JP5679121B2 - ロボットの運動予測制御方法と装置 - Google Patents
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Description
(1) ロボット上の内界センサを使う方法。
例えば、ロボット上に設置したジャイロセンサや車輪のエンコーダなどで、ロボットの速度、加速度、角速度などを計測する。ロボット上に設置したステアリング部のエンコーダなどで、ロボットのステア角を計測する。
(2) ロボット上の外界センサを使う方法。
例えば、ロボット上に設置した測距センサ(レーザーレンジファインダ(LRF)、レーザレーダなど)やカメラなどで、ロボット周囲のランドマークの位置や姿勢を計測する。ロボット上に設置したGPSコンパスなどで、ロボットの現在の位置と姿勢の一方又は両方を計測する。
(3) ロボット外の外部センサで計測する方法。
ロボット外部に設置した測距センサやカメラなどで、計測範囲内のロボットの位置や姿勢を計測する。
しかし、以下のような理由で、複数の計測結果を簡単に比較することはできない。
(2)(3)で計測される位置と姿勢は、計測するセンサや、特定の点を基点とする座標系で表される相対的な位置と姿勢である。計測座標の基点はそれぞれ異なる上に、ロボット上のセンサの場合は、基点となるロボット自身の位置が不明なため、単純に座標変換等で、これらの計測結果を比較することは難しい。
(1)は、位置や姿勢を直接計測するものではないため、(2)(3)と直接比較できない。
b (3)のように外部センサを用いる場合も、aと同様に、複数の装置間で同期信号を授受する必要があり、外部センサとロボット上のセンサの同期は困難である。
c (2)や(3)で使われるセンサには、センサそのものの計測時間や、センサから得られたセンサ情報を処理する時間などによる計測遅れがある。したがって、センサで得られる計測結果は、計測遅れの分古いセンサ情報となるため、(1)のような内界センサのセンサ情報と計測時刻が異なる。また、計測対象がセンサの視野から外れる場合があるため、指定した時刻の計測結果が常に得られるとは限らない。
特許文献2の状態推定手段は、観測により時系列に入力される観測信号に基づいて、その観測を行ったシステムの内部状態を推定するものである。内部状態とは、対象物の位置、姿勢、振れ角などの状態変数を意味する。
特許文献3の「運動予測装置」は、バックグラウンド処理とフォアグラウンド処理を併用して自動追尾と運動予測を行なうものである。
(1)任意の時刻における内部状態を予測する「予測処理」。
(2)内部状態から計測値を予測し、実際の計測値と比較して、内部状態を修正する「更新処理」(特許文献2では、「濾波推定手段」と記述されている)。
A ロボット制御装置内に上記のアルゴリズムが実装され、ロボット制御周期ごとに(1)の予測処理を行ない、センサの計測値が得られた時に、(2)の更新処理を行なう。
B 特許文献1のように、状態推定装置とロボットで構成されるシステムとし、ロボットが推定装置から予測値を読み出して制御に用いる。
また、特許文献2の手段は、観測値や状態変数の種類に応じて予測処理、更新処理を分けることで、目的に応じて計算量を減らすことができるが、複雑な運動や、得られる計測値を全て反映させたい場合は、結局全ての処理を連結する必要があるため、推定に必要な計算量は減少しない。
(2)ロボットの制御周期はロボットごとに異なるため、ロボット側の要求から予測値を返すまでの時間制約は、一意に決まらない。
(3)ロボット制御装置と状態推定装置間の通信に、一定の時間がかかる。この通信の所要時間は、通信方式(有線、無線など)によって異なる。また、ロボットが多数ある場合、ロボットと状態推定装置間の通信負荷は、状況によって変わる。したがって、通信所要時間も変わる。
計測装置により対象物や複数のロボットのセンサ情報を取得し、
状態推定装置によりセンサ情報と同時刻の各ロボットの内部状態を予測して、予測した内部状態をセンサ情報と比較して更新し、
