以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の一実施形態に係る水栓装置2の斜視図であり、図2は水栓装置2の側面図である。水栓装置2は、流し台(図示されず)に取り付けられている。図1及び図2では、視認されない部分、すなわち、流し台の内部にある部分の記載は省略されている。なお、水栓装置2の設置場所として、流し台の他、洗面台及び浴室が例示される。
図示しないが、水栓装置2を有する水栓器具は、湯導入管及び水導入管を有する。湯導入管は、例えば、給湯器から延びる配管に接続される。水導入管は、例えば、給湯器を経ることなく、上水道の配管に接続される。
水栓装置2は、本体部4、レバーハンドル6及び吐出部8を有する。水栓装置2は、いわゆるシングルレバー式水栓である。レバーハンドル6の左右回動により吐水の温度が調節されうる。レバーハンドル6の上下回動により吐水量が調節されうる。本体部4の内部には、温度調節及び吐水量の調節を可能とする弁機構が内蔵されている。この弁機構は公知である。
水栓装置2では、吐出部8が本体部4に固定されているが、他の形態も可能である。例えば、吐出部8が本体部4に対して着脱可能なシャワーヘッドであってもよい。
図示されないが、上記湯導入管には、加熱された湯が導入される。加熱は、給湯器によりなされる。上記水導入管には、加熱されていない水が導入される。上記弁機構により、湯と水との混合比率が調整される。この混合比率により、吐水の温度調節が達成される。なお以下では、加熱された湯、加熱されていない水及びこれらの混合液体が、単に「水」とも称される。
吐出部8は、導水部10、切替部12、ボタン部材14、水形調整部16及び吐出口18を有する。本実施形態では、ボタン部材14は、押しボタンである。
吐出部8は、2つの流路を有している。これら2つの流路の区別を明確とする観点から、本願では、流路A及び流路Bとの称呼が用いられる。水栓装置2では、流路Aは原水流路であり、流路Bは浄水流路である。ただし、各流路の役割は限定されない。例えば、流路Aは浄水流路であり、流路Bは原水流路であってもよい。また、例えば、2つの流路により温水と冷水とが切り替えられても良い。また、吐出部8は、3つ以上の流路を有していても良い。
吐水の区別を明確とする観点から、本願では、吐水Wa及び吐水Wbとの称呼が用いられる。吐水Waは、流路Aからの水である。吐水Wbは、流路Bからの水である。水栓装置2では、吐水Waは原水であり、吐水Wbは浄水である。
吐出部8は、カバー部20とカバー保持部23と切替機構とを有している。切替機構の詳細については、後述される。なお、カバー部20は、カバー保持部23と一体であってもよい。カバー部20は、吐出部8の他の部分と一体であってもよい。
図3は、ボタン部材14、カバー部20等の斜視図である。ボタン部材14は、押圧面22と側面部24とを有している。押圧面22は平面である。押圧面22は円形である。押圧面22の形状は限定されない。カバー部20は、側面部24の少なくとも一部を覆っている。カバー部20は、カバー保持部23に着脱可能に取り付けられている。なお、カバー保持部23は、第二のカバー部21(後述)と組み合わされている。
ボタン部材14は、切替ボタンとして機能する。流路を切り替える際には、押圧面22が押圧される。ボタン部材14を押圧するごとに、流路Aと流路Bとの間の切替がなされる。後述するように、上記切替機構は、オルタネイト動作方式の押しボタン機構を有している。この押しボタン機構により、ボタン部材14の押しボタン動作が実現されている。押圧操作するごとに、ボタン部材14は第1位置P1と第2位置P2とに相互移行する。
カバー部20に、ボタン部材14が挿入されている。カバー部20の内部で、ボタン部材14が移動しうる。カバー部20は、側面部24の少なくとも一部を覆っている。カバー部20は、円筒状である。カバー部20の内面形状は、側面部24の形状に対応している。側面部24とカバー部20との隙間は小さいため、水等の侵入が抑制されている。
カバー部20は、表示開口部wd1を有している。後述される断面図に示されるように、表示開口部wd1は貫通した開口である。この表示開口部wd1に、透明性部材T1が設置されている。透明性部材T1は、表示開口部wd1を塞いでいる。更に、透明性部材T1は、表示開口部wd1よりも前方に延びている。透明性部材T1及び表示開口部wd1についての詳細は後述される。
図3が示すように、ボタン部材14は、表示部h1を有する。表示部h1は側面部24の一部である。表示部h1は、第一外観部c1と第二外観部c2とを有する。第一外観部c1は、側面部24の一部である。第二外観部c2は、側面部24の一部である。第一外観部c1のX方向位置と、第二外観部c2のX方向位置とは相違する。第一外観部c1と第二外観部c2とは外観が相違する。第一外観部c1と第二外観部c2とは色が相違する。例えば、第一外観部c1が黒であり、第二外観部c2が青である。青は、使用者に、「浄水」のイメージを与えうる。
ボタン部材14が第一位置P1にあるとき、カバー部20は、第二外観部c2を覆っている。ボタン部材14が第一位置P1にあるとき、第二外観部c2は外部から視認されない。一方、ボタン部材14が第一位置P1にあるとき、カバー部20は、第一外観部c1を覆っていない。ボタン部材14が第一位置P1にあるとき、第一外観部c1は表示開口部wd1の内側に位置する。ボタン部材14が第一位置P1にあるとき、第一外観部c1は、透明性部材T1を通して、外部から視認される。これらの表示の詳細については、後述される。
ボタン部材14が第一位置P2にあるとき、カバー部20は、第一外観部c1を覆っている。ボタン部材14が第一位置P2にあるとき、第一外観部c1は外部から視認されない。一方、ボタン部材14が第一位置P2にあるとき、カバー部20は、第二外観部c2を覆っていない。ボタン部材14が第一位置P2にあるとき、第二外観部c2は表示開口部wd1の内側に位置する。ボタン部材14が第一位置P2にあるとき、第二外観部c2は、透明性部材T1を通して、外部から視認される。これらの表示の詳細については、後述される。
ボタン部材14の位置に関わらず、カバー部20又は透明性部材T1は、第一外観部c1及び第二外観部c2を覆っている。よって、使用者が第一外観部c1及び第二外観部c2に触れることがない。第一外観部c1及び第二外観部c2は、汚れにくい。
透明性部材T1の透明度は限定されない。例えば、透明性部材T1は半透明であってもよい。透明性部材T1は着色されていてもよい。
図4は、ボタン部材14近傍の正面図である。図5は、図4からカバー部20が除かれた図である。図6は、図5からボタン部材14が除かれた図である。
水形調整部16は、吐出される水の形状を変化させうる。水形調整部16は、調節レバー26を有する。調節レバー26を操作することで、水形が変化しうる。調節レバー26の操作により、シャワー水形、ストレート水形及びそれらの中間的な水形が選択されうる。
図7は、吐出部8の底面図である。図8は吐出部8の側面図である。図9は、図8からカバー部20、21が除かれた側面図である。図10は、図9からボタン部材14が除かれた側面図である。図11は、吐出部8の平面図である。図12は、吐出部8の横断面図である。図13は、吐出部8の分解斜視図である。図13では、水形調整部16の記載が省略されている。図14は、図13の一部が拡大された分解斜視図である。
図13及び図14が示すように、吐出部8は、ボタン部材14、カバー部20、第二のカバー部21、押しボタン機構34及びケース35を備えている。
押しボタン機構34は、第1切換こま36、第2切換こま38、切換リング40、切換軸42、コイルスプリング44、切換カバー46及びOリング48を有する。切換軸42は、プッシュロッド50と、ボタン保持部52とを有する。切換カバー46は、奥側底部56と、スリット58とを有する。切換リング40は、切換カバー46の手前側に固定されている。切換軸42は、スリット58にガイドされて所定方向に出退移動する。この出退移動の方向が、本願において方向Xとも称される。第2切換こま38は、切換軸42とともに出退移動する。ボタン部材14の押圧操作に連動して、第2切換こま38及び切換軸42が方向Xに出退移動(往復移動)する。コイルスプリング44には、プッシュロッド50が挿通されている。コイルスプリング44は、切換カバー46の奥側底部56と切換軸42の基部との間に位置し、これらを互いに離間する方向に付勢している。第1切換こま36は、ボタンの押圧操作毎に回転し、異なる2つの位置での保持を可能とする。押しボタン機構34は、オルタネイト動作を実現する。
本願では、「前方」及び「後方」との文言が用いられる。「前方」及び「後方」は、上記方向Xに沿った方向である。「後方」とは、上記方向Xにおいて奥側に向かう方向である。よって上記実施形態では、押圧面22に垂直な押圧力は後方に向かっている。前方とは、後方とは逆の方向である。本実施形態において、前後方向は、水平ではない。
この押しボタン機構34には、スラストロック機構が用いられている。このスラストロック機構は、ボタン機構として広く用いられている。スラストロック機構は、例えば、ボールペンにも採用されており、ボールペンの芯の出し入れを可能としている。特許第3454756号でも、このスラストロック機構が採用されている。本実施形態の押しボタン機構34は、特許第3454756号に記載されている機構と同様である。
一般に、いわゆるオルタネイト動作方式の押しボタン機構として、ハート状カム機構、回転カム機構、ラチェットカム機構等が知られている。これらの機構はいずれも公知である。押しボタン機構34として、これらの機構のいずれかが採用されうる。オルタネイト動作方式を可能とするあらゆるボタン機構が採用されうる。
押しボタン機構34のオルタネイト動作は、次の通りである。第一位置P1にあるボタン部材14を押圧操作すると、ボタン部材14は第二位置P2に移動する。押圧力を再度加えない限り、位置P2が維持される。次に、位置P2にあるボタン部材14を押圧操作すると、ボタン部材14は位置P1に戻る。押圧力を再度加えない限り、位置P1が維持される。押圧操作ごとに、位置P1と位置P2とが切り替えられる。位置P1と位置P2とは、上記方向Xにおける位置が相違する。
本実施形態では、位置P1は突出位置とも称される。この突出位置では、ボタン部材14が、位置P2よりも前方に位置する。本実施形態では、位置P2は退行位置とも称される。この退行位置では、ボタン部材14が、位置P1よりも後方に位置する。図1、図7、図8、図11及び図12は、第一位置P1にあるボタン部材14を示している。一方、図2は、第二位置P2にあるボタン部材14を示している。
