JP5670332B2 - ピペコリン酸リンカーおよび固体支持体についての化学へのその使用 - Google Patents

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Description

発明の背景
本発明は、ピペコリン酸リンカー(pipecolic linker)および有機合成における固相リンカーとしてのその使用に関する。前記ピペコリン酸固相リンカーは、第一級アミン、第二級アミン、芳香族アミン、アルコール、フェノールおよびチオールの間で選択された官能基のカップリングのために使用することができる。特に、前記ピペコリン酸固相リンカーは、ペプチド合成、例えば、逆方向のNからCへのペプチド合成もしくはCからNへのペプチド合成など、擬ペプチド合成、例えば、レトロインベルソ型ペプチド合成など、または小有機分子の合成のために使用することができる。
1963年の導入以降、固体支持体はペプチドおよび擬ペプチド合成の日常的なツールとなった。その後、小有機分子の固相合成は集中的化合物ライブラリーの作成に重要なツールとなってきている。それゆえに、製薬会社および学究的な世界においてこの戦略を適用することで、創薬プロセス内での同定達成または最適化誘導が一般的に加速した。
ライブラリー作成に関して固相担持化学の利点が数多くあるにもかかわらず、合成ステップの間の決定的な障害の1つは、第1の構成単位を固体支持体と連結する官能基の安定性である。このアンカーは、脱保護後に所定の官能性(すなわち、カルボン酸、第一級アミン、アルデヒド...)または関連官能基のファミリーを提供するように設計されたリンカーによって果たされる。保護基として、リンカーは合成戦略の選択において重要な役割を果たし、行われる化学の条件だけでなくアンカリングのためおよび固体支持体からの生成物の解離のための条件も決定する。これらの要件は、多様な有機化合物の合成のための固相戦略の幅広い適用に対する主要な障害であるように思われる。このような状況において、堅牢で用途の広いリンカーシステムの開発は、ライブラリーの作成を迅速化し促進するために非常に重要である。
固体支持体アンカリングのために選択される対象の官能性の間では、アミンおよびアルコールが非常に興味深いものである。それは、生物学的に活性な化合物の構造においてこれらの官能性が一般的に存在することからである(Boschi et al., 2006; Nam et al., 2003; Stromgaard et al., 2001)。さらに、擬ペプチドおよびペプチド化学の分野では、これらの部分は特別の重要性を表す。標準的なSPPS戦略は、エピマー化現象を最小限に抑えるために、カルボン酸のC末端のアンカリング、その後のCからNへのペプチド伸長に依存する。しかしながら、バイオコンジュゲーションまたは連結のいずれかのための新規の有力な化合物ならびに合成中間体の探索への関心事には、多くの場合、アルコール、エーテル、エステル、チオエステル、N−アルキルアミド、ヒドラジド、アルデヒドのような官能性を導入するためまたは環状ペプチドを得るためにC末端に修飾を必要とする。このような修飾は、得られた化合物の酵素安定性および溶解度を高くするだけでなく、生物学的障害を克服する能力も高め得る。固体支持体上での別のアンカリングは、さらなる化学修飾のためにペプチドC末端を自由な状態に維持することができる。
これらの目的を達成するために、3つの主要な戦略が有名である:二次アミド結合による主鎖アンカリング、特定の残基の側鎖アンカリングおよび固体支持体へのN末端アンカリング。
主鎖アンカリングに最も重要なリンカーは、アルデヒド官能基化リンカー、例えば、BAL(主鎖アミドリンカー(backbone amide linker))である。このハンドルは、C末端修飾ペプチド(Albericio et al., 1999a; Alsina et al., 1999)および環状ペプチド(Jensen et al., 1998)の合成にだけでなく、小ヘテロ環式化合物(Albericio et al., 1999b)の作製にも広く用いられている。
第2の戦略は、側鎖アミノ酸残基、例えば、アルギニンのグアニジン基(Hamze et al., 2004)、セリンおよびトレオニンのアルコール(Subra et al., 2002)、オルニチンおよびリジンのアミンならびにアスパラギン酸およびグルタミン酸のカルボン酸をアンカリングするようになっている特異的リンカーを必要とする。注目すべきは、このアプローチはN末端およびC末端におけるペプチドの同時修飾を可能にすることである。
最後に、N末端アンカリング戦略は、主として、SPPSを逆方向に実施する必要がある場合に進められる。この戦略は、ペプチド模倣薬合成のために関心が高まりつつあり、カルボン酸官能基を、化学変換を受けることができる状態にする。この目的で、N末端アミンを固体支持体へ取り付けるために便宜なリンカーが必要である(Cantel et al., 2004; Cantel et al., 2003)。
これらの理由から、本発明者らは、固相有機化学ならびに側鎖またはN末端アンカリングによるペプチドおよび擬ペプチド化学に適用することができるアミンおよびアルコールを含む電子が豊富な部分の固定化に好適な用途の広いリンカーを開発する考えに及んだ。
リンカーの間では、TFAに不安定なハンドルがコンビナトリアルライブラリーの作成にとりわけ有用である。実際には、その方法論を用いることにより、開裂および開裂後後処理は簡単であり、真空セントリフュゲーター(vacuum centrifugator)または不活性ガスバブリングを用いて並行して行うことができるTFAの簡単な蒸発だけで済むことが多い。
市販の、酸に不安定なリンカーは、効率的なアンカリングおよびアミンまたはアルコール基を含有する化合物の解離にはそれほど一般的ではない。ヒンダードトリチル関連リンカー、例えば、2−クロロクロロトリチルリンカーまたは4−カルボキシクロロトリチルリンカーなどは、様々な求核試薬のアンカリングへの直接経路を提供する。しかしながら、芳香族アミンまたはアルコールなどの嵩高いまたは非反応性の求核試薬を用いる場合には担持効率は大幅に低下する。さらに、トリチルに基づくリンカーは酸処理に対して感受性が高く、これは大きな利点ではあるが、目的化合物の固相担持合成経路の間に弱酸性条件が必要である場合には欠点となる。アミンまたはアルコールの直接固定化の主要な代替手段は、酸に不安定なヒドロキシメチルフェノキシリンカー(例としてワング樹脂)、HMBAリンカーまたは単にHFに不安定なだけのヒドロキシメチルポリスチレン支持体などのアルコール官能基化樹脂上で構築されるカルバメートまたはカルボネート結合の使用である。しかしながら、この戦略では、第1の構成単位の固定化の前に、p−ニトロフェニルカルボネートまたはイミダゾールカルボネートのような活性化中間体としてアルコールリンカーの誘導体化を必要とし、担持率は通常非常に低い。この欠点に加え、この種の結合は求核攻撃に対して常に安定していない(Cantel et al., 2004)。
本発明は、ピペコリン酸スキャフォールドに基づく新規の酸不安定リンカーの設計および使用に関する。このリンカーのカルボキシル官能基は、アミンまたはアルコールなどの求核試薬をそれぞれアミドまたはエステル結合によってアンカリングするために容易に活性化することができる(実施例のパートIII、合成スキーム番号2参照)。そのリンカーは幅広い構成単位に適応させることができ、その使用はペプチドおよび擬ペプチドの側鎖およびN末端アンカリングについて立証されている。ペプチドまたは擬ペプチドは、その後、酸加水分解によりピペコリン酸リンカー固体支持体から解離することができる。前記酸加水分解は、ピペコリン酸リンカーの空間特性によって有利に働きR置換基の性質によって強化されると考えられる。
第1の態様において、本発明は、下記式:
Figure 0005670332
[式中、
Figure 0005670332
は、有機合成において用いられる固体支持体を表し、
Xは、存在しないか、または、−NR−、−NR−CO−、−S−CO−、−O−、−CO−NR−、−S−、−CO−S−、−CO−O−、−O−CO−、−SO−NR−、もしくは−NRSO−(ここで、Rは、Hまたは(C−C)アルキル、有利にはHを表す)を表し(Xはスペーサーによって固体支持体から分離することができると理解される)、および
は、分枝(C−C30)アルキル基、分枝(C−C30)アルケニル基、分枝(C−C30)アルキニル基、(C−C12)単環式もしくは多環式炭化水素基、(C−C)アルキル−(C−C12)単環式もしくは多環式炭化水素基、(C−C)アルケニル−(C−C12)単環式もしくは多環式炭化水素基、または(C−C)アルキニル−(C−C12)単環式もしくは多環式炭化水素基を表す]
を有する固相−リンカー組合せ(solid phase-linker combination)に関する。
本発明において、式(I)の固相−リンカー組合せは、「ピペコリン酸リンカー固体支持体」ということもある。
用語「固体支持体(solid support)」、「固相(solid phase)」、「マトリックス」および「樹脂」は、本発明においては区別せずに、有機化学において、特にペプチド合成において通常に用いられる支持体を意味する。有利には、固体支持体は、ポリスチレン支持体、ポリアミド支持体、ポリエチレングリコール支持体、ポリアクリル系支持体、複合支持体およびそのコポリマー、例えば、ポリアクリル系/β−アラニンコポリマー支持体、ポリアクリルアミド/ポリスチレンコポリマー支持体、ポリアクリルアミド/ポルエチレングリコールコポリマー支持体、およびポルエチレングリコール/ポリスチレンコポリマー支持体などの間で選択され、前記支持体がビーズの形態、リングまたはランタンなどのフィルムコーティング支持体の形態、プラグの形態、または非架橋可溶性支持体の形態であることも可能である。
より有利には、固体支持体は、
(i)ポリスチレン(PS)ベースを含むマトリックスを有する、またはポリアミド(PL)もしくはポリエチレングリコールベース(PEG)を含むマトリックスを有する、ゼラチン状またはマクロ多孔性樹脂のビーズ、あるいはポリエチレングリコール−ポリスチレン(PEG−PS)またはポリエチレングリコール−ジメチルアクリルアミド(PEGA)タイプの複合支持体、および
(ii)SynPhase Lanterns(登録商標)(Mimotopes, Australia)(硬質非反応性ベースポリマー上へグラフト化された移動可能な表面ポリマーにより構成される、最大限の表面積、反応物の自由流動および洗浄液の迅速な排水を提供する独特の「ランタン」形状物)などのフィルムコーティング支持体
から選択される。
本発明において、Xが存在しない場合、基Rは固体支持体と直接連結される。
また、Xが存在する場合、Xは、下に開示される式(XI)のピペコリン酸リンカーの官能基化固体支持体へのアンカリングによって得られる。本発明の固体支持体は、前記ピペコリン酸リンカー(式中、Rは当業者に周知のプロセスにより官能基Yで官能基化されている)と反応することが可能な官能基preXで官能基化される。例えば、官能基−NHを担持する支持体は式(XI)のピペコリン酸リンカー(式中、RはY=−COOHで官能基化されている)と反応し、その結果、Xは−NH−CO−となるであろう(実施例のパートI、合成スキーム番号1参照、この場合、Rはシクロヘキシル基である)。もう1つの例において、官能基−COOHを担持する支持体は式(XI)のピペコリン酸リンカー(式中、RはY=−NHで官能基化されている)と反応し、その結果、Xは−CO−NH−となるであろう。官能基化ピペコリン酸リンカーのYと反応する固体支持体の官能基は、より理解するために本明細書において「preX」という(合成スキーム番号1では、preX=NH)。従って、preXとYとの反応により、Xは得られる。
