JP5663027B2 - 基板上のオブジェクトの概略構造を決定する方法、検査装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ可読媒体 - Google Patents

基板上のオブジェクトの概略構造を決定する方法、検査装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ可読媒体 Download PDF

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Description

(関連出願への相互参照)
[0001] 本願は、参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする、2009年10月12日出願の米国仮出願第61/250,834号の利益を主張する。
[0002] 本発明は、基板上のオブジェクトの概略構造の決定に関する。本発明は、例えば、リソグラフィ装置のクリティカルディメンション(CD)又はオーバレイ性能を評価するための微細構造のモデルベースのメトロロジーなどに適用できる。
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。通常、1枚の基板は、順次パターンが与えられる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。従来のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へとパターンを転写することが可能である。
[0004] リソグラフィプロセスを監視するために、パターン付き基板のパラメータ、例えば基板内又は基板上に形成された連続層間のオーバレイ誤差又は基板上に形成された層のクリティカルディメンションを測定する必要がある。走査型電子顕微鏡及び様々な専用ツールの使用を含め、リソグラフィプロセスで形成された微細構造を測定するための様々な技術がある。専用検査ツールの一形態が、放射のビームを基板の表面上のターゲットに誘導し、散乱又は反射したビームの特性を測定するスキャトロメータである。スキャトロメータは2つの主なタイプが知られている。分光スキャトロメータは広帯域放射ビームを基板上に誘導し、特定の狭い角度範囲に散乱した放射のスペクトル(波長の関数としての強度)を測定する。角度分解スキャトロメータは単色放射ビームを使用し、散乱した放射の強度を角度の関数として測定する。
[0005] 基板によって反射又は散乱する前後のビームの特性を比較することで、基板の特性を決定することができる。これは、例えば、反射又は散乱したビームの測定から得たデータを既知の基板特性に関連付けられた既知の測定値のライブラリ内に格納されたデータと比較することで実行できる。スキャトロメトリはパラメータ化されたモデルから計算した信号を回折信号などの測定された光信号に適合させる手順に基づいてもよい。
[0006] この目的は、各パラメータの十分な精度による決定を可能にするために十分な光測定信号を収集することにある。複雑なパターンの場合は、特に、プロファイルを記述するのに必要なパラメータの数は多く、より多くの光測定信号が必要である。
[0007] 本発明の第1の態様によれば、基板上のオブジェクトの概略構造を決定する方法が提供される。基板は上層と下地層とを備え、基板はオブジェクトを含む第1の領域を備え、オブジェクトは上層のパターン形成された部分と下地層の一部とを備え、基板は、上層がなく、下地層の一部を含む第2の領域をさらに備える。この方法は以下のステップを含む。放射ビームによる第1の領域の照明から得られる回折信号を検出すること。放射ビームによる第2の領域の照明から得られる電磁散乱特性を検出すること。検出された回折信号と検出された電磁散乱特性とに基づいてオブジェクトの概略構造を決定すること。
[0008] 本発明の第2の態様によれば、基板上のオブジェクトの概略構造を決定する検査装置が提供される。基板は上層と下地層とを備える。基板はオブジェクトを含む第1の領域を備え、オブジェクトは上層のパターン形成された部分と下地層の一部とを備え、基板は、上層がなく、下地層の一部を含む第2の領域をさらに備える。この検査装置は、照明システムと、検出システムと、プロセッサとを備える。照明システムは、放射によって第1及び第2の領域を照明するように構成される。検出システムは、第1の領域の照明から得られる回折信号を検出し、且つ第2の領域の照明から得られる電磁散乱特性を検出するように構成される。プロセッサは、検出された回折信号と検出された電磁散乱特性とに基づいてオブジェクトの概略構造を決定するように構成される。
[0009] 本発明の第3の態様によれば、基板上のオブジェクトの概略構造を決定する機械可読命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラムプロダクトが提供される。命令は、基板上のオブジェクトの概略構造を決定する方法を1つ又は複数のプロセッサに実行させるように構成される。基板は、上層と下地層とを備える。基板はオブジェクトを含む第1の領域を備え、オブジェクトは上層のパターン形成された部分と下地層の一部とを備え、基板は、上層がなく、下地層の一部を含む第2の領域をさらに備える。この方法は以下のステップを含む。放射ビームによる第1の領域の照明から得られる回折信号を受け取ること。放射ビームによる第2の領域の照明から得られる電磁散乱特性を受け取ること。受け取った回折信号と受け取った電磁散乱特性とに基づいてオブジェクトの概略構造を決定すること。
[0010] 本発明の第4の態様によれば、基板上のオブジェクトの概略構造を決定する基板が提供される。基板は上層と下地層とを備える。基板はオブジェクトを含む第1のスキャトロメトリターゲットを備え、オブジェクトは上層のパターン形成された部分と下地層の一部とを備え、基板は、上層がなく、下地層の一部を含む第2のスキャトロメトリターゲットをさらに備える。
[0011] 本発明の別の特徴及び利点と本発明の様々な実施形態の構造及び作用を、添付の図面を用いて以下に詳述する。本発明は、本明細書に記載する特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。このような実施形態は、例示のみを目的として本明細書に記載されている。本明細書に含まれる教示に基づいて当業者はさらなる実施形態を容易に思い付くであろう。
