JP5666639B2 - モータ駆動制御装置及び電動アシスト車 - Google Patents

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Description

本発明は、モータの回生制御技術に関する。
バッテリの電力を使用してモータを駆動する電動自転車などの電動アシスト車には、ブレーキレバーにセンサを設け、搭乗者によるブレーキの操作に応じてモータを回生動作させることで車両の運動エネルギーをバッテリに回収し、走行距離を向上させる技術が用いられている物がある。
また、自転車の場合、自動車や自動二輪車と異なりエンジンブレーキがないため、長い下り坂において過度な加速で危険を感じるため、ブレーキ操作で速度を制御することになる。しかしながら、このようなブレーキ操作は、搭乗者にとっては煩わしかったり、継続したブレーキ操作により手が疲れるという問題がある。
一方、ブレーキ操作で回生ブレーキを制御することは可能であるが、操作が煩わしいのと、一般的なブレーキ操作検出装置ではブレーキが操作されているか操作されていないかの2状態しか検出できず、搭乗者が意図した回生ブレーキ力に調整するのが難しいという問題がある。
さらに、ブレーキワイヤのテンションやブレーキレバーの位置に応じてアナログ的なブレーキ操作信号を検知し、それに応じて回生ブレーキ力の制御を行う従来技術も存在している。しかし、ブレーキワイヤが経年で伸びたり、回生ブレーキ力を制御するブレーキ操作量と機械ブレーキの動作点のマッチングが上手く行かず、効率よく回生ブレーキが行われる前に機械ブレーキが作動し、エネルギーを熱として捨ててしまうなどの問題がある。
さらに、電動自転車などの電動アシスト車には、予めなされている設定に従って自動的に回生制動を行うという技術もあるが、予めなされている設定が搭乗者の意図に沿ったものであるとは限らない。すなわち、例えば長い下り坂で搭乗者が快適と感じる速度は、道幅や天候状況、搭乗者の体調等により変化する。従って、搭乗者によっては、ストレスを感じるような過度な減速が行われたり、逆に減速が足りずに危険を感じたりする場合がある。
特開2010−35376号公報 特開2011−83081号公報
従って、本発明の目的は、一側面によれば、搭乗者の意図に応じて回生制動力が働くようにするための技術を提供することである。
本発明に係るモータ駆動制御装置は、(A)モータの駆動を制御する駆動制御部と、(B)ペダルの回転方向を検知するペダル回転センサから前記ペダルの回転方向が逆転であることを表す信号を受信した場合、回生を開始させるように駆動制御部に指示する回生制御部とを有する。このようにすれば搭乗者は容易に回生開始を指示できるようになる。
また、上で述べた回生制御部が、回生を開始させるように指示した後、ペダル回転センサからペダルの回転方向が正転であることを表す信号を受信した場合、上記回生を停止させるように駆動制御部に指示するようにしても良い。このようにすれば搭乗者は容易に回生停止を指示できるようになる。
さらに、上で述べた回生制御部が、上記回生を開始させるように指示した後、トルクセンサからトルクを検出したことを表す信号を受信した場合、上記回生を停止させるように駆動制御部に指示するようにしても良い。トルクが検出される場合には回生を継続すると搭乗者の負荷が高くなってしまうためである。
さらに、上で述べた回生制御部が、上記回生を開始させるように指示した後、ペダル回転センサから得られるペダルの回転量及びペダルの回転方向に応じて、回生目標量に対する制御係数を算出する制御係数算出部を有するようにしても良い。この場合、駆動制御部が、回生目標量と制御係数とから、モータの駆動を制御するようにしても良い。このようにすれば、搭乗者は回生の強度を適切に調整できるようになる。
また、上で述べた回生制御部が、上記回生を開始させるように指示した後、ペダル回転センサから得られるペダルの回転方向が逆転である場合にはペダル回転センサから得られるペダルの回転量に応じて、回生目標量に対する制御係数を増加させ、ペダル回転センサから得られるペダルの回転方向が正転である場合にはペダル回転センサから得られるペダルの回転量に応じて制御係数を減少させる制御係数算出部を有するようにしても良い。この場合、駆動制御部が、回生目標量と制御係数とから、モータの駆動を制御するようにしても良い。このようにすれば、搭乗者は回生の強度を適切に調整できるようになる。
上で述べた回生制御部が、上記回生を開始させるように指示した後、トルクセンサからトルクを検出したことを表す信号を受信した場合、上記回生を停止させるように駆動制御部に指示するようにしても良い。このようにすれば、回生制御量の調整中であっても推進力が必要となる場合において、搭乗者の負荷を減ずることができるようになる。
なお、ペダル回転センサとトルクセンサとが一体である場合もある。すなわち、センサの形態には依存しない。さらに、このようなモータ駆動制御装置を有する電動アシスト車も可能である。
