JP5667612B2 - マイクロレンズアレイユニット及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本実施形態は、遮光性インク、特にレンズアレイの遮光膜の形成に用いる遮光性インク、及びこのインクを用いたレンズアレイユニットに関する。
プリンタ、複写機、複合機(MFP)、ファクシミリ、スキャナ等の画像形成装置、或いは液晶表示装置、固体撮像素子、光インターコネクションによる多重画像転送、共焦点型レーザー顕微鏡等、光通信分野、光ディスク分野、画像表示分野、画像転送・結合分野、光計測、光センシング分野、光プロセシッシング分野等に用いたレンズアレイユニットには、迷光を防止するため非レンズ部分に遮光膜を設けたものがある。
このような遮光膜の形成には、紫外線を照射することで硬化する黒色インクを非レンズ部分に印刷し、その後硬化処理を行う方法や、フォトリソグラフィ法を利用して現像除去する方法などが開示されている。
特開2001−330709号公報
上記のようなインクを用いて遮光膜を形成するレンズアレイユニットでは、紫外線の照射時にインク自体が紫外線を遮蔽し、紫外線がインクの深さ方向に減衰してインクを十分に硬化できない虞がある。
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、レンズアレイの複数のレンズの間に供給される紫外線硬化インクを確実に硬化できるインク、及びこのインクにより形成される遮光膜を有するマイクロレンズアレイユニットを提供する。
本実施形態の遮光性インクは、ビニルエーテル化合物、脂環式エポキシ化合物、オキセタン化合物、遮光材料、および光酸発生剤を含有することを特徴とする。好適な態様として、上記ビニルエーテル化合物は、脂肪族ジビニルエーテル化合物であり、且つ脂肪族ジビニルエーテル化合物が40重量%以上含有していることが好ましい。
また、本実施形態のマイクロレンズアレイユニットは、マクロレンズアレイと、上記遮光性インクにより前記マイクロレンズアレイの非レンズ部分に形成された遮光膜を備えることを特徴とする。
また、本実施形態の画像形成装置は、光線を出射する発光素子と、この発光素子から出射された光線を通過させる上記マイクロレンズアレイユニットを備えることを特徴とする。
本実施形態のマイクロレンズアレイの一例を示す構成図である。 本実施形態のマイクロレンズアレイの遮光膜形成装置の一例を示す構成図である。 本実施形態の画像形成装置の一例を示す構成図である。
以下、本実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において同一の符号が使われている場合、その同一の符号は、同様の構成・機能を有していることを意味する。
(マイクロレンズアレイ)
本実施形態のマイクロレンズアレイの構成について図1を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態のマイクロレンズアレイ1の構成図であり、図1(a)はマイクロレンズアレイ1の上面図、図1(b)は(a)の一点鎖線d−d’における断面図、図1(c)は(b)の拡大図である。
図1に示すように、マイクロレンズアレイ1は、例えば透明な基板2に複数のレンズ3を備える。マイクロレンズアレイ1は、各レンズ3の間に形成される例えば深さ(膜厚)12μmの黒色の遮光膜4を備える。各レンズ3の間に形成されるとはすなわち非レンズ部分である。遮光膜4には、本発明の遮光性インクを用いて形成する。マイクロレンズアレイ1の基板2およびレンズ3は、例えば金型成形される。なお、図1では、片面にマイクロレンズが配置したものを示しているが、両面にマイクロレンズを形成することも可能である。マイクロレンズアレイ1と遮光膜4を合わせてマイクロレンズアレイユニットと称する場合がある。
遮光膜4の形成には、例えばインクジェットヘッドを備える遮光膜形成装置が用いられる。図2に遮光膜形成装置10の構成を示す概略構成図を示す。
図2に示すように、遮光膜形成装置10は、マイクロレンズアレイ1を搬送する搬送台11、遮光性インク20を吐出するインクジェット印刷部12、紫外線照射部13、及びこれらを制御する制御部14を備える。
搬送台11は、複数のレンズ3を備える透明な基板2からなるレンズアレイ1を固定支持して、矢印r方向に移動し、レンズアレイ1の基板2をインクジェット印刷部12位置及び紫外線照射装置13位置に搬送する。インクジェット印刷部12は、透明基板2の上方から各レンズ3の間に遮光性インク20を吐出する。紫外線照射装置13は、透明基板2の上方から、基板2に吐出された遮光性インク21に対して紫外線15を照射する。なお、両面にマイクロレンズを配置したレンズアレイの場合には、片面(表面)への遮光膜の形成の後、基板を反転して搬送台11にセットし、同様の操作を行うことでもう片面(裏面)への遮光膜を形成することができる。