データ記憶装置により、更新した内部状態と予測に用いた状態遷移方程式を記憶し、
(B)複数のロボット制御装置により、データ記憶装置に記憶された最新の内部状態に基づき、各ロボットに必要な予測値を予測する、ことを特徴とするロボットの運動予測制御方法が提供される。
前記センサ情報を取得したときに、センサ情報と同時刻の各ロボットの内部状態を予測して、予測した内部状態をセンサ情報と比較して更新する状態推定装置と、
前記更新が行われたときに、更新した内部状態と予測に用いた状態遷移方程式を記憶するデータ記憶装置と、
データ記憶装置に記憶された最新の内部状態に基づき、各ロボットに必要な予測値を予測する複数のロボット制御装置とを備えた、ことを特徴とするロボットの運動予測制御装置が提供される。
また、計測装置やロボット制御装置が増え、状態推定の計算量が増加する場合も、各ロボット制御装置が独立して予測計算を行なうため、予測処理にかかる時間は長くならない。したがって、システム変更の際に、演算処理能力などの設計を見直す必要がなくなる。
さらに、予測処理の時間制約をロボット制御装置ごとに設定できる。また、算出する予測値の精度や、予測値の種類なども、ロボット制御装置ごとに設定できる。したがって、予測処理にかかる時間や制御周期等を考慮して、予測計算の精度を変えたり、内部状態のうち必要な変数のみを計算したりといった工夫を、それぞれのロボットで実現できる。
この図において、1は移動ロボット、2は移動ロボット1の外部に固定されたランドマーク、3は移動ロボット1に固定された内部センサ、4は移動ロボット1の外部に固定された外部センサである。
このシステムにおいて、複数の移動ロボット1は、それぞれ自律的に移動できるようになっている。
以下、移動ロボットを単に「ロボット」と呼ぶ。
この図において、本発明の運動予測制御装置10は、計測装置12、状態推定装置14、データ記憶装置16、及び複数のロボット制御装置20を備える。装置12、14、20は、データ記憶装置16にそれぞれ直接接続されている。
複数のロボット制御装置20は、この例では第1ロボット制御装置20A、第2ロボット制御装置20B、および第3ロボット制御装置20Cからなる。
なお、ロボット制御装置20は、この例では3台であるが、2台でも、4台以上であってもよい。
計測装置12は、任意のタイミングで、外部センサ4からセンサ情報を読み込み、後述する計測処理(作用の(1)〜(3))を行なう。
ロボット制御装置20上の計測部24は、計測装置12と同様の機能を有する。また、後述するロボット制御装置20の構成のうち、移動機構や駆動制御のための処理部が無いものを、この例では「計測装置12」とする。
また、時刻が進むと内部状態Xがどのように変化するかを示す状態遷移方程式X(t+Δt)=f(X(t))と、内部状態Xと観測値Yを対応づける観測方程式Y=h(X)を定義する。観測方程式は、観測値Y(センサ情報)の種類ごとにそれぞれ定義される。
またこのアルゴリズムは、内部状態Xの誤差分布CovXや、観測値Yの誤差分布CovYなどを管理しており、これらのデータから状態推定の精度を求めることができる。なお以下の例では、これらの精度指標値をまとめてEとする。
更新部15bは、全体予測部15aを使って計測時刻まで遷移させた内部状態Xと、観測方程式h(X)を使って、対象物(ロボット1又はランドマーク2)の観測値Yの予測値を算出する。入力された観測値Yと、予測値を比較して、内部状態Xを更新し、データ記憶装置16に記録する。この時、状態推定の精度指標値Eも同時に更新し、データ記憶装置16に記録する。
この図において、ロボット制御装置20は、移動のための駆動部21、駆動部21を制御する車両制御部22、ロボット1の目標軌道を算出する行動計画部23、各センサ3のセンサ処理を行なう計測部24で構成される。
センサ3として用いられるのは、主に、ロボット1の角速度又は加速度を計測するジャイロセンサ3a、周囲の形状を計測する測距センサ3b(LRF)、ロボット1に設けられた車輪の回転量を計測する車輪用エンコーダ3cである。