好ましくは、Xは、−O−CO−、−NH−CO−、−CO−O−、または−CO−NH−、より好ましくは、−O−CO−または−NH−CO−、さらに好ましくは、−NH−CO−を表す。
有利には、官能基preXで官能基化された固体支持体は、官能基preXがCl−CH−であるクロロメチルポリスチレン樹脂、官能基preXがHO−であるベンジルオキシベンジルアルコールポリスチレン樹脂、官能基preXがNH−であるアミノメチルポリスチレン(AM−PS)樹脂、または官能基preXがNH−である、4−メチルベンズヒドリルアミンポリスチレン樹脂などのメチルベンズヒドリルアミンポリスチレン樹脂である。より有利には、官能基preXで官能基化された固体支持体は、アミノメチルポリスチレン(AM−PS)樹脂または4−メチルベンズヒドリルアミンポリスチレン樹脂である。
本発明において、Xはスペーサーによって固体支持体から分離することもできる。用語「アーム」および「スペーサー」は、本発明においては区別せずに用いられ、固体支持体へグラフト化することができる、当業者には周知でよく用いられる任意のフラグメント、特にペプチド合成に用いられるものを意味する。Xがスペーサーによって固体支持体から分離されている場合、Xは、スペーサー中に含まれる官能基preXによってもたらされると理解されるべきである。有利には、前記フラグメントは、官能基preX=NH−を含有するRinkアミド(Rinkは4−[2’,4’−ジメトキシフェニル−(9−フルオロメチルオキシカルボニル)アミノメチル]フェノキシ−を意味する)、官能基preX=Cl−Cを含有するクロロトリチル、官能基preX=HO−を含有するヒドロキシメチルベンジルアセトアミド、官能基preX=NH−を含有するSieberアミド(Sieberは9−アミノキサンテン−3−イルオキシ−を意味する)、官能基preX=NH−を含有するアミノメチル−3,5−ジメトキシフェノキシアルキル、官能基preX=NH−を含有するアミノメチル−3−ジメトキシフェノキシアルキル、官能基preX=OH−を含有するヒドロキシメチル−3,5−ジメトキシフェノキシアルキル、および官能基preX=OH−を含有するヒドロキシメチル−3−ジメトキシフェノキシアルキルの間で選択される。
本発明の観点から、「(C−C)アルキル」とは、1〜6個の炭素原子を有する任意の直鎖または分枝飽和炭化水素基を意味する。(C−C)アルキル基の例としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、1−エチルプロピル、sec−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどが挙げられる。
本発明の観点から、「分枝(C−C30)アルキル基」とは、3〜30個の炭素原子を有する任意の分枝飽和炭化水素基を意味する。分枝(C−C30)アルキル基の例としては、限定されるものではないが、イソプロピル、1−エチルプロピル、sec−ブチル、ter−ブチル、イソヘキサデシルなどが挙げられる。
本発明の観点から、「分枝(C−C30)アルケニル基」とは、3〜30個の炭素原子を有する任意の分枝炭化水素アルケニル基を意味する。分枝(C−C30)アルケニル基の例としては、限定されるものではないが、イソプロペニル、イソブテニル、sec−ブテニル、tert−ブテニル、イソペンテニルなどが挙げられる。
本発明の観点から、「分枝(C−C30)アルキニル基」とは、3〜30個の炭素原子を有する任意の分枝炭化水素アルキニル基を意味する。分枝(C−C30)アルキニル基の例としては、限定されるものではないが、イソブチニル、イソペンチニルなどが挙げられる。
本発明において、表現「単環式または多環式炭化水素基」、「単環式またはポリシクロアルキル基」および「単環式または多環式シクロアルキル基」は区別せずに用いられる。
「(C−C12)単環式または多環式炭化水素基」は、「(C−C12)単環式またはポリシクロアルキル基」ともいい、本発明においては区別せずに、1以上の環、有利には1環、2環、3環、4環、5環または6環、有利には1環、2環または3環(各環は4−、5−、6−または7−員環、より有利には5−または6−員環である)からなる飽和炭化水素基を指す。前記多環式基が2環で存在する場合、前記環は縮合もしくはブリッジされていてよく、またはスピロ接合によって連結されていることもあること、あるいは(C−C12)多環式炭化水素基の1つの環の炭素原子はその(C−C12)多環式炭化水素基のもう1つの環の炭素原子と共有結合を形成することも理解されるべきである。
例えば、各環が6−員環である二環式炭化水素基は、
縮合された
Figure 0005670332
、ブリッジされた
Figure 0005670332
、スピロ接合点を有する
Figure 0005670332
、C−C結合を有する
Figure 0005670332
であり得る。
前記多環式基が2環以上で存在する場合、当業者ならばこれらの環構成の組合せがあるかもしれないことは分かるであろう。
(C−C12)単環式または多環式炭化水素基の前記環の1以上が複素環であってよく、それは、前記環が1個以上、有利には1個または2個のヘテロ原子(有利には窒素、酸素または硫黄原子から選択される)を組み込んでいることを意味することも理解されるべきである。
(C−C12)単環式または多環式炭化水素基の他の例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチルまたはノルボルニル基が挙げられる。有利には、(C−C12)単環式または多環式炭化水素基は、(C−C10)単環式または多環式炭化水素基、より有利にはCまたはC単環式または多環式炭化水素基である。より有利には、(C−C12)単環式または多環式炭化水素基は、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルまたはノルボルニル基である。
「(C−C)アルキル−(C−C12)単環式または多環式炭化水素基」とは、XまたはY基と、あるいは上に定義されるような(C−C)アルキル基により固体支持体と連結された、上に定義されるような任意の(C−C12)単環式または多環式炭化水素基を意味する。さらに、(C−C)アルキル−(C−C12)単環式または多環式炭化水素基の場合、(C−C12)単環式または多環式炭化水素基は、加えて、不飽和または部分飽和炭化水素基、例えば、多環式炭化水素基の環それぞれまたは少なくとも1つの環、有利には多環式炭化水素基の総ての環が、アリール環、有利にはフェニル環である単環式または多環式炭化水素基などを指し得る。
「(C−C)アルケニル−(C−C12)単環式または多環式炭化水素基」とは、XまたはY基と、あるいは(C−C)アルケニル基により固体支持体と連結された、上に定義されるような任意の(C−C12)単環式または多環式炭化水素基を意味する。「(C−C)アルケニル基」とは、2〜6個の炭素原子を有する任意の直鎖または分枝炭化水素アルケニル基を意味する。(C−C)アルケニル基の例としては、限定されるものではないが、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルなどが挙げられる。(C−C)アルケニル−(C−C12)単環式または多環式炭化水素基の場合、(C−C12)単環式または多環式炭化水素基は、加えて、不飽和または部分飽和炭化水素基、例えば、多環式炭化水素基の環それぞれまたは少なくとも1つの環、有利には多環式炭化水素基の総ての環が、アリール環、有利にはフェニル環である単環式または多環式炭化水素基などを指し得る。
「(C−C)アルキニル−(C−C12)単環式または多環式炭化水素基」とは、XまたはY基と、あるいは(C−C)アルキニル基により固体支持体と連結された、上に定義されるような任意の(C−C12)単環式または多環式炭化水素基を意味する。「(C−C)アルキニル基」とは、2〜6個の炭素原子を有する任意の直鎖または分枝炭化水素アルキニル基を意味する。(C−C)アルキニル基の例としては、限定されるものではないが、エチニル、プロピニル、1−ブチニルなどが挙げられる。(C−C)アルキニル−(C−C12)単環式または多環式炭化水素基の場合、(C−C12)単環式または多環式炭化水素基は、加えて、不飽和または部分飽和炭化水素基、例えば、多環式炭化水素基の環それぞれまたは少なくとも1つの環、有利には多環式炭化水素基の総ての環が、アリール環、有利にはフェニル環である単環式または多環式炭化水素基などを指し得る。
有利には、(C−C)アルキル−(C−C12)不飽和または部分飽和単環式または多環式炭化水素基、(C−C)アルケニル−(C−C12)不飽和または部分飽和単環式または多環式炭化水素基、あるいは(C−C)アルキニル−(C−C12)不飽和または部分飽和単環式または多環式炭化水素基の環の1以上が、1個以上、有利には1個または2個のヘテロ原子(有利には窒素、酸素または硫黄原子)を組み込んでいる複素環であってよい。
より有利には、「(C−C)アルキル−(C−C12)単環式または多環式炭化水素基」は「(C−C)アルキル−(C−C10)単環式または多環式炭化水素基である。さらに有利には、(C−C)アルキル−(C−C12)単環式または多環式炭化水素基はメチル−CまたはC単環式または多環式炭化水素基である。最も有利には、(C−C)アルキル−(C−C12)単環式または多環式炭化水素基はノルボルナ−2−イル−メチル基である。
本発明の特に好ましい実施形態では、前記固相−リンカー組合せは、下記式:
Figure 0005670332
(式中、
Figure 0005670332
は上に定義される通りであり、Rはノルボルナ−2−イル−メチルであり、Xは−NH−CO−である)、
Figure 0005670332
(式中、
Figure 0005670332
は上に定義される通りであり、Rはシクロヘキシルであり、Xは−NH−CO−である)および
Figure 0005670332
(式中、
Figure 0005670332
は上に定義される通りであり、Rはアダマンチルであり、Xは−NH−CO−である)
から選択される式により表される。
本発明はまた、本発明による式(I)の固相−リンカー組合せを調製するための方法であって、下記式
Figure 0005670332
(式中、Rは上に定義される通りであり、
はO保護基であり、
Figure 0005670332
およびXは上に定義される通りである)
の固相リンカー組合せの脱保護の工程(d1)を含む方法にも関する。
本発明の観点から、用語「O保護基」とは、本明細書において、Greene、"Protective Groups In Organic Synthesis", (John Wiley & Sons, New York (1981))において開示されているO保護基などの、合成手順の間に望ましくない反応からヒドロキシル基を保護する置換基を指す。O保護基は、置換メチルエーテル、例えば、メトキシメチル(MOM)、ベンジルオキシメチル、2−メトキシエトキシメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、t−ブチル、ベンジルおよびトリフェニルメチル、テトラヒドロピラニルエーテル、置換エチルエーテル、例えば、2,2,2−トリクロロエチル、シリルエーテル、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル(TBS)およびt−ブチルジフェニルシリル;ならびにヒドロキシル基をカルボン酸と反応させることにより調製されるエステル、例えば、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、安息香酸エステルなどを含んでなる。
