JP5661525B2 - 可搬式スロープ - Google Patents

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本発明は、段差の上下に掛け渡されうる可搬式のスロープに関する。例えば、鉄道車両の乗降口と駅ホームの路面との段差に掛け渡され、その上面を車いす等が通行しうる可搬式スロープに関する。
鉄道車両、バス等の乗降口と、駅のホーム等の路面との間に掛け渡され、車いす等の通行に供される可搬式のスロープがよく知られている。このようなスロープの例として、特開2002−97768公報、特開2003−184249公報にそれぞれ携帯用スロープが開示されている。
また、特開2010−216179公報には、発光装置を備えた渡し板が開示されている。この渡し板は、ヒンジによって折りたたみ可能に連結された複数枚の板部材から構成されている。複数枚の板部材のうち、左右両端に配置された板部材の各外側面に、LEDからなる上記発光装置が設けられている。この発光装置が点灯されることにより、遠くからでも、この渡し板が現在使用中であることが判断できる、というものである。
スロープの他の例として、特許第4675211号公報に電車乗降用スロープが開示されている。このスロープは、シート部材によって折りたたみ可能に連結された複数枚の板状部材から構成されている。複数枚の板状部材のうち、左右両端に配置された板部材の上面における各外側端には、脱輪防止壁が突設されている。板状部材の上面を外側端方向に斜行した車いすの車輪は、上記脱輪防止壁に当接し、板状部材からの脱輪が防止されるというものである。特開2003−230600公報にも、脱輪防止壁を備えた携帯用スロープが開示されている。
上記特開2010−216179公報に開示された渡し板は、その板部材の外側面に形成された凹部内にLEDが取り付けられている。渡し板の使用中に、このLEDが発光した場合、渡し板の側方からは光がよく視認されうる。渡し板の側方の遠くからはよく視認されうる。しかしながら、後方からは見えにくい。及び、渡し板上の車いすを押し操作している人からも見えにくい場合がある。
特開2002−97768公報 特開2003−184249公報 特開2010−216179公報 特許第4675211号公報 特開2003−230600公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、使用中のスロープが発光する光が広い範囲から視認され、車いす等の脱輪が効果的に防止されうる可搬式スロープを提供することを目的としている。
本発明に係る可搬式スロープは、
整列された複数枚の板状部材と、
両端に配置された板状部材の外側部に突設された脱輪防止壁と、
この脱輪防止壁に設けられた発光装置とを備えており、
隣接する上記板状部材同士が、互いに折りたたみ可能に連結されている。
かかる可搬式スロープによれば、その上面を移動する車いす等の脱輪が防止され、且つ、広い範囲から発光装置の光が視認されうる。
上記発光装置が、発光素子、及び、発光装置用の電源としての蓄電池を有するのが好ましい。
上記脱輪防止壁が、板状部材の外側縁に沿って形成されており、上記発光装置の発光素子が、脱輪防止壁の長手方向に沿って取り付けられているのが好ましい。
板状部材の外側縁の少なくとも一端部側に、上記脱輪防止壁が形成されていない斜行通路部が設けられているのが好ましい。
本発明に係る可搬式スロープは、車いす等の脱輪防止、スロープ自体の軽量化、使用時の視認範囲の拡大が可能となる。
図1は、本発明に係る可搬式スロープの一実施形態を示す平面図である。 図2は、図1の可搬式スロープの側面図である。 図3は、図1の可搬式スロープの正面図である。 図4は、図1の可搬式スロープにおける、脱輪防止壁及び発光装置の一部分を示す斜視図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1から図4に示された可搬式スロープ(以下、単にスロープとも言う)1は三枚の板状部材2を備えている。各板状部材2は矩形状を呈している。板状部材2は一列に整列された状態で連結されている。隣接する板状部材2同士は、シート部材3等によって折りたたみ可能に連結されている。板状部材2の枚数は3枚には限定されない。連結手段としては、シート部材3には限定されず、各種ヒンジが採用されうる。左右両端に配置された板状部材2L、2Rの外側面には、持ち運びのためのハンドル16が取り付けられている。
