JP5661988B2 - ムスカリンレセプター活性化剤及びペプチド - Google Patents

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Description

本発明は、ムスカリンレセプター活性化剤、及び、その有効成分として用いることのできる新規ペプチドに関する。
ムスカリンレセプターは7回膜貫通型受容体タンパク質(GPCR;Gタンパク質共役型受容体)ファミリーに属するタンパク質である。ムスカリンレセプターはM1〜M5までのサブタイプの存在が知られている。ムスカリンレセプターの構造は非常に似ているため、リガンド選択性に乏しく全てのサブタイプが同じリガンドやアゴニスト、アンタゴニストを結合するという特徴があり、例えば、リガンドであるアセチルコリンの結合特異性は無い。従って、ムスカリンレセプターに作用する治療薬においてもその特異性を持たせることは非常に困難である。
ムスカリンレセプターは、脳、自律神経系、心臓、平滑筋、血管内皮、外分泌腺等生体内では多岐に渡る臓器に発現が確認されている。ムスカリンレセプター作動薬(アゴニスト)は、各種疾患の治療薬として使用されており、例えば、セビメリン(M3に対するアゴニスト)がシェーグレン症候群患者の口腔乾燥症状改善薬として、カルバコール又はピロカルピン(M3に対する作動薬)が緑内障治療薬として、それぞれ、使用されている。
ムスカリンレセプターに対するペプチド性アゴニストとしては、例えば、配列番号41で表されるアミノ酸配列からなるムスカリン様毒素(Muscarinic Toxin)3(M4に対するアゴニスト)(非特許文献1)、類似配列からなるムスカリン様毒素α(非特許文献2)、ムスカリン様毒素1(非特許文献3)、ムスカリン様毒素7(非特許文献4)が公知である。
「フェブス・レターズ(FEBS letters)」,(オランダ),1994年,352巻,91頁 「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(European journal of biochemistry)」,(英国),1995年,234巻,579頁 「トキシコン(Toxicon)」,(英国),1995年,33巻,399頁 「ライフ・サイエンシーズ(Life sciences)」,(英国),1997年,60巻,1069頁
本発明の課題は、ムスカリンレセプター作動薬として使用可能な新規のペプチドを提供することにある。
前記課題は、本発明による、配列番号21(XXXP;1番目のX=W,R、2番目のX=Y,H,R、3番目のX=T,R,I)で表されるアミノ酸配列、若しくは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、ムスカリンレセプター活性化作用を示すペプチド、又はその誘導体を有効成分として含む、ムスカリンレセプター活性化剤により解決することができる。
本発明のムスカリンレセプター活性化剤の好ましい態様によれば、前記有効成分が、配列番号22(XXXXP;1番目のX=T,L,H,F,S、2番目のX=W,R、3番目のX=Y,H,R、4番目のX=T,R,I)で表されるアミノ酸配列、若しくは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、ムスカリンレセプター活性化作用を示すペプチド、又はその誘導体である。
本発明のムスカリンレセプター活性化剤の別の好ましい態様によれば、前記有効成分が、配列番号23(XXXXXP;1番目のX=Y,F、2番目のX=T,L,H,F,S、3番目のX=W,R、4番目のX=Y,H,R、5番目のX=T,R,I)で表されるアミノ酸配列、若しくは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、ムスカリンレセプター活性化作用を示すペプチド、又はその誘導体である。
本発明のムスカリンレセプター活性化剤の更に別の好ましい態様によれば、配列番号22又は23で表されるアミノ酸配列が、
YTWYTP(配列番号8)、
YSWYTP(配列番号15)、
HWHTP(配列番号19)、又は
YHRHTP(配列番号20)
である。
本発明のムスカリンレセプター活性化剤の更に別の好ましい態様によれば、配列番号21における1番目のアミノ酸X、配列番号22における2番目のアミノ酸X、又は配列番号23における3番目のアミノ酸Xが、Wである。
