JP5674047B2 - コレシストキニン分泌促進剤 - Google Patents

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Description

本発明は、コレシストキニン分泌促進剤に関する。
近年、様々な面での環境変化によりメタボリックシンドロームを心配する人々が増えてきている。メタボリックシンドロームは各種疾病のリスクを高めるため、その改善は社会的な課題である。予防方法としては、食生活の改善、適度な運動の継続、摂取カロリーのコントロールなどが挙げられる。しかしながら、食生活の改善は専門的な知識を必要とし、適度な運動は十分な時間が取れないなどの理由により、いずれも容易ではない。よって、摂取カロリーのコントロールが、最も継続しやすい簡便なダイエット方法である。
カロリーコントロールのためには、食事ごとに食事量を減らす方法が挙げられる。しかし、無理に食事量を減らすことはストレスを伴う場合が多く、リバウンドの原因にもなり得る。ストレスを感じることなく食事量を減らすためには、少量の食事でも満腹感が得られ、食後の満腹感を持続させることが重要である。
食事摂取により生体内では、満腹感を刺激し得る種々のペプチドが放出される。コレシストキニン(以下、「CCK」ともいう)は人の満腹感の重要な制御因子であり、食後のCCK放出は、胃内容排出遅延、食欲抑制に関する脳の受容体の活性化などによる種々の満腹効果を生み出す。したがって、生理的な条件で血中のCCKレベルを高濃度に維持することは、満腹感による比較的少量の食事摂取を可能にし、肥満対策に重要な役割を担うことが期待できる。しかしながら、CCK自体は胃の酵素によって不活性化されるという大きな欠点があるため、直接CCKの濃度を高めるには血中への投与に頼らざるをえない。そこで、CCK自体を投与するのではなく、何らかの食事因子により生体自らがCCKの分泌を促進する手段を開発することが望ましい。
CCK分泌を促進する食事因子として、種々の成分または組成物が報告されている。例えば、特許文献1には、a)カゼイン、乳清および大豆からなる群から選択されるタンパク質、b)グリコマクロペプチドまたはカゼインマクロペプチド、c)長鎖脂肪酸(C12からC18)、ならびに、d)可溶性繊維あるいは不溶性繊維またはその混合物を含む組成物;特許文献2には、大豆β−コングリシニンのペプシン分解物;特許文献3には、ホエイタンパク質およびホエイタンパク質加水分解物;特許文献4には、ホエイタンパク質加水分解物;そして特許文献5には、乳漿蛋白の加水分解物から得られるペプチドの利用が記載されている。特許文献6には、CCK放出を刺激することによって満腹感を高めるトリプシンインヒビターの経口投与が開示されている。トリプシンインヒビターは、CCKの分泌のための負のフィードバックシグナルを抑制することによって作用すると推定される。この方法で、トリプシンインヒビターはCCKの濃度を維持し、それによって満腹感を持続する。特許文献7には、ポテトプロテナーゼ阻害剤II(PI2)が、血漿中のCCK濃度を高めることが示されている。特許文献8には、酵母の熱水抽出により得られる抽出液または抽出物がCCK分泌を促進する旨が記載されている。
特表2003−523368号公報 特開2004−10569号公報 特表2005−538704号公報 特表2006−510367号公報 特表2006−514083号公報 米国特許第4,491,578号明細書 特表2008−533013号公報 特開2009−84191号公報
本発明は、満腹感の重要な制御因子であるコレシストキニンの分泌を促進するのに有用な因子を提供することを目的とする。
本発明は、ジャガイモ抽出物を含むコレシストキニン分泌促進剤を提供する。
本発明によれば、新規なコレシストキニン分泌促進剤が提供される。このコレシストキニン分泌促進剤は、満腹感を与え、食欲を抑制する手段として有用であり得、そして医薬品および飲食品に好適に利用され得る。
