JP5676458B2 - 変異h因子結合タンパク質を含むワクチン組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、病原生物に対する免疫応答の惹起に使用する免疫原性組成物に関し、特に防御免疫応答を惹起できる免疫原性組成物に関する。
Neisseria meningitidis(髄膜炎菌)は莢膜を有するグラム陰性双球菌でヒトの鼻咽頭に存在する。一般集団における保菌率は通常10%程度である。宿主・病原体関係は複雑であるが、通常共生的なものである。しかしながら、頻度は低いものの、髄膜炎菌の保有により侵襲性疾患を起こす場合もある。この現象は通常、高病原性の少数の近縁種に属する菌株と関連している(非特許文献1)。N.meningitidisは世界の化膿性髄膜炎の主要な原因であり、髄膜炎および敗血症を発生させ得る唯一の細菌である。発病率は、地域ごとに風土病の有病率かあるいは流行病の有病率かにもよるが、人口10万当たり1〜3人の間である。したがって、侵襲性髄膜炎菌性疾患の罹患率、死亡率および罹病率を低下させる予防および治療戦略の開発が求められている。
Neisseria meningitidis生体はいくつかの最新の抗生物質に感受性があるものの、それにもかかわらず、髄膜炎菌性感染症と診断される患者の多くが劇症で死亡したり、あるいは重篤な合併症を発症したりする。死亡率は、合併症のない髄膜炎の場合に2〜3%、敗血症性ショックの場合には50%またはそれ以上に至る(非特許文献2)。
現在承認されているワクチンはその細菌外膜の外側にある莢膜多糖体をベースにしており、したがって対応する莢膜を発現する一部の菌株しか予防できない。加えて、富裕国における髄膜炎菌性疾患の最も多い原因である血清型B Neisseria meningitidisに対しては広く効果があるワクチンが存在しない。これは、血清型Bの莢膜が、乳児期および胚発生期に発現するヒト神経細胞接着分子の変異と構造的に関連しているシアル酸のポリマーからなるためである。この抗原を接種すると自己免疫応答を引き起こすことが懸念される。
本発明は、新規な組成物、特に改変されたH因子結合タンパク質を含む新規な免疫原性組成物、およびNeisseria meningitidisに対する免疫応答を惹起するための、こうした組成物の使用に関する。
Caugant,D.A.et al.(1987)J Bacteriol 169:2781−2792 Cartwright,K.A.and D.A.Ala’Aldeen(1997)J Infect 34:15−19
本発明の1つの目的は、Neisseria meningitidisに対する防御免疫応答を惹起するのに使用できる1種または複数種の組成物を提供することである。
第1の態様によれば、本発明は、少なくとも1種の改変されたH因子結合タンパク質を含む免疫原性組成物であって、ヒトまたは非ヒト動物に投与された場合、免疫応答を惹起することができる組成物を提供する。
好ましくは、本明細書でH因子結合タンパク質という場合、Neisseria meningitidisまたはNeisseria gonorrhoeae由来のH因子結合タンパク質をいう。
Neisseria meningitidisは、宿主に擬態することにより宿主生物の免疫応答を破綻させる。Neisseria meningitidisは、荷電炭水化物化学の代わりにH因子結合タンパク質としてタンパク質を使用して宿主の補体制御因子、H因子を動員する。
健常人の場合、補体の活性化は、膜結合タンパク質とH因子(fH)などの可溶性の血漿制御タンパク質とにより正確に制御されている。H因子(Factor H)は、20個のドメイン(リピートまたはCCP(:complement control protein補体調節タンパク質)と呼ばれる)からなる155kDaのタンパク質である。病原体の中にはH因子(Factor H)をその表面に隔離することにより補体による殺傷を逃れるように変化しているものもある。
上記で論じたようにNeisseria meningitidisは細菌性髄膜炎および敗血症性ショックの主要な原因として世界的に重要なヒトに適応した病原体である(Stephens et al.(2007)Lancet 369,2196−210)。ナイセリア株の多様性のため、髄膜炎菌性疾患に現在使用できるワクチンには広い予防効果がなく、したがって有用性は限定的である。1つのアプローチとして、ワクチン組成物中の抗原としてH因子結合タンパク質(fHbp、GNA1870またはR2086と呼ばれる)を使用している。H因子結合タンパク質はN.meningitidisの表面に広く存在する27kDaの表面リポタンパク質で、保護作用を持つ殺菌抗体を惹起する(Fletcher et al.(2004)Infect Immun 72,2088−100; Masignani et al.(2003)J Exp Med 197,789−99)。H因子(Factor H)結合タンパク質は、補体、H因子の負の制御因子を細菌表面に動員し、ヒト血漿中の補体による溶解を阻害して髄膜炎菌が自然免疫応答から逃れる能力を促進する働きをする(Madico et al.(2006)J Immunol 177,501−10; Schneider et al.(2006)J Immunol 176,7566−75)。
本発明では、少なくとも1種の改変されたH因子結合タンパク質を抗原として使用する。このタンパク質は、このタンパク質へのH因子の結合を阻止または抑制するように改変されている。ワクチン製剤のH因子結合タンパク質を被検体に投与した後、H因子結合タンパク質へH因子が結合するとワクチンの効果が得られなくなると考えられる。第1に、H因子結合タンパク質にH因子が存在すると宿主免疫系によるH因子結合タンパク質の重要なエピトープの認識が損なわれる可能性がある。このエピトープに対して産生される抗体は殺菌抗体でも、細菌へのH因子の結合を阻害して補体による溶解に対する細菌の感受性を高める抗体でもよい。第2に、H因子結合タンパク質に対する免疫応答はハプテンと同様に、結合したH因子に対する応答をも惹起することがある。これは、望ましくない自己免疫応答を起こし得る恐れがある。最後に、補体タンパク質はアジュバント活性を有しているため、補体活性化は免疫応答に関与している。H因子の動員により免疫部位での補体の活性化が低下すればワクチン接種後に得られる免疫レベルを低下させる可能性がある。
好ましくは、本発明に使用される改変されたH因子結合タンパク質はタンパク質の1つまたは複数の位置で改変される。
好ましくは、改変されたH因子結合タンパク質は、野生型タンパク質のアミノ酸と比較して少なくとも1個のアミノ酸が変えられている。
好ましくは、変えられた(changed)1個または複数個のアミノ酸は、H因子結合タンパク質がH因子と複合体を形成した場合、単離されたH因子結合タンパク質と比較して表面露出が減少するアミノ酸残基である、
