1.第1実施形態
本発明の第1実施形態を図1〜図10(C)を参照して説明する。ここでは、まず図19を参照して比較例の電子時計の表示における問題を説明してから、本実施形態の電子時計を説明する。
1.1.比較例の電子時計の表示の問題
図19は、比較例の電子時計100の正面図である。電子時計100はメモリー性をもった表示部103を有している。そして、例えばパワーセーブモード(右図)を備えており、同モードでは表示の更新を行わないことで低消費電力を実現する。
ここで、比較例の電子時計100では、パワーセーブモードに移行する場合には時刻表示を消去する(右図)。時刻表示を消去しないと、時刻表示が表示部103のメモリー性によってパワーセーブモードでも残る。すると、使用者が更新されない時刻表示(図19では14:18)を現在時刻と誤認するからである。
図19のようにPOWER SAVEの文字が表示されることで使用者は通常表示でないと認識はできる。しかし、直ちに時刻を知ることはできず不便である。比較例の電子時計100では、例えば操作ボタンを押すなどの操作をして、電子時計100に通常表示(左図)をさせて時刻を知る必要がある。
このとき、使用者はおおよその時刻さえ知ることはできず、時計としての機能が失われている。以下の本実施形態の電子時計では、消費電力を抑える表示モードでこのような問題が生じることはない。
1.2.本実施形態の電子時計の表示例
図1は、本実施形態の電子時計1の正面図である。本実施形態の電子時計1は、表示モードとして、第1モード(ST1)と第2モード(ST2)を有している。
図1において、左側の図は第1モードにおける電子時計1の表示例、右側の図は第2モードにおける電子時計1の表示例である。なお、TC1、TC3は表示モードの遷移を表し、それぞれ第1モードから第2モードへの遷移、第2モードから第1モードへの遷移である。
電子時計1は、時計ケース2と、時計ケース2に連結された一対のバンド4とを備える。時計ケース2の正面には、EPD(電気泳動表示装置)の表示部3、操作ボタン6、7が設けられている。これらの操作ボタンは、例えば表示部3の表示モードに関するパラメーターを設定する入力手段として用いられる。また、図1では電子時計1は腕時計であるが、例えば置時計、掛け時計などであってもよい。
表示部3の表示は、表示モードに応じて切り替わる。電子時計1の表示モードは通常は第1モード(ST1)になっている。第1モードは、通常表示、すなわち少なくとも1分桁までの正確な時刻表示を含む表示を行う。なお、通常表示は、図1の左側の図のような時分の表示だけでなく、さらに秒、年月日、文字、図形、記号、背景等の表示を含んでいてもよい。
図1の例では、電子時計1の表示モードが第1モードである場合に、表示部3の表示は少なくとも1分おきに更新され、使用者に現在時刻を示す。
そして、消費電力を抑える必要がある場合に、電子時計1の表示モードは第2モードに切り替わる(TC1)。第2モード(ST2)は、通常表示とは異なる時刻表示を行う。
電子時計1の表示モードが第2モードである場合には、表示部3の表示は通常表示よりも更新間隔が長い。そのため、駆動パルス信号に基づく電圧を印加する時間を減らし、消費電力を抑えることができる。つまり、表示モードを第2モードとすることで、電子時計1は一種のパワーセーブモードを実現できる。
図1の例では、電子時計1の表示モードが第1モードである場合、表示部3の表示の更新間隔は1分である。そして、電子時計1の表示モードが第2モードである場合、表示部3の表示の更新間隔は1時間であり、大幅に消費電力を抑えることができる。
ここで、図1の例の第2モードでは、表示部3の表示の更新間隔は1時間であるため、分桁の表示を正しく更新することはできない。使用者が、更新がされない分桁を現在時刻であると誤って認識することを避けるために、図1の右側の図のように分桁は数字以外の表示(“xx”)を行っている。
本実施形態の電子時計1は、通常表示(ST1)を行わない場合には、電力消費を抑えながらも少なくとも時桁を表す表示を行う(ST2)。この表示により使用者におおよその時刻(図1の例では14時台)を知らせることができる。そのため、低消費電力を実現しながら、直ちに時刻を知りたい使用者の要求に応えることが可能になる。
なお、消費電力を抑える必要がなくなった場合に、電子時計1の表示モードは第1モードに戻る(TC3)。そして、通常表示が行われることになる。