図13が示すように、導水部10は、外カバー60と、内筒62とを有する。内筒62は導水口64とジョイント部66とを有する。ジョイント部66はケース35と水密に接合されている。
図12に示されるように、導水部10は、浄水部68を有する。本実施形態の浄水部68は、交換可能な浄水カートリッジである。この浄水カートリッジ68は、浄水流路70Bと、水質浄化部72と、上流側及び下流側の端部にそれぞれ配置されたキャップ74とを有する。水質浄化部72は、水質浄化材72aと外側ろ過層72bと内側ろ過層72cとを有する。水質浄化材72aは、活性炭を主成分とする。外側ろ過層72b及び内側ろ過層72cには、例えば不織布が用いられる。外側ろ過層72b及び/又は内側ろ過層72cに、滅菌作用を有するセラミックが採用されてもよい。外側ろ過層72b及び/又は内側ろ過層72cに、イオン交換体が採用されてもよい。外側ろ過層72bは複数層であってもよい。内側ろ過層72cは複数層であってもよい。浄水流路70Bは、流路Bの一例である。なお図13では、浄水カートリッジ68の記載が省略されている。
浄水カートリッジ68の外側には、原水流路76Aが形成されている。原水流路76Aは、流路Aの一例である。
原水吐出状態にあるとき、原水流路76Aを通過した原水が、切替機構を経由して、吐出口18から排出される。一方、浄水吐出状態にあるとき、浄水流路70Bを通過した浄水はフィルター78を透過して切替機構に至り、この切替機構を経由して吐出口18から排出される。
浄水吐出状態にあるとき、導水口64から導入された原水は、水質浄化部72を透過して浄水流路70Bに至り、浄水となる。より詳細には、原水は、外側ろ過層72b、水質浄化材72a及び内側ろ過層72cを透過して、浄水流路70Bに至る。
浄水吐出状態において、外側ろ過層72bに異物等が付着する。しかしこの異物等は、原水吐出状態において原水とともに排出されうる。よって、浄水カートリッジ68の目詰まりが抑制され、浄水カートリッジ68の浄水性能が長期間維持される。
図15から17は、吐出部8の切替機構100近傍の断面図である。図15は、ボタン部材14が第1位置P1にあるときの断面図である。図16は、ボタン部材14が第2位置P2にあるときの断面図である。図17は、ボタン部材14が第3位置P3にあるときの断面図である。上述の通り、押しボタン機構34によって、ボタン部材14は、押圧操作ごとに、第1位置P1と第2位置P2とに交互に切り替わる。第3位置P3は、第2位置P2よりも後方である。第3位置P3は、ボタン部材14が最も押し込まれた位置であり、操作中にのみ生じうる。第1位置P1と第2位置P2との相互移行において、第3位置P3が経由される。ただし、押しボタン機構34により保持される位置は、第1位置P1及び第2位置P2のみである。
ボタン部材14は、ボタン本体14aと、第一部材14bと、第二部材14cとを有する。第一部材14bは環状の部材である。第二部材14cは環状の部材である。ボタン本体14aは、押圧面22を構成している。第一部材14b及び第二部材14cは、側面部24の一部を構成している。第一部材14bは、第一外観部c1を形成している。第二部材14cは、第二外観部c2を形成している。
本実施形態では、第一部材14bは、ボタン本体14aとはそれぞれ別個に成形されている。本実施形態では、第二部材14cは、ボタン本体14aとはそれぞれ別個に成形されている。
本実施形態では、第二部材14cは第一部材14bとはそれぞれ別個に成形されている。第一外観部c1と第二外観部c2とが別体とされることで、両者の材質の色を相違させることができる。よって、ボタン部材14の往復移動によって表示部h1の表面が摩耗しても、色の相違が維持される。よって、外観の相違が長期間維持されうる。
なお、第一部材14bとボタン本体14aとが一体成形されていてもよい。第二部材14cとボタン本体14aとが一体成形されていてもよい。第二部材14cと第一部材14bとが一体成形されていてもよい。
第一外観部c1は、ボタン部材14のあらゆる可動位置において、外部に露出しない。
第二外観部c2は、ボタン部材14のあらゆる可動位置において、外部に露出しない。押圧操作において、第一外観部c1及び第二外観部c2が触れられることはない。よって、外観部c1、c2への汚れの付着が防止されている。
吐出部8は、流路Aからの吐水Waと流路Bからの吐水Wbとを切り替えうる切替機構100を有する。切替機構100による吐水の切り替えは、択一的である。切替機構100は、上述したボタン部材14と、第一バルブ101、第二バルブ102及び第三バルブ103を有する。3つのバルブの開閉によって、吐水が切り替えられる。バルブは、2つ以下であってもよい。吐水の多様性の観点から、バルブの数は3以上が好ましい。小型化及びコストも考慮すると、バルブの数は2又は3が好ましく、3が最も好ましい。
本実施形態において、第一バルブ101は、弁座101aと第一弁体101bとを有する(図14参照)。第一バルブ101は、ボール弁である。第一弁体101bは、ボールである。弁座101aは、環状の部材である。弁座101aは、貫通孔h1を有する(図15参照)。弁座101aは、弾性材よりなる。弁座101aは、弁座装着部106の貫通孔108に装着されている。ボール101bは、ボール保持体101cに保持されている。ボール保持体101cは、下方に開放されている。ボール保持体101cの上部と第一弁体101bとの間に弾性体101dが配置されている。この弾性体101dはコイルスプリングである。弾性体101dによって、第一弁体101bは常に弁座101a側に付勢されている。ケース35の内部には、ボール保持体101cの方向Xにおける移動を許容する空間が確保されている。
プッシュロッド50の後方には、接続部50jが設けられている。この接続部50jは、ボール保持体101cの前方接続部j1(図12及び図14参照)に接続されている。よって、ボール保持体101cは、プッシュロッド50に連動して、方向Xに移動する。すなわち、ボール保持体101cは、ボタン部材14に連動して方向Xに移動する。ボール保持体101cの移動とともに、第一弁体101b(ボール)も方向Xに移動する。
ボタン部材14が第2位置P2にあるとき、ボール101bの中心が、弁座101aの貫通孔h1の中心軸上に位置する。このため、ボール101bは、弾性体101dの付勢力及び重力によって、方向Y(図16)に移動し、貫通孔h1にはまり込む(図16参照)。なお貫通孔h1の内径は、ボール101bの直径よりも小さい。このはまり込みによって、貫通孔h1がボール101bによって塞がれ、第一バルブ101が閉じられる。一方、ボタン部材14が第1位置P1にあるとき、ボール101bの中心が、貫通孔h1の中心軸からズレている。このため、ボール101bは、貫通孔h1にはまり込むことができない。よって貫通孔h1が閉塞されない。このように、ボタン部材14が第1位置P1にあるとき、第一バルブ101は開いている(図15参照)。方向Yは、方向Xに対して直角である。なお、弾性体101dを用いることなく、重力のみによってボール101bが貫通孔h1を塞ぐ構成が採用されてもよい。
ケース35は、第二弁体用弁孔h2と第三弁体用弁孔h3とを有している。ケース35の内部において、軸部材110は、中心線Z1に沿って移動する。この軸部材110の移動により、第二バルブ102が開閉する。同時に、軸部材110の移動により、第三バルブ103が開閉する。第二バルブ102が閉じているとき、第三バルブ103は開いている。
ボタン部材14が第3位置P3にあるとき、第一バルブ101は開いており、第二バルブ102も開いており、第三バルブ103は閉じている。ボタン部材14が第2位置P2から第3位置P3までのいずれの位置にあっても、第三バルブ103は閉じている。よって、浄水(吐水Wb)の無駄な排出が防止される効果(効果A)が生じうる。通常の押圧操作では、ボタン部材14が第3位置P3にある時間は短時間である。ただし、ボタン部材14の押圧操作の度に第3位置P3が生じることを考慮すると、上記効果Aには意義がある。また、ボタン部材14が第2位置P2から第3位置P3までのいずれの位置にあっても、第三バルブ103は閉じているので、浄水と原水との混合が抑制される。
切替機構100は、軸部材110を有している。図14が示すように、軸部材110は、第二弁体装着部110a、斜面部110b、細径部110c、第三弁体装着部110d、後端部110e及び接続部110jを有する。
軸部材110は、第2切換こま38と同軸で配置されている。軸部材110は、プッシュロッド50と同軸で配置されている。接続部110jは、ボール保持体101cの後方接続部j2(図12及び図14参照)に接続されている。よって軸部材110は、ボール保持体101cと連動して方向Xに移動する。軸部材110は、ボタン部材14に連動して方向Xに移動しうる。
切替機構100は、第二弁体112を有している。図14が示すように、本実施形態において、第二弁体112は、Oリングである。この第二弁体112が、第二弁体装着部110aに嵌め込まれている。第二弁体装着部110aは周溝を形成しており、この周溝に第二弁体112が嵌め込まれている。
切替機構100は、第三弁体113を有している。図14が示すように、本実施形態において、第三弁体113は、Uパッキンである。この第三弁体113が、第三弁体装着部110dに嵌め込まれている。第三弁体装着部110dは周溝を形成しており、この周溝に第三弁体113が嵌め込まれている。
図15が示すように、第二弁体用弁孔h2は、第二弁体112と当接しうる当接面h21を有する。この当接面h21は斜面である。この当接面h21は円錐凹面である。軸部材110の後端部110eは、この第二弁体用弁孔h2を通過することはできない。よってこの第二バルブ102は、軸部材110が所定位置以上に前方に移動することを防止する抜け止め効果を奏している。各バルブ101、102及び103は、この軸部材110に連動して開閉する。上記抜け止め効果は、各バルブの安定的な作動に寄与している。
図15が示すように、ケース35は、第三弁体用弁孔h3を有する。この第三弁体用弁孔h3は、第三弁体113と当接しうる当接面h31を有する。第三弁体用弁孔h3は、断面が円形で且つ内径が一定の貫通孔である。第三弁体用弁孔h3は、軸部材110と同軸である。
図15が示すように、ボタン部材14が第1位置P1(突出位置)にあるとき、第二弁体112が当接面h21に当接する。この当接により、第二バルブ102が閉じられる。一方、ボタン部材14が第1位置P1にあるとき、第三弁体113は当接面h31に当接せず、水は第三弁体用弁孔h3を流通しうる。すなわち、ボタン部材14が第1位置P1にあるとき、第三バルブ103は開いている。