なお、上で述べたような処理をマイクロプロセッサに実施させるためのプログラムを作成することができ、当該プログラムは、例えばフレキシブル・ディスク、CD−ROMなどの光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ(例えばROM)、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体又は記憶装置に格納される。なお、処理途中のデータについては、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置に一時保管される。
一側面によれば、搭乗者の意図に応じて回生制動力が働くようになる。
図1は、モータ付き自転車の外観を示す図である。 図2は、モータ駆動制御器の機能ブロック図である。 図3(a)乃至(l)は、モータ駆動の基本動作を説明するための波形図である。 図4は、第1の実施の形態に係る演算部の機能ブロック図である。 図5は、速度に応じた最高効率回生電力を表す図である。 図6は、速度と目標回生量との関係を表す図である。 図7は、第1の実施の形態に係る制御係数の時間変化の一例を表す図である。 図8は、第1の実施の形態に係る制御係数の時間変化の一例を表す図である。 図9は、第2の実施の形態に係る制御係数とペダル逆回転累積量との関係を表す図である。 図10は、第2の実施の形態に係る演算部の機能ブロック図である。 図11は、メインの処理フローを示す図である。 図12は、メインの処理フローを示す図である。 図13(a)乃至(d)は、回生制御の一例を示す図である。 図14(a)乃至(f)は、回生制御の一例を示す図である。 図15(a)乃至(f)は、回生制御の一例を示す図である。 図16は、マイクロプロセッサで実施する場合の機能ブロック図である。
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態における電動アシスト車であるモータ付き自転車の一例を示す外観図である。このモータ付き自転車1は、モータ駆動装置を搭載している。モータ駆動装置は、二次電池101と、モータ駆動制御器102と、トルクセンサ103と、ブレーキセンサ104a及び104bと、モータ105と、ペダル回転センサ107とを有する。なお、図1には示されていないが、モータ駆動装置は、シェイプアップモードを指示するボタン等も用意されている場合もある。
二次電池101は、例えば供給最大電圧(満充電時の電圧)が24Vのリチウムイオン二次電池であるが、他種の電池、例えばリチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素蓄電池などであっても良い。
トルクセンサ103は、クランク軸に取付けられたホイールに設けられており、搭乗者によるペダルの踏力を検出し、この検出結果をモータ駆動制御器102に出力する。ペダル回転センサ107は、トルクセンサ103と同様に、クランク軸に取付けられたホイールに設けられており、回転に応じた信号をモータ駆動制御器102に出力する。なお、ペダル回転センサ107は、回転位相角に加えて、ペダルの正転又は逆転といった回転方向についても検出可能であるものとする。
モータ105は、例えば周知の三相直流ブラシレスモータであり、例えばモータ付き自転車1の前輪に装着されている。モータ105は、前輪を回転させるとともに、前輪の回転に応じてローターが回転するように、ローターが前輪に連結されている。さらに、モータ105はホール素子等の回転センサを備えてローターの回転情報(すなわちホール信号)をモータ駆動制御器102に出力する。
このようなモータ付き自転車1のモータ駆動制御器102に関連する構成を図2に示す。モータ駆動制御器102は、制御器1020と、FET(Field Effect Transistor)ブリッジ1030とを有する。FETブリッジ1030には、モータ105のU相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(Suh)及びローサイドFET(Sul)と、モータ105のV相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(Svh)及びローサイドFET(Svl)と、モータ105のW相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(Swh)及びローサイドFET(Swl)とを含む。このFETブリッジ1030は、コンプリメンタリ型スイッチングアンプの一部を構成している。
また、制御器1020は、演算部1021と、ペダル回転入力部1023と、車速入力部1024と、可変遅延回路1025と、モータ駆動タイミング生成部1026と、トルク入力部1027と、ブレーキ入力部1028と、AD入力部1029とを有する。