好ましい実施形態では、O保護基Rは(C−C)アルキル、有利にはメチルであり、脱保護ステップ(d1)は、テトラヒドロフランなどの溶媒中LiOHの溶液での鹸化により行われる。
有利には、式(II)の固相リンカー組合せは、(c1)式
Figure 0005670332
(式中、
Figure 0005670332
、XおよびRは上に定義される通りである)
の固相リンカー組合せと、式
Figure 0005670332
(式中、Rは上に定義される通りである)
の化合物との反応により得られる。有利には、Rは(C−C)アルキル、より有利にはメチルである。
さらなる好ましい実施形態では、反応ステップ(c1)は、ジメチルホルムアミドなどの溶媒中トリエチルアミンの存在下で、O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルホスホニウムヘキサフルオロホスフェートにより促進されるアミドカップリングの下で行われる。
有利な実施形態では、式(III)の固相リンカー組合せは、
(a1)Xを得るための、式
Figure 0005670332
(式中、
Figure 0005670332
は上に定義される通りであり、preXは反応する固体支持体の官能基である)の官能基化固相と、式
Figure 0005670332
(式中、RおよびRは上に定義される通りである)
の化合物の官能基Yとの反応、および
(b1)式(VI)の化合物のYと反応しなかった式(V)の固相リンカー組合せの官能基−preXの、適当なキャッピング基でのキャッピング
:により得られる。
用語「キャッピング基」とは、本明細書において、式(VI)の化合物と反応しなかった固体支持体の官能基−preXを保護する置換基を指す。これにより、ペプチド合成などの後の適用における式(I)の固相リンカー組合せの使用の間に望ましくない反応から前記官能基を遮断することが可能である。キャッピング基は当業者には周知であり、固体支持体の官能基−preXに従って選択される。
より好ましくは、官能基−preXが−NHである場合、キャッピング工程(b1)において用いられる適当なキャッピング基はN保護基アセチルであり、キャッピング工程(b1)は、ジクロロメタンなどの溶媒中で無水酢酸を用いることにより行われる。
有利な工程(a1)は、−preXが−NHでありYが−COOHである場合である。
有利には、工程(a1)は、溶媒(例えば、ジメチルホルムアミドなど)中でジイソプロピルカルボジイミドおよびヒドロキシベンゾトリアゾールを含んでなるカップリング混合物を用いることにより行われる。このようなカップリング混合物は、−preXが−NHである場合に非常に適当であるが、他の官能基の場合、例えば、preXが−OHである場合なども用いることができる。用いることができるもう1つのカップリング混合物は、特に−preXが−OHである場合、ジイソプロピルカルボジイミドの存在下での4−ジメチルアミノピリジンである。
式(I)の固相リンカー組合せを調製するための方法は、下記の実施例のパートIおよび合成スキーム番号1において具体化される。
本発明はまた、本発明による式(I)の固相−リンカー組合せを調製するための方法であって、下に定義される式(XI)の化合物が官能基Yで官能基化され、上に定義される式(V)の化合物とカップリングされる方法にも関する。
本発明はまた、下記式:
Figure 0005670332
(式中、RおよびRは上に定義される通りである)
を有する化合物にも関する。
本発明において、式(XI)の化合物は「ピペコリン酸リンカー」と呼ぶ。
有利には、Rは(C−C)アルキル、より有利にはメチルである。
有利には、Rは、当業者には周知のプロセスにより官能基Yで官能基化され、その場合、Yは上に定義される通りである。
有利には、Yは−OH、−COOH、−NHR、−SO、−SOHまたは−SHを表す。より有利には、Yは−COOHまたは−NH、さらに有利には−COOHである。
好ましくは、Rは、(C−C10)単環式または多環式炭化水素基、より好ましくはCまたはC単環式または多環式炭化水素基である。別の好ましい実施形態では、Rは、(C−C)アルキル−(C−C10)単環式または多環式炭化水素基、より好ましくはメチル−CまたはC単環式または多環式炭化水素基である。
本発明の特に好ましい実施形態では、ピペコリン酸リンカーは、下式:
Figure 0005670332
(式中、Rはノルボルナ−2−イル−メチルであり、Rは有利には官能基Yで官能基化されており、Rは上に定義される通りである)、
Figure 0005670332
(式中、Rはシクロヘキシルであり、Rは有利には官能基Yで官能基化されており、Rは上に定義される通りである)、および
Figure 0005670332
(式中、Rはアダマンチルであり、Rは有利には官能基Yで官能基化されており、Rは上に定義される通りである)
から選択される式により表される。
有利には、Rは(C−C)アルキル、より有利にはメチルである。
本発明はまた、上に定義される式(XI)を有する化合物の、固相リンカーとしての使用にも関する。
さらなる態様において、本発明は、第一級アミン、第二級アミン、芳香族アミン、アルコール、フェノールおよびチオールの間で選択された官能基のカップリングのための、本発明による式(I)の固相リンカー組合せの使用に関する。
下記の合成スキーム番号2(実施例のパートIII)に、本発明による式(I)の固相リンカー組合せの一般的使用を開示する。
カップリング反応は、当業者には周知の適当なカップリング試薬、例えば、DIC/HOBt、DIC/HOAt、DCC/HOSu、DCC/HOBT、PyBop/DIEA、PyBrop/NMM、HBTU/TEA、EDC/HOBtなどを用いて行われ得る。有利には、本発明による式(I)の固相リンカー組合せの使用は、第二級および第一級非芳香族アミンのカップリングに向けられ、その場合、カップリング反応はジメチルホルムアミドなどの溶媒中ジイソプロピルエチルアミンの存在下でO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート活性化を用いて行われる。
もう1つの有利な実施形態では、本発明による式(I)の固相リンカー組合せの使用は、第一級芳香族アミンのカップリングに向けられ、その場合、カップリング反応はジメチルホルムアミドなどの溶媒中2,4,6 トリメチルピリジンの存在下でN−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ−[4,5−b]ピリジン−1−イル−メチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシド活性化を用いて行われる。
本発明はまた、例えば、ピペラジン−1−イル−M−トリル−メタノンなどの小有機分子の合成のための、本発明による式(I)の固相−リンカー組合せの使用にも関する。
本発明はさらに、逆方向のNからCへのペプチド合成、CからNへのペプチド合成または擬ペプチド合成、例えば、レトロインベルソ型ペプチド合成などのための、本発明による式(I)の固相−リンカー組合せの使用にも関する。
より特に、本発明は、以下の連続的工程:
(a2)本発明による式(I)の固相リンカー組合せとカップリングされたCOO保護アミノ酸を得るために、その固相リンカー組合せと、アミノ酸側鎖の反応性官能基が保護されているCOO保護アミノ酸とをカップリングする工程、
(b2)固相リンカー組合せとカップリングされたアミノ酸をCOO脱保護する工程、
(c2)固相リンカー組合せとカップリングされたCOO保護ペプチドを得るために、工程(b2)において得られた固相リンカー組合せとカップリングされたCOO脱保護アミノ酸と、アミノ酸側鎖の反応性官能基が保護されているCOO保護アミノ酸とをカップリングする工程、
(d2)所望により、ペプチド鎖を担持している固相リンカー組合せを得るために、必要なだけ工程(b2)および(c2)を繰り返す工程、
(e2)式(I)の固相リンカー組合せおよびペプチド鎖を回収するために、固相リンカー組合せとペプチド鎖との結合を開裂する工程
を含んでなる逆方向のNからCへのペプチド合成方法に関する。
用語「COO保護アミノ酸」とは、本明細書において、合成手順の間に望ましくない反応を回避するために、COO−基が置換基によって保護されているアミノ酸を指す。COO保護アミノ酸のCOO保護基は、Greene、"Protective Groups In Organic Synthesis", (John Wiley & Sons, New York (1981))において開示されている。COO保護基は、置換メチルエーテル、例えば、メトキシメチル(MOM)、ベンジルオキシメチル、2−メトキシエトキシメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、t−ブチル、ベンジルおよびトリフェニルメチル、テトラヒドロピラニルエーテル、置換エチルエーテル、例えば、2,2,2−トリクロロエチル、シリルエーテル、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル(TBS)およびt−ブチルジフェニルシリル;ならびにヒドロキシル基をカルボン酸と反応させることにより調製されるエステル、例えば、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、安息香酸エステルなどを含んでなる。特に、COO保護アミノ酸のCOO保護基は、(C−C)アルキル基、有利にはメチルであり、COO脱保護工程(b2)は、テトラヒドロフランなどの溶媒中LiOHの溶液での鹸化により行われる。
さらに、本発明において、アミノ酸側鎖の反応性官能基は、当業者には周知の適当な置換基を用いて合成手順の間に望ましくない反応から保護され得る。