図16が示すように、ボタン部材14が第2位置P2(退行位置)にあるとき、第三弁体113が当接面h31に当接する。この当接により、第三バルブ103が閉じられる。一方、ボタン部材14が第2位置P2にあるとき、第二弁体112は当接面h21に当接せず、水は第二弁体用弁孔h2を流通しうる。すなわち、ボタン部材14が第2位置P2にあるとき、第二バルブ102は開いている。
本実施形態では、複数のバルブはそれぞれ異なるタイプである。第一バルブ101は、ボール弁である。第二バルブ102は、円錐凹面である斜面と、円錐凸面に取り付けられた環状パッキン(Oリング)との組み合わせである。第三バルブ103は、貫通孔の内面と、この貫通孔の内面に当接するように縮径しうるパッキン(Uパッキン)との組み合わせである。
本実施形態では、第一バルブ101がボタン部材14の後方に位置している。また、第二バルブ102は第一バルブ101の後方に位置している。この縦列的な配置により、操作力の向きを変換する機構が不要とされる。また、操作力が円滑に伝達される。よって、信頼性の高い切替機構100が実現されている。また、この縦列的な配置により、切替部12を小型化(スリム化)することができる。よって、切替部12の設計自由度が高まる。水栓装置2は、機能性及びデザイン性に優れる。
第三バルブ103は第一バルブ101の後方に位置している。第三バルブ103は第二バルブ102の前方に位置している。第三バルブ103は、第一バルブ101と第二バルブ102との間に位置している。この縦列的な配置により、操作力の向きを変換する機構が不要とされる。また、操作力が円滑に伝達される。更に、各バルブ同士が安定的に連動しうる。よって、信頼性の高い切替機構100が実現されている。また、この縦列的な配置により、切替部12を小型化(スリム化)することができる。
本実施形態では、第一弁体101bがボタン部材14の後方に位置している。また、第二弁体112は第一弁体101bの後方に位置している。この縦列的な配置により、操作力の向きを変換する機構が不要とされる。また、操作力が円滑に伝達される。更に、各弁体同士が安定的に連動しうる。よって、信頼性の高い切替機構100が実現されている。また、この縦列的な配置により、切替部12を小型化(スリム化)することができる。
第三弁体113は第一弁体101bの後方に位置している。第三弁体113は第二弁体112の前方に位置している。第三弁体113は、第一弁体101bと第二弁体112との間に位置している。この縦列的な配置により、操作力の向きを変換する機構が不要とされる。また、操作力が円滑に伝達される。更に、各弁体同士が安定的に連動しうる。よって、信頼性の高い切替機構100が実現されている。また、この縦列的な配置により、切替部12を小型化(スリム化)することができる。
吐出部8では、ボタン部材14と、プッシュロッド50と、第一弁体101bと、軸部材110とが直列で並んでいる。この直列方向は、上記方向Xに対して平行である。そしてこの軸部材110に、第二弁体112及び第三弁体113が装着されている。よって、押圧力の伝達が円滑であり、これらの部材の連動が確実に達成される。
上述の通り、押しボタン機構34は、プッシュロッド50を有している。ボタン部材14の後方にプッシュロッド50が位置する。プッシュロッド50の後方に第一弁体101bが位置する。第一弁体101bの後方に軸部材110が位置する。よって、ボタン部材14の押圧力がプッシュロッド50を介して第一弁体101b及び軸部材110に円滑に伝達される。操作力の向きを変換する機構は不要とされている。
切替機構100では、ボタン部材14の後方に第一バルブ101が位置する。第一バルブ101の後方に第三バルブ103が位置する。第三バルブ103の後方に第二バルブ102が位置する。この縦列的な配列により、吐出部8の小型化及びスリム化が達成されうる。また、この縦列的な配列により、ボタン部材14への押圧力が、第一バルブ101、第二バルブ102及び第三バルブ103に円滑に伝達される。よって、各バルブの開閉動作は安定している。
軸部材110の中心線Z1は、方向Xに平行である。プッシュロッド50の中心線は、方向Xに平行である。更に、ボタン部材14の後方にプッシュロッド50が位置し、プッシュロッド50の後方に軸部材110が位置する。よって、方向Xに付与された押圧力が効率良く各バルブに伝達されうる。また、操作力の向きを変換する機構が不要とされうる。
軸部材110の中心線Z1は、プッシュロッド50の中心線に一致している。また、軸部材110の中心線Z1は、ボタン部材14の中心線に一致している。ボタン部材14とプッシュロッド50とは同軸である。更に、ボタン部材14と軸部材110とは同軸である。よって、ボタン部材14に付与された操作力は、効率的且つ円滑に、プッシュロッド50及び軸部材110に伝達される。
プッシュロッド50、コイルスプリング44及び軸部材110は同軸で配置されている。そして、軸部材110と第二弁体112とは同軸である。更に、軸部材110と第三弁体113とは同軸である。また、第一バルブ101が閉じた状態を除き、第一弁体101b(ボール)も、軸部材110等と同軸で配置されている。よって、操作力の伝達が円滑になされうる。また、単純な機構で信頼性の高い切替機構100が実現されている。
上述の通り、ボタン部材14の位置によって各バルブの開閉状態が相違する。この開閉状態として、本願では、開閉状態V1及び開閉状態V2が定義される。
本願において、第一バルブ101が開いており且つ第二バルブ102が閉じている状態が、開閉状態V1と称される。図15は、開閉状態V1を示している。この開閉状態V1では、原水(吐水Wa)が吐出口18から排出される。このように、ボタン部材14が位置P1にあるとき、切替機構100が開閉状態V1にあり、この開閉状態V1では原水が吐出口18から排出される。このように、開閉状態V1は原水吐出状態である。この原水吐出状態は、第一の吐出状態の一例である。
図15において一点鎖線の矢印で示されるのは、原水(吐水Wa)の流路である。前述した原水流路76Aからの原水は、第一バルブ101(貫通孔h1)を通過して、吐出口18に至る。原水流路76Aから第一バルブ101を通過して吐出口18に至る流路は、本願における流路Aの一例である。
図15が示すように、流路Aは、第三バルブ103を通過する分岐流路A1を有する。分岐流路A1を通った水は、第一バルブ101を通過した水と合流して、吐出口18から排出される。本実施形態では、分岐流路A1は原水流路である。
一方、本願において、第一バルブ101が閉じており且つ第二バルブ102が開いている状態が、開閉状態V2と称される。図16は、開閉状態V2を示している。この開閉状態V2では、浄水(吐水Wb)が吐出口18から排出される。このように、ボタン部材14が位置P2にあるとき、切替機構100が開閉状態V2にあり、この開閉状態V2では浄水が吐出口18から排出される。このように、開閉状態V2は浄水吐出状態である。この浄水吐出状態は、第二の吐出状態の一例である。
図16において細実線の矢印で示されるのは、浄水(吐水Wb)の流路である。前述した浄水流路70Bからの浄水は、第二バルブ102(第二弁体用弁孔h2)を通過して、吐出口18に至る。浄水流路70Bから第二バルブ102を通過して吐出口18に至る流路は、本願における流路Bの一例である。
なお、吐出部8は、流路Aと流路Bとが共通する共通流路Cを有する。共通流路Cは、図15において、符号120Cで示されている。共通流路Cは、切替機構100よりも下流側に位置する。この共通流路Cは、吐出部8の小型化に寄与する。
前述の通り、第三バルブ103が開くことにより、上記流路Aから分岐した分岐流路A1が形成される。本願では、第一バルブ101が開いており、第二バルブ102が閉じており且つ第三バルブ103が開いている状態が、開閉状態V10とも称される。ボタン部材14が第1位置P1にあるとき、切替機構100は開閉状態V10にある。この開閉状態V10では、原水(吐水Wa)が吐出口18から排出される。開閉状態V10は、開閉状態V1の一例である。開閉状態V10は、原水吐出状態であり、第一の吐出状態の一例である。
本願では、第一バルブ101が閉じており、第二バルブ102が開いており且つ第三バルブ103が閉じている状態が、開閉状態V20とも称される。ボタン部材14が第2位置P2にあるとき、切替機構100は開閉状態V20にある。この開閉状態V20では、浄水(吐水Wb)が吐出口18から排出される。開閉状態V20は、開閉状態V2の一例である。開閉状態V20は、浄水吐出状態であり、第二の吐出状態の一例である。
なお、第一の吐出状態又は第二の吐出状態が止水状態であってもよい。
以上より、切替機構100による切り替えの仕様は、次の通りである。
[第1位置P1:図15参照]
ボタン部材14が第1位置P1にあるときの仕様は次の(a1)から(j1)である。
(a1)流路Aが選択される。
(b1)原水(吐水Wa)が排出される。
(c1)切替機構100は開閉状態V1にある。
(d1)切替機構100は開閉状態V10にある。
(e1)第一バルブ101は開いている。
(f1)第二バルブ102は閉じている。
(g1)第三バルブ103は開いている。
(h1)ボタン部材14は突出位置にある。
(i1)分岐流路A1が形成される。
(j1)吐出状態は、第一の吐出状態である。
[第2位置P2:図16参照]
ボタン部材14が第2位置P2にあるときの仕様は次の(a2)から(i2)である。
(a2)流路Bが選択される。
(b2)浄水(吐水Wb)が排出される。
(c2)切替機構100は開閉状態V2にある。
(d2)切替機構100は開閉状態V20にある。
(e2)第一バルブ101は閉じている。
(f2)第二バルブ102は開いている。
(g2)第三バルブ103は閉じている。
(h2)ボタン部材14は退行位置にある。
(i2)吐出状態は、第二の吐出状態である。
本実施形態では、第一弁体101b(ボール)及び第二弁体112(Oリング)が、上記方向Xに対して平行な単一直線Lx上に位置している。すなわち、この単一直線Lxは、第一弁体101b及び第二弁体112を横断している。ここで、「弁体を横断している」とは、弁体内側の空間(Oリングの内側の空洞等)を通過する場合を含む。また単一直線Lxは任意に選択されうる。図16では、軸部材110の中心線Z1が単一直線Lxとして選択されている。しかし、この直線Lxは、方向Xと平行である限り、限定されない。単一直線Lxは、中心線Z1であってもよいし、中心線Z1以外の線であってもよい。操作力の伝達効率の観点から、好ましくは、単一直線Lxは中心線Z1とされる。
