JP5671209B2 - マトリックスタンパク質の光活性化架橋結合による組織の結合および/または密閉 - Google Patents

マトリックスタンパク質の光活性化架橋結合による組織の結合および/または密閉 Download PDF

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Description

本発明は、外科的手技および医学的な方法において組織を結合させるかつ/または密閉する方法、ならびに当該方法における使用のための組成物に関する。
組織接着剤が、外科的手技における、縫合糸および止め金等、組織を結合させる物理的な手段の代替物として提案されている。組織接着剤は、適用例にもよるが、傷口または組織が分離した領域を一緒に保持して、治癒を可能にするかつ/または漏出の障壁として役立つであろう。接着剤は、分解または再吸収される必要があり、自然治癒の過程が進行するのを妨げるものであってはならない。理想的には、接着剤は、創傷治癒の自然の機構を促進し、次いで、分解するものであるべきである。
組織接着剤は、通常、
i)止血(例えば、in vivoにおいて血液凝固系を改良することによって、組織接着性自体が止血の目的を有し、このことが患者の血液凝固機構に結び付く)、
ii)組織の密閉:主たる目的は、空気またはリンパ液等、種々の物質の漏出を阻止することである、
iii)医薬品、増殖因子または細胞系等、外因性物質の局所送達
の3つの分野で利用される。
いくつかのクラスの組織接着剤が調査されたり、使用されたりしている:
−フィブリンシーラント(別名、フィブリン糊とも呼ばれる)、
−アルブミンに基づく化合物(グルタルアルデヒド糊)、
−シアノアクリレート、
−ヒドロゲル(ポリエチレングリコールポリマー)、
−コラーゲンに基づく接着剤。
フィブリン糊は、1909年に、止血のために最初に使用された。フィブリン糊は、当初は、外科医によって手術室で手作りされたが、1980年代前半に、欧州で市販されるようになり、今では、広範に使用されている。全体的に見て、患者は、フィブリンシーラントに対して非常に良好な耐容性を示す(Spotnitz、1995年;Leeら、1991年;Milneら、1995年)。
フィブリン糊の1つの認められている価値として、その特有の生理的作用があり、この作用は、血液凝固過程および創傷治癒の早期、すなわち、正常な血液凝固のカスケードの一部を模倣して、不溶性のフィブリンマトリックスを生成する。フィブリノーゲンは、340,000の分子量を有する血漿タンパク質である。フィブリノーゲン分子は、2つの同一のサブユニットからなり、そのそれぞれが、ジスルフィド結合によって連結している、1つのアルファ、ベータおよびガンマのポリペプチド鎖を含有する。自然の機構では、活性化トロンビンの作用によって、フィブリノーゲンポリペプチドは、可溶性のフィブリンモノマーに切断される。これらのモノマーは、活性化第XIII因子の助けにより、架橋結合して、不溶性のフィブリンマトリックスとなる(図1)。固まったフィブリンシーラントの組織に対する接着性を、フィブリンとコラーゲンとの、またはフィブリンとフィブロネクチンとコラーゲンとの間の共有結合によって説明することができる。フィブリン糊は、止血剤およびシーラントの両方として作用する。フィブリン糊は、生体吸収性である(in vivoにおける血栓溶解による)。生成したフィブリンの血餅の変性および再吸収が、正常な創傷治癒の間に達成される。
2003年現在で使用されている全てのフィブリンシーラントは、2つの主たる成分である、ヒトまたはウシの血液に由来する精製フィブリノーゲン(タンパク質)と精製トロンビンとを有する。多くのシーラントは、2つの追加の成分である、ヒト第XIII血液因子およびウシの肺に由来するアプロチニンと呼ばれる物質も含む。第XIII因子は、フィブリン鎖間に共有結合性の架橋結合を形成することによって、血餅を強化する化合物である。アプロチニンは、血餅を分解する酵素を阻害するタンパク質である。
フィブリンシーラントの調製および適用は、幾分か複雑である。トロンビンおよびフィブリノーゲンは、凍結乾燥後、バイアルに充填されており、使用前に温める必要がある。次いで、これらの2つの成分を別々の量の水に溶解させる。その後、トロンビン溶液およびフィブリノーゲン溶液を、二重の注射外筒を有するシリンジ内に充填する。このシリンジによって、それらの溶液を切開部に置く際に、それらを混合し、組み合わせることができる。外科用のガーゼまたはフリースの小片を、シーラントの溶液で湿らせて、大きな切開部を覆うまたは大量の出血を止めることができる。最近開発されたものとして、30分の周期以内で患者自身の血液からフィブリンシーラントを形成させる送達システムが挙げられ、これは、シーラントを適用するために、二重の注射外筒を有するシリンジではなく、それに代わるスプレーペンを使用する。にもかかわらず、密閉状態を形成して、圧力下でも保持するのに十分な強度に達すまでに顕著な時間がかかるという困難が残っている。典型的には、最終強度の70%に10分で到達し、完全な強度には、約2時間で到達する。このことは、従来からの方法と比較して、フィブリンシーラントは、多くの適用例(例えば、長期の固定が必要であろうことから、血管中の切開部を密閉する場合)において不適切であり、多くのその他の適用例においては不都合であることを意味する。
組織接着剤の使用が、切開部を閉鎖するための従来からの機械的な手段の1つの代替方法である。レーザーによる組織の溶接(laser tissue welding)として知られる第2の技術は、二酸化炭素レーザーまたはNd:YAGレーザーを利用して、熱効果を起こし、組織表面を一緒にして「溶接する」。この技術の変法が、発色団支援レーザー溶接(chromophore-assisted laser welding)と呼ばれ、光吸収性の染料を含有するタンパク質のハンダを、適切な波長の光を放射するレーザーと一緒に使用する。したがって、例えば、染料フルオレセインを、532nmの周波数の二重Nd:YAGレーザーと組み合わせて使用するか、インドシアニングリーンを、805nmのダイオードレーザーと共に使用する。この技術の場合、染料によって吸収されたエネルギーは、通常、熱として放出されて、その結果、タンパク質を変性させて、添加したタンパク質のハンダと周囲の組織中のコラーゲンとの間に非共有結合を生じさせると考えられた。しかし、Khademら(1999年)は、使用する染料によっては、タンパク質分子間に共有結合性の架橋結合を生じさせる光化学反応からの寄与がある場合があることを示唆した。この仮説を試験するために、Khademらは、染料クロリンe6と球状の非構造タンパク質であるウシ血清アルブミン(BSA)との間の共有結合性の複合体(conjugate)を調製した。彼らは、フィブリノーゲンのクロリンe6との複合体は、実質的に凝集し、ハンダとして使用するには不適切であることを見い出した。したがって、フィブリノーゲンの溶接強度に対する効果を探索するために、彼らは、フィブリノーゲンを、ある実験では、ウシ血清アルブミン−クロリンe6複合体と混合し、別の実験では、遊離のクロリンe6と混合した。Khademらは、これらのハンダは、BSA−クロリンe6複合体と比較すると、性能が極めて不満足であると結論した。したがって、マトリックスタンパク質フィブリノーゲンを混合物中に含めると、BSA−クロリンe6複合体を用いて達成した結果に不利に影響した。
米国特許第6607522号(HamblinおよびKhadem)には、組織を一緒にして溶接する方法が開示されており、この方法は、少なくとも1つの組織に、光増感剤とタンパク質性の化合物または脂質とを含む組成物を適用するステップと、当該組成物に照射して、当該組織が第2の組織に接着するのを促進するステップとを含む。この場合に使用される「光増感剤」という用語は、電磁放射線を、一重項酸素、スーパーオキシドアニオンおよびヒドロキシルラジカル等、反応性酸素の種の形態で化学エネルギーに変換することによって、光活性化を経ることができる化合物を指すことに留意されたい。Khademの論文の場合と同様、フィブリノーゲンのクロリンe6との複合体が調製されたが、これは、実質的に凝集し、ハンダとして使用するには不適切であることが見い出された。したがって、フィブリノーゲンを、BSA−クロリンe6複合体と混合しても、遊離のクロリンe6と混合しても、Khademの論文で報告された結果と同様の不満足な結果が得られた。