H因子結合タンパク質の変えられる1個または複数個のアミノ酸は、図6(配列番号1)に示す位置番号103、106、107、108、109、145、147、149、150、154、156、157、180、181、182、183、184、185、191、193、194、195、196、199、262、264、266、267、268、272、274、283、285、286、288、289、302、304 306、311および313のアミノ酸を含む群から選択すればよい。
H因子結合タンパク質の変えられる1個または複数個のアミノ酸は、野生型タンパク質においてH因子と水素結合を形成する1個または複数個のアミノ酸であってもよい。
H因子結合タンパク質の変えられる1個または複数個のアミノ酸は、図6(配列番号1)に示すアミノ酸番号103、106、107、108、180、181、183、184、185、191、193、195、262、264、266、272、274、283、286、304および306群から選択すればよい。
本発明に使用される改変されたH因子結合タンパク質は、前述のアミノ酸の2個以上、3個以上、4個以上または5個以上が変えられていてもよい。好ましくはH因子結合タンパク質の1個または複数個のアミノ酸を変えることにより、H因子との結合を阻止または著しく抑制することができる。
一実施形態では、グルタミン酸の代わりにアラニンになるようにアミノ酸番号283および204の少なくとも1個を変異する/変える。好ましくはこの変異の結果、H因子との結合がほぼ完全に消失する。
好ましくは、改変されたH因子結合タンパク質へのH因子の結合は、野生型H因子結合タンパク質へのH因子の結合よりも少なくとも5倍少なく、好ましくは少なくとも10倍少なく、好ましくは少なくとも2桁少ない。好ましくは結合の減少は、約50nMの濃度のアナライトを用いて測定する。こうした水準の結合の減少は、著しい減少と考えられる。
H因子結合タンパク質は、H因子との結合を防止または阻害するための改変以外に、N.meningitidisによる感染症の免疫原として機能するタンパク質の能力に影響を与えない他の変異をさらに含んでいてもよい。たとえば、タンパク質の他の保存的アミノ酸を変えてもよい。同様にタンパク質には、タンパク質の免疫原性に影響を与えない挿入または欠失を施してもよい。
好ましくは、改変されたH因子結合タンパク質は、図6の配列との配列同一性が少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上であるが、H因子との結合が起こらないか、あるいは著しく減少する少なくとも1つの位置で改変されており、好ましくは別のアミノ酸を有する。
配列同一性の割合は、ある配列中のアミノ酸と、配列を整列させ必要に応じてギャップを入れ、パーセント配列同一性が最大になるようにした後に得られる配列のアミノ酸とが同一である割合と定義される。パーセント配列同一性を決定するためのアライメントは、当業者によく知られた多くのやり方で行うことができ、たとえば、BLAST(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)の使用が挙げられる。
パーセント同一性の変化は、たとえばアミノ酸の置換、挿入または欠失によるものでもよい。アミノ酸置換は置換されるアミノ酸の構造的および/または化学的性質が類似しているという点でその性質上保存的であってもよく、たとえばロイシンとイソロイシンとの置換は保存的置換である。
免疫原性組成物は、この組成物が被検体に投与されたとき、少なくとも1種の改変されたH因子結合タンパク質に対して免疫応答を惹起することができる組成物である。好ましくは、この被検体はヒトまたは非ヒト動物、一層好ましくはヒトまたは非ヒト哺乳動物である。
好ましくは、本発明の組成物により惹起される免疫応答は、免疫したヒトに感染するN.meningitidisの能力に影響を与える。好ましくは、本発明の組成物で免疫したヒトに感染するN.meningitidisの能力は、妨害または防止される。これは、多くの方法で達成することができる。惹起される免疫応答は、N.meningitidisを認識し破壊してもよい。あるいは、または加えて、惹起される免疫応答はN.meningitidisの複製を妨害または防止してもよい。あるいは、または加えて、惹起される免疫応答はヒトまたは非ヒト動物に疾患を引き起こすN.meningitidisを妨害または防止しても構わない。
改変されたH因子結合タンパク質は組換え技術によって(たとえば遺伝子操作された発現系から)作製しても、あるいは、たとえばインビトロでのペプチド合成またはインビトロでの翻訳により作製される合成産物であってもよい。
本発明の組成物は、1種または複数種の改変されたH因子結合タンパク質だけでなく別の1種または複数種の抗原をさらに含んでいてもよい。また、別の抗原はN.meningitidis由来であってもよく。N.meningitidisに対する免疫応答を惹起できてもよい。
本組成物は、被検体に投与されたときに防御免疫応答を惹起/誘発するために使用してもよい。防御免疫応答は、被検体への感染時にN.meningitidisを死滅させてもよいし、あるいはN.meningitidisが複製する、および/または疾患を引き起こすのを防止または阻害してもよい。
本組成物は、N.meningitidisに対する予防ワクチンとして使用しても、または治療ワクチンとして使用してもよい。
さらなる態様によれば、本発明は、少なくとも1種の改変されたH因子結合タンパク質および薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
好ましくは、医薬組成物は本発明の第1の態様による組成物を含む。
好ましくは、医薬組成物はN.meningitidisに対する防御免疫応答を誘発できる。
本明細書で使用する場合、「防御免疫応答を誘発する」という用語は、組成物を投与したヒトまたは非ヒト哺乳動物などの宿主生物において組成物が防御応答を引き起こすことができることをいう。好ましくは、防御免疫応答は、N.meningitidisによるそれ以降の感染症を防止する。防御免疫応答は、N.meningitidisの複製を抑制するか、あるいは疾患を軽減するようにN.meningitidisの感染機構に作用することにより感染を除去するか、あるいは感染の程度を軽減してもよい。
好適な許容可能な賦形剤およびキャリアは当業者によく知られている。これらは、固体キャリアを含んでも、または液体キャリアを含んでもよい。好適な液体キャリアとして、水および食塩水がある。組成物のタンパク質はエマルジョンとして製剤化してもよいし、あるいは生分解性ミクロスフェアまたはリポソームとして製剤化してもよい。
本組成物は、アジュバントをさらに含んでもよい。好適なアジュバントは当業者よく知られており、フロイント不完全アジュバン(動物に使用)およびアルミニウム塩またはカルシウム塩などの金属塩を挙げることができる。
