造の他の例を示す断面図である。図23Aでは、プレート34uに形成された座面Bsaから容器30の外側に向かって、第1のOリング52a、座金54、リング状導電性部材56、導電性部材K1、座金54および第2のOリング52bが順に配置されている。図23Aに示す例では、導電性プレートK1および導電性リング状部材56の平坦部56fを介して、雄ネジ部Th60がOリング52aを座面Bsaに押圧する。図23Bでは、プレート34uに形成された座面Bsaから容器30の外側に向かって、第1のOリング52a、導電性部材K1、リング状導電性部材56および第2のOリング52bが順に配置されている。また、図23Bでは、ブッシング60に形成された貫通孔60a内に、貫通孔64aを有するブッシング64が更に挿入されている。貫通孔64aは、熱発電チューブT1の内部流路に連通している。図23Bに示す例では、ブッシング64の雄ネジ部Th64が、第2のOリング52bを座面Bsaに向けて押圧する。このように、第1のOリング52aおよび第2のOリング52bを配置することによって、高温媒体を構成する流体および低温媒体を構成する流体の両方に対するシールを行っても良い。高温媒体を構成する流体および低温媒体を構成する流体の両方に対するシールを行うことで、導電性リング状部材56の腐食が抑制される。
上述したように、導電性部材K1の端子部Ktの一端は、プレート34uの外部に突出し、熱発電ユニットと外部回路とを接続するための端子として機能し得る。図22ならびに図23Aおよび図23Bに示したような態様において、導電性部材K1(端子プレート)の代わりに、導電性部材J1のような連結プレートが適用されても良い。この場合は、貫通孔Jh1に熱発電チューブT1の端部が挿入される。必要に応じて、Oリングと導電性部材との間などに座金54が配置されても良い。
<熱発電ユニットを備える熱発電システム>
次に、熱発電ユニットを備える熱発電システムを説明する。
上述の熱発電ユニット100は、単体で使用されても良いし、複数の熱発電ユニット100が組み合わされて使用されても良い。複数の熱発電ユニット100は直列的または並列的に連結され得る。
次に、図24A、図24Bおよび図24Cを参照しながら、複数の熱発電ユニットを備える熱発電システムの構成例を説明する。図24A、図24Bおよび図24Cにおいて、実線の太い矢印は、熱発電チューブの外周面と接する媒体、すなわち容器30の中(熱発電チューブの外側)を流れる媒体の流れ方向を概略的に示している。破線の太い矢印は、熱発電チューブの内周面に接する媒体、すなわち、貫通孔(内部流路)を流れる媒体の流れ方向を概略的に示している。本明細書では、各容器30の流体入口および流体出口に連通した管路を「第1媒体路」と称し、各熱発電チューブの流路に連通した管路を「第2媒体路」と称する場合がある。
まず、図24Aを参照する。図24Aに示されている熱発電システムは、第1の熱発電ユニット100−1と、第2の熱発電ユニット100−2とを備えている。第1の熱発電ユニット100−1および第2の熱発電ユニット100−2は、それぞれ、前述した熱発電ユニット100の構成と同一の構成を有している。図24Aの例では、中継のためのプレート35を介して、第1の熱発電ユニット100−1が有する複数の熱発電チューブの流路が、それぞれ、第2の熱発電ユニット100−2が有する複数の熱発電チューブの流路に連通されている。
次に、図24Bを参照する。図24Bに示されている熱発電システムも、図24Aの例と同様に、第1の熱発電ユニット100−1と、第2の熱発電ユニット100−2とを備えている。ただし、図24Bの例では、第1の熱発電ユニット100−1が有する複数の熱発電チューブの流路と、第2の熱発電ユニット100−2が有する複数の熱発電チューブの流路とが、それぞれ、中継のための管路42によって連通されている。第1の熱発電ユニット100−1の容器30の内部に供給された媒体は、管路40を介して、第2の熱発電ユニット100−2の容器30の内部に供給される。この管路40、42は、直線的である必要はなく、屈曲していても良い。