[0012] 本明細書に組み込まれ、明細書の一部をなす添付の図面は、本発明を例示し、説明と共に、本発明の原理をさらに説明し、当業者が本発明を実施して使用することを可能にする。
[0013]リソグラフィ装置を示す。 [0014]リソグラフィセル又はクラスタを示す。 [0015]第1のスキャトロメータを示す。 [0016]第2のスキャトロメータを示す。 [0017]スキャトロメータの測定値から1次元周期回折格子を再構築する一般的プロセスを示す。 [0018]本発明のある実施形態によるスタック上の格子の概略構造を決定するために実行される測定を示す。 [0019]本発明のある実施形態によるスタック上の交差格子の概略構造を決定するために実行される測定を示す。 [0020]本発明のある実施形態によるウェーハ上のオブジェクトの概略構造を決定する方法を示すフローチャートである。 [0021]下地層の再構築がオブジェクトの測定と並行して実行される本発明のある実施形態によるウェーハ上のオブジェクトの概略構造を決定する方法を示すフローチャートである。
[0022] 本発明の特徴及び利点は、類似の参照番号がそれに対応する要素を一貫して識別する図面を参照しながら以下の説明を読むことでさらに明らかになろう。図面では、通常、類似の番号が同一の、機能が類似した、及び/又は構造が類似した要素を示す。ある要素が最初に出現する図面は、対応する参照番号の左端の1つ又は複数の数字によって示される。
[0023] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ又は複数の実施形態を開示する。開示された実施形態は本発明を例示するに過ぎない。本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
[0024] 記載された実施形態、及び本明細書で「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」などに言及した場合、それは記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、それぞれの実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含まないことがあることを示す。さらに、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。さらに、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性について記載している場合、明示的に記載されているか、記載されていないかにかかわらず、このような特徴、構造、又は特性を他の実施形態との関連で実行することが当業者の知識にあることが理解される。
[0025] 本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組合せで実施してもよい。また、本発明の実施形態は、1つ又は複数のプロセッサによって読み出して実行することができる機械読み取り可能媒体に格納された命令として実施してもよい。機械読み取り可能媒体は、機械(例えば、コンピュータ装置)が読み取れる形式で情報を記憶又は伝送できる任意の機構を含んでもよい。例えば、機械読み取り可能媒体は、読取専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM),磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音声又はその他の形態の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、ディジタル信号など)、その他を含んでもよい。さらに、本明細書に一定の動作を実行するファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令を記載してもよい。しかし、そのような記載は便宜のためだけであり、そのような動作は、実際には、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行するコンピュータ装置、プロセッサ、コントローラ、又はその他のデバイスによって行われる。
[0026] このような実施形態を詳述する前に、本発明の実施形態を実施することができる例示の環境を提示することが有用であろう。
[0027] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示したものである。この装置は、放射ビームB(例えばUV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板Wを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ又は複数のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSとを備える。
[0028] 照明システムは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、又はその任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
[0029] 支持構造は、パターニングデバイスを支持、すなわちその重量を支えている。支持構造は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。この支持構造は、パターニングデバイスを保持するために、機械的、真空、静電気等のクランプ技術を使用することができる。支持構造は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムPSなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なしてもよい。
[0030] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。通常、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
[0031] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