本発明の意味において、「アミノ酸」とは、D型またはL型の総ての天然α−アミノ酸残基(例えば、アラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp)、システイン(Cys)、グルタミン(Gln)、グルタミン酸(Glu)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リジン(Lys)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、プロリン(Pro)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)およびバリン(VaI))、ならびに非天然アミノ酸(例えば、β−アラニン、アリルグリシン、tert−ロイシン、ノルロイシン(Nle)、3−アミノ−アジピン酸、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、2−アミノ酪酸、4−アミノ−1−カルボキシメチルピペリジン、1−アミノ−1−シクロブタンカルボン酸、4−アミノシクロヘキサン酢酸、1−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸、(1R,2R)−2−アミノシクロヘキサンカルボン酸、(1R,2S)−2−アミノシクロヘキサンカルボン酸、(1S,2R)−2−アミノシクロヘキサンカルボン酸、(1S,2S)−2−アミノシクロヘキサンカルボン酸、3−アミノシクロヘキサンカルボン酸、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸、(1R,2R)−2−アミノシクロペンタンカルボン酸、(1R,2S)−2−アミノシクロペンタンカルボン酸、1−アミノ−1−シクロペンタンカルボン酸、1−アミノ−1−シクロプロパンカルボン酸、4−(2−アミノエトキシ)−安息香酸、3−アミノメチル安息香酸、4−アミノメチル安息香酸、2−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、1−アミノインダン−1−カルボン酸、4−アミノメチル−フェニル酢酸、4−アミノフェニル酢酸、3−アミノ−2−ナフトエ酸、4−アミノフェニル酪酸、4−アミノ−5−(3−インドリル)−ペンタン酸、(4R,5S)−4−アミノ−5−メチルヘプタン酸、(R)−4−アミノ−5−メチルヘキサン酸、(R)−4−アミノ−6−メチルチオヘキサン酸、(S)−4−アミノ−ペンタン酸、(R)−4−アミノ−5−フェニルペンタン酸、4−アミノフェニルプロピオン酸、(R)−4−アミノピメリック酸 ((R)-4-aminopimeric acid)、(4R,5R)−4−アミノ−5−ヒロキシヘキサン酸((4R,5R)-4-amino-5-hyroxyhexanoic acid)、(R)−4−アミノ−5−ヒドロキシペンタン酸、(R)−4−アミノ−5−(p−ヒドロキシフェニル)−ペンタン酸、8−アミノオクタン酸、(2S,4R)−4−アミノ−ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−アミノ−ピロリジン−2−カルボン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、(2S,4R)−4−ベンジル−ピロリジン−2−カルボン酸、(S)−4,8−ジアミノオクタン酸、tert−ブチルグリシン、γ−カルボキシグルタメート、β−シクロヘキシルアラニン、シトルリン(citruline)、2,3−ジアミノプロピオン酸、馬尿酸、ホモシクロヘキシルアラニン、モロイシン(moleucine)、ホモフェニルアラニン、4−ヒドロキシプロリン、インドリン−2−カルボン酸、イソニペコチン酸、α−メチル−アラニン、ニコペチック酸(nicopetic acid)、ノルバリン、オクタヒドロインドール−2−カルボン酸、オルニチン、ペニシラミン、フェニルグリシン(Phg)、4−フェニル−ピロリジン−2−カルボン酸、プロパルギルグリシン、3−ピリジニルアラニン、4−ピリジニルアラニン、1−ピロリジン−3−カルボン酸、サルコシン、スタチン類、テトラヒドロイソキノリン−1−カルボン酸、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、トラネキサム酸、4,4−ジフルオロプロリン、4−フルオロプロリン、α−(3,4−ジフルオロベンジル)−プロリン、γ−(3,4−ジフルオロベンジル)−プロリン、α−(トリフルオロメチル)フェニルアラニン、ヘキサフルオロロイシン、5,5,5−トリフルオロロイシン、6,6,6−トリフルオロノルロイシン、2−(トリフルオロメチル)ロイシン、2−(トリフルオロメチル)ノルロイシン、4,4,4−トリフルオロバリン、4,4,4,4’,4’,4’−ヘキサフルオロバリン、ペンタフルオロフェニルアラニン、2,3−ジフルオロフェニルアラニン、2,4−ジフルオロフェニルアラニン、2,5−ジフルオロフェニルアラニン、2,6−ジフルオロフェニルアラニン、3,4−ジフルオロフェニルアラニン、3,5−ジフルオロフェニルアラニン、3,3−ジフルオロ−3−(4−フルオロフェニル)アラニン、2,3−ジフルオロフェニルグリシン、2,4−ジフルオロフェニルグリシン、2,5−ジフルオロフェニルグリシン、3,4−ジフルオロフェニルグリシン、4,4−ジフルオロエチルグリシン、4,4,4−トリフルオロエチルグリシンおよびヘキサフルオロノルロイシン)を意味する。
本発明の意味において、用語「ペプチド」とは、上に定義されるアミノ酸の配列を意味する。その配列は直鎖または環状であり得る。例えば、環状ペプチドは、配列内の2つのシステイン残基の間でのジスルフィド結合の形成によって生じ得る。もう1つの例において、環状ペプチドは、そのN末端−およびそのC末端−部分の間での、またはアミノ酸AspおよびLysの側鎖の間でのアミン結合の形成によって生じ得る。ペプチドを環化するためおよび固体支持体を用いて環状ペプチドを得るための技術は、当業者には周知である。
カップリング工程(a2)および/または(c2)は、ジメチルホルムアミドなどの溶媒中ジイソプロピルエチルアミンの存在下でO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート活性化の下で行われ得る。
もう1つの好ましい実施形態では、カップリング工程(a2)および/または(c2)は、アミノ酸エピマー化を回避するために、ジメチルホルムアミドなどの溶媒中2,4,6 トリメチルピリジンの存在下でN−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ−[4,5−b]ピリジン−1−イル−メチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシド活性化の下で行われる。
開裂工程(e2)は、酸性条件下で(例えば、トリフルオロ酢酸(TFA)を、好ましくは1〜100%、より好ましくは10〜100%の間の用量で、または酢酸(AcOH)を、好ましくは10〜100%の間の用量で用いてなど)行われ得る。
好ましくは、本発明による逆方向のNからCへのペプチド合成方法は、工程(e2)の前または後に、ペプチド鎖のアミノ酸側鎖を脱保護しかつ/またはペプチド鎖をCOO脱保護するさらなる工程(f2)を含んでなる。
さらに、本発明による逆方向のNからCへのペプチド合成方法は、ペプチド鎖を精製する最終工程をさらに含んでよい。精製に用いられる技術は、当業者には周知である(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、など...)。
逆方向のNからCへのペプチド合成方法を用いて得ることができるペプチド鎖の例は、COO保護ジペプチドH−Aib−Phe−OMe(Aib=アミノ−イソ酪酸、Phe=フェニルアラニン、Me=メチル)およびH−Leu−Phe−OMe(Leu=ロイシン)である(下記の実施例のパートIII.3および合成スキーム番号5参照)。
さらなる態様において、本発明は、以下の連続的工程:
(a3)本発明による式(I)の固相−リンカー組合せとカップリングされたN保護およびCOO保護アミノ酸を得るために、その固相リンカー組合せと、側鎖がヒドロキシル基、アミン基およびチオール基の中から選択される非保護基を担持するN保護およびCOO保護アミノ酸とをカップリングする工程、
(b3)固相リンカー組合せへカップリングされたN脱保護COO保護アミノ酸を得るために、固相リンカー組合せへカップリングされたCOO保護アミノ酸をN脱保護する工程、
(c3)固相リンカー組合せとカップリングされたN保護COO保護ペプチドを得るために、カップリングされたN脱保護COO保護アミノ酸と、アミノ酸側鎖の反応性官能基が保護されているN保護アミノ酸とをカップリングする工程、
(d3)工程(c3)において得られたカップリングされたCOO保護ペプチドをN脱保護する工程、
(e3)所望により、ペプチド鎖を担持している式(I)の固相リンカー組合せを得るために、必要なだけ工程(c3)および(d3)を繰り返す工程、
(f3)式(I)の固相リンカー組合せおよびペプチド鎖を回収するために、固相リンカー組合せとペプチド鎖との結合を開裂する工程
を含んでなるCからNへのペプチド合成方法に関する。
本発明において用いられる用語「N保護基」とは、合成手順の間に望ましくない反応からアミノ基を保護することを目的とする基を指す。よく用いられるN保護基は、Greene、"Protective Groups In Organic Synthesis", (John Wiley & Sons, New York (1981))において開示されている。N保護基は、カルバメート、アミド、N−アルキル誘導体、アミノアセタール誘導体、N−ベンジル誘導体、イミン誘導体、エナミン誘導体およびN−ヘテロ原子誘導体を含んでなる。特に、N保護基としては、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、フェニルスルホニル、ベンジル、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、トリクロロエトキシカルボニル(Troc)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、アセチルなどが挙げられる。
好ましくは、N保護アミノ酸のN保護基はFmocであり、N脱保護工程は、ジメチルホルムアミド/ピペリジン溶液を用いて行われる。
好ましくは、カップリング工程(a3)および/または(c3)は、ジメチルホルムアミドなどの溶媒中ジイソプロピルエチルアミンの存在下でO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート活性化の下で行われる。
好ましくは、本発明によるCからNへのペプチド合成方法は、工程(f3)の前または後に、ペプチド鎖のアミノ酸側鎖を脱保護しかつ/またはペプチド鎖のCOO脱保護するさらなる工程(g3)を含んでなる。ペプチド鎖のCOO脱保護は、テトラヒドロフランなどの溶媒中LiOHの溶液での鹸化により行われ得る。
また好ましくは、CからNへのペプチド合成方法は、側鎖が工程(a3)の非保護基を担持するNおよびCOO保護アミノ酸が、
−ヒドロキシル基を担持するN保護およびCOO保護トレオニン、セリンおよびチロシン、
−アミン基を担持するN保護およびCOO保護リジン、オルニチン、ジアミノ酪酸およびジアミノプロピオン酸、および
−チオール基を担持するN保護およびCOO保護システイン、
−NおよびCOO保護アミノ酸トリプトファンおよびアルギニン
:からなる群から選択されるものである。
COO保護アミノ酸は上記に定義される通りである。有利には、COO保護アミノ酸のCOO保護基は(C−C)アルキル基、有利にはメチルである。
また有利には、N保護アミノ酸のN保護基はFmocであり、N脱保護工程は、ジメチルホルムアミド/ピペリジン溶液を用いて行われる。
開裂工程(f3)は、酸性条件下で(例えば、トリフルオロ酢酸(TFA)を、好ましくは1〜100%、より好ましくは10〜100%の間の用量で、または酢酸(AcOH)を、好ましくは10〜100%の間の用量で用いてなど)行われ得る。
さらに、本発明によるCからNへのペプチド合成方法は、ペプチド鎖を精製する最終工程をさらに含んでよく、精製に使用される技術は当業者には周知である。