次に、図24Cを参照する。図24Cに示されている熱発電システムは、並列に配置された第1の熱発電ユニット100−1と第2の熱発電ユニット100−2とを備えている。図24Cの例では、第1の熱発電ユニット100−1の熱発電チューブを流れる媒体と、第2の熱発電ユニット100−2の熱発電チューブを流れる媒体とは、並列的に流れる。ただし、第1の熱発電ユニット100−1の容器30の内部に供給された媒体は、第2の熱発電ユニット100−2の容器30に供給されている。
このように、複数の熱発電ユニットを備える熱発電システムでは、高温媒体および低温媒体の流路の設計は多様に可能である。図24A、図24Bおよび図24Cは、あくまでも幾つかの例を示すだけであり、各容器の流体入口および流体出口に連通した第1媒体路、および各熱発電チューブの流路に連通した第2媒体路は、任意に設計され得る。
<熱発電システムが備える電気回路の構成例>
次に、図25を参照しながら、熱発電システムが備える電気回路の構成例を説明する。
図25の例において、熱発電システム200は、熱発電ユニット100から出力される電力を受け取る電気回路250を備えている。この電気回路250は、熱発電ユニット100から出力される電力の電圧を上昇させる昇圧回路252と、昇圧回路252から出力される直流電力を交流電力(周波数は例えば50/60Hzまたはその他の周波数)に変換するインバータ(DC−ACインバータ)回路254とを有している。インバータ回路254から出力される交流電力は、負荷400に供給され得る。負荷400は、交流電力を使用して動作する各種の電気機器または電子機器であり得る。負荷400は、それ自体が充電機能を有していても良いし、電気回路250に固定されている必要も無い。負荷400で消費されない交流電力は、商用系統410に連系されて売電され得る。
図25の例における電気回路250は、熱発電ユニット100から得られる直流電力を蓄積するための充放電制御部262および蓄電部264を備えている。蓄電部264は、例えばリチウムイオン二次電池などの化学電池や、電気二重層コンデンサなどのキャパシタであり得る。蓄電部264に蓄えられた電力は、必要に応じて、充放電制御部262によって昇圧回路252に与えられ、インバータ回路254を介して交流電力として使用または売電され得る。
熱発電ユニット100から得られる電力の大きさは、時間に応じて周期的または不定期的に変動する場合がある。例えば、高温媒体の熱源が工場の廃熱である場合、工場の稼働スケジュールに応じて高温媒体の温度が変動する可能性がある。そのような場合、熱発電ユニット100の発電状態が変動するため、熱発電ユニット100から得られる電力の電圧および/または電流の大きさが変動してしまう。そのような発電状態の変動があっても、図25に示される熱発電システム200では、充放電制御回路262を介して蓄電部264に電力を蓄積すれば、発電量の変動による影響は抑制され得る。
発電とともにリアルタイムで電力を消費する場合は、発電状態の変動に応じて昇圧回路252の昇圧比を調整しても良い。また、発電状態の変動を検知または予測して、熱発電ユニット100に供給する高温媒体または低温媒体の流量および温度などを調整し、それによって発電状態を定常状態に保持する制御を行っても良い。
再び図4を参照する。図4に例示されるシステムでは、高温媒体の流量がポンプP1によって調整され得る。同様に、低温媒体の流量はポンプP2によって調整され得る。高温媒体および低温媒体の一方または両方の流量を調整することにより、熱発電チューブの発電量を制御することが可能である。
なお、不図示の高温熱源から高温媒体に供給する熱の量を調整することにより、高温媒体の温度を制御することも可能である。同様に、低温媒体から不図示の低温熱源に放出する熱の量を調整することにより、低温媒体の温度を制御することも可能である。
図4には示されていないが、高温媒体の流路および低温媒体の流路の少なくとも一方に弁および分岐路を設け、それによって発電システムに供給される各媒体の流量を調整しても良い。
<熱発電システムの他の態様>
以下、図26を参照しながら、熱発電システムの他の態様を説明する。