上述の通り、本実施形態では、第二弁体112が軸部材110に装着されている。そして、軸部材110の中心線Z1(図16参照)が、あらゆる可動位置における第一弁体101b(ボール)と、あらゆる可動位置におけるボタン部材14とを通過している。すなわち、可動範囲のどの位置にあっても、中心線Z1は、ボール101b及びボタン部材14を通過している。「通過」とは、交わる場合の他、内側の空間(環状体の内側等)を通る場合を含む。
上述の通り、本実施形態では、第二弁体112及び第三弁体113が共通の軸部材110に装着されている。本実施形態では、第二バルブ102が軸弁であり、第三バルブ103が軸弁である。なお軸弁とは、軸部材の移動により開閉する弁である。好ましい軸弁は、以下の要件(1)から(4)を満たす。
(1)弁体が軸部材に装着されている。
(2)この軸部材が孔に挿通されている。
(3)上記軸部材の移動によって上記弁体と上記孔の内面との離接が生じる。
(4)この離接により弁の開閉が達成される。
水栓装置2では、第一弁体101bと第二弁体112とが単一直線Lx上に位置しているため、切替部12を小型化することができる。更に水栓装置2では、軸部材110の中心線Z1が、あらゆる位置における第一弁体101bと、あらゆる位置におけるボタン部材14とに交わっている。この配置によって、ボタン部材14近傍及び切替部12が更に小型化されうる。
水栓装置2では、ボタン部材14、第一弁体101b及び第二弁体112が単一直線Lx上に位置している。また、この単一直線Lxはボタン部材14の移動方向に対して平行である。すなわちこの単一直線Lxは、押圧方向に対して平行である。よって、ボタン部材14に付与された操作力が、第一弁体101b及び第二弁体112に円滑に伝達される。ボタン部材14と第一弁体101bとの連動が円滑であり、ボタン部材14と第二弁体112との連動も円滑である。これらの連動機構は、操作力の向きを変換する機構を含まない。よって、単純な機構で、安定した連動が達成されうる。機構の単純化により、高い耐久性が達成され、操作性及び信頼性が高まる。
更に、第三弁体113も、上記単一直線Lx上に位置している。よって、ボタン部材14に付与された操作力は、第三弁体113にも円滑に伝達される。よって、3つの弁を有する切替機構100では、機構の単純化が達成され、耐久性、操作性及び信頼性に優れる。
コイルスプリング44は、単一直線Lx上に位置している。すなわち単一直線Lxは、コイルスプリング44又はその内部を通過している。更にコイルスプリング44は、軸線Z1と同軸である。また、コイルスプリング44の伸縮方向は、方向Xに一致している。よって操作力が効率良くコイルスプリング44に伝達され、伝達ロスが少ない。押しボタン機構34の動作は安定的である。
第二弁体112と第三弁体113とが共通の軸部材110に配置されている。よって、2箇所の弁をコンパクトに形成することができる。また、共通の軸部材110が用いられているため、第二弁体112の移動と第三弁体113の移動との連動は確実である。よって第二バルブ102の開閉と第三バルブ103との開閉とは確実に連動する。このため、信頼性の高い切替機構100が実現しうる。更に、2箇所の弁体を共通の軸部材110に装着することで、部品点数が減少し、組み立ての効率が高まり、生産性が向上する。
上述の通り、第1位置P1では、吐水Waが、2つのバルブ(第一バルブ101及び第三バルブ103)を通過している。また、第1位置P1では、分岐流路A1が形成される。このため、装置を大型化することなく、吐水Waの流量を大きくすることができる。上記実施形態の如く吐水Waが原水とされた場合、原水の流量を大きくすることができる。よって例えば、原水が用いられる用途(食器洗い等の洗浄用途など)において、十分な流量が確保されうる。本実施形態では、吐水Waの流量が吐水Wbの流量よりも大きくされうる。よって、吐水の多様性が高まり、利便性に優れた水栓装置2が実現されうる。
切換軸42の材質として、樹脂が好ましい。好ましい樹脂として、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)が例示される。耐熱性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)及びポリフェニレンサルファイド(PPS)がより好ましい。また、第一弁体101b(ボール)等の位置精度を高める観点から、切換軸42は高弾性であるのが好ましい。この観点から、切換軸42の材質として、ポリオキシメチレン(POM)がより好ましい。上記実施形態では、ポリオキシメチレン(POM)が用いられた。
ボール(第一弁体101b)の材質として、ステンレス鋼、ポリカーボネート樹脂(PC)及び真鍮が例示される。第一バルブ101を確実に閉じるためには、ボールの重量が大きいほうがよい。この観点から、ステンレス鋼又は真鍮が好ましく、耐食性をも考慮すると、ステンレス鋼がより好ましい。
上記Uパッキンとは、断面が略U字形の部分を有するリップパッキンである。Uパッキンは、シール性が良く、摺動抵抗が少ない。上記Uパッキンの材質として、ゴム及びエラストマーが例示される。このゴムとして、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、フッ素ゴム及びシリコンゴムが例示される。コスト及び耐塩素性の観点、及び、圧縮永久歪みが小さいとの観点から、EPDM及びフッ素ゴムが好ましく、特にコストを考慮するとEPDMがより好ましい。
上記Oリングの材質として、ゴム及びエラストマーが例示される。好ましいゴムとして、NBR、EPDM、フッ素ゴム及びシリコンゴムが例示される。コスト及び耐塩素性の観点、及び、圧縮永久歪みが小さいとの観点から、EPDM及びフッ素ゴムがより好ましく、特にコストを考慮するとEPDMが更に好ましい。
図18(a)及び図18(b)は、ボタン部材14とカバー部20との位置関係を示す断面図である。図18(a)では、ボタン部材14は第一位置P1にある。図18(b)では、ボタン部材14は第二位置P2にある。なお本願では、透明性部材の断面が破線のハッチングで示されている。
図18(a)が示すように、ボタン部材14が第一位置P1にあるとき、第一外観部c1は、表示開口部wd1から視認できる位置にある。ボタン部材14が第一位置P1にあるとき、第二外観部c2は、表示開口部wd1から視認できない位置にある。ボタン部材14が第一位置P1にあるとき、第一外観部c1が、透明性部材T1を通して、外部から視認される。
図18(b)が示すように、ボタン部材14が第二位置P2にあるとき、第二外観部c2は、表示開口部wd1から視認できる位置にある。ボタン部材14が第二位置P2にあるとき、第一外観部c1は、表示開口部wd1から視認できない位置にある。ボタン部材14が第二位置P2にあるとき、第二外観部c2が、透明性部材T1を通して、外部から視認される。
第一外観部c1は、第一の色を呈している。第二外観部c2は、第二の色を呈している。第一外観部c1と第二外観部c2とで、色が相違する。よって、ボタン部材14が第一位置P1にあるか第二位置P2にあるかで、視認される表示部h1の色が相違する。この色の相違により、第一の吐出状態か第二の吐出状態かが識別される。色の相違の程度は、人間が視覚によって区別できる程度であればよい。
識別性の観点から、第一外観部c1又は第二外観部c2の少なくともいずれかが、発光体を含んでいても良い。この発光体の一例として、LED(発光ダイオード)が例示される。ただし、発光体を用いた場合、装置の大型化及びコストの上昇が懸念される。この観点から、発光体は用いられないのが好ましい。
なお、カバー部20又はボタン部材14が、表示部h1からの光(反射光)を増加させうる採光窓を有していても良い。この場合、採光窓からの入射光が表示部h1に当たるように構成されるのが好ましい。この採光窓に、透明性部材T1と同じ材質の部材が設けられても良い。
上記第一の色と上記第二の色との相違は、例えば、以下の構成1から3によって実現されうる。なお、上記実施形態では、下記構成3が採用されている。この構成3では、表面の摩耗による色落ちが生じない。
(構成1)表面処理の色の相違
(構成2)表面処理の有無
(構成3)材質の色の相違
上記表面処理として、ペイント、蒸着及びメッキが例示される。
図18(b)の拡大部が示すように、表示開口部wd1は、第一対向面F1を有する。一方、透明性部材T1は、第二対向面F2を有する。第一対向面F1と第二対向面F2とは互いに対向している。本実施形態では、第一対向面F1及び第二対向面F2は平面である。第一対向面F1及び/又は第二対向面F2は曲面であってもよい。本実施形態では、第一対向面F1は第二対向面F2に接触している。第一対向面F1と第二対向面F2との間に他の層があってもよい。この他の層として接着剤層及び鏡面形成層が例示される。第一対向面F1と第二対向面F2との間に隙間があってもよい。
第一対向面F1は、全体として環状に延在している。第二対向面F2は、全体として環状に延在している。
第一対向面F1の延在方向は、ボタン部材14の半径方向である。第一対向面F1の延在方向は、上記方向Yである。第二対向面F2の延在方向は、ボタン部材14の半径方向である。第二対向面F2の延在方向は、上記方向Yである。
図19は、透明性部材T1の断面図である。透明性部材T1は、上記方向Yに延びる第一透明部s1と、この第一透明部s1に繋がって上記方向X前方に延びる第二透明部s2とを有している。表示部h1からの光は、第一透明部s1を経由して第二透明部s2へと進行しうる。
第二透明部s2の存在により、透明性部材T1のX方向幅Wt(図19参照)が拡張されている。X方向幅Wtの拡張により、透明性部材T1の露出面積が拡大されている。よって、表示部h1の視認性が高められている。
第二透明部s2は、前面F5を有する(図19参照)。前面F5は、透明性部材T1の前面でもある。この前面F5は外部に露出している。表示部h1からの光は、第一透明部s1を経由して、第二透明部s2の前面F5に到達しうる。よって、前方からの表示部h1の視認性が高められている。前面F5は、X方向外方に行くほどY方向後方となるように傾斜した傾斜面F51を有している。この傾斜面F51により、前面F5の表面積が拡大されている。この拡大により、前方からの表示部h1の視認性が更に高められている。
第一対向面F1は、表示部h1からの光を反射しうるミラー機能部MR1である。第一対向面F1により反射された光により、表示部h1の視認性が高まる。
第一対向面F1により反射された光は、前方に進行する。第一対向面F1により反射された光は、第二透明部s2に到達しうる。よって、表示部h1の色が、第一透明部s1のみならず、第二透明部s2からも視認される。このため、表示部h1の視認性が更に高められている。
第一対向面F1により反射された光は、前面F5に到達しうる。よって、表示部h1の色が、前面F5からも視認される。使用者の視点は、通常、吐出部8の斜め前方に位置する。前面F5から表示部h1の色が視認されることで、表示部h1の視認性が更に高められている。
