JPH10104294A - 電磁雑音測定装置 - Google Patents

電磁雑音測定装置

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JPH10104294A
JPH10104294A JP25943796A JP25943796A JPH10104294A JP H10104294 A JPH10104294 A JP H10104294A JP 25943796 A JP25943796 A JP 25943796A JP 25943796 A JP25943796 A JP 25943796A JP H10104294 A JPH10104294 A JP H10104294A
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JP
Japan
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microstrip
electromagnetic noise
conductor
coil
dielectric substrate
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Application number
JP25943796A
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English (en)
Inventor
Kenichi Arai
賢一 荒井
Masahiro Yamaguchi
正洋 山口
Mitsuharu Watanabe
光春 渡辺
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KYODO KUMIAI JIYOINTO LAB SEND
KYODO KUMIAI JIYOINTO LAB SENDAI
Original Assignee
KYODO KUMIAI JIYOINTO LAB SEND
KYODO KUMIAI JIYOINTO LAB SENDAI
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】広帯域でGHz帯をカバーでき、かつ正確な測
定ができて電磁雑音発生源中の位置特定が可能な電磁雑
音測定装置を提供する。 【解決手段】誘電体基板の表面にほぼ1ターンのマイク
ロストリップ導体を形成し、前記誘電体基板の裏面に接
地導体を形成し、かつマイクロストリップ導体の終端部
分をチップ抵抗によって接地導体に電気的に接続して形
成された複数のマイクロストリップコイル2ijが予め定
められたピッチで配設されて一体に構成されたマイクロ
ストリップコイルアレイ2を、被測定電磁雑音発生体に
マイクロストリップ導体面を所定間隔隔てて対向させ
て、各マイクロストリップコイル2ijからの誘起電圧を
測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマイクロストリップ
コイルを用いて電磁雑音を測定する電磁雑音測定装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】電子機器において100MHzを越える
クロック周波数のコンピュータに代表されるように、電
子機器のデジタル化、高速化が進んでいる。これら2値
のデジタル信号からは偶数・奇数次を含む高周波電磁雑
音が発生するため、GHz帯をカバーする電磁雑音の測
定が望まれている。
【0003】かかる電磁雑音を測定する電磁雑音測定装
置としては、例えば特開平6−58969号公報および
特開平6−58970号公報に開示されたものがある。
これらは、不要輻射の多い電子部品が実装されたプリン
ト配線基板に近磁界プローブを対向させ、プリント配線
基板に対して近磁界プローブをX−Y−Z軸方向に移動
させて、近磁界プローブの出力によって電磁雑音を測定
している。
【0004】また、特開平6−58970号公報に開示
されたものでは、電子部品が実装されたプリント配線基
板を妨害測定用のアンテナの上に載せてプリント配線基
板の裏面側からの電磁雑音も含めて測定している。
【0005】一方、不要輻射の磁界を検出するための妨
害測定用アンテナとして、特開平6−58971号公報