この態様では、一般廃棄物処理施設(いわゆるごみ処理場またはクリーンセンター)に本開示のある一態様による熱発電ユニット100が設けられている。近年の廃棄物処理施設では、ごみ(廃棄物)を燃焼する際に発生した熱エネルギーから高温高圧水蒸気(例えば400〜500℃、数メガパスカル)が生成されることがある。このような水蒸気のエネルギーは、タービン発電によって電力に変換され、施設内の電力使用に供されている。
図26に例示する熱発電システム300は、前述した少なくとも1つの熱発電ユニット100を備えている。図26の例では、熱発電ユニット100に供給される高温媒体が廃棄物処理施設におけるごみの燃焼熱を得て生成されている。より詳細には、このシステムは、焼却炉310と、焼却炉310で生じた燃焼熱から高温高圧水蒸気を生成するボイラ320と、ボイラ320で生成された高温高圧水蒸気によって回転するタービン330とを備えている。タービン330の回転エネルギーは、不図示の同期発電機に与えられ、同期発電機によって交流電力(例えば3相交流電力)に変換される。
タービン330を回転する仕事に使用された水蒸気は、復水器360によって液体の水に戻り、ポンプ370によってボイラ320に供給される。この水は、ボイラ320、タービン330、復水器360によって構成される「熱サイクル」を循環する作動媒体である。ボイラ320で水に与えられた熱の一部は、タービン330を回転させる仕事をした後、復水器360で冷却水に与えられる。一般的に、冷却水は、復水器360と冷却塔350との間を循環する。
このように焼却炉310で発生した熱のうち、タービン330によって電力に変換されるエネルギーは一部であり、タービン330を回転させた後の低温低圧の水蒸気が保有する熱エネルギーは、従来、電気エネルギーに変換して利用されることなく周囲環境に捨てられることが多かった。この態様では、このようなタービン330で仕事をした後の低温の水蒸気、または熱水を高温媒体の熱源として有効に利用することができる。この態様では、このような低温(例えば140℃程度)の水蒸気から熱交換器340によって熱を得て、例えば99℃の温水を得る。そして、この温水を高温媒体として熱発電ユニット100に供給する。
一方、低温媒体としては、例えば、廃棄物処理施設で使用される冷却水の一部が利用され得る。廃棄物処理施設が冷却塔350を有している場合、この冷却塔350から例えば10℃程度の水を得て、低温媒体として使用することができる。低温媒体は、特別な冷却塔を利用して得る必要は無く、施設内または近隣の井戸水や川の水を用いて代用することも可能である。
図26の熱発電ユニット100は、例えば図25に示される電気回路250に接続され得る。熱発電ユニット100で生成された電力は、施設内で使用されたり、蓄電部264に蓄えられたりすることができる。余剰電力は、交流電力に変換された後、商用系統410を介して売電され得る。
図26の熱発電システム300は、ボイラ320およびタービン330を備える廃棄物処理施設の廃熱利用システムに本開示の熱発電ユニットを組み込んだ形態を有している。しかし、本開示のある一態様による熱発電ユニット100の動作にとって、ボイラ320、タービン330、復水器360、熱交換機340は不可欠の構成要素ではない。従来は捨てられていたような比較的低い温度の気体または熱水があれば、それを直接に高温媒体として有効に利用することもできるし、熱交換器を介して他の気体または液体を加熱し、それを高温媒体として利用することもできる。図26のシステムは、実用的な例の1つに過ぎない。
上記の態様について説明したことから明らかなように、本開示の熱発電ユニットのある一態様によれば、熱発電チューブの外周面に接触するように熱発電チューブの一端が挿入された複数の導電性リング状部材を用いて複数の熱発電チューブの電気的接続を安定に行うことが可能になる。このような熱発電チューブは高温媒体および低温媒体に接する環境で使用されるため、電気的接続部分がこれらの媒体に接すると漏電や腐食の危険がある。本開示のある一態様によれば、高温媒体および低温媒体に対するシールが比較的簡単に実現され得る空間内で電気接続が実現できるため、複数の熱発電チューブの電気的接続およびシールの両方を実現することが容易になる。
