以下、添付図面を参照して、信号測定装置1の実施の形態について説明する。
最初に、信号測定装置1の構成について、図面を参照して説明する。
信号測定装置1は、図1に示すように、トリガ信号入力部2、トリガ信号検出部3、信号入力部4、受信部5、第1A/D変換部6、処理部7および表示部8を備え、予め規定された測定周波数帯域A(図3参照)に含まれる任意の周波数fiの被測定信号(第2被測定信号:例えば、マイクロ波)Siを検出して、その信号レベル(本例では一例として、RMS(Root Mean Square)値)を測定可能に構成されている。
トリガ信号入力部2は、図1に示すように、複数(本例では一例として4つ)の入力チャンネルCH1,CH2,CH3,CH4に対応した第1入力部としてのトリガ入力端子21a,21b,21c,21d(以下、特に区別しないときには「トリガ入力端子21」ともいう)、トリガ入力端子21と同数のレベル調整部22a,22b,22c,22d(以下、特に区別しないときには「レベル調整部22」ともいう)、および信号選択部23を備えている。
各トリガ入力端子21は、図2に示すように、信号測定装置1の操作パネル1aに配設されている。また、トリガ入力端子21a,21b,21c,21dには、図1,2に示すように、被測定対象物(本例では、電子機器の回路基板71)内の信号発生源(回路基板71に実装されているICなどの電子部品)から発生する第1被測定信号Sta,Stb,Stc,Std(以下、特に区別しないときには「被測定信号St」ともいう)を受信するためのアンテナ(本例では一例として、近磁界プローブ)81a,81b,81c,81d(以下、特に区別しないときには「アンテナ81」ともいう)がそれぞれ接続される。この場合、被測定信号Stは、上記した被測定信号Siと同じ測定周波数帯域A内の信号成分を含んで構成されている。
各レベル調整部22は、例えば、アッテネータやアンプで構成されて、各トリガ入力端子21を介して入力した被測定信号Stの信号レベルを、トリガ信号検出部3に対して最適な入力レベルとなるように調整して、被測定信号S1として後段の信号選択部23に出力する。信号選択部23は、各トリガ入力端子21からそれぞれ入力される被測定信号St(本例では、各レベル調整部22においてレベル調整された被測定信号St(つまり、被測定信号S1))を入力すると共に、1つずつ一定周期T1で順次選択して出力する動作を繰り返し実行する。以下では、信号選択部23において選択されて出力される被測定信号S1を選択測定信号S1ともいう。
トリガ信号検出部(信号検出部)3は、複数のフィルタ31(後述するフィルタ31a〜31c)、複数のピーク検出部32(後述するピーク検出部32a〜32c)および複数の第2A/D変換部33(後述する第2A/D変換部33a〜33c)を備え、選択測定信号S1についての測定周波数帯域Aを後述するように複数に分割してなる各分割帯域内における信号のピーク値(ピーク電圧値を示すデータ)を検出して出力する。
この測定周波数帯域Aは、図3に示すように、連続するn個(nは2以上の整数であり、本例では一例として3)の周波数帯域(以下、「分割帯域」ともいう)Ba,Bb,Bc(Ba<Bb<Bc)に分割されている。この場合、分割帯域Baは、下限周波数がf0(例えば100kHz)、上限周波数がf1(例えば1GHz)にそれぞれ規定され、分割帯域Bbは、下限周波数がf1(例えば1GHz)、上限周波数がf2(例えば2GHz)にそれぞれ規定され、分割帯域Bcは、下限周波数がf2(例えば2GHz)、上限周波数がf3(例えば3GHz)にそれぞれ規定されている。なお、各分割帯域Ba,Bb,Bcは、帯域幅を同一幅に規定することもできるし、異なる幅に規定することもできる。本例では一例として、各分割帯域Ba,Bb,Bcは、上記したように、ほぼ同一の帯域幅に規定されている。
複数のフィルタ31は、帯域通過型フィルタ(バンドパスフィルタ)にそれぞれ構成されて、通過帯域が上記の各分割帯域Ba,Bb,Bcに対応してn個(本例では3個(フィルタ31a,31b,31c))配設されている。この場合、図3に示すように、フィルタ31aは、分割帯域Baに対応して通過帯域PBaがこの分割帯域Baと同等に規定され、フィルタ31bは、分割帯域Bbに対応して通過帯域PBbがこの分割帯域Bbと同等に規定され、フィルタ31cは、分割帯域Bcに対応して通過帯域PBcがこの分割帯域Bcと同等に規定されている。