本組成物は、組成物の稠度および/または組成物からの抗原/分泌タンパク質の放出を制御するポリマーまたは他の作用物質をさらに含んでもよい。
本組成物は、水、食塩水、グリセロールまたは他の好適なアルコールなど;湿潤剤または乳化剤;緩衝剤;たとえばセルロースまたはセルロース誘導体などの粘度付与剤;防腐剤;界面活性剤、抗菌剤;および同種のものを含み得る希釈液などの他の作用物質をさらに含んでもよい。
好ましくは、組成物中の活性成分の純度は50%超、通常80%超、多くの場合90%超、一層好ましくは95%超、98%超または99%超である。活性成分の純度は100%に近く、ほとんどの場合、たとえば純度約99.5%または純度約99.9%で使用される。
本発明の組成物は、N.meningitidisが原因の感染症に対するワクチンとして使用することができる。本組成物は、髄膜炎または敗血症または敗血症性ショックなど他の侵襲性髄膜炎菌性疾患に対するワクチンとして使用してもよい。ワクチンは、N.meningitidisへの曝露のリスクがある人に予防的に、および/またはN.meningitidisに既に曝露した人に治療的に投与してもよい。
好ましくは、本組成物をワクチンとして使用する場合、組成物は免疫学的に有効な量の抗原を含み、この場合、本組成物は少なくとも1種の改変されたH因子結合タンパク質を含む。抗原の「免疫学的に有効な量」は、単回投与あるいは複数回投与で個体に投与した場合にN.meningitidisによる感染症の処置または予防に有効な量である。この量は、処置される個体の健康状態および抗原によって異なる。生体に投与する免疫原性組成物またはワクチン組成物の有効量は、十分に当業者の能力の範囲内にある。
本発明による組成物は、経口投与用でも、全身投与用でも、非経口投与用でも、局所投与用でも、粘膜投与用でも、筋肉内投与用でも、静脈内投与用でも、腹腔内投与用でも、皮内投与用でも、皮下投与用でも、鼻腔内投与用でも、膣内投与用でも、直腸内投与用でも、経皮投与用でも、舌下投与用でも、吸入投与用でも、あるいはエアロゾル投与用でもよい。
本組成物は、単回投与スケジュールで投与するように形成しても、または反復投与スケジュールとして投与するように形成してもよい。反復投与は初回免疫として投与し、その後1回または複数回の追加免疫として投与してもよい。初回免疫と追加免疫との好適なタイミングは常法により決定することができる。
本発明による組成物は、単独で投与しても、あるいは1種または複数種の他の免疫原性組成物またはワクチン組成物、および/または1つまたは複数の他の治療法と組み合わせて投与してもよい。
本発明の組成物は被検体への投与後に血清殺菌抗体応答を誘発し、オプソニン貪食作用(opsonphagocytosis)に関与する抗体を惹起することができてもよい。こうした応答はマウスを用いて測定すると都合がよく、その結果はワクチンの有効性の標準的な指標となる。
本発明の組成物はさらに、または、あるいは、細菌タンパク質または他の分子を中和することにより、通常の機能を持つことを防ぎ、必ずしも病原生物/細菌を破壊せずに疾患の進行を防止または抑制する、この場合にはN.meningitidisに対する免疫応答を惹起することができてもよい。
さらなる態様によれば、本発明は、免疫応答を惹起する薬物の調製における、1種または複数種の改変されたH因子結合タンパク質の使用を提供する。薬物は、N.meningitidisに対する被検体への予防のためのワクチン接種に使用しても、または治療のためのワクチン接種を使用してもよい。薬物は、予防ワクチンでも、または治療ワクチンでもよい。ワクチンは、N.meningitidisが原因の髄膜炎ワクチン、敗血症ワクチンおよび/または敗血症性ショックワクチンでもよい。
なおさらなる態様によれば、本発明は、N.meningitidisに対する免疫応答を起こすのに使用される1種または複数種の改変されたH因子結合タンパク質を含む組成物を提供する。免疫応答は予防的なものでも、または治療的なものでもよい。組成物は、ワクチンとして使用される組成物であってもよい。
なおさらなる態様によれば、本発明は、ヒトまたは非ヒト動物をN.meningitidisによる感染の影響から保護する方法であって、本発明の任意の他の態様による組成物をヒトまたは非ヒト動物に投与することを含む、方法を提供する。組成物は、ワクチンであってもよい。
別の態様によれば、本発明は、ヒトまたは非ヒト動物に免疫応答を引き起こす方法であって、本発明による医薬組成物をヒトまたは非ヒト動物に投与することを含む、方法を提供する。免疫応答は、好ましくは防御免疫応答である。この方法は、既に初回免疫した患者に追加免疫応答を引き起こしてもよい。免疫応答は、予防的なものでも、または治療的なものでもよい。
本発明による組成物の投与を含む治療処置の有効性を確認する1つの方法では、組成物の投与後にN.meningitidis感染症のモニタリングを行う。本発明による組成物の投与を含む予防処置の有効性を確認する1つの方法では、組成物の投与後にNeisseria meningitidisに対する免疫応答のモニタリングを行う。
別の態様によれば、本発明は、N.meningitidisによる感染症に対するヒトまたは非ヒト哺乳動物の免疫に使用する薬物の調製における、1種または複数種の改変されたH因子結合タンパク質の使用を提供する。
さらなる態様によれば、本発明は、生体に免疫応答を誘発するのに使用するキットであって、本発明による免疫原性組成物またはワクチン組成物、および投与に関する説明書を含むキットを提供する。
本発明による組成物は、ワクチンとして使用し得るだけでなく、ワクチン被接種者の診断試薬および免疫能の指標としても有用である場合がある。
上記で論じた発明および好ましい特徴の記載はN.meningitidisに関するものであるが、N.gonorrhoeaeにも等しく当てはまることを当業者であれば理解するであろう。
当業者であれば、上記で論じた任意の好ましい特徴が本発明の任意の態様に適用できることを理解するであろう。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
少なくとも1種の改変されたH因子結合タンパク質を含む免疫原性組成物であって、ヒトまたは非ヒト動物に投与された場合に免疫応答を惹起することができる、組成物。
(項目2)
前記H因子結合タンパク質はNeisseria meningitidisまたはNeisseria gonorrhoeae由来である、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記組成物はNeisseria meningitidisまたはNeisseria gonorrhoeaeのどちらか一方あるいは両方に対して免疫応答を惹起する、項目1または項目2に記載の組成物。
(項目4)
前記免疫応答はNeisseria meningitidisまたはNeisseria gonorrhoeaeによる感染を妨害または防止するのに十分である、項目3に記載の組成物。
(項目5)