なお、このような熱発電チューブに導電性リング状部材を組み合わせた熱発電モジュールは、それ自体で電気的接続が容易であるため、他の熱発電モジュールまたは外部の電気回路に接続しやすいという利点を有している。
<熱発電ユニットにおける故障診断>
図27は、熱発電ユニットの実施形態の概要を説明するためのブロック図である。図27を参照して、本開示の熱発電ユニットに適用し得る故障診断方法を説明する。後に詳しく説明する故障診断方法を実施するにあたって、熱発電ユニットに接続される配管に、例えば下記4種類の温度センサが導入される。
(1)熱発電ユニットに高温媒体を供給する配管に導入される高温入口温度センサ501
(2)熱発電ユニットに低温媒体を供給する配管に導入される低温入口温度センサ502
(3)熱発電ユニットから高温媒体を排出する配管に導入される高温出口温度センサ503
(4)熱発電ユニットから低温媒体を排出する配管に導入される低温出口温度センサ504
なお、上記4種類の温度センサのうち、高温媒体用の温度センサ2種類(高温入口温度センサ501、高温出口温度センサ503)、または低温媒体用の温度センサ2種類(低温入口温度センサ502、低温出口温度センサ504)のいずれかがあれば、以下に説明する故障診断方法は機能する。すなわち、第1媒体路における、熱発電ユニットに流入する流体の温度に関する情報および熱発電ユニットから排出される流体の温度に関する情報を取得しても良い。または、第2媒体路における、熱発電ユニットに流入する流体の温度に関する情報および熱発電ユニットから排出される流体の温度に関する情報を取得しても良い。
各温度センサを用いて測定される温度を定期的に観測する(例えば1分毎)ことにより、前述の熱発電ユニットにおける(例えば熱発電チューブの内部流路通過後の)高温媒体の温度降下(ΔThot)および/または低温媒体の温度上昇(ΔTcold)の情報が得られる。更に、例えば、高温媒体を流す配管の途中に、高温媒体用流量計505を導入し、高温媒体の体積流量Fhotを測定する。また、例えば、低温媒体を流す配管の途中に、低温媒体用流量計506を導入し、低温媒体の体積流量Fcoldを測定する。更に、熱発電ユニットから取り出される電圧Vまたは発電電力Pを定期的に観測する。電圧Vまたは発電電力Pの測定には、熱発電ユニットが有する熱発電チューブの第1電極E1と第2電極E2とを利用しても良い。電圧Vまたは発電電力Pの測定には、熱発電ユニットの端子接続部分に収容された2個の端子プレートを利用しても良い。
ΔThotおよびFhot、またはΔTcoldおよびFcoldの情報により、熱発電ユニットにおける熱交換によって単位時間あたりに移動した熱量Q(=CρFhotΔThot、またはCρFcoldΔTcold)の情報が得られる。ただし、Cは流体の比熱、ρは流体の密度とする。測定したQおよびPを用い、熱発電ユニットの発電効率ηの経時変化を測定する。発電効率ηは、η=P/Qと定義する。このとき、故障発生前のηに対して、設定した閾値を超えた変化(例えば20%の差)を検知したときに、故障が発生したと判定する。
前述の熱発電チューブを用いた発電においては、熱発電素子そのものに亀裂などが入ることによって熱発電素子が破損した場合、Pだけでなく、Qも大きく変化する。具体的には、Pが減少し、Qが増加する。これは、熱発電素子が破損すると、高温媒体と低温媒体とが直接接触することによって熱交換が行われてしまうためである。一方、ηはP/Qで表されるため、熱発電素子の破損時におけるηの変化は、一般に、PおよびQ単独の変化より大きい。したがって、ある閾値との比較により熱発電チューブの故障診断する場合、PまたはQに比べて変化の大きい傾向があるηをモニタした方が故障の検知を素早く行い得る。
なお、故障検知においては、擬似的な発電効率η'を定義し、このη'を用いて、熱発電素子が破損しているか否かを検知しても良い。ここで、η'は、=V2/Qで定義される量である。Pの代わりにVに基づいて定義されるη'を用いたとしても、PはV2に比例するので、故障診断方法の一般性は失われない。