FOCALSEALとして知られる光活性化可能な組織シーラントが、開発され、FDAによって承認されている。FOCALSEALは、ポリエチレングリコールに基づく合成ヒドロゲルであり、2つの成分、すなわち、プライマーおよびシーラントを有し、2段階で適用し、次いで、青〜緑の光を適用することによって重合させる。このシーラントは、組織に共有結合性には結合せず、むしろ、シーラントが不規則な組織表面に内挿することが必要となる、機械的な結合を生み出す。シーラントは、水溶性のポリエチレングリコール分子、生分解性のポリ乳酸、炭酸トリメチレンおよび重合可能なアクリルエステルからなるマクロマーである。エオシンに基づくプライマーが、組織に浸透し、それ自体で架橋結合して、機械的な連結(interlink)をシーラント化合物に対して提供する。プライマーとシーラントとが調和して働く。すなわち、プライマーは、組織への浸透および組織の空間を提供し、シーラントは、所望の弾性を与える。また、プライマーは、光源に暴露されると、シーラントのアクリルエステル基の光重合の開始にも役立つ。
本発明者らは、マトリックスタンパク質の自然の強力な自己会合によって、チロシン残基およびヒスチジン残基、特に、チロシン残基等、いくつかの個々の芳香族アミノ酸残基の分子間および分子内の結合が得られる可能性があることを認識した。本発明者らは、これによって、光活性化可能な触媒を使用して、共有結合しやすくかつ重合しやすいマトリックスタンパク質の自己会合が得られるであろうと推測した。この触媒は、隣接する芳香族側鎖上で安定化したフリーラジカルを形成させ、その結果、それらの2つの間で炭素結合の形成を開始させることができる。その結果、本発明者らは、金属−配位子錯体が、電子受容体と共に、隣接するタンパク質間の架橋結合を、一重項酸素、スーパーオキシドまたはヒドロキシルラジカル等、潜在的に有害な種を形成することのない機構によって直接仲介する、光開始化学過程において、マトリックスタンパク質を架橋結合させることに成功した。理論に縛られる意図はないが、この機構では、金属−配位子錯体に照射して、励起状態を起こし、それに続き、電子が金属から電子受容体へ移動することになると考えられる。次いで、酸化された金属が、マトリックスタンパク質中のチロシン側鎖等の側鎖から電子を引き抜いて、チロシルラジカルを生成させ、これが、近くのチロシンと直ちに反応して、ジチロシン結合を形成する。(何らかの橋渡し部分を有しない)直接的な架橋結合が、光開始化学反応において素早く生み出されるが、プライマー層を導入する必要がなく、一重項酸素、スーパーオキシドまたはヒドロキシルラジカル等、潜在的に有害な種を発生させることもない。
したがって、本発明の第1の態様は、外科的手技または医学的な治療において組織を結合させるかつ/または密閉する方法を提供し、これは、
(1)マトリックスタンパク質、光活性化可能な金属−配位子錯体および電子受容体を、組織部分に適用するステップと、
(2)当該組織部分に照射して、当該の光活性化可能な金属−配位子錯体を光活性化するステップと
を含み、
それによって、マトリックスタンパク質の架橋結合反応を開始させて、当該組織部分を密閉する、または当該組織部分を隣接する組織部分に結合させる。
この方法では、当該組織部分を、必要であれば、接触させる場合も含めて、隣接する組織部分のすぐ近傍の位置まで、例えば、それらの間に比較的大きなギャップ存在する場合、移動させることになる場合がある。あるいは、架橋結合反応から得られたマトリックスが、プラグを形成し、これが、それにもかかわらず、組織を、切開部または開口部のいずれの側にも結合させることができる。さらに、架橋結合したマトリックスが、組織の領域上に被膜を形成する場合もあれば、架橋結合したマトリックスを、必要に応じて、成形するまたは支持することも可能であり、例えば、マトリックスタンパク質、光活性化可能な金属−配位子錯体および電子受容体を、コラーゲンのシートに運ばせる、または外科用のガーゼもしくはフリース中に浸透させることができる。したがって、架橋結合したマトリックスは、使用する適用例に適した物理的形態をとることができ、目的に適した様式で適用されるであろう。
ある実施形態では、本方法は、脈管を密閉するために使用する。これには、血管を密閉して、血液の損失を阻止する場合、空気の漏出を密閉するために肺組織を治療する場合、脳脊髄液の漏出を阻止する場合、または脈管を密閉して、いずれかのその他の体液の漏出を阻止する場合がある。
ある実施形態では、本方法は、第1の組織部分と第2の組織部分とを結合させて、切開部等の創傷を、例えば、美顔成形手術において密閉するために使用する。
ある実施形態では、本方法は、損傷を被っている、肝臓組織または肺組織等の軟組織を、例えば、組織をコートすることによって治療するために使用する。
また、本発明の組織接着剤を、創傷のドレッシングとして使用することもでき、例えば、単独または粘着包帯と組み合わせて適用する場合があり、あるいは手術室における止血性のドレッシングとして使用することもできる。
したがって、本発明の第2の態様では、出血している創傷のための閉鎖物を提供し、これは、出血を止めるために創傷に適用するのに適した基質を含み、当該基質に、マトリックスタンパク質、光活性化可能な金属−配位子錯体および電子受容体のうちの1つまたは複数を浸透させる、または当該基質を、マトリックスタンパク質、光活性化可能な金属−配位子錯体および電子受容体のうちの1つまたは複数でコートする。
ある実施形態では、当該基質は、包帯、ガーゼ、布、タンポン、膜またはスポンジである。
本発明の第3の態様により、創傷からの出血を止める方法を提供し、これは、上記の閉鎖物を、出血している創傷に適用するステップと、当該閉鎖物および周囲の組織に照射するステップとを含み、それによって、当該閉鎖物内のまたは当該閉鎖物をコートしている、1つまたは複数のマトリックスタンパク質と当該の周囲の組織との間に架橋結合反応を起こして、当該閉鎖物を、当該の周囲の組織に結合させる。
本発明の第4の態様により、マトリックスタンパク質、またはその投与、光活性化可能な金属−配位子錯体および電子受容体を含む組成物を提供する。
本発明の第5の態様により、マトリックスタンパク質、またはその投与、光活性化可能な金属−配位子錯体および電子受容体を含むキットを提供する。
ある実施形態では、マトリックスタンパク質、光活性化可能な金属−配位子錯体および電子受容体が、キット内に別々に含まれる。
キットは、所望により、リン酸緩衝食塩水等の緩衝液を、1種または複数のマトリックスタンパク質、光活性化可能な金属−配位子錯体および電子受容体の溶液を調製するために含有する。キットは、酢酸等の弱酸を含有して、フィブリン等のそうでなければ不溶性のマトリックスタンパク質を可溶性にすることができる。
また、光源を、キット中に、特に、キットが野外での使用のための場合には、提供することもできる。
ある実施形態では、包帯、ガーゼ、布、タンポン、膜またはスポンジ等、創傷の閉鎖物を、キット中に提供することができ、所望により、おそらく、当該閉鎖物に、マトリックスタンパク質、光活性化可能な金属−配位子錯体および電子受容体のうちの1つまたは複数を、あらかじめ浸透させる、あるいは当該閉鎖物を、マトリックスタンパク質、光活性化可能な金属−配位子錯体および電子受容体のうちの1つまたは複数で、あらかじめコートすることができる。
ある実施形態では、組成物は、1種または複数のマトリックスタンパク質、光活性化可能な金属−配位子錯体および電子受容体、ならびに不活性な担体を含む。特に、これらの化合物を、不活性な担体に溶解させて、3つの成分の全てを含む溶液を、組織部分に適用する。特に、溶液は、水性溶液であり、一般に、リン酸緩衝食塩水等の緩衝液中の溶液である。あるいは、3つの成分のそれぞれを、照射の前に、別々に適用する、または別々の溶液として適用することもできるであろう。
適用方法には、重大な意味はなく、溶液を密閉しようとする適切な組織上または領域上に広げる、あるいは1つの組織部分を別の組織部分上で擦り合わせて溶液を広げることになるであろう。
別の実施形態では、薬物(特に、化学走性、増殖促進または分化の因子、さらに、抗生物質または化学療法剤等、従来からの薬物)、またはその他の治療剤を、特に、上記の組成物の成分として、当該の第1の組織部分および/または当該の第2の組織部分に適用する。理論に縛られる意図はないが、治療剤が、架橋結合反応によって形成されたマトリックス中に捕獲され、それでマトリックスが分解するまでの長期間にわたってin situにおいて保有されると考えられる。