また、各フィルタ31a,31b,31cは、図1に示すように、信号選択部23の出力部に入力部がそれぞれ接続されて、信号選択部23から出力される選択測定信号S1(被測定信号S1)をそれぞれ同時に入力し、選択測定信号S1に含まれる周波数成分のうちのそれぞれの通過帯域PBa,PBb,PBcに含まれる周波数成分のみを選択的に通過させることにより、互いに周波数成分の異なる分割帯域内信号S1a,S1b,S1cをそれぞれ出力する。
複数のピーク検出部32は、図1に示すように、各フィルタ31と同じn個(本例では3個(ピーク検出部32a,32b,32c))配設されて、対応するフィルタ31に一対一で接続されている。本例では、ピーク検出部32aはフィルタ31aに接続され、ピーク検出部32bはフィルタ31bに接続され、ピーク検出部32cはフィルタ31cに接続されている。また、各ピーク検出部32a〜32cは、対応するフィルタ31a〜31cから出力される分割帯域内信号S1a〜S1cのピーク電圧を後段の各第2A/D変換部33で確実にサンプリングし得るように、第2A/D変換部33に供給される共通のサンプリングクロック(不図示)の各周期(上記の一定周期T1よりも十分に短い周期)において、周期の始期に同期して(詳細には、この始期(後述する終期でもある)から始まるリセット期間(サンプリングクロックの周期よりも極めて短い期間)の完了タイミングに同期して)、分割帯域内信号S1a〜S1cについてのピーク電圧Pの検出を開始する。その後、各ピーク検出部32は、同一周期内に発生した分割帯域内信号S1a〜S1cのピーク電圧Pを検出しながら最大のピーク電圧Pを更新しつつ保持し、周期の終期に同期して(上記のリセット期間中に)、保持していたピーク電圧Pをリセットする(クリアする)動作を実行する。この構成により、ピーク検出部32aは分割帯域内信号S1aのピーク電圧P(Pa)を検出して出力し、ピーク検出部32bは分割帯域内信号S1bのピーク電圧P(Pb)を検出して出力し、ピーク検出部32cは分割帯域内信号S1cのピーク電圧P(Pc)を検出して出力する。
複数の第2A/D変換部33は、各フィルタ31と同じn個(本例では3個(第2A/D変換部33a,33b,33c))配設されて、対応するピーク検出部32に一対一で接続されている。本例では、第2A/D変換部33aはピーク検出部32aに接続され、第2A/D変換部33bはピーク検出部32bに接続され、第2A/D変換部33cはピーク検出部32cに接続されている。各第2A/D変換部33a,33b,33cは、本例では、サンプリングクロックの各周期の終期に同期して、対応するピーク検出部32a,32b,32cから出力されるピーク電圧Pa,Pb,Pcをサンプリングすることにより、ピーク電圧Pa,Pb,Pcの電圧値をピーク値(ピーク電圧値を示すデータ)PVa,PVb,PVcとして出力する。
この構成により、トリガ信号検出部3は、選択測定信号S1の測定周波数帯域Aを3つに分割してなる各分割帯域Ba,Bb,Bcに含まれる分割帯域内信号S1a〜S1cについてのピーク値PVa,PVb,PVcを各第2A/D変換部33のサンプリングクロックの周期で、並列的に検出して同じタイミングで出力する。なお、このサンプリングクロックの周期は、後述する掃引時間に対して極めて短期間に規定されている。
信号入力部4(第2入力部)は、図1に示すように、入力端子4aおよびレベル調整部4bを備えている。入力端子4aは、図2に示すように、信号測定装置1の操作パネル1aに配設されて、入力端子4aには、被測定対象物(本例では、電子機器の回路基板71)から発生する第2被測定信号Si(以下、「被測定信号Si」ともいう)を受信するためのアンテナ82が接続される。レベル調整部4bは、例えば、アッテネータやアンプで構成されて、入力端子4aを介して入力した被測定信号Siの信号レベルを、後段の受信部5に対して最適な入力レベルとなるように調整して、被測定信号S2として出力する。
受信部5は、図1に示すように、第1局部発振部51、掃引信号発生部52、第1ミキサ53、第1バンドパスフィルタ(第1BPF)54、および検波部55を備えてスーパーヘテロダイン方式の受信器として構成されている。なお、図示はしないが、各構成要素間に必要に応じてアンプを配置する構成を採用することもできる。