板状部材2は、例えば、発泡ポリウレタンからなる芯材に、カーボン繊維及びガラス繊維に樹脂が含浸されたプリプレグが巻き付けられたものが、プレス成型されることにより形成される。板状部材2の材料は、かかる材料には限定されず、例えば、アルミ合金等が用いられてもよい。板状部材2の表面には、滑り止めのためにゴムシート等が貼着されるのが好ましい。上記シート部材3としては、ナイロン布等が用いられる。上記ハンドル16の材料としてナイロンが採用されている。以上の材料は一例であり、これらに限定されない。
左右両端に配置された板状部材2L、2Rの上面の外側縁には、脱輪防止壁4が突設されている。この脱輪防止壁4は、板状部材2L、2Rの外側縁に沿って形成されている。この脱輪防止壁4は、板状部材2L、2Rと一体に成型されたものであってもよい。又は、板状部材2L、2Rとは別の部材として、板状部材2L、2Rにリベット等によって取り付けられてもよい。本実施形態では、脱輪防止壁4の板状部材2の上面からの高さは、約13mmとされているが、かかる寸法には限定されない。スロープ1の上面を外側端方向に斜行した車いすの車輪は、この脱輪防止壁4に当接し、スロープ1からの脱輪が防止される
脱輪防止壁4は、板状部材2L、2Rの外側縁の全長にわたって形成されてもよい。しかし、本実施形態では、図1及び図2に示されるように、外側縁の、長手方向の少なくとも一端の近傍には脱輪防止壁4が形成されていない。これは、車いすは、スロープ1に乗り入れるとき、又は、スロープ1から降りるとき、進行方向をやや側方に傾斜することがあるからである。スロープ1の端部においては、車いすの車輪がスロープ1の側部から外れても大きな問題はない。逆に、車いすがやや斜行してスロープ1に乗降しうるほうが便利である場合が多い。この脱輪防止壁4が形成されていない部分は、斜行通路部5という。本実施形態では、この斜行通路部5が、板状部材2L、2Rの後端側(段差で言う下段側)に設けられている。前端側にのみ設けられてもよく、前後両端側に設けられてもよい。
本実施形態では、板状部材2L、2Rの長さは約822mmである。後述の係合板8を含めれば862mmである。三枚の板状部材2が開かれたときのスロープ1の全幅寸法は862mmである。そして、上記斜行通路部5の長さの、板状部材2L、2Rの全長に対する割合範囲は、20%以上30%以下とされている。本実施形態では、斜行通路部5の長さは200mmである。以上の寸法は一例であり、これらに限定されることはない。
左右両端の板状部材2L、2Rは、その上に車いす等の車輪が乗るため、相当の強度が必要である。この板状部材2L、2Rは、脱輪防止壁4が形成されているため、曲げ剛性が大幅に向上する。その結果、板状部材2L、2Rの平均厚さは、脱輪防止壁4が形成されていない板状部材より薄くされうる。本実施形態における板状部材2L、2Rの平均厚さは約12mmとされている。従来のスロープの板厚は約20mmである。このように、本実施形態のスロープ1は、従来のスロープと比較して、その板厚が相当薄くされうる。本実施形態のスロープ1は大幅に軽量化されうる。本実施形態のスロープ1は、約5.2kgに仕上がっている。しかし、上記12mmという寸法、約5.2kgと言う重量には限定されない。
図1及び図2に示されるように、左右両端の板状部材2L、2Rの長手方向の一端部には、その端縁に沿って、アルミ合金等からなる係合板8が取り付けられている。この係合板8の下面には、係合突条9が突設されている。各板状部材2の長手方向の他端部には、その端縁に沿って、ゴム等からなる滑り止めシート10(図3では図示省略)が取り付けられている。このスロープ1が段差に掛け渡される際、上記係合突条9が例えば鉄道車両のドアレール等の上段に係合され、上記滑り止めシート10が例えば駅のホーム等の下段に押圧される。このようにして、スロープ1は、安定した状態で段差に設置されうる。
中央の板状部材2Cには、係合板8が取り付けられていない。その結果、スロープ1の一端部の中央部分は凹部6が形成される。この凹部6は、スロープ1が鉄道車両への乗降用に用いられるときに有用である。この凹部6は、鉄道車両の乗降口の床面のドアストッパとの干渉を回避しうるからである。従って、ドアストッパとの干渉の可能性がない用途の場合、この凹部6が形成される必要はない。
図4も併せて参照すれば明らかなように、上記各脱輪防止壁4には発光装置7が設けられている。この発光装置7は、多数個の発光ダイオード(LED)11、LED11用の電源としての蓄電池12、及び、LED11のオンオフ用のスイッチ13を有している。本実施形態では、1つの発光装置7に45個のLED11が取り付けられている。しかし、この個数には限定されない。45個のLED11の定格電圧は7.2Vであり、消費電流は約238mAであり、消費電力は約2.16Wである。このように、省電力の発光装置である。しかし、上記仕様には限定されない。このLED11は、スイッチ13を介して蓄電池12に電気的に接続されている。上記蓄電池12は、充電用の接続端子14を有している。発光装置7の光源としては、LED11には限定されず、小型白熱灯、蛍光灯等が用いられてもよい。また、必要に応じて蛍光塗料が塗布された反射板が用いられてもよい。