演算部1021は、ペダル回転入力部1023からの入力、車速入力部1024からの入力、トルク入力部1027からの入力、ブレーキ入力部1028からの入力、AD(Analog-Digital)入力部1029からの入力を用いて以下で述べる演算を行って、モータ駆動タイミング生成部1026及び可変遅延回路1025に対して出力を行う。なお、演算部1021は、メモリ10211を有しており、メモリ10211は、演算に用いる各種データ及び処理途中のデータ等を格納する。さらに、演算部1021は、プログラムをプロセッサが実行することによって実現される場合もあり、この場合には当該プログラムがメモリ10211に記録されている場合もある。
ペダル回転入力部1023は、ペダル回転センサ107からの、ペダル回転位相角及び回転方向を表す信号を、ディジタル化して演算部1021に出力する。車速入力部1024は、モータ105が出力するホール信号から現在車速を算出して、演算部1021に出力する。トルク入力部1027は、トルクセンサ103からの踏力に相当する信号をディジタル化して演算部1021に出力する。ブレーキ入力部1028は、ブレーキセンサ104a及び104bからの信号に応じて、オン信号をいずれのブレーキセンサ104a及び104bからも受信しないブレーキなし状態、ブレーキセンサ104a又は104bからオン信号を受信しているブレーキ状態のいずれかを表す信号を演算部1021に出力する。AD入力部1029は、二次電池101からの出力電圧をディジタル化して演算部1021に出力する。また、メモリ10211は、演算部1021とは別に設けられる場合もある。
演算部1021は、演算結果として進角値を可変遅延回路1025に出力する。可変遅延回路1025は、演算部1021から受け取った進角値に基づきホール信号の位相を調整してモータ駆動タイミング生成部1026に出力する。演算部1021は、演算結果として例えばPWM(Pulse Width Modulation)のデューティー比に相当するPWMコードをモータ駆動タイミング生成部1026に出力する。モータ駆動タイミング生成部1026は、可変遅延回路1025からの調整後のホール信号と演算部1021からのPWMコードとに基づいて、FETブリッジ1030に含まれる各FETに対するスイッチング信号を生成して出力する。
図3(a)乃至(l)を用いて図2に示した構成によるモータ駆動の基本動作を説明する。図3(a)はモータ105が出力したU相のホール信号HUを表し、図3(b)はモータ105が出力したV相のホール信号HVを表し、図3(c)はモータ105が出力したW相のホール信号HWを表す。このように、ホール信号はモータの回転位相を表している。なお、ここでは回転位相を連続値として得られるわけではないが、他のセンサ等により得られるようにしてもよい。以下でも述べるように、本実施の形態では、モータ105のホール素子を、ホール信号が図3(a)乃至(c)で示すように若干進んだ位相で出力されるよう設置して、可変遅延回路1025で調整可能なようにしている。従って、図3(d)に示すようなU相の調整後ホール信号HU_Inが可変遅延回路1025からモータ駆動タイミング生成部1026に出力され、図3(e)に示すようなV相の調整後ホール信号HV_Inが可変遅延回路1025からモータ駆動タイミング生成部1026に出力され、図3(f)に示すようなW相の調整後ホール信号HW_Inが可変遅延回路1025からモータ駆動タイミング生成部1026に出力される。
なお、ホール信号1周期を電気角360度として、6つのフェーズに分けられる。
また、図3(g)乃至(i)に示すように、U相の端子にMotor_U逆起電力、V相の端子にMotor_V逆起電力、W相の端子にMotor_W逆起電力という逆起電力電圧が発生する。このようなモータ逆起電力電圧に位相を合わせて駆動電圧を与えモータ105を駆動するためには、図3(j)乃至(l)に示すようなスイッチング信号をFETブリッジ1030の各FETのゲートに出力する。図3(j)のU_HSはU相のハイサイドFET(Suh)のゲート信号を表しており、U_LSはU相のローサイドFET(Sul)のゲート信号を表している。PWM及び「/PWM」は、演算部1021の演算結果であるPWMコードに応じたデューティー比でオン/オフする期間を表しており、コンプリメンタリ型であるからPWMがオンであれば/PWMはオフとなり、PWMがオフであれば/PWMはオンとなる。ローサイドFET(Sul)の「On」の区間は、常にオンとなる。図3(k)のV_HSはV相のハイサイドFET(Svh)のゲート信号を表しており、V_LSはV相のローサイドFET(Svl)のゲート信号を表している。記号の意味は図3(j)と同じである。さらに、図3(l)のW_HSはW相のハイサイドFET(Swh)のゲート信号を表しており、W_LSはW相のローサイドFET(Swl)のゲート信号を表している。記号の意味は図3(j)と同じである。
このようにU相のFET(Suh及びSul)は、フェーズ1及び2でPWMのスイッチングを行い、U相のローサイドFET(Sul)は、フェーズ4及び5でオンになる。また、V相のFET(Svh及びSvl)は、フェーズ3及び4でPWMのスイッチングを行い、V相のローサイドFET(Svl)は、フェーズ6及び1でオンになる。さらに、W相のFET(Swh及びSwl)は、フェーズ5及び6でPWMのスイッチングを行い、W相のローサイドFET(Swl)は、フェーズ2及び3でオンになる。