本明細書で使用する場合、「光活性化可能な金属−配位子錯体」という用語は、金属が照射時に励起状態に入ることができ、その結果、より高い酸化状態に移動するために、金属は、電子を電子受容体に供与し、その後、電子をマトリックスタンパク質の芳香族側鎖、特に、チロシンから引き抜いて、一重項酸素の形成に頼ることなく、フリーラジカルを生成することができる金属−配位子錯体を意味する。適切な金属として、これらに限定されないが、可視領域の光を吸収することができる錯体の形態でのRu(II)、Pd(II)、Cu(II)、Ni(II)、Mn(II)およびFe(III)、例えば、Ru(II)ビピリジル錯体、Pd(II)ポルフィリン錯体、スルホナトフェニルMn(II)錯体またはFe(III)プロトポルフィリン錯体、特に、Ru(II)ビピリジル錯体またはPd(II)ポルフィリン錯体、とりわけ、[Ru(II)(bpy)]Cl等、Ru(II)(bpy)錯体が挙げられる。効率的な架橋結合が、過硫酸塩、特に、過硫酸アンモニウムまたは過硫酸ナトリウム等の電子受容体の存在下で生じ、中等度の強度の可視光を必要とするに過ぎない。その他の可能な電子受容体として、Co(III)(NHCl2+;過ヨウ素酸塩、過臭素酸塩、過塩素酸塩が挙げられる。関係のある化学的な選択肢および種類が、Brown,KCおよびKodadek,T Met Ions Biol Syst.2001年;38:351−84.「Protein cross−linking mediated by metal ion complexes」に概説されている。この内容は、参照によって本明細書に組み入れられている。
本明細書で使用する場合、「電子受容体」という用語は、架橋結合反応を促進する、いずれかの容易に還元される分子を意味する。
本明細書で使用する場合、「マトリックスタンパク質」という用語は、動物の細胞外マトリックス中に豊富に共通して存在するタンパク質の単離および精成された形態を指す。典型的なマトリックスタンパク質は、フィブリノーゲン、フィブリン、コラーゲン、フィブロネクチン、ケラチンおよびラミニン、またはそれらの混合物であり、これらは、ヒトまたは動物の源から単離すること、あるいは例えば、組換えDNA技術を使用して調製することができる。その上、これら化合物の誘導体またはこれらを含有する抽出物も、本発明における使用に適し、それらを混合物で使用することができる。
本明細書で使用する場合、「フィブリン」および「フィブリノーゲン」という用語は、フィブリンおよびフィブリノーゲン自体、精製されたフィブリンまたはフィブリノーゲンのサブユニット、あるいはそれらの複合物または混合物を包含する。これらは、ヒトまたは動物の全血または血漿から単離することができるであろう。あるいは、これらの製品、あるいはそれらの活性のある相同体または断片は、遺伝子工学によって調製することができ、また、そのような製品も、本発明における使用に向けて想定されている。例えば、Pharmingは、ウシαS−カゼインプロモーターの転写調節下にある3つのフィブリノーゲン遺伝子(rTS)を開発して、高いレベルの乳腺に特異的な発現を達成しつつある。核移植技術が使用されて、乳汁中のヒトフィブリノーゲンの発現レベルを1〜3g/lのレベルで示す、いくつかの遺伝子導入ウシを生み出している。
また、本発明者らは、凝固したフィブリン自体(可溶性のフィブリノーゲンをトロンビンで処理することによって生成され、リン酸緩衝液中では不溶性である)を、例えば、2%酢酸の添加またはその他の手段によって可溶性とすることができ、また、これは、それに続いて、本発明の方法を使用して架橋結合させることもできることを実証している。
本明細書で使用する場合、「可溶性フィブリン」という用語は、フィブリノーゲンから、例えば、トロンビンを用いた加水分解によって調製し、次いで、2%酢酸等の弱酸、尿素等の化学的カオトロープ、またはその他の手段を添加して可溶性としたフィブリンを指す。
本明細書で使用する場合、「適用の」または「適用する」または「適用」という用語は、マトリックスタンパク質、光活性化可能な金属−配位子錯体および電子受容体をいずれかの順で順次に適用すること、またはマトリックスタンパク質、光活性化可能な金属−配位子錯体および電子受容体のうちのいずれか1つまたは複数を含む組成物を適用することを指す。マトリックスタンパク質、光活性化可能な金属−配位子錯体および電子受容体、またはそれらを混合物中に含有する組成物を、凍結乾燥した散剤または材料のプラグ等の固体の形態で、あるいは溶液または泡等の液体で提供して投与することができる。単一または多重の注射外筒を有するアプリケーター等のアプリケーターによって切開部または創傷内をはじめとする組織部分に直接的に、へら等の1種または複数の広げるための装置を用いて、スプレー缶等のエアロゾル装置によって、手作業で置くことによって、あるいはこれらの化合物を含む、プラグまたは包帯、ガーゼ、布、タンポン、膜もしくはスポンジ等の封鎖物である外科用用具、またはマトリックスタンパク質、光活性化可能な金属−配位子錯体および電子受容体を置くことができる、もしくは混合物中にそれらを含有する組成物を置くことができる何らかのその他の方法を用いて、適用を行うことができる。
本明細書で使用する場合、「組織」という用語は、密接な近位に位置する、特徴が類似するものであっても、異なるものであっても、複数の細胞を指し、したがって、筋肉組織等、組織学的な意味での組織を含むのみならず、血管のような脈管の壁等、個別の構造、および生の切れた表面をはじめとする臓器の表面もまた含む。この用語の使用法は、本明細書に記載した意図する使用と共に読み取る必要があるが、この用語の使用法によって、記載する使用を制限する意図はない。
本発明の方法を、縫合糸および止め金等、従来からの外科用の封鎖物、ならびに一般に現存する組織接着剤を増強するためまたはそれらの代替物として使用することが想定される。しかし、特定の分野および適用例においては、特定の用途がある可能性がある。特に、本方法は、心胸郭手術、心血管手術、胸郭手術、肝臓および膵臓の手術、脳の手術、美顔成形手術、内視鏡手術、漿液腫の形成の阻止、骨の治癒、肝臓の生検、ならびに歯科等、フィブリン糊等の組織接着剤がすでに使用されている分野において用途を見い出すであろう。
心胸郭手術におけるシーラントの止血に対する有効性は、臨床結果にとって重要である。良好な局所の止血は、これらの高リスク患者の血液の損失、手術時間およびresternotomyの必要性を減じる。直視下心臓手術後の出血は、心臓手術においては大問題である。止血異常のために、長期の出血を制御するための再手術が必要になる場合がある。したがって、コラーゲンでコートしたドレッシング等、従来からの局所的な薬剤と比較して、止血をもたらす点でより優れているシーラントが望ましい。
また、本発明の方法は、肺の手技からの空気の漏出を密閉するためにも(気管支瘻のための治療としてさえも)有用である。胸郭手術では、しばしば、肺を切除および剥皮することになる。そのような外科的介入の結果として、出血および空気の漏出が挙げられる。遡及的分析から、気管支瘻は、肺切除後の患者の2%から3%に生じ、次いで、15%から20%の死亡率に至ることが示されている。これらの合併症は、本発明のシーラントの使用によって克服することができる。
肝臓および肺等の軟組織の生の切れた表面は、単離して、縫合等の従来からの技法によって固定することはできない。これらの表面の管理は、出血、胆汁の漏出および体液の蓄積に至る恐れのある感染、膿瘍形成および敗血症等、腹腔内の合併症を予防するために重要である。さらに、胆汁液は、腹膜に対する強力な刺激物であり、フィブリンシーラントを使用する胆汁の漏出の阻止は、非常に望ましい。したがって、本発明のシーラントは、肝胆道手術における組織シーラントとしての用途を見い出す。
フィブリン糊は、神経外科医が、脳脊髄液の漏出を阻止する目的で、二重に閉鎖するために使用される。脳脊髄液(CSF)の瘻孔の管理は、重要である。フィブリンシーラントが、瘻孔からのCSFの漏出を阻止するために、外科的手技で使用されており、本発明のシーラントは、CSF漏出の阻止において用途を見い出すであろう。
欧州では美顔成形外科医が、縫合糸の代わりにフィブリンに基づく糊を日常的に使用しており、これによって、顔の美容整形手術を受ける患者のためにドレーン管を使用するのを避けることができるようになっている。基本的に、ドレーン管およびドレッシングを避ける2つの利点がある。すなわち、手術後の時間が、通常のかさ高いドレッシングを付けたり、外したりすることがないことによって減少すること、および腫大、血腫の形成が減少することである。組織接着剤は、手術後の血腫および浮腫の発生率を減少させ、痛みの伴う縫合糸の抜糸を避けることを可能にし、場合によっては、早期の回復およびより大きな患者の満足を促進すると報告されている。形成外科医は、特に、接着剤を創傷郭清後の熱傷の出血を制御するために、および内弁を必要とする手術における補助として使用する。皮膚移植が、熱傷による創傷の広い表面を再生するために使用する最も簡単でかつ最も有効な方法である。移植片は、最初は、その新しい面(bed)にフィブリンの薄層によって付着し、移植片の栄養補給が、血漿を吸収することによって生じる。さらに、創傷からの血管および繊維性組織の内殖の結果、移植片の「獲得」として知られる、移植片のレシピエントの部位への持続性の接着に至る。この過程が、移植片と面との間への血液の堆積、せん断、および感染によって妨げられる場合がある。顔部は、高度に血管性であり、熱傷による創傷の切除後、びまん性の出血は、制御するのが困難である。従来、血腫の問題を克服するために、移植片を網状にして、何らかの体液の堆積の排出を可能にする。残念なことに、網状にすると、瘢痕を生じ、これは、最終的な美容的結果を損なう。注意深く縫合することによって、せん断を最小化することができるが、時間がかかり、出血を促進する恐れがあり、また瘢痕を残す場合もある。本発明のシーラントは、良好な止血を提供して血腫の形成の阻止に役立ち、縫合糸の使用を最小化してこれによって手術時間を減じ、かつ縫合糸を通す間のさらなる出血を避けることから、顔部の熱傷の切除および皮膚移植において、いくつかの利点を有する。また、形成外科医は、フィブリン糊を前頭部のしわおよび加齢する顔部のしわの管理に利用しており、本発明のシーラントは、この適用でもまた有用であろう。この技法は、額部のしわ取り手術(browlifing)のために利用される、古典的な冠状切開を避け、したがって、病的状態を最小化する。当該接着剤は、前頭部と頭皮の内弁とを適所に固定するのに役立つのみならず、止血剤としてもまた働き、血腫の形成および挫傷を減少させる。
