JP5666221B2 - 水性懸濁組成物 - Google Patents

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Description

本発明は水性懸濁組成物に関する。より詳細に、本発明は、保存安定性に優れ且つ防腐、防カビ、または防藻の作用効果を有する水性懸濁組成物に関する。
建築物の外壁等に細菌、藻類やカビ等の微生物が繁殖して外観を損ねたり、材質を劣化させる等の問題がしばしば生じる。それを防止するために、防腐剤、防藻剤、防カビ剤などを含有する組成物を建材に塗布したり、木材に注入したりすることが広く行われている。該組成物には、有機溶媒が多用されてきたが、人畜に対する安全性、および環境への負荷低減という観点から有機溶媒の含有率をなるべく低減したまたは有機溶媒を全く含まない処方が要望されている。
防腐剤、防藻剤、防カビ剤などの有効成分としては、トリアジン系防藻剤、イソチアゾロン系防腐・防カビ剤が知られている。ところが、トリアジン系防藻剤およびイソチアゾロン系防腐・防カビ剤は水難溶性である。そこで、トリアジン系防藻剤およびイソチアゾロン系防腐・防カビ剤を含有する水性懸濁液を得るために、種々の検討がなされている。
特許文献1は、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチルー1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、およびポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有する木材防黴組成物を開示している。そして、この組成物を、銅塩およびアゾール系化合物を主成分とする木材防腐防蟻剤の30倍水希釈液に添加して、これを木材に注入処理することが記載されている。
特許文献2は、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、メチル2−ベンズイミダゾールカーバメート、濃塩酸、およびメチルカルビトールを含有する防藻効果を有する組成物が記載されている。特許文献2は、該組成物に界面活性剤を添加することができる旨を開示している。
特許文献3は、4,5−ジクロロ−2−n−オクチルイソチアゾリン−3−オン、メチル2−ベンズイミダゾールカルバメート、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびポリオキシエチレンスチリルフェニルサルフェートを含有する防カビ防藻組成物を開示している。
特許文献4は、少なくとも1種の殺藻性トリアジン化合物、少なくとも1種の殺菌性イソチアゾロン、亜硫酸塩、および次亜リン酸塩を含有する防腐剤を開示している。
特開2003−11106号公報 特開平11−5707号公報 特開2006−335707号公報 特開2004−131478号公報
しかし、トリアジン系化合物およびイソチアゾロン系化合物を含有する水性懸濁液は、特にトリアジン系化合物および複数種のイソチアゾロン系化合物を含有する水性懸濁液は、安定性が十分でなく、懸濁液内部で一部が透明液体状に分離する現象を引き起こす。このような状態になると再懸濁が困難な場合が多い。
本発明は、活性成分の組成にかかわらず、保存中に固形物の分離等の現象が生じず、長期保存後においても、広範囲の有害微生物に対して防腐、防カビまたは防藻の効果を有する水性懸濁組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、イソチアゾロン系防腐防カビ剤、トリアジン系防藻剤、およびポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩を含有してなる水性懸濁組成物は、保存中に固形物の分離等の現象が生じず、長期保存後においても、広範囲の有害微生物に対して防腐、防カビまたは防藻の効果を有することを見出した。本発明は、この知見に基づいて、さらに検討を重ねたことによって、完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下のものを包含する。
〔1〕 イソチアゾロン系防腐防カビ剤、 トリアジン系防藻剤、および ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩を含有してなる、水性懸濁組成物。
〔2〕 イソチアゾロン系防腐防カビ剤として、
2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種と、
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンと、を含有する、前記〔1〕に記載の水性懸濁組成物。
〔3〕 イソチアゾロン系防腐防カビ剤として、
2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンとを含有する、前記〔1〕に記載の水性懸濁組成物。
〔4〕 トリアジン系防藻剤として、
2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジンを含有する、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の水性懸濁組成物。
〔5〕 ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩として、
ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテルフォスフェートカリウム塩を含有する、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の水性懸濁組成物。
〔6〕 イソチアゾロン系防腐防カビ剤とトリアジン系防藻剤との合計質量/ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩の質量の比が4/1〜50/1である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の水性懸濁組成物。
〔7〕 ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩の含有量が、0.5〜2.5質量%である、前記〔6〕に記載の水性懸濁組成物。
〔8〕 イソチアゾロン系防腐防カビ剤とトリアジン系防藻剤との合計含有量が、4〜50質量%である、前記〔6〕または〔7〕に記載の水性懸濁組成物。
〔9〕 さらに、
アルキルスルホコハク酸系界面活性剤と、
アルキルフェニルエーテル系界面活性剤と、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤とを含有する、前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の水性懸濁組成物。