このような信号を出力してデューティー比を適切に制御すれば、モータ105を所望のトルクで駆動できるようになる。
次に、本実施の形態に係る演算部1021の機能ブロック図を図4に示す。図4に示すように、演算部1021は、制御係数出力部1201と、回生目標算出部1202と、乗算器1203と、PWMコード生成部1204とを有する。なお、乗算器1203とPWMコード生成部1204とは、PWM制御部として動作する。
制御係数出力部1201は、ペダル回転入力部1023からのペダルの回転方向に応じて以下で述べるような制御係数を、乗算器1203に出力する。また、回生目標算出部1202は、車速入力部1024からの車速などに応じて回生目標量を算出し、乗算器1203に出力する。乗算器1203は、制御係数と回生目標量とを乗算して乗算結果をPWMコード生成部1204に出力する。PWMコード生成部1204は、乗算器1203からの出力と車速などから、PWMのデューティー比に相当するPWMコードを生成して、モータ駆動タイミング生成部1026に出力する。
上で述べたように回生目標算出部1202は、車速などに応じて回生目標量を算出する。例えば、図5に示すように、車速によって回生効率が最大となる電力量が決まっており、図6に示すように、このように回生効率が最大となる電力量を生じさせるように例えば車速に応じて回生目標量を設定することが好ましい。但し、回生目標量については、電力量、デューティー比、トルク、電流量など、PWMコード生成部1204における演算で用いられる単位の量について設定する。例えば、トルク単位で演算を行う場合には、回生効率が最大となるようなトルクと車速の関係を予め特定しておき、回生目標算出部1202が、現在の車速に応じてトルクの目標量を算出する。なお、ブレーキによって車速が減少すれば、回生目標量も減少する。また、図6に示すようなカーブは一例であり、モータや電池保護等の観点でカーブが設定される場合もある。
乗算器1203は、制御係数出力部1201から出力された制御係数の値Cと、回生目標算出部1202から出力された回生目標量Vとを乗算し、C×VをPWMコード生成部1204に出力する。PWMコード生成部1204は、車速などとC×Vとに応じてデューティー比に応じたPWMコードを生成する。例えば、VがトルクであればC×Vもトルクとなるので、トルクC×Vと、車速に応じたトルクとから、例えば変換係数などによってPWMコードに変換する。
次に、制御係数出力部1201により出力される制御係数について図7及び図8を用いて説明する。図7に、時間tと制御係数との関係を示す。本実施の形態では、ペダル回転センサ107からの信号に基づき、ペダル回転入力部1023が、搭乗者がペダルを逆方向へ回転させたことを検出すると、制御係数出力部1201は、制御係数を上限値に設定する。そして、ペダル回転入力部1023からの信号が、ペダルを固定させているか、さらに逆方向へ回転させていることを表している場合には、制御係数出力部1201は、制御係数の値を変化させない。その後、搭乗者がペダルを正方向へ回転させたことを検出すると、制御係数出力部1201は、制御係数を0に設定する。このように搭乗者は、ペダルの回転方向に応じて回生動作のオン及びオフを簡単に指示できる。
但し、回生制御量を最初から大きな値にすることや、急に回生制御量を0にするといった制御を行うと、搭乗者に違和感を与えることになる。従って、図8に示すように、例えば時刻t1で回生制御の開始が指示されると、例えば期間T1だけかけて徐々に制御係数の値が上昇し、時刻t2で制御係数の値が上限値に達するようなスルーレート制御が好ましい。同様に、時刻t3で回生制御の停止が指示されても、例えば期間T2だけかけて徐々に制御係数の値を減少させ、時刻t4で制御係数の値が下限値に達するようなスルーレート制御が好ましい。
なお、本実施の形態では、制御係数の上限値は「1」を想定しているが、「1」以上の数値を設定するようにしてもよい。場合によっては、制御係数の上限値が時間によって可変の場合もある。制御係数の下限値についても「0」を想定しているが、「0」以外の値を設定するようにしても良い。場合によっては、制御係数の下限値が時間によって可変の場合もある。
以上のように、本実施の形態では、搭乗者によるペダルの逆回転という事象を検出すれば回生動作を開始し、回生動作開始後にペダルの正回転という事象を検出すれば回生動作を停止させることができるようになる。すなわち、搭乗者の意図に応じて回生動作が行われるようになる。
[実施の形態2]
第1の実施の形態では回生動作のオン及びオフのみが可能な例を示したが、本実施の形態では、より搭乗者の意図に応じた回生制御量の設定を可能にする。