本実施形態では、第一対向面F1の少なくとも一部が、第三の色を呈している。また、上述の通り、第一外観部c1が第一の色を呈しており、第二外観部c2が第二の色を呈している。上記第一の色の明度指数がL1とされる。上記第二の色の明度指数がL2とされる。上記第三の色の明度指数がL3とされる。上記L1と上記L2のうちの大きい方の明度指数がLsとされる。
好ましくは、明度指数Lsが明度指数L3よりも大きい。これにより、表示部h1(明度指数Lsの部分)からの光が第一対向面F1によって反射されやすくなる。すなわち、ミラー効果が高まる。このため、表示部h1の視認性が更に向上しうる。
上記実施形態では、明度指数L2が明度指数L1よりも大きい。すなわち、上記実施形態では、明度指数L2は明度指数Lsである。よって、第二外観部c2が目立ちやすい。上記実施形態では、第二の吐水状態(浄水吐水)が容易に確認されうる。
好ましくは、明度指数L1と明度指数L2とは相違している。この相違により、第一の吐水状態と第二の吐水状態との区別が明確となる。よって、吐水状態の把握が容易となる。
上記第一の色と上記第二の色との色差がΔEとされる。吐水状態の区別を容易とする観点から、色差ΔEは、30以上が好ましく、50以上がより好ましく、70以上が更に好ましい。技術思想上の理由では規定する必要はないが、上記第一の色と上記第二の色とを実現するための材料等の制約上の理由から、色差ΔEは、120以下、更に100以下、特に90以下と規定することもできる。
[色差ΔE、明度指数L*]
色差ΔEは、下記の数式に基づいて算出される。
ΔE=((ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2)1/2
この数式においてΔL*は、比較される2つの色の明度指数L*の差である。本実施形態のΔEは、第一の色の明度指数L*(=L1)と、第二の色の明度指数L*(=L2)の差である。この数式においてΔa*は、第一の色の指数a*と第二の色のの指数a*との差である。この数式においてΔb*は、第一の色の指数b*と第二の色の指数b*との差である。L*、a*及びb*は、CIELAB表示系における指数である。指数L*、a*及びb*は、下記数式によって算出される。
L* = 116(Y/Yn)1/3 − 16
a* = 500((X/Xn)1/3 − (Y/Yn)1/3)
b* = 200((Y/Yn)1/3 − (Z/Zn)1/3)
これら数式において、X、Y及びZはXYZ表示系における三刺激値であり、Xn、Yn及びZnは完全拡散反射面の三刺激値である。CIELAB表示系は、国際照明委員会(CIE)によって1976年に決定された規格である。日本では、「JIS Z 8729」において、CIELAB表示系が採用されている。L*は、明度の指数である。a*及びb*は、色相及び彩度と相関する指数である。a*のマイナス方向は緑方向であり、プラス方向は赤方向である。b*のマイナス方向は青方向であり、プラス方向は黄方向である。指数の測定は、ミノルタ社の色彩色差計「CM−3500d」によってなされる。受光部が対象物(表示部h1等)の表面に当てられ、測定がなされる。光源には、「標準の光D65」が採用される。この光源の色温度は、6504kである。分光感度としては、「2°視野」が採用される。孔径として、8mmが採用される。
ミラー効果を高める観点から、明度指数Lsは、60以上が好ましく、70以上がより好ましく、90以上が更に好ましい。明度指数Lsの上限は100以下である。技術思想上の理由では規定する必要はないが、明度指数Lsを実現するための材料等の入手の容易性及び材料コストの観点から、明度指数Lsは、98以下、更には95以下と規定することもできる。
一般に、明度が小さい色(暗い色)は光の反射を抑制すると考えられる。ところが、明度が小さい面(第一対向面F1)と透明性部材(第二対向面F2)とを対向させたところ、第一対向面F1における反射率が高まることが判った。すなわち、透明性部材を透過した光が第一対向面F1によって効率的に反射されることが判った。この反射率の向上により、表示部h1からの光が第一対向面F1によって効果的に反射され、視認性が向上しうる。ミラー効果を高める観点から、上記第三の色の明度指数L*(=L3)は、40以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。明度指数L3の下限値は0以上である。技術思想上の理由では規定する必要はないが、明度指数L3を実現するための材料等の入手の容易性及び材料コストの観点から、明度指数L3は、5以上、更には10以上と規定することもできる。
好ましくは、カバー部20は、上記第三の色を呈する樹脂により形成されている。すなわち、カバー部20の材質である樹脂そのものの色が、第三の色であるのが好ましい。塗装等の着色では、塗装ムラ、塗装欠損、塗装剥がれ等の不都合が生じうる。これらの不都合により、ミラー効果が低下しうる。また、ミラー効果が不均一となりうる。カバー部20を構成する樹脂自身の色を第三の色とすることで、これらの不都合が防止される。よって、ミラー効果が向上しうる。好ましくは、カバー部20は、上記第三の色を呈する樹脂により形成されている。上記実施形態では、カバー部20の全体が、第三の色の樹脂により形成されている。
ミラー効果を高める観点から、第一対向面F1の少なくとも一部が、金属光沢を有していてもよい。この金属光沢は、例えば、下記の構成a又はbによってえられうる。
(構成a)第一対向面F1を構成する部材(カバー部20)の材質が金属とされる。
(構成b)金属光沢を有する表面処理がなされる。
上記構成bの表面処理として、蒸着、メッキ、金属粉末を含む塗装、等が挙げられる。
図19が示すように、第二透明部s2は、第一透明部s1と比較して、Y方向の厚みが小さい。よって、透明性部材T1の表面積が効果的に拡大されており、視認性が向上している。
第二対向面F2は、透明性部材T1の後面である。第二対向面F2は、第一透明部s1の後面である。第一対向面F1は、この第二対向面F2に対向している。第一対向面F1は、第一透明部s1の後方に位置する。第一対向面F1は、透明性部材T1の後方に位置する。上述の通り、第一対向面F1はミラー機能部MR1である。よって、第一透明部s1の後方にミラー機能部MR1が位置している。第一透明部s1の後方にミラー機能部MR1が配置されているため、ミラー機能部MR1で反射した光が前方に進行する。この前方への光は、第二透明部s2に到達しうる。よって、第一透明部s1のみならず、第二透明部s2からも表示部h1の色を視認することができる。更に、ミラー機能部MR1で反射した光は、前面F5にも到達しうる。よって、吐出部8の前方からの視認性が高まる。
図18(b)の拡大部が示すように、カバー部20は、対向面F10を有する。この対向面F10も、ミラー機能部MR1である。対向面F10は、第一透明部s1の前面に対向している。この対向面F10での反射により、表示部h1からの光が増加しうる。対向面F10により、表示部h1の視認性が向上しうる。ミラー効果を高める観点から、対応面F10の少なくとも一部が、上記第三の色(明度指数L3)を呈しているのが好ましい。
カバー部20は、第二透明部s2の下面に対向する対向面F11を有する。この対向面F11は、第二透明部s2の下面に対向している。この対向面F11は、第二透明部s2の下面に接している。この対向面F11も、ミラー機能部MR1である。対向面F11で反射された光は、透明性部材T1の外方に進行しうる。対向面F11での反射により、表示部h1の視認性が向上しうる。ミラー効果を高める観点から、対応面F11の少なくとも一部が、上記第三の色(明度指数L3)を呈しているのが好ましい。
図20は、第二実施形態に係る水栓装置の断面図である。図20(a)は、ボタン部材14が第一位置P1にある状態を示す。図20(b)は、ボタン部材14が第二位置P2にある状態を示す。
この第二実施形態では、透明性部材T2が表示開口部wd2に配置されている。上述した第一実施形態との相違は、透明性部材T2及び表示開口部wd2の形状である。その他の点は、上述した第一実施形態と同様である。この第二実施形態では、
透明性部材T2は、矩形の断面形状を有する環状の部材である。表示開口部wd2の形状は、この透明性部材T2の形状に対応している。
図20(b)の拡大部が示すように、表示開口部wd2は、第一対向面F1を有する。透明性部材T2は、この第一対向面F1に対向する第二対向面F2を有する。第二対向面F2は、透明性部材T2の後面である。第一対向面F1は、透明性部材T2の後方に位置する。
図20(b)の拡大部が示すように、表示開口部wd2は、第三対向面F3を有する。透明性部材T2は、この第三対向面F3に対向する第四対向面F4を有する。第四対向面F4は、透明性部材T2の前面である。第三対向面F3は、透明性部材T2の前方に位置する。
本実施形態では、第一対向面F1及び第三対向面F3が、ミラー機能部MR1である。表示部h1からの光は、第一対向面F1で反射される。また、表示部h1からの光は、第三対向面F3でも反射される。これらの反射光が、透明性部材T2を透過して外部に至る。これらの反射により、表示部h1の視認性が高められている。ミラー効果を高める観点から、第三対向面F3の少なくとも一部が、上記第三の色(明度指数L3)を呈しているのが好ましい。
上記第一実施形態及び第二実施形態では、カバー部20が着脱可能とされている。図21は、上記第一実施形態における着脱構造を説明するための断面図である。図21(a)は、カバー部20が装着された状態を示す。図21(b)は、カバー部20が取り外された状態を示す。
カバー部20の着脱構造は、ネジ結合である。カバー保持部23の内面には、雌ねじfs1が形成されている。カバー部20の外面には、雄ねじms1が形成されている。図21(a)の組み立て状態では、雌ねじfs1と雄ねじms1とのネジ結合が達成されている。このネジ結合により、カバー部20の着脱が可能とされている。このように、カバー保持部23は、カバー部20を着脱可能に保持しうる。
カバー部20がカバー保持部23から取り外された状態において、第一外観部c1又は第二外観部c2のうち上記明度指数Lsを呈する部分が露出する。上述の通り、本実施形態では、L2がL1よりも大きい。よって、明度指数Lsを呈する部分は、第二外観部c2である。カバー部20がカバー保持部23から取り外された場合、第二外観部c2が露出する(図21(b)参照)。よって、第二外観部c2に付着した汚れを拭き取る等の清掃が可能となる。よって、表示部h1の視認性を維持することが可能となる。また、カバー部20がカバー保持部23から取り外された場合、透明性部材T1の内側表面u1を露出させることができる(図21(b)参照)。よって、この内側表面u1にも清掃を施すことができる。水栓器具では、水垢などの汚れが生じやすい。清掃が可能とされることは、表示部h1の視認性の維持に効果的である。