制御部14は、搬送台11の搬送速度と搬送タイミングを制御する。また、制御部14は、インクジェット印刷部12の遮光性インク20の吐出量を制御する。遮光性インク20の吐出量は、例えばインクを吐出させる電圧を調整して制御する。他の制御方法として、インクジェット印刷部12から吐出される微小な遮光性インク滴を複数同一位置に滴下させるマルチドロップ印刷で、その液滴数を調整して遮光性インクの吐出量を制御することも可能である。また、制御部14は、紫外線照射装置13の紫外線の照射量や紫外線の波長等を制御する。
遮光膜形成装置10は、インクジェット印刷部12をインク塗布装置に替えて、インクジェット方式ではなく、塗布によっても遮光性インク20の供給を行うこともできる。また、搬送台11を固定して、インクジェット印刷部12と紫外線照射部13が走査する態様としてもよく、また、インクジェット印刷部12と紫外線照射部13をそれぞれ複数設けた態様としてもよい。さらには、遮光性インク21を効率よく硬化させるため、搬送台11の基板2の取り付ける部分を例えばガラス板のようにして裏面側からも紫外線照射を行う態様とすることもできる。
なお、後述のカチオン型の光硬化型材料を用いる場合には、紫外線照射後に加熱工程を加えることにより、効率的な硬化が可能になる。照射後の加熱を行うことにより発生したカチオンが拡散し効果的にモノマーやオリゴマーなどの反応性重合化合物を重合硬化させることができる。但し、加熱温度や加熱時間をレンズ形状、レンズの光学特性などに影響を与えない範囲に制御する必要があるため、加熱工程を設ける場合には、注意を要する。
(遮光性インク)
遮光膜4の形成に用いる遮光性インク20は、主として遮光材料と光硬化型材料から構成される。
遮光材料は、光学的な遮光性および反射特性が第一に求められる。また、インクジェット印刷法で用いる場合には、さらにインク特性としての飛翔性能、分散安定性などが求められる。これらの特性を考慮し、遮光材料には光吸収性の顔料が用いられる。
このような遮光材料としては、例えばカーボンブラック、及びカーボンナノチューブのような炭素系顔料、鉄黒、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化クロム、および酸化鉄のような金属酸化物顔料、硫化亜鉛のような硫化物顔料、フタロシアニン系顔料、金属の硫酸塩、炭酸塩、珪酸塩、およびリン酸塩のような塩からなる顔料、並びにアルミ粉末、ブロンズ粉末、及び亜鉛粉末のような金属粉末からなる顔料等を挙げることができる。これらは単独、または2種以上混合して用いることができる。
遮光材料の粒径は、所望の膜厚を形成できる粒径であれば特に制限されず、印刷方法に応じて適宜選択できる。例えばインクジェット印刷法を適用する場合には、インクの詰まりや飛翔性能等の吐出性能の観点から、300nm以下であることが好ましい。
また、遮光材料の含有量は、遮光性を満足できる範囲であれば特に限定されないが、例えばインクジェット印刷法を適用する場合には、遮光性に加え、吐出性能の観点から6〜20重量%であることが好ましい。
本実施形態の遮光性インクに用いられる光硬化型材料は、遮光膜の骨格となる材料であり、重合性官能基を有する反応性モノマー、オリゴマー等の光で重合する反応性重合化合物と、これらの重合を開始させる光開始剤から構成される。
反応性重合化合物については、現在、多種多様なものが様々な用途で使用されているが、重合様式で大別するとラジカル型とカチオン型に分けることができる。ラジカル型は、アクリロイル官能基を有するアクリルモノマー・オリゴマーが代表的なもので、光照射された光開始剤から発生するラジカルにより重合が促進される。ラジカル型重合の際に酸素阻害が生じることや硬化後の体積収縮が比較的大きいことが欠点として上げられる。
これに対して、カチオン型は、エポキシやオキセタン化合物に代表される環状エーテル化合物、またビニルエーテル基を有するビニルエーテル化合物等が挙げられ、光開始剤として光照射によるプロトン発生を利用し重合を開始させる光酸発生剤である。これらの中で環状エーテル化合物は重合後の体積収縮が少なく、それに伴い基材との密着性が優れていることが特徴に挙げられる。また、カチオン型重合では、酸素阻害を生じることなく重合でき、薄膜の形成能に優れている点でラジカル型とは異なる。
