JP5670630B2 - ラジアントチューブ式加熱装置のレキュペレータ保護方法 - Google Patents
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Description
この結果、上記レキュペレータは、排ガスの熱及びラジアントチューブからの輻射熱の影響による熱応力、酸化減肉、ヒートショック等によって亀裂が生じ、損傷する場合があり、レキュペレータの先端部はこの傾向が顕著であった。しかも、その亀裂が生じた部分から燃焼用空気が吹き出して異常燃焼を起こしてしまうため、排気煙道での赤熱や燃料使用量の増加、加熱装置の加熱能力の低下などの問題を引き起こし、修繕等にも多大な時間と費用を要していた。
しかも、レキュペレータの外筒の交換は、費用だけでなく交換のための時間も多く必要であるため、操業を長期にわたり停止しなければならないという問題もあった。
また、本発明においては、上記耐火部材の遮断部を、ラジアントチューブの軸線方向に沿う方向に延びる軸部と、該軸部に沿って放射状に立ち上がる複数の突部とを有する構成とすることができる。この場合においては、上記ラジアントチューブ内に、複数の耐火部材を該ラジアントチューブの軸線方向に直列状に並べ、且つこれら耐火部材を、軸線周りに角度を相互にずらすことにより各耐火部材の突部の位置が相互にずれた状態で配置することができる。
この結果、ラジアントチューブからの輻射熱のレキュペレータへの伝熱を直接的且つ確実に減少させることができ、これにより熱の影響によるレキュペレータの損傷を抑制防止し、長寿命化を図ることができる。
さらに、上記レキュペレータを、上記ラジアントチューブ内において該レキュペレータの先端部が炉壁の炉内側に突出しない位置まで該ラジアントチューブに挿入したことにより、炉内側にあるラジアントチューブからの輻射熱がレキュペレータに伝わる範囲をできる限り小さくしたため、レキュペレータがラジアントチューブ内において炉壁の炉内側に突出した場合に比べて、ラジアントチューブからの輻射熱の影響を小さくすることができる。
上記バーナー4は、メインガス供給管7により供給されたメインガスに着火して、上記レキュペレータ5から送られてきた燃焼用空気と共に燃焼させる構成となっている。なお、上記バーナー4の基端側の下部には、レキュペレータ5から送られてくる予熱された燃焼用空気を流入させる筒状のダクト8の上端部が取付けられている。
上記外筒9の基端側の上部には、上記バーナー4に予熱した燃焼用空気を送る上記ダクト8の下端部が取付けられ、また、炉壁2の外方側において外筒9を覆うカバー11の下部には排ガスを外部に排出する排気煙道12が取付けられている。
また、上記レキュペレータ5は、外筒9の軸線がラジアントチューブ3の軸線上に位置するように、つまりラジアントチューブ3の径の中心に位置するように、該ラジアントチューブ3内に挿入されている。
即ち、上記レキュペレータ5を、上記ラジアントチューブ3内において該レキュペレータ5の先端部5aが炉壁2の炉内側の面2aから突出しない位置まで該ラジアントチューブ3に挿入し、位置を固定する。
この実施の形態では、上記レキュペレータ5の先端部5aが、ラジアントチューブ3内において上記炉壁2の炉内側の面2aと同じ面上に位置するように、レキュペレータ5全体を炉壁2の外方側に移動させた状態(即ち、レキュペレータ5の外筒9を、ラジアントチューブ3に対して浅めに挿し込んだ状態)としている。
より具体的に、上記耐火部材13は、ラジアントチューブ3の軸線方向(直線部分の軸線方向)にある程度の厚みを有するブロック状のもので、図3に示すように、上記遮断部14を、ラジアントチューブ3の直線部分の軸線方向に沿う方向に延びる軸部14aと、該軸部14aに沿ってこの軸部14aから90度間隔で四方に放射状に立ち上がった、4つの同形板状の突部14bとを備えた断面略十字形状に形成されている。そして、この4つの突部14bの間の空間が上記流通部15となっている。