[0032] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電気光学システム、又はその任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
[0033] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
[0034] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ又は複数の他のテーブルを露光に使用している間に1つ又は複数のテーブルで予備工程を実行することができる。
[0035] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばマスクと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で周知である。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないということをもっぱら意味するのではなく、露光中に投影システムと基板の間に液体が存在するというほどの意味である。
[0036] 図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
[0037] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するように設定されたアジャスタADを備えていてもよい。通常、イルミネータILの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(通例それぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータILを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
[0038] 放射ビームBは、マスク支持構造(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスクMA)に入射し、パターニングデバイスによってパターン形成される。マスクMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2の位置決めデバイスPW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTを、例えば様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同様に、第1の位置決めデバイスPMと別の位置センサ(図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めできる。通常、マスクテーブルMTの移動は、第1の位置決めデバイスPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現できる。同様に、基板テーブルWT又は「基板支持体」の移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。マスクMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブレーンアライメントマークとして知られている)。同様に、マスクMA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
[0039] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
[0040] 1.ステップモードにおいては、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で結像されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
[0041] 2.スキャンモードにおいては、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPLの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
[0042] 3.別のモードでは、マスクテーブルMTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
[0043] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
[0044] 参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする、米国特許第7,522,293号は、第2のパターン形成層が第1のパターン形成層の上に形成される前に第1のパターン形成層から測定した第1の測定回折信号を入手するステップを含む複数のパターン形成層の光メトロロジーについて記載する。この特許で提案された方法は、各々のウェーハがメトロロジーツールを2回通過することが必要である。第1の通過の測定結果は第2のパターン形成層の形成中に記憶されなければならない。これはロジスティクス及びデータ管理に影響する。第1の測定の結果は第2の測定完了時に、好ましくは同等の測定ツールの集団の実際の測定ツールから独立して測定ツールから利用可能でなければならない。さらに、測定ツールの較正を測定間に実行してもよい。
[0045] 図2に示すように、リソグラフィ装置LAは、リソセル又はクラスタとも呼ばれることがあるリソグラフィセルLCの一部を形成し、それは基板上で露光前及び露光後プロセスを実行する装置も含む。従来、これらはレジスト層を堆積させるスピンコータSC、露光されたレジストを現像する現像器DE、チルプレートCH及びベークプレートBKを含む。基板ハンドラ、すなわちロボットROは入力/出力ポートI/O1、I/O2から基板を取り上げ、それを様々なプロセス装置間で移動させ、次にリソグラフィ装置のローディングベイLBに送出する。多くの場合まとめてトラックと呼ばれるこれらのデバイスは、トラック制御ユニットTCUの制御下にあり、それ自体は監視制御システムSCSによって制御され、それはリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する。したがってスループット及び処理の効率を最大化するために様々な装置を動作させることができる。