マイクロレンズアレイユニット用の遮光膜としては、上記の特性を踏まえた上で、インクジェット法による遮光性インクとしてのインク特性を両立する材料を適宜選択してすることができる。即ち、本実施形態の遮光性インクに用いる材料は、遮光性、反射特性、硬化膜強度、紫外線硬化条件などの性能とインクジェット法による紫外線硬化インク特性としての粘度、表面張力などの物性および遮光性の分散安定性、ヘッド部材との適合性等を満足することができるものであれば特に制限はない。以下に、本実施形態において好適な光硬化型材料の具体例を挙げる。
本実施形態において好適に用いられる反応性重合化合物は、光酸発生剤により重合が開始するカチオン型の反応性重合化合物であり、脂環式エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物を含有する。これらを併用することで良好な硬化特性を得るとともに基材との良好な密着性を実現できる。
脂環式エポキシ化合物としては、2価の脂肪族骨格または脂環式骨格を有する炭化水素基、或いは脂肪族鎖または脂環式骨格を一部に有する2価の基の一方あるいは両方に、エポキシ基あるいは脂環式エポキシ基を有する化合物を挙げることができる。具体的には、例えばダイセル化学社のセロキサイド2021、セロキサイド2021A、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2000、セロキサイド3000に例示される脂環式エポキシ、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物であるサイクロマーA200、サイクロマーM100、MGMA(メチルグリシジルメタクリレート)、低分子エポキシ化合物であるグリシドール、β−メチルエピコロルヒドリン、α−ピネンオキサイド、C12〜C14のα−オレフィンモノエポキシド、C16〜C18のα−オレフィンモノエポキシド、ダイマックS−300Kのようなエポキシ化大豆油、ダイマックL−500のようなエポキシ化亜麻仁油、エポリードGT301、エポリードGT401のような多官能エポキシ等を挙げることができる。さらに、サイラキュアのような米国ダウケミカル社の脂環式エポキシや、水素添加し、且つ脂肪族化した低分子フェノール化合物の水酸基末端を、エポキシを有する基で置換した化合物、エチレングリコール、グリセリン、ネオペンチルアルコール、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパンなどの多価脂肪族アルコール/脂環式アルコールなどのグリシジルエーテル化合物、ヘキサヒドロフタル酸や、水添芳香族の多価カルボン酸のグリシジルエステルなどを使用することができる。これら脂環式エポキシ化合物は、単独で、又は2種以上を使用してもよい。
ビニルエーテル化合物としては、具体的には、例えば2−エチルヘキシルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等の脂肪族モノビニルエーテル化合物、ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル等の脂肪族ジビニルエーテル化合物等を挙げることができる。これらの中でも、特に脂肪族ジビニルエーテル化合物がより硬化特性を向上させることができるため好ましい。これらビニルエーテル化合物は、単独で、又は2種以上を使用してもよい。
オキセタン化合物としては、具体的には、例えば(ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルや、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、[(1−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]シクロヘキサン、ビス[(1−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]シクロヘキサン、ビス[(1−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ノルボルナンなどの脂環に1以上のオキセタン含有基が導入された化合物や、3−エチル−3−オキセタンメタノールのようなオキセタン含有アルコールや、エチレングリコールやプロピレンゴリコール、ネオペンチルアルコールなど脂肪族多価アルコールに上記オキセタン含有アルコールを脱水縮合させたエーテル化合物や、1,4−ビス((1−エチル−3オキセタニル)メトキシ)ベンゼン、1,3−ビス((1−エチル−3オキセタニル)メトキシ)ベンゼン、4,4’−ビス((3−エチル−3オキセタニル)メトキシ)ビフェニル、フェノールノボラックオキセタン類等の芳香族骨格を含むオキセタン化合物などを挙げることができる。これらの中でも特に、3−エチル−3−オキセタンメタノールが基材との密着性が良好となるため好ましい。これらオキセタン化合物は、単独で、又は2種以上を使用してもよい。