また、本発明は、配列番号21〜23のいずれか1つで表されるアミノ酸配列、若しくは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、構成アミノ酸数が100以下である、ペプチド、又はその誘導体に関する。
更に、本発明は、前記ペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターに関する。
本発明によれば、新規のムスカリンレセプター活性化剤を提供することができる。本発明のムスカリンレセプター活性化剤において有効成分として用いることのできるペプチド又はその誘導体それ自体も新規化合物であり、ムスカリンレセプターに対する活性化作用を有する。本発明のムスカリンレセプター活性化剤は、例えば、緑内障、シェーグレン症候群の治療に用いることができる。
本発明のムスカリンレセプター活性化剤は、有効成分として、配列番号21で表されるアミノ酸配列、若しくは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、ムスカリンレセプター活性化作用を示すペプチド、あるいはその誘導体を含む。
以下、本発明において有効成分として用いることのできる前記ペプチド及びそれらの誘導体を総称して「ムスカリンレセプター活性化ペプチド」と称する。なお、本明細書における用語「ペプチド」には、オリゴペプチド及びポリペプチドの両方が含まれる。
本明細書において「ムスカリンレセプター活性化作用」とは、ムスカリンレセプターに結合してアゴニスト活性を示す作用を意味する。前記ムスカリンレセプターには、各種哺乳動物、例えば、ヒト、ウマ、ヒツジ、ウサギ、モルモット、ヤギ、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、マウス等由来のムスカリンレセプターが含まれ、特に好ましくはヒトムスカリンレセプターである。また、前記ムスカリンレセプターには、ムスカリンレセプターの各種サブタイプ、すなわち、M1〜M5が含まれ、特に好ましくはM2である。
或るペプチドがムスカリンレセプター活性化作用を有するか否かは、公知方法により容易に判定することができる。例えば、ムスカリンレセプターを適当な担体(例えば、ELISAプレート又はビーズ担体)に固定化し、前記ムスカリンレセプターへの結合の有無を分析する方法(例えば、後述の実施例1参照)、あるいは、ムスカリンレセプターとGiとの融合ポリペプチドを調製し、標識GTPの前記融合ポリペプチドへの取り込み量を測定する方法(例えば、後述の実施例2又は3参照)により、或るペプチドがムスカリンレセプター活性化作用を有するか否かを容易に判定することができる。
本発明において、ムスカリンレセプター活性化ペプチドを構成するアミノ酸残基数は、ムスカリンレセプター活性化作用を示す限り、特に限定されるものではないが、例えば、4〜100個、好ましくは4〜50個、より好ましくは4〜30個、更に好ましくは4〜20個、更に好ましくは4〜12個、特に好ましくは4〜6個である。前記アミノ酸配列は、それ単独でムスカリンレセプター活性化作用を示すアミノ酸配列(基本配列)のみからなることもできるし、その繰り返し配列からなることもできる。繰り返し配列からなる場合には、1種類の基本配列のみの繰り返し配列であることもできるし、2種類以上の基本配列の組合せであることもできる。
本明細書において、「配列番号X(例えば、配列番号21〜23)で表されるアミノ酸配列、あるいは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、ムスカリンレセプター活性化作用を示すペプチド」には、例えば、
配列番号Xで表されるアミノ酸配列からなるペプチド;
配列番号Xで表されるアミノ酸配列のN末端及び/又はC末端に、適当なアミノ酸配列が付加されたアミノ酸配列からなり、且つムスカリンレセプター活性化作用を示すペプチド;又は
配列番号Xで表されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、ムスカリンレセプター活性化作用を示すペプチド
が含まれる。
配列番号21で表されるアミノ酸配列は、
XXXP(配列番号21)
[配列中、1番目のアミノ酸XはW,R(好ましくはW)であり、2番目のアミノ酸XはY,H,Rであり、3番目のアミノ酸XはT,R,I(好ましくはT)である]
である。
配列番号21で表されるアミノ酸配列を含む配列としては、例えば、
XXXXP(配列番号22)