本発明では、センサ3の種類は限定されない。すなわち例えば図3に示すように、カメラ3d、GPSコンパス3e、ロボット1に設けられた車輪のステア角計測用のステア角エンコーダ3fなどのセンサを追加しても良いし、一部のセンサを使わない構成としても良い。
計測装置12または計測部24は、以下の(1)〜(3)を任意のタイミングで繰り返す。
(1)任意のタイミングでセンサ情報を取得する。例えばカメラの場合は、カメラにシャッター信号を送信し、撮像された画像を取得する。
(2)取得したセンサ情報を処理し、ロボット1やランドマーク2の位置と姿勢や、ロボット1の速度又は角速度などの、観測値Yを求める。観測値Yは、センサごとに異なるため、センサごとに定義される。また、ここで行なうセンサ情報の処理も、センサの種類によって異なる。例えばカメラの場合は、得られた画像から画像処理によって対象物(ロボット1又はランドマーク2)の位置と姿勢のセンサ情報を取得する(例:画像内の白色領域を抽出し、重心を求める)。また例えば、パルスエンコーダの場合はパルス波のカウント処理などが考えられる。
(3)算出した観測値Yと、計測された時刻ty(シャッター時刻など)、観測値Yの誤差分布CovYをデータ記憶装置16に記録する。
(4)データ記憶装置16を監視し、新たな観測値Yが記録されていたら、データ記憶装置16からY,ty,X,tx,f,h,Eを読み出す。
(5)内部状態Xは、時刻txの時の内部状態を示しているので、全体予測部15aを使って、時刻tyのときの内部状態を予測する。
(6)更新部15bを使って、(5)で予測した内部状態から時刻tyの時の観測値を予測し、予測値と観測値Yを比較して、内部状態Xを修正する。修正した内部状態Xと新たなモデル時刻tx(=ty)をデータ記憶装置16に記録する。また更新部15bは、内部状態Xの誤差分布CovXや、観測値と予測値のずれの大きさなどの精度指標値Eを算出し、データ記憶装置16に記録する。
(7)ロボット上予測部23aを使って自ロボット1の現在位置や未来の位置を算出する。また、衝突回避などの必要に応じて、他ロボット1の現在位置や未来の位置を算出する。
(8)自ロボット1が目標位置に移動するような目標軌道を生成する。
(9)車輪用エンコーダ3cから自ロボット1の現在速度を求める。
(10)行動計画部23で生成された目標軌道に沿って動くような、制御指令値を算出する。
(11)駆動部21に算出した制御指令値を送信する。
上述した(7)の計算を行なう際、ロボット上予測部23aは、データ記憶装置16にある最新の内部状態Xを参照する。この時、通信のための時間がかかることで、一定の時間制約下で予測値を求められない場合がある。そこで、この例では、データ記憶装置16の内容を、ロボット上記憶部26に逐次転送し、ロボット上予測部23aは、ロボット上記憶部26を参照する。転送するタイミングは、データ記憶装置16の内部状態Xが更新された時とする(上述した(6)の直後)。
なお、ロボット制御装置20は、この例では3台であるが、2台でも、4台以上であってもよい。
上述した例では、説明上「計測装置12」という表現を用いたが、計測装置12は移動機構を持たないロボット制御装置20であり、ロボット制御装置20の一種として扱う。
したがって、本発明のシステム構成は状態推定装置14とロボット制御装置20の2種類とし、ロボット制御装置20は、移動機構を持たないものを含むとする。
データ記憶装置16は、複数の装置、プログラムが同一のデータを読み書きする共有メモリであれば良い。したがって、独立した装置とする必要はなく、図5に示すように状態推定装置14などのメモリ空間上に用意されていれば良い。
また状態推定装置14は、いずれかのロボット1上に設置され、図5に示すようにロボット制御装置20と一体とする構成であってもよい。例えば、状態推定プログラム、ロボット制御プログラムとして、一つのPC上で複数プログラムを並列処理させることができる。