反応性重合化合物の含有量は、インク中に69〜84重量%であることが好ましい。69重量%未満であると、インク中に遮光材料が相対的に多くなり、短時間の光照射では効果が不十分になる場合が生ずる。一方、84重量%を超えると、遮光膜を薄膜に形成した場合、十分な遮光性能が得られなくなる場合が生じる。特に脂肪族ジビニルエーテル化合物が40重量%以上である場合、硬化特性がより良好となるため好ましい。
光酸発生剤としては、オニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、キノンジアジド化合物、有機ハロゲン化物、芳香族スルフォネート化合物、バイスルフォン化合物、スルフォニル化合物、スルフォネート化合物、スルフォニウム化合物、スルファミド化合物、スルフォニルジアゾメタン化合物、およびそれらの混合物などを使用することができる。具体的には、例えばトリフェニルスルフォニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムトリフレート、2,3,4,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン−4−ナフトキノンジアジドスルフォネート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムp−エチルフェニルスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウム2−ナフチルスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムフェニルスルフェート、2,5−ジエトキシ−4−N−4'−メトキシフェニルカルボニルフェニルジアゾニウム−3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルスルフェート、2−メトキシ−4−N−フェニルフェニルジアゾニウム−3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルスルフェート、ジフェニルスルフォニルメタン、ジフェニルスルフォニルジアゾメタン、ジフェニルジスルホン、α−メチルベンゾイントシレート、ピロガロールトリメシレート、ベンゾイントシレートなどを挙げることができる。これらの中でもヨードニウム塩系の酸発生剤は、反応性重合化合物が重合した際の着色性が他の塩よりも大きく遮光性がより大きくなるため好ましい。
また、本実施形態の遮光性インクは、光増感剤を配合するのが好ましく、例えば下記一般式で表わされるアントラセンジエーテル化合物を挙げることができる。
Figure 0005667612
(式中、Rは、炭素数1〜5の1価の有機基を表し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、アルキルスルホニル基またはアルコキシ基を表す。)
上記一般式において、Rとして導入され得る1価の有機基としては、例えばアルキル基、アリール基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アリル基、ベンジル基、およびビニル基などを挙げることができる。
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、およびi−ペンチル基などを挙げることができる。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、およびp−トリル基などを挙げることができ、ヒドロキシアルキル基としては、例えば2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−メチル−2−ヒドロキシエチル基、および2−エチル−2−ヒドロキシエチル基などを挙げることができる。また、アルコキシアルキル基としては、例えば2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、2−エトキシエチル基、3−エトキシプロピル基などを挙げることができ、アリル基としては、例えば2−メチルアリル基などを挙げることができる。このような基を有する化合物は、例えばJ.Am.Chem.Soc.,Vol.124,No.8,1590(2002)に示されるような方法で合成することができる。