ジャガイモ抽出物処理ラットおよびダイズトリプシンインヒビター処理ラットの給餌後1、2、3および6時間後における摂食量を棒グラフにて表した図である。 ジャガイモ抽出物、ダイズトリプシンインヒビター、およびダイズβコングリシニンペプトンのそれぞれの処理によるマウス小腸由来のCCK産生細胞株STC−1のCCK分泌量を棒グラフにて表した図である。 ジャガイモ抽出物、ジャガイモ抽出物HP20非吸着画分、ジャガイモ抽出物HP20吸着−20%エタノール溶出画分、およびジャガイモ抽出物HP20吸着−80%エタノール溶出画分のそれぞれの処理によるマウス小腸由来のCCK産生細胞株STC−1のCCK分泌量を棒グラフにて表した図である。 ジャガイモ抽出物(5mg/ml)、ならびに0.225mg/mlまたは0.113mg/mlのジャガイモ抽出物HP20吸着−80%エタノール溶出画分のそれぞれの処理によるマウス小腸由来のCCK産生細胞株STC−1のCCK分泌量を棒グラフにて表した図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定して解釈すべきではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
ジャガイモ抽出物の原料となるジャガイモの品種は特に限定されず、例えば男爵薯、メークイン、キタアカリ、とうや、トヨシロ、インカのめざめ、デジマ、十勝こがねなどを用いることができる。ジャガイモの産地もまた特に限定されないが、北海道産のジャガイモが好ましい。また、生の(例えば、採取2日以内の未加工の)ジャガイモが原料として好ましい。
ジャガイモ抽出物の製造方法には特段の制限はなく、通常食品の製造において使用可能な抽出方法、抽出溶媒、製造助剤などを用いることができる。
一実施形態では、ジャガイモ抽出物は、以下に説明するように調製され得る。まず、ジャガイモの可食部(塊茎)を粉砕し搾汁して得られる液状物に抽出溶媒(酸)を添加してpHを酸性に調整し、次いで加熱下で溶媒抽出を行い得る。抽出溶媒として用いられ得る酸としては、一般に、塩酸、酢酸、硫酸、ギ酸、クエン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。添加する酸の量または濃度は、pHが一般に2〜5、好ましくは3〜4となるような量または濃度で適宜設定され得る。溶媒抽出は、一般に70〜90℃にて10〜60分、好ましくは75〜85℃にて10〜20分で行われ得る。溶媒抽出後、遠心分離、濾過などの適当な分離手段により沈殿物または不溶性画分を除き、上清または可溶性画分を回収し得る。さらに、上記抽出後の沈殿物または不溶性画分について再度同様の抽出処理を行って、上清または可溶性画分を回収することもできる。
回収された上清または可溶性画分(すなわち、ジャガイモ抽出液)から、膜処理により分子量が1万以上の画分を分離および回収し、続いて、冷却した上記抽出液に苛性ソーダを添加してpHを中性またはその付近に調整して、ジャガイモ抽出物を取得し得る。分子量分画のための膜処理としては、限外濾過膜処理、ゲル濾過膜処理が挙げられ、好ましくは限外濾過膜処理である。
ジャガイモ抽出物は、さらに、乾燥手段、粉砕手段などの処理に供してもよい。乾燥法としては、公知の任意の方法が用いられ得るが、例えば、風乾法、加熱乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法などが挙げられる。ジャガイモ抽出物は、例えば、賦型剤(例えば、デキストリン)を添加し、それをスプレードライなどにより乾燥し得る。粉砕法は、例えば、粉砕機や摩砕機を使用して微粉末化または微粒化するなどの手段を含む。
ジャガイモ抽出物は、液状または溶媒除去した固形のいずれの形態でも用いられ得る。
本発明には、株式会社東洋新薬製のジャガイモ抽出物が、好ましく用いられ得る。
ジャガイモ抽出物は、CCKの分泌を直接的に刺激し、促進し得る。動物(ヒトを含む)の生体内のCCK分泌促進作用については、CCK分泌阻害因子であるトリプシンの作用を阻害することによるCCK分泌阻害の抑制が公知であるが、ジャガイモ抽出物では、CCKを産生し得る細胞からのCCK産生および分泌自体の刺激および促進効果が期待できる。CCK分泌促進作用は、吸着剤HP20に吸着し、80%(v/v)エタノールにて溶出されるジャガイモ抽出物の成分に起因し得る。本発明によれば、ジャガイモ抽出物をCCK分泌促進剤として使用し得、そしてジャガイモ抽出物を含むCCK分泌促進剤が提供される。
本発明のCCK分泌促進剤は、その投与または摂取により、対象動物(ヒトを含む)に満腹感を与え、食欲を抑制させ得る。本発明のCCK分泌促進剤は、CCK分泌の増大によって改善される任意の症状の予防および治療にも有用であり得る。
本発明のCCK分泌促進剤は、単独で、または種々の栄養成分、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、栄養補助剤、調味料などと混合して、経口投与または摂取用の組成物として調製され得る。
本発明のCCK分泌促進剤の配合量は、配合される製品の種類または剤形、投与または摂取の対象の年齢、性別、体重または状態、投与または摂取の方法、時期または時間などに応じて適宜設定され得る。