CからNへのペプチド合成方法を用いて得ることができるペプチド鎖の例は、N保護およびCOO保護ジペプチドFmoc−Ala−Ser−OMe(Ala=アラニン、Ser=セリン)、Fmoc−Phe−Ser−OMe、Fmoc−Ala−Tyr−OMe(Tyr=チロシン)およびFmoc−Phe−Tyr−OMeである(下記の実施例のパートIII.5、合成スキーム番号7参照)。
さらなる態様において、本発明は、以下の連続的工程:
(a4)式
Figure 0005670332
(式中、
Figure 0005670332
、X、RおよびRは上記に定義される通りである)
の固相リンカー組合せを得るために、式
Figure 0005670332
(式中、Rは、反応性官能基が保護されているアミノ酸の側鎖を表す)
の化合物と、
本発明による式(I)の固相リンカー組合せとをカップリングする工程、
(b4)式
Figure 0005670332
(式中、
Figure 0005670332
、X、RおよびRは上記に定義される通りである)
の固相リンカー組合せを得るために、工程(a4)において得られた式(VIII)の固相リンカー組合せを処理する工程、
(c4)式(IX)の固相リンカー組合せへカップリングされたN保護アミノ酸を得るために、工程(b4)において得られた式(IX)の固相リンカー組合せと、アミノ酸側鎖の反応性官能基が保護されているN保護アミノ酸とをカップリングする工程、
(d4)所望により、カップリングされたアミノ酸をN脱保護する工程、
(e4)所望により、式(IX)の固相リンカー組合せとカップリングされたN保護ペプチドを得るために、工程(d4)のN脱保護されたカップリングされたアミノ酸と、アミノ酸側鎖の反応性官能基が保護されているN保護アミノ酸とをカップリングする工程、
(f4)所望により、レトロインベルソ型ペプチド鎖を担持している式(I)の固相リンカー組合せを得るために、必要なだけ工程(d4)および(e4)を繰り返す工程、
(g4)式(I)の固相リンカー組合せおよびペプチド鎖を回収するために、固相リンカー組合せとペプチド鎖との結合を開裂する工程
を含んでなるレトロインベルソ型ペプチド合成方法に関する。
N保護基は上記に定義される通りである。有利には、N保護アミノ酸のN保護基はFmocであり、N脱保護工程は、ジメチルホルムアミド/ピペリジン溶液を用いて行われる。
好ましくは、カップリング工程(a4)および/または(c4)および/または(e4)は、ジメチルホルムアミドなどの溶媒中ジイソプロピルエチルアミンの存在下でO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート活性化の下で行われる。
有利には、工程(b4)は、ジメチルホルムアミド/水溶液などの溶液中ビストリフルオロアセトキシヨードベンゼンおよびピリジンでの処理により行われる。
また有利には、本発明によるレトロインベルソ型ペプチド合成方法は、工程(g4)の前または後に、ペプチド鎖のアミノ酸側鎖を脱保護しかつ/またはペプチド鎖をN脱保護するさらなる工程(h4)を含んでなる。
開裂工程(g4)は、酸性条件下で(例えば、トリフルオロ酢酸(TFA)を、好ましくは1〜100%、より好ましくは10〜100%の間の用量で、または酢酸(AcOH)を、好ましくは10〜100%の間の用量で用いてなど)行われ得る。
さらに、本発明によるレトロインベルソ型ペプチド合成方法は、ペプチド鎖を精製する最終工程をさらに含んでよい。
レトロインベルソ型ペプチド合成方法を用いて得ることができるレトロインベルソ型ペプチド鎖の例は、N保護擬ジペプチドFmoc−Phe−g−DLeu−Hである(下記の合成スキーム番号6のパートIII.4参照)。
本発明は、以下の限定されない実施例および図面においてさらに具体化される。
本発明においては、次の略語が用いられる:AM−PS、アミノメチルポリスチレン;BAL、主鎖アミドリンカー;BOP、O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1、1,3,3−テトラメチルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;BTIB、ビストリフルオロアセトキシヨードベンゼン;DCM、ジクロロメタン;DIC、ジイソプロピロカルボジイミド(diisopropylocarbodiimide);DCC、ジシクロヘキシルカルボジイミド;EDC、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;DIEA、ジイソプロピルエチルアミン;DMF、ジメチルホルムアミド;PyBop、(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;PyBrop、ブロモ−トリス−ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;HBTU、O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム−ヘキサフルオロ−ホスフェート;HATU、N−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ−[4,5−b]ピリジン−1−イル−メチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシド;HMBA、ヒドロキシメチルベンズアミドリンカー;HOBT、ヒドロキシベンゾトリアゾール;HOAt、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール、HPLC、高速液体クロマトグラフィー;LC/MS、タンデム液体クロマトグラフィー/質量分析;Pip、ピペコリン酸リンカー;PS、ポリスチレン;SPPS、固相ペプチド合成;TEA、トリエチルアミン;NMM、N−メチルモルホリン;TFA、トリフルオロ酢酸;THF、テトラヒドロフラン;TIS、トリイソプロピルシラン;TMP、2,4,6 トリメチルピリジン;TNBS、トリニトロベンゼンスルホン酸;用いられた他の略語は、IUPAC−IUB委員会により勧告されているものであった(Eur. J. Biochem. 1984, 138, 9-37)。
1%DVBと架橋された市販のアミノメチル−PS樹脂(100〜200メッシュ、1.3mmol/g担持)は、Senn Chemicalsから購入した。活性化試薬はSenn社のものであり、他の試薬はAcros社およびLancaster社のものであった。アミノ酸誘導体はIris Biotech社のものであった。
リンカー調製の総ての段階は比色試験によりモニタリングした。加えて、樹脂ビーズ上でIR分光を実施した。
以下の実施例では、用いられるピペコリン酸リンカー(Pip)はR=シクロヘキシルを含む。
I−ピペコリン酸リンカー固体支持体の調製
ピペコリン酸リンカー固体支持体の調製は、以下の合成スキーム番号1において開示される通りである:
Figure 0005670332
シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸を、アミノメチルポリスチレン樹脂とピペコリン酸との間のスペーサーとして用いた。ジメチルホルムアミド(DMF)中でカップリング混合物としてジイソプロピルカルボジイミド(DIC)およびヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)を用いて12時間、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸をアミノメチルポリスチレン樹脂(B)(理論的担持:1.2mmol/g)へカップリングした。アシル化の有効性は、カイザー試験およびTNBS試験によりモニタリングした。無水酢酸を用いることにより未反応のアミノ官能基をキャッピングした後、ピペコリン酸メチルエステルを固体支持体(C)へアンカリングした。反応は、DMF中トリエチルアミン(TEA)の存在下でBOPにより促進されるアミドカップリングの下で2時間実施した。
アシル化をもう一度1時間繰り返し、遊離カルボン酸官能基が存在しないことをマラカイトグリーン試験により確認した(Attardi et al., 2000)。得られた樹脂(D)を次いで、実験室で事前に最適化されたプロトコールを用いることにより加水分解し(Cantel et al., 2003)、ピペコリン酸アミノメチルポリスチレン樹脂、すなわち、pip−AM−PS(A)を得た。固体支持体上でのメチルエステル加水分解は、テトラヒドロフラン(THF)中2N LiOH溶液での樹脂の処理を含む(Cantel et al., 2004)。
加えて、前記樹脂へ取り付けられた新たなハンドルの存在もIR分光分析を用いることにより確認した(スペクトルは示していない)。最初のアッセイは、通常のアミノメチル化PS樹脂(赤)を用いて実施し、その後ピペコリン酸リンカーにより得られたPS樹脂(黒)を用いて実施した。出発樹脂のスペクトルは、CH、CH伸縮モードを表す3058〜2857cm−1の間に現われるポリスチレンピークから主として起こるピークで構成された。アミノ基は、遊離第一級アミノ官能基から起こるおよそ3400〜3327cm−1のバンドを生み出した。後者のバンド範囲はピペコリン酸のカルボキシル官能基の遊離ヒドロキシル基の特徴を示したが、ピペコリン酸樹脂のスペクトルではおよそ1717〜1700cm−1のバンドはカルボン酸官能基のカルボニル基に起因するものであった。さらに、アミド基から起こるカルボニル基も1641cm−1で観察できた。興味深いことに、ピペコリン酸リンカー官能基化PS樹脂のスペクトルでは、1602cm−1のNHバンドの消失が観察された。
シクロヘキサン1,4−ジカルボン酸の取り付け
シクロヘキサン1,4−ジカルボン酸(30.0mmol、5当量)およびHOBt(30.0mmol、5当量)を20mLのDMFに溶解させ、その後DIC(30.0mmol、5当量)を加え、混合物を10分間穏やかに攪拌した。次いで、それを5gのアミノメチル−PS樹脂((B)、これは式(V)の官能基化固体支持体(式中、preXはNHである)に相当する)に加え(1.3mmol/g)、DCMで予備膨潤させ、反応混合物を6時間穏やかに振盪した(shacken)。濾過後、その樹脂をDMF、MeOH、およびDCMで洗浄し、真空下、室温で乾燥させた。カップリング効率はカイザー試験およびTNBS試験により確認した。最後に、その樹脂をAcO/DCM(50/50 v/v)の混合物で処理し、DCMで3回洗浄し、樹脂((C)、式(III)(式中、X=−NH−CO−、R=シクロヘキシル)の化合物に相当)を得た。
ピペコリン酸メチルエステルの取り付け
DIEA(30mmol、5当量)の存在下で活性化剤としてBOP(12mmol、2当量)およびHOBt(12mmol、2当量)を用いてピペコリン酸メチルエステルヒドロクロリド(2.33g、2当量)を樹脂へカップリングした。その反応混合物を2時間反応させ、そのプロセスをもう一度繰り返した。最後に、その樹脂をDMF、MeOH、およびDCMで洗浄し、樹脂((D)、式(II)(式中、X=−NH−CO−、R=シクロヘキシルおよびR=メチル)の化合物に相当)を得た。
ピペコリン酸メチルエステルの加水分解
ピペコリン酸誘導体結合樹脂(D)のメチルエステルを2M水酸化リチウム水溶液およびテトラヒドロフラン 30/70(v/v)の混合物中で室温で12時間加水分解した。樹脂(D)をHO、MeOH、DCMで洗浄し、ピペコリン酸AM PS樹脂((A)、式(I)(式中、X=−NH−CO−およびR=シクロヘキシル)の化合物に相当)(計算担持0.91mmol/g)を得た。