に開示されたものがある。この妨害測定用アンテナは、
多層のプリント配線板上の同一位置にパターンによって
構成したコイルを直列接続して複数ターンのコイルを形
成し、表面実装型コンデンサをプリント配線板に内蔵さ
せ、複数ターンのコイルと表面実装型コンデンサとを接
続してLC共振回路をプリント配線板にマトリックス状
に配置したものが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たような従来の電磁雑音測定装置による電磁雑音の測定
ではGHz帯をカバーする電磁雑音の測定が困難である
という問題点のほか、近磁界プローブをX−Y−Z軸方
向に駆動しながら測定するために、電気的な測定時間は
短いにもかかわらず、近磁界プローブの機械的移動に時
間がかかり、高速の測定ができないという問題点があっ
た。
【0007】さらに、上記したような従来の電磁雑音測
定装置による電磁雑音の測定では近磁界プローブを移動
させるための駆動モータが常時動作しているために、駆
動モータの電磁雑音を排除する必要が生じ、近磁界プロ
ーブから離さなければならず、装置が複雑になるという
問題点もあった。
【0008】また、上記した従来の妨害測定用アンテナ
を用いるときは、共振回路構成にすることによって感度
は向上するものの狭帯域の電磁雑音しか測定できないと
いう問題点があり、広帯域化するためには共振周波数を
上げる必要が生ずるが、共振周波数を上げるためには小
型になって数MHzの周波数帯域では感度が低下すると
いう問題点があった。
【0009】さらに、上記した従来の妨害測定用アンテ
ナを用いるときに、コイル数を増加させるとアンテナ面
が被測定電磁雑音をシールドすることになって、電磁雑
音である磁界成分の方向を曲げてしまって、正確な測定
が行えないという問題点もあった。
【0010】本発明は、広帯域でGHz帯をカバーで
き、かつ正確な測定ができて電磁雑音発生源の特定が可
能な電磁雑音測定装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の電磁雑音測定装
置は、誘電体基板の表面にほぼ1ターンのマイクロスト
リップ導体を形成し、前記誘電体基板の裏面に接地導体
を形成し、かつマイクロストリップ導体の終端をチップ
抵抗によって接地導体に電気的に接続して形成された複
数のマイクロストリップコイルが予め定められたピッチ
で配設されて一体に構成されたマイクロストリップコイ
ルアレイを、被測定電磁雑音発生体にマイクロストリッ
プ導体面を所定間隔隔てて対向させて、各マイクロスト
リップコイルからの誘起電圧を測定することを特徴とす
る。
【0012】本発明の電磁雑音測定装置によれば、マイ
クロストリップコイルからの誘起電圧によって電磁雑音
が測定され、かつGHz帯域まで電磁雑音を測定するこ
とができる。また、マイクロストリップコイルアレイに
おけるマイクロストリップコイルの位置が被測定電磁雑
音発生源の位置に対応しているため、誘起電圧を発生す
るマイクロストリップコイルのマイクロストリップコイ
ルアレイ中における位置から電磁雑音発生部位が特定で
きる。
【0013】また、本発明の電磁雑音測定装置によれ
ば、電磁雑音の測定中にマイクロストリップコイルアレ
イを移動させる必要がないため、移動手段の駆動中に発
生する電磁雑音の影響を受けずに、電磁雑音の正確な測
定が行える。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる電磁雑音測
定装置を実施の一形態によって説明する。
【0015】図1は本発明の実施の一形態にかかる電磁
雑音測定装置の構成を示すブロック図である。
【0016】本発明の実施の一形態にかかる電磁雑音測
定装置1は、誘電体基板上に複数のほぼ1ターンを構成
するマイクロストリップコイル211、……、2mn(m、
nは正の整数)がマトリックス状に形成されかつマイク
ロストリップコイル211、……、2mnからの出力電圧を
選択的に切り替えて送出させるダイオードスイッチ回路
を備えたマイクロストリップコイルアレイ2と、マイク
ロストリップコイルアレイ2の一方の端部が固定され
て、図示しないX方向駆動パルスモータおよびY方向駆
動パルスモータの駆動によってマイクロストリップコイ
ルアレイ2をX−Y方向に移動させるXYスライダ3