本発明のCCK分泌促進剤の投与量は、例えば、健康食品などの飲食品として摂取する場合には、有効成分として、通常成人1人につき1日1回当たり10〜2000mg、好ましくは100〜1000mg、特に好ましくは300〜1000mgであり得る。CCK分泌促進剤の投与時期は、食前、食間および食後のいずれでもよいが、食事前2時間以内、食事直前または食事直後が好ましい。数回に分けて投与してもよい。
経口投与または摂取用の組成物は、需要者の嗜好に合わせて、ハードカプセル、ソフトカプセルのようなカプセル剤、錠剤、丸剤などの剤形、または粉末状、顆粒状、飴状などの形状に成形され得る。また、溶液、懸濁液、または乳液のような液状の剤形もしくは形状にも調製され得る。
本発明のCCK分泌促進剤は、医薬品、医薬部外品、特定保健用食品、栄養補助食品、その他の飲食品などとして用いる、あるいはこれらに配合して用いることができる。
経口投与または摂取用の組成物、あるいはその配合製品は、剤形もしくは形状または好みに応じて、そのまま食されても良いし、水、湯、牛乳、豆乳、茶、ジュースなどに溶かして飲んでも良い。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
以下の実施例では、ジャガイモ抽出物として、株式会社東洋新薬製のジャガイモ抽出物を用いた。
(実施例1:ジャガイモ抽出物の食欲抑制作用)
ジャガイモ抽出物およびダイズトリプシンインヒビター(SBTI:Sigma Type II-S、Sigma社製)について、ラットの食欲抑制に関する効果を調べた。SBTIは、CCKの放出を増大し、その結果、摂食量を低下させることが報告されている(特許文献6)。
食欲抑制試験の手順を以下に説明する:
動物:SD系雄ラット、8週齢
飼料:AIN-93G(Reeves PG, Nielsen FH, Fahey GC Jr. AIN-93 purified diets for laboratory rodents: final report of the American Institute of Nutrition ad hoc writing committee on the reformulation of the AIN-76A rodent diet. J Nutr 123: 1939-51, 1993に基づき調製)
明暗周期(逆転):暗期10:00-22:00、明期22:00-10:00
12時間絶食後、暗期に入る直前に、水2mlに溶解した試験物質溶液をフィーディングチューブにてラットに経口(胃内)投与した。その後、AIN-93G飼料を再給餌した。給餌後1、2、3および6時間後に摂食量を測定した。試験物質として、ラット一個体あたり100mgのジャガイモ抽出物またはSBTIを用いた(水のみの投与を陰性コントロールとした)。
この結果を図1に示す。図1は、ジャガイモ抽出物処理およびダイズトリプシンインヒビター処理による給餌後1、2、3および6時間後におけるラットの摂食量を棒グラフにて表した図である。縦軸に摂食量をg単位で表し、そして横軸に給餌後の経過時間(時間)を表す。同時間区内で、左から順に、陰性コントロール(水のみの投与)、SBTI処理、そしてジャガイモ抽出物処理の結果を示す。結果の値は、平均値+標準誤差である(n=11)。図中のaおよびbは、ダンカンの多群間有意差検定において、異なるアルファベットを有する記号の表示で、同じ経過時間区内の処理群の間で有意差があることを示す(P<0.05)。
図1に示されるように、水のみの投与である陰性コントロールに比較して、SBTI投与では、1〜6時間後まで有意に摂食量の低下を引き起こした。ジャガイモ抽出物投与でも摂食量の低下を引き起こし、1時間後および3時間後には有意な摂食量の低下が見られた。なお、タンパク含量は、SBTIは試薬グレードの純品であるのに対し、ジャガイモ抽出物は約20%(ケルダール法による測定)であった。
以上のように、ジャガイモ抽出物およびSBTIともに100mg投与で、持続的な摂食量低下が観察された。
(実施例2:ジャガイモ抽出物のCCK分泌促進作用)