II−「樹脂上での」メチルエステル加水分解の実施例
Pip−AM−PS樹脂結合アミノ酸メチルエステル(1g)を5mLの、2M LiOH水溶液およびテトラヒドロフラン(30/70、v/v)の混合物で処理した。その反応器を室温で12時間振盪し、その樹脂をHO(3×)、THF(3×)、MeOH(3×)、DCM(2×)で洗浄し、最後に真空下で乾燥させた。
III−応用研究
以下の合成スキーム番号2に、固体支持体がポリスチレン支持体であり、Xが−NH−CO−であり、Rがシクロヘキシルであるピペコリン酸リンカー固体支持体(A)の一般的使用を開示する:
Figure 0005670332
III.l初期担持決定
pip−AM−PS樹脂(A)を用いる担持実験の実施前に、本発明者らはピペコリン酸リンカー調製に用いられるアミノメチル樹脂の実験的担持を決定した:
Figure 0005670332
Fmoc−Ala−OHは市販のアミノメチルポリスチレン樹脂(AM−PS樹脂(B)、理論的担持=1.2mmol/g)へ容易にカップリングされた。その反応は、DMF中でジイソプロピロカルボジイミド(DIC)およびヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)を用いる二重カップリングにより実施した。アシル化の有効性は、カイザー試験およびTNBS試験陰性により確認した。Fmoc−Ala−AM−PS樹脂の最大理論的担持は、Fmoc−Ala−OHカップリングによって生じる理論的質量増分に基づき、式によって計算した:1.2/[1+(1.2×0.294)]=0.89mmol/g。実験的担持は、樹脂担持決定のための標準的なプロトコールに従い、Fmoc−Ala−AM−PS樹脂からFmoc開裂により解離されたジベンゾフルベンの3回の連続するUV滴定の平均(質量増分=294g/mol)により決定した。この実験値は理論値0.89mmol/gに等しい(表1)。
合成スキーム番号1(実施例のパートI)に記載されているプロトコールに従いAM−PS樹脂(B)において調製されたpip−AM−PS樹脂(A)の担持を決定するために、同じ種類の実験を実施した。DMF中でDIEAの存在下でBOP活性化を用いて2時間、Fmoc−1−アミノ−3−アミノプロパンをピペコリン酸樹脂(A)へカップリングした。カップリング反応の有効性は、マラカイトグリーン比色試験により確認し(Attardi et al., 2000)、樹脂ビーズにおけるカルボン酸官能基の消失を調べた。ピペコリン酸リンカーおよびFmoc−1−アミノ−3−アミノプロパンの分子量(質量増分=544g/mol)を含む樹脂2の理論的担持は、式に基づいて計算した:1.2/[1+(1.2×0.544)]=0.73mmol/g。Fmoc滴定により樹脂2について担持を決定し、0.73mmol/gの値を得た。これはリンカー合成およびアミンアンカリングが定量的であったということを示す。
担持決定実験によれば、ピペコリン酸リンカーの調製は定量的である。pip−AM−PS樹脂(A)の担持は、AM−PS樹脂からのピペコリン酸リンカー(266g/mol)の質量増分(1.2mmol/g)によって計算することができる1.2/[1+(1.2×0.266)]=0.91mmol/g。
表1.担持決定(Fmoc滴定)
Figure 0005670332
III.2 アミンアンカリング
Figure 0005670332
ピペコリン酸リンカーはまず、様々なアミンまたはアルコール構成単位をそれぞれアミドまたはエステル結合の形成によりアンカリングするように設計されたため、いくつかのアッセイを実施しその多用途性を調べた。まず、いくつかのカップリング試薬を使用することにより、リンカーに対して安定な実験条件で、いくつかのモデルアミンを支持体へアンカリングしようとする試みおよびそれらのその後の修飾に取り組んだ。モデル第一級アミンとしてFmoc−1−アミノ−3−アミノプロパンを、モデル第二級アミンとしてピペラジンを、モデル芳香族アミンとして2−アミノ安息香酸メチルを選択した。さらに、アラニン、フェニルアラニン、およびアミノイソ酪酸のアミノ酸メチルエステルも用い、ペプチド化学分野におけるピペコリン酸リンカーの有用性を立証した。90分のTFA開裂により解離された化合物の純度は、HPLC分析の積分ピークの相対面積(200〜270nmの間の吸光度の和)によって決定した。収率は、樹脂から解離された生成物の計量によって決定した(下の表2)。
実施例1−第一級アミン(H−PHE−OME)のPIP−AM−PS樹脂への取り付けおよびこの第一級アミンの回収
ピペコリン酸AM−PS樹脂(A)(200mg、0.182mmol、0.91mmol/g)を、BOP(239mg、100mM、540μmol、3当量)、DIEA(140mg、188μl、200mM、1.08mmol、6当量)、およびH−Phe−OMe(97mg、100mM、540μmol、3当量)を含有するDMFカップリング溶液5.4mLで膨潤させた。その樹脂を2時間穏やかに攪拌し、その後DMF(3×)、MeOH、DCM(2×)で洗浄した。その樹脂を穏やかに攪拌しながらTFAで90分間開裂した。樹脂を濾過し、TFA溶液を窒素下で蒸発させた。その残渣をアセトニトリル/水 1/1溶液に溶解させ、凍結乾燥させた。凍結乾燥後、TFA塩として25.6mg(収率48%、純度98%)の化合物5を得、LC/MSおよびHPLC分析に供した(RT=0.70分、MS ESI+[M+H]m/z=180.3)。
実施例2−芳香族アミン(2−アミノ安息香酸メチル)のPIP−AM−PS樹脂への取り付けおよびこの芳香族アミンの回収
ピペコリン酸AM−PS樹脂(A)(200mg、0.182mmol、0.91mmol/g)を、HATU(276mg、135mM、730μmol、4当量)、TMP(177mg、194μl、270mM、1.46mmol、8当量)、および2−アミノ安息香酸メチル(81mg、69μl、135mM、730μmol、4当量)を含有するDMFカップリング溶液5.4mLで膨潤させた。
その樹脂を2時間穏やかに攪拌し、その後DMF(3×)、MeOH、DCM(2×)で洗浄した。その樹脂を穏やかに攪拌しながらTFAで90分間開裂した。樹脂を濾過し、TFA溶液を窒素下で蒸発させた。その残渣をアセトニトリル/水 1/1溶液に溶解させ、凍結乾燥させた。凍結乾燥後、TFA塩として22.6mg(収率47%、純度97%)の化合物8を得、LC/MSおよびHPLC分析に供した(RT=0.72分、MS ESI+[M+H]m/z=152.3)。
実施例3−化合物7、ピペラジン−1−イル M−トリルメタノンの調製
ピペコリン酸AM−PS樹脂(A)(100mg、91μmol、0.91mmol/g)を、BOP(119mg、100mM、270μmol、3当量)、DIEA(70mg、94μl、200mM、540μmol、6当量)、およびピペラジン(21μl、23mg、100mM、270μmol、3当量)を含有するDMFカップリング溶液2.7mLで膨潤させた。その樹脂を2時間穏やかに攪拌し、その後DMF(3×)、MeOH、DCM(2×)で洗浄し、ピペラジン担持固相を得た。次いで、その樹脂を、m−トルオイルクロリド(56mg、48μl、135mM、365μmol、4当量)およびDIEA(127μl、94mg、270mM、730μmol、8当量)を含有するDCM溶液2.7mL中で2時間穏やかに振盪した。樹脂をDMF(3×)、MeOH、DCM(2×)で洗浄し、穏やかに攪拌しながらTFAで90分間開裂した。樹脂を濾過し、TFA溶液を窒素下で濃縮した。その残渣をアセトニトリル/水 1/1溶液に溶解させ、凍結乾燥させた。凍結乾燥後、TFA塩として11.8mg(収率41%、純度98%)の化合物7を得、LC/MSおよびHPLC分析に供した(RT=0.54分、MS ESI+[M+H]m/z=205.1)
表2.ピペコリン酸リンカー開裂の結果
Figure 0005670332
第二級および第一級アミン(アミノ酸メチルエステルを含む)は、DMF中でDIEAの存在下でBOP活性化を用いて支持体へ容易にカップリングされ、低〜高収率であった。解離された化合物の純度は非常に高かった。モデル第一級芳香族アミン、2−アミノ安息香酸メチルの場合、このような活性化により得られた収率は中程度であった(12%収率)。本発明者らは他のカップリング試薬を調査する。最も効率的な方法は、ジメチルホルムアミド中2,4,6 トリメチルピリジン(TMP)の存在下でのN−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ−[4,5−b]ピリジン−1−イル−メチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシド(HATU)活性化であり、収率が51%まで向上することを見出した(純度99%)。
注目すべきは、ピペコリン酸リンカーを用いて、嵩高いα−アミノ−イソ酪酸メチルエステル(H−Aib−OMe)を簡単なBOP活性化の下で支持体へ取り付けることに成功し(化合物6)、収率は34%であったことである。より一般的には、ピペコリン酸リンカーの使用により、トリチルリンカーと比較してアミンの樹脂アンカリングが大幅に向上した。例として、2−クロロクロロトリチルPS樹脂(1.6mmol/g)から出発して(Barlos et al., 1988; Bernhardt et al., 1997)、アミノ酸側鎖(Orn、Lys)の第一級アミンの担持は0.3mmol/g未満であった。
III.3 逆方向のNからCへのペプチド合成への応用
以下の合成スキーム番号5に、ピペコリン酸固体支持体上での逆方向のNからCへのSPPSを開示する:
Figure 0005670332
本発明者らは、ピペコリン酸リンカーをNからCへの逆方向固相ペプチド合成へ応用する可能性を調査した。このアプローチを実施するためには、ピペコリン酸リンカーはC末端保護除去の間安定していなければならない。この重要な側面を調べるために、固相に担持されたAibおよびLeuメチルエステルを、THF中2N LiOHでの鹸化に供し、その後、これまでに記載されている標準的なBOP/DIEA活性化プロトコールを用いてH−Phe−OMeへカップリングした。通常、カップリング反応の有効性はマラカイトグリーン比色試験を用いることにより確認した。
ジペプチド9および10、それぞれH−Aib−Phe−OMeおよびH−Leu−Phe−OMeは、90分間のTFA処理後に高収率および純度で得られた(表2)。予想どおり、アミノ酸鎖のN末端からC末端への伸長では、ジペプチド10のキラル完全性を失う結果となった。実際、支持体へ取り付けられたロイシン残基は、ピペコリン酸ハンドル−アミド結合からの酸素が活性化カルボン酸官能基を攻撃することによるオキサゾロニウムイオン(oxazolonium ion)形成により容易にエピマー化された。そのため、BOP/DIEA活性化を用いる、樹脂に結合されたロイシンのH−Phe−Omeへのカップリングの場合、HPLC分析により示されるように、完全なエピマー化が起こった(50/50)。注目すべきは、逆方向のSPPS活性化中のエピマー化現象は他の著者らによりこれまでに調査されているということである。カップリングプロトコールまたはカップリング試薬のいずれかがエピマー化率に影響を及ぼすことが分かった。本研究の目的はラセミ化しない方法を決定することではなかったが、本発明者らは、DMF中TMPの存在下でHATU(ラセミ化を最小限に抑えることがすでに記載されている条件)を用いた(Gutheil, W. G.; Xu, Q. In PCT Int. Appl; (The Curators of the University of Missouri, USA). Wo, 2002, p 30 pp ; Johansson, A.; Akerblom, E.; Ersmark, K.; Lindeberg, G.; Hallberg, A. Journal of Combinatorial Chemistry 2000, 2, 496-507)。この場合、エピマー化率は、ジペプチドH−Leu−Phe−OmeのHPLC分析によれば10%未満であった。