手術後の漿液の堆積は、非常に危険な問題であり、阻止すべきである。これによって、顕著な病的状態および回復の遅れが生じる恐れがある。漿液の堆積は、乳房切除および腋窩切開、軟組織の切開(腹壁形成、乳房縮小、フェースリフト)、ならびに筋肉の収集の後に出現することがある。合併症として、疼痛、創傷の感染、内弁の壊死および費用の増加が挙げられるが、創傷の治癒を、シーラントを手術中に適用して改善することができる。
骨の修復における当該組織接着剤の使用は、造骨細胞の活性を、遅延させるのではなく、むしろ促進するはずである。対照的に、シアノアクリレートは、有害な骨の反応を生じる。シアノアクリレートの空間を占有する性質が、治癒を阻止するか、遅延させ、シアノアクリレートの分解産物は、有害である。
肝臓の生検が、候補者の評価または移植肝臓の組織学的経過観察のためにしばしば必要になる。一般的には安全であるとみなされているが、肝臓の生検では、合併症の危険が症例の0.5%に及び、出血が最も重要である。別の選択しとして、いわゆる栓子による経皮的肝生検(plugged percutaneous liver biopsy)(PPLB)があり、これは、栓子の材料を、生検の経路に直接注入するものであり、本発明のシーラントが有用である場合があろう。
歯科においては、組織接着剤の使用によって、異物反応、瘻孔の形成および顎下の膿瘍の形成が生じる恐れのある、絹製の縫合糸の使用と比較して、感染または治癒の遅延の性向の減少が見られる。
また、本発明の組織接着剤は、創傷のドレッシングとしても使用することができる。吸収性の粘着包帯は、戦場の創傷の制御において直接使用することができ、出血の局所制御を即座に達成することができる。さらなる適用として、スポンジに代わって使用される、手術室における止血性のドレッシングが考えられる。
また、本発明が、薬物の局所投与のためのビヒクルを提供することも想定されている。本発明は、そのような役割を担うのに理想的な特徴を有する。本発明の方法では、マトリックスタンパク質を、組織の損傷部位に置くと、マトリックスタンパク質は、最終的には分解し、生体の自然治癒の過程の一部として、治癒組織によって置き換えられる。したがって、マトリックスタンパク質は、最初は、出血を制御するが、自然に生分解するまで、適所に堅固に固定されて留まる。したがって、マトリックスタンパク質は、化学走性、増殖促進または分化の因子を送達して、軟組織および硬組織の両方の生成を引き起こすこと、あるいは望ましくない増殖の新しいアイディアを可能にする。また、マトリックスタンパク質を使用して、抗生物質および化学療法剤の形態の従来からの医薬品を、長期にわたって送達することもできる。
広い範囲の薬物を、局所作用および/または全身的な放出のために、当該マトリックス内に組み入れることができる。特に、抗生物質、化学療法剤、ペプチドホルモン、サイトカイン、抗体、細胞周期制御因子、ケモカイン、増殖因子および分泌タンパク質を、当該マトリックス中に組み入れることができる。抗生物質は、ハイグロマイシンB、カナマイシンおよびストレプトマイシン等のフルオロキノロン系アミノグリコシド、アンホテリシンB、シクロヘキサミドおよびニスタチン等の抗菌性抗生物質、マイトマイシンC、ピューロマイシンおよびストレプトゾシンをはじめとする抗悪性腫瘍性抗生物質、リファンピシンおよびカプレオマイシンをはじめとする抗結核性抗生物質、アモキシシリンおよびペニシリンをはじめとするラクタム系抗生物質、ニスタチンおよびブレフェルデンAをはじめとするマクロライド系抗生物質、エキノマイシンおよびグラミシジンをはじめとするペプチド系抗生物質、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ならびにツニカマイシンからであることができる。例示的なサイトカインとして、これらに限定されないが、インターロイキン、ベータ−インターフェロン、アルファ−インターフェロン、ガンマ−インターフェロン、アンジオスタチン、トロンボスポンジン、エンドスタチン、METH−1、METH−2、GM−CSF、G−CSF、M−CSF、腫瘍壊死因子(TNF)、および骨形成タンパク質(BMP)が挙げられる。ケモカインは、一般に、化学誘引物質として作用して、エフェクター細胞を、ケモカインの発現部位へ動員する。したがって、ケモカインは、免疫系成分を治療部位へ動員することができる。適切なケモカインとして、これらに限定されないが、RANTES、MCAF、MIP1−アルファ、MIP1−ベータおよびIP−10が挙げられる。適切な増殖因子として、これらに限定されないが、TGF−α、TGF−β、EGF、PDGF、FGF、NGF、VEGFおよびKGFが挙げられる。適切な分泌タンパク質として、これらに限定されないが、第VIII因子、第IX因子およびフォンウィルブランド因子等の血液因子が挙げられる。抗癌剤が、フィブリン糊からの持続性放出を示すことが実証されている(Yoshidaら、2000年)。また、フィブリン糊は、眼科手術において使用する場合、抗生物質の徐放性製剤を提供することもできる(Maroneaら、1999年)。さらに、フィブリン糊に、アミカマイシン等の抗生物質を含ませて、移植の局所感染を予防している(Nishimotolら、2004年)。
本明細書の目的のために、「含んでいる(comprising)」という言葉は、「含んでいるが、限定されない(including but not limited to)」ことを意味し、「含む(comprises)」という言葉は、対応する意味を有することを明確に理解されたい。
(比較例1)
TISSEEL VH Fibrinシーラントの使用
TISSEEL VH Fibrinシーラントは、以下の物質を4つの別々のバイアルに含有する。
1.Sealer Protein Concentrate(Human)、蒸気加熱、凍結乾燥
2.Fibrinolysis Inhibitor Solution(Bovine)
3.Thrombin(Human)、蒸気加熱、凍結乾燥
4.Calcium Chloride Solution
凍結乾燥されているSealer Protein ConcentrateおよびThrombinを、Fibrinolysis Inhibitor SolutionおよびCalcium Chloride Solutionのそれぞれ中に再構成する。次いで、得られたSealer Protein SolutionおよびThrombin Solutionを、Duploject Systemを使用して組み合わせて、Fibrin Sealantを形成する。無菌のDuploject Systemは、2つの同一の使い捨てシリンジのためのクリップ、および共通のプランジャーからなり、このプランジャーによって、確実に、等しい容量の2つの成分が共通の接合部を通して送り込まれてから、適用針中で混合されて押出される。2つの成分が適用されてから、密閉される部分を、少なくとも3から5分間、固定するか、所望の位置に保持して、硬化しつつあるTISSEEL VH Fibrin Sealantが、周囲の組織に堅固に付着するのを確実にする。凝固したTISSEEL VH Fibrin Sealantは、約2時間後に、その最終強度に達する(約10分後で、70%)。したがって、この過程は、多くの適用例において、容認し難いほどの長い硬化時間がかかってしまう。
(比較例2)
PEGコポリマー(FOCALSEAL−L)の組織シーラントとしての使用