また、RおよびRは、式中に表わされたものであれば特に制限されないが、合成の簡便さを考慮すると、いずれも水素原子であることが好ましい。
上記一般式で表わされる化合物としては、具体的には、例えば9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ジエトキシアントラセンのようなジアルコキシアントラセン、9,10−ジフェノキシアントラセン、9,10−ジアリルオキシアントラセン、9,10−ジ(2−メチルアリルオキシ)アントラセン、9,10−ジビニルオキシアントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、9,10−ジ(2−メトキシエトキシ)アントラセンなどを挙げることができる。これらの化合物はいずれを用いても十分な効果を発揮するが、化合物もしくはその合成原料の入手コストや、化合物の安全性を考慮すると、9,10−ジブトキシアントラセン、および9,10−ジビニルオキシアントラセンが特に好ましい。
このような光増感剤の配合量は、用いられる化合物の種類にもよるが、一般的には、光酸発生剤に対して10〜50重量%程度の割合で配合されていれば、その効果を発揮することができる。
また、本実施形態の遮光性インクには、必要に応じて重合禁止剤を用いることができる。重合禁止剤は、カチオン系の場合と、ラジカル系の場合がある。カチオン系の場合は、n−ヘキシルアミン、ドデシルアミン、アニリン、ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロウンデカン、3−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、ルチジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジンなどを挙げることができる。また、ラジカル系の場合は、DPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル)、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシル)、p−ベンゾキノン、クロラニル、ニトロベンゼン、ハイドロキノン(HQ)、メチルハイドロキノン(MEHQ)、t−ブチルカテコール、ジメチルアニリンなどが挙げられる。
これらの材料を用いて遮光性インクを調製するには、予め遮光材をモノマーに分散させる分散工程と、得られた分散液に適切なモノマー、オリゴマー等の反応性重合化合物および光酸発生剤、さらに必要に応じて増感剤、重合禁止剤等の添加剤を加えて混合攪拌する混合工程を経て、最終的に粗粒子や不要な固形分を除去するろ過、或いは遠心分離などの精製工程を行い、紫外線硬化型の遮光性インクとする。なお、分散工程では、遮蔽材料の分散性を高めるために必要に応じて分散剤を添加することができる。分散剤としては、例えばノニオン系、イオン系の界面活性剤のような分散剤や、高分子系分散剤を挙げることができる。
インクジェット印刷法に用いる遮光性インクとして調製する場合には、インクの粘度値は25℃において5〜30mPa・s、また、表面張力値は22〜40mN/mの範囲に設定することが望ましい。このような遮光性インクの粘度値あるいは表面張力値は、反応性重合化合物あるいは界面活性剤などの配合により設定することが可能である。
(画像形成装置)
本実施形態のマイクロレンズアレイユニットは、以下のような画像形成装置に用いられる。
図3は、本実施形態の画像形成装置30の概略構成図を示している。図3に示すように、画像形成装置30は、原稿等の画像を読み取るスキャナ部31と、スキャナ部31で生成された画像データ等を処理して用紙に画像を形成するプリンタ部32と、プリンタ部32に用紙を給紙する給紙部33を備えている。
スキャナ部31は、画像形成装置30の上部に設けられており、自動原稿搬送装置34によって送られる原稿または原稿台35上に置かれた原稿を読み取って画像データを生成するもので、イメージセンサ36を備えている。
イメージセンサ36は、主走査方向(図3では奥行き方向)に配置された1次元のセンサであり、筐体37を有する。筐体37は基板38上に配置され、筐体37の原稿台35側の上面には、原稿の方向に光を照射する光源(発光素子)39、40を主走査方向に延びるように設けている。光源39,40は、例えばLED、蛍光管、キセノン管、冷陰極管又は有機EL等を挙げることができる。筐体37上部の光源39と40の間には、マイクロレンズアレイ1が支持され、筐体37の底部にある基板38には、CCDやCM○sなどで構成されるセンサ41が実装されている。
