JP5679874B2 - 2軸押出機 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1の2軸押出機は、螺旋状にねじれた混練セグメントを軸方向に複数組み合わせた混練ロータを有するものであって、隣り合う混練セグメント同士をそのフライト位置が48〜147°の位相差で周方向にずれるように組み合わしたものが開示されている。この2軸押出機では、フライト間の位相差を最適な値に調整することで混練ロータに加わるトルクの変動が抑えられるとされており、混練ロータにたわみが生じ難くなって「かじり」の抑制も可能となるとされている。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、設備の構造がシンプルで且つ組み立ても簡単に行えるものでありながら、混練ロータがバレルに接触することを抑制してかじりの発生が確実に防止することができる2軸押出機を提供することを目的としている。
即ち、本発明の2軸押出機は、2つの円通孔がその内壁面の一部同士が互いに重なり合うように内部に平行に形成されたバレルと、前記バレル内の円通孔のそれぞれに収容される混練ロータとを有している2軸の連続押出機であって、前記混練ロータの外周側には、材料を混練可能な混練フライトが少なくとも1条以上設けられており、前記バレル内において2つの円通孔同士が交わる山部分に、前記混練フライトの先端が円通孔の内壁面に接触することを回避する「接触回避部」が形成されていることを特徴とするものである。
また、前記傾斜面の一方縁は他方縁より円通孔の径内側へ向かって突出した頂部となっているのが好ましい。
さらに、前記傾斜面は、軸垂直方向の断面において一方の円通孔の内壁面に外接すると共に、他方の円通孔の内壁面と交差する平面であるのが好ましい。
[数1]
水平方向のオフセット量:F≧0.05L ・・・(1)
垂直方向のオフセット量:H≦0.15D
L:円通孔の軸心同士の軸間距離、D:バレルの内径
また、本発明に係る2軸押出機の最も好ましい形態は、2つの円通孔がその内壁面の一部同士が互いに重なり合うように内部に平行に形成されたバレルと、前記バレル内の円通孔のそれぞれに収容される混練ロータとを有している2軸押出機であって、前記混練ロータの外周側には、材料を混練可能な混練フライトが少なくとも1条以上設けられており、前記バレル内において2つの前記円通孔同士が交わる山部分に、前記混練フライトの先端が前記円通孔の内壁面に接触することを回避する接触回避部が形成されていて、前記接触回避部は、前記山部分の基端側を残して先端側だけを斜めに切り取った傾斜面として形成されており、前記傾斜面の一方縁は他方縁より前記円通孔の径内側へ向かって突出した頂部となっていて、前記頂部が、軸垂直方向の断面において、前記円通孔の最底部から垂直方向に、且つ前記円通孔同士の中間点から水平方向に、絶対値で以下の式(1)に示すオフセット量だけ移動した位置に存在していることを特徴とするものである。
[数4]
水平方向のオフセット量:F≧0.05L ・・・(1)
垂直方向のオフセット量:H≦0.15D
L:円通孔の軸心同士の軸間距離、D:バレルの内径
図1及び図2(b)に示すように、本発明の2軸押出機1は、内部が空洞とされたバレル2と、バレル2の内部に収容される混練ロータ3とを有している。このバレル2の内部には混練ロータ3を収容可能な円通孔4が平行に並んで2つ穿孔されている。2つの円通孔4、4は、その内壁面の一部同士が互いに重なり合うようになっており、一方の円通孔4から他方に材料を移動可能となっている。これら2つの円通孔4、4のそれぞれには混練ロータ3が挿通されており、この押出機は混練ロータ3を合計で2軸有する2軸押出機となっている。
なお、以降の説明において、図1の紙面の左側を2軸押出機1を説明する際の上流側とし、紙面の右側を下流側とする。また、図1の紙面の左右方向を2軸押出機1を説明する際の軸方向、さらに、軸方向に対して垂直な方向を軸垂直方向と呼ぶ。
図1に示すように、バレル2は、軸方向に沿って長い筒状に形成されており、その内部には上述したように2つの円通孔4、4が平行に並んで上流から下流を向くように形成されている。バレル2の軸方向の上流側にはバレル2内に材料を供給するホッパ5が設けられており、またバレル2の内部には電気ヒーターや加熱した油を用いた加熱装置(図示略)が備えられている。
混練ロータ3は円通孔4のそれぞれを挿通するように左右一対設けられている。一対の混練ロータ3、3は、軸方向に沿って形成されたスプライン軸(図示略)を内部に備えており、このスプライン軸により串刺し状に複数のセグメントが固定された構成とされている。なお、図例の2軸押出機1は一対の混練ロータ3、3がそれぞれの円通孔4の中で互いに同じ回転方向(図例では、いずれも時計回り方向)に回転する同方向回転型となっている。
上述した山部分6は、両円通孔4、4の内壁面の一部が互いに重なり合う部分における上側と下側とにそれぞれ形成されている。上側の山部分6は、左側の円通孔4の右上に位置する内壁面と、右側の円通孔4の左上に位置する内壁面とで囲まれた部分であり、軸垂直方向の断面が下方に向かって三角形状に尖った部分である。また、下側の山部分6は、左側の円通孔4の右下に位置する内壁面と、右側の円通孔4の左下に位置する内壁面とで囲まれた部分であり、軸垂直方向の断面が上方に向かって三角形状に尖った部分である。