[0046] リソグラフィ装置によって露光される基板が正確かつ一貫して露光されるために、露光した基板を検査し、後続層間のオーバレイ誤差、ラインの太さ、クリティカルディメンション(CD)などのような特性を測定することが望ましい。誤差が検出された場合は、特に同じバッチの他の基板がまだ露光されないほど十分即座にかつ高速で検査を実行できる場合は、後続基板の露光を調節することができる。また、既に露光した基板を(歩留まりを改善するために)取り外して再加工するか、又は廃棄し、それにより欠陥があることが分かっている基板で露光を実行するのを回避することができる。基板の幾つかのターゲット部分のみに欠陥がある場合、良好であるそれらのターゲット部分のみでさらなる露光を実行することができる。
[0047] 基板の特性を、特に異なる基板又は同じ基板の異なる層の特性が層ごとにいかに変化するかを決定するために、検査装置が使用される。検査装置をリソグラフィ装置LAに組み込むことができる、又はリソセルLCは独立型デバイスとすることができる。最も迅速な測定を可能にするために、検査装置は露光直後に露光したレジスト層の特性を測定することが望ましい。しかし、レジストの潜像はコントラストが非常に低く、(放射に露光してあるレジストの部分と露光していない部分との間には屈折率の非常に小さい差しかない)すべての検査装置が、潜像を有用に測定するほど十分な感度を有しているわけではない。したがって、露光後ベークステップ(PEB)の後に測定を実行することができ、これは通常は露光した基板で実行する最初のステップであり、レジストの露光部分と非露光部分との間のコントラストを増大させる。この段階で、レジストの像を半潜像と呼ぶことができる。現像したレジスト像で(その時点でレジストの露光部分又は非露光部分は除去されている)又はエッチングなどのパターン転写ステップの後で測定することも可能である。後者の見込みは、欠陥がある基板を再加工する見込みを制限するが、それでも有用な情報を提供することができる。
[0048] 図3は、本発明のある実施形態に使用できるスキャトロメータを示す。これは、放射を基板Wに投影する広帯域(白色光)放射プロジェクタ2を備える。反射した放射はスペクトロメータディテクタ4へと渡され、これは鏡面反射した放射のスペクトル10(波長の関数としての強度)を測定する。このデータから、検出されるスペクトルを生じる構造又はプロファイルを処理ユニットPUにより、例えば従来の厳密結合波分析(Rigorous Coupled Wave Analysis: RCWA)及び非線形回帰により、又は図3の下部に図示されたようなシミュレートしたスペクトルのライブラリとの比較により再構築することができる。概して、再構築するために構造の全体的形状を知り、幾つかのパラメータは、構造を作成したプロセスの知識から仮定して、スキャトロメータのデータから決定するべき構造のパラメータはわずかしか残らない。このようなスキャトロメータは、垂直入射スキャトロメータ又は斜め入射スキャトロメータとして構成することができる。
[0049] 本発明のある実施形態で使用できる別のスキャトロメータが、図4に示されている。このデバイスでは、放射源2によって放出された放射が、レンズシステム12を使用して干渉フィルタ13及び偏光子17を通して集束し、部分反射面16によって反射して、好ましくは少なくとも0.9、さらに好ましくは少なくとも0.95の高い開口数(NA)を有する顕微鏡の対物レンズ15を介して基板Wに集束する。液浸スキャトロメータは、開口数が1を超えるレンズを有することさえある。反射した放射は次に、散乱スペクトルを検出させるために部分反射面16を通ってディテクタ18内に伝達される。ディテクタは、レンズシステム15の焦点距離にある逆投影された瞳面11に位置付けることができるが、瞳面は、代わりに補助光学系(図示せず)でディテクタに再結像することができる。瞳面は、放射の半径方向位置が入射角度を画定し、角度位置が放射の方位角を画定する面である。ディテクタは、基板ターゲット30の2次元角度散乱スペクトルを測定できるように、2次元ディテクタであることが好ましい。ディテクタ18は、例えばCCD又はCMOSセンサのアレイでよく、例えば1フレーム当たり40ミリ秒の積分時間を使用することができる。
[0050] 例えば、入射放射の強度を測定するために、基準ビームを使用することが多い。そのために、放射ビームがビームスプリッタ16に入射すると、その一部がビームスプリッタを通って基準ビームとして基準ミラー14に向かって伝達される。次に、基準ビームは同じディテクタ18の異なる部分へと投影される。
[0051] 例えば405〜790nm又はさらに低く、200〜300nmなどの範囲の対象となる波長を選択するために、1組の干渉フィルタ13が使用可能である。干渉フィルタは、1組の様々なフィルタを備えるのではなく、調整可能とすることができる。干渉フィルタではなく格子を使用することができる。
[0052] ディテクタ18は、1つの波長(又は狭い波長範囲)で散乱光の強度を、複数の波長で別個に、又はある波長範囲にわたって積分された強度を測定することができる。さらに、ディテクタはTM及びTE偏光の強度及び/又はTMとTE偏光の間の位相差を別個に測定することができる。
[0053] 広帯域光源(すなわち光の周波数又は波長、したがって色の範囲が広い光源)を使用することが可能であり、これは大きいエタンデュを生じ、複数の波長を混合できるようにする。広帯域の複数の波長は、好ましくはそれぞれΔλの帯域幅及び少なくとも2Δλ(すなわち帯域幅の2倍)の間隔を有する。幾つかの放射の「ソース」は、ファイバ束を使用して分割されている延在した放射源の様々な部分でもよい。この方法で、角度分解散乱スペクトルを複数の波長で平行して測定することができる。3次元スペクトル(波長と2つの異なる角度)を測定することができ、これは2次元スペクトルより多くの情報を含む。これによって、より多くの情報を測定することができ、それはメトロロジープロセスのロバスト性を高める。このことは、参照により全体を本明細書に組み込むものとするEP1,628,164Aでさらに詳細に説明されている。
[0054] 基板W上のターゲット30は格子でよく、それは現像後にバーがレジストの実線で形成されるように印刷される。バーは、代替的に基板にエッチングしてもよい。このパターンは、リソグラフィ投影装置、特に投影システムPLの色収差に敏感であり、照明の対称性及びこのような収差の存在は、印刷された格子の変化に現れる。したがって、印刷された格子のスキャトロメータデータを使用して、格子を再構築する。線の幅及び形状などの格子のパラメータは、印刷ステップ及び/又は他のスキャトロメータのプロセスの知識から、処理ユニットPUによって実行される再構築プロセスに入力することができる。