[配列中、1番目のアミノ酸XはT,L,H,F,Sであり、2番目のアミノ酸XはW,R(好ましくはW)であり、3番目のアミノ酸XはY,H,Rであり、4番目のアミノ酸XはT,R,I(好ましくはT)である]
XXXXXP(配列番号23)
[配列中、1番目のアミノ酸XはY,F(好ましくはY)であり、2番目のアミノ酸XはT,L,H,F,Sであり、3番目のアミノ酸XはW,R(好ましくはW)であり、4番目のアミノ酸XはY,H,Rであり、5番目のアミノ酸XはT,R,I(好ましくはT)である]
を挙げることができる。
配列番号21〜23で表されるアミノ酸配列としては、例えば、
YTWYTP(配列番号8;配列番号1の第3〜8番のアミノ酸からなる配列)
YLWHTP(配列番号9;配列番号2の第3〜8番のアミノ酸からなる配列)
YHWHTP(配列番号10;配列番号3の第1〜6番のアミノ酸からなる配列)
YTWHTP(配列番号11;配列番号4の第1〜6番のアミノ酸からなる配列)
YHWHRP(配列番号12;配列番号5の第1〜6番のアミノ酸からなる配列)
FFWHTP(配列番号13;配列番号6の第7〜12番のアミノ酸からなる配列)
FFWRTP(配列番号14;配列番号7の第5〜10番のアミノ酸からなる配列)
YSWYTP(配列番号15)
YLWHIP(配列番号17)
HWHTP(配列番号19)
YHRHTP(配列番号20)
を挙げることができる。
「配列番号Xで表されるアミノ酸配列のN末端及び/又はC末端(好ましくはC末端)に、適当なアミノ酸配列が付加されたアミノ酸配列からなり、且つムスカリンレセプター活性化作用を示すペプチド」において、N末端及び/又はC末端に付加することができる前記アミノ酸配列としては、例えば、リンカー配列、マーカー配列、ポリペプチド配列、又は別のムスカリンレセプター活性化ペプチド配列を挙げることができる。
前記リンカー配列としては、例えば、ペプチドを担体に担持させるための配列、例えば、チオール基を有するアミノ酸[例えば、システイン(L体システイン又はD体システイン)又はホモシステイン)又はアミノ基と反応しない官能基(例えば、マレイミド基)を側鎖に有するアミノ酸1個からなるリンカー配列、あるいは、少なくとも一方の末端が、チオール基を有するアミノ酸又はアミノ基と反応しない官能基を有するアミノ酸であるリンカー配列を挙げることができる。
前記マーカー配列としては、例えば、ペプチドの発現の確認、細胞内局在の確認、あるいは、精製等を容易に行なうための配列を用いることができ、例えば、FLAGタグ、ヘキサ−ヒスチジン・タグ、ヘマグルチニン・タグ、又はmycエピトープなどを挙げることができる。
前記ポリペプチド配列としては、例えば、精製用ポリペプチド[例えば、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)の全部又は一部]、検出用ポリペプチド[例えば、ヘムアグルチニン又はβ−ガラクトシダーゼαペプチド(LacZ α)の全部又は一部]、又は発現用ポリペプチド(例えば、シグナル配列)などを挙げることができる。
「配列番号Xで表されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、ムスカリンレセプター活性化作用を示すペプチド」において、欠失、置換、及び/又は付加することのできるアミノ酸の個数は、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜8個、更に好ましくは1〜6個、更に好ましくは1〜4個、更に好ましくは1〜3個、更に好ましくは1又は2個、特に好ましくは1個である。
本明細書において、ペプチドの機能を維持するために置換されるアミノ酸は、置換前のアミノ酸と似た性質を有するアミノ酸であることが好ましい。例えば、以下に示すような各グループに属するアミノ酸は、そのグループ内で互いに似た性質を有するアミノ酸である。これらのアミノ酸をグループ内の他のアミノ酸に置換しても、タンパク質の本質的な機能は損なわれないことが多い。このようなアミノ酸の置換は、保存的置換と呼ばれ、ポリペプチドの機能を保持しつつアミノ酸配列を変換するための手法として公知である。
非極性アミノ酸:Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe、及びTrp
中性アミノ酸:Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、及びGln
酸性アミノ酸:Asp及びGlu
塩基性アミノ酸:Lys、Arg、及びHis
