本実施形態では、可変操作装置を用いて照明負荷の光量(調光レベル)を調節する場合を例として説明するが、負荷が空調負荷であって温度を調節する場合にも、以下に説明する可変操作装置を用いることができる。また、光量、温度のほか、音量、風量のように調節後の出力量(出力レベル)の変化を人が知覚できる負荷であれば、以下に説明する可変操作装置を用いることができる。
また、本実施形態の可変操作装置は、調節量を示すための他の装置を必要としないが、調節量を示すための他の装置(たとえば、数値で調節量を示す表示器)と併用する場合には、可変抵抗器やロータリスイッチを用いて調節されている可変量にも対応可能である。この種の可変量には、たとえば、電子レンジないしオーブンの温度や時間、種々の機器に付属する予約タイマの時刻設定などがある。
本実施形態の可変操作装置は、ユーザの操作に応じて負荷の指示値を出力する可変操作ブロック60(図3参照)と、可変操作ブロック60を収納する器体40と、を備える。
図2に示す可変操作装置は、建物のような造営物の壁面51に形成した開口52に後部が挿入される器体40を備える。図示例では、器体40の前部が壁面51から突出している。また、器体40は、前部の外周面が後部の外周面よりも広幅である段差部41を有しており、段差部41が開口52の周部に当接することにより後方への移動が規制されている。この形態で壁に取り付けることにより、壁面51からの器体40の突出寸法を小さくした優れた外観が得られる。
ただし、上述した器体40の形状は一例であって、器体40の形状はとくに問わない。たとえば、器体40を壁に取り付ける構成として、スイッチやコンセントのような配線器具において用いられている既存の構成を採用してもよく、また、壁に取り付けない可搬型の器体40を用いてもよい。
器体40は、その前面に、ユーザの操作を受け付けるための操作領域45を有する。操作領域45は、器体40の前面における所定位置(本実施形態では中心位置C)を囲う線状に形成される。本実施形態では、器体40の前面は、円形状に形成されている。また、操作領域45は、器体40の前面の外縁部分である。そのため、本実施形態では、操作領域45は、環状である。また、図2に示すように、器体40の前面の外縁部分は、器体40の前面の中央部分より前方に突出している。
以下に、器体40について詳細に説明する。器体40は、合成樹脂成形品であって、壁面51から露出する前部には、図1に示すように、円環状の周壁を形成する操作リング42が形成される。すなわち、器体40の前面には操作リング42が非回転駆動の固定式のものとして突設される。本実施形態では、操作リング42の前端面が、操作領域45として用いられる。操作リング42に囲まれた部位には、器体40を壁に取り付けた状態で壁面51に略平行となる前面板43が設けられる。前面板43は、操作リング42の後部において器体40の内側を閉塞する。この構成により、操作リング42は、前面板43の周縁の全周から前方に突出した形になる。
操作リング42の前端面(操作領域45)は、内周側から外周側に向かって前方に突出するように傾斜する傾斜面421を形成しており、傾斜面421には円環状のカバー部材422が重ねて固着される。カバー部材422は、無色または有色であって、透明または拡散透過性を有する誘電体(合成樹脂成形品)により形成されている。また、カバー部材422は、傾斜面421が傾斜する方向において、中間部の厚み寸法が両端部の厚み寸法よりも大きくなる形状を有し、凸レンズとして機能する。
ところで、操作リング42の傾斜面421には操作リング42の周方向に並ぶ複数個の表示素子31が配列される。複数個の表示素子31は、操作領域45を照らす照明装置30を構成する。たとえば、図1に示すように、照明装置30はn個の表示素子31(311〜31n)を備える。
表示素子31は、薄肉の発光ダイオードあるいは有機ELであり、傾斜面421から突出しないように配置される。また、操作リング42の周方向における表示素子31の間隔は、隣接する各一対の表示素子31が点灯しているときに両表示素子31の間に輝度むらが視認されない程度に設定してある。
傾斜面421は、内周側から外周側に向かって前方に向かって傾斜しているから、表示素子31から出力された光は、操作リング42の前端面から外側に広がらず、操作リング42の正面からは、操作リング42に囲まれた領域のみが光っているように見える。したがって、表示素子31が点灯しているときに、操作リング42の前端部に先鋭的かつ金属的な印象が与えられる。この印象をさらに高めるために、操作リング42の外周面および内周面には金属光沢(たとえば、銀色)を付与することが好ましい。