第1局部発振部51は、一例としてVCO(Voltage Controlled Oscillator)で構成されて、掃引信号発生部52、第1ミキサ53および第1BPF54と共に1つの周波数変換部を形成する。また、第1局部発振部51は、入力する制御電圧としての掃引電圧Vsに応じた周波数(第1局発周波数)fL1の第1局発信号S3を生成して出力する。掃引信号発生部52は、処理部7によって設定された下限電圧値から上限電圧値まで(または、上限電圧値から下限電圧値まで)、設定された掃引時間で電圧値がリニアに変化する掃引電圧(鋸波状や三角波状に変化する電圧信号)Vsを生成して、第1局部発振部51に出力する。この構成により、第1局部発振部51は、掃引電圧Vsの上記した下限電圧値で規定される下限周波数fminから上限電圧値で規定される上限周波数fmaxまで(または、上限周波数fmaxから下限周波数fminまで)、設定された掃引時間で第1局発周波数fL1がリニアに変化する第1局発信号S3を出力する。
本例では、第1局部発振部51は、掃引信号発生部52から出力される掃引電圧Vsの下限電圧値および上限電圧値が処理部7によって規定されることにより、第1BPF54の中間周波数をf4(>f3。例えば7GHz)としたときに、分割帯域Ba(下限周波数f0、上限周波数f1)を検波するときには、下限周波数fminが(f4+f0)で、上限周波数fmaxが(f4+f1)となる第1局発周波数fL1の第1局発信号S3を出力する。また、第1局部発振部51は、分割帯域Bb(下限周波数f1、上限周波数f2)を検波するときには、下限周波数fminが(f4+f1)で、上限周波数fmaxが(f4+f2)となる第1局発周波数fL1の第1局発信号S3を出力する。また、第1局部発振部51は、分割帯域Bc(下限周波数f2、上限周波数f3)を検波するときには、下限周波数fminが(f4+f2)で、上限周波数fmaxが(f4+f3)となる第1局発周波数fL1の第1局発信号S3を出力する。
第1ミキサ53は、レベル調整部4bの出力部に接続されて、レベル調整部4bから出力される被測定信号S2を入力すると共に、第1局部発振部51から出力される第1局発信号S3を入力して、被測定信号S2と第1局発信号S3とをミキシングすることにより、被測定信号S2の周波数fiと第1局発信号S3の第1局発周波数fL1との和と差の各周波数(|fi±fL1|)の信号で構成される中間周波信号S4(以下、「信号S4」ともいう)を出力する。
第1BPF54は、図3に示すように、その通過帯域が、測定周波数帯域Aよりも十分に高い周波数f4を含み、かつ帯域幅Cが信号測定装置1の分解能帯域幅と一致する狭帯域に規定されている。また、第1BPF54は、信号S4に含まれる各周波数(|fi±fL1|)の信号のうちの低周波数側|fi−fL1|(本例では、(fL1−fi))の信号を選択的に信号S5として出力する。
この構成により、被測定信号S2について、分割帯域Ba(下限周波数f0、上限周波数f1)に含まれる周波数成分を検波するときには、第1局部発振部51から第1ミキサ53に対して、下限周波数fmin(=f4+f0)から上限周波数fmax(=f4+f1)まで周波数が掃引される第1局発信号S3が出力される。このため、第1BPF54からは、第1局発信号S3の周波数fL1の掃引に伴い、この分割帯域Baに含まれる各周波数成分が周波数f4の帯域に周波数変換されつつ、第1BPF54によって帯域幅Cに帯域制限された状態で信号S5として出力される。
また、同様にして、被測定信号S2について、分割帯域Bb(下限周波数f1、上限周波数f2)に含まれる周波数成分を検波するときには、第1局部発振部51から第1ミキサ53に対して、下限周波数fmin(=f4+f1)から上限周波数fmax(=f4+f2)まで周波数が掃引される第1局発信号S3が出力される。このため、第1BPF54からは、第1局発信号S3の周波数fL1の掃引に伴い、この分割帯域Bbに含まれる各周波数成分が周波数f4の帯域に周波数変換されつつ、第1BPF54によって帯域幅Cに制限された状態で信号S5として出力される。また、被測定信号S2について、分割帯域Bc(下限周波数f2、上限周波数f3)に含まれる周波数成分を検波するときには、第1局部発振部51から第1ミキサ53に対して、下限周波数fmin(=f4+f2)から上限周波数fmax(=f4+f3)まで周波数が掃引される第1局発信号S3が出力される。このため、第1BPF54からは、第1局発信号S3の周波数fL1の掃引に伴い、この分割帯域Bcに含まれる各周波数成分が周波数f4の帯域に周波数変換されつつ、第1BPF54によって帯域幅Cに制限された状態で信号S5として出力される。