1.3.表示モードの遷移
図2は、本実施形態における表示モードの切り替えを示す状態遷移図である。図1と同じ要素には同じ符号を付しており説明を省略する。
前記の通り、本実施形態の電子時計の表示モードは、通常の場合、通常表示を行う第1モードである(ST1)。しかし、消費電力を抑える必要がある場合に、表示モードが第2モードに切り替わる(TC1)。
そして、第2モードでは通常表示とは異なる時刻表示が行われる(ST2)。第2モードは、通常表示よりも長い時間間隔(例えば、1時間)で表示の更新を行う(TC2)。消費電力を抑える必要がなくなった場合に、表示モードが第1モードに戻り、通常表示が行われる(TC3)。
なお、第1モードの通常表示においては、表示が少なくとも1分おきに更新されて、使用者に現在時刻を示すが、図2ではその遷移条件の記載は省略している。
ここで、本実施形態の電子時計は、電池を長持ちさせるためにパワーセーブモードを有している。そして、パワーセーブモードの場合には、電子時計1の表示モードは電力消費を抑える第2モードになる。
本実施形態では、後述するように電子時計が動きセンサーを含んでおり、使用者の動きを感知せず、時計が使用されていないと判断した場合にはパワーセーブモードになる。また、パワーセーブモードにおいて、動きを感知して、時計が使用されていると判断した場合には通常動作を行うモードに復帰する。そして、表示モードも第1モードとなって通常表示が行われる。
従って、本実施形態では、第1モードから第2モードへの遷移条件(TC1)は、使用者の動きを感知しないことであり、第2モードから第1モードへの遷移条件(TC2)は、使用者の動きを感知することである。なお、例えばタイマー等を併用して、使用者の動きを感知しない状態が一定時間続くことを遷移条件(TC1)としてもよいし、使用者の動きを一定時間以上、感知することを遷移条件(TC2)としてもよい。
ここで、前記のように、第2モードでは通常表示よりも長い時間間隔(例えば、1時間)でしか表示の更新が行われない。しかし、本実施形態の電子時計はメモリー性を有するEPD(電気泳動表示装置)の表示部を用いており、通常表示とは異なる時刻表示が長時間保持される。
以下に、EPDを含めた本実施形態の電子時計の構成ブロック図を示し、EPDの駆動方法等について説明する。
1.4.電子時計のブロック図
図3は、本実施形態における電子時計1のブロック図を表す。前記の表示モードの切り替えは、例えば図3の構成によって実現可能である。
電子時計1は、図3に示すように、発振回路11、分周回路12、計時カウンター13、表示制御回路14、EPD10、スイッチ15、16、時刻修正回路17、タイマー22、動きセンサー43、動き検出回路44を含む。なお、図3では電源の記載を省略しているが、電子時計1は1次電池を含んでいてもよいし、発電装置と2次電池を含んでいてもよい。
発振回路11は、例えば水晶振動子等の基準発振源を高周波発振させ、基準発振信号を生成する。
分周回路12は、発振回路11で生成された基準発振信号を分周して所定の基準信号(例えば、1Hzの信号)を生成する。
計時カウンター13は、分周回路12で生成された基準信号をカウントして、例えば現在時刻を計時する。計時カウンター13は電子時計1の計時手段として機能する。計時カウンター13は、例えば現在時刻を表す時刻信号を表示制御回路14に出力する。
スイッチ15、16は、外部からの入力手段である操作ボタン6、7(図1参照)を押すことでオン状態となる。スイッチ15、16は、操作ボタン6、7の入力を検出する入力検出手段である。スイッチ15、16は、検出した操作ボタン6、7の入力に応じた信号を、時刻修正回路17および表示制御回路14に出力する。
時刻修正回路17は、各スイッチ15、16からの信号に基づいて時刻修正信号を生成し、計時カウンター13に出力する。計時カウンター13は、時刻修正信号に従って時刻信号の修正を行う。
動きセンサー43は、使用者の動きを検出して、動きに応じた信号を動き検出回路44に出力する。動き検出回路44では、センサー43からの信号に基づいて、電子時計1が使用されているか否かを判断する。そして、電子時計1の使用時と不使用時とを区別する信号を表示制御回路14、タイマー22に入力する。
電子時計1が腕時計であれば、動きセンサー43は例えば加速度センサーであって、使用者の腕の動きを検出してもよい。また、電子時計1が置時計であれば、動きセンサー43は例えば赤外線を感知するセンサーであって、電子時計1の周囲に人が居るかどうかを検出してもよい。