また、計測装置12やロボット制御装置20が増え、状態推定の計算量が増加する場合も、各ロボット制御装置20が独立して予測計算を行なうため、予測処理にかかる時間は長くならない。したがって、システム変更の際に、演算処理能力などの設計を見直す必要がなくなる。
さらに、予測処理の時間制約をロボット制御装置20ごとに設定できる。また、算出する予測値の精度や、予測値の種類なども、ロボット制御装置20ごとに設定できる。したがって、予測処理にかかる時間や制御周期等を考慮して、予測計算の精度を変えたり、内部状態Xのうち必要な変数のみを計算したりといった工夫を、それぞれのロボットで実現できる。
2 ランドマーク、3 内部センサ、
3a ジャイロセンサ、3b 測距センサ(LRF)、
3c 車輪用エンコーダ、3dカメラ、3e GPSコンパス、
3f ステア角エンコーダ、4 外部センサ、
10 運動予測制御装置、12 計測装置、14 状態推定装置、
15a 全体予測部、15b 更新部、16 データ記憶装置、
20 ロボット制御装置、20A 第1ロボット制御装置、
20B 第2ロボット制御装置、20C 第3ロボット制御装置、
21 駆動部、22 車両制御部、23 行動計画部、
23a ロボット上予測部、23b 軌道生成部、24 計測部、
25 通信部、26 ロボット上記憶部
Claims (8)
- (A)ロボットの制御周期に依らない任意のタイミングで、
計測装置により対象物や複数のロボットのセンサ情報を取得し、
状態推定装置によりセンサ情報と同時刻の各ロボットの内部状態を予測して、予測した内部状態をセンサ情報と比較して更新し、
データ記憶装置により、更新した内部状態と予測に用いた状態遷移方程式を記憶し、
(B)複数のロボット制御装置により、データ記憶装置に記憶された最新の内部状態に基づき、各ロボットに必要な予測値を予測する、ことを特徴とするロボットの運動予測制御方法。 - 前記(B)において、各ロボットの制御周期で、各ロボットの制御に必要な予測値を予測し、複数のロボットをリアルタイムに制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の運動予測制御方法。
- 前記制御周期は、計測装置の処理間隔よりも短い一定周期である、ことを特徴とする請求項1に記載の運動予測制御方法。
- ロボットの制御周期に依らない任意のタイミングで、対象物や複数のロボットのセンサ情報を取得する計測装置と、
前記センサ情報を取得したときに、センサ情報と同時刻の各ロボットの内部状態を予測して、予測した内部状態をセンサ情報と比較して更新する状態推定装置と、
前記更新が行われたときに、更新した内部状態と予測に用いた状態遷移方程式を記憶するデータ記憶装置と、
データ記憶装置に記憶された最新の内部状態に基づき、各ロボットに必要な予測値を予測する複数のロボット制御装置とを備えた、ことを特徴とするロボットの運動予測制御装置。 - 前記複数のロボット制御装置は、各ロボットの制御周期で、各ロボットの制御に必要な予測値を予測し、複数のロボットをリアルタイムに制御する、ことを特徴とする請求項4に記載の運動予測制御装置。
- 状態推定装置は、前記内部状態を予測する全体予測部と、全体予測部が予測した内部状態を更新する更新部とを有し、
各ロボット制御装置は、各ロボットの制御周期でその制御に必要な予測値を予測するロボット上予測部を有する、ことを特徴とする請求項4に記載の運動予測制御装置。 - 各ロボット制御装置は、データ記憶装置に記憶された最新の内部状態を記憶するロボット上記憶部を有し、
データ記憶装置は、ロボットからの要求に依らないタイミングで、データ記憶装置に記憶された最新の内部状態をロボット上記憶部に転送する、ことを特徴とする請求項4に記載の運動予測制御装置。 - 前記内部状態は、ロボットの位置、姿勢、速度、又は角速度の状態変数である、ことを特徴とする請求項4に記載の運動予測制御装置。
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