と、マイクロコンピュータからなる後記する制御回路8
の制御のもとにX方向駆動パルスモータおよびY方向駆
動パルスモータを駆動させるための駆動信号発生回路4
と、制御回路8の制御のもとに各マイクロストリップコ
イル211、……、2mnからの出力電圧を送出させるため
の切替信号をダイオードスイッチ回路に供給する切替信
号発生回路5と、マイクロストリップコイルアレイ2か
らの出力信号を増幅する増幅器6と、増幅器6からの出
力電圧を入力するスペクトルアナライザ7と、スペクト
ルアナライザ7からの出力を受けて表示装置9の制御等
を行う制御回路8と、制御回路8の制御のもとに電磁雑
音発生位置における発生電磁雑音レベルに基づく表示を
行う表示装置9を備えている。
【0017】次に、マイクロストリップコイル211、…
…、2mnおよびマイクロストリップコイルアレイ2につ
いてそれぞれ説明する。
【0018】各マイクロストリップコイル2ij(i=1
〜m、j=1〜n)は図2の外観図に示すように、特開
平8−129058号において開示されているものであ
って、誘電体基板20を1ターンのマイクロストリップ
導体21と接地導体22とによって挾んだ構成であり、
マイクロストリップ導体21の線幅は特性インピーダン
スが50Ωとなるように設定されている。
【0019】マイクロストリップコイル2ijの終端部分
(B点)は50Ωのチップ抵抗23により整合されてい
る。
【0020】このように形成されたマイクロストリップ
コイル2ijの磁界に対する誘起電圧の発生原理を図3に
示す。一様な交流磁界がマイクロストリップコイル2ij
の面に直交する方向から印加されると、渦電流が接地導
体22の表面周辺を還流し、この渦電流によって磁束Φ
は接地導体22の表面を迂回する。このうちマイクロス
トリップ導体21と接地導体22の表面とを囲む斜線部
分への鎖交磁束により電圧が誘起され、マイクロストリ
ップコイル2ijの始端部分(A点)から出力電圧が取り
出される。
【0021】次に、マイクロストリップコイルアレイ2
の構成について説明する。図4(a)はマイクロストリ
ップコイルアレイ2を簡略化して示した模式概略図であ
り、簡単のためにマイクロストリップコイル2ijの数が
9個の場合を例示している。
【0022】図4(b)に示すように、誘電体基板25
は3層に形成され、第1層の誘電体基板25の表面に所
定間隔でマイクロストリップ導体21が形成され、各マ
イクロストリップ導体21に対向して第2層の誘電体基
板25の表面に各接地導体22が形成され、各マイクロ
ストリップ導体21の終端部分はチップ抵抗23によっ
て対応する接地導体22に電気的に接続されている。さ
らに、第3層の誘電体基板25の表面に全体接地導体2
6が形成してあって、各マイクロストリップ導体21に
対応する第3層の誘電体基板25の裏面位置に各マイク
ロストリップ導体21によって形成される各マイクロス
トリップコイル2ijの出力をオン、オフするダイオード
スイッチ回路27が形成してあり、各マイクロストリッ
プコイル2ijを構成するマイクロストリップ導体21の
始端部分は全体接地導体26と電気的に絶縁されかつ全
体接地導体26を貫通して対応するダイオードスイッチ
回路27に電気的に接続されている。
【0023】ここで、本実施の一形態では、マイクロス
トリップ導体21、接地導体22および全体接地導体2
6を銅箔で形成し、その厚さを35μmに設定し、誘電
体基板25を誘電率4.8のガラスエポキシ樹脂で形成
し、第1層および第3層の厚さを0.5mm、第2層の
厚さを3mmに設定した。このように設定することでイ
ンピーダンスが整合され、感度が最大となるためであ
る。なお、全体接地導体26を設けたのはダイオードス
イッチ回路27を被測定電磁界からシールドするためで
ある。
【0024】ダイオードスイッチ回路27は図5に示す
ように、抵抗272〜273、直流遮断のためのコンデ
ンサ271〜276およびダイオード278とから構成
され、抵抗273を介してダイオード278の陰極側に
−12Vの電圧を選択的に印加してダイオード278を
オン、オフ制御し、マイクロストリップコイル2ijの出
力電圧の送出、遮断を制御する。
【0025】ここで、ダイオードスイッチ回路27は対
応するマイクロストリップコイル2 ijからの距離がほぼ