例えば動き検出回路44は、電子時計1が腕時計であれば、使用者の腕の動きがあれば電子時計が使用中であると判断できる。また、電子時計1が置時計であれば、周囲に人がいれば電子時計が使用中であると判断できる。
タイマー22は、分周回路12から基準信号を受け取る。そして、動き検出回路44が、電子時計1が使用されていないと判断した場合の不使用時間を計る。そして、所定の時間以上、不使用時間が継続していれば、そのことを示す信号を表示制御回路14に出力する。
なお、タイマー22は、電子時計1が不使用状態でなくなったことを示す信号を動き検出回路44が出力した場合に、その信号の継続時間を測ってもよい。そして、所定の時間以上、電子時計1の使用状態が継続していれば、そのことを示す信号を表示制御回路14に出力してもよい。
表示制御回路14は、制御信号18によって、EPD10に表示させる内容、および表示モードを制御する。表示制御回路14は、電子時計1の表示を制御する制御手段として機能する。
表示制御回路14は、通常、表示モードを第1モードとしている。そして、計時カウンター13からの時刻信号に基づいて、EPD10に時刻表示を行わせる。
しかし、消費電力を抑える必要がある場合に、表示モードを第2モードとする。第2モードでは、EPD10に通常表示とは異なる時刻表示を行わせる。
本実施形態では、消費電力を抑える必要がある場合とは、動き検出回路44が、電子時計1が使用されていないと判断し、その不使用状態との判断が所定の時間以上継続することである。つまり、具体的には、タイマー22からの信号の変化に基づいて、表示制御回路14は、表示モードを第2モードとする。
なお、表示制御回路14は、動き検出回路44が、電子時計1が使用されていないと判断した場合に、直ちに表示モードを第2モードとすることも可能である。しかし、この場合には、誤検出によって通常表示が行われなくなる恐れがある。そのため、タイマー22からの信号の変化に基づいて表示モードを第2モードとすることが好ましい。
そして、第2モードであって消費電力を抑える必要がなくなった場合に、表示制御回路14は、表示モードを第1モードに戻す。
本実施形態では、消費電力を抑える必要がなくなった場合とは、動き検出回路44が、電子時計1が使用され始めたと判断することである。つまり、具体的には、動き検出回路44からの信号の変化に基づいて、表示制御回路14は、表示モードを第1モードに戻す。
なお、表示制御回路14は、動き検出回路44が、電子時計1が使用され始めたことを示す信号を所定の時間以上継続して出力した場合に、第1モードに戻すことも可能である。しかし、この場合には、使用者が電子時計を使用したいにもかかわらず、通常表示が行われない状態がしばらく続くことになる。そのため、動き検出回路44からの信号の変化に基づいて、直ちに第1モードに戻すことが好ましい。
本実施形態の電子時計1は表示装置としてEPD10を含む。後述のように、EPD10では電極間に電位差がない場合には電気泳動粒子が移動しない。そのため、メモリー性を有している。EPD10は、電子時計1のメモリー性の表示手段として機能する。なお、EPD10の表示部が図1の表示部3に対応する。
また、表示の更新時以外は、駆動パルス信号に基づく電圧を印加して共通電極と画素電極間に電位差を与える必要がない。そのため、通常表示よりも更新間隔が長い第2モードでは、消費電力を抑えることができる。
1.5.EPD
1.5.1.EPDの構成
図4は、本実施形態のアクティブマトリックス方式のEPD(電気泳動表示装置)の構成を示す図である。なお、駆動方式がセグメント方式であってもよいし、EPDに代えてメモリー性液晶表示装置が使用されてもよい。
EPD10は、EPD制御部60、記憶部160、表示部3を含む。EPD制御部60は、表示部3を制御し、走査線駆動回路61、データ線駆動回路62、コントローラー63、共通電源変調回路64を含む。本実施形態では、EPD制御部60が表示制御回路14(図3参照)からの制御信号18に基づいて表示部3を制御するとして説明するが、EPD制御部60の機能の一部又は全てが表示制御回路14に含まれていてもよい。
走査線駆動回路61、データ線駆動回路62,共通電源変調回路64は、それぞれコントローラー63と接続されている。コントローラー63は、記憶部160から読み出される画像信号等や制御信号18に基づいて、これらを総合的に制御する。なお、コントローラー63は、記憶部160を含んでいてもよい。