[0055] 上述したように、ターゲットは基板の表面上にある。このターゲットは、2Dアレイの格子又は実質的に矩形の構造で一連の線の形状をとることが多い。メトロロジーにおける厳密光回折理論(rigorous optical diffraction theory)の目的は、ターゲットから反射する回折スペクトルの効率的な計算である。すなわち、CD(クリティカルディメンション)の均一性及びオーバレイのメトロロジーに対してターゲット形状の情報を取得する。オーバレイのメトロロジーとは、基板上の2つの層が位置合わせされているか否かを決定するために2つのターゲットのオーバレイを測定する測定システムである。CDの均一性とは、リソグラフィ装置の露光システムがいかに機能しているかを決定するために、単にスペクトルの格子の均一性を測定することである。特にCD、すなわち、クリティカルディメンションとは、基板に「書かれた」オブジェクトの幅(例えば、図5に示すターゲットの幅)であり、リソグラフィ装置が物理的に基板に書くことができる限界である。
[0056] ターゲット形状及び/又は材料特性(マーク形状とも呼ぶ)の測定方法は通常、1次元周期構造について、図5を参照して以下のように実行される。
[0057] 1.ターゲット形状502は504で推定される。この推定形状にα(0)、β(0)、χ(0)などの異なるパラメータを与える。これらのパラメータはそれぞれ、例えば各側壁の角度、ターゲットの最上部の高さ、ターゲットの最上部における幅、ターゲットの底部における幅などでよい。
[0058] 2.通常、RCWAなどの厳密な光回折法を使用して、推定されたターゲット形状の推定回折パターン又はモデル回折パターンなどの散乱特性を計算する。推定又はモデル回折パターンの代わりに、又はそれを入手するために、推定又はモデル反射又は透過係数などの他の電磁散乱特性を使用することができる。
[0059] 3.次に、基板上のターゲットを放射ビームで照明し、回折ビームを検出することによって、基板上にある実際のターゲット508の回折パターン506を測定し510、そのパターンはターゲットの特性に依存する。この測定回折パターン及びモデル回折パターンを、コンピュータなどの計算システムに転送する。
[0060] 4.次に、測定された回折パターン及びモデル回折パターンを比較し512、差があれば全て「メリット関数」計算514に送り込む。
[0061] 5.特定のターゲットパラメータの感度を回折パターンの形状に関連付けるメリット関数を使用して、新しい形状パラメータを推定する516。これは図5の底部形状518にさらに近い形状を生成することができ、これはα(0)、β(1)、χ(1)などの新しいパラメータを有する。これらをステップ1に反復的に送り戻し、所望の精度を達成するまでステップ1から5を反復し、それにより近似オブジェクト構造を決定する。
[0062] この反復プロセスの計算時間は主に、順方向回折モデルによって、すなわち推定されたターゲット形状から厳密な光回折理論を使用して推定モデル回折パターンを計算することによって決定される。さらに多くのパラメータが必要である場合は、さらに多くの計算時間が必要である。
[0063] 様々な推定ターゲット形状について複数のモデル回折パターンを計算し、ステップ2でライブラリに格納することができる。次にステップ4で、測定回折パターンをステップ2で生成したライブラリのモデル回折パターンと比較する。一致が見られた場合は、次に一致するライブラリパターンを生成するために使用した推定ターゲット形状が、近似オブジェクト構造であると決定することができる。したがって、ライブラリを使用し、一致が見られる場合は、反復する必要がないことがある。あるいは、ライブラリ検索を使用して形状パラメータの粗い組を決定し、その後にメリット関数を使用して1回又は複数回反復し、近似オブジェクト構造を決定するように形状パラメータのさらに正確な組を決定する。
[0064] 図6は、本発明のある実施形態による、オブジェクト、この例ではウェーハ基板上のスタック上の格子の概略構造を決定するために実行される測定を示す。
[0065] ウェーハ基板は、上層602と下地層604とを有する。下地層は、幾つかの層604〜610で構成されてもよい。図6に示す上層は1つの層602を有するが、上層は複数の層で構成されてもよい。基板はスタック上の格子を含む第1のスキャトロメトリターゲット領域612を有する。スタック上の格子は上層602及び下地層606〜610で構成される。上層602は周期格子でパターン形成されている。基板は、上層がない、隣接する第2のスキャトロメトリターゲット領域614をさらに有する。ウェーハの直径に対して互いに近い領域を有することで、構造及び材料パラメータの交差ウェーハ変動が最小限にされる。領域が近いか又は隣接している時には領域間の移動はより迅速になる。第2の領域614はパターン形成されていない下地層606〜610のみを有する。
[0066] スタック上の格子の構造は、放射ビーム618による第1の領域614の照明から得られる回折放射616の測定により回折信号を検出すること、及び、回折放射616から検出された回折信号に基づいて、さらには放射ビーム622による第2の領域614の照明から得られる反射光620を測定することで得られる検出された電磁散乱特性、ここではゼロ次反射信号を用いて、スタック上の格子の概略構造を決定することによって、決定される。放射ビーム618及び622は同じ放射ビームであり、及び/又は同じスキャトロメータから生成されてもよい。スタック上の格子の概略構造を決定するステップは、検出されたゼロ次反射信号を用いて下地層の概略構造を決定することを含む。
[0067] 第1及び第2の領域612及び614での測定は任意の順序で実行できる。第2の領域614を最初に測定することの利点は、ゼロ次反射信号が検出されると直ちに、また例えば、ウェーハステージが基板を第2の領域614から第1の領域612へ移動させている間に下地層の概略構造の再構築を開始できるという点である。これは、下地層の再構築が十分に速ければ、回折放射616の測定による回折信号の検出が完了すると直ちに、スタック上の格子の再構築が下地層モデルを直接格子内に与えることができるということを意味する。
[0068] 第1及び第2の領域612及び614の照明とそれに対応する検出は、上層602及び下地層604〜610の両方が形成された後に実行される。