肺癌の診断は、しばしば、肺の腫瘍を患者から外科的に取り出す必要がある。腫瘍を取り出した後、空気の漏出が、外科的手技で使用した縫合糸または止め金の周囲に生じる恐れがある。空気の漏出を、縫合する、止め金で止めるまたは外科用メッシュを空気の漏出の上に適用する、あるいはポリエチレングリコール(PEG)製のシーラントであるFOCALSEALを使用することによって閉鎖することができる。PEGは、組織に付着するのではなく、むしろ肺への開口部と一緒になって漏出を密閉する「プラグ」を形成する。FOCAL SEALの適用は、2段階の過程であり、肺組織に、プライマー層、次いで、PEG層を、肺表面に「塗る」ことによって適用することになる。コート後、肺組織に、30または40秒間照射する。FocalSeal−L Sealantおよび外科的に閉鎖する標準的な技法を用いて治療した患者の39%、それに対して、標準的な技法のみを用いて治療した患者の11%が、退院時に、空気の漏出なしであった。また、この研究は、空気の漏出を止めるのに要する時間の量が、標準的な技法を用いた場合より少ないことも示した。副作用は、ほぼ同一であったが、FocalSeal−L Sealant治療患者の方が、感染率が若干高かった(7.2%対3.6%)。したがって、2段階で適用することになる光化学的な過程は、迅速に硬化する一方で、PEGに基づくプラグは、隣接する組織を結合させることはない。
ウシフィブリノーゲンの光化学的架橋結合
光化学的な方法を使用して、可溶性フィブリノーゲンを架橋結合させて固体の生体材料とし、かつフィブリノーゲンマトリックスを、筋肉組織を囲む細胞外マトリックス中に含まれているタンパク質と共有結合性に架橋結合させた。ウシ背屈最長筋(LD)の2つの小さな条片を切り取り、対抗する表面を、シーラントの溶液(200mg/mlのウシフィブリノーゲンを、2mM[Ru(bpy)]Cl、10mM過硫酸アンモニウムと共に、PBS中に溶解させた)中でコートした。10秒間の照射後、この筋肉の2つの小片は、図2中に示す位置に堅固に結合した。本研究のために選んだ光源は、600Wのハロゲン化タングステン源(2×300Wランプ;GE #38476)であった。スペクトル出力は、300nm〜1200nmの広いピークを示した。ウシフィブリノーゲン(Fraction I、Sigma)(200mg/ml)を、2mM[Ru(bpy)]Cl、10mM過硫酸アンモニウムと共に、PBS中に溶解させ、光化学的に架橋結合させた(10cmで600W、10s間)。
重合させたフィブリノーゲンバイオポリマーのin vivoにおける分解および組織応答
ラット皮下移植研究において評価するための固体フィブリノーゲン生体材料を、精製した可溶性フィブリノーゲンタンパク質から得る。このタンパク質は、塩化トリス(ビピリジル)ルテニウム(II)(2mMの最終濃度)および過硫酸アンモニウム(20mMの最終濃度)が関わる、光化学的な方法を使用して架橋結合させた。これらの研究のために選んだ光源は、600Wのハロゲン化タングステン源(2×300Wランプ;GE #38476)であった。スペクトル出力は、300nm〜1200nmの広いピークを示した。直接的な毒性成分および浸出する恐れのある毒性成分についてスクリーニングするためのさらなる標準的な細胞培養法も、動物内への移植の前に要求されたが、この精製された発現タンパク質生体材料に関する予備的なin vitroでの細胞毒性の評価は、有望であった。したがって、フィブリノーゲン生体材料を、組織応答および材料の分解の程度について、36週の期間にわたり(3、8、18および36週)、ラットにおいて評価した。
方法
動物
40匹のWistarラット、雌、8週齢を、Animal Resource Center、Canning Vale、WAから購入した。ラットを、新しい環境に、フィブリノーゲンの検体の移植前に2週間順化させた。
麻酔
ガス麻酔薬であるイソフルランを、最適な麻酔薬として使用した。これは、この麻酔薬は、導入が急速であり、回復が速いからである。各ラットに、酸素の混合物中のイソフルラン(5%)を用いて導入した(2リットル/分)。麻酔導入には、約30〜60秒を要した。1回は、Isofluraneの濃度を、酸素の混合物中で2%まで減少させた(2リットル/分)。
皮下移植
ラット背側をクリッパーで剪毛し、皮膚を、Iodine外科用タワシ(surgical scrub)で消毒した。次いで、小さな切開部(約7mm)を、真皮を通して筋肉層まで設けた。次いで、ポケットを、真皮と筋肉層との間の結合組織を鈍/鈍のハサミを使用して切断することによって作り出した。次いで、検体のプラグを、ポケット内に静かに置き、最初の切開点から離れた位置に置いた。創傷を、2つの9mmのクリップを使用して閉鎖した。第2、4および5群では、各ラット、2つの生体ポリマーを、別々のポケット内に皮下に移植した。第3群では、1つの生体ポリマーのみを移植した。
移植した検体を以下に示す(PBS+プロテアーゼ阻害剤のカクテル中に懸濁):
1)フィブリノーゲン(Sigma、画分I)(光化学的な方法を使用して架橋結合させた。製品を、フィブリノーゲン、Ru(II)触媒および過硫酸アンモニウムまたは過硫酸ナトリウムを含む組成物として適用し、次いで照射した。この製品を、これ以降「Fibrinogen−based Tissue Sealant」または「FBTS」と呼ぶ)
架橋結合させたフィブリノーゲンの各プラグ(200mg/mlの100μl)の形は、円錐形であり、底面が4mm、上面が1mm、および高さが5〜6mmであった。全てのプラグの色は、ベージュ/褐色であった。
各ポリマーの高さ(幅)および長さを、デジタル測径器を使用して、最初の4週間は週に1回、次いで、実験の残りの間は2週に1回測定した。
フィブリノーゲン検体の移植後第1週では、(創傷が感染した可能性が大きい1匹のラットを除き)腫大を認めなかった。全てのラットの挙動および外見は、正常に見える。
移植後第2週では、大きさの増加を示していた全てのプラグの大きさは、移植時の大きさとほぼ同じであるか、若干減少した。炎症を認めなかった。
移植後第3週、第1時点で、各群から2匹のラットを堵殺した。いずれの臓器においても、肉眼的な病態は認めず、全ての臓器(心臓、肝臓、脾臓、肺および腎臓)はいずれも、組織学的に正常であった。大部分のプラグでは、分解/再吸収が始まっているように見えた。大部分は、プラグを覆う薄い被膜を有した。フィブリノーゲンプラグは、平板化していた。巨視的な/肉眼での炎症は、いずれの移植部位でも、いずれのプラグの周囲でも認めなかった。
第8週、第2時点で、各群から2匹のラットを堵殺した。フィブリノーゲンプラグは、大きさが減少し、形は球状であった。フィブリノーゲン群からの1匹のラットは、肥大した脾臓を伴う硬化した腎臓を有し、腎臓の癌腫の可能性があったが、これは、移植とは関係がなかった。
第18週、第3時点で、各群から2匹のラットを堵殺した。Fibrinogenを移植したラット中に、プラグを認めなかった。プラグは、完全に分解した/再吸収されていた。全てのラットからの主要な臓器のいずれにも、肉眼的な病態を認めなかった。
第36週、研究終了。研究を終了した。全ての群からの移植したプラグは、完全に分解するか、再吸収されていた。いずれのラットからの主要な臓器のいずれにも、肉眼的な病態を認めなかった。
Fibrinogen−based Tissue Sealant(FBTS)の強度。
FBTSを使用して結合させた組織とフィブリン糊を使用して結合させた組織との比較強度を、除毛した成体ヒツジの皮膚を使用して測定した。皮膚は除毛し、皮膚の表面を、ワイヤーブラシを使用してこすってきれいにした。皮膚を、リン酸緩衝食塩水(PBS)中に浸漬し、「ダンベル」(約10cm×1cm)を、再水和させた皮膚から張力試験のために切断した。切開部を、皮膚のダンベル状の条片の幅方向に設け、次いで、この2つの半分を(室温で)「接着(glue)」または密閉し、その後、本発明により、フィブリノーゲンを光化学的に処理した。FBTSの接着性を、メーカーの指示に従って使用した市販のフィブリンに基づく組織シーラント(Tisseel(登録商標)、Baxter)と比較した。次いで、接着させた皮膚を、張力試験機(Instron)中に載せ、破壊荷重について試験した。単位は、ニュートン(N)である。切断したダンベルは、両方の組織シーラントを用いて、継ぎ目において1cmだけ重ねる、または付き合わせて接合させるのいずれかとした。
架橋結合させたフィブリノーゲンを、100mg/ml、150mg/mlまたは200mg/mlのフィブリノーゲンの濃度を使用して調製し、検体に、300Wハロゲン化タングステンランプを表面から15cmで使用して、60秒間照射した。Tisseel(登録商標)は、(メーカーの指示に従って)、切断表面に適用し、これらを一緒に保持し、張力試験までに、5分間、20分間または80分間硬化させた。
表1中に記載する検体の説明:
FB=記載する5つの濃度で使用したシグマ製ウシフィブリノーゲン。重ねた切片を、FBTSで密閉した。FBTSを、重なる部分の間の皮膚の表面に適用し、重なる部分を一緒にして軽く押し付けた。各面に、60秒間照射した。
Tisseelを、同じ方法で試験した。接着剤を、記載するように、試験までに、5分間から80分間硬化させた。
コラーゲン=FBTSと同様、[Ru(bpy)]Clおよび過硫酸塩を加えたDevro医療用コラーゲン4.1mg/ml。
「FB75/コラーゲン75」は、150mg/mlフィブリノーゲンと4.1mg/ml Dervoコラーゲンとの1:1の混合物を表す。
「FB60/コラーゲン60」は、150mg/mlフィブリノーゲンと20mg/ml精製ウシコラーゲン(1型)との混合物を表す。
表1
物理試験の概要
クロスヘッドスピード、50mm/分
結果
結果は、FBTS製品が、フィブリンに基づく製品であるTisseel(登録商標)よりも、重ねた場合および付き合わせて接合した場合の両方において、2から3倍強力な組織結合を生じることを示している。さらに、FBTSは、より迅速に作用して、最大結合強度に達する。
光暴露時間:
反応物は、25μgのウシフィブリノーゲン(Sigma);2mM[Ru(bpy)]Cl;20mM過硫酸塩(ナトリウム塩)の全てを、25μlのPBS中に含有した。
反応物を、Quartz Halogen二色性源からの300Wの非干渉性光に、1、2、5、10、30および60秒間暴露させたところ、いずれも、高分子量の架橋結合したフィブリノーゲンポリマーの形成を得た(図3)。
[Ru(bpy)]Clの濃度の効果:
反応物は、25μgのウシフィブリノーゲン(Sigma);20mM過硫酸塩(Sodium塩)の全てを、25μlのPBS中に含有した。反応物を、Quartz Halogen二色性源からの300Wの非干渉性光に、1分間暴露させたところ(図4)、架橋結合反応が、様々な[Ru(bpy)]Clの濃度にわたり生じることを示した。
過硫酸塩の濃度の効果:
反応物は、25μgのウシフィブリノーゲン(Sigma);2mM[Ru(bpy)]Cl(Aldrich)の全てを、25μlのPBS中に含有した。(SPS:過硫酸ナトリウム;APS:過硫酸アンモニウム)。
反応物を、Quartz Halogen二色性源からの300Wの非干渉性光に、1分間暴露させたところ(図5)、様々な濃度にわたり、効力を示した。
予備試験は、ブタフィブリノーゲンを使用して、種々のウシ組織の堵殺場標本中に設けた切開部を修復する、FBTSのシーラント性を試験した(図6および7を参照)。これらは、かなり強力な組織の溶接を形成するように思われ、一部では、周囲の組織が、組織の密閉を崩壊させようとして裂けたほどである。
この実施例は、本発明の製品の製剤を、標準的な創傷クリップおよび市販の糊と比較することによって、簡単な皮膚の切開創傷モデルへのin vivoにおける適用を示す。
材料および方法:
動物:20匹のSprague Dawleyラット、雌、8週齢を、Animal Resource Center、Canning Vale、WAから購入した(10匹のラットの2つのロット)。ラットの体重は、約190gであった。手術前に、ラットを、各5匹の群で飼育し、7日間順化させた。
麻酔:手術時に、ラットに、ケタミンとキシラジンとの混合物(3mlのケタミン(50mg/ml)を0.75mlキシラジン(20mg/ml)に添加)の150μl/100g体重のip注射を用いて麻酔を施した。これによって、2時間の睡眠時間および20分間の麻酔時間を得た。
FBTS製品−
150mg/mlフィブリノーゲン、2mM[Ru(bpy)]Cl、20mM過硫酸ナトリウム、100μg/mlストレプトマイシン、および1000単位のペニシリンを含有する作用溶液を調製した。
手術:
麻酔の手術レベルが確立したら、ラット背側を剪毛し、皮膚を、Iodine Surgical Skin Preparationで消毒した。3つの1.5cmの切開部を、ラット背側に沿って、真皮層を通してその下にある筋肉層まで設けた。各切開部を、3つの方法のうちの1つを用いて閉鎖した(閉鎖プランについては、表2を参照)。
1.9mmのMikRon Autoclip Wound Clip(Becton Dickerson製、ロット番号11003497G)−その後、創傷クリップを、手術後第5〜7日に取り外した。
2.Tisseel Duo 500(登録商標)−Baxter AG、Vienna、オーストリア製の2成分フィブリンシーラント。
3.FBTS(本発明による)
創傷を、最初の7日間は毎日、および研究の残りの間は週に2回モニターした。
結果:
手術後2時間:全てのラットが、麻酔から順調に回復した。全ての創傷の閉鎖部は良好に見え、いずれの閉鎖部からも出血はなかった。
手術後24時間:全てのラットが、機敏であり、順調に回復した。全ての閉鎖部は良好に見える。閉鎖のTisseel法とFBTS法との間に、ほとんど差はない。
手術後第2日:全ての閉鎖部は良好に見える。TisseelおよびFBTSの両方に、血流を阻止したことを示唆する痂皮はなく、創傷は閉鎖した。いずれの手術部位においても、炎症はなかった。閉鎖のTisseel法とFBTS法との間に、差はない。創傷クリップは、切開部の縁部の間に良好な連結をもたらしたが、一方、その他の方法では、ラットの閉鎖部の一部に、小さなギャップを認めた。
手術後第6日:創傷クリップを、全てのラットから取り外した。全ての切開創傷が、極めて順調に治癒した。いずれの切開した部位の周りにも、炎症および刺激はなかった。ラットは、機敏で、痛みは全くなかった。ラットは、約240gに体重が増加した。
手術後第28日:全てのラットは、良好であった。切開した部位の周りの毛皮は、再び生長していた。
ラットにおけるFBTSインプラントの組織学的検査。Tisseel Duo 500および創傷クリップ閉鎖物との比較。
ラット背側を剪毛し、皮膚を、外科用ヨウ素で消毒した。麻酔の手術レベルに達したら、3つの1.5cmの切開部を、背側上で正中線に下って設けた。1つの切開部を、2つの9mmのMikRon創傷クリップを用いて閉鎖した。もう1つの切開部は、市販の創傷糊(Tisseel Duo 500)を適用することによって閉鎖し、第3の切開部は、FBTSを創傷に適用することによって閉鎖した。これらの研究のために選んだ光源は、600Wのハロゲン化タングステンゲン源(2×300Wランプ;GE #38476)であった。FBTSは、PBS中に溶解させたウシフィブリノーゲン(Fraction I、Sigma)(165mg/ml)を含み、これに、2mM[Ru(bpy)]Cl、20mM硫酸ナトリウムを加えて使用し、光化学的に架橋結合させた(10cmで600W、30秒間)。
創傷の周りの領域を、無菌の創傷ドレッシングを用いて手当てし、その領域にテープを貼って、ラットが創傷を引っ張るのを防止した。これは、手術後48時間で取り外した。創傷を、最初の7日間は毎日、および研究の残りの間は週に2回モニターした。手術後第1、2、4および7週に、5匹のラットを、ペントバルビタールナトリウムを用いて堵殺した。創傷が治癒する、創傷の進行を示す写真を、図9に示す。3つの創傷の周りの皮膚を切除し、検体を、機械的張力試験、肉眼的な血管増生(血管の発達の目視による検査)、ならびにヘマトキシリン−エオシン(H&E)染色およびマッソントリクローム染色をはじめとする、完全な組織学的分析のために切除した(表2)。機械的試験のために調製したダンベル状の検体の寸法は、(中間点で)3cm×0.7cmであった。
表2 ラット皮膚における治癒した創傷の最大強度−傷を負ってからの回復
対照の値は、外科的に処置されていない皮膚上で測定した6匹のラットの平均である。
下記の概要は、創傷治癒後第1週および第4週の創傷治癒の組織学的検査の報告である。
第1週検体:FBTS
第1週検体の低倍率:H and E染色は、フィブリノーゲンFBTS内に良好な細胞の浸潤を示し、マッソントリクロームは、切開部の帯域内に新しいコラーゲンの沈着(青色に染色)の早期の徴候を示した。有害な異物の巨細胞および顕著な炎症応答の徴候は存在しなかった。
第1週のFBTSの高倍率、マッソントリクローム染色は、新しい小さなコラーゲンの繊維束の沈着を伴う、良好な細胞の浸潤(藤色に染色)を示した。その上、血管新生の目に見える徴候が存在する。
第1週検体:Tisseel Duo 500
第1週検体の低倍率:H and E染色は、Tisseel内に良好な細胞の浸潤を示し、マッソントリクロームは、切開部の帯域内に新しいコラーゲンの沈着(青色)の早期の徴候を示し、切開部のより深い領域により激しい炎症を伴った。
第1週のTisseelの高倍率、マッソントリクローム染色は、新しい小さなコラーゲンの繊維束の沈着を伴う、良好な混合性の細胞の浸潤(藤色)を示した。その上、異物の巨細胞および非常に激しい炎症の目に目える徴候が存在した。