検波部55は、第1BPF54から出力される信号S5を検波して、例えば、信号S5のRMS(Root Mean Square)値を示す検波出力(検波電圧)Vdを出力する。以上の構成により、この受信部5は、信号入力部4から出力される被測定信号S2に含まれる各周波数成分の信号レベルについて、上記した分割帯域Ba,Bb,Bcのうちから指定された1つの分割帯域毎に検出して、その検波出力Vdを出力する。
第1A/D変換部6は、受信部5から出力される検波出力Vdをサンプリングして、その電圧値を示すデータDdに変換して出力する。なお、本例では、第1A/D変換部6は、各第2A/D変換部33a,33b,33cと同じサンプリング周期で検波出力Vdをサンプリングする。処理部7は、CPU、FFT演算用のDSP、およびメモリ(いずれも図示せず)を用いて構成されて、ノイズ源特定処理およびスペクトル表示処理を実行する。この場合、メモリには、ピーク値PVa,PVb,PVcと比較するためのしきい値Vtが予め記憶されている。また、このしきい値Vtについては、不図示の操作部(キーボードや操作パネル)からしきい値Vtとなる数値を入力して、処理部7に対してこの入力した数値をしきい値Vtとしてメモリに記憶させることで、設定する構成を採用することができる。
表示部8は、一例としてLCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイ装置で構成されて、図2,4に示すように、信号測定装置1の操作パネル1aに配設されている。また、表示部8は、チャンネル表示領域8aとスペクトル表示領域8bとに表示画面が分割されている。表示部8は、チャンネル表示領域8aには、トリガ入力端子21a,21b,21c,21d(入力チャンネルCH1,CH2,CH3,CH4)に入力された各被測定信号Sta,Stb,Stc,Stdについてのピーク値PVa,PVb,PVcのうちの最大のピーク値であって、上記のしきい値Vt以上のピーク値が測定された被測定信号Stの入力チャンネル番号(CH番号)と、この最大のピーク値が測定された分割帯域を表す帯域情報(本例では、分割帯域Baを示す記号「Ba」、分割帯域Bbを示す記号「Bb」、分割帯域Bcを示す記号「Bc」)とを表示させる。また、表示部8は、スペクトル表示領域8bには、チャンネル表示領域8aに表示されている入力チャンネル番号に対応する被測定信号Stについての、チャンネル表示領域8aに表示されている1つの分割帯域に含まれる各周波数の信号レベルを周波数軸に沿って表示する(周波数スペクトルを表示する)。
次に、信号測定装置1の動作について説明する。一例として、電子機器の回路基板71から空中へ放射されるノイズ(放射ノイズ)の測定と、一定値以上の放射ノイズが検出されたときには、回路基板71に実装されている複数の電子部品(ICなど)のうちのいずれがこの放射ノイズの発生源(信号発生源)であるかの特定とを実行する例を挙げて説明する。
なお、回路基板71が載置されたテーブル(不図示)とアンテナ82との間の距離が規定の距離に設定され、また回路基板71に実装された電子部品のうちのノイズの発生源となる可能性の高い複数(本例では一例として4つ)の電子部品71a,71b,71c,71dにアンテナ81a,81b,81c,81dが配設されており、信号測定装置1の入力端子4aにアンテナ82が接続され、かつ各トリガ入力端子21a,21b,21c,21dに各アンテナ81a,81b,81c,81dが接続されているものとする。
通電状態の回路基板71では、実装されている各電子部品(電子部品71a,71b,71c,71dを含む)が作動することにより、各電子部品はノイズを放射する状態となっている。この状態において、アンテナ82は、回路基板71全体から放射されるノイズを受信して、被測定信号Siを信号測定装置1に出力する。また、各アンテナ81a,81b,81c,81dは、対応する電子部品71a,71b,71c,71dから放射されるノイズを個別に検出して被測定信号Sta,Stb,Stc,Stdを信号測定装置1に出力する。