本発明に係る水性懸濁組成物は、保存中に固形物の分離等の現象が生じず、長期保存後においても、広範囲の有害微生物に対して防腐、防カビまたは防藻の効果を有する。
本発明に係る水性懸濁組成物は、細菌、カビ、酵母、藻などに対する防除効果を有する。本発明に係る水性懸濁組成物は、工業用途、家庭用途、農医薬用途に好適である。
本発明に係る水性懸濁組成物は、 イソチアゾロン系防腐防カビ剤、 トリアジン系防藻剤、および ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩を含有するものである。
本発明に用いられるイソチアゾロン系防腐防カビ剤は、防腐または防カビ剤として公知の物質である。具体例としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(以下、BITと略記する。)、N−n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下、OITと略記する。)、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下、H−MITと略記する。)、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下、Cl−MITと略記する。)、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。
イソチアゾロン系防腐防カビ剤のうち、OIT、H−MIT、Cl−MIT、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種と、 BITと、を併せて含有するものが好ましく、BITと、OITと、H−MITと、Cl−MITとを、併せて含有するものがより好ましい。
なお、BITは、常温固体の物質であり、OIT、H−MITおよびCl−MITは常温液体の物質である。
本発明に用いられるトリアジン系防藻剤は、防藻剤として公知の物質である。具体例としては、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン(別名:シブトリン)、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−エチルアミノ−s−トリアジン(別名:テルブトリン)、2−クロロ−4,6−ジエチルアミノ−s−トリアジン(別名:シマジン)、2−クロロ−4−エチルアミノ−6−イソプロピルアミノ−s−トリアジン(別名:アトラジン)、2−メチルチオ−4−エチルアミノ−6−(1,2−ジメチルプロピルアミノ)−s−トリアジン(別名:ジメタメトリン)等が挙げられる。これらトリアジン系防藻剤のうち、シブトリンが好ましい。
本発明に用いられるポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩は、公知のアニオン系界面活性剤である。具体例としては、ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩、ポリオキシプロピレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマーアリルフェニルエーテルフォスフェート塩などが挙げられる。これらのうち、ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩が好ましく、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルフォスフェート塩、ポリオキシエチレンビフェニルエーテルフォスフェート塩、ポリオキシエチレンナフチルフェニルエーテルフォスフェート塩、ポリオキシエチレンジフェニルフェニルエーテルフォスフェート塩、ポリオキシエチレントリフェニルフェニルエーテルフォスフェート塩がより好ましい。
該塩を形成する対イオンとしては、カリウム、ナトリウム、アンモニウム等を例示することができる。本発明に用いられるポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩は、カリウム塩が好ましく、ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテルフォスフェートカリウム塩が特に好ましい。
本発明の水性懸濁組成物において、イソチアゾロン系防腐防カビ剤とトリアジン系防藻剤との合計質量/ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩の質量の比は、好ましくは4/1〜50/1、より好ましくは10/1〜20/1である。
イソチアゾロン系防腐防カビ剤/トリアジン系防藻剤の質量比は、好ましくは1/10〜10/1、より好ましくは1/2〜3/1である。
また、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩の含有量は、好ましくは0.5〜2.5質量%、より好ましくは0.7〜1.5質量%である。
さらに、イソチアゾロン系防腐防カビ剤とトリアジン系防藻剤との合計含有量は、好ましくは4〜50質量%、より好ましくは10〜20質量%である。
なお、ここでの質量%は、全原料成分の合計を基準(100質量%)にしたときの含有量である。
本発明に係る水性懸濁組成物は、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩以外の界面活性剤を含有していてもよい。
ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩以外の界面活性剤は、好ましくはアニオン系界面活性剤またはノニオン系界面活性剤である。具体的には、アルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;アセチレングリコール;アルキルスルホコハク酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物ナトリウム塩、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物ナトリウム塩などのスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩;セチル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩;アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩、等が挙げられる。
ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩以外の界面活性剤の量は、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩100質量部に対して、好ましくは20〜800質量部、より好ましくは100〜400質量部である。
本発明の水性懸濁組成物には、さらに他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、極性有機溶剤、増粘剤、酸化防止剤、光安定剤、香料、消泡剤等が挙げられる。
極性有機溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等のグリコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、プロピレンカーボネート等のケトン系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム等が挙げられる。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−t−ブチルフェノール]、アルキルジフェニルアミン等が挙げられる。
光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられる。
また、本発明の水性懸濁組成物には、その目的および用途に応じて、殺菌防カビ剤、防腐剤、防藻剤等に含有されている公知の活性成分が含有されていてもよい。
該活性成分としては、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(DDAC)、ジデシルジメチルアンモニウムアジペート(DDAA)等の第4級アンモニウム塩系化合物、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、グルコン酸クロルへキシジン等のビグアナイド系化合物、セチルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムクロライド等のピリジニウム系化合物、3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカーバメート等の有機ヨウ素系化合物、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン等のピリジン系化合物、ジンクピリチオン、ナトリウムピリチオン等のピリチオン系化合物、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール系化合物、メチル−2−ベンズイミダゾールカーバメート、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール等のイミダゾール系化合物、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチオカーバメート系化合物、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル等のニトリル系化合物、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−N,N’−ジメチル−N−フェニル−スルファミド等のハロアルキルチオ系化合物、α−t−ブチル−α(p−クロロフェニルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(慣用名テブコナゾール)等のトリアゾール系化合物、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(慣用名DCMU)等のフェニルウレア系化合物、などが挙げられる。
これらの活性成分は、1種単独で若しくは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これら活性成分の配合割合は、用途に応じて適宜に決定することができる。
本発明の水性懸濁組成物は、その製造方法によって、特に制限されない。本発明の水性懸濁組成物は、例えば、トリアジン系防藻剤と、イソチアゾリン系防腐防カビ剤と、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩とを、順不同に混合し、該混合物を湿式粉砕または乾式粉砕し、その後、該粉砕物を水に添加して懸濁させることによって、得ることができる。湿式粉砕では、通常、水が用いられる。
本発明の水性懸濁組成物の製造に使用される水としては、水道水、精製水、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。これらのうち、安定性や経済性の面から、精製水またはイオン交換水が好ましい。上記の方法等で製造された本発明の水性懸濁組成物は濾過等によって異物等を取り除くことが好ましい。
本発明の水性懸濁組成物は、工業用防菌、防黴または防藻剤として有用である。本発明の水性懸濁組成物は、水性エマルション塗料、溶剤型塗料、接着剤、皮革、プラスチック製品、紙・パルプ製造用水、工業用冷却水などに添加することができる。これらのうち、本発明の水性懸濁組成物は、塗料に好適である。
塗料は、塗料組成物に本発明の水性懸濁組成物を配合することによって得ることができる。
塗料組成物としては、水性樹脂を含有する塗料組成物、有機溶剤分散性樹脂を含有する塗料組成物、およびワックスを含有する塗料組成物が挙げられる。
塗料組成物に使用される樹脂は、耐久性、耐水性、接着性、耐熱性、耐ブロッキング性、柔軟性等を考慮して適宜選択できる。該樹脂としては水性樹脂が好ましい。水性樹脂は、水に溶解又は乳化分散された樹脂である。
樹脂はゴム状高分子と樹脂状高分子とに大別される。
ゴム状高分子としては、例えば、天然ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。
樹脂状高分子としては、例えば、松脂のような天然樹脂、ポリエチレン、スチレン−ブタジエン系樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。
本発明の水性懸濁組成物は、防腐性、防カビ性、防藻性等の効果を必要とする素材に施用することができる。該素材としては、例えば、繊維、衛生加工品、医療用成形加工品、洗剤、化粧品、食品、青果物、種子、農作物、家畜、クリーンフィルム、包装材料、殺菌性材料、塗料、エマルション樹脂、切削油等の金属加工油、合板、木材、カゼイン、でんぷん糊、にかわ、塗工紙、紙用塗工液、表面サイズ剤、接着剤、合成ゴムラテックス、印刷インキ、ポリビニルアルコールフィルム、塩化ビニルフィルム、プラスチック製品、セメント混和剤、シーリング剤、目地剤などが挙げられる。また、製紙パルプ工場や冷却水循環工程で使用される各種産業用水等にも用いることができる。