III.4 擬ペプチド化学:固体支持体上でのgem ジアミノ誘導体の合成
以下の合成スキーム番号6に、ピペコリン酸固体支持体を用いるFmoc−Phe−g−DLeu−Hの合成を開示する:
Figure 0005670332
ピペコリン酸リンカー戦略は、ホフマン転位に関する一般概念に従ってgem−ジアミノ誘導体の固相合成にも応用された。この戦略の固相担持化学への適合は、溶液中で不安定なgem−ジアミノ誘導体の単調で退屈な調製を回避しレトロインベルソ型またはレトロ型ペプチドを簡単な方法で合成することができることから、非常に興味深い(Cantel et al., 2003)。この目的で、本発明者らは擬−ジペプチド11、Fmoc−Phe−g−DLeu−Hを合成することに決めた。
H−Leu−NHを標準的なBOP/DIEA活性化によってピペコリン酸ハンドルへカップリングした。DMF/水溶液中BTIB(ビストリフルオロアセトキシヨードベンゼン)およびピリジンでの処理により、アミド結合によって固体支持体上にアンカリングされたロイシンのgem ジアミノ酸誘導体を得た。次に、Fmoc−Phe−OHとのカップリングにより、固体支持体へアンカリングされた擬ジペプチドを得た。TFAの媒介による開裂により、46%収率および92%純度で擬−ジペプチド11(Fmoc−Phe−g−DLeu−H)が解離された。この戦略はレトロインベルソ型およびインベルソ型ペプチドの合成に新たな道を開き、gem ジアミノ酸の支持体上での作製および取扱いを著しく容易にする。Fmoc−Phe−g−Aib−Hを作製するために同じ順序を調査した。Aibなどの立体障害作用を示すアミノ酸ではホフマン転位を受けることが困難なため、観察された純度はたった50%であった。
実施例4−PIP−AM−PS樹脂上でのGEM−ジアミノ誘導体11、FMOC−PHE−G−DLEU−Hの調製。
ピペコリン酸AM−PS樹脂(A)(250mg、225μmol、0.91mmol/g)を、BOP(298mg、100mM、675μmol、3当量)、DIEA(236mg、317μl、200mM、1.82mmol、6当量)、およびH−Leu−NH(88mg、100mM、675μmol、3当量)を含有するDMFカップリング溶液6.75mLで膨潤させた。その樹脂を2時間穏やかに攪拌し、その後DMF(3×)、MeOH、DCM(2×)で洗浄した。次いで、その樹脂をピリジン(147μl、144mg、365mM、1.82mmol、8.1当量)およびBTIB(157mg、73mM、365μmol、1.62当量)を含有するDMF/HO(80/20、v/v)溶液5mLで膨潤させ、1時間攪拌した。その後、その樹脂をDMF(3×)およびDCM(2×)で洗浄した。得られた樹脂を、BOP(398mg、150mM、0.9mmol、3当量)、DIEA(233mg、314μl、300mM、1.8mmol、6当量)およびFmoc−Phe−OH(349mg、150mM、0.9mmol、3当量)を含有するDMFカップリング溶液6mLで膨潤させた。その樹脂を2時間穏やかに攪拌し、その後DMF(3×)、MeOH、DCM(2×)で洗浄した。樹脂を最後に穏やかに攪拌しながらTFAで90分間開裂した。樹脂を濾過し、TFA溶液を窒素下で濃縮した。その残渣をアセトニトリル/水 1/1溶液に溶解させ、凍結乾燥させた。凍結乾燥後、TFA塩として60mg(収率46%、純度92%)の化合物11を得、LC/MSおよびHPLC分析に供した(RT=1.52分、MS ESI+[M+H]m/z=472.6)。
III.5 アルコールアンカリング
ピペコリン酸ハンドルへのアミン構成単位の取り付けのために実施した簡単な反応順序に関して、本発明者らは、エステル結合によるアルコール誘導体の導入に類似反応条件を用いてよいことを記載した。概念実証として、本発明者らはリンカーへの取り付けを実施するためにアミノ酸側鎖を選択した。これらのアッセイではセリン側鎖の第一級アルコール官能基、トレオニンの第二級アルコールおよびチロシンのフェノール官能基を用いた。
表3.アルコール側鎖アンカリング後の担持決定(Fmoc滴定)
Figure 0005670332
ピペコリン酸リンカー上へのアルコール固定化の可能性を立証することとは別に、この側鎖アンカリング戦略は、環状ペプチドを作製しまたはFmocまたはAlloc−化学を用いてC末端修飾ペプチドを得るためにも興味深い。このアプローチを調べるために、側鎖にグラフト化されたアミノ酸において脱保護/カップリングステップのサイクルを実施した。以下の合成スキーム番号7に、ピペコリン酸リンカー固体支持体上へのモデルアルコールのアンカリングを開示する:Thr、SerおよびTyrの側鎖。
Figure 0005670332
ピペコリン酸ハンドルとアミノ酸の側鎖とのエステル結合は、90分間のBOP/DIEAカップリングを用いることにより形成された。Thr、SerおよびTyr−官能基化樹脂それぞれについての樹脂12、14および18のアリコートにおいてFmoc滴定により担持を決定した(表3)。驚くべきことに、DIC/DMAP活性化を用いることでは、BOP/DIEAの媒介によるエステル化よりも良い結果は得られなかった。一般的には、マラカイトグリーン試験陰性が認められた場合でも、Fmoc滴定結果によれば、アルコール固定化はアミン担持よりも効率が悪かった。特に、Fmoc−Thr−OMeおよびFmoc−Ser−OMe側鎖のエステル化により得られた、樹脂12および14では、実験的担持はわずか0.30mmol/gおよび0.32mmol/gであった(すなわち、最大理論的担持0.70mmol/gに対して43%および44%収率)。この結果は、トリチル系樹脂上に第一級アルコールを担持することが困難である(理論的最大担持に対して20%未満の実験的担持収率を与える)という観点から見なければならない(Barlos et al., 1988)。
担持決定後に、本発明者らは、側鎖にアンカリングされたFmocアミノ酸上での連続的なFmoc SPPSの可能性を調べることに決めた。この目的で、樹脂14および18をDMF/pip 8/2溶液中でFmoc脱保護に20分間供し、その後BOP/DIEA活性化を用いてFmoc−Phe−OHまたはFmoc−Ala−OHのいずれかとのカップリングステップを行った。続いて、ジペプチド16、17、20、21(それぞれ、Fmoc−Phe−Ser−(OH)−OMe、Fmoc−Ala−Ser−(OH)−OMe、Fmoc−Phe−Tyr(OH)−OMe、Fmoc−Ala−Tyr(OH)−OMe)を、TFAでの処理により固体支持体から開裂することに成功し、高純度および15%収率であった。
ジペプチド17(Fmoc−Phe−Ser−OMe)のジアステレオ異性体が同定された(<10%)が、これは恐らくピペコリン酸リンカー上へのFmoc−Ser−OMeのカップリング中のセリン残基のエピマー化により促進されるエノール化に起因した。セリンはエピマー化に対する感受性で周知である。固体支持体へ結合したチロシンの場合、エピマー化は観察されなかった。
実施例5−アルコール(FMOC−SER−OME)のPIP−AM−PS樹脂への取り付けおよびこのアルコールの回収
ピペコリン酸AM−PS樹脂(A)(200mg、0.182mmol、0.91mmol/g)を、BOP(239mg、100mM、540μmol、3当量)、DIEA(140mg、188μl、200mM、540μmol、6当量)およびFmoc−Ser−OMe(184mg、100mM、540μmol、3当量)を含有するDMFカップリング溶液5.4mLで膨潤させた。その樹脂を2時間穏やかに攪拌し、その後DMF(3×)、MeOH、DCM(2×)で洗浄した。樹脂14を穏やかに攪拌しながらTFAで90分間開裂した。樹脂を濾過し、TFA溶液を窒素下で濃縮した。その残渣をアセトニトリル/水 1/1溶液に溶解させ、凍結乾燥させた。凍結乾燥後、18.2mg(収率30%、純度97%)の化合物15を得、LC/MSおよびHPLC分析に供した(RT=1.35分、MS ESI+[M+H]m/z=342.0)
実施例6−側鎖によりリンカーへ結合されたアミノ酸のアシル化:CからNへのジペプチド合成
樹脂14(すなわち、Fmoc−Ser(pip−AM−PS樹脂)−OMe)(100mg、32μmol、0.32mmol/g)を、BOP(119mg、100mM、270μmol、8.4当量)、DIEA(70mg、94μl、200mM、540μmol、16.8当量)、およびFmoc−Ala−OH(84mg、100mM、270μmol、8.4当量)を含有するDMFカップリング溶液2.7mLで膨潤させた。その樹脂を2時間穏やかに攪拌し、その後DMF(3×)、MeOH、DCM(2×)で洗浄し、穏やかに攪拌しながらTFAで90分間開裂した。樹脂を濾過し、TFA溶液を窒素下で濃縮した。その残渣をアセトニトリル/水 1/1溶液に溶解させ、凍結乾燥させた。凍結乾燥後、8.4mg(アシル化ステップ収率:64%、全収率:19%、純度96%)のジペプチド16を得、LC/MSおよびHPLC分析に供した。(RT=1.26分、MS ESI+[M+H]m/z=412.9)。
この一連の実施例は活性化ピペコリン酸リンカー上でのアミンまたはアルコール担持の容易さ、および固相合成へのこの新しいリンカーの適応性を例示している。
III.6 開裂速度論研究
前記のアッセイにおいて用いた開裂手順は、側方アリールピペラジンシリーズライブラリー合成中の本発明者らの観察に基づき90分間の100%TFA処理であった(Zajdel et al., 2004)。しかしながら、ピペコリン酸リンカーの酸感受性を調査するために、さらなる調査を実施した。アミド結合については樹脂2、エステル結合については樹脂14および18の開裂のために実験を計画した。
100mgの樹脂2、14または18を、次の開裂溶液:100%TFA、DCM中10%TFA、DCM中1%TFA、95%AcOH、およびDCM中10%AcOHのうちの1つが5mL入っているバイアルに注ぎ入れた。溶液(100μl)のアリコートを異なる時点において24時間採取し、HPLCにより分析した。樹脂2から解離されたFmoc−1−アミノ−3−アミノプロパン、樹脂14から解離されたFmoc−Ser−OMe(15)、および樹脂18からのFmoc−Tyr−OMe(19)に相当する301nmにおけるピークの面積を測定し、データを収集した。図1〜3に曲線を報告する。
エステルおよびアミド結合は、酸性条件においてほぼ同じ挙動を示した。一般的に、ピペコリン酸リンカーは酸性条件において安定しない;すなわち、アミドおよびエステル結合のTFAでの1時間の処理後にほぼ80%の生成物が樹脂から解離され、一方、純TFAでの12時間の処理後には生成物は支持体から遊離された。