前記H因子結合タンパク質は前記H因子結合タンパク質に対するH因子の結合を防止するかまたは低減するために改変される、項目1から4のいずれか一項に記載の組成物。
(項目6)
前記改変されたH因子結合タンパク質はその野生型タンパク質と比較して前記改変されたH因子結合タンパク質の1つまたは複数の位置で改変されている、項目1から5のいずれか一項に記載の組成物。
(項目7)
前記改変されたH因子結合タンパク質はその野生型タンパク質のアミノ酸と比較して少なくとも1個のアミノ酸が変えられている、項目1から6のいずれか一項に記載の組成物。
(項目8)
前記変えられている1個または複数個のアミノ酸は、前記H因子結合タンパク質がH因子と複合体で存在する場合、前記単離された野生型H因子結合タンパク質と比較して表面露出が減少するアミノ酸残基である、項目7に記載の組成物。
(項目9)
前記H因子結合タンパク質において変えられている前記1個または複数個のアミノ酸は図6に定義される位置番号103、106、107、108、109、145、147、149、150、154、156、157、180、181、182、183,184、185、191、193、194、195、196、199、262、264、266、267、268、272、274、283、285、286、288、289、302、304 306、311および313のアミノ酸残基を含む群から選択される、項目7または8に記載の組成物。
(項目10)
前記改変されたH因子結合タンパク質は図6の配列との配列同一性が少なくとも60%であり、かつ少なくとも1つの位置でアミノ酸が変えられているため、H因子との結合が起こらないかあるいは著しく減少する、項目1から9のいずれか一項に記載の組成物。
(項目11)
前記組成物が惹起することができる/引き起こすことができる前記免疫応答は防御免疫応答である、項目1から10のいずれか一項に記載の組成物。
(項目12)
N.meningitidisまたはNeisseria gonorrhoeaeに対する予防または治療ワクチンとして使用するためのものである、項目1から11のいずれか一項に記載の組成物。
(項目13)
少なくとも1種の改変されたH因子結合タンパク質、および薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤を含む、医薬組成物。
(項目14)
項目1から12のいずれか一項に記載の組成物を含む、項目13に記載の医薬組成物。
(項目15)
免疫応答を惹起するための薬物の調製における、1種または複数種の改変されたH因子結合タンパク質の使用。
(項目16)
前記薬物はN.meningitidisまたはNeisseria gonorrhoeaeに対する予防のためのワクチン接種または治療のためのワクチン接種に使用される、項目15に記載の使用。
(項目17)
前記ワクチンはN.meningitidisが原因の髄膜炎、敗血症および/または敗血症性ショックを防止するかまたは妨げるためのものである、項目16に記載の使用。
(項目18)
N.meningitidisまたはNeisseria gonorrhoeaeに対する免疫応答を引き起こすことにおいて使用するための、1種または複数種の改変されたH因子結合タンパク質を含む組成物。
(項目19)
N.meningitidisまたはNeisseria gonorrhoeaeによる感染の影響からヒトまたは非ヒト動物を保護する方法であって、前記ヒトまたは非ヒト動物に項目1から12のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
(項目20)
ヒトまたは非ヒト動物に免疫応答を引き起こす方法であって、項目13または14に記載の医薬組成物を前記ヒトまたは非ヒト動物に投与することを含む、方法。
(項目21)
前記免疫応答は防御免疫応答である、項目12に記載の方法。
(項目22)
N.meningitidisisまたはNeisseria gonorrhoeaeによる感染に対するヒトまたは非ヒト哺乳動物の免疫に使用するための薬物の調製における、1種または複数種の改変されたH因子結合タンパク質の使用。
(項目23)
生体における免疫応答の誘導に使用するためのキットであって、項目1から22のいずれか一項に記載の組成物および投与に関する説明書を含む、キット。
次に、あくまで例示に過ぎないが、以下の図および例を参照しながら本発明の好ましい実施形態について記載する。
図1aは、H因子結合タンパク質の結合部位がH因子のCCP6に決定され、H因子結合タンパク質の結合部位にはH因子結合タンパク質の細胞外部分全体が不可欠であることを示す。インタクトなH因子結合タンパク質およびその切断型(図示したとおり)に結合するH因子のファーウエスタン解析を示す。精製されたH因子と膜をインキュベートし、α−fH pAbで検出した。結合が観察されたのは27kDaのインタクトなH因子結合タンパク質(矢印で示す)のみであった。図1bは、H因子結合タンパク質の結合部位がH因子のCCP6に決定され、H因子結合タンパク質の結合部位にはH因子結合タンパク質の細胞外部分全体が不可欠であることを示す。α−fH pAbを用いてN.meningitidisとH因子との結合を検出したFACS分析の結果を示す。図1cは、H因子結合タンパク質の結合部位がH因子のCCP6に決定され、H因子結合タンパク質の結合部位にはH因子結合タンパク質の細胞外部分全体が不可欠であることを示す。SPRの結果を用いてH因子結合タンパク質がCCP6を含むH因子コンストラクトにしか結合できないことを示す。挿入図は、速度論的パラメータを判定するため、H因子結合タンパク質表面上に注入した一連のfH67希釈液を1:1ラングミュアモデルにフッティングしたものを示す。 図1dは、H因子結合タンパク質の結合部位がH因子のCCP6に決定され、H因子結合タンパク質の結合部位にはH因子結合タンパク質の細胞外部分全体が不可欠であることを示す。FACS競合試験の結果を示す(CCP5に対するα−fH mAbを使用したため、fH67コンストラクトを認識できなかった)。短いfH67コンストラクト(約0.3〜30μM)は全長H因子の結合を阻害することができ、このコンストラクトはH因子結合タンパク質結合部位全体を含むことが明らかにされる。示した値は、3回の実験平均の蛍光強度±標準偏差である。図1eは、H因子結合タンパク質の結合部位がH因子のCCP6に決定され、H因子結合タンパク質の結合部位にはH因子結合タンパク質の細胞外部分全体が不可欠であることを示す。SPRによる定量化から、H因子結合タンパク質への高親和結合にはCCP6が存在すれば必要にして十分であり、かつCCP7によく見られるH因子多型(402His/Tyr)がfHbp結合の親和性を著しく変化させないことが確認されたことを示す。 図1fは、H因子結合タンパク質の結合部位がH因子のCCP6に決定され、H因子結合タンパク質の結合部位にはH因子結合タンパク質の細胞外部分全体が不可欠であることを示す。