等しくなるように、対応するマイクロストリップコイル
ijの投影面積内にほぼ位置するように設けてある。こ
のようにすることにより隣接するマイクロストリップコ
イル2ij間のピッチがダイオードスイッチ回路27によ
って制約されることはなくなる。ダイオード278に
は、オン時とオフ時のレベル差および動作周波数が必要
とする値以上のダイオードが選択される。ダイオード2
78は本例では例えばレベル差35dB以上、動作周波
数1MHz以上のものから選択される。
【0026】なお、上記例示では簡単のために、マイク
ロストリップコイルアレイ2が9個のマイクロストリッ
プコイル2ijによって構成されている場合を示したが、
電磁雑音測定装置1を、例えばA列4号のサイズのプリ
ント配線基板に設けられた電子回路からの電磁雑音測定
を可能なものであるとすれば、誘電体基板25の表面積
をA列4号のサイズに設定し、mおよびnの値を実装可
能なマイクロストリップコイル2ijのサイズによって設
定すればよい。各マイクロストリップコイル2 ij間のピ
ッチを等しく設定すると電磁雑音の測定に好都合であ
る。
【0027】電磁雑音の測定において、マイクロストリ
ップコイル211、 ……、2mnを構成するマイクロスト
リップ導体21の表面が被測定電磁雑音発生源に対向す
るように設置される。
【0028】以上のように構成された電磁雑音測定装置
1の作用について説明する。
【0029】例えば図示しないキースイッチ群中の測定
開始指示キースイッチの押圧によって測定開始指示が制
御回路8に与えられると、制御回路8の制御のもとにマ
イクロストリップコイルアレイ2を予め定められた原点
位置に移動させるべく駆動信号発生回路4に駆動信号が
制御回路8から送出され、この駆動信号に基づく駆動パ
ルスによってXおよびY方向駆動パルスモータが駆動さ
れ、XYスライダ3が移動させられて、マイクロストリ
ップコイルアレイ2が予め定められた原点位置にまで移
動させられる。
【0030】この状態においてマイクロストリップコイ
ルアレイ2が被測定電磁雑音発生源であるプリント配線
基板に対向する位置になっている。マイクロストリップ
コイルアレイ2が原点位置にまで移動させられると、制
御回路8の制御のもとに切替信号発生回路5から、予め
定められた順序および時間間隔で各ダイオードスイッチ
回路27に、ダイオード278を選択的にオン状態にす
る−12Vの切替電圧が出力される。この切替信号を受
けて、予め定められた順序および時間間隔でダイオード
278がオン状態にされて、ダイオード278がオン状
態にされたマイクロストリップコイル2ijからの出力電
圧が増幅器6に送出されて増幅のうえ、スペクトルアナ
ライザ7に供給され、周波数分析されて、周波数分析結
果に基づく出力レベル情報が制御回路8に送出される。
【0031】周波数分析結果に基づく出力レベル情報を
受けた制御回路8は各周波数成分毎に、切替信号を送出
したダイオードスイッチ回路27に対応する誘電体基板
25上におけるマイクロストリップコイル2ijの位置
に、同一周波数成分の出力電圧レベルに対応する表示を
表示装置9に表示させる。
【0032】その表示の一例は図6および図7(a)、
(b)に示すごとくである。
【0033】マイクロストリップコイルアレイ2をCP
U(486SX16MHz)の直上約5mmの位置にマ
イクロストリップ導体21の面がCPUに対向するよう
に固定し、マイクロストリップコイル2ijからの出力電
圧を増幅器6(ヒューレットパッカード社製HP844
7D)で増幅し、スペクトルアナライザ7(ヒューレッ
トパッカード社製HP8554B)により周波数スペク
トルとして測定したときにおいて、図6はクロック周波
数16MHzにて動作のCPUによりC言語によるプロ
グラム実行中における一つのマイクロストリップコイル
ijからの出力電圧のスペクトルを示し、クロック周波
数16MHzの高調波スペクトルが観測されている。図
7(a)および(b)はこのスペクトルの32MHzお
よび64MHzの成分に着目し、電磁雑音の強度分布を
示したものである。図7(a)、(b)の中心位置がC
PUの中心位置であり、図7(a)、(b)の端辺がほ
ぼCPUの外形と等しい位置に対応している。図7に示
すように、周波数が一定であっても電磁雑音の強度分布
があること、および周波数が異なる場合には強度分布も