[数2]
頂部の水平方向のオフセット量:F≧0.05L・・・(1)
頂部の垂直方向のオフセット量:H≦0.15D
L:円通孔の軸心同士の軸間距離、D:バレルの内径
例えば、下側の山部分6に形成される頂部13の水平方向に沿ったオフセット量Fを考える。この頂部13は、2つの円通孔4、4の中間点を基準として、水平方向に沿って左右のどちらかにオフセットしたものと捉えることができる。そこで、頂部13を右側にずらした場合を正とし、さらに円通孔4の軸心同士の軸間距離をLとすると、オフセット率F/Lで頂部13の水平方向の相対位置を示すことができる。
一方、このように頂部13の水平方向の相対位置が変化した際には、図3に示すようにバレル2内で材料に発生する「最大圧力」も変動する。なお、この図3に用いられる「最大圧力」は、水平方向のオフセット率F/L=0のとき、言い換えれば接触回避部を設けない従来のバレル2で発生する最大圧力を基準とする比率で示される相対圧力となっている。
次に、下側の山部分6に形成される頂部13の垂直方向のオフセット量Hを考える。
この頂部13は、円通孔4の最底部を基準として、垂直方向に沿って上方にオフセットしたものと捉えることができる。そこで、頂部13を上方にずらした場合を正とし、さらにバレル2の内径をDとすると、オフセット率H/Dで頂部13の垂直方向の相対位置を示す。
一方、このように頂部13の垂直方向の相対位置が変化した際には、水平方向の相対位置の場合と同様にバレル2内で材料に発生する圧力も変動する。
図5、図6に示すように、実施例及び従来例は、2軸押出機1を用いて密度が1000kg/m3および粘性が1000Pa・sの材料をロータの回転数250rpmで混練した際に、バレル2内の材料に発生する圧力の分布を混練ロータ3の回転角度θに合わせて汎用の流動解析ソフトを用いたシミュレーションで計算したものである。グレースケールの濃い色の部分が圧力が高いところを示している。
また、実施例の2軸押出機1には、2つの円通孔4同士が交わる山部分6に、接触回避部である傾斜面12が形成されている。この傾斜面12は、水平方向のオフセット率F/L=−0.106、垂直方向のオフセット率H/D=0.112の位置にある頂部13を通って、頂部13が位置していない方の円通孔4の内壁面に外接する平面として形成されている。なお、従来例の2軸押出機1は、山部分6に接触回避部(傾斜面12)を設けていないものである。
具体的には、この「回転トルク」は、従来例の混練ロータ3に発生するトルクを、混練ロータ3が1回転する範囲に亘って平均することで得られる平均トルクに基づくものであり、平均トルクを基準(値)とする相対値で示されている。
例えば、上記実施形態では、混練ロータ3は混練フライト11を備えた混練用セグメント(混練部7)が軸方向に1箇所だけ設けられた2軸押出機1を挙げた。しかし、本発明の2軸押出機1は、混練用セグメントを軸方向に複数有するもの、言い換えれば軸方向に複数の混練部7を有するものであっても良く、その際は材料の流れ方向における最も上流側に位置する混練用セグメント(混練部7)に対応したバレル2の内壁面に接触回避部(傾斜面12)を形成するのが好ましい。
2 バレル
3 混練ロータ
4 円通孔
5 ホッパ
6 山部分
7 混練部
8 送り部
9 押出部
10 ロータセグメント
11 混練フライト
12 傾斜面
13 頂部
θ 回転角度
D 円通孔の内径
F 水平方向に沿った頂部のオフセット量
H 垂直方向に沿った頂部のオフセット量
L 軸間距離
Claims (3)
- 2つの円通孔がその内壁面の一部同士が互いに重なり合うように内部に平行に形成されたバレルと、前記バレル内の円通孔のそれぞれに収容される混練ロータとを有している2軸押出機であって、
前記混練ロータの外周側には、材料を混練可能な混練フライトが少なくとも1条以上設けられており、
前記バレル内において2つの前記円通孔同士が交わる山部分に、前記混練フライトの先端が前記円通孔の内壁面に接触することを回避する接触回避部が形成されていて、
前記接触回避部は、前記山部分の基端側を残して先端側だけを斜めに切り取った傾斜面として形成されており、
前記傾斜面の一方縁は他方縁より前記円通孔の径内側へ向かって突出した頂部となっていて、
前記頂部が、軸垂直方向の断面において、前記円通孔の最底部から垂直方向に、且つ前記円通孔同士の中間点から水平方向に、絶対値で以下の式(1)に示すオフセット量だけ移動した位置に存在していることを特徴とする2軸押出機。
[数3]
水平方向のオフセット量:F≧0.05L ・・・(1)
垂直方向のオフセット量:H≦0.15D
L:円通孔の軸心同士の軸間距離、D:バレルの内径 - 前記傾斜面は、軸垂直方向の断面において一方の円通孔の内壁面に外接すると共に、他方の円通孔の内壁面と交差する平面であることを特徴とする請求項1に記載の2軸押出機。
- 前記混練ロータは、前記混練フライトを備えた混練用セグメントを軸方向に複数有しており、
前記接触回避部は、前記複数の混練用セグメントの中でも、材料の流れ方向における最も上流側に位置する混練用セグメントに対応したバレルの内壁面に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の2軸押出機。
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