チップの表面にH因子結合タンパク質、流体相にH因子コンストラクトを用いた表面プラズモン共鳴により得られた結合定数を示す表である。フィッティングは、BiaEvaluation2.0ソフトウェアおよび1:1ラングミュアモデルを用いて行った。示した値は平均±標準偏差であり、Chi2はBiaEvaluation2.0に与えられるフィッティング指標の質である。 図2aは、H因子結合タンパク質およびそれとfH67との複合体の構造を図示する。H因子結合タンパク質(残基80〜320)の2枚のcartoonを示す。A、BおよびC領域を示してある。図2bは、H因子結合タンパク質およびそのfH67との複合体の構造を図示する。H因子結合タンパク質とH因子のCCP6および7とのfHbp:fH67複合体のcartoonを示す。相互作用表面における塩橋の形成に関与する2つのタンパク質側鎖をボールアンドスティックモデルで示す(挿入図に拡大して配置し直してある)。 図2cは、H因子結合タンパク質およびそのfH67との複合体の構造を図示する。H因子結合タンパク質およびfh67のトポロジーを図示し、タンパク質間のH結合あるいは塩橋の相互作用のどちらかに関与する残基を示す。黒塗りの丸は、パートーナーと水素結合を形成する残基を示す。黒塗りの星は、パートーナーと塩橋を形成する残基を示す。アスタリスク(asterix)は、複合体構造の独立したコピーの一部のみに認められる相互作用を示す、 図3は、H因子結合タンパク質とH因子との界面に関し、H因子とH因子結合タンパク質との荷電した側鎖を共にアラニンで置換する部位特異的変異誘発を行うと、野生型KDの濃度前後で各々その野生型パートーナーへの結合が消滅することが明らかにされる。黒いバーは、H因子結合タンパク質表面にH因子のアナライトを注入した時間(50nM、40μl.min−1)を示す。 図4は、2つの結晶型から得られるfH67/fHbp複合体の結晶学的に独立した7つのコピーを重ねてfH67/fHbp複合体の柔軟性を検討する(P1型の複合体4コピーおよびC2型3コピー)。パッキング環境が多岐にわたるにもかかわらず、高度の類似性が認められることから、複合体は生物学的に意味があることが示される。複合体内のタンパク質の再構成はCCP6およびH因子結合タンパク質に比べて、fH67のCCP7の位置のわずかな移動に限定される。より高温の温度因子で表示すると(ここでは「より厚い」puttyにして表示)、H因子結合タンパク質もループのCCP7の最も近くでパックするものは比較的移動可能である。 図5は、H因子結合タンパク質の表面にマップした抗体エピトープの位置を示す。12、20、21でdeCCPibedされた防御エピトープの残基を元素別に色づけして(C緑、N青、O赤)CPK表示で示す(Glu211、Arg214およびArg269)。H因子との結合を阻止する抗体のエピトープを、H因子結合タンパク質の色に従って色づけしたCPKで示す(領域「A」黄色、「B」領域緑色、「C」領域シアン)。これらのエピトープでH因子認識部位に直接マップしたものはないが、十分に近くに位置しているため、大きな抗体が結合するとH因子の認識が妨害される可能性が高い。さらにH因子の多型残基402のヒスチジン側鎖をCPK表示で示す。この残基はH因子結合タンパク質(残基103〜108前後−図2を参照)との二次的接点に近接して位置するものの、2つの多型のSPRの証拠からこれが重要な接点ではないことが示唆される。このことはさらに、複合体のこの領域(2つのGNAループとH因子ドメイン)は最も可動性がある領域で著しい変化が認められ、結晶学的に独立した複合体のコピーの間でも2つのタンパク質が相互に接触するのがこの地点であるということによっても裏付けられる(図4)。 図6は、H因子結合タンパク質(配列番号6)のアミノ酸配列である。このタンパク質のGenBank受託番号はAAF42204である。 図7Aは、fHbp:fH67複合体の構造を示す。fHbpをcartoonで示し(緑色の残基はファミリーの中で保存された残基、赤色は保存されていない残基)、fH67をサーフェスモデルで示す。図7Bは、fHbp:fH67複合体の構造を示す。マウスfHとヒトfHとで異なる残基を赤色で示す。我々の研究は黄色の残基がfH結合に作用することを示す。 図8は、SPRにより測定した変異体1、2および3のfHbpとfH678との結合を示す。さらに淋菌性ホモログ、NGO0033との相互作用も調査した。 図9Aは、等温滴定カロリメトリーによりfHbp/fH相互作用が溶液におけるnM KDを特徴とすることが明らかにされることを示す。図9Bでは、二重のGlu→AlaミュータントfHbpの構造から構造的に変化したのは変異した側鎖内のみであることが確認される(FO−FC、αCマップの赤色の電子密度差で表示。図9Cは、WTおよびミュータントfHbpに流動させた5nMのH因子(Factor H)ドメイン5、6および7からの応答を示す(上のデータライン=fHbp変異体1、下のデータライン=fHbp変異体1 DM)。図9Dは、WTおよびミュータントfHbpに流動させた20nMのインタクトなH因子(Factor H)からの応答を示す(上のデータライン=fHbp変異体1、下のデータライン=fHbp変異体1 DM)。
図1に配列を示したH因子結合タンパク質の機能については、このタンパク質を、細胞外ドメイン全体をカバーする「A」、「B」および「C」と呼ばれる一連の領域に細分して以前研究されている(Giuliani et al.(2005)Infect Immun 73,1151−60)。ウエスタンブロット解析から、H因子とH因子結合タンパク質(図1a)との高親和性の相互作用には3つの領域がすべて必要であることが明らかになっており、H因子結合タンパク質のH因子認識部位がその表面全体に広がっていることが示唆される。
H因子の20個のCCPドメインのどれがH因子結合タンパク質との相互作用に関与しているかを特定するため、以下の技法を使用した:ファーウエスタン解析;FACS分析(図1b);および表面プラズモン共鳴(図1c)。得られた結果から、H因子結合タンパク質により認識されるH因子の重要領域は6番目のドメイン、CCP6であり、CCP6を含むコンストラクトがH因子とN.meningitidisとの間のH因子結合タンパク質依存性相互作用を阻害できたことが明らかになっている(図1d)。相互作用を定量化したところ、CCP6を含むいずれのコンストラクトも解離定数が約5nMであることが示される(図1c、1eおよび1f)。この相互作用は高濃度塩(1MのNaCl、図示せず)または4〜8の範囲のpH(図示せず)により解離されなかったため、結合イベントの高親和性がさらに裏付けられた。
図9A〜Dを参照すると、表面プラズモン共鳴により、fHbpの二重変異体がH因子(Factor H)ドメイン6および7に2桁大きいKDで結合することが示される。この変異体はさらに、より長いコンストラクト(ドメイン5、6および7からなる)および全長H因子(Factor H)(血清から精製)に対して野生型fHbpよりも非常に弱く結合する。