光源39,40は、原稿台35上の原稿の画像読み取り位置を照射し、画像読み取り位置で反射した光は、マイクロレンズアレイ1に入射する。マイクロレンズアレイ1は、正立等倍レンズとして機能し、マイクロレンズアレイ1に入射した光は、マイクロレンズアレイ1の出射面から出射され、センサ41上に結像する。結像した光は、センサ41によって電気信号に変換され、電気信号は、基板38のメモリ部(図示せず)に転送される。
プリンタ部32は、画像形成装置30の中央部に設けられており、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像形成部42Y,42M,42C,42Kと、これら画像形成部に対応する走査ヘッド43Y、43M、43C、43Kを有する露光装置43を備えている。画像形成部42Y,42M,42C,42Kは、中間転写ベルト55の下側に、上流から下流側に沿って並列に配置している。
以下、画像形成部42Y,42M,42C,42Kは同じ構成であるため画像形成装置42Kを例にとり説明する。また、同様に走査ヘッド43Y、43M、43C、43Kは同じ構成であるため、走査ヘッド43Kを例にとり説明する。
画像形成部42Kは、像担持体である感光体ドラム44Kを有する。感光体ドラム44Kの周囲には、回転方向tに沿って帯電チャージャ45K、現像器46K,1次転写ローラ47K、クリーナ48K、ブレード49K等を配置している。感光体ドラム44Kの露光位置には、走査ヘッド43Kから光を照射し、感光体ドラム44K上に静電潜像を形成する。
帯電チャージャ45Kは、感光体ドラム44Kの表面を一様に全面帯電する。現像器46Kは、現像バイアスが印加される現像ローラによりブラックのトナー及びキャリアを含む二成分現像剤を感光体ドラム42Kに供給する。クリーナ48Kは、ブレード49Kを用いて感光体ドラム42K表面の残留トナーを除去する。
走査ヘッド43Kは、マイクロレンズアレイユニット1Kを有し、マイクロレンズアレイユニット1Kは保持部材50Kに支持されている。また保持部材50Kの底部には支持体51Kを有し、支持体51Kには、LED等の発光素子52Kを配置している。発光素子52Kは主走査方向に直線状に等間隔で設けている。また、支持体51Kには発光素子52Kの発光を制御するドライバICを含む基板(図示せず)を配置している。ドライブICは制御部を構成し、画像データに基づいて走査ヘッド43Kの制御信号を発生し、制御信号に従って所定の光量で発光素子52Kを発光させる。発光素子52Kから出射した光線は、レンズアレイ1に入射し、レンズアレイ1を通過して感光体ドラム44K上に結像し、像が感光体ドラム44K上に形成される。また走査ヘッド43Kの上部(出射側)にはカバーガラス53Kを取り付けている。
画像形成部42Y,42M,42C,42Kの上部には、現像器46Y,46M,46C,46Kにトナーを供給するトナーカートリッジ54を設けている。トナーカートリッジ54は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーカートリッジ54Y,54M,54C,54Kを含む。
中間転写ベルト55は、循環的に移動する。中間転写ベルト55は、駆動ローラ56及び従動ローラ57に張架される。また中間転写ベルト55は感光体ドラム44Y,44M,44C,44Kに対向して接触している。中間転写ベルト55の感光体ドラム44Kに対向する位置には、1次転写ローラ58Kにより1次転写電圧が印加され、感光体ドラム44K上のトナー像を中間転写ベルト55に1次転写する。
中間転写ベルト55を張架する駆動ローラ57には、2次転写ローラ59を対向して配置している。駆動ローラ57と2次転写ローラ59間を用紙Sが通過する際に、2次転写ローラ59により2次転写電圧が用紙Sに印加される。そして中間転写ベルト55上のトナー像を用紙Sに2次転写する。中間転写ベルト55の従動ローラ56付近には、ベルトクリーナ60を設けている。
給紙部33は、各種サイズの用紙を収容する複数の給紙カセット61を有する。給紙カセット61から2次転写ローラ59に至る間には、給紙カセット61内から取り出した用紙Sを搬送する搬送ローラ62を設けている。さらに2次転写ローラ59の下流には定着器63を設けている。また定着器63の下流には搬送ローラ64を設けている。搬送ローラ64は用紙Sを排紙トレイ65に排出する。さらに、定着器63の下流には、反転搬送路66を設けている。反転搬送路66は、用紙Sを反転させて2次転写ローラ59の方向に導くもので、両面印刷を行う際に使用する。
(ディスペンサーによる塗布)