異なることがわかる。
【0034】また、レベル表示に代わって各マイクロス
トリップコイル2ijからの出力電圧レベルに対応させた
色によって表示する色表示であってもよい。
【0035】次に、予め定められた原点位置に移動させ
られて電磁雑音の測定が済んだときは、制御回路8の制
御のもとにマイクロストリップコイルアレイ2がX方向
において隣接するマイクロストリップコイル2ijとのピ
ッチの1/2の距離だけX方向に移動させるべく、駆動
信号発生回路4に駆動信号が制御回路8から送出され、
この駆動信号に基づく駆動パルスによってX方向駆動パ
ルスモータが駆動され、XYスライダ3が移動させられ
てマイクロストリップコイルアレイ2がX方向において
隣接するマイクロストリップコイル2ijとのピッチの1
/2の距離だけX方向に移動させられて、原点位置の場
合と同様に電磁雑音の測定が行われる。このようにする
ことによって、X方向の電磁雑音測定位置の分解能を上
げることが可能である。また、Y方向についても同様で
ある。また、移動距離は隣接するマイクロストリップコ
イル2ijとのピッチの1/2の距離に限らず、他の値、
例えば1/3の値であっても差し支えない。
【0036】なお、上記した電磁雑音測定装置1におい
て、各マイクロストリップコイル2 ijからの出力電圧を
ダイオードスイッチ回路27によって選択的に取り出す
場合を例示したが、ダイオードスイッチ回路27に代わ
ってマルチプレクサ、ダイオードマトリックス等を用い
ることもできる。
【0037】次に、本実施の一形態におけるマイクロス
トリップコイル2ijによって測定される電磁雑音の周波
数限界について説明する。
【0038】図8は周波数限界を示すためにコイル部分
が同寸法である2端子コイルおよびマイクロストリップ
コイル2ijの出力電圧を比較したものである。図8にお
いて、○、□が実測値であり、破線、実線が計算値であ
って、○および破線は2端子コイルの出力電圧を、□お
よび実線はマイクロストリップコイル2ijの出力電圧を
示している。図9(a)および(b)は図8における計
算値の算出に用いた等価回路であり、図9(a)は2端
子コイルの等価回路を表し、図9(b)はマイクロスト
リップコイル2ijの等価回路を表している。
【0039】図9(a)に示す2端子コイルではコイル
自身のインピーダンスは277Ωで、線路と測定器の特
性インピーダンス50Ωとは異なっている。2端子コイ
ルでは、そのインピーダンスを50Ωに設定し、かつ周
波数に拘らずこれを一定に保つことは不可能である。
【0040】これに対し、マイクロストリップコイル2
ijでは、コイル自身の特性インピーダンスを周波数に拘
らず50Ω、また必要であれば50Ω以外の所望の値に
保つことができる。
【0041】コイルで発生した誘起電圧はコイルから線
路を伝播して計測器に至る訳であるが、図9(a)に示
した2端子コイルのように2端子コイルと線路のインピ
ーダンスが異なると、両者の接続点で電圧の一部が反射
し、計測器において計測される電圧は2端子コイルで発
生した誘起電圧とは異なる電圧となる。この誤差は高周
波になるほど顕著であり、そのため2端子コイルでは高
周波計測が困難になる。これに対しマイクロストリップ
コイル2ijでは整合が採られているため、かかる問題は
ない。等価回路内に示されている電圧源Pcは鎖交磁束
による誘起電圧であり、ネットワークアナライザの端子
間電圧は回路シミュレータPspiceにより求めた。
実測値は約1GHzにおいて極大値を示しており、これ
は2端子コイルおよびマイクロストリップコイル2ij
励磁に用いた励磁コイルの反共振によるものである。
【0042】しかし、同一の励磁条件のもとでマイクロ
ストリップコイル2ijの出力電圧は同じコイル寸法の2
端子コイルよりも高周波領域まで周波数に比例してい
る。
【0043】これは次の理由である。2端子コイルの場
合、検出コイルと電送線路との接続点および終端部分に
おいてインピーダンスが整合しておらず、2点間で多重
反射が起きて、これらの反射波同士が干渉することによ
り出力電圧は200MHz以上で周波数に比例しない。
一方、マイクロストリップコイル2ijの場合、接続点お
よび終端部分がほぼ整合されているため反射は十分に小
さく、このためマイクロストリップコイル2ijの使用帯