[0069] 図7の領域612内のスタック上の格子の概略構造を決定するステップは、図5の方法に従って実行することもでき、この方法では、回折放射616の測定からの回折信号は測定された回折パターン506に対応し、ターゲット形状、すなわちスタック上の格子の構造を推定するステップ504は第2の領域614から検出されたゼロ次反射信号に基づく。
[0070] 推定ステップ504は図5の方法と同様に下地層604〜610の概略構造を決定することで実行できるが、第2の領域614からの反射放射620の測定によって検出されたゼロ次反射信号が図5の測定された回折パターン506の代わりに使用される。
[0071] この下地層604〜610の概略構造を決定する方法は図5の対応する項目を参照しながら以下のように実行される。
[0072] 1.下地層構造が504で推定される。この推定構造はα(0)、β(0)、χ(0)などの異なるパラメータを与えられる。これらのパラメータの各々は、例えば、層の厚さ、層の材料特性などであってもよい。
[0073] 2.通常、推定下地層構造の推定又はモデルゼロ次反射信号などの散乱又は反射特性を計算するためにRCWAなどの厳密な光学回折方法が使用される。推定又はゼロ次反射信号の代わりに、又はそれを得るために、推定又はモデル反射又は透過係数などのその他の電磁散乱特性を使用してもよい。
[0074] 3.基板上の第2ターゲット領域614を放射ビーム622で照明し、反射ゼロ次ビーム620を検出してゼロ次反射信号を得ることで基板上の実際の下地層構造のゼロ次反射信号が測定され、その特性は下地層構造の特性に依存する。この測定されたゼロ次反射信号及びモデルゼロ次反射信号はコンピュータなどの計算システムへ送信される。
[0075] 4.測定されたゼロ次反射信号及びモデルゼロ次反射信号は512で比較され、差分があれば514で「メリット関数」計算に挿入される。
[0076] 5.ある種のターゲットパラメータの感度をゼロ次反射信号に関連付けるメリット関数を用いて、新しい下地層構造パラメータが516で推定される。これによってα(1)、β(1)、χ(1)などの新しいパラメータを有する下地層構造が与えられる。これらは繰り返しステップ1に供給され、所望の精度が達成されるまでステップ1〜5が繰り返される概略下地層構造が決定される。
[0077] 図7は、本発明のある実施形態によるオブジェクト、この例ではスタック上の交差格子の概略構造を決定するために実行される測定を示す。図6と同じ項目は図6と同じ番号を振られている。図7の相違点は、下地層704がスキャトロメトリターゲット領域712と714の両方で同じパターン、この例では周期格子を施されているという点である。下地層704のパターンのために、放射ビーム622は回折する。したがって、回折放射720を測定することで得られる検出された電磁散乱特性は回折信号又は回折パターンである。
[0078] 図7の領域712内のスタック上の概略構造を決定するステップは、第1の領域712からの回折放射616の測定から得られる回折信号がステップ3の測定された回折パターン506に対応し、ターゲット形状、すなわち、スタック上の交差格子の構造を推定するステップ504が第2の領域714から検出された回折パターンに基づいた図5の方法に従って実行できる。
[0079] 推定ステップ504は、ここでも図5の方法に従って下地層704、606〜610の概略構造を決定することで実行できるが、第2の領域714からの回折放射720の検出から得た回折パターンは図5の測定された回折パターン506に対応する。
[0080] 図6及び図7に示す例では1次元の周期格子が使用されるが、例えば2次元周期性を備えた別のスキャトロメトリターゲット構造も使用できる。
[0081] 図8は、本発明のある実施形態によるウェーハ上のオブジェクトの概略構造を決定する方法を示すフローチャート802である。下地層サイト(例えば、図6の614又は図7の714)を804で測定した後、結果が806で格納される。ウェーハテーブルは808で移動し、スキャトロメータを主サイトに整列させる。主サイトは810で測定され、結果が812で格納される。最後に、主サイト構造(例えば、図6の領域612内のスタック上の格子又は図7の領域712内のスタック上の交差格子)が格納された下地層及び主サイトの測定値を用いて再構築される。
[0082] 図9は、本発明のある実施形態によるウェーハ上のオブジェクトの概略構造を決定する方法を示すフローチャート902である。図8を参照して述べた方法とは対照的に、下地層の再構築は主サイトの測定と並行して実行される。下地層を904で測定した後で、下地層サイトの測定値を用いて下地層の再構築が906で実行される。その結果として得られる下地層モデルが908で格納される。その間、ウェーハテーブルが910で移動しスキャトロメータを主サイトに整列させる。主サイトは912で測定され、結果が914で格納される。最後に、主サイト構造(例えば、図6の領域612内のスタック上の格子又は図7の領域712内のスタック上の交差格子)が格納された下地層及び主サイトの測定値を用いて再構築される。
[0083] 本発明の各実施形態は、下地層の上のパターン形成された上層が測定されるサイトと同様でその近くにある異なるサイト上のパターン未形成下地層又はパターン形成下地層の特性パラメータを測定する。
[0084] 本発明の利点は1回のメトロロジー通過だけが必要であるという点である。下地層からのデータは長期間格納する必要がなく、第2の測定中に自動的に利用可能になる。同じツール上で同じ較正状態で両方の測定を実行できるため、エラーが低減される。
[0085] 図3及び図4に関連して述べた処理ユニットPUは、本明細書に記載する方法を用いてオブジェクトの概略構造を再構築するように構成できる。
[0086] 処理ユニットPUは、本明細書に記載する方法をPU内の1つ又は複数のプロセッサに実行させるように構成された、基板上のオブジェクトの概略構造を決定するマシン可読命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラムプロダクトを用いて運用できる。そのような構成では、処理ユニットPU上で実行されるソフトウェアはスキャトロメータの残りのコンポーネントから回折信号と電磁散乱特性とを受け取ることができる。
[0087] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