図28に、センサ導入ソケットを有する熱発電ユニット100Sの断面の一部を示す。図28は、図8に対応する図である。図28に示すように、熱発電ユニット100Sは、例えば温度センサを設置するためのセンサ導入ソケット507を有していても良い。図示する例では、流体入口38aと容器30の胴部32との間にセンサ導入ソケット507aが設けられ、流体出口38bと容器30の胴部32との間にセンサ導入ソケット507bが設けられている。センサ導入ソケット507のそれぞれは、前述の4種類の温度センサの少なくとも1種を挿入し得るように構成されている。センサ導入ソケット507のそれぞれは、孔部であっても良いし、凹部であっても良い。例えば流体入口38aから低温媒体が導入される場合、センサ導入ソケット507aには、低温入口温度センサ502が挿入され得、センサ導入ソケット507bには、低温出口温度センサ504が挿入され得る。
配管部分でなく、熱発電ユニットの流体入口38a付近および流体出口38b付近のそれぞれに、センサ導入ソケット507を設けてもよい。温度センサは、それらのセンサ導入ソケットのそれぞれに直接挿入されてもよい。複数の熱発電ユニットが接続されている場合には、複数の熱発電ユニット全体における流体の導入側および排出側と、隣接する熱発電ユニット間にセンサ導入ソケットを設けると有益である。各熱発電ユニットにおける流体の導入側および排出側にセンサ導入ソケットを設けるとより有益である。
(実施例)
前述した熱発電チューブTと同様の構成を有する熱発電チューブを10本作製し、これらを有する熱発電ユニットを作製した。なお、熱発電チューブの作製において、熱電材料層の材料としてBi0.5Sb1.5Te3を用い、金属層の材料としてニッケルを用いた。
熱発電ユニットに95℃の温水と10℃の冷水を導入し、発電実験を行った。この際、熱発電ユニットに温水が導入される入口付近と、温水が排出される出口付近のそれぞれに熱電対を挿入し、導入側の温水の温度および排出側の温水の温度をそれぞれ測定した。また、熱発電ユニットの端子プレートを介して発電量を測定した。
まず、10本の熱発電チューブが正常な状態において、熱量Q、発電電力Pおよび発電効率ηを測定した。その後、10本の熱発電チューブのうちの1本に対して、意図的に長さ1mm程度の亀裂(故障)を導入した。その後、亀裂の導入前と同様にして、熱量Q、発電電力Pおよび発電効率ηを測定した後、熱量Q、発電電力Pおよび発電効率ηを3時間毎に計5回測定した。
表1に、正常時および故障時における熱発電チューブの発電電力P、熱量Qおよび発電効率ηの測定結果を示す。表1には、正常時における各測定量に対する変化率δX(ただし、Xは、P、Q、ηの各測定量)も示されている。なお、δXは、下記のように定義する。
δX={(XN−XF)/XN}×100
ここで、XNは正常時の測定値であり、XFは故障導入後の測定値である。
Figure 2015165555
表1に示した結果から、亀裂の導入後、時間の経過とともに亀裂箇所が拡大し、発電電力Pが減少していく様子がわかる。熱量Qは、亀裂の導入後、時間の経過とともに増加している。発電効率ηは、亀裂の導入後、時間の経過とともに減少していく。表1によると、発電電力Pの変化率、熱量Qの変化率および発電効率ηの変化率の間に、δP<δQ<δηなる関係があることがわかる。この結果より、測定値の変化率の閾値を20%と設定していた場合、発電電力Pではなく、発電効率ηを故障診断に用いることによって、より精度良く、より迅速に故障の検知が可能になることがわかった。
(比較例)
Bi0.5Sb1.5Te3からなるp型半導体と、Bi2Te3からなるn型半導体とを組み合わせることにより、π型構造を有する熱発電素子(50mm×50mm×5mm)を作製し、比較実験を行った。流体熱源を用いて発電を実行するために、2つの角型の配管を準備し、一方の経路に95℃の温水を流し、他方の経路に10℃の冷水を流した。それぞれの角型配管の間に熱発電素子を挟み、角型配管をネジ止めした。温水が流される角型配管の、π型素子を通過する前後に熱電対を挿入し、温水入口、出口の温度を測定した。また、π型素子の出力端子から発生電力を測定した。