本発明において有効成分として用いることのできる「配列番号21〜23で表されるアミノ酸配列、あるいは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、ムスカリンレセプター活性化作用を示すペプチドの誘導体」は、前記ペプチドの誘導体であって、且つ、ムスカリンレセプター活性化作用を示す限り、特に限定されるものではない。このような誘導体としては、例えば、ペプチドの安定性を向上させる各種修飾を施したペプチド誘導体を挙げることができる。前記修飾としては、例えば、L体アミノ酸のD体化(例えば、N末端アミノ酸のD体化、C末端アミノ酸のD体化、N末端及びC末端以外のアミノ酸のD体化)、N末アミノ基のアセチル化、C末端カルボキシル基のアミド化、天然型アミノ酸の(性質の類似した)非天然型アミノ酸への置換、又はこれらの組合せを挙げることができる。
本発明によるムスカリンレセプター活性化剤の有効成分であるムスカリンレセプター活性化ペプチドは、ムスカリンレセプター活性化作用を有するため、本発明のムスカリンレセプター活性化剤は、例えば、医薬(例えば、緑内障、シェーグレン症候群の治療剤)の用途に使用することができる。
本発明のムスカリンレセプター活性化剤を医薬として使用する場合には、例えば、ペプチドそれ自体を単独で、あるいは、所望により薬剤学的若しくは獣医学的に許容することのできる通常の担体又は希釈剤と共に、動物、好ましくは哺乳動物(特にはヒト)に投与することができる。また、この場合、ペプチドに代えて、ペプチドをコードするポリヌクレオチド(好ましくは、前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクター)を用いることもできる[例えば、Gene Ther., Development of safe and efficient novel nonviral gene transfer using ultrasound: enhancement of transfection efficiency of naked plasmid DNA in skeletal muscle., 2002 Mar;9(6):372-80]。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1:ファージディスプレイ法によるムスカリンレセプター2(M2)結合ペプチドのスクリーニング》
(1)M2とGi1aとの融合ポリペプチドを含む細胞膜画分の調製
本実施例では、特開2005−325055号公報の実施例1に記載のヒトhGPCR44−Giα融合ポリペプチドを含む細胞膜画分の調製方法に準じて、ヒトM2(Gene Accession Number NM_000739)のC末端とヒトGi1aサブユニット(Gene Accession Number NM_002069)のN末端とを連結したムスカリンM2−Gi1a融合ポリペプチドを、昆虫細胞Sf9において産生させた後、細胞膜画分を回収することにより、前記融合ポリペプチドを含有する細胞膜画分を調製した。
具体的には、ヒトM2遺伝子とヒトGi1aサブユニット遺伝子との融合遺伝子(M2−Gi1a融合遺伝子)を、組み換え体バキュロウイルス作製用のベクターpFASTBac1(インビトロジェン製)のマルチクローニングサイトに挿入し、作成されたベクターを用いて、バキュロウイルスのゲノムをバクミド(Bacmid)として保持する大腸菌DH10Bac(インビトロジェン製)を形質転換し、M2−Gi1a融合遺伝子が挿入されたバクミドを単離した。単離された組み換え体バクミド(バキュロウイルスゲノム)を昆虫細胞Sf9(インビトロジェン製)にトランスフェクションし、M2−Gi1a融合遺伝子をもつ組み換え体バキュロウイルスを得た。この組み換え体ウイルスを新鮮なSf9細胞に感染させ、培養後、細胞を回収し、細胞を破砕後、更に、細胞膜画分を回収することにより、M2−Gi1a融合ポリペプチドを含有する細胞膜画分を取得した。なお、前記の形質転換、バクミド単離、トランスフェクション、及び感染は、添付のプロトコールに従って実施した。
(2)ペプチド呈示ファージライブラリーからのM2結合ペプチドのスクリーニング
続いて、得られた細胞膜画分を使用し、ファージディスプレイ法により、ヒトM2に結合性を有するペプチドのスクリーニングを行った。