なお、表示素子31は、点灯している表示素子31の位置が傾斜面421に反映されるように配置されていれば、必ずしも傾斜面421に沿って配置されていなくてもよい。たとえば、表示素子31を器体40の中に配置し、表示素子31からの光が操作リング42の前端面である傾斜面421に導光される構成を採用してもよい。この構成を採用する場合、操作リング42に導光する機能が付与されるか、操作リング42とは別に光ファイバやライトガイドのような導光路が設けられる。
表示素子31とカバー部材422との間には、センサ電極(第1センサ電極)111が配置される。センサ電極111は、シート状の金属板により形成され、光が透過できるように多数個の微小な網目のような孔を有したメッシュ状に形成されている。なお、センサ電極111は、補強のために透明な合成樹脂シートによって裏打ちされていることが好ましい。
図3に示すように、センサ電極111はセンサ回路(第1センサ回路)112に接続される。センサ電極111は、カバー部材422に指が触れたときに、センサ回路112において触れた位置(接触位置)P3の検出が可能となるように構成されている。センサ電極111とセンサ回路112とはタッチセンサ11を構成し、このタッチセンサ11は、センサ電極111への指の接触と、指がセンサ電極111に接触した位置とを検出する。
すなわち、タッチセンサ11は、操作領域45においてユーザが触れた接触位置P3を決定するように構成される。たとえば、タッチセンサ11は、ユーザが操作領域45に触れたか否かを判定するように構成される。タッチセンサ11は、ユーザが操作領域45に触れたと判定すると、接触位置P3を決定して、接触位置P3を示す位置信号を処理回路61に出力するように構成される。
図5に示すように、タッチセンサ11は、n個のセンサ電極111(1111〜111n)を備える。たとえば、タッチセンサ11は、ユーザの指の接触を検知したセンサ電極111の識別情報(たとえば、識別番号)を接触位置P3として処理回路61に出力する。
なお、接触位置P3は、厳密な意味でユーザが操作領域45に触れた位置ではなく、ユーザが操作領域45に触れたとみなすことができる位置である。また、接触位置P3は、ユーザが操作領域45に直接的に触れた位置ではなく、特定の器具を利用して間接的に操作領域45に触れた位置であってもよい。
この種のタッチセンサ11は、タッチパネルに用いられている投影型静電容量方式や表面型静電容量方式の技術を採用することにより実現される。あるいはまた、抵抗膜式やピエゾ素子を用いた感圧式であってもよい。この種の構成は、タッチパネルにおいて知られている。本実施形態のタッチセンサ11は、一般的なタッチパネルのように2次元位置を検出する必要はなく、操作リング42の周方向における1次元の位置を検出すれば足りるから、操作リング42の周方向において複数個のセンサ電極111が配列される。
一方、図2に示すように、前面板43の中央部の後方には発光素子32が配置される。発光素子32は、1色の発光色で足りるが、2色の発光色を選択することが可能であることが望ましい。本実施形態では、発光素子32として緑色と赤色との発光色が選択される発光ダイオードを用いる場合を想定する。
前面板43の前面は発光素子32の発光色以外の色に着色される。たとえば、金属光沢を有する操作リング42とともに無機的な印象を与える場合には、前面板43の前面は黒色に着色される。もちろん、白色、灰色、銀色、黄色、青色など適宜の色に着色してもよい。前面板43の中央部には、発光素子32から出力された光を透過させる円環状の窓部44が形成される。窓部44は無色透明または拡散透過性を有した乳白色であって透光性が付与され、前面板43は窓部44を除いて遮光性を有する。したがって、発光素子32が点灯していると、窓部44が発光素子32の発光色に照光されることになる。つまり、発光素子32が緑色で点灯すれば窓部44は緑色の円環状に照光され、発光素子32が赤色で点灯すれば窓部44は赤色の円環状に照光される。
発光素子32と前面板43との間には、センサ電極(第2センサ電極)121が配置される。センサ電極121は、シート状の金属板により形成され、光が透過できるように多数個の微小な網目のような孔を有したメッシュ状に形成されている。また、センサ電極121は合成樹脂シートにより裏打ちされていることが好ましい。
図3に示すように、センサ電極121はセンサ回路(第2センサ回路)122に接続され、センサ電極121とセンサ回路122とによりタッチスイッチ12が構成される。