この状態において、信号測定装置1では、信号入力部4が、アンテナ82から被測定信号Siを入力すると共に、信号レベルを変換して受信部5に出力する。また、トリガ信号入力部2が、各アンテナ81a,81b,81c,81dから各被測定信号Sta,Stb,Stc,Stdを入力すると共に信号レベルを変換して被測定信号S1として、これらの被測定信号S1を1つずつ一定周期T1で順次選択して、トリガ信号検出部3に出力する。
トリガ信号検出部3は、トリガ信号入力部2から一定周期T1で順次出力される各被測定信号S1(各トリガ入力端子21a,21b,21c,21dからの各被測定信号Sta,Stb,Stc,Stdに対応する各被測定信号S1)に対して、各分割帯域Ba,Bb,Bcに含まれる分割帯域内信号S1a,S1b,S1cについてのピーク値PVa,PVb,PVcを各第2A/D変換部33のサンプリングクロックの周期で並列的に検出して、上記の一定周期T1内における被測定信号Stについての最終的なピーク値PVa,PVb,PVcをこの一定周期T1毎に処理部7に出力する。この場合、上記したように、ピーク値PVaは、分割帯域Baに含まれる各周波数成分のうちの最大ピーク電圧Pのピーク値であり、ピーク値PVbは、分割帯域Bbに含まれる各周波数成分のうちの最大ピーク電圧Pのピーク値であり、ピーク値PVcは、分割帯域Bcに含まれる各周波数成分のうちの最大ピーク電圧Pのピーク値である。
これにより、被測定信号Staに対応する被測定信号S1についてのピーク値PVa,PVb,PVc、被測定信号Stbに対応する被測定信号S1についてのピーク値PVa,PVb,PVc、被測定信号Stcに対応する被測定信号S1についてのピーク値PVa,PVb,PVc、および被測定信号Stdに対応する被測定信号S1についてのピーク値PVa,PVb,PVcが、トリガ信号検出部3から処理部7に対して一定周期T1で順次、繰り返して出力される。
処理部7は、このようにしてトリガ信号検出部3から一定周期T1で出力される各入力チャンネルCH1,CH2,CH3,CH4の各ピーク値PVa,PVb,PVcを全入力チャンネルCH1,CH2,CH3,CH4分、入力する都度、ノイズ源特定処理を実行する。このノイズ源特定処理では、処理部7は、各入力チャンネルCH1,CH2,CH3,CH4の各ピーク値PVa,PVb,PVcのうちの最大のピーク値を検出し、次いで、検出したピーク値と上記のしきい値Vtとを比較する。この比較の結果、検出したピーク値がこのしきい値Vt未満のときには、処理部7は、特定すべきノイズ源は存在しないとして、このノイズ源特定処理を終了し、新たな各入力チャンネルCH1,CH2,CH3,CH4の各ピーク値PVa,PVb,PVcの入力を再開する。
一方、検出したピーク値と予め規定されたしきい値Vtとの比較の結果、検出したピーク値がこのしきい値Vt以上のときには、処理部7は、この最大のピーク値を検出した入力チャンネル(トリガ入力端子21)に接続されているアンテナ81が配設された電子部品(電子部品71a,71b,71c,71dのうちのいずれか)をノイズ源であると特定し、この入力チャンネルの番号、最大のピーク値が検出された分割帯域を示す記号、およびこの最大のピーク値をメモリに記憶する。これにより、ノイズ源特定処理が完了する。
このようにして、ノイズ源が特定された状態でノイズ源特定処理を完了したときには、処理部7は、スペクトル表示処理を実行する。
このスペクトル表示処理では、処理部7は、まず、受信部5に対して、ノイズ源特定処理において特定した1つの分割帯域(例えば、分割帯域Bb)を指定して、この指定した分割帯域内に含まれる各周波数成分の検波出力Vdを検出する動作を開始させる。
具体的には、処理部7は、まず、掃引信号発生部52に対して、この分割帯域Bbの下限周波数f1に対応する下限電圧値、分割帯域Bbの上限周波数f2に対応する上限電圧値、および掃引時間を示す情報を設定する。これにより、掃引信号発生部52は、この下限電圧値、上限電圧値および掃引時間に基づき、設定された掃引時間で電圧値が下限電圧値から上限電圧値までリニアに変化する掃引電圧(鋸波状や三角波状に電圧が変化する電圧信号)Vsを生成して、第1局部発振部51に出力する。この場合、掃引信号発生部52は、掃引電圧Vsが上限電圧値に達したときには、掃引電圧Vsを短時間で下限電圧値に戻し、再度、掃引電圧Vsをリニアに変化させる動作を繰り返す。