なお、本実施形態のマイクロレンズアレイユニットを形成するために遮光膜およびレンズ部材料を塗布する方法として、ディスペサーによる微量液体の塗布により行うことができる。例えば、武蔵エンジニアリング社製の非接触ジェットディスペンサー(Cyber Jet2)、兵神装備社製のマイクロディスペンサー(ヘイシンマイクロディスペンサー)、マイクロドロップテクノロジー社製のマイクロディスペンサー(ナノジェット)などにより行うことが可能である。これらを用いレンズ基材上に所定量の遮光性インクやレンズ部材料液を塗布し、塗布直後に硬化を行い塗布と硬化を繰り返すことにより、レンズ構造を形成する。
以下に、具体例を示して本実施形態についてさらに詳細に説明する。
[遮光材分散液の調製]
以下に示す遮光材料、分散剤、および溶媒分としての反応性重合化合物を以下の配合比で混合した。
遮光材料(カーボンブラック顔料) 20重量%
分散剤(アビシア・ソルスパース32000) 5.5重量%
分散剤(アビシア・ソルスパース22000) 0.7重量%
反応性重合化合物(TEGDVE) 73.8重量%
得られた混合液を、循環式のサンドミルに0.5mm径のビーズを充填して、約1時間の分散処理を施した。分散処理後、孔径5μmのフィルターを用いて粗粒子を除去し、遮光材分散液を得た。また、同様の手順により、TEGDVEに代えて、CHMME、DEGDVE、OXT−221、C2021を用いた遮光材分散液をそれぞれ調製した。また溶媒分としてDEGDVE、遮光材料としてチタンブラック顔料を用いた遮光材分散液を調製した。
[遮光性インクの調製]
調製した遮光性分散液に反応性重合化合物、光酸発生剤、および増感剤を配合し、ホノジナイザーなどの攪拌機を用いて約1時間混合攪拌した。得られた混合液を5μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、インクNo.1〜No.22を調製した。インクNo.1〜4,8〜10,14,18〜22には溶媒分としてTEGDVEを用いた遮光材分散液、インクNo.6,7,11〜13,16にはDEGDVEを用いた遮光材分散液、インクNo.5,15,17にはそれぞれCHMME、OXT−221、C2021を用いた遮光材分散液を使用した。表1に各インクの配合比を示す。なお、表1は遮光材分散液を含めた配合比であり、分散剤については反応性重合化合物に含めた。
Figure 0005667612
[備考]
1:シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル(脂環式ビニルエーテルモノマー;シグマ・アルドリッチ社製)
2:ジエチレングリコールジビニルエーテル(脂肪族ビニルエーテルモノマー;シグマ・アルドリッチ社製)
3:トリエチレンジグリコールジビニルエーテル(脂肪族ビニルエーテルモノマー;シグマ・アルドリッチ社製)
4:3−エチル−3−オキセタニルメタノール(オキセタンモノマー;東亞合成社製)
5: ジ(1−エチル(3−オキセタニル)メチルエーテル(オキセタンモノマー;東亞合成社製)
6:リモネンジオキサイド(脂環式エポキシモノマー;ダイセル社製)
7:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(脂環式エポキシモノマー;ダイセル社製)
8:スルフォニウム塩系光酸発生剤(ランバーティ社製)
9:ヨードニウム塩系光酸発生剤(BASF社製)
10:9,10−ジブトキシアントラセン(川崎化成工業社製)
[インクの評価]
得られたインクNo.1〜No.22について以下の評価を行った。
(インクジェット吐出性)
インクNo.1〜22について、東芝テック製CB1ヘッドを用いて、吐出性能を確認したところ、いずれのインクについても抜けやミスディレクションなどの吐出不良は生じなかった。
(硬化特性)
得られたインクNo.1〜22を用いて、硬化特性の評価を行った。硬化特性の評価は、スピンコータを用いてガラス板上にインク塗布膜を所定量の膜厚になるように塗布し、この塗布膜に対して、UV照射装置を用いて、照射条件として照射強度を1000mW/cm(365nm)、積算光量1000mJ/cmとしUV光を照射した。UV光照射後の塗布膜の硬化具合を指触により固さを見て判定した。判定基準は、以下のとおりである。評価結果を表2に示す。
◎:全く跡が残らない。
○:指で触り極わずか跡が付く。
△:指で触り跡が付く。
×:硬化しないか、或いは剥離する。
(透過濃度(OD))
硬化できた塗布膜の透過濃度(OD)を、X−rite社製361T測定器(測定限界;OD=6.0)を用いて測定した。塗布膜厚については、硬化膜として約12μmになるように調整した。評価基準は以下の通りである。評価結果を表2に示す。