すなわち、タッチスイッチ12は、器体40の前面の中央部(前面板43の中央部)にユーザが触れたかどうかを判定するように構成される。本実施形態では、器体40の前面の中央部は、器体40の前面において窓部44で囲まれた領域である。タッチスイッチ12は、ユーザが器体40の前面の中央部に触れたと判定すると、検知信号を処理回路20に出力するように構成される。
ただし、タッチスイッチ12は、センサ電極121への指の接近または接触を検出することができればよく、位置の検出は不要である。したがって、タッチスイッチ12を静電容量型とする場合、センサ回路122は、たとえば、CSA(CapSense Successive Approximation)方式やCSD(CapSense Sigma-Delta)方式を採用すればよい。
センサ回路111およびセンサ回路112は、器体40に取り付けられた基板10に実装される。図示例では、基板10が器体40の後面を閉塞しているが、基板10は器体40の中に収納されるのが望ましい。基板10には、センサ回路111,112の出力を受け取る信号処理回路20が実装される。
また、信号処理回路20は、表示素子31および発光素子32の点灯状態を制御する表示制御回路21に指示を与える機能と、照明負荷の点灯状態を制御する出力制御回路22とに指示を与える機能とを有する。信号処理回路20は、マイコン、FPGA、PICのようにプログラムにより動作するデバイスを用いて構成される。
本実施形態では、信号処理回路20と、表示制御回路21と、出力制御回路22とで処理回路61が構成される。
処理回路61は、タッチセンサ11から接触位置P3(位置信号)を受け取ると、照明装置30を制御して操作領域45内における基準位置P1と接触位置P3との間の部位を照らし、かつ、接触位置P3に対応付けられた指示値を出力するように構成される。
本実施形態では、照明装置30の複数の表示素子31は、タッチセンサ11の複数のセンサ電極111に、それぞれ対応している。
処理回路61は、タッチセンサ11から接触位置P3を受け取ると、接触位置P3に対応する表示素子31と、基準位置P1に対応する表示素子31(311)とに加えて、これらの間の表示素子31を点灯させる。たとえば、センサ電極111pによってユーザの指の接触が検知された場合、センサ電極111pに対応する表示素子31pと、基準位置P1に対応する表示素子311とに加えて、これら表示素子311,31pの間の表示素子312〜31p-1も点灯される。
さらに、処理回路61は、タッチセンサ11から接触位置P3を受け取ると、接触位置P3に対応する指示値を出力する。たとえば、センサ電極111pによってユーザの指の接触が検知された場合、処理回路61は、センサ電極111pに対応する指示値を出力する。本実施形態では、接触位置P3が最小位置P1から離れるほど(操作領域45における接触位置P3と最小位置P1との距離が大きくなるほど)可変操作装置から出力される指示値が大きくなるように、センサ電極111と指示値とが対応付けられている。
本実施形態の制御対象は、調光が可能な照明負荷であるから、出力制御回路22は、照明負荷のオンオフと調光レベル(負荷用の指示値)とを指示する照明制御信号(指示信号)を出力する。つまり、出力制御回路22は、信号処理回路20からの指示により、照明負荷の出力量である光出力を調節するための照明制御信号を出力する。出力制御回路22は、照明負荷への給電を制御する構成であってもよく、この場合、照明負荷への給電を制御することにより照明負荷の点灯と消灯とを切り替え、さらに、照明負荷に対して給電路を通して調光を指示する情報を伝送する。
表示制御回路21は、複数個の表示素子31のうち信号処理回路20から指示された個数の表示素子31を点灯させる表示素子制御部211と、発光素子32の発光色を選択する発光素子制御部212とを備える。
信号処理回路20は、表示素子制御部211に対して点灯させる表示素子31の個数を指示することによって、操作リング42の前端面において規定された基準位置に対する所望の角度範囲θに配置された表示素子31を点灯させる。
操作領域45には、基準位置(最小位置)P1と最大位置P2とが設けられている。基準位置P1は、最小の指示値に対応する位置である。最大位置P2は、最大の指示値に対応する位置である。
本実施形態では、操作リング42の前端面における基準位置P1は、たとえば、操作リング42を正面から見たときの左端位置とし、接触位置P3の基準位置P1からの角度範囲θは右回り(図4における時計回り)に計測する。
つまり、信号処理回路20は、基準位置P1から右回りで、指定した角度範囲θ(図4参照)に含まれる個数の表示素子31を点灯させるように表示素子制御部211に指示を与える。ここに、角度範囲の最大値は、360度とせず、300度程度に設定することが望ましい。この理由は後述する。