また、この耐火部材13は、相反する方向に立ち上がる2つの突部14b、14bの各先端間の距離が、上記ラジアントチューブ3の内径とほぼ同じか若干小さくなるように設定されていて、ラジアントチューブ3内に設置する際に各突部14bの先端部をラジアントチューブの内周壁に当接させることにより、上記軸部14aが突部14bによって、ラジアントチューブ3の直線部分の軸線上であってレキュペレータ5の先端部5aと対向する位置に安定的に支持されるようにしている。
また、これらの耐火部材13,13は、図2及び図4に示すように、軸線周りに角度(図2及び図4の場合は45度)を相互にずらした状態、即ち、各軸部14aが両耐火部材13,13ともラジアントチューブ3の直線部分の軸線上に位置した状態で、突部14bのみが相互にずれた状態で配置されている。つまり、レキュペレータ5が挿し込まれたラジアントチューブ3の開口側から見た場合には、レキュペレータ側に位置する手前側の耐火部材13の流通部15から、奥側に位置する耐火部材13の突部14bが見えるような状態となる(特に図4参照)。
その一方で、2個の耐火部材13,13は軸線方向に直列状されているため、たとえ各耐火部材13,13の各突部14bの位置が相互にずれたことによって遮断部14全体がなす軸線方向の投影面積が増大しても、上記流通部15の空間は常に確保され、したがって、排ガスの流通が阻害されることはない。
耐火部材の遮断部全体がなす軸線方向の投影面積については、レキュペレータの外筒の表面温度の減少具合と、耐火部材に対する排ガスの通風抵抗や、排ガスに含まれるカーボンや灰が耐火部材に付着することによる流通部の閉塞の可能性を考慮して最も適切な大きさに設定する必要があるが、基本的に、この投影面積は、ラジアントチューブ内周の径方向の断面積中において流通部に相当する面積よりも大きいこと、つまり遮断部全体の投影面積が、耐火部材の軸線方向から見た場合の流通部に相当する見かけの面積よりも大きいことが好ましい。
この場合において、遮断部全体の投影面積は、ラジアントチューブ内周の径方向の断面積の60%以上を占める(投影率)となる程度に設定することが望ましく、さらには80%以上を占める程度に設定することが望ましい。
これにより、上記輻射熱は、炉壁2及び耐火部材13,13によりレキュペレータ5に至る前に大幅に遮られるため、この輻射熱によるレキュペレータ5への伝熱量を確実に減少させて該レキュペレータ5の熱負荷を軽減することができ、したがって、従来過度に上昇していたレキュペレータ5(具体的には外筒9)の温度を下げることが可能となる。この結果、排ガスの熱と輻射熱とを含む熱の影響によるレキュペレータ5の損傷を防止し、長寿命化を図ることができる。
なお、耐火部材の数については、必要な投影面積を確保できるのであれば、1個であってもかまわないことはもちろんである。この場合において、その耐火部材単体は、遮断部がなす該耐火部材の軸線方向の投影面積が、ラジアントチューブ内周の径方向の断面積中において上記流通部に相当する面積よりも大きい形状とすることが望ましい。
この点については、耐火部材を3個以上使用する場合も同様で、必要な投影面積に応じて、それらの耐火部材全体がなす投影面積の大きさを、各耐火部材の軸線周りの角度をそれぞれ調整することにより増減することができる。また、この場合においては、使用する耐火部材の遮断部全体がなす軸線方向の投影面積が、ラジアントチューブ内周の径方向の断面積中において上記流通部に相当する面積よりも大きくなるように、各耐火部材の軸線周りの角度を配置を相互にずらす等、適切な態様で配置することが好ましい。
上記レキュペレータ保護方法を実施するに際しては、バーナーの火力を一定にした状態した上で、耐火部材全体の投影面積が異なる耐火部材、具体的には、ラジアントチューブ内の径方向の断面積に対する耐火部材全体の投影面積(投影率)が40%,60%,80%,90%,94%のものをレキュペレータの先端側に配置し、各投影面積ごとにレキュペレータ先端部の表面温度をそれぞれ測定するようにした。一方で、耐火部材を配設しない場合、即ち本発明の保護方法を実施しない場合(投影率0%)についても、レキュペレータ先端部の表面温度を測定した。