[0088] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組合せを印加することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
[0089] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm若しくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)及び極端紫外線光(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
[0090] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電気光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組合せを指すことができる。
[0091] 「電磁」という用語は、電気及び磁気を包含する。
[0092] 「電磁散乱特性」という用語は、スペクトル(波長の関数としての強度など)、回折パターン(位置/角度の関数としての強度)及び横方向磁気及び横方向電気偏光の相対強度及び/又は横方向磁気と横方向電気偏光との位相差を含む反射及び透過係数及びスキャトロメータ測定パラメータを包含する。回折パターン自体は、例えば反射係数を使用して計算することができる。
[0093] したがって、本発明の実施形態は反射散乱に関して説明されているが、本発明は透過散乱にも適用可能である。
[0094] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はこのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。
結論
[0095]「発明の概要」及び「要約書」の項は、発明者が考える本発明の1つ又は複数の例示的実施形態を記載できるがそのすべては記載できないため、本発明及び添付の特許請求の範囲を決して限定するものではない。
[0096] 以上、特定の機能及びそれらの関係の実施態様を示す機能ビルディングブロックを使用して本発明の実施形態について説明した。本明細書においては、これらの機能ビルディングブロックの境界は、説明の便宜上、任意に画定されている。特定の機能及びそれらの関係が適切に実施される限り、代替境界を画定することも可能である。
[0097] 特定の実施形態についての上記説明は、本発明の一般的な性質を余すところなく開示しており、したがって当業者は、当分野における知識を適用することにより、不適切な過度の実験作業を必要とすることなく、また、本発明の一般概念から逸脱することなく、様々な用途のためにこのような特定の実施形態に容易に修正を加え、及び/又は適合させることができる。したがって、このような適合及び修正は、開示されている実施形態の、本明細書において示されている教示及び手引きに基づく同等物の意味及び範囲内に含まれることが意図されている。本明細書における表現又は用語は、説明を目的としたものであって本発明を限定するためのものではなく、したがって本明細書の用語又は表現は、当業者によって、教示及び手引きに照らして解釈されるべきものであることを理解されたい。
[0098] 本発明の広さ及び範囲は、上で説明したいずれの例示的実施形態によっても限定されず、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ規定されるべきである。

Claims (13)

  1. 基板上のオブジェクトの概略構造を決定する方法であって、前記基板は、上層と下地層とを備え、前記基板は、前記オブジェクトを含む第1の領域を備え、前記オブジェクトは、前記上層のパターン形成された部分と前記下地層の一部とを備え、前記基板は、前記上層がなく前記下地層の一部を含む第2の領域をさらに備え、
    射ビームによる前記第1の領域の照明から得られる回折信号を検出するステップと、
    射ビームによる前記第2の領域の照明から得られる電磁散乱特性を検出するステップと、
    記検出された回折信号と前記検出された電磁散乱特性とに基づいて前記オブジェクトの概略構造を決定するステップと、を含み、
    前記オブジェクトの概略構造を決定するステップは、少なくとも1つの推定オブジェクト構造を推定するステップと、前記少なくとも1つの推定オブジェクト構造から少なくとも1つのモデル回折信号を決定するステップと、前記検出された回折信号を前記少なくとも1つのモデル回折信号と比較するステップと、前記検出された回折信号と前記少なくとも1つのモデル回折信号との比較に基づいて前記オブジェクトの概略構造を決定するステップと、を含み、
    前記少なくとも1つの推定オブジェクト構造を推定するステップは、前記下地層の概略構造を決定するステップを含み、
    前記下地層の概略構造を決定するステップは、前記回折信号を検出するステップと並行して実行される、方法。
  2. 前記下地層の部分は前記第1及び第2の領域でパターン未形成であり、前記検出された電磁散乱特性はゼロ次反射信号を含む、請求項に記載の方法。
  3. 前記下地層の部分は前記第1及び第2の領域でパターン形成され、前記検出された電磁散乱特性は回折信号を含む、請求項に記載の方法。
  4. 前記第1の領域は前記第2の領域に隣接する、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
  5. 前記第1及び第2の領域の照明とそれに対応する検出は、前記上層及び下地層の両方が形成された後に実行される、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
  6. 第1のライブラリ内に複数の前記モデル回折信号を配置するステップをさらに含み、前記検出された回折信号を前記少なくとも1つのモデル回折信号と比較するステップは、前記検出された回折信号を前記第1のライブラリの内容と照合することを含む、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
  7. 前記少なくとも1つの推定オブジェクト構造を推定するステップと、前記少なくとも1つのモデル回折信号を決定するステップと、前記検出された回折信号を比較するステップとを繰り返すことをさらに含み、前記少なくとも1つの推定オブジェクト構造を推定するステップは、前記検出された回折信号の比較ステップの以前の繰り返しの結果に基づく、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