以下に、信号処理回路20の動作を説明する。まず、信号処理回路20の初期状態として照明負荷を消灯させている場合を想定する。この状態において、信号処理回路20は、発光素子制御部212に対して発光素子32を緑色で点灯させる指示を与えている。このとき、表示素子制御部211は、すべての表示素子31を消灯させており、操作リング42の前端面は照光されない状態になっている。つまり、窓部44が緑色に照光され、操作リング42が光らないことによって、照明負荷が消灯していることが示されている。
ここで、操作リング42の中に指を入れ、前面板43の中央部(つまり、窓部44の近傍)に指を触れると、センサ電極121の周囲電界が変化する。センサ電極121の周囲電界の変化をセンサ回路122が検出することにより、センサ回路122から信号処理回路20に検知信号が出力される。信号処理回路20は、センサ回路122から検知信号を受け取ると、発光素子32を赤色で点灯させると同時に表示素子31を点灯させる。ここに、点灯させる表示素子31の個数は、照明負荷を消灯させる前の照明負荷の調光レベルにより決まる。つまり、照明負荷の調光レベルは、表示素子31が点灯している角度範囲θにより表される。
ただし、動作開始直後の初期状態において、信号処理回路20がセンサ回路122から検知信号を受け取った場合、信号処理回路20は、すべての表示素子31を点灯させる指示を表示素子制御部211に与える。表示素子31で照光可能な最大の角度範囲φは、たとえば、基準位置P1から右回りに300度の範囲に設定され、300〜360度の角度範囲ψには表示素子31を設けない。
センサ電極111を配置する範囲は、表示素子31が点灯する角度範囲φに対応付けてあり、上述の例であれば300〜360度の角度範囲ψはタッチセンサ11により検出されない不感帯(図4の斜線部)452の範囲になる。図5に示すように、操作領域45は、ユーザによる接触を検出する検出領域451と、ユーザによる接触を検出しない不感帯452と、を有している。したがって、処理回路61は、操作領域45内の所定部位(不感帯)452に対応する接触位置に関しては、指示値を出力しない。
上述のように、すべての表示素子31が点灯している状態で、信号処理回路20は、出力制御回路22に対して照明負荷を全点灯(定格点灯)させるように指示を与える。すなわち、出力制御回路22は、照明負荷を定格点灯(全点灯)させる照明制御信号を出力する。
照明負荷が点灯している状態では、操作リング42の前端面(操作領域45)に指を触れることによって、照明負荷に対して調光レベルを指示することが可能になる。調光レベルを指示する操作には、2種類の操作がある。第1の操作は、表示素子31が点灯している角度範囲θの一端(右回り方向における一端)付近に指を接触させ、操作リング42の前端面(操作領域45)に沿って所望の位置まで指を移動させた後に、操作リング42の前端面(操作領域45)から指を離す操作である。また、第2の操作は、操作リング42の前端面(操作領域45)における所望の位置に指を触れた後に指を離す操作である。
第1の操作を行うと、調光レベルを連続的に変化させることができるから、照明負荷の光出力を連続的(もしくは連続的と知覚される程度の段階的)に変化させることになる。一方、第2の操作を行うと、調光レベルが瞬時に変化するから、照明負荷の光出力を瞬間的に変化させることができる。また、図4に示すように、調光レベルに応じた個数の表示素子31が点灯し、調光レベルの目安が、表示素子31の点灯している角度範囲θによって示される。つまり、操作リング42の前端面(操作領域45)に沿って指が移動すると、信号処理回路20は、照明負荷の調光レベルを変化させるだけではなく、表示素子31が点灯する範囲(つまり、操作リング42の前端部に光で表される弧の中心角)も変化させる。
ここに、調光レベルは、0(もしくは、調光レベルの最小値)になる位置を基準位置P1とし、基準位置に対して不感帯452を開けて全点灯になる位置(最大位置)P2を規定してある。調光レベルの最大値と最小値との間に不感帯452を設けているから、信号処理回路20は、調光レベルを連続的に変化させる際に、指が不感帯452を通過するか否かを検出することができる。信号処理部20は、指が不感帯452を通過すると、調光レベルを最大値または最小値に固定し、調光レベルが最大値と最小値との間で飛躍するのを防止する。