具体的には、図9に示すような制御係数を設定するものとする。すなわち、図9の例では、横軸はペダル逆回転累積量(位相角)θを表しており、縦軸は制御係数を表している。このように、ある一定の値θ1までは、ペダル逆回転累積量の増加に比例して制御係数は増加する。この際の傾きは(制御係数上限値)/θ1である。そして、ペダル逆回転累積量がθ1に達して、制御係数が上限値まで到達すると、ペダル逆回転累積量が増加しても制御係数は上限値で固定される。なお、ペダル回転センサ107による回転位相角の検出が離散的である場合には、点線で描いたような形でステップバイステップで制御係数が増加することになる。一方、ペダルの回転方向を正方向に逆転させると、その時点からのペダル正回転量(位相角)に比例させて制御係数を減少させる。
従って、搭乗者は、より大きな回生を行わせる場合には大きくさせたい分だけペダルを逆回転させ、一旦大きくした回生制御量を小さくしたい場合には小さくさせたい分だけペダルを正回転させればよい。
なお、トルクセンサ103がトルクを検出した場合には、回生を行わせるのは適切ではないので、トルクセンサ103によるトルクの検出を優先させて、回生動作を停止させる。
このような動作を可能にするため、本実施の形態に係る演算部1021は、図10に示すような構成を有する。演算部1021は、制御係数算出部1210と、回生目標算出部1202と、乗算器1203と、PWMコード生成部1204と、制御有効最終判定部1211とを有する。なお、乗算器1203とPWMコード生成部1204とは、PWM制御部として動作する。第1の実施の形態と同じ機能を有する構成要素については、同じ参照番号が付されている。
制御係数算出部1210は、ペダル回転入力部1023からの回転方向及び回転位相角を表す信号とトルク入力部1027からのトルクの有り無しを表す信号とに応じて、以下に述べるように制御係数を算出し、制御有効最終判定部1211に出力する。また、制御有効最終判断部1211は、トルク入力部1027からのトルク入力有り又は無しを表す信号とシェイプアップモード指示とに応じて、制御係数算出部1210からの制御係数を乗算器1203に出力するか否かを判定する。なお、シェイプアップモード指示は、例えば操作パネルなどからユーザにより入力される指示であり、無条件に回生を有効にするか否かを表す。より具体的には、制御有効最終判定部1211は、トルク入力部1027からのトルク入力有りの入力がなされた場合、制御係数算出部1210から出力される制御係数を下限値(例えば0)に変更して出力する。一方、トルク入力無しの入力がなされている場合には、制御有効最終判定部1211は、制御係数算出部1210から出力される制御係数をそのまま出力する。また、制御有効最終判定部1211は、シェイプアップモード指示がある場合、すなわちシェイプアップモードと言われるようなトルク入力中でも意図的に回生を行うようなモードの場合には、トルク入力があっても制御係数算出部1210から出力される制御係数をそのまま出力する。
そして、回生目標算出部1202は、車速入力部1024からの車速などに応じて回生目標量を算出し、乗算器1203に出力する。乗算器1203は、制御係数と回生目標量とを乗算して乗算結果をPWMコード生成部1204に出力する。PWMコード生成部1204は、乗算器1203からの出力と車速などから、PWMのデューティー比に相当するPWMコードを生成して、モータ駆動タイミング生成部1026に出力する。
乗算器1203は、制御有効最終判定部1211から出力された制御係数の値Cと、回生目標算出部1202から出力された回生目標量Vとを乗算し、C×VをPWMコード生成部1204に出力する。PWMコード生成部1204は、車速などとC×Vとに応じてデューティー比に応じたPWMコードを生成する。例えば、VがトルクであればC×Vもトルクとなるので、トルクC×Vと、車速に応じたトルクとから、例えば変換係数などによってPWMコードに変換する。
次に、制御係数算出部1210の処理フローを図11及び図12を用いて説明する。制御係数算出部1210は、制御中フラグがONに設定されているか判断する(図11:ステップS1)。制御中フラグは、回生制御中であればONにセットされ、回生制御中でなければOFFにセットされる。制御中フラグがONであれば、処理は端子Aを介して図12の処理に移行する。
一方、制御中フラグがOFFであれば、制御係数算出部1210は、回生制御の開始条件を満たしているか否かを判断する(ステップS3)。回生制御の開始条件とは、ペダル回転入力部1023から、ペダルが逆回転であることを表す信号を受信したということである。なお、トルク入力部1027からの信号もトルク無しを表しているものとする。回生制御の開始条件が満たされていない場合には、処理はステップS9に移行する。
一方、回生制御の開始条件が満たされている場合には、制御係数算出部1210は、制御中フラグをONにセットする(ステップS5)。そして、制御係数算出部1210は、制御係数に、ペダル回転入力部1023から受信した初期逆回転量(逆回転の位相角)に応じた値を設定する(ステップS7)。そして処理はステップS9に移行する。この制御係数の値は、乗算器1203に出力され、回生目標算出部1202からの出力である回生目標量との積が算出され、当該積はPWMコード生成部1204に出力される。