H因子のCCP67間の複合体(以下、fH67という)および領域A、BおよびCを含むH因子結合タンパク質の細胞外部分の結晶構造を得て、H因子結合タンパク質およびfH67のモデルを構築し、2つの結晶型の分解能を2.35Åまで上げて合計7つの独立した複合体のコピーを得た(図2a、bおよびc)。図2aに見られるように、H因子結合タンパク質の細胞外部分は折りたたまれて2つのβバレルを形成しており、N末端バレルは「A」領域および「B」領域の一部からなり、C末端バレルは「B」領域の残りおよび「C」領域からなる。N末端バレルについて構造データベースを検索したところ、構造が似たホモログは認められず、βバレルの特徴的なトポロジー(図2c)は、遺伝子重複イベントにより生じたものでないことが示唆される。
fH67:fHBP(H因子:H因子結合タンパク質)複合体は、H因子結合タンパク質のβバレルとH因子CCP6のβバレルとの間の広範囲に及ぶ相互作用によって結合しており(図2b)、これは、結合試験と整合している。特に、CCP6の第2のβストランドへのヘリックスの挿入(このCCPドメインの際だった特徴)は、複合体の中心に位置する。PISAサーバーによる解析によれば、独立した7つの複合体はすべて重要性スコアが1.0で(すなわち生物学的に重要である可能性が極めて高い)、複合体に埋もれたH因子結合タンパク質の平均表面積(2860±177Å2)は大部分の抗体:抗原複合体に埋もれた表面積よりも大きい。さらに、複合体を形成する構造に基づき予測されるΔG(−6kcal/mol)も結合試験から得られた親和性(−11kcal/mol、図1eに示すKDから算出)とよく一致しており、結晶化複合体の生理的意義がさらに裏付けられる。相互作用面は、複数の水素結合および塩橋など多くの静電的相互作用を形状によりよく補完されている(図2c)。これは、加齢黄斑変性症に関連するH因子402His/Tyrアイソフォーム間の結合に相違がまったく検出されなかったfHbp:fH相互作用試験と整合する(図1e、図4および図5)。His402は、H因子結合タンパク質との相互作用に補助的に関与しているに過ぎず、H因子結合タンパク質のN末端βバレルのストランド1と2との間のフレキシブルループに接触している(図4)。
相互作用面をさらに調査するため、荷電した側鎖を小さな疎水性残基アラニン(A)で置換した二重変異/置換型を両方のタンパク質で作製した。fH67で作製した変異はR341AおよびH337Aであり、H因子結合タンパク質で作製した変異はE283AおよびE304Aであった。この変異タンパク質とその野生型パートーナーとの相互作用をSPRを用いて調査したところ、2つのミュータント型の親和性は2桁を超えて低下したため、野生型KDの約10倍のアナライト濃度(約50nM)で相互作用がほとんど認められないことが明らかになった(図3a)。1000倍高いアナライト濃度(μM範囲)であれば、ミュータント型のタンパク質はどちらも野生型パートーナーと相互作用し:fHbpE283A,E304Aは野生型に対して定性的に類似した結合速度を保持したものの、解離速度が上昇したのに対し、fH67R341A,H337Aは解離速度が野生型の相互作用とより類似していたが、結合速度が大きく低下した(図1e)。
異なるファミリーのfHbpは共通の結合特性を持っている
N.meningitidis株は変異体1、変異体2および変異体3の3つの変異体ファミリーの1つに属する1種のfHbpを発現する。我々の研究は、変異体1のfHbpが疾患分離株に最も多く見られるファミリーであるためこれに着目した。図(Fig)7は、複合体の構造にマップした3つのファミリー間の配列の変化を示しており、配列保存のレベルは高いものの(>60%同一)、fH−結合部位付近に大きな変化がある。このため、異なるfHbpファミリー間でfH認識モードが保存されているかどうか、さらに結合にとって同一のfHbp残基およびfH残基が重要であるかどうかを判定した。これは、fHbpの結合を抑制した変異体を作製し、ワクチンとして評価するために必要不可欠な情報である。
そこで我々は、変異体2および変異体3のfHbpのクローニング、発現および精製を行い、fHとの相互作用の特徴付けを開始した(図8)。我々のこれまでのSPR試験からは、認識モードが似ており、親和性が同程度であり、fHの同一残基の変異が全ファミリーのfHbpの結合に著しい影響を与えることが示されている(図示せず)。特記される点として、Neisseria gonorrhoeaeのfHbpホモログ(NGO0033)は変異体3に非常に近い(91%アミノ酸同一性)にもかかわらず、その精製されたタンパク質はfHと強く相互作用できない(図8)。
fHbp E283A,E304Aミュータントはその原子構造を保持している
fHbp E283A,E304Aミュータント(二重変異体、DM)がナノモル(nM)範囲の解離定数(KD)でfH67と結合できない理由として、アミノ酸の変化によりタンパク質の全体構造が破壊されていることが考えられる。それを明らかにするため、fHbp E283A,E304AミュータントとfH67との複合体の結晶構造を決定した。
その結果からは、fHbpの構造が変化したのは変異した側鎖のみであったことが確認される(図9B)。さらに我々はfH5、6、7および全長fHへの結合におけるこうした変異の意義を判定した(図9CおよびD)。fHは10nM範囲の濃度で野生型タンパク質と相互作用し得ることから、全長fHに対する親和性はより小さいフラグメント(たとえばfH5、6、7)に対する親和性と同じ範囲であることが示唆される。しかしながら、野生型タンパク質に比べてfHbp E283A,E304Aタンパク質の結合親和性は劇的に低下する。
殺菌抗体を惹起するH因子結合タンパク質の公表されているエピトープ(Giuliani et al.(2005)Infect Immun 73,1151−60; Cantini et al.(2006)J Biol Chem 281,7220−7)を構造にマップしたところ、これまでに特徴付けを行ったエピトープ部位でH因子認識部位そのものに存在するものはないことが明らかにされている。しかしながら、因子の結合に影響を与え抗体により認識されるエピトープは認識部位の周辺にあるため、立体障害によりH因子との結合を阻害する可能性が高い(図5)。
fHbpの一重および二重変異体はその免疫原性を保持している
E283AおよびE304Aのアミノ酸変化の影響を調べるため、これらの置換を別々に含むfHbp変異体1のタンパク質(すなわちfHbpE283AおよびfHbpE304A)、あるいは組み合わせて含むfHbp変異体1のタンパク質(fHbpE283A,E304A)を発現させ、精製した。野生型fHbpおよびこれらのタンパク質を使用してマウス群(5/群)を免疫し、免疫血清中の殺菌抗体の存在を測定した。結果(表1)を、野生型の血清型B N.meningitidis(株H44/76)を50%またはそれ以上殺傷する血清の最大希釈倍数の逆数で表す。免疫前血清に殺傷作用はなかった。