域は共振波長により制限される。これがマイクロストリ
ップコイル2ijのインピーダンス整合による基本的特徴
である。
【0044】次に、マイクロストリップコイル2ij単体
による電磁雑音の測定について説明する。
【0045】マイクロストリップコイル2ijがCPU
(486SX16MHz)の直上約5mmの位置にマイ
クロストリップ導体21の面がCPUに対向するように
マイクロストリップコイルアレイ2を固定し、マイクロ
ストリップコイル2ijからの出力電圧を増幅器6(ヒュ
ーレットパッカード社製HP8447D)で増幅し、ス
ペクトルアナライザ7(ヒューレットパッカード社製H
P8554B)により周波数スペクトルとして測定し
た。
【0046】図10は上記のようにして測定された周波
数スペクトルである。図10(a)はバックグラウンド
雑音であり、シールドを施していないためFM放送の周
波数、TV放送の周波数などが測定されている。図10
(b)はC言語による計算プログラムを実行させた場合
の周波数スペクトルである。線幅の細い16MHz間隔
の周波数スペクトルはCPUのクロック周波数の高調波
成分であり、1GHz近くにまで及んでいる。マイクロ
ストリップコイル2ijの出力電圧は周波数に比例するた
め、高調波成分の強度は必ずしも高調波の次数に反比例
して減少しない。100〜200Mzの包絡線的なピー
クはスイッチング電源からの電磁雑音であると考えられ
る。この他、ハードディスクドライブ等のように動作が
異なる場合には異なる周波数スペクトルが測定された。
【0047】上記から、マイクロストリップコイル2ij
によって電磁雑音が0〜1GHzの広帯域で測定するこ
とが可能であることがわかる。
【0048】次に、マイクロストリップコイルアレイ2
における隣接マイクロストリップコイル2ij間の相互作
用、インピーダンス整合について説明する。
【0049】先ず、隣接マイクロストリップコイル2ij
間の相互作用について説明する。
【0050】マイクロストリップ導体21の形状は矩形
状のほぼ1ターンとし、平行なストリップ導体21の間
隔は相互作用を無視できる寸法とする。図2に示したマ
イクロストリップ導体21についてみた場合、相対向す
る平行導体間の間隔は最小3mmあれば平行導体間の相
互作用は無視できる。すなわち、図2において、x=3
mm、y=3mmが平行導体間の相互作用が無視できる
最小間隔である。この関係は隣り合うマイクロストリッ
プコイル2ijの間においても同様であって、隣り合うマ
イクロストリップコイル2ijを構成するマイクロストリ
ップ導体21の平行導体間の間隔は最小3mmあれば相
互作用は無視できる。さらにダイオードスイッチ回路2
7の実装には10mm×10mm程度の面積が必要であ
ることを考慮し、電磁雑音測定装置1では、マイクロス
トリップ導体21の1辺の長さおよび平行なマイクロス
トリップ導体21間の距離を共に7.5mmとする。こ
れは相互作用が小さいと見積もれる隣接間距離であると
共に、マイクロストリップコイル2ijを平面方向へ隣接
間隔だけシフトして全領域を測定できる寸法でもある。
【0051】次にインピーダンス整合について説明す
る。
【0052】本実施の一形態のマイクロストリップコイ
ルアレイ2は全体としてインピーダンス整合を行う必要
がある。ダイオードスイッチ回路27からの各引き出し
線は50Ωのマイクロストリップ線路により構成するこ
とにより整合は確保されるが、マイクロストリップコイ
ルアレイ2の出力引出線との分岐点については、マイク
ロストリップコイルアレイ2からの出力点とマイクロス
トリップコイル2ijの位置との相対関係に基づいて検討
することが必要である。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように本発明にかかる電磁
雑音測定装置によれば、マイクロストリップコイルの誘
起電圧によって電磁雑音を測定するため、その帯域は広
くGHzまでの周波数の電磁雑音を測定することができ
るという効果が得られる。
【0054】また、本発明にかかる電磁雑音測定装置に
よれば、マイクロストリップコイルアレイを構成する複
数のマイクロストリップコイルからの誘起電圧を測定す
ることによって電磁雑音を測定しているために、測定に
長時間を必要としないという効果が得られる。
【0055】さらに、本発明にかかる電磁雑音測定装置