施用方法は、対象となる素材に応じて、適宜選択できる。例えば、素材に混ぜ合わせる方法、素材に浸み込ませる方法、素材表面に塗布する方法などが挙げられる。
次に、実施例を示して、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
透明容器に水77質量部を入れ、これをスターラーで撹拌しながら、シブトリン(イルガガードD1071:登録商標、チバスペシャルティ・ケミカルズ社製)6.1質量部、OIT(BIO−OIT98:大連百傲化学社製)6.1質量部、BIT(プロキセルプレスペースト(P7):登録商標、アーチケミカルズ社製)2.4質量部、ニューカルゲンCP15−200(竹本油脂社製、POAアルキルフェニルエーテル)0.81質量部、パイオニンD−945−T(竹本油脂社製、POEソルビタントリオレエート)0.81質量部、エアロールCT−1L(登録商標、東邦化学工業社製、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)0.39質量部、ニューカルゲン‐PS‐LH(竹本油脂社製、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム)0.5質量部、サーフィノール104(登録商標、エアープロダクツ社製、アセチレン系消泡剤)0.1質量部、ニューカルゲン−FS3K(竹本油脂社製、ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテルホスフェートカリウム塩)1.0質量部、BIO−50%HMIT(H−MITを50質量%含有する水溶液、大連百傲化学社製)4.0質量部、BIO−C/HMIT14(C−MIT3質量部とH−MIT1質量部を併せて14質量%含有する水溶液、大連百傲化学社製)0.5質量部、およびロドポールG(登録商標、ローディア日華社製)0.1質量部を添加した。これを撹拌しながら、ガラスビーズ充填80%のダイノーミル(シンマルエンタープライズ社製)に液流量101g/分で通過させて粉砕した。ダイノーミル通過後の液にロドポールG 0.2質量部を混合して、水性懸濁組成物を得た。
[実施例2]
水の量を77.5質量部に、ニューカルゲン−FS3Kの量を0.5質量部に変えた以外は実施例1と同じ手法で水性懸濁組成物を得た。
[実施例3]
水の量を75.5質量部に、ニューカルゲン−FS3Kの量を2.5質量部に変えた以外は実施例1と同じ手法で水性懸濁組成物を得た。
[比較例1]
水の量を78質量部に、ニューカルゲン−FS3Kの量を0質量部に変えた以外は実施例1と同じ手法で水性懸濁組成物を得た。
[虐待試験]
上記の実施例および比較例で得られた水性懸濁組成物を、ガラス製スクリュー瓶に入れて、蓋をした。 該瓶を、0℃、40℃または50℃の環境下に1週間静置した。その後、各瓶中の組成物の外観を観察し、以下の基準で評価した。
A:均一な淡黄色懸濁液であった。
B:少量の黄色半透明液が懸濁液上方に分離し、また懸濁液は内部に透明液体の分離が起こり不均一となっていた。
C:多量の褐色半透明液が懸濁液上方に分離していた。
評価結果を表1に示す。
Figure 0005666221
以上の結果から、実施例の水性懸濁組成物は、比較例1の水性懸濁組成物に比べて、50℃前後の高温における保存安定性が改善されていることがわかる。

Claims (9)

  1. イソチアゾロン系防腐防カビ剤
    2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−エチルアミノ−s−トリアジン、2−クロロ−4,6−ジエチルアミノ−s−トリアジン、2−クロロ−4−エチルアミノ−6−イソプロピルアミノ−s−トリアジン、および2−メチルチオ−4−エチルアミノ−6−(1,2−ジメチルプロピルアミノ)−s−トリアジンからなる群から選ばれる少なくとも1種のトリアジン系防藻剤と、
    ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩
    を含有してなる、水性懸濁組成物。
  2. イソチアゾロン系防腐防カビ剤として、
    2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選ばれる少なくとも1種と、
    1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンとを含有する、請求項1に記載の水性懸濁組成物。
  3. イソチアゾロン系防腐防カビ剤として、
    1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンと、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを含有する、請求項1に記載の水性懸濁組成物。
  4. トリアジン系防藻剤として、
    2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジンを含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性懸濁組成物。
  5. ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩として、
    ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテルフォスフェートカリウム塩を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性懸濁組成物。
  6. イソチアゾロン系防腐防カビ剤とトリアジン系防藻剤との合計質量/ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩の質量の比が4/1〜50/1である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性懸濁組成物。
  7. ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルフォスフェート塩の含有量が、0.5〜2.5質量%である、請求項6に記載の水性懸濁組成物。
  8. イソチアゾロン系防腐防カビ剤とトリアジン系防藻剤との合計含有量が、4〜50質量%である、請求項6または7に記載の水性懸濁組成物。
  9. さらに、アルキルスルホコハク酸系界面活性剤、アルキルフェニルエーテル系界面活性剤、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤を含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水性懸濁組成物。
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