この結果から、ミュータントタンパク質は血清型B N.meningitidisに対するSBA価を惹起する能力が野生型タンパク質と少なくとも同等であることが示される。
方法
ウエスタンブロット解析:タンパク質サンプルをSDS−PAGEにより分離し、次いで15Vで60分間PVDF膜にトランスファーした。膜を、5%ミルクを加えたPBSで4℃にて一晩ブロッキングし、PBSTM(PBS、0.05%Tween20、0.5%スキムミルク)で1回リンスしてから、一次抗体またはfHの供給源と1〜2時間室温でインキュベートした。PBSTMで3回洗浄後、PBS中、膜をヤギα−ヒトfH pAb(最終希釈倍率1:1000)またはマウスのα−fHbp pAb(最終希釈倍率1:10,000)とインキュベートした。結合をα−ウサギペルオキシダーゼコンジュゲートIgG(Dakocytomation)で検出し、1:500に希釈して使用した。
フローサイトメトリー解析:合計10のN.meningitidisを10μlの精製されたfH(2μM)または各CCP(最終濃度、3mM)と30分間37℃でインキュベートした。PBS−0.1%Tween20(PBST)で3回洗浄後、PBS中、細菌をmAb MRC 0X241またはα−ヒトH因子pAbと30分間インキュベートした。PBSTで3回洗浄後、細胞をFITCコンジュゲート二次抗体と30分間暗所にて4℃でインキュベートした。FACS Calibur analyser(Becton Dickinson)を用いて、髄膜炎菌に結合したH因子(Factor H)をフローサイトメトリーにより検出した。阻害アッセイでは、前述のCCP67の濃度を上げながら全長H因子を細菌とインキュベートした。
各タンパク質の発現および複合体の精製:H因子結合タンパク質およびその切断型を、C末端にポリヒスチジンタグを付加した融合タンパク質としてE.coli BL21(DE3)宿主細胞に発現させた(Masignani et al(2003)J Exp Med Vol 197,No 6,789−97)。菌株の培養液を対数増殖中期まで増殖させ、イソプロピル−D−チオガラクトシド(IPTG:isopropyl−D−thiogalactoside、1mMの最終濃度)で発現を誘導した。製造者(GE Healthcare)の指示に従いHis−Trapカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィーによりタンパク質を精製し、250mMのイミダゾールでカラムから溶出した。H因子(Factor H)コンストラクトを以前に記載されている(2つのCCPフラグメント(fragment)内の4つのジスルフィド結合が正しく形成できるようにリフォールディングする)ようにE.coliに発現させ、ヘパリンカラムを用いたアフィニティー精製あるいはサイズ排除クロマトグラフィーにより精製した。fHbpとfH67(大過剰モル量)との混合後、複合体をサイズ排除クロマトグラフィー(Superdex S−200、GE Healthcare Inc.、緩衝液トリス、pH7.5、150mMのNaCl)により精製したところ、複合体を形成していないfH67とカラムマトリックスとの間に見られる強い相互作用により、複合体を含むピークおよび過剰fH67を含むピークが十分に分離されていることが確認された。SDS−PAGEおよび質量分析法により推定複合体ピークに両方のタンパク質が存在することが確認された(データ示さず)。
部位特異的変異導入:QuikChange部位特異的変異誘発キット(Stratagene)を用いて二重変異体を連続的に作製した。fH67のR341A,H337A二重変異体型は以下のプライマーを用いて作製した:
突然変異の導入はシーケンシングにより確認した。以前に記載されているように組換えミュータントfH67フラグメントを封入体に発現させ、封入体からリフォールディングした(Prosser et al(2007)Acta Crystallogr Sect F Struct Biol Cryst Common Jun l:63(PT6):480−3)。
E283A,E304A H因子結合タンパク質の作製には下記プライマーを使用し、そのタンパク質を発現させ、上記のように精製した:
表面プラズモン共鳴:標準的なアミンカップリングプロトコルを使用してH因子結合タンパク質あるいはH因子コンストラクトをセンサー表面(CM5チップ)に結合した。次いで適切なリガンドを流速40μl/minで流体相中に流動させた。高/低濃度塩(0〜3MのNaCl)あるいは極端なpH(4〜8の範囲を試験)を用いても強い相互作用が破壊されなかったため、各注入間に長い解離時間(60分)を使用した。より大きいH因子結合タンパク質を含む流体相から得られたデータは単純な1:1モデルを用いてうまくフィッティングできなかった(チップマトリックス内/外へのより大きなタンパク質の移動、またはより小さなタンパク質のチップ表面へのカップリングにより起こるH因子との結合部位における立体障害の問題に起因すると考えられる)が、平衡近傍の値の粗分析によれば、KDは数十から数百nMの範囲(使用したH因子コンストラクトによる)であることが示唆された。(チップ上のfHとの)相互作用を除去すると、データはχが約3の1:1ラングミュアモデルを用いてうまくフィッティングできることから(図1f)、CCP6を含むコンストラクトの真のKDは5nM程度であることが明らかになった(図1fを参照)。さらにチップ表面に結合したfHbpパートーナー(チャネル1に結合したfHbpWTは約800RU、チャネル2に結合したfHbpE283A,E304Aは約1500RU)を用いて、fH67およびH因子結合タンパク質二重変異体を解析した。そこでfH67(WTおよびミュータント)を50μMの濃度(約10×ネイティブK)で流動させた(flown)ところ、WTの対合で見られる相互作用の大きさに比べてミュータントとそのWTパートーナーではほとんど相互作用がないか、まったく相互作用がないことが明らかになった。fHbpWTに対するfH67R341A,H337Aの親和性の算出には、濃度範囲250nM〜20μMにわたる一連の注入(2回ずつ)を使用して、BiaEvaluationソフトウェアを用いてフィッティングさせて図1fに示す値を得た。