より好ましくは、カバー部20がカバー保持部23から取り外された状態において、第一外観部c1及び第二外観部c2が露出する。この場合、第一外観部c1(明度指数L1の部分)及び第二外観部c2(明度指数L2の部分)の両方を清掃することができ、表示部h1の視認性が高まる。
ミラー効果を高める観点から、第一対向面F1(ミラー機能部MR1)と第二対向面F2とは接触しているのが好ましい。換言すれば、第一対向面F1と第二対向面F2との間に隙間が存在しないのが好ましい。この観点から、透明性部材T1とカバー部20とが2色成形法により成形されているのが好ましい。換言すれば、2色成形により、第一対向面F1と第二対向面F2が接触しているのが好ましい。
[2色成形法]
2色成形法では、異なる材質が組み合わされて一体的に成形される。2色成形法は、ダブルモールド法とも称される。
2色成形法は、第一部材を成形する一次成形工程と、この第一部材とは異なる材質の第二部材を上記第一部材と一体的に成形して2色成形体を得る二次成形工程とを有する。この2色成形体は、第一部材と第二部材とが直接的に当接した当接境界面を有する。
一次成形工程では、第一金型M1が用いられる。二次成形工程では、第二金型M2が用いられる。第一金型M1は、上記第一部材を成形しうる第一金型空間を有している。この第一金型空間に第一材料を充填し、第一部材が成形される。第二金型M2は、上記2色成形体を成形しうる第二金型空間を有している。この第二金型空間に上記第一部材が配置されると、上記第二部材の成形空間が残る。この残った成形空間に第二材料が充填されることにより、上記第二部材が成形されると同時に、上記2色成形体が形成される。この製法では、上記当接境界面において高い密着性が得られる。この2色成形法は、異なる材質同士を隙間無く密着させうる。
上記第二実施形態を例として、2色成形法の具体例を説明する。本実施形態では、上記第一部材がカバー部20とされ、上記第二部材が透明性部材T2とされている。逆に、上記第一部材が透明性部材T2とされ、上記第二部材がカバー部20とされてもよい。
図22は、この2色成形を説明するための断面図である。図22の上側の図は、上記第二金型M2、カバー部20及び第二部材の成形空間SPを示している。図22の下側の図は、上記成形空間SPに透明性材料が充填され、透明性部材T2が成形された状態を示している。この2色成形法により、透明性部材T2とカバー部20との当接境界面bs1において高い密着性が得られる。この2色成形法により、透明性部材T2とカバー部20との間における隙間の発生が防止される。よって、第一対向面F1と第二対向面F2との間に隙間が生じない。また、第三対向面F3と第四対向面F4との間にも隙間が生じない。このため、上記ミラー効果が高まる。
水栓装置2は水回り商品であるから、隙間にコケ又はカビが発生しやすい。これらはミラー効果を減退させる。隙間が防止されることで、ミラー効果が長期間維持されうる。
コケ、カビ等の汚れを防止する観点から、水栓装置2においては、隙間の防止が重要である。この観点から、2色成形法の有用性は、透明性部材及びカバー部に限定されるものではなく、水栓装置2のあらゆる部材に適用されうる。
透明性部材とカバー部との接合方法として、嵌め込み、接着及び機械的接合が例示される。例えば、別成形された透明性部材が表示開口部への嵌め込みによって固定されてもよい。ただし嵌め込みの場合、隙間が生じうる。また、透明性部材とカバー部とが接着されてもよい。この場合、接着工程及び接着剤が必要となる。また、接着剤を完全に塗布できなければ、隙間が生じうる。機械的接合によっても、隙間が生じうる。2色成形法では、隙間が防止される。また、組み立て工程を少なくすることができ、生産性が向上する。
軽量性及びコストの観点から、カバー部20の材質は樹脂が好ましい。軽量性及びコストの観点から、透明性部材の材質は樹脂が好ましい。外観性の観点から、カバー部が樹脂である場合、その表面にはメッキが施されてもよい。
図23は、カバー部20と透明性部材T2とから構成される2色成形体dm1にメッキがなされる工程を示す断面図である。図23において、(a)はメッキ処理前の断面図であり、(b)はメッキ処理後の断面図である。メッキ処理において、透明性部材T2の外面にマスキングは設けられない。メッキ処理において、透明性部材T2の外面はメッキ液に接触する。しかし、透明性部材T2の外面にはメッキ層PLが形成されない。
透明性を確保するためには、透明性部材T2の外面T21にはメッキ層PLを設けないのが好ましい。外面T21へのメッキ層の付着を物理的に防止するには、外面T21をマスキングする必要がある。しかし、外面T21における両部材の境界k1にぴったり合わせてマスキングすることは困難である。このマスキングには手間がかかり、生産性が低下する。
メッキの方法として、電解メッキ、無電解メッキ及び蒸着メッキが例示される。無電解メッキ又は蒸着メッキでは、マスキングが必要となる。
マスキングを不要とし、且つ境界k1とするためには、電解メッキが好ましい。更に、透明性部材T2の材質が、上記電解メッキによってメッキ層が形成されない樹脂とされるのが好ましい。更に、カバー部20の材質が、上記電解メッキによってメッキ層が形成される樹脂であるのが好ましい。この場合、2色成形体dm1をメッキ処理することで、カバー部20の表面のみにメッキ層PLが形成される(図23参照)。このメッキ層PLは、メッキ対象物(カバー部20)の表面に直接形成された直接メッキ層である。この方法では、2色成形体dm1を用いることで隙間が生じない上に、メッキ層PLの縁と境界k1とが一致する。更に、マスキングが不要とされる。よって、美観及び生産性が向上し、且つ隙間が防止される。
[樹脂X]
電解メッキによってメッキ層が形成されない樹脂が、本願において樹脂Xとも称される。この樹脂Xとして、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂及びポリプロピレン樹脂が例示される。
[樹脂X1]
電解メッキによってメッキ層が形成されず且つ透明性を有する樹脂が、本願において樹脂X1とも称される。すなわち樹脂X1は、透明性を有する樹脂Xである。この樹脂X1として、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂及びポリプロピレン樹脂が例示される。透明性に優れるとの観点から、樹脂X1として、ポリカーボネート樹脂が好ましい。上記実施形態では、透明性部材の材質がポリカーボネート樹脂とされた。樹脂の透明性を生かす観点から、樹脂Xは、樹脂X1であるのが好ましい。透明性部材の材質が樹脂X1とされてもよい。
[樹脂Y]
電解メッキによってメッキ層が形成される樹脂が、本願において樹脂Yとも称される。この樹脂Yとして、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂)が好ましい。上記実施形態では、カバー部の材質がABS樹脂とされた。樹脂Yは透明性を有していても良いが、樹脂選択の自由度の観点から、樹脂Yは透明性を有さないのが好ましい。カバー部20の材質が樹脂Yとされてもよい。
次の(a)、(b)、(c)及び(d)を満たす方法が、本願において2色成形電解メッキ法とも称される。
(a)2色成形体における上記第一部材の材質が上記樹脂X及び上記樹脂Yから選ばれる一方とされる。
(b)2色成形体における上記第二部材の材質が上記樹脂X及び上記樹脂Yから選ばれる他方とされる。
(c)上記2色成形体に上記電解メッキが施される。
(d)上記第一部材の材質と上記第二部材の材質との差異に起因して、電解メッキ層を有する部分と電解メッキ層を有さない部分とが形成される。
2色成形法により、部材間の隙間は生じにくい。更に、仮に若干の隙間が生じたとしても、この隙間は電解メッキ層により埋められうる。よって、上記境界k1において、隙間の発生が効果的に防止されうる。更に、マスキングをすることなく、必要な部位にのみメッキ層が形成される。この観点から、カバー部20と透明性部材とを有する部材が、上記2色成形電解メッキ法によって製造されてもよい。この場合、例えば、カバー部が上記第一部材とされ、透明性部材が上記第二部材とされる。
上記メッキ層は、単層であってもよいし、複層であってもよい。メッキ層の形成容易性の観点から、複層とされる場合の好ましい最内層は、銅メッキ層である。より好ましくは、複層のメッキ層が、銅メッキ層、ニッケルメッキ層及びクロムメッキ層を含む。より好ましくは、銅メッキ層の外側にニッケルメッキ層及び/又はクロムメッキ層が形成される。より好ましくは、銅メッキ層の外側にニッケルメッキ層が形成され、このニッケルメッキ層の外側にクロムメッキ層が形成される。更に好ましくは、複数のメッキ層が3層構造であり、この3層において、最内層が銅メッキ層であり、中間層がニッケルメッキ層であり、最外層がクロムメッキ層である。ニッケルメッキ層は耐腐食性の向上に効果的である。クロムメッキ層は、光沢性の向上に効果的である。
図24は、第三実施形態の水栓装置の一部が示された断面図である。この第三実施形態では、透明性部材t1が用いられている。図24(aでは、ボタン部材14は第一位置P1にある。図24(b)では、ボタン部材14は第二位置P2にある。本実施形態では、第一外観部c1は、ボタン本体14aと一体である。
図24(b)の拡大部が示すように、透明性部材t1の表面は凸曲面t11を有する。後述されるように、この凸曲面t11は、光の屈曲を実現しうる。後述の通り、この光の屈曲により視認性が向上しうる。なお、見やすさを考慮して、図24(b)の拡大部では、透明性部材t1のハッチングが省略されている。
上記凸曲面t11の曲率半径R1が過小である場合、反射光がクロスし、表示部h1が見えにくくなることがある。この観点から、曲率半径R1は、7.5mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、10mm以上が更に好ましい。光の屈曲を増加させる観点から、曲率半径R1は、30mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましく、15mm以下が更に好ましい。本実施形態では、曲率半径R1は20mmとされた。この曲率半径R1は、方向Xに沿った断面において測定される。
図24(b)の拡大部に示されるのは、入射光Lt1及び反射光Lt2の例である。入射光Lt1は破線で示されている。反射光Lt2は実線で示されている。反射光Lt2は、表示部h1からの光である。