によれば、誘起電圧を発生するマイクロストリップコイ
ルのマイクロストリップコイルアレイ中における位置か
ら電磁雑音発生位置が特定できて、近磁界プローブのよ
うに被測定電磁雑音発生体上を移動させる必要がないと
いう効果も得られる。この結果、移動手段の駆動中に発
生する移動手段から発生する電磁雑音の影響を受けるこ
とがないという効果も得られる。
【0056】さらに、本発明にかかる電磁雑音測定装置
によれば、マイクロストリップコイルアレイを互いに直
交する方向に予め定められた距離移動させる移動手段を
備え、移動手段によるマイクロストリップコイルアレイ
の1回の移動長は隣接するマイクロストリップコイルの
ピッチの数分の1で済むため、マイクロストリップコイ
ルアレイ移動に長時間を必要とせず、かつ測定間の分解
能を向上させるという効果も得られる。
【0057】また、本発明にかかる電磁雑音測定装置に
よれば、電磁雑音の測定中にマイクロストリップコイル
アレイを移動させる必要がないため、移動手段から発生
する電磁雑音の影響を受けることがないという効果も得
られる。
【0058】本発明にかかる電磁雑音測定装置によれ
ば、マイクロストリップコイルからの誘起電圧をスイッ
チ回路によって選択的に取り出し、スイッチ回路をダイ
オードスイッチ回路で構成できるため、スイッチ回路は
簡単に構成できるという効果も得られる。
【0059】また本発明にかかる電磁雑音測定装置にお
いて、全体接地導体を形成したときはスイッチ回路が被
測定電磁界からシールドされるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる電磁雑音測定装
置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の一形態にかかる電磁雑音測定装
置に用いるマイクロストリップコイルの構成を示す模式
外観図である。
【図3】本発明の実施の一形態にかかる電磁雑音測定装
置に用いるマイクロストリップコイルの誘起電圧発生の
原理の説明に供する図である。
【図4】本発明の実施の一形態にかかる電磁雑音測定装
置に用いるマイクロストリップコイルアレイの模式外観
図および該マイクロストリップコイルアレイを構成する
マイクロストリップコイルの分解斜視図である。
【図5】本発明の実施の一形態にかかる電磁雑音測定装
置に用いるマイクロストリップコイルアレイのダイオー
ドスイッチ回路の回路図である。
【図6】本発明の実施の一形態にかかる電磁雑音測定装
置による測定電磁雑音の周波数スペクトルを示す図であ
る。
【図7】本発明の実施の一形態にかかる電磁雑音測定装
置による測定電磁雑音を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の一形態にかかる電磁雑音測定装
置に用いるマイクロストリップコイルの周波数対出力電
圧の特性を示す図である。
【図9】本発明の実施の一形態にかかる電磁雑音測定装
置に用いるマイクロストリップコイルの特性説明に供す
る等価回路図である。
【図10】本発明の実施の一形態にかかる電磁雑音測定
装置に用いるマイクロストリップコイルにより測定した
電磁雑音の周波数スペクトルを示す説明図である。
【符号の説明】
1 電磁雑音測定装置 2 マイクロストリップコイルアレイ 2ij マイクロストリップコイル 3 XYスライダ 4 駆動信号発生回路 5 切替信号発生回路 7 スペクトルアナライザ 8 制御回路 9 表示装置 20および25 誘電体基板 21 マイクロストリップ導体 22 接地導体 23 チップ抵抗 27 ダイオードスイッチ回路 278 ダイオード

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】誘電体基板の表面にほぼ1ターンのマイク
    ロストリップ導体を形成し、前記誘電体基板の裏面に接
    地導体を形成し、かつマイクロストリップ導体の終端を
    チップ抵抗によって接地導体に電気的に接続して形成さ
    れた複数のマイクロストリップコイルが予め定められた
    ピッチで配設されて一体に構成されたマイクロストリッ
    プコイルアレイを、被測定電磁雑音発生体にマイクロス
    トリップ導体面を所定間隔隔てて対向させて、各マイク