なお、実験に際しての主な条件は次の通りである。
(1)ラジアントチューブの径方向の断面積: 24872mm2
(2)レキュペレータの軸線方向の投影面積(外筒部分): 17663mm2
(3)レキュペレータの外筒の材質: 耐熱鋼(SCH13(JIS G5122))
(4)熱交換前の燃焼用空気の温度: 35℃
また、耐火部材全体の投影率における排ガスの温度についても測定したところ、本発明によってラジアントチューブからレキュペレータへの輻射伝熱量が小さくなることにより、レキュペレータは排ガスの顕熱をより効率的に回収することができるようになったため、耐火部材を配設しなかった場合の排ガス温度720℃に比べて、投影率が60%の場合の排ガス温度は約10℃低下、投影率が94%の場合は約40℃低下しており、バーナーに使用する燃料の節約に繋がっていることがわかった。
さらには、耐火部材の投影面積を大きくするほどレキュペレータの先端部の表面温度は下がることが実証された。特に、投影率が60%の場合は、耐火部材を配置しなかった場合よりも50℃以上、投影率80%の場合は100℃以上も表面温度を下げることができることから、耐火部材の投影面積を大きくすることによってレキュペレータの保護効果を向上させることができることがわかった。
以上のように、本発明のレキュペレータ保護方法によれば、該レキュペレータの表面温度を確実に抑制し、レキュペレータに対する熱の影響を抑えることが可能であることが実証された。
2 炉壁
2a 炉壁の炉内側の面
3 ラジアントチューブ
4 バーナー
5 レキュペレータ
13 耐火部材
14 遮断部
14a 軸部
14b 突部
15 流通部
Claims (4)
- 両端部が熱処理炉の炉壁外方に導出されたラジアントチューブと、該ラジアントチューブの一端側に上記炉壁の炉外側から挿入されたバーナーと、上記ラジアントチューブの他端側に上記炉壁の炉外側から挿入されて、該バーナーに送られる燃焼用空気を予熱するレキュペレータとを備えたラジアントチューブ式加熱装置におけるレキュペレータの保護方法であって、
上記レキュペレータを、上記ラジアントチューブ内において該レキュペレータの先端部が炉壁の炉内側の面から突出しない位置まで該ラジアントチューブに挿入すると共に、
ラジアントチューブ内におけるレキュペレータの先端部よりも炉内側に、ラジアントチューブからレキュペレータに向けての輻射熱を遮る遮断部とバーナーの排ガスを流通させる流通部とを有する耐火部材を、該レキュペレータの先端部に接触しない程度に近接させて配設することを特徴とするラジアントチューブ式加熱装置のレキュペレータ保護方法。 - 上記ラジアントチューブ内に配設する耐火部材の数を増加させることにより、これら耐火部材の遮断部全体がなす該耐火部材の軸線方向の投影面積を増大させることを特徴とする請求項1に記載のラジアントチューブ式加熱装置のレキュペレータ保護方法。
- 上記耐火部材の遮断部を、ラジアントチューブの軸線方向に沿う方向に延びる軸部と、該軸部に沿って放射状に立ち上がる複数の突部とを有する構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のラジアントチューブ式加熱装置のレキュペレータ保護方法。
- 上記ラジアントチューブ内に、複数の耐火部材を該ラジアントチューブの軸線方向に直列状に並べ、且つこれら耐火部材を、軸線周りに角度を相互にずらすことにより各耐火部材の突部の位置が相互にずれた状態で配置することを特徴とする請求項3に記載のラジアントチューブ式加熱装置のレキュペレータ保護方法。
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