具体的な操作は、特開2005−325055号公報の実施例2に記載のスクリーニング方法に準じて実施した。また、ファージディスプレイ法で用いるライブラリーとして、M13ファージの表面のマイナータンパク質pIIIのN末端にペプチドがランダムに呈示されるライブラリー(呈示されるランダムアミノ酸数が7個又は12個のペプチドライブラリー)を、Smith, G. P., Science, 288, 1315-1317(1985)、J. K. Scott and G. P. Smith, Science, 249, 386-390(1990)の記載に基づいて作製した。また、ファージライブラリーのターゲット(M2)に対する結合性は、ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)により判定した。
スクリーニングの結果、ヒトM2に結合性を示すアミノ酸配列として、下記に示す配列番号1〜配列番号7で表される7種類のアミノ酸配列が得られた。
NAYTWYTPEVLS (配列番号1;12アミノ酸)
TSYLWHTPAEVP (配列番号2;12アミノ酸)
YHWHTPE (配列番号3; 7アミノ酸)
YTWHTPV (配列番号4; 7アミノ酸)
YHWHRPP (配列番号5; 7アミノ酸)
HSTQNTFFWHTP (配列番号6;12アミノ酸)
SHSEFFWRTPLP (配列番号7;12アミノ酸)
これらの配列の中で相同性の高い上記下線部の各配列に関して、BLAST(Basic local alignment search tool)による相同性検索を実施したところ、70%以上の相同性を有する配列として、公知タンパク質のアミノ酸配列から下記の相同配列が得られた。なお、相同配列中の下線部は、不一致のアミノ酸を示す。また、スペースの下線部「 」は、N末端又はC末端の配列であるため、該当するアミノ酸が存在しないことを意味する。
[1] YTWYTP(配列番号8;配列番号1の第3〜8番)
83% YWYTP トマト(Lycopersicon esculentum)アルデヒドオキシダーゼ[配列番号15]
83% YTWYT シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)CKI1(CYTOKININ-INDEPENDENT 1)[配列番号16]
[2] YLWHTP(配列番号9;配列番号2の第3〜8番)
83% YLWHP シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)エクソストシンファミリータンパク質(exostosin family protein)[配列番号17]
83% YLWHT イネ(Oryza sativa)発現タンパク質(expressed protein)[配列番号18]
[3] YHWHTP配列番号10;配列番号3の第1〜6番)
83% HWHTP ニコチアナ(Nicotiana langsdorffii)ネクタリンIII(nectarin III)等[配列番号19]
83% YHHTP イネ(Oryza sativa)ホメオドメイン転写因子(homeodomain transcription factor)等[配列番号20]
《実施例2:12AAペプチド(配列番号1)のアゴニスト活性の確認》
実施例1で得られた7種類のアミノ酸配列の内、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド(以下、12AAペプチドと称する)を合成し、M2に対するアゴニスト活性を確認した。
前記アゴニスト活性は、表1に示す反応条件下で、ユーロピウム標識GTP(GTP−Eu)のM2−Gi1a融合ポリペプチドへの取り込み量を、時間分解蛍光測定法で測定することにより評価した。なお、12AAペプチドの濃度は、4段階(1nmol/L、100nmol/L、10μmol/L、1mmol/L)で実施した。
[表1]
10mmol/L MgCl
10μmol/L GDP
1000μg/mL サポニン
50mmol/L HEPES
M2−Gi1a融合ポリペプチド含有Sf9細胞膜
所定濃度(4段階) 12AAペプチド
100nmol/L GTP−Eu
総容量 110μL/ウェル
結果を図1に示す。図1の縦軸は、蛍光強度(単位:カウント)である。
図1から明らかなとおり、12AAペプチドの濃度の増加に伴って、M2−Gi1a融合ポリペプチドへのGTP−Euの取り込み量が増加しており、12AAペプチドがM2に対するアゴニスト活性を有することが確認された。
《実施例3:6AAペプチド(配列番号1の第3〜8番)のアゴニスト活性の確認》