図24(b)の拡大部が示すように、反射光Lt2は、前方に屈曲された前方屈曲光Lt21を含む。すなわち、透明性部材t1は、表示部h1からの光を前方に屈曲させうる。使用者は通常、水栓装置2の前方に位置する。よって前方屈曲光Lt21により、使用者の視認性が高まる。
図24(b)の拡大部が示すように、反射光Lt2は、後方に屈曲された後方屈曲光Lt22を有する。すなわち、透明性部材t1は、表示部h1からの光を後方に屈曲させうる。使用者の視点は一定ではない。例えば、使用者の身長によって視点は異なる。また、同じ使用者であっても、使用時の視点は一定ではない。後方屈曲光Lt22により、多方向からの視認性が高まる。
前方屈曲光Lt21と後方屈曲光Lt22とにより、第二外観部c2からの光が拡散しやすい。よって、多方向からの視認性が高まる。
図24(b)の拡大部が示すように、入射光Lt1は、透明性部材t1の中央側に屈曲された中央屈曲光Lt11を有する。すなわち、透明性部材t1は、外部からのからの光を中央側に屈曲させうる。よって、表示部h1に照射される光量を増加させることができる。この照射光量の増加により、反射光Lt2が増加する。よって、視認性が向上する。
図25は、透明性部材t1の断面図である。透明性部材t1は、外面t11、幅拡張部t12及び内面t13を有する。上記方向Xに沿った断面において、外面t11は凸曲面(凸状)である。幅拡張部t12では、外側にいくほどX方向の断面幅が大きい。外面t11のX方向幅は、内面t13のX方向幅よりも大きい。この形状により、第二外観部c2のX方向幅が小さくても、透明性部材t1を通して見える第二外観部c2の視認性は向上しうる。
図24(a)及び図24(b)が示すように、カバー部20は、表示開口部wd1を有する。表示開口部wd1は、第一対向面F100を有する。一方、透明性部材t1は、第二対向面F200を有する。第一対向面F100と第二対向面F200とは互いに対向している。第一対向面F100と第二対向面F200とは互いに接触している。
図25が示すように、第二対向面F200は、傾斜面F201を有する。図24(a)が示すように、第一対向面F100は、傾斜面F101を有する。傾斜面F101の法線の方向は、外方に向かう成分を有する。よって傾斜面F101で反射した光は、使用者によって視認されうる。傾斜面F101により、表示部h1の視認性が向上しうる。
本実施形態では、第一対向面F100の少なくとも一部が、第三の色を呈している。また、第一外観部c1が第一の色を呈しており、第二外観部c2が第二の色を呈している。上記第一の色の明度指数がL1であり、上記第二の色の明度指数がL2である。上記第三の色の明度指数がL3である。上記L1と上記L2のうちの大きい方の明度指数がLsである。これらの明度指数の好ましい関係については、上述の通りである。
第一対向面F100は、ミラー機能部である。第一対向面F100は、透明性部材t1の後方に位置している。よって、第一対向面F100で反射した光は、前方に進行しうる。第一対向面F100により、前方からの表示部h1の視認性が向上しうる。
図24(a)及び図24(b)が示すように、表示開口部wd1は、第三対向面F300を有する。一方、透明性部材t1は、第四対向面F400を有する。第三対向面F300と第四対向面F400とは互いに対向している。第三対向面F300と第四対向面F400とは互いに接触している。
図25が示すように、第四対向面F400は、傾斜面F401を有する。図24(a)が示すように、第三対向面F300は、傾斜面F301を有する。傾斜面F301の法線の方向は、外方に向かう成分を有する。よって傾斜面F301で反射した光は、使用者によって視認されうる。傾斜面F301により、前方からの表示部h1の視認性が向上しうる。
第三対向面F300は、ミラー機能部である。第三対向面F300は、透明性部材t1の前方に位置している。よって、第三対向面F300で反射した光は、後方に進行しうる。第三対向面F300により、表示部h1を広範囲から視認することが可能とされうる。
図26(a)、図26(b)及び図27は、第四実施形態を示す。図26(a)及び図26(b)は、ボタン部材14とカバー部20との位置関係を示す断面図である。図26(a)では、ボタン部材14は第一位置P1にある。図26(b)では、ボタン部材14は第二位置P2にある。
本実施形態では、透明性部材t2が用いられている。 図26(b)の拡大部が示すように、透明性部材t2の表面は凹曲面t21を有する。後述されるように、この凹曲面t21は、光の屈曲を実現しうる。後述の通り、この光の屈曲により視認性が向上しうる。なお、見やすさを考慮して、図26(b)の拡大部では、透明性部材t2のハッチングが省略されている。
上記凹曲面t21の曲率半径R2が過小である場合、凹部にゴミ等が溜まって汚れやすくなる。この観点から、曲率半径R2は、5mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、10mm以上が更に好ましい。光の屈曲を増加させる観点から、曲率半径R2は、50mm以下が好ましく、30mm以下がより好ましく、20mm以下が更に好ましい。本実施形態では、曲率半径R2は20mmとされた。この曲率半径R2は、方向Xに沿った断面において測定される。
図26(b)の拡大部に示されるのは、入射光Lt3及び反射光Lt4の例である。入射光Lt3は破線で示されている。反射光Lt4は実線で示されている。反射光Lt4は、表示部h1からの光である。
図26(b)の拡大部が示すように、反射光Lt4は、前方に屈曲された前方屈曲光Lt41を有する。すなわち、透明性部材t2は、表示部h1からの光を前方に屈曲させうる。使用者は通常、水栓装置2の前方に位置する。前方屈曲光Lt41により、前方からの表示部h1の視認性が向上する。
図26(b)の拡大部が示すように、反射光Lt4は、後方に屈曲された後方屈曲光Lt42を有する。すなわち、透明性部材t2は、表示部h1からの光を後方に屈曲させうる。使用者の視点は一定ではない。例えば、使用者の身長によって視点は異なる。また、同じ使用者であっても、使用時の視点は一定ではない。後方屈曲光Lt42により、多方向からの視認性が高まる。
前方屈曲光Lt41と後方屈曲光Lt42とにより、第二外観部c2からの光が拡散しやすい。よって、多方向からの視認性が高まる。透明性部材t2の外面t21の少なくとも一部が凹状であることにより、表示部h1の視認性が向上しうる。
図26(b)の拡大部が示すように、入射光Lt3は、透明性部材t2の両縁側に屈曲された両縁屈曲光Lt31を有する。すなわち、透明性部材t2は、外部からのからの光を両縁側に屈曲させうる。よって、表示部h1の両縁側に照射される光量を増加させることができる。この照射光量の増加により、外面t21の両縁部に多くの光が集まる。よって、透明性部材t2を通して見える第二外観部c2の視認性が高まる。
図27は、透明性部材t2の断面図である。透明性部材t2は、外面t21、幅拡張部t22及び内面t23を有する。上記方向Xに沿った断面において、外面t21は凹曲面(凹状)である。幅拡張部t22では、外側にいくほどX方向の断面幅が大きい。外面t21のX方向幅は、内面t23のX方向幅よりも大きい。この形状により、第二外観部c2のX方向幅が小さくても、透明性部材t2を通して見える第二外観部c2の視認性は向上しうる。
図26(a)及び図26(b)が示すように、カバー部20は、表示開口部wd1を有する。表示開口部wd1は、第一対向面F100を有する。一方、透明性部材t2は、第二対向面F200を有する。第一対向面F100と第二対向面F200とは互いに対向している。第一対向面F100と第二対向面F200とは互いに接触している。
図27が示すように、第二対向面F200は、傾斜面F201を有する。図26(a)が示すように、第一対向面F100は、傾斜面F101を有する。傾斜面F101の法線の方向は、外方に向かう成分を有する。よって傾斜面F101で反射した光は、使用者によって視認されうる。傾斜面F101により、表示部h1の視認性が向上しうる。
本実施形態でも、第一対向面F100の少なくとも一部が、上記第三の色を呈している。また、第一外観部c1が第一の色を呈しており、第二外観部c2が第二の色を呈している。上記第一の色の明度指数がL1であり、上記第二の色の明度指数がL2である。上記第三の色の明度指数がL3である。上記L1と上記L2のうちの大きい方の明度指数がLsである。これらの明度指数の好ましい関係については、上述の通りである。
第一対向面F100は、ミラー機能部である。第一対向面F100は、透明性部材t2の後方に位置している。よって、第一対向面F100で反射した光は、前方に進行しうる。第一対向面F100により、前方からの表示部h1の視認性が向上しうる。
図26(a)及び図26(b)が示すように、表示開口部wd1は、第三対向面F300を有する。一方、透明性部材t2は、第四対向面F400を有する。第三対向面F300と第四対向面F400とは互いに対向している。第三対向面F300と第四対向面F400とは互いに接触している。
第三対向面F300の少なくとも一部が、上記第三の色を呈している。よって、第三対向面F300によるミラー効果が高められている。
図27が示すように、第四対向面F400は、傾斜面F401を有する。図26(a)が示すように、第三対向面F300は、傾斜面F301を有する。傾斜面F301の法線の方向は、外方に向かう成分を有する。よって傾斜面F301で反射した光は、使用者によって視認されうる。傾斜面F301により、前方からの表示部h1の視認性が向上しうる。
第三対向面F300は、ミラー機能部である。第三対向面F300は、透明性部材t2の前方に位置している。よって、第三対向面F300で反射した光は、後方に進行しうる。第三対向面F300により、表示部h1を広範囲から視認することが可能とされうる。
図28及び図29は、第五実施形態を示す。説明は省略されるが、この第五実施形態でも、上記第三実施形態と同様に、第一対向面F100、第二対向面F200、第三対向面F300及び第四対向面F400が設けられている。本実施形態でも、上述のミラー効果が発揮されうる。
図28は、操作部14及びカバー部20の斜視図である。この実施形態では、透明性部材t3が用いられている。
図29は、操作部14が第二位置P2にあるときの、ボタン部材14及びカバー部20の断面図である。この透明性部材t3の外面には、凸部t33が設けられている。この凸部t33は、透明性部材t3の長手方向に沿って延在している。この凸部t33は、表示部h1からの透過光を拡散させうる拡散機能面を形成している。この拡散により、多方向からの視認性が向上しうる。表示部h1の視認性を高める観点から、透明性部材t3は、表示部h1からの透過光を拡散させうるのが好ましい。