まず、π型素子が正常な状態において、熱量Q、発電電力Pおよび発電効率ηを測定した。その後、π型素子に過電流を流し、意図的にπ型素子に故障(はんだの接触不良)を導入した。その後、はんだの接触不良の導入前と同様にして、熱量Q、発電電力Pおよび発電効率ηを3時間毎に計5回測定した。
表2に、正常時および故障時におけるπ型素子の発電電力P、熱量Qおよび発電効率ηの測定結果を示す。表2には、正常時における各測定量に対する変化率δX(ただし、Xは、P、Q、ηの各測定量)も示されている。
Figure 2015165555
表2に示した結果から、はんだの接触不良の導入後、時間の経過とともに接触不良の影響が顕著になり、発電電力Pが減少していく様子がわかる。一方、熱量Qには時間に依存せず変化がみられなかった。発電効率ηは、発電電力Pと同じ割合(変化率)で減少していくことがわかった。表2によると、発電電力Pの変化率、熱量Qの変化率および発電効率ηの変化率の間に、δQ<δP=δηなる関係があることがわかる。
このように、π型素子では、素子故障時においても熱量Qが変化しない。したがって、発電電力Pの代わりに発電効率ηを故障診断の測定量として用いたとしても、上述の実施例により示したような、より精度良く、より迅速に故障の検知が可能になるという利点は得られないことがわかった。
実施例を示して説明したように、熱発電チューブを備える熱発電ユニットにおいては、発電効率ηを故障診断の測定量として用いることにより、より精度の高い故障の検知および/またはより迅速な故障の検知が可能である。例えば一定周期で発電効率ηをモニタし、あらかじめ設定された基準値と、取得されたηとの差があらかじめ設定しておいた閾値以上の大きさとなる場合に、故障(例えば亀裂)が発生したと判定することができる。基準値としては、例えば、正常時のηの測定値を用いることができる。もちろん、前述したδηを用いて判定を行っても良い。一定周期で発電効率ηをモニタする場合は、直近のηの値とその前の時刻におけるηの値との差があらかじめ設定しておいた閾値以上の大きさとなる場合に、故障(例えば亀裂)が発生したと判定してもよい。
このとき、熱発電ユニットが有する熱発電チューブ全体の発電効率ηをモニタしても良い。ただし、各チューブの発電効率ηをモニタすることにより、より細かい故障診断が可能である。なお、故障が発生したか否かの判定は、熱発電ユニットから発電電力Pに関する情報および熱量Qに関する情報を取得するように構成されたコンピュータによって実行することができる。なお、このようなコンピュータは、熱発電ユニットと直接接続されている必要はなく、ネットワークを介して情報を取得するように構成されていても良い。
本開示の故障診断方法は、例えば、熱発電ユニットに流入する流体の温度に関する情報を取得する工程と、熱発電ユニットから排出される流体の温度に関する情報を取得する工程と、熱発電ユニットにおける熱交換によって移動した熱量に関する情報を取得する工程と、熱発電ユニットから取り出される電圧または発電電力に関する情報を取得する工程と、これらの情報に基づいて発電効率を算出する工程と、あらかじめ設定された基準値と算出された発電効率とを比較する工程とを含む。上述の故障診断方法は、例えば、熱発電ユニットとの間の情報の送受信が可能に構成された通信部を介して、熱発電ユニットの外部に配置されたコンピュータによって実行されても良い。
本開示のある一態様による熱発電ユニットの製造方法は、前述した熱発電チューブを用意する工程と、熱発電チューブを前述の構成を有する容器の開口部に挿入して熱発電チューブを前記容器の内部に保持する工程とを含む。
また、本開示のある一態様による発電方法は、前述した熱発電ユニットの容器の流体入口および流体出口を介して第1媒体を容器内に流し、第1媒体を熱発電チューブの外周面に接触させる工程と、熱発電チューブの前記流路内に第1媒体の温度とは異なる温度を有する第2媒体を流す工程と、熱発電チューブで発生した電力を取り出す工程とを含む。
本開示による熱発電ユニットは、自動車や工場などから排出される排ガスなどの熱を用いた発電機、あるいは、小型の携帯発電機として利用可能である。
10 熱発電素子
10a 上面