結晶化およびX線データの収集:結晶は、シッティングドロップ蒸気拡散法を使用して0.2μlの複合体+0.2μlの母液のドロップ(吸光係数を2.2と想定して計算した4.5mg/mlの複合体、JCSG−plusの条件15、20%ポリエチレングリコール6000MW、0.1Mのビシン pH9.0前後で最適化した母液)から成長させた。結晶を回収し、SDS−PAGEによりfH67およびH因子結合タンパク質が共に存在することが確認された(データ示さず)。結晶(通常50×10×5μm)を15%エチレングリコールで凍結保護してから液体窒素で急速凍結した。データは、ESRFとDiamondのどちらかを利用して回転法にてESRFとDiamondとで収集した。振動角は0.5または1°の範囲、結晶は120Kに保った。ネイティブP1データはビームラインID14eh4(ESRF)、λ=0.9523Åで収集、ネイティブC2およびPtセットはビームラインI03(Diamond)、λ=0.9814Åで収集、HgセットはビームラインBM14(ESRF)、λ=1.003Åで、S−SADはビームラインID29(ESRF)λ=1.8Åで収集した。データは、xia2の−3dオプションを用い、統合にはプログラムXDS4、フレーム間のスケーリングにはプログラムScala5を強制使用して統合およびスケーリングを行った。
構造決定および精密化:fh67/fHbp複合体の構造は、fh67の構造(fH678とスクロースオクタスルファート、SOS(sucrose octasulphate)との複合体の初期構造、PDBID:2UWNから取得)の分子置換と、Pt、Hg誘導体、およびC2非対称単位中に存在する33個のイオウのうち31個の異常散乱を用いたMIRAS法とを組み合わせてC2結晶型で決定した。MolRep7(CCP4 Program Suite)を用いてfH67の3つのコピーを確認し、この2つのCCPドメインの剛体を、Buster−TNTを使用して位置を特定できない原子をモデルリングせずに精密化した。次いでこれらの位相をSHARPの位相計算ジョブに組み込み、これを用いて他の結晶の重原子位置(6個のPt、1個のHgおよび31個のS)を特定した。3.2Åまでのデータを用いてこの重原子モデルをSHARP(結晶ごとにWilson値に固定されたB因子)で精密化し、得られた位相をSHARP内で分子置換による位相と組み合わせてフィギャーオブメリットが0.54(最も高い分解能のシェル3.3〜3.2Åでは0.35)の位相を得た。各誘導体の位相決定能は、Ptが(アノマラス(anomalous)/アイソモルファス(isomorphous))0.7/2.4、Hgが0.2/0.3、イオウの異常なシグナルが0.3/0.0であった。これらの位相を使用して得たマップをSHARP内で溶媒平坦化し、H因子結合タンパク質、H因子(Factor H)CCP6およびH因子CCP7の領域の3種のオペレーターを用いてDMで平均化した。H因子結合タンパク質のC末端バレルのNMRモデル(Cantini et al(2006)J Biol Chem Mar 17:281(ll):7220−7)がこの密度図に当てはめられなかった(ストランドが変形したと見られる)ため、プログラムCootを用いて手作業でモデルを構築した。40〜2.35Åの範囲のデータを使用して修正および精密化を進め、非結晶学的対称性(non crystallographic symmetry)を用いてCootおよびBuster−TNTで各ドメインのコアを制限する一方、ループ領域の間ではR/Rfreeが25.5/27.1になるまで変化の増加を許容したが、ラマチャンドランプロットの非許容領域に残基は存在しなかった(最適領域をMolProbityで測定すると94.6%)。このモデルはfH67の全残基、およびH因子結合タンパク質のN末端の5残基を除く全残基、および分子の全コピーにおいて無秩序状態にある親和性タグの6個のヒスチジンを含む。プログラムMolRepを用いて個々のドメイン(H因子CCP6およびCCP7ならびにH因子結合タンパク質)の分子置換を行い、P1結晶型を決定した(パッキング構造が異なる複合体の独立した4つのコピー)。Coot/Buster−TNTを用いてループ領域のわずかな修正および精密化(90〜2.35Å)を行ったところR/Rfreeは23.2/26.3となり、やはりラマチャンドランプロットの非許容領域に残基は存在しなかった(最適領域で95.3%)。構造図はプログラムPyMolを使用して描画する。
免疫化プロトコル
7週齢のBALB/cマウスに0日目および10日目に、フロイントアジュバント(Freunds’ adjuvant)と共に精製fHbpを皮下経路により、あるいはミュータントfHbpを皮下に免疫した。各動物には、PBSに溶かした25マイクログラムのタンパク質を等量のアジュバントと共に全量200マイクロリットルとして投与した。14日目に動物を屠殺し、マウスから血清を採取しプールしてから、小分けにして−80℃で保存した。
血清殺菌活性(SBA)
血清型B Neisseria meningitdis株H44/76を固体培地で一晩増殖させ、PBSに回収し、コロニー形成単位の数を定量した。血清の希釈系列を細菌(SBA緩衝液中に104CFU)および幼令ウサギ補体(Pelfreeze、最終希釈率1:8)に1時間加え、固体培地に蒔いて生存細菌数を判定した。

Claims (8)

  1. Neisseria meningitidisおよび/またはNeisseria gonorrhoeaeによる感染または疾患を治療または防止するための、H因子結合タンパク質を含む免疫原性組成物であって、該H因子結合タンパク質は、配列番号1において、アミノ酸283がアラニンであり、アミノ酸304がアラニンである配列を有する、組成物。
  2. 前記H因子結合タンパク質はNeisseria meningitidisまたはNeisseria gonorrhoeae由来である、請求項1に記載の組成物。
  3. 改変された前記H因子結合タンパク質へのH因子の結合は、配列番号1のH因子結合タンパク質へのH因子の結合よりも少なくとも5倍少ない、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記変えられている個のアミノ酸は、前記H因子結合タンパク質がH因子と複合体で存在する場合、前記単離された野生型H因子結合タンパク質と比較して表面露出が減少するアミノ酸残基である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 改変された前記H因子結合タンパク質に加えて、1または複数の抗原をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. Neisseria meningitidisおよび/またはNeisseria gonorrhoeaeに対する防御免疫応答を惹起することができる、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
  7. N.meningitidisまたはNeisseria gonorrhoeaeに対する予防または治療ワクチンとして使用するためのものである、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物、および薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤を含む、医薬組成物。
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