凸部t33は、透明性部材t3のX方向中央位置に設けられている。この配置により、凸部t33による光の拡散効果が高まる。
第五実施形態において、透明性部材t3の外面は、凸曲面t31と凸部t33との組み合わせである。図30(a)は、第六実施形態の断面図である。図30(b)は、第七実施形態の断面図である。図30(c)は、第八実施形態の断面図である。
これら第六から第八実施形態でも、上記第三実施形態と同様に、第一対向面F100、第二対向面F200、第三対向面F300及び第四対向面F400が設けられている。これら第六から第八実施形態でも、上述のミラー効果が発揮されうる。
図30(a)の実施形態において、透明性部材t4の外面は、凸曲面t41と凹部t43との組み合わせである。この凹部t43は、透明性部材t4の長手方向に沿って延在している。凹部t43は、透明性部材t4の長手方向の全体に亘って延在している。図30(b)の実施形態において、透明性部材t5の外面は、凹曲面t51と凸部t53との組み合わせである。この凸部t53は、透明性部材t5の長手方向に沿って延在している。凸部t53は、透明性部材t5の長手方向の全体に亘って延在している。図30(c)の実施形態において、透明性部材t6の外面は、凹曲面t61と凹部t63との組み合わせである。この凹部t63は、透明性部材t6の長手方向に沿って延在している。凹部t63は、透明性部材t6の長手方向の全体に亘って延在している。これらの実施形態でも表示部h1からの光が効果的に拡散され、視認性が高まる。
凹部t43は、透明性部材t4のX方向中央位置に設けられている。この配置により、凹部t43による光の拡散効果が高まる。凸部t53は、透明性部材t5のX方向中央位置に設けられている。この配置により、凸部t53による光の拡散効果が高まる。凹部t63は、透明性部材t6のX方向中央位置に設けられている。この配置により、凹部t63による光の拡散効果が高まる。
図31(a)は、透明性部材に設置されうる凸部の他の例である。好ましくは、この凸部p1は、透明性部材の外面に複数(多数)設けられる。この凸部p1の表面は、表示部h1からの透過光を拡散させうる拡散機能面である。この拡散は乱拡散である。この拡散により、表示部h1に視認性が高まる。このように、透明性部材の外面の少なくとも一部が凸状とされることで、表示部h1の視認性が向上しうる。
図31(b)は、透明性部材に設置されうる凹部の他の例である。好ましくは、この凹部r1は、透明性部材の外面に複数(多数)設けられる。この凹部r1の表面は、表示部h1からの透過光を拡散させうる拡散機能面である。この拡散は乱拡散である。この拡散により、表示部h1に視認性が高まる。このように、透明性部材の外面の少なくとも一部が凹状とされることで、表示部h1の視認性が向上しうる。
上記拡散機能面は、例えば、上記凸部又は凹部の表面である。拡散機能面として、傾斜面、水平面、垂直面又はこれらの組み合わせが挙げられる。拡散機能面は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。拡散機能面は、凹面であってもよいし、凸面であってもよい。上述した凸部t33は、拡散機能面を有する凸状部分の一例である。上述した凸部p1は、拡散機能面を有する凸状部分の他の一例である。上述した凹部t43は、拡散機能面を有する凹状部分の一例である。上述した凹部r1は、拡散機能面を有する凹状部分の他の一例である。これらの凸部及び凸部は、拡散機能面が斜面のみとされた例である。
上記実施形態の全てにおいて、表示開口部wd1は、環状に沿って延在した環状開口部を有している。上記実施形態の全てにおいて、表示開口部wd1の全体が環状開口部wc1である(図3参照)。この環状開口部wc1は、円周面に沿って延在している。この環状開口部wc1は、延在方向の1箇所又は2箇所以上において途切れていても良い。上記実施形態の環状開口部wc1は、延在方向の1箇所(下部)において途切れている(図7参照)。環状開口部wc1により、表示部h1が目立つ。環状開口部wc1により、表示部h1は多方向から視認される。環状開口部wc1により、表示部h1の視認性が高まる。
上記実施形態の全てにおいて、透明性部材t1は、環状開口部wc1に沿って延在する環状透明部tc1を有している。上記実施形態の全てにおいて、透明性部材の全体が環状透明部tc1である。この環状透明部tc1は、延在方向の1箇所又は2箇所以上において途切れていても良い。上記実施形態の環状透明部tc1は、延在方向の1箇所(下部)において途切れている。環状透明部tc1により、表示部h1が目立つ。環状透明部tc1により、表示部h1は多方向から視認される。環状透明部tc1により、表示部h1の視認性が高まる。
図11は、上方向に投影された上投影図である。この上方向は、上記方向Xに対して垂直である。この上投影図において、カバー部20の幅がW1とされ、環状開口部wc1の長さLaの合計がLt1とされる。視認性を高める観点から、Lt1/W1は、0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.7以上が更に好ましい。なお、幅W1は、環状開口部wc1に隣接した境界位置において測定される。また、幅W1の測定値が複数存在する場合、平均値が採用される。この上投影図では、環状開口部wc1が1箇所であるから、長さLaは合計長さLt1に等しい。図11の実施形態では、Lt1/W1は1である。
図8は、右方向に投影された右投影図である。この右方向は、上記方向Xに対して垂直である。この右投影図において、カバー部20の幅がW2とされ、環状開口部wc1の長さLbの合計がLt2とされる。視認性を高める観点から、Lt2/W2は、0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.7以上が更に好ましい。なお、幅W2は、環状開口部wc1に隣接した境界位置において測定される。また、幅W2の測定値が複数存在する場合、平均値が採用される。この右投影図では、環状開口部wc1が1箇所であるから、長さLbは合計長さLt2に等しい。図8の実施形態では、Lt2/W2は、ほぼ1である。
図示されないが、左方向に投影された左投影図が定義される。本実施形態では、図8が左右反転された図面が左投影図である。この投影方向(左方向)は、上記方向Xに対して垂直である。この左投影図において、カバー部20の幅がW3とされ、環状開口部wc1の長さLcの合計がLt3とされる。視認性を高める観点から、Lt3/W3は、0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.7以上が更に好ましい。なお、幅W3は、環状開口部wc1に隣接した境界位置において測定される。また、幅W3の測定値が複数存在する場合、平均値が採用される。この左投影図では、環状開口部wc1が1箇所であるから、長さLcは合計長さLt3に等しい。本実施形態では、Lt3/W3は、Lt2/W2と同じである。
図7は、下方向に投影された下投影図である。この下方向は、上記方向Xに対して垂直である。この下投影図において、カバー部20の幅がW4とされ、環状開口部wc1の長さLdの合計がLt4とされる。視認性を高める観点から、Lt4/W4は、0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.7以上が更に好ましい。なお、幅W4は、環状開口部wc1に隣接した境界位置において測定される。また、幅W4の測定値が複数存在する場合、平均値が採用される。この下投影図では、環状開口部wc1が2箇所であるから、長さLt4は、2箇所の長さLdの合計である。図7の実施形態では、Lt4/W4は、0.8である。
上記実施形態のいずれかが奏しうる効果として、以下が例示される。
(効果1)ミラー機能部MR1によるミラー効果により、視認性が向上する。
(効果2)透明性部材の後方に設けられたミラー機能部MR1により、前方からの視認性が向上する。
(効果3)透明性部材の前方に設けられたミラー機能部MR1により、多方向からの視認性が向上する。
(効果4)透明性部材の下方に設けられたミラー機能部MR1により、反射光が増加し、視認性が向上する。
(効果5)カバー部20の色を調整することで、第一対向面F1の明度指数L3を変更することができる。
(効果6)明度指数L3を低くすることで、ミラー効果を高めることができる。
(効果7)明度指数L1とL2との差異を大きくすることで、吐水状態を容易に認識することができる。
(効果8)手で操作されるボタン部材14には表示開口部がない。よって、手の接触による表示開口部の汚れが抑制され、耐汚れ性及び耐久性が向上する。
(効果9)ボタン部材14の移動が表示部h1の移動でもあり、構造がシンプルである。このため、使用の繰り返し及び組み立ての誤差による表示部h1の位置ズレが生じにくい。また、シンプルな構造により、生産性が向上し、コストが低減する。
(効果10)表示開口部wd1に透明性部材t1が設けられているため、表示開口部wd1にゴミ等が溜まることが抑制される。また、開口部である表示開口部wd1が透明性部材t1によって補強され、カバー部20の強度が高まる。
(効果11)表示部h1からの光が前方に屈曲されるため、水栓装置2の使用者の視点に表示部h1からの光が到達しやすい。よって表示部h1の視認性が向上しうる。
(効果12)透明性部材に凸状及び/又は凹状の部分を設けることで、表示部h1の視認性が向上しうる。
(効果13)拡散機能面により、多方向からの表示部h1の視認性が向上しうる。
(効果14)ボタン部材14の位置に関わらず、第一外観部c1及び第二外観部c2はカバー部20又は透明性部材t1で覆われている。ボタン部材14の操作中において、第一外観部c1及び第二外観部c2への接触は生じない。よって、第一外観部c1及び第二外観部c2が汚れにくく、視認性が長期間維持されうる。
前述した特許第4298319号公報では、表示部分が回転式であるため、構造が複雑となり、繰り返しの使用による故障及びコストの上昇が生じやすい。また、前面に表示開口部があるため、操作の際の接触により表示開口部が汚れやすい。上記実施形態では、先行文献と比較して有利な効果が奏される。
本願には、請求項(独立形式請求項を含む)に係る発明に含まれない他の発明も記載されている。本願の請求項及び実施形態に記載されたそれぞれの形態、部材、構成等は、それぞれが有する作用効果に基づく発明として認識される。
上記各実施形態で示されたそれぞれの形態、部材、構成等は、これら実施形態の全ての形態、部材又は構成をそなえなくても、個々に、本願請求項に係る発明をはじめとした、本願記載の全発明に適用されうる。