なお、透過濃度(OD)は、不透明度の10を底とする対数で表わされ、OD=log(1/T)である。ここで、Tは透過率であり、透過率の逆数1/Tが不透明度になる。
◎: 5以上
○: 4以上、5未満
△: 4未満
(密着性)
上記硬化膜に対してセロテープ(登録商標)による剥離試験を行い、目視での硬化膜の剥がれ具合を観察し、殆ど剥がれがないものを良好とした。評価結果を表2に示す。
Figure 0005667612
評価したインク中、インクNo.16およびNo.17は、比較例として挙げたインクであり、他は本実施形態のインクである。表2に示す評価結果から、本実施形態のインク(No.1〜No.15、No.18〜No.22)においては、硬化特性とOD値の基本特性を全て満足することがわかる。
本実施形態のインクの中でも、脂肪族ジビニルエーテル化合物であるTEGDVEが40重量%以上含有しているNo.1〜3、9、10、14、18〜20では、特に硬化性能が良い傾向にあることがわかる。TEGDVEに代えて、脂環式ビニルエーテル化合物であるCHMVEを配合したNo.5,15,16では、硬化性はやや低い傾向であることがわかる。
インクNo.1〜15で比較すると、オキセタン化合物にOXT−101(3−エチル−3−オキセタンメタノール)を用いたインクでは、遮光性インクの基本性能として、硬化特性、OD値を満足し、さらに密着性が良くなる傾向であることがわかる。
インクNo.11〜12は、遮光材にチタンブラック顔料を用いた例である。カーボンブラックを用いたインクよりもOD値は劣るものの、遮光性インクとしての性能は得られることがわかる。
インクNo.18〜22は、カーボンブラック顔料の配合量を変更した例である。カーボンブラック顔料濃度6重量%以上でOD値4(12μm)以上の特性を確保できていることがわかる。また、インクNo.18の5重量%ではインクの厚塗り、あるいは重ね塗りなどで遮光性能については確保できるが、製造条件的には不利である。また、No.22の顔料濃度が21重量%になる硬化特性が低下していることがわかる。
インクNo.13〜15は光酸発生剤にヨードニウム塩系化合物を用いた例である。スルフォニウム塩系化合物を用いた他のインクに比して低含有量でも硬化が可能であることがわかる。
本実施の形態では、MFPを画像形成装置として説明をしたがこれには限定されない。
画像形成装置をスキャナ単体の画像読取装置に適応した場合や、電子写真プリンタ単体の
光走査装置に適応した場合も、本実施の形態の画像形成装置の範疇に包含される。
尚、本発明のいくつかの実施形態を述べたが、これらの実施形態は、例として提示した
ものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他
の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省
略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や
要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる
ものである。
1…マイクロレンズアレイ、2…基板、3…レンズ、4…遮光膜、10…遮光膜形成装置、11…搬送台、12…インクジェット印刷部、13…紫外線照射部、20、21…遮光性インク、30…画像形成装置、31…スキャナ部、32…プリンタ部、33…給紙部、34…自動原稿搬送装置、36…イメージセンサ、39,40…発光素子、42…画像形成装置、43…露光装置、44…感光体ドラム、55…中間転写ベルト、59…2次転写ローラ、63…定着器。

Claims (3)

  1. マイクロレンズアレイと、
    ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテルから選択される脂肪族ジビニルエーテル化合物、脂環式エポキシ化合物、オキセタン化合物、遮光材料、および光酸発生剤を含有し、前記脂肪族ジビニルエーテル化合物が40重量%である遮光性インクにより前記マイクロレンズアレイの非レンズ部分の表面に形成された遮光膜とを備えることを特徴とするマイクロレンズアレイユニット。
  2. 前記オキセタン化合物は、3−エチル−3−オキセタンメタノールであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズアレイユニット。
  3. 光線を出射する発光素子と、
    この発光素子から出射された光線を通過させる請求項1又は請求項2に記載のマイクロレンズアレイユニットを備えることを特徴とする画像形成装置。
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