本実施例では、配列番号1における第3〜8番のアミノ酸からなる配列のペプチド(以下、6AAペプチドと称する)を合成し、M2に対するアゴニスト活性を確認した。
本実施例は、ペプチド呈示ファージの代わりに前記合成ペプチドを用いること以外は、特開2005−325055号公報の実施例3に記載の活性測定方法に準じて実施した。具体的には、表2に示す反応条件下で、30℃にて30分間反応させた後、[35S]GTPγSのM2−Gi1a融合ポリペプチドへの取り込み量を測定することにより評価した。なお、カルバコールはムスカリンレセプターの公知アゴニストであり、6AAペプチドの濃度は、8段階(10−2〜10−9mol/L)で実施した。
[表2]
20mmol/L HEPES緩衝液(pH7.0)
1mmol/L EDTA
160mmol/L NaCl
1mmol/L ジチオスレイトール(DTT)
10mmol/L MgCl
1μmol/L GDP
1mmol/L カルバコール
0.2mg/mL M2−Gi1a融合ポリペプチド含有Sf9細胞膜
所定濃度(8段階) 6AAペプチド
100pmol/L [ 35 S]GTPγS
総容量 100μL
結果を図2に示す。
図2から明らかなとおり、6AAペプチドの濃度の増加に伴って、M2−Gi1a融合ポリペプチドへの[35S]GTPγSの取り込み量が増加しており、6AAペプチドがM2に対するアゴニスト活性を有することが確認された。
本発明のムスカリンレセプター活性化剤は、例えば、緑内障、シェーグレン症候群等の治療に適用することができる。
配列表の配列番号1〜14、21〜23の配列で表される各アミノ酸配列は、M2結合ペプチドである。
配列表の配列番号21の配列で表されるアミノ酸配列において、1番目のアミノ酸「Xaa」はW,Rであり、2番目のアミノ酸「Xaa」はY,H,Rであり、3番目のアミノ酸「Xaa」はT,R,Iである。
配列表の配列番号22の配列で表されるアミノ酸配列において、1番目のアミノ酸「Xaa」はT,L,H,F,Sであり、2番目のアミノ酸「Xaa」はW,Rであり、3番目のアミノ酸「Xaa」はY,H,Rであり、4番目のアミノ酸「Xaa」はT,R,Iである。
配列表の配列番号23の配列で表されるアミノ酸配列において、1番目のアミノ酸「Xaa」はY,Fであり、2番目のアミノ酸「Xaa」はT,L,H,F,Sであり、3番目のアミノ酸「Xaa」はW,Rであり、4番目のアミノ酸「Xaa」はY,H,Rであり、5番目のアミノ酸「Xaa」はT,R,Iである。
12AAペプチド(配列番号1)の濃度を変化させた場合の、M2−Gi1a融合ポリペプチドへのGTP−Euの取り込み量の変化を示すグラフである。 公知アゴニスト(カルバコール)存在下において、6AAペプチド(配列番号1の第3〜8番)の濃度を変化させた場合の、M2−Gi1a融合ポリペプチドへの[35S]GTPγSの取り込み量の変化を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 配列番号1、8、又は15で表されるアミノ酸配列を含み、且つ、ムスカリンレセプター活性化作用を示すペプチド、又はその誘導体(但し、ムスカリンレセプター活性化作用を示し、且つ、ペプチドの安定性を向上させる修飾を施した誘導体であって、前記修飾が、L体アミノ酸のD体化、N末アミノ基のアセチル化、C末端カルボキシル基のアミド化、天然型アミノ酸から、性質の類似した非天然型アミノ酸への置換、又はこれらの組合せである、前記誘導体に限る)であり、前記ペプチドを構成するアミノ酸残基数の上限が30個である、ムスカリンレセプター活性化剤。
  2. 配列番号1、8、又は15で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、又はその誘導体(但し、ムスカリンレセプター活性化作用を示し、且つ、ペプチドの安定性を向上させる修飾を施した誘導体であって、前記修飾が、L体アミノ酸のD体化、N末アミノ基のアセチル化、C末端カルボキシル基のアミド化、天然型アミノ酸から、性質の類似した非天然型アミノ酸への置換、又はこれらの組合せである、前記誘導体に限る)。
  3. 請求項2に記載のペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  4. 請求項3に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
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