たとえば、信号処理回路20(処理回路61)は、接触位置P3が最小位置P1になってから所定の時間が経過する前に最大位置P2になった場合には指が不感帯452を通過したと判定する。この場合、処理回路61は、タッチセンサ11がユーザの指の接触を検知しなくなるまで指示値(調光レベル)を最小値とする。また、信号処理回路20(処理回路61)は、接触位置P3が最大位置P2になってから所定の時間が経過する前に最小位置P1になった場合には指が不感帯452を通過したと判定する。この場合、処理回路61は、タッチセンサ11がユーザの指を検知しなくなるまで指示値(調光レベル)を最大値とする。たとえば、所定の時間は、指が不感帯452を通過するのにかかる時間を元に決定される。
なお、センサ電極111を不感帯452に配置してもよい。この場合、信号処理回路20(処理回路61)は、タッチセンサ11から得た接触位置P3が不感帯452に対応する位置であれば、指が不感帯452を通過したと判定する。処理回路61は、接触位置P3が最小位置P1になった後に指が不感帯452を通過したと判定すると、タッチセンサ11がユーザの指の接触を検知しなくなるまで指示値(調光レベル)を最小値とする。また、処理回路61は、接触位置P3が最大位置P2になった後に指が不感帯452を通過したと判定すると、タッチセンサ11がユーザの指の接触を検知しなくなるまで指示値(調光レベル)を最大値とする。
また、不感帯452が設けられていることにより、操作リング42の前端面(操作領域45)における所望位置に指を触れて調光レベルを瞬時に変化させる場合でも、調光レベルの最大値と最小値とが同時に選択されることが防止される。
上述のように、照明負荷を点灯させている状態では、操作リング42の前端面(操作領域45)に指を触れることによって、照明負荷を所望の調光レベルで点灯させることができる。また、照明負荷が点灯している状態では、表示素子31が点灯しているから、操作リング42の少なくとも一部が光っている。
ここで、照明負荷を消灯させるには、操作リング42の中に指を入れ、前面板43の中央部に指を触れる。この操作では、操作リング42の前端部に形成された光の弧の中に指を差し込むことになる。指が前面板43の中央部に触れることによってセンサ電極121の周囲電界の変化をセンサ回路122が検出すると、信号処理回路20はセンサ回路122からの検知信号を受けて、発光素子32を緑色で点灯させると同時に表示素子31を消灯させる。このとき、信号処理回路20は、出力制御回路22に対して照明負荷を消灯させるように指示し、この指示によって、出力制御回路22は、照明負荷を消灯させる照明制御信号を出力する。
以上説明したように、本実施形態の構成では、操作リング42の内側に指を入れて前面板43の中央部に指を触れることによって、照明負荷の点灯と消灯とを切り替えることができる。また、照明負荷の点灯と消灯との状態に応じて、発光素子32は赤色と緑色との発光色を切り替える。
照明負荷が点灯している状態(発光素子32が赤色で点灯している状態)では、操作リング42の前端面(操作領域45)に指を触れることにより、照明負荷の調光レベルを変化させることができる。また、変化させた調光レベルに応じて点灯する表示素子31の個数が変化し、操作リング42の前端面(操作領域45)において弧状に光る範囲が変化する。ここで、操作リング42の内側に指を入れて前面板43の中央部に触れると、照明負荷を消灯させることができる。
ところで、照明負荷を消灯させた後に、次に点灯させる際には、前回の点灯時の消灯直前の調光レベルで点灯させる動作と、前回の点灯時の消灯直前の調光レベルとは無関係に全点灯で点灯させる動作との一方を採用する。また、消灯からの時間経過に応じて両方の動作から一方を選択するようにしてもよい。消灯からの時間経過によって点灯時の動作を切り替える場合、たとえば、消灯から点灯までの時間が1時間を超える場合は、前回の調光レベルとは無関係に全点灯とし、1時間以下の場合は、前回の調光レベルで点灯させるなどの動作が可能である。なお、この時間は一例であって、10分でも1日でも適宜に設定すればよい。
以上述べたように、本実施形態の可変操作装置は、器体40の前面に突設され円環状の周壁を形成する操作リング42と、操作リング42の前端面において触れられた位置を検出するタッチセンサ11と、操作リング42の前端面を照光するとともに照光する角度範囲が可変である表示素子31と、操作リング42の前端面においてタッチセンサ11が検出した位置P3と規定した基準位置P1との間の角度範囲θで表示素子を点灯させる信号処理回路20とを備える。信号処理回路20は、表示素子31を点灯させる角度範囲θに対応付けて負荷の出力量を指示する。