CCK分泌試験を以下の手順で行った。まず、マウス小腸由来のCCK産生細胞株STC−1(Dr. D. Hanahan, University of California, San Francisco, CAより提供)を、48ウェルプレート中で、10%ウシ胎児血清(FBS)を含むダルベッコ改変イーグル培地にて、37℃、5%CO存在下、サブコンフルエントになるまで2〜3日間培養した。続いて、ウェルから培養培地を取り除き、Hepesバッファー(140mM NaCl、4.5mM KCl、20mM Hepes、1.2mM CaCl2、1.2mM MgCl2、10mM D-グルコース、0.1% ウシ血清アルブミン(BSA)、pH 7.4)にてウェル中で細胞を洗浄した後、Hepesバッファーに溶解した試験物質溶液100μlを各ウェルに添加し、37℃にて60分間インキュベートした。上清を回収し、800×gで4℃にて5分間、遠心分離して細胞を沈殿させ、その上清80μlを回収し、凍結保存した。凍結保存した上清を適宜解凍し、上清中のCCK濃度を、市販のELISAキット(Phoenix Pharmaceuticals Inc社製)を用いて定量した。上清中のCCK濃度(pM)をCCK産生細胞株STC−1からのCCK分泌量とした。
試験物質として、以下を用いた:
ジャガイモ抽出物(1、5、10および20mg/ml);
SBTI(Sigma Type II-S、Sigma社製;1、5、10および20mg/ml);および
ダイズβコングリシニンペプトン(BconP:ダイズβ−コングリシニンのペプシン加水分解物:β−コングリシニン(不二製油株式会社製)をリン酸溶液と混合してpH 1.85に調整し、ペプシン(SIGMA社製)を基質に対して0.5質量%で添加して37℃にて10分間反応させ、煮沸によりペプシンを失活させた後、遠心上清を中和、脱塩したもの);5mg/ml;陽性コントロールとして使用)。
この結果を図2に示す。図2は、ジャガイモ抽出物、ダイズトリプシンインヒビター、およびダイズβコングリシニンペプトンのそれぞれの処理によるマウス小腸由来のCCK産生細胞株STC−1のCCK分泌量を棒グラフにて表した図である。縦軸にCCK分泌量をpM単位で表し、そして横軸では、「CN」が陰性コントロール区(試験物質添加なし)の結果、「BconP」が5mg/mlのダイズβコングリシニンペプトン処理区の結果、「SBTI」がダイズトリプシンインヒビター処理区(1、5、10および20mg/ml)の結果、そして「ジャガイモ抽出物」がジャガイモ抽出物処理区(1、5、10および20mg/ml)の結果を示す。結果の値は、平均値+標準誤差である(n=3〜4)。図中のa、bおよびcは、ダンカンの多群間有意差検定において、異なるアルファベットを有する記号の表示で、処理群の間で有意差があることを示す(P<0.05)。
図2に示されるように、SBTIにはCCK分泌促進活性が見られなかったのに対し、ジャガイモ抽出物は、濃度依存的にCCK分泌促進活性を示した。ジャガイモ抽出物は、5mg/mlの濃度において、陽性コントロールであるBconPと同程度のCCK分泌促進活性を示した。
以上のように、CCKの放出の増大が報告されているトリプシンインヒビターであるSBTIにはCCK分泌促進活性が見られなかったのに対し、ジャガイモ抽出物が強いCCK分泌促進活性を有することが見出された。
なお、ジャガイモ抽出物およびSBTIのそれぞれについて、トリプシン阻害活性を、合成基質ベンゾイルアルギニン-p-ニトロアニリド(BAPNA)を用いて調べた。50%阻害において、SBTIは、ジャガイモ抽出物の10倍以上(20〜30倍)のトリプシン阻害活性を有していた。SBTI 50mgでも、ジャガイモ抽出物100mgよりも高いトリプシン阻害活性を有していた。
したがって、ジャガイモ抽出物のCCK分泌促進作用には、トリプシン阻害活性とは異なる要因の寄与が考えられる。
(実施例3:吸着剤HP20を用いたカラムクロマトグラフィーによるジャガイモ抽出物の分画物のCCK分泌促進作用)
試験物質として以下を用いたこと以外は、実施例2と同様の試験を行った。
本実施例において用いた試験物質は、以下の通りである:
ジャガイモ抽出物(5mg/ml);
ジャガイモ抽出物HP20非吸着画分(3.72mg/ml、ジャガイモ抽出物の5mg/ml分に相当;
ジャガイモ抽出物HP20吸着−20%エタノール溶出画分(0.59mg/ml、ジャガイモ抽出物の5mg/ml分に相当);および
ジャガイモ抽出物HP20吸着−80%エタノール溶出画分(0.23mg/ml、ジャガイモ抽出物の5mg/ml分に相当)。
上記の試験物質の調製について、以下に説明する。Diaion HP20(三菱化学製)を充填したカラムに、ジャガイモ抽出物を通して吸着させ、純水で洗浄した。次いで、20%(v/v)エタノールおよび80%(v/v)エタノールを順次カラムに通して吸着物を溶出させた。カラム吸着操作の際に流出した非吸着液と純水による洗浄で流出した洗浄液とを合わせたもの、20%(v/v)エタノールによる溶出液、および80%(v/v)エタノールによる溶出液をそれぞれ濃縮後、凍結乾燥し、ジャガイモ抽出物HP20非吸着画分、ジャガイモ抽出物HP20吸着−20%エタノール溶出画分、およびジャガイモ抽出物HP20吸着−80%エタノール溶出画分とした。収率はそれぞれ、分画に用いたジャガイモ抽出物の74.4%、11.7%および4.5%に相当した。