そして、制御係数算出部1210は、処理を終了する段階であるか判断する(ステップS9)。例えば、搭乗者から電源オフが指示されたか否かを判断する。処理終了でない場合には、処理はステップS1に戻る。一方、処理を終了する段階であれば、処理を終了する。
次に、図12の処理の説明に移行して、制御係数算出部1210は、回生制御の停止条件が満たされたか判断する(ステップS11)。回生制御の停止条件とは、トルク入力部1027からのトルク有りを表す信号を受信した場合、又は制御係数が下限値(例えば0)となった場合である。これは、トルク有りであれば回生制御を行うのは搭乗者の負荷の観点から不適切なためである。また、一旦制御係数が下限値になれば、ペダルが正回転されている状態であるから、今後のペダルの逆回転に備えるためである。
回生制御の停止条件が満たされた場合には、制御係数算出部1210は、制御中フラグをOFFにセットする(ステップS13)。トルクを検出した場合には、制御係数の値はそのままにしておくが、制御有効最終判定部1211によりそのまま出力されるか又は下限値(例えば0)とされるかが決定される。その後処理は端子Bを介して図11のステップS9に戻る。
一方、回生制御の停止条件が満たされていない場合には、制御係数算出部1210は、ペダル回転入力部1023からの信号がペダルの逆回転を表しているか判断する(ステップS17)。ペダルが逆回転している場合には、制御係数算出部1210は、制御係数+ΔRu*Δ回転量(今回検出された正回転位相角)により制御係数の値を更新する(ステップS19)。ΔRuについては予め設定されている増分量である。但し、予め定められている上限値(例えば1)を超えて増加させることはない。従って、制御係数算出部1210は、制御係数の値が上限値以上となったか判断する(ステップS25)。上限値未満であれば、処理は端子Bを介して図11のステップS9に戻る。一方、上限値以上であれば、制御係数算出部1210は、制御係数を制御係数の上限値(例えば1)に設定する(ステップS27)。この制御係数の新たな値は、乗算器1203に出力される。そして処理は端子Bを介して図11のステップS9に戻る。
一方、ペダルが逆回転しているわけではない場合、制御係数算出部1210は、ペダル回転入力部1023からの信号がペダルの正回転を表しているか判断する(ステップS21)。ペダルが正回転している場合には、制御係数算出部1210は、制御係数−ΔRd*Δ回転量(今回検出された逆回転位相角)により制御係数の値を更新する(ステップS23)。ΔRdについては予め設定されている減分量である。ΔRdは、ΔRuと一致する場合もあれば一致しない場合もある。但し、予め定められている下限値(例えば0)を下回るように減少させることはない。そこで、制御係数算出部1210は、制御係数の値が制御係数の下限値以下であるか判断する(ステップS29)。下限値を超えている場合には、処理は端子Bを介して図11のステップS9に戻る。一方、下限値以下であれば、制御係数算出部1210は、制御係数を制御係数の下限値に設定する(ステップS31)。この制御係数の新たな値は、乗算器1203に出力される。そして処理は端子Bを介して図11のステップS9に戻る。一方、ペダルの回転方向が逆回転でも正回転でもない場合、すなわち停止している場合には、処理は端子Bを介して図11のステップS9に戻る。
以上のような処理を行うことで、搭乗者がペダルを逆回転させると、逆回転の回転位相角に応じた量の回生制御が行われるようになり、正回転させればその回転位相角の分だけ、回生制御の量が減じられる。すなわち、トルクが検出されていなければ、回生制御の量を、ペダルの回転にて調整できるようになる。
次に、図11及び図12に示した処理フローで実現される回生制御の例を図13乃至図15を用いて説明する。
図13(a)は、制御係数の値の時間変化を表しており、図13(b)は、ペダルの回転累積量(ペダルの逆方向の累積回転位相角)の時間変化を表しており、図13(c)は、トルクの有無の時間変化を表しており、図13(d)は、制御中フラグ(ON又はOFF)の時間変化を表している。なお、ペダルの回転累積量は、下側の方が逆回転の累積量を表し、上側の方が正回転の累積量を表す。また、トルクの有無については、実際にはリップルが存在しているが、ここでは簡略化して有無のみを示している。
時刻t11までは、ペダルの回転は検出されておらず且つトルクも検出されていない。時刻t11になるとペダルの逆方向の回転が検出されるので、制御中フラグがONにセットされる。その後時刻t12まで、ペダル逆回転累積量は増加するので、制御係数の値は増加する。時刻t12になると、トルクが検出されない程度の回転速度でペダルが正回転するようになるので、時刻t13までペダル逆回転累積量は減少し、制御係数の値も減少する。その後、時刻t13になると、再度ペダルが逆回転するようになるので、ペダル逆回転累積量も増加し、制御係数の値も増加する。時刻t13以降のペダルの回転速度は、時刻t11以降のペダルの回転速度よりも早いので、急激にペダル逆回転累積量が増加する。但し、時刻t14になると、ペダル逆回転累積量はまだ増加しているが、制御係数の値は上限値に達するので上限値で固定される。