本実施形態では、LED11は、一部又は全部が透明のアクリル板から形成された直方体状のケース15内に収容されている。このケース15は、脱輪防止壁4の長手方向に沿って、脱輪防止壁4よりわずかに短い長さを有している。ケース15は、脱輪防止壁4の外側の面にリベット等によって固定されている。ケース15内には、多数個のLED11が、ケース15の長手方向に沿って整列されている。このケース15の横断面は長方形である。ケース15の高さは約25〜36mmの範囲である。ケース15の上端は、脱輪防止壁4の上端よりわずかに上方に位置している。ケース15の少なくとも外側面及び上面が透明とされることにより、LED11の光は、側方、上方、前方、後方の各方向から容易に視認される。もちろん、ケースの前後両端及び/又は内側面も透明にされてもよい。
ケース15は、箱形のものに限定されない。例えば、長尺の板状部材に多数個のLED11が長手方向に沿って整列され、これに透明のカバーが装着されたものでもよい。また、上記脱輪防止壁4の外側面及び/又は上端面に、多数個のLED11が長手方向に沿って整列され、これに透明のカバーが装着されたもの等であってもよい。
LED11はスイッチ13の操作により、スロープ1の使用時には点灯、不使用時には消灯とすることができる。蓄電池12の充電は、充電用アダプタ(図示せず)の、一方のプラグが蓄電池12の接続端子14に接続され、他方のプラグが電源コンセント(図示せず)に接続されて行われる。充電用アダプタとしては、例えば株式会社マキタ製のDC7020が安価で入手容易である。約3時間の充電により、上記LED11は約2時間半から約3時間程度の点灯が可能である。この充電用アダプタは、ケース15内に装着されていてもよい。
完成した上記スロープ1は、「車いす用可搬型スロープ」について規定するJIS規格T9207に従って、耐荷重、たわみ量、耐久性、固定性能、走行面滑り止め性能等が検査され、その基準を満たす。
上記脱輪防止壁4を備えることにより、左右両端の板状部材2L、2Rの曲げ剛性が大幅に向上する。これにより、スロープ1の重量の低減も可能となる。その結果、このスロープ1は、鉄道の駅で使用される場合、女性駅員によっても簡単に持ち運ぶことが可能となる。
本実施形態では、発光装置7が脱輪防止壁4とは別体として形成されているが、かかる構成には限定されない。例えば、脱輪防止壁が板状部材2L、2Rとは別体に形成され、この脱輪防止壁が発光機能を備えてもよい。換言すれば、発光装置が脱輪防止機能を備えてもよい。具体的には、発光装置7の上記ケース15の一側板(板状部材側の側板)が板状部材2と同等の強固な材料から形成され、この一側板がリベット等によって板状部材2L、2Rに固定される。かかる構成によれば、上記一側板が脱輪防止壁として機能しうる。
本発明に係る可搬式スロープは、鉄道車両の乗降口と駅のホームとの車いす用連絡通路、階段における車いす用通路等にも適用しうる。
1・・・可搬式スロープ
2、2L、2R・・・板状部材
3・・・シート部材
4・・・脱輪防止壁
5・・・斜行通路部
6・・・凹部
7・・・発光装置
8・・・係合板
9・・・係合突条
10・・・滑り止めシート
11・・・LED
12・・・蓄電池
13・・・スイッチ
14・・・接続端子
15・・・ケース
16・・・ハンドル

Claims (4)

  1. 整列され複数枚の板状部材と、
    両端に配置された板状部材の外側部に突設された脱輪防止壁と、
    この脱輪防止壁に設けられた発光装置とを備えており、
    隣接する上記板状部材同士が、互いに折りたたみ可能に連結されており、
    上記板状部材の外側縁の少なくとも一端部側に、上記脱輪防止壁が形成されていない斜行通路部が設けられており、
    この斜行通路部の長さが、上記板状部材の全長の20%以上30%以下とされている可搬式スロープ。
  2. 上記発光装置が、発光素子、及び、発光装置用の電源としての蓄電池を有する請求項1に記載の可搬式スロープ。
  3. 上記脱輪防止壁が、板状部材の外側縁に沿って形成されており、
    上記発光装置の発光素子が、脱輪防止壁の長手方向に沿って取り付けられている請求項1又は2に記載の可搬式スロープ。
  4. 上記発光素子が、少なくとも外側面と上面とが透明のケースに収容されている請求項2又は3に記載の可搬式スロープ。
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