第1週検体:創傷クリップ
第1週検体の低倍率:H and E染色は、切開部内に良好な細胞の浸潤を示し、マッソントリクロームは、切開部の帯域内に何らかの新しいコラーゲンの沈着(青色)の早期の徴候を示した。
第4週検体:FBTS
FBTSの第4週外植片の低倍率および高倍率、マッソントリクローム染色は、第1週外植片と比較して、より少ない細胞の浸潤およびより顕著な新しいマトリックス(コラーゲン)の沈着を示した。コラーゲン束は、第1週よりも厚いようであり、また、切開部の創傷内に濾胞性の再生の徴候が存在した。
第4週検体:Tisseel Duo 500
Tisseelの第4週外植片の低倍率および高倍率、マッソントリクローム染色は、第1週外植片と比較して、より少ない細胞の浸潤およびより顕著な新しいマトリックス(コラーゲン)の沈着を示した。コラーゲン束は、第1週よりも厚いようであり、また、切開部の創傷内に濾胞性の再生の徴候も存在した。
第4週検体:創傷クリップ
第4週Woundクリップ閉鎖物単独の低倍率および高倍率、マッソントリクローム染色は、FBTSおよびTisseelの外植片と比較して、持続性の軽度の細胞の浸潤および顕著な新しいマトリックス(コラーゲン)の沈着を示した。コラーゲン束は、第1週よりも厚いようであり、また、切開部の創傷内に何らかの濾胞性の再生の徴候も存在した。
FBTSの創傷の治癒:ラットにおける皮膚の切開部の密閉(第4週までの概要)
ラットにおける皮膚の切開部を治療するために、FBTSを使用した場合の創傷治癒応答の時間経過。マッソントリクロームで染色した切片(図12)。第1週からの外植片は、切開部の帯域内に新しいコラーゲンの沈着(青色)の早期の徴候を示した。有害な異物の巨細胞および顕著な炎症応答の徴候は存在しなかった。新しい血管形成の目に見える徴候が存在した。全体的に見て、第1週外植片は、創傷内への顕著な細胞の浸潤を示した。第2週からの外植片は、より少ない細胞性および増加したコラーゲンの沈着を示したが、コラーゲン束は薄く、これは、早期の治癒を示した。第4週では、外植片は、顕著に少ない細胞の浸潤、およびコラーゲンの沈着のより多くの徴候を伴う、より成熟した創傷治癒応答、ならびにより厚いコラーゲンの繊維束および濾胞性の再生の徴候を伴う、組織修復を示した。
外科的ブタモデルにおけるフィブリノーゲンに基づく組織シーラント(FBTS)の止血剤特性。
これらの実験は、生体動物モデル(主要動脈)において、FBTSを使用した場合、および補強支持体として、コラーゲンマトリックスもまた使用した場合の両方の止血を例示する。
子ブタに、全身麻酔薬下で麻酔を施し、内臓を外科的に暴露させた。子ブタには、人工呼吸を施した。いくつかの主要動脈を、18Gの針を用いて穿刺し、クランプを穿刺した創傷の遠位側および近位側に適用し、その部位は、綿棒で消毒して、FBTSを適用した。300Wのキセノンの内視鏡の源からの光(照射時間は、30秒から5秒まで変化させた)を使用して、フィブリノーゲンを150mg/ml、[Ru(bpy)]Clを2mM、および過硫酸ナトリウムを20mMで使用する光化学反応をもたらした。名目上、100μlを、1mlの使い捨て先端部を装着した自動ピペットを使用して適用した。先端部の末端を切り取って、液体の流れを促進した。FBTSは、液体として単独で使用するか、コラーゲン/アルギン酸塩の織物(J&J Medical製のFibracolコラーゲン−アルギン酸塩創傷ドレッシング)に適用するかのいずれかであった。
ブタの左総腸骨動脈に適用したFBTS。
腸骨動脈を、18Gの針を用いて穿刺した。血流を、穿孔の近位および遠位に適用した外科用クランプを使用して止め、FBTSは、ピペットを使用して適用し、記載に従って、光を使用して20秒間硬化させた(図10)。
近位のクランプを、最初に取り外し、圧力を高まらせ、密閉が明らかであることを確認した。遠位のクランプを取り外し、正常な血流を復帰させると、良好な拍動性の流れを得、血液の漏出はなかった。
FBTS適用30分後、密閉は依然として明らかであり、正常な大動脈の血流を認めた。良好な拍動性の流れを得、血液の漏出はなかった。
ブタの左腎臓動脈に適用したFBTS。
左腎臓動脈を、18Gの針を用いて穿刺した。血流を、穿孔の近位および遠位に適用した外科用クランプを使用して止め、FBTSは、ピペットを使用して適用し、記載に従って、光を使用して20秒間硬化させた。
近位のクランプを、最初に取り外し、圧力を高まらせ、密閉が明らかであることを確認した。遠位のクランプを取り外し、正常な血流を復帰させると、良好な拍動性の流れを得、血液の漏出はなかった。
FBTS適用30分後、密閉は依然として明らかであり、正常な大動脈の血流を認めた。良好な拍動性の流れを得、血液の漏出はなかった。
下行大動脈に適用したFBTS。
左腎臓動脈の分枝に隣接する下行大動脈を、18Gの針を用いて穿刺した。血流を、穿孔の近位および遠位に適用した外科用クランプを使用して止め、FBTSは、ピペットを使用して適用し、記載に従って、光を使用して20秒間硬化させた。
近位のクランプを、最初に取り外し、圧力を高まらせ、密閉が明らかであることを確認した。遠位のクランプを取り外し、正常な血流を復帰させると、良好な拍動性の流れを得、血液の漏出はなかった。
FBTS適用30分後、密閉は依然として明らかであり、正常な大動脈の血流を認めた。良好な拍動性の流れを得、血液の漏出はなかった。
下行大動脈にコラーゲンパッチと共に適用したFBTS。
試用を、上記に従うが、Fibracol(登録商標)コラーゲン/アルギン酸塩の創傷ドレッシングの7mm×7mmのパッチを含めて繰り返した。このパッチは、浸漬によってFBTSを飽和させ、創傷部位に鉗子を用いて光の適用まで保持した。
左腎臓動脈の遠位の下行大動脈を、18Gの針を用いて穿刺した。血流を、穿孔の近位および遠位に適用した外科用クランプを使用して止めた。記載に従って、FBTSに浸漬したパッチを適用し、光を使用して20秒間硬化させた。
近位のクランプを、最初に取り外し、圧力を高まらせ、密閉が明らかであることを確認した。遠位のクランプを取り外し、正常な血流を復帰させると、良好な拍動性の流れを得、血液の漏出はなかった。
FBTS適用30分後、密閉は依然として明らかであり、正常な大動脈の血流を認めた。良好な拍動性の流れを得、血液の漏出はなかった。
5秒間の光照明を用いたFBTSによる治療
下行大動脈に関する上記の実施例を、FBTSの液体単独を用いた場合の記載にその通り従って繰り返した。キセノンの光源を、5秒間適用した後、止めて、記載に従って、外科用クランプを取り外した。
近位のクランプを、最初に取り外し、圧力を高まらせ、密閉が明らかであることを確認した。遠位のクランプを取り外し、正常な血流を復帰させると、良好な拍動性の流れを得、血液の漏出はなかった。
参照文献
以下の文書の開示は、参照によって本明細書に組み入れられている。
フィブリン糊の作用機構を示す図である。 本発明の組織接着性を示す写真である。写真は、対抗する表面を、本発明によるシーラントの溶液(200mg/mlのウシフィブリノーゲンを、2mM[Ru(bpy)]Cl、10mM硫酸アンモニウムと共に、PBS中に溶解させた)中でコートすることによって結合させてある、ウシ背屈最長筋(LD)の2つの小さな条片を示す。10秒間の照射後、この筋肉の2つの小片は、写真中の矢印が示す位置に堅固に結合した。 25μlのPBS中に25μgのウシフィブリノーゲン(Sigma);2mM[Ru(bpy)]Cl;20mM過硫酸塩(Sodium塩)の全てを含有する反応混合物を、Quartz Halogen二色性源からの300Wの非干渉性光に、種々の時間暴露させた電気泳動ゲルの写真である。レーン番号 検体1 0秒2 1秒3 2秒4 5秒5 10秒6 30秒7 60秒8 タンパク質サイズの標準品 25μlのPBS中に25μgのウシフィブリノーゲン(Sigma);20mM過硫酸塩(Sodium塩)、および種々の濃度の[Ru(bpy)]Clの全てを含有する反応混合物を、Quartz Halogen二色性源からの300Wの非干渉性光に、1分間暴露させた電気泳動ゲルの写真である。レーン番号 検体1. MW標準品(上記に従う)2. 2mM[Ru(bpy)]Cl、光無し3. 0[Ru(bpy)]Cl4. 0NaPS5. 1μM6. 5μM7. 10μM8. 25μM9. 50μM10. 100μM11. 500μM12. 2000μM 25μlのPBS中に25μgのウシフィブリノーゲン(Sigma);2mM[Ru(bpy)]Cl(Aldrich)の全てを含有する反応混合物。(SPS:過硫酸ナトリウム;APS:過硫酸アンモニウム)を、Quartz Halogen二色性源からの300Wの非干渉性光に、1分間暴露させた電気泳動ゲルの写真である。レーン番号 検体1. 20mM SPS2. 10mM SPS3. 