また、第1局部発振部51は、この掃引電圧Vsに基づいて、掃引電圧Vsの下限電圧値で規定される下限周波数fmin(=f1)から上限電圧値で規定される上限周波数fmax(=f2)まで、設定された掃引時間で第1局発周波数fL1がリニアに変化する第1局発信号S3を生成して、第1ミキサ53に出力する。この場合、第1局部発振部51は、第1局発周波数fL1が上限周波数fmax(=f2)に達したときには、この第1局発周波数fL1を短時間で下限周波数fmin(=f1)に戻し、再度、第1局発信号S3の周波数を第1局発周波数fL1に変化させる動作を繰り返す。
第1ミキサ53は、この第1局発信号S3と被測定信号S2とをミキシングして、被測定信号S2の周波数fiと第1局発信号S3の第1局発周波数fL1との和と差の各周波数(|fi±fL1|)の信号で構成される信号S4を出力する。次いで、第1BPF54は、信号S4に含まれる各周波数(|fi±fL1|)の信号のうちの低周波数側|fi−fL1|(本例では、周波数(fL1−fi))の信号であって、自身の通過帯域(帯域幅C)に含まれる信号を選択的に信号S5として出力する。この構成により、この第1BPF54からは、第1局発信号S3の周波数fL1の掃引に伴い、この分割帯域Bbに含まれる各周波数成分が周波数f4の帯域に周波数変換されつつ、第1BPF54によって帯域幅Cに帯域制限された状態で信号S5として出力される。検波部55は、この信号S5を検波して、検波出力Vdを出力する。
続いて、第1A/D変換部6が、この受信部5から出力される検波出力Vdをサンプリング(一例として、第2A/D変換部33と同じサンプリング周期でサンプリング)して、その電圧値を示すデータDdに変換して処理部7に出力する。次いで、処理部7のDSPが、このデータDdをサンプリング周期に同期して入力すると共に、データDdと、第1局発信号S3の第1局発周波数fL1(掃引信号発生部52による掃引電圧Vsの掃引時間、下限電圧値および上限電圧値から第1局発周波数fL1を算出可能)とに基づいて、分割帯域Bbに含まれる各周波数成分についての信号レベルを算出する。また、処理部7のCPUが、図4に示すように、表示部8のスペクトル表示領域8bに、分割帯域Bbに含まれる各周波数の信号レベルを周波数軸に沿って表示させる(周波数スペクトルを表示させる)。この際に、処理部7のCPUは、同図に示すように、選択された分割帯域Bbの下限周波数f1および上限周波数f2についても表示させる。また、処理部7のCPUは、最大のピーク値を検出した入力チャンネルの番号(例えば、入力チャンネルCH2のときには、数値「2」)、および特定された分割領域の識別記号(この例では、分割帯域Bbの識別記号「Bb」)をチャンネル表示領域8aに表示させる。これにより、スペクトル表示処理が完了する。
この状態においては、図4に示すように、最大のピーク値を検出した入力チャンネルの番号(上記の例では、入力チャンネルCH2を示す数値「2」)、特定された分割領域の識別記号(上記の例では、分割帯域Bbの識別記号「Bb」)、および回路基板71全体から空中へ放射されるノイズのうちの最大のピーク値が検出された分割帯域Bbについてのスペクトルが、表示部8に表示される。このため、このようにして表示部8に表示されている入力チャンネルの番号に基づいて、各電子部品71a,71b,71c,71dのうちのノイズ源となっている電子部品71bの特定が可能となる。また、表示部8に表示されている分割帯域Bbの識別記号「Bb」および周波数スペクトルに基づいて、回路基板71から空中へ放射されるノイズについての周波数スペクトルのうち、最大のピーク値が検出されたことでノイズレベルの高いと思われる1つの分割帯域Bbについての周波数スペクトルの測定が可能となる。
このように、この信号測定装置1では、信号選択部23を有するトリガ信号入力部2が、各トリガ入力端子21a〜21dから入力される測定周波数帯域Aの各被測定信号Sta,Stb,Stc,Stdを1つずつ順次選択して選択測定信号S1として出力し、トリガ信号検出部3が、この選択測定信号S1を入力して、測定周波数帯域Aを連続的に分割してなる各分割帯域Ba,Bb,Bcに含まれる選択測定信号S1についての分割帯域内信号S1a,S1b,S1cのピーク値PVa,PVb,PVcを並列的に検出し、処理部7が、ピーク値PVa,PVb,PVcのうちの信号レベルが最大で、かつしきい値Vt以上のピーク値が検出された分割帯域を指定して、受信部5に対して検波出力Vdを生成させる。