10b 下面
20 金属層
22 熱電材料層
24 外周面
26 内周面
30 容器
32 胴部
34、34u、36 プレート
34a プレート34の第1プレート部分
34b プレート34の第2プレート部分
35 中継プレート
36a プレート36の第1プレート部分
36b プレート36の第2プレート部分
36bh 第2プレート部分36bの孔
40、42 管路
52 Oリング
52a 第1のOリング
52b 第2のOリング
54 座金
56 導電性リング状部材
56f リング状の平坦部
56r 複数の弾性部
56a 貫通孔
60、64 ブッシング
60a ブッシング60の貫通孔
64a ブッシング64の貫通孔
100、100S 熱発電ユニット
100−1 第1の熱発電ユニット
100−2 第2の熱発電ユニット
120 高温熱源
140 低温熱源
250 電気回路
252 昇圧回路
254 インバータ回路
262 充放電制御部
264 蓄電部
310 焼却炉
320 ボイラ
330 タービン
340 熱交換器
350 冷却塔
400 負荷
410 商用系統
A プレート34、36の開口部
A41、A410 プレート34の開口部
A61、A62 プレート36の開口部
C プレート34、36のチャネル
C41〜C46 プレート34のチャネル
C61〜C65 プレート36のチャネル
Bsa 第1の座面
Bsb 第2の座面
Cm 面取り部
E1、E1a、E1b 第1電極
E2、E2a、E2b 第2電極
HM 高温媒体
J 導電性部材
J1〜J9 導電性部材
Jc 連結部
Jh1、Jh2 導電性部材Jの2つの貫通孔
Jr1 導電性部材Jの第1リング部分
Jr2 導電性部材Jの第2リング部分
K1 導電性部材
Kh 導電性部材K1の貫通孔
Kr 導電性部材K1のリング部分
Kt 導電性部材K1の端子部
LM 低温媒体
R34、R36 凹部
R34t 溝部分
R36c 溝部分
R41、R61、R62 凹部
T 熱発電チューブ
T1〜T10 熱発電チューブ
Tb チューブ本体
Tb1 チューブ本体
Th34 開口部A41の雌ネジ部
Th60 ブッシング60の雄ネジ部
Th64 ブッシング64の雄ネジ部
501 高温入口温度センサ
502 低温入口温度センサ
503 高温出口温度センサ
504 低温出口温度センサ
505 高温媒体用流量計
506 低温媒体用流量計
507、507a、507b (温度)センサ導入ソケット

Claims (4)

  1. 熱発電チューブを備える熱発電ユニットであって、
    前記熱発電チューブは、外周面および内周面と、前記内周面によって区画される流路と、を有し、前記内周面と前記外周面との間の温度差によって前記熱発電チューブの軸方向に起電力を発生するように構成されており、
    前記熱発電ユニットは、更に、
    前記熱発電チューブを内部に収容する容器であって、前記内部に流体を流すための流体入口および流体出口と、前記熱発電チューブが挿入される開口部とを有する容器と、
    前記流体入口から流入する流体および前記流体出口から排出される流体の間の温度差と、前記熱発電チューブが発生する起電力とを用いて求められる発電効率に基づいて、前記熱発電ユニットが故障しているか否かを判定する故障判定部と、
    を備える熱発電ユニット。
  2. 前記故障判定部は、あらかじめ設定された発電効率の基準値と、求められた発電効率の値との差が所定の閾値以上である場合に、前記熱発電ユニットが故障していると判定する、
    請求項1に記載の熱発電ユニット。
  3. 前記故障判定部は、前記熱発電チューブが発生する起電力に伴う電圧から求められる発電効率に基づいて、前記熱発電ユニットが故障しているか否かを判定する、
    請求項1または2に記載の熱発電ユニット。
  4. 前記故障判定部は、前記電圧の値の二乗を、熱発電ユニットにおける熱交換によって単位時間あたりに移動した熱量の大きさで割った値を前記発電効率とみなす、
    請求項3に記載の熱発電ユニット。
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