5mM SPS4. 2.5mM SPS5. 1.25mM SPS6. 0.63mM SPS7. 0.31mM SPS8. 10mM APS9. 2.5mM APS10. 0.63mM APS11. 0 過硫酸塩12. MW標準品。(上記に従う) (a)切開部を示す、および(b)本発明によるシーラントを用いて密閉した切開部を有する、腎臓の写真である。 (a)切開部を示す、および(b)本発明によるシーラントを用いて密閉した切開部を有する、肺の写真である。 追加のマトリックスタンパク質である、フィブロネクチンおよびコラーゲンのルテニウム触媒光架橋結合を示す電気泳動ゲルの写真である。レーン:ゲルA:1.ウマフィブロネクチン2.[Ru(bpy)]Clを用いて架橋結合させたウマフィブロネクチン5.Devro医療用コラーゲン(4mg/ml);カンガルー尾部6.Devro医療用コラーゲン(4mg/ml);カンガルー尾部、[Ru(bpy)]Clを用いて架橋結合7.ウシフィブリノーゲン8.[Ru(bpy)]Clを用いて架橋結合させたウシフィブリノーゲンゲルB:1.ウマフィブロネクチン2.[Ru(bpy)]Clを用いて架橋結合させたウマフィブロネクチン3.Devro医療用コラーゲン(4mg/ml);カンガルー尾部4.Devro医療用コラーゲン(4mg/ml);カンガルー尾部、[Ru(bpy)]Clを用いて架橋結合5.ニワトリコラーゲン6.[Ru(bpy)]Clを用いて架橋結合させたニワトリコラーゲン7.ウシフィブリノーゲン8.[Ru(bpy)]Clを用いて架橋結合させたウシフィブリノーゲン 実施例9に記載する、(A)(i)フィブリン糊(TISSEAL Duo 500)、(ii)2つの9mmのMikron創傷クリップ、および(iii)本発明によるフィブリノーゲンに基づく組織シーラントを用いて、(頭部から尾部への)3つの別々の切開部を閉鎖した2時間後、(B)手術後第1週、ならびに(C)手術後第4週のラットの写真である。 実施例9に記載する、(A)(i)フィブリン糊(TISSEAL Duo 500)、(ii)2つの9mmのMikron創傷クリップ、および(iii)本発明によるフィブリノーゲンに基づく組織シーラントを用いて、(頭部から尾部への)3つの別々の切開部を閉鎖した2時間後、(B)手術後第1週、ならびに(C)手術後第4週のラットの写真である。 本発明によるフィブリノーゲンに基づく組織シーラントのブタの左腸骨動脈への適用を示す写真である:(A)動脈の遠位末端および近位末端にクリップを用いて適用した、(B)クランプを取り外すと、完全に明らかな動脈を示し、良好な拍動性の流れを得、血液の漏出はなかった、および(C)適用後30分、完全に明らかな動脈を示し、良好な拍動性の流れを得、血液の漏出はなかった。 本発明によるフィブリノーゲンに基づく組織シーラントのブタの左腸骨動脈への適用を示す写真である:(A)動脈の遠位末端および近位末端にクリップを用いて適用した、(B)クランプを取り外すと、完全に明らかな動脈を示し、良好な拍動性の流れを得、血液の漏出はなかった、および(C)適用後30分、完全に明らかな動脈を示し、良好な拍動性の流れを得、血液の漏出はなかった。 コラーゲン/アルギン酸塩のドレッシングの小片上に飽和させた溶液として動脈に適用した、本発明によるフィブリノーゲンに基づく組織シーラントを示す写真である。完全に明らかな動脈を認め、良好な拍動性の流れを得、血液の漏出はなかった。 ラットにおける皮膚の切開部を治療するための、本発明によるフィブリノーゲンに基づく組織シーラントを使用した創傷治癒応答の時間経過を示す写真である。マッソントリクロームで染色した切片。第1週からの外植片(A)は、切開部の帯域内に新しいコラーゲンの沈着(青色)の早期の徴候を示す。有害な異物の巨細胞および顕著な炎症応答の徴候は存在しなかった。新しい血管形成の目に見える徴候が存在した。全体的に見て、第1週外植片は、創傷内への顕著な細胞の浸潤を示す。第2週からの外植片(B)は、より少ない細胞性および増加したコラーゲンの沈着を示すが、コラーゲン束は薄く、これは、早期の治癒を示している。第4週では、外植片(C)は、顕著に少ない細胞の浸潤、およびコラーゲンの沈着のより多くの徴候を伴う、より成熟した創傷治癒応答、ならびにより厚いコラーゲンの繊維束および濾胞性の再生の徴候を伴う、組織修復を示す。

Claims (19)

  1. 出血している創傷のための閉鎖物であって、出血を止めるために創傷に適用するのに適した基質を含み、前記基質に、マトリックスタンパク質、光活性化可能な金属−配位子錯体および電子受容体を浸透させる、または前記基質を、マトリックスタンパク質、光活性化可能な金属−配位子錯体および電子受容体でコートし、前記光活性化可能な金属−配位子錯体がトリス(ビピリジル)Ru(II)であり、前記電子受容体が過硫酸アンモニウムである、前記閉鎖物。
  2. マトリックスタンパク質が、フィブリノーゲン、フィブリン、コラーゲン、フィブロネクチン、ケラチンおよびラミニン、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の閉鎖物。
  3. マトリックスタンパク質が、フィブリノーゲン、フィブリン、コラーゲンおよびフィブロネクチン、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の閉鎖物。
  4. マトリックスタンパク質が、フィブリノーゲンである、請求項3に記載の閉鎖物。
  5. 錯体が、二塩化トリス(ビピリジル)Ru(II)である、請求項1から4のいずれか1項に記載の閉鎖物。
  6. 薬物またはその他の治療剤をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の閉鎖物。
  7. 基質が、コラーゲンのシート、包帯、ガーゼ、布、タンポン、膜またはスポンジである、請求項1から6のいずれか一項記載の閉鎖物。
  8. マトリックスタンパク質と、光活性化可能な金属−配位子錯体と、電子受容体とを含み、前記光活性化可能な金属−配位子錯体がトリス(ビピリジル)Ru(II)であり、前記電子受容体が過硫酸アンモニウムである、組織接着剤。
  9. マトリックスタンパク質が、フィブリノーゲン、フィブリン、コラーゲン、フィブロネクチン、ケラチンおよびラミニン、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載の組織接着剤。
  10. マトリックスタンパク質が、フィブリノーゲン、フィブリン、コラーゲンおよびフィブロネクチン、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項9に記載の組織接着剤。
  11. マトリックスタンパク質が、フィブリノーゲンである、請求項10に記載の組織接着剤。
  12. 錯体が、二塩化トリス(ビピリジル)Ru(II)である、請求項8から11のいずれか一項に記載の組織接着剤。
  13. 薬物またはその他の治療剤をさらに含む、請求項8から12のいずれか一項に記載の組織接着剤。
  14. 不活性な担体をさらに含む、請求項8から13のいずれか一項に記載の組織接着剤。
  15. マトリックスタンパク質と、光活性化可能な金属−配位子錯体と、電子受容体とを含み、前記光活性化可能な金属−配位子錯体がトリス(ビピリジル)Ru(II)であり、前記電子受容体が過硫酸アンモニウムである、出血している創傷を閉鎖するためのキット。
  16. マトリックスタンパク質と、光活性化可能な金属−配位子錯体と、電子受容体とを含み、前記光活性化可能な金属−配位子錯体がトリス(ビピリジル)Ru(II)であり、前記電子受容体が過硫酸アンモニウムである、組織を結合させるかつ/または密閉するためのキット。
  17. 光源をさらに含む、請求項15または16に記載のキット。
  18. 創傷の閉鎖物をさらに含む、あるいはマトリックスタンパク質、光活性化可能な金属−配位子錯体および過硫酸アンモニウムのうちの1つもしくは複数を、あらかじめ浸透させた、またはマトリックスタンパク質、光活性化可能な金属−配位子錯体および過硫酸アンモニウムのうちの1つもしくは複数で、あらかじめコートした創傷の閉鎖物をさらに含み、前記光活性化可能な金属−配位子錯体がトリス(ビピリジル)Ru(II)である、請求項15から17のいずれか一項に記載のキット。
  19. 組織を結合させるかつ/または密閉するための医薬品の製造における、マトリックスタンパク質、光活性化可能な金属−配位子錯体および電子受容体の使用であって、前記光活性化可能な金属−配位子錯体がトリス(ビピリジル)Ru(II)であり、前記電子受容体が過硫酸アンモニウムである、前記使用。
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