したがって、この信号測定装置1によれば、各トリガ入力端子21a〜21dのうちの被測定信号Stについての最大のピーク値が検出されたトリガ入力端子(入力チャンネル)を特定することで、この特定したトリガ入力端子に接続されているアンテナ81が配設された電子部品(電子部品71a,71b,71c,71dのうちの1つの電子部品)をノイズ源であると特定することができる。また、この信号測定装置1によれば、最大のピーク値が検出された分割帯域を指定して受信部5に対して検波出力Vdを生成させることができるため、この検波出力Vdと、第1局部発振部51から出力される第1局発信号S3の第1局発周波数fL1とに基づいて、最大のピーク値を含むことでノイズレベルの高いと思われる分割帯域に含まれる各周波数成分の信号レベルを周波数軸に沿って表示させることができる(周波数スペクトルを測定することができる)。
また、この信号測定装置1によれば、トリガ信号検出部3が、各分割帯域Ba,Bb,Bcに対応する通過帯域に規定されると共に、トリガ信号入力部2の出力部に入力部がそれぞれ接続されたn個(本例では3個)のフィルタ31a,31b,31cと、各フィルタ31a,31b,31cの出力部にそれぞれ接続されて、対応するフィルタ31から出力される各信号S1のピークを並列的に検出するn個(本例では3個)のピーク検出部32と、各ピーク検出部32にそれぞれ接続されて、対応するピーク検出部32で検出されたピーク値PVを並列的に検出するn個の第2A/D変換部33a,33b,33cとを備えたことにより、測定周波数帯域A内に周波数が含まれる信号の突発的な発生を簡易な構成でありながら、確実に検出して、この信号の発生源(ノイズ源)を特定することができる。
なお、上記の信号測定装置1では、測定周波数帯域Aを3つの分割帯域Ba,Bb,Bcに分割した例を挙げて説明しているが、測定周波数帯域Aは、複数であれば、3つ以外に、2つまたは4つ以上の任意の数で分割することができる。
また、信号測定装置1では、受信部5をスーパーへテロダイン方式で構成しているが、図5に示す他の受信部5Aのように、第1BPF54と検波部55との間に、第2ミキサ56a、第2局部発振部56bおよび第2BPF56cで構成される他の周波数変換部56を配置して、ダブルスーパーへテロダイン方式で構成することもできる。以下、この受信部5Aについて説明する。なお、受信部5と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
この場合、第2局部発振部56bは、一例として、信号S5の上記周波数(fL1−fi)をf5としたときに、この周波数f5よりも低い固定周波数(第2局発周波数)fL2の第2局発信号S6を生成して出力する。第2ミキサ56aは、第1BPF54から出力される信号S5を入力すると共に、第2局部発振部56bから出力される第2局発信号S6を入力して、信号S5と第2局発信号S6とをミキシングすることにより、信号S5の周波数f5と第2局発信号S6の第2局発周波数fL2との和と差の各周波数(|f5±fL2|)の信号で構成される第2中間周波信号S7(以下、「信号S7」ともいう)を出力する。第2BPF56cは、信号S7に含まれる各周波数(|f5±fL2|)の信号のうちの低周波数側|f5−fL2|の信号を選択的に信号S8として出力する。したがって、この構成では、検波部55は、第2BPF56cから出力されるダウンコンバートされた信号S8を検波して、検波出力Vdを出力する。
また、信号発生源としての複数の電子部品71a,71b,71c,71dが実装された回路基板71を被測定対象物とする例について上記したが、これに限定されるものではなく、この信号測定装置1は、信号発生源としての複数の電気モジュール(電源装置、回路基板、ディスプレイおよびキーボードなど)を備えた電子機器を被測定対象物として、この被測定対象物から空中へ放射されている放射ノイズの測定と、一定値以上の放射ノイズを発生する電気モジュールの特定とを行う例に適用することもできる。