その後、時刻t15になると、トルクが発生しない程度の回転速度でペダルが正回転するようになるので、制御係数の値は減少し始める。正回転が継続すると、時刻t16で制御係数の値が0となり、制御中フラグもOFFにセットする。なお、制御係数の値が上限値に達した後もペダルを逆回転させたので、時刻t16では、制御係数の値は0となって、ペダル逆回転累積量はオフセットを有することになる。但し、このオフセットは制御中フラグがオフとなっているので無視され、再度ペダルを逆回転させると、時刻t11の状態となる。
また、図14は他の場面を表している。図14(a)は電動アシスト車が走行する地面の標高の時間変化を表しており、図14(b)は速度の時間変化を表しており、図14(c)は、ペダルの回転累積量の時間変化を表しており、図14(d)はトルクの有無の時間変化を表しており、図14(e)は制御係数の時間変化を表しており、図14(f)は制御中フラグ(ON及びOFF)の時間変化を表している。なお、ペダルの回転累積量は、下側の方が逆回転の累積量を表し、上側の方が正回転の累積量を表す。また、トルクの有無については、実際にはリップルが存在しているが、ここでは簡略化して有無のみを示している。
図14は、平坦な道から坂を下りきると緩やかな上り坂が直ぐにある場面を示しており、時刻t21までは平坦で、搭乗者はペダルを正回転で漕いでいるので、トルクを検出しており、制御中フラグはOFFであり且つ制御係数も0となっている。坂を下り始めるとペダルの回転を止めてトルクは検出されなくなり、速度が上昇する。但し、時刻t22までは、ペダルの逆回転は検出されていないので、制御中フラグはOFFであり且つ制御係数も0となっている。そして、時刻t22で、ペダルの逆回転を検出すると、回生制御が開始され、制御中フラグがONにセットされ、ペダル逆回転累積量は増加するので、それに応じて制御係数も増加する。そうすると回生ブレーキがきき始めるので、速度の上昇は抑えられる。時刻t23になると、ペダルの逆回転が停止されるので、ペダル逆回転累積量は変化しなくなり、制御係数も変化しなくなり、速度もおおよそ一定となる。その後、時刻t24で坂を下りきると、直ぐに上り坂となり、速度は急激に減少するので、時刻t25でペダルを正転させて、倒れないようにする。そうすると、トルクが検出されるようになるので、制御中フラグはOFFとなり、制御係数は制御有効最終判定部1211により下限値(ここでは0)に設定される(図14(e)において一点鎖線で示す部分)。このように、トルクを検出した場合に回生を継続すると、上り坂を登り始める際に搭乗者に大きな負荷が掛かってしまうので、トルクを検出した場合には直ぐに回生制御をオフすることが好ましい。
また、図15に、他の場面を示す。図15(a)は電動アシスト車が走行する地面の標高の時間変化を表しており、図15(b)は速度の時間変化を表しており、図15(c)は、ペダルの回転累積量の時間変化を表しており、図15(d)はトルクの有無の時間変化を表しており、図15(e)は制御係数の時間変化を表しており、図15(f)は制御中フラグ(ON及びOFF)の時間変化を表している。なお、ペダルの回転累積量は、下側の方が逆回転の累積量を表し、上側の方が正回転の累積量を表す。また、トルクの有無については、実際にはリップルが存在しているが、ここでは簡略化して有無のみを示している。
図15は、搭乗者が平坦な道を走行中時刻t31で信号が赤となったことを認識し、ペダルの正回転を止めた場面を示している。すなわち、時刻t31ではトルクが検出されなくなる。そうすると、速度がやや減速されるが、信号までに速やかに停止できないと判断した搭乗者は時刻t32でペダルを逆回転させる。そうすると、時刻t32で制御中フラグがONとなり、ペダルの逆回転累積量が増加するため、それに応じて制御係数も増加する。但し、時刻t33になると、ペダルの逆回転が停止されるので、制御係数の増加も停止する。そうすると、回生ブレーキにより速度は徐々に減少することとなり、信号で停止する。このように、ペダルの逆回転の大きさで、回生ブレーキの強さを調整して、適切に減速できるようになる。
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるわけではない。例えば、第1の実施の形態でも第2の実施の形態のようにトルク検出に応じて制御係数を下限値(例えば0)に設定しても良い。
なお、上で述べた例では、特許第5100920号公報に示されるように、ペダル回転センサ107とトルクセンサ103とが別々に設けられることを想定して説明したが、例えば特開2012−13626号公報に開示されているように、ペダル回転センサ107とトルクセンサ103とが一体化されており、ペダルの回転情報からトルクが算出されるような構造のセンサを用いるようにしても良い。