換言すれば、本実施形態の可変操作装置は、ユーザの操作に応じて負荷用の指示値を出力する可変操作ブロック60と、可変操作ブロック60を収納する器体40と、を備える。器体40は、その前面に、ユーザの操作を受け付けるための操作領域45を有する。操作領域45は、前面における所定位置(本実施形態では中心位置C)を囲う線状に形成される。可変操作ブロック60は、処理回路61と、操作領域45においてユーザが触れた接触位置P3を決定し処理回路61に出力するタッチセンサ11と、操作領域45を照らす照明装置30と、を有する。処理回路61は、タッチセンサ11から接触位置P3を受け取ると、照明装置30を制御して操作領域45内における基準位置P1と接触位置P3との間の部位を照らし、かつ、接触位置P3に対応付けられた指示値を出力するように構成される。
特に、本実施形態の可変操作装置では、器体40の前面は、円形状に形成される。操作領域45は、前面の外縁部分である。外縁部分は、前面の中央部分より前方に突出している。
また、本実施形態の可変操作装置では、操作領域45における接触位置P3と基準位置P1との距離が大きくなるほど指示値が大きくなるように、指示値は接触位置P3に対応付けられている。
以上述べたように、本実施形態の可変操作装置によれば、負荷の出力量を連続的にも段階的にも調節することが可能になるという効果があり、しかも、タッチセンサ11と表示素子31とを備える操作リング42を用いることにより、操作部分と分離した表示部を別に設けることなく負荷の出力量の表示が可能になるという効果がある。
なお、操作領域45における接触位置P3と基準位置P1との距離が大きくなるほど指示値が小さくなるように、指示値は接触位置P3に対応付けられていてもよい。
また、この可変操作装置において、信号処理回路20は、操作リング42の前端面において表示素子31が点灯している角度範囲θの一端に触れられた後、触れられている位置が操作リング42の前端面に沿って移動することを、タッチセンサ11の出力に基づいて検出すると、負荷の出力量を連続的に変化させる。換言すれば、処理回路61は、接触位置P3が変化する毎に、指示値を出力するように構成される。よって、操作領域45上におけるユーザの指の動きに追従するように指示値を変化させることができる。したがって、ユーザの操作をリアルタイムで負荷に反映させることができる。なお、この構成は必須ではない。
また、この可変操作装置において、信号処理回路20は、操作リング42の前端面に触れられたことを、タッチセンサ11の出力に基づいて検出すると、触れられた位置応じて負荷の出力量を指示する。換言すれば、本実施形態の可変操作装置では、処理回路61は、タッチセンサ11から現在の接触位置P3を受け取ると、前回の接触位置P3に関わらず、現在の接触位置P3に対応付けられた指示値を出力するように構成される。よって、ユーザの操作に応じて指示値を瞬時に変化させることができる。なお、この構成は必須ではない。
また、この可変操作装置において、信号処理回路20は、操作リング42の前端面における所定の角度範囲ψに、タッチセンサ11に触れられた位置を検出しない不感帯452を設けている。換言すれば、本実施形態の可変操作装置では、処理回路61は、操作領域45内の所定部位452に対応する接触位置P3に関しては、指示値を出力しないように構成される。なお、この構成は必須ではない。
上述の動作例は照明負荷を想定したが、本実施形態において説明した可変操作装置は、上述したように照明負荷に限らず、空調機器のエアコン制御や、自動ブラインドの巻き上げや巻き下げの制御や、水道の蛇口の流量制御など、連続的な制御対象量について、種々の負荷に適用することができる。たとえば、上述のように1台の照明負荷の調光レベルをコントロールする仕様以外にも、調光レベルが固定された複数台の照明負荷の点灯台数を増減するようにしてもよい。この場合、複数の照明負荷の点灯と消灯とを制御する負荷制御装置が別途必要になるものの、このようにすれば、広大な面積のオフィスフロアに設置されている複数の照明器具のうち複数台を、上述した可変操作装置1台で、一気に点灯または消灯させることができる。
なお、器体40の前面は、四角形状(多角形状)であってもよいし、楕円形状であってもよい。操作領域45は、器体40の前面に設けられていればよい。たとえば、操作領域45は、器体40の中心と外縁部分との間に設けられていてもよい。本実施形態では、操作領域45は、多角形状や楕円形状であってもよい。要するに、操作領域45は、器体40の前面の所定位置を囲う線状に形成されていればよい。また、操作領域45は、器体40の前面における他の領域よりも前方に位置していてもよいし、後方に位置していてもよい。