  8. 前記下地層の概略構造は、少なくとも1つの推定下地層構造を推定することと、前記少なくとも1つの推定下地層構造から少なくとも1つのモデル電磁散乱特性を決定することと、前記検出された電磁散乱特性を前記少なくとも1つのモデル電磁散乱特性と比較することと、前記検出された電磁散乱特性と前記少なくとも1つのモデル電磁散乱特性との比較に基づいて前記下地層の概略構造を決定することと、によって決定される、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
  9. 第2のライブラリ内に複数の前記モデル電磁散乱特性を配置するステップをさらに含み、前記検出された電磁散乱特性を前記少なくとも1つのモデル電磁散乱特性と比較するステップは、前記検出された電磁散乱特性信号を前記第2のライブラリの内容と照合することを含む、請求項に記載の方法。
  10. 前記少なくとも1つの推定下地層構造を推定するステップと、前記少なくとも1つのモデル電磁散乱特性を決定するステップと、前記検出された電磁散乱特性を比較するステップと、を繰り返すことをさらに含み、前記少なくとも1つの推定下地層構造を推定するステップは、前記検出された電磁散乱特性の比較ステップの以前の繰り返しの結果に基づく、請求項8又は9に記載の方法。
  11. 基板上のオブジェクトの概略構造を決定する検査装置であって、前記基板は、上層と下地層とを備え、前記基板は、前記オブジェクトを含む第1の領域を備え、前記オブジェクトは、前記上層のパターン形成された部分と前記下地層の一部とを備え、前記基板は、前記上層がなく前記下地層の一部を含む第2の領域をさらに備え、
    射によって前記第1及び第2の領域を照明する照明システムと、
    記第1の領域の照明から得られる回折信号を検出し、且つ前記第2の領域の照明から得られる電磁散乱特性を検出する検出システムと、
    記検出された回折信号と前記検出された電磁散乱特性とに基づいて前記オブジェクトの概略構造を決定するプロセッサと、を備え
    前記プロセッサは、少なくとも1つの推定オブジェクト構造を推定し、前記少なくとも1つの推定オブジェクト構造から少なくとも1つのモデル回折信号を決定し、前記検出された回折信号を前記少なくとも1つのモデル回折信号と比較し、前記検出された回折信号と前記少なくとも1つのモデル回折信号との比較に基づいて前記オブジェクトの概略構造を決定することによって、前記オブジェクトの概略構造を決定し、
    前記プロセッサは、前記少なくとも1つの推定オブジェクト構造の推定において、前記下地層の概略構造を決定し、
    前記プロセッサは、前記下地層の概略構造の決定を、前記回折信号の検出と並行して実行する、検査装置。
  12. 基板上のオブジェクトの概略構造を決定する機械可読命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラムであって、前記命令は、基板上のオブジェクトの概略構造を決定する方法を1つ又は複数のプロセッサに実行させ、前記基板は、上層と下地層とを備え、前記基板は、前記オブジェクトを含む第1の領域を備え、前記オブジェクトは、前記上層のパターン形成された部分と前記下地層の一部とを備え、前記基板は、前記上層がなく前記下地層の一部を含む第2の領域をさらに備え、前記方法が、
    射ビームによる前記第1の領域の照明から得られる回折信号を受け取るステップと、
    射ビームによる前記第2の領域の照明から得られる電磁散乱特性を受け取るステップと、
    記受け取った回折信号と前記受け取った電磁散乱特性とに基づいて前記オブジェクトの概略構造を決定するステップとを含み、
    前記オブジェクトの概略構造を決定するステップは、
    少なくとも1つの推定オブジェクト構造を推定するステップと、前記少なくとも1つの推定オブジェクト構造から少なくとも1つのモデル回折信号を決定するステップと、前記検出された回折信号を前記少なくとも1つのモデル回折信号と比較するステップと、前記検出された回折信号と前記少なくとも1つのモデル回折信号との比較に基づいて前記オブジェクトの概略構造を決定するステップと、を含み、
    前記少なくとも1つの推定オブジェクト構造を推定するステップは、前記下地層の概略構造を決定するステップを含み、
    前記下地層の概略構造を決定するステップは、前記回折信号を検出するステップと並行して実行される、コンピュータプログラム。
  13. 基板上のオブジェクトの概略構造を決定する動作をコンピュータデバイスに実行させる命令を格納したコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、基板上のオブジェクトの概略構造を決定する方法を1つ又は複数のプロセッサに実行させ、前記基板は、上層と下地層とを備え、前記基板は、前記オブジェクトを含む第1の領域を備え、前記オブジェクトは、前記上層のパターン形成された部分と前記下地層の一部とを備え、前記基板は、前記上層がなく前記下地層の一部を含む第2の領域をさらに備え、前記動作は、
    放射ビームによる前記第1の領域の照明から得られる回折信号を受け取ることと、
    放射ビームによる前記第2の領域の照明から得られる電磁散乱特性を受け取ることと、
    前記受け取った回折信号と前記受け取った電磁散乱特性とに基づいて前記オブジェクトの概略構造を決定することと、を含み、
    前記オブジェクトの概略構造を決定することは、少なくとも1つの推定オブジェクト構造を推定することと、前記少なくとも1つの推定オブジェクト構造から少なくとも1つのモデル回折信号を決定することと、前記検出された回折信号を前記少なくとも1つのモデル回折信号と比較することと、前記検出された回折信号と前記少なくとも1つのモデル回折信号との比較に基づいて前記オブジェクトの概略構造を決定することと、を含み、
    前記少なくとも1つの推定オブジェクト構造を推定することは、前記下地層の概略構造を決定することを含み、
    前記下地層の概略構造を決定することは、前記回折信号を受け取ることと並行して実行される、コンピュータ可読媒体。
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