また、上で述べた例では、ペダルの累積回転量を管理することなく制御係数を算出する例を示しているが、ペダルの累積回転量を管理した上で、当該ペダルの累積回転量に応じた制御係数を算出するようにしても良い。
また、演算部1021の一部については専用の回路で実現される場合もあれば、マイクロプロセッサがプログラムを実行することで上記のような機能が実現される場合もある。
また、モータ駆動制御器102の一部又は全部については専用の回路で実現される場合もあれば、マイクロプロセッサがプログラムを実行することで上記のような機能が実現される場合もある。
この場合、モータ駆動制御器102は、図16に示すように、RAM(Random Access Memory)4501とプロセッサ4503とROM(Read Only Memory)4507とセンサ群4515とがバス4519で接続されている。本実施の形態における処理を実施するためのプログラム及び存在している場合にはオペレーティング・システム(OS:Operating System))は、ROM4507に格納されており、プロセッサ4503により実行される際にはROM4507からRAM4501に読み出される。なお、ROM4507は、閾値その他のパラメータをも記録しており、このようなパラメータも読み出される。プロセッサ4503は、上で述べたセンサ群4515を制御して、測定値を取得する。また、処理途中のデータについては、RAM4501に格納される。なお、プロセッサ4503は、ROM4507を含む場合もあり、さらに、RAM4501を含む場合もある。本技術の実施の形態では、上で述べた処理を実施するための制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能なリムーバブル・ディスクに格納されて頒布され、ROMライタによってROM4507に書き込まれる場合もある。このようなコンピュータ装置は、上で述べたプロセッサ4503、RAM4501、ROM4507などのハードウエアとプログラム(場合によってはOSも)とが有機的に協働することにより、上で述べたような各種機能を実現する。
1201 制御係数出力部
1202 回生目標算出部
1203 乗算器
1204 PWMコード生成部
1210 制御係数算出部
1211 制御有効最終判定部

Claims (8)

  1. モータの駆動を制御する駆動制御部と、
    ペダルの回転方向を検知するペダル回転センサから前記ペダルの回転方向が逆転であることを表す信号を受信した場合、回生を開始させるように前記駆動制御部に指示し、前記ペダル回転センサから得られる、逆回転方向における前記ペダルの回転量に応じて前記回生の量を制御する回生制御部と、
    を有するモータ駆動制御装置。
  2. 前記回生制御部が、
    前記回生を開始させるように指示した後、前記ペダル回転センサから前記ペダルの回転方向が正転であることを表す信号を受信した場合、前記回生を停止させるように前記駆動制御部に指示する
    請求項1記載のモータ駆動制御装置。
  3. 前記回生制御部が、
    前記回生を開始させるように指示した後、トルクセンサからトルクを検出したことを表す信号を受信した場合、前記回生を停止させるように前記駆動制御部に指示する
    請求項1記載のモータ駆動制御装置。
  4. 前記回生制御部が、
    前記回生を開始させるように指示した後、前記ペダル回転センサから得られる前記ペダルの回転量及び前記ペダルの回転方向に応じて、回生目標量に対する制御係数を算出する制御係数算出部を有し、
    前記駆動制御部が、前記回生目標量と前記制御係数とから、前記モータの駆動を制御する
    請求項1又は3記載のモータ駆動制御装置。
  5. 前記回生制御部が、
    前記回生を開始させるように指示した後、前記ペダル回転センサから得られる前記ペダルの回転方向が逆転である場合には前記ペダル回転センサから得られる前記ペダルの回転量に応じて、回生目標量に対する制御係数を増加させ、前記ペダル回転センサから得られる前記ペダルの回転方向が正転である場合には前記ペダル回転センサから得られる前記ペダルの回転量に応じて前記制御係数を減少させる制御係数算出部
    を有し、
    前記駆動制御部が、前記回生目標量と前記制御係数とから、前記モータの駆動を制御する
    請求項1記載のモータ駆動制御装置。
  6. 前記回生制御部が、
    前記回生を開始させるように指示した後、トルクセンサからトルクを検出したことを表す信号を受信した場合、前記回生を停止させるように前記駆動制御部に指示する
    請求項5記載のモータ駆動制御装置。
  7. 前記ペダル回転センサと前記トルクセンサとが一体である請求項3又は6記載のモータ駆動制御装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1つ記載のモータ駆動制御装置を有する電動アシスト車。
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