この結果を図3に示す。図3は、ジャガイモ抽出物、ジャガイモ抽出物HP20非吸着画分、ジャガイモ抽出物HP20吸着−20%エタノール溶出画分、およびジャガイモ抽出物HP20吸着−80%エタノール溶出画分のそれぞれの処理によるマウス小腸由来のCCK産生細胞株STC−1のCCK分泌量を棒グラフにて表した図である。縦軸にCCK分泌量をpM単位で表し、そして横軸では、「Blank」が陰性コントロール区(試験物質添加なし)の結果、「ジャガイモ抽出物」がジャガイモ抽出物処理区の結果、「HP20非吸着画分」がジャガイモ抽出物HP20非吸着画分処理区の結果、「HP20吸着−20%エタノール溶出画分」がジャガイモ抽出物HP20吸着−20%エタノール溶出画分処理区の結果、そして「HP20吸着−80%エタノール溶出画分」がジャガイモ抽出物HP20吸着−80%エタノール溶出画分処理区の結果を示す。結果の値は、平均値+標準誤差である(n=3〜4)。図中のa、bおよびcは、ダンカンの多群間有意差検定において、異なるアルファベットを有する記号の表示で、処理群の間で有意差があることを示す(P<0.05)。
ジャガイモ抽出物HP20吸着−80%エタノール溶出画分処理区では、0.23mg/mlという低い濃度にも関わらず、高いCCK分泌促進活性が見られた。ジャガイモ抽出物HP20非吸着画分処理区およびジャガイモ抽出物HP20吸着−20%エタノール溶出画分処理区では、有意なCCK分泌促進効果が見られなかった。
(実施例4:ジャガイモ抽出物HP20吸着−80%エタノール溶出画分のCCK分泌促進作用に対する濃度依存性)
試験物質として以下を用いたこと以外は、実施例2と同様の試験を行った。
本実施例において用いた試験物質は、以下の通りである:
ジャガイモ抽出物(5mg/ml)
ジャガイモ抽出物HP20吸着−80%エタノール溶出画分
0.225mg/ml(実施例3と同様にして調製した。ジャガイモ抽出物の5mg/ml分に相当)
0.113mg/ml(上記0.225mg/mlの調製物をHepesバッファーで2倍希釈した)
この結果を図4に示す。図4は、ジャガイモ抽出物(5mg/ml)、ならびに0.225mg/mlまたは0.113mg/mlのジャガイモ抽出物HP20吸着−80%エタノール溶出画分のそれぞれの処理によるマウス小腸由来のCCK産生細胞株STC−1のCCK分泌量を棒グラフにて表した図である。縦軸にCCK分泌量をpM単位で表し、そして横軸では、「Blank」が陰性コントロール区(試験物質添加なし)の結果、「ジャガイモ抽出物5mg/ml」がジャガイモ抽出物(5mg/ml)処理区の結果、「HP20吸着−80%エタノール溶出画分」の「0.113mg/ml」が0.113mg/mlのジャガイモ抽出物HP20吸着−80%エタノール溶出画分処理区の結果、そして「0.225mg/ml」が0.225mg/mlのジャガイモ抽出物HP20吸着−80%エタノール溶出画分処理区の結果を示す。結果の値は、平均値+標準誤差である(n=3〜4)。図中のa、bおよびcは、ダンカンの多群間有意差検定において、異なるアルファベットを有する記号の表示で、処理群の間で有意差があることを示す(P<0.05)。
ジャガイモ抽出物HP20吸着−80%エタノール溶出画分は、濃度依存的にCCK分泌を促進した。ジャガイモ抽出物HP20吸着−80%エタノール溶出画分では0.113mg/mlという低い濃度でも、ジャガイモ抽出物(5mg/ml)処理区と匹敵するCCK分泌促進活性が見られた。
ジャガイモ抽出物は、そのコレシストキニン分泌促進作用に基づき、これを投与または摂取した対象動物(ヒトを含む)に満腹感を与えることをもって、食欲を抑制する手段として有用であり得る。このようなジャガイモ抽出物を含むコレシストキニン分泌促進剤は、医薬品および飲食品への広範な利用が可能である。また、本発明の知見は、社会的な課題でもあるメタボリックシンドロームの改善にも役立ち得る。

Claims (1)

  1. スチレン−ジビニルベンゼン系合成樹脂に吸着し、80%エタノール水溶液にて溶出されるジャガイモ抽出物を有効成分とするコレシストキニン分泌促進剤。
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