    ロストリップコイルからの誘起電圧を測定することを特
    徴とする電磁雑音測定装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の電磁雑音測定装置におい
    て、マイクロストリップコイルアレイの一端部が固定さ
    れてマイクロストリップコイルアレイを互いに直交する
    方向に予め定められた距離移動させる移動手段を備えた
    ことを特徴とする電磁雑音測定装置。
  3. 【請求項3】請求項2記載の電磁雑音測定装置におい
    て、移動手段によるマイクロストリップコイルアレイの
    1回の移動長は隣接するマイクロストリップコイルのピ
    ッチの数分の1であることを特徴とする電磁雑音測定装
    置。
  4. 【請求項4】請求項1記載の電磁雑音測定装置におい
    て、マイクロストリップコイルアレイを構成する各マイ
    クロストリップコイルからの誘起電圧はスイッチ回路に
    よって選択的に取り出されることを特徴とする電磁雑音
    測定装置。
  5. 【請求項5】請求項4記載の電磁雑音測定装置におい
    て、スイッチ回路はダイオードスイッチ回路であること
    を特徴とする電磁雑音測定装置。
  6. 【請求項6】請求項1記載の電磁雑音測定装置におい
    て、マイクロストリップコイルアレイは、マイクロスト
    リップコイルアレイの誘電体基板が3層に形成され、誘
    電体基板の第1層の表面に所定間隔でマイクロストリッ
    プ導体が形成され、誘電体基板の第2層の表面に各マイ
    クロストリップ導体に対向する接地導体が形成され、各
    マイクロストリップ導体の終端部分はチップ抵抗によっ
    て対応する接地導体に電気的に接続され、誘電体基板の
    第3層の表面に全体接地導体が形成され、各マイクロス
    トリップ導体に対応する第3層の誘電体基板の裏面位置
    に各マイクロストリップ導体によって形成される各マイ
    クロストリップコイルの出力を選択的にオン、オフする
    スイッチ回路が形成され、各マイクロストリップコイル
    を構成するマイクロストリップ導体の始端部分は全体接
    地導体と電気的に絶縁されかつ全体接地導体を貫通して
    対応するスイッチ回路に電気的に接続されていることを
    特徴とする電磁雑音測定装置。
  7. 【請求項7】請求項6記載の電磁雑音測定装置におい
    て、スイッチ回路はダイオードスイッチ回路であること
    を特徴とする電磁雑音測定装置。
  8. 【請求項8】請求項6記載の電磁雑音測定装置におい
    て、スイッチ回路は対応するマイクロストリップコイル
    からの距離がほぼ等しくなるように配置されることを特
    徴とする電磁雑音測定装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009058384A (ja) * 2007-08-31 2009-03-19 Taiyo Yuden Co Ltd 電磁界強度測定用プローブ及び電磁界強度の測定装置
US7924232B2 (en) 2007-06-21 2011-04-12 Panasonic Corporation Electromagnetic wave measuring method and electromagnetic wave measuring apparatus
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JP2017508985A (ja) * 2014-01-30 2017-03-30 イーエムスキャン コーポレイション 被試験電子デバイスから放射される電磁場の高分解能空間走査のためのスキャナシステム及び方法
JP2021531681A (ja) * 2018-07-16 2021-11-18 ライトポイント・コーポレイションLitePoint Corporation EHF(Extremely High Frequency)無線通信機器のアクティブアレイアンテナ中の破損素子を検出するためのOTA(Over−The−Air)試験用システム及び方法

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