1%TFAでも、1時間の処理後に10%の量の生成物が支持体から解離されたため、結合は完全に安定しているわけではなかった。DMF中10%AcOHの混合物での樹脂の1時間処理により、支持体へ取り付けられた70%N−Fmocアミノ酸メチルエステルの開裂がもたらされたことも注目すべきである。驚くべきことに、95%AcOHでのアミド結合の1時間処理ではN−Fmocアミノ酸メチルエステルの22%しか解離されなかった。12時間および24時間のさらなる処理により、それぞれ、化合物の65%および80%の開裂がもたらされた。これは恐らく純酢酸はPS樹脂を十分に膨潤させないという事実のためであった。
IV:結論
この研究はピペコリン酸に基づく新しいリンカーの設計を提示する。酸処理においては、アミド結合またはエステルを開裂する、オキサゾリニウム−5−オン(ムンクノン(munchnone))中間体が関与する機構により第一級アミンまたはアルコールが溶液中に解離される。本発明者らは、担持カルボン酸官能基の活性化によりアミンおよびアルコールをアンカリングするピペコリン酸リンカーの有効性を立証した。速度論的開裂研究は、Fmocに基づく保護戦略におけるトリチルリンカーの代替手段として用いることができるこのリンカーの酸不安定性を明確に示した。逆方向のSPPS、擬ペプチド合成およびアミノ酸側鎖アンカリングの例は、この新しいリンカーの多用途性を示した。非常に簡単なアンカリング戦略に関して、ピペコリン酸ハンドルを介しての固体支持体への他の求核試薬の取り付け(attachment)を現在実験室で調査中である。
[参考文献]
Figure 0005670332
Figure 0005670332
アミド結合の開裂速度論、樹脂2。 エステル結合の開裂速度論 樹脂14(Fmoc−Ser−OMe)。 エステル結合の開裂速度論 樹脂18(Fmoc−Tyr−OMe)。

Claims (16)

  1. 下記式:
    Figure 0005670332
    [式中、
    Figure 0005670332
    は、有機合成において用いられる固体支持体を表し、
    Xは、存在しないか、または−NR−、−NR−CO−、−S−CO−、−O−、−CO−NR−、−S−、−CO−S−、−CO−O−、−O−CO−、−SO−NR−、もしくは−NRSO−(ここで、Rは、Hまたは(C−C)アルキルを表す)を表し(Xはスペーサーによって固体支持体から分離することができると理解される)、および
    は、分枝(C−C30)アルキル基、分枝(C−C30)アルケニル基、分枝(C−C30)アルキニル基、(C−C12)単環式もしくは多環式シクロアルキル基、(C−C)アルキル−(C−C12)単環式もしくは多環式シクロアルキル基、(C−C)アルケニル−(C−C12)単環式もしくは多環式シクロアルキル基、または(C−C)アルキニル−(C−C12)単環式もしくは多環式シクロアルキル基を表す]
    を有する固相−リンカー組合せ。
  2. Xが、−NH−COまたは−CO−NH−である、請求項1に記載の式(I)の固相−リンカー組合せ。
  3. 下記式:
    Figure 0005670332
    (式中、
    Figure 0005670332
    は請求項1に記載の通りである)、
    Figure 0005670332
    (式中、
    Figure 0005670332
    は請求項1に記載の通りである)、および
    Figure 0005670332
    (式中、
    Figure 0005670332
    は請求項1に記載の通りである)、
    から選択される式により表される、請求項1または2に記載の式(I)の固相−リンカー組合せ。
  4. 下記式:
    Figure 0005670332
    (式中、Rは請求項1に記載の通りであり、Rは−OH、−COOH、−NHR (ここで、R は、Hまたは(C −C )アルキルを表す)、−SO、−SOHおよび−SHから選択される官能基Yで官能基化されていてもよく、RはO保護基を表す)
    を有する化合物の固相リンカーとしての使用。
  5. 第一級アミン、第二級アミン、芳香族アミン、アルコール、フェノールおよびチオールの間で選択される官能基のカップリングのための、請求項1〜3のいずれか一項に記載の式(I)の固相−リンカー組合せの使用。
  6. 逆方向のNからCへのペプチド合成のため、またはCからNへのペプチド合成のため、または擬ペプチド合成もしくはレトロインベルソ型ペプチド合成のための、請求項1〜3のいずれか一項に記載の式(I)の固相−リンカー組合せの使用。
  7. 小有機分子の合成のための、請求項1〜3のいずれか一項に記載の式(I)の固相−リンカー組合せの使用。
  8. 逆方向のNからCへのペプチド合成方法であって、以下の連続的工程:
    (a2)請求項1〜3のいずれか一項に記載の式(I)の固相リンカー組合せとカップリングされたCOO保護アミノ酸を得るために、その固相リンカー組合せと、アミノ酸側鎖の反応性官能基が保護されているCOO保護アミノ酸とをカップリングする工程、
    (b2)固相リンカー組合せとカップリングされたアミノ酸をCOO脱保護する工程、 (c2)固相リンカー組合せとカップリングされたCOO保護ペプチドを得るために、工程(b2)において得られた固相リンカー組合せとカップリングされたCOO脱保護アミノ酸と、アミノ酸側鎖の反応性官能基が保護されているCOO保護アミノ酸とをカップリングする工程、
    (d2)所望により、ペプチド鎖を担持している固相リンカー組合せを得るために、必要なだけ工程(b2)および(c2)を繰り返す工程、
    (e2)式(I)の固相リンカー組合せおよびペプチド鎖を回収するために、固相リンカー組合せとペプチド鎖との結合を開裂する工程
    を含んでなる、方法。
  9. 工程(e2)の前または後に、ペプチド鎖のアミノ酸側鎖を脱保護する、および/またはペプチド鎖をCOO脱保護するさらなる工程(f2)を含んでなる、請求項8に記載の逆方向のNからCへのペプチド合成方法。
  10. カップリング工程(a2)および/または(c2)が、アミノ酸エピマー化を回避するために、ジメチルホルムアミドなどの溶媒中2,4,6 トリメチルピリジンの存在下で、N−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ−[4,5−b]ピリジン−1−イル−メチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシド活性化の下で行われる、請求項8または9に記載の逆方向のNからCへのペプチド合成方法。
  11. CからNへのペプチド合成方法であって、以下の連続的工程:
    (a3)請求項1〜3のいずれか一項に記載の式(I)の固相−リンカー組合せとカップリングされたN保護およびCOO保護アミノ酸を得るために、その固相リンカー組合せと、側鎖がヒドロキシル基、アミン基およびチオール基の中から選択される非保護基を担持するN保護およびCOO保護アミノ酸とをカップリングする工程、
    (b3)固相リンカー組合せへカップリングされたN脱保護COO保護アミノ酸を得るために、固相リンカー組合せへカップリングされたCOO保護アミノ酸をN脱保護する工程、
    (c3)固相リンカー組合せとカップリングされたN保護COO保護ペプチドを得るために、カップリングされたN脱保護COO保護アミノ酸と、アミノ酸側鎖の反応性官能基が保護されているN保護アミノ酸とをカップリングする工程、
    (d3)工程(c3)において得られたカップリングされたCOO保護ペプチドをN脱保護する工程、
    (e3)所望により、ペプチド鎖を担持している式(I)の固相リンカー組合せを得るために、必要なだけ工程(c3)および(d3)を繰り返す工程、
    (f3)式(I)の固相リンカー組合せおよびペプチド鎖を回収するために、固相リンカー組合せとペプチド鎖との結合を開裂する工程
    を含んでなる、方法。
  12. 工程(f3)の前または後に、ペプチド鎖のアミノ酸側鎖を脱保護する、および/またはペプチド鎖をCOO脱保護するさらなる工程(g3)を含んでなる、請求項11に記載のCからNへのペプチド合成方法。
  13. 側鎖が工程(a3)の非保護基を有するNおよびCOO保護アミノ酸が、
    −ヒドロキシル基を有するN保護およびCOO保護トレオニン、セリンおよびチロシン、
    −アミン基を有するN保護およびCOO保護リジン、オルニチン、ジアミノ酪酸およびジアミノプロピオン酸、および
    −チオール基を有するN保護およびCOO保護システイン、
    からなる群から選択される、請求項11または12に記載のCからNへのペプチド合成方法。
  14. レトロインベルソ型ペプチド合成方法であって、以下の連続的工程:
    (a4)式
    Figure 0005670332
    (式中、
    Figure 0005670332
    、X、およびRは請求項1に定義される通りであり、Rは反応性官能基が保護されているアミノ酸の側鎖を表す)
    の固相リンカー組合せを得るために、式
    Figure 0005670332
    (式中、Rは、上記に定義される通りである)の化合物と、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の式(I)の固相リンカー組合せとをカップリングする工程、
    (b4)式
    Figure 0005670332
    (式中、
    Figure 0005670332
    、X、RおよびRは上記に定義される通りである)
    の固相リンカー組合せを得るために、工程(a4)において得られた式(VIII)の固相リンカー組合せを処理する工程、
    (c4)式(IX)の固相リンカー組合せへカップリングされたN保護アミノ酸を得るために、工程(b4)において得られた式(IX)の固相リンカー組合せと、アミノ酸側鎖の反応性官能基が保護されているN保護アミノ酸とをカップリングする工程、
    (d4)カップリングされたアミノ酸をN脱保護する工程、
    (e4)式(IX)の固相リンカー組合せとカップリングされたN保護ペプチドを得るために、工程(d4)のN脱保護されたカップリングされたアミノ酸と、アミノ酸側鎖の反応性官能基が保護されているN保護アミノ酸とをカップリングする工程、
    (f4)所望により、レトロインベルソ型ペプチド鎖を担持している式(I)の固相リンカー組合せを得るために、必要なだけ工程(d4)および(e4)を繰り返す工程、
    (g4)式(I)の固相リンカー組合せおよびペプチド鎖を回収するために、固相リンカー組合せとペプチド鎖との結合を開裂する工程
    を含んでなる、方法。
  15. 工程(g4)の前または後に、ペプチド鎖のアミノ酸側鎖を脱保護する、および/またはペプチド鎖をN脱保護するさらなる工程(h4)を含んでなる、請求項14に記載のレトロインベルソ型ペプチド合成方法。
  16. 下記式:
    Figure 0005670332
    (式中、Rは請求項1に記載の通りであり、Rは−OH、−COOH、−NHR (ここで、R は、Hまたは(C −C )アルキルを表す)、−SO、−SOHおよび−SHから選択される官能基Yで官能基化されていてもよく、RはO保護基を表す)
    を有する化合物を含んでなる、固相リンカー。
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