記憶部160は、SRAM、DRAM、その他のメモリーであってもよく、少なくとも表示部3に表示させる画像のデータ(画像信号)を記憶している。また、記憶部160には、コントローラー63によって制御に必要な情報が記憶されてもよい。
表示部3には、走査線駆動回路61から延びる複数の走査線66と、データ線駆動回路62から延びる複数のデータ線68とが形成されており、これらの交差位置に対応して複数の画素40が設けられている。
走査線駆動回路61は、m本の走査線66(Y1、Y2、…、Ym)により各画素40に接続されている。走査線駆動回路61は、コントローラー63の制御に従って1行目からm行目までの走査線66を順次選択することで、画素40に設けられた駆動用TFT48(図5参照)のオンタイミングを規定する選択信号を供給する。
データ線駆動回路62は、n本のデータ線68(X1、X2、…、Xn)により各画素40に接続されている。データ線駆動回路62は、コントローラー63の制御に従って、画素40のそれぞれに対応する1ビットの画像データを規定する画像信号を画素40に供給する。なお、本実施形態では、画素データ「0」を規定する場合には、ローレベルの画像信号を画素40に供給し、画像データ「1」を規定する場合には、ハイレベルの画像信号を画素40に供給するものとする。
表示部3には、また、共通電源変調回路64から延びる低電位電源線49(Vss)、高電位電源線50(Vdd)、共通電極配線55(Vcom)、第1のパルス信号線91(S1)、第2のパルス信号線92(S2)が設けられており、それぞれの配線は画素40と接続されている。共通電源変調回路64は、コントローラー63の制御に従って上記配線のそれぞれに供給する各種信号を生成する一方、これら各配線の電気的な接続及び切断(ハイインピーダンス化、Hi−Z)を行う。
1.5.2.画素部分の回路構成
図5は、図4の画素40の回路構成図である。なお、図4と同じ配線には同じ番号を付しており、説明は省略する。また、全画素に共通の共通電極配線55については記載を省略している。
画素40には、駆動用TFT(Thin Film Transistor)48と、ラッチ回路70と、スイッチ回路80が設けられている。画素40は、ラッチ回路70により画像信号を電位として保持するSRAM(Static Random Access Memory)方式の構成をとる。
駆動用TFT48は、N−MOSトランジスタからなる画素スイッチング素子である。駆動用TFT48のゲート端子は走査線66に接続され、ソース端子はデータ線68に接続され、ドレイン端子はラッチ回路70のデータ入力端子に接続されている。ラッチ回路70は転送インバーター70tと帰還インバーター70fとを備えている。インバーター70t、70fには、低電位電源線49(Vss)と高電位電源線50(Vdd)から電源電圧が供給される。
スイッチ回路80は、トランスミッションゲートTG1、TG2からなり、ラッチ回路70に記憶された画素データのレベルに応じて、画素電極35(図6(B)、図6(C)参照)に信号を出力する。なお、Vaは、1つの画素40の画素電極へ供給される電位(信号)を意味する。
ラッチ回路70に画像データ「1」(ハイレベルの画像信号)が記憶されて、トランスミッションゲートTG1がオン状態となると、スイッチ回路80はVaとして信号S1を供給する。一方、ラッチ回路70に画像データ「0」(ローレベルの画像信号)が記憶されて、トランスミッションゲートTG2がオン状態となると、スイッチ回路80はVaとして信号S2を供給する。このような回路構成により、EPD制御部60はそれぞれの画素40の画素電極に対して供給する電位(信号)を制御することが可能である。
1.5.3.表示方式
本実施形態のEPD10は、二粒子系マイクロカプセル型の電気泳動方式であるとする。分散液は無色透明、電気泳動粒子は白色又は黒色のものであるとすると、白色又は黒色の2色を基本色として少なくとも2色を表示できる。ここでは、EPD10は、基本色として黒色と白色とを表示可能であるとして説明する。
図6(A)は、本実施形態の電気泳動素子132の構成を示す図である。電気泳動素子132は素子基板130と対向基板131(図6(B)、図6(C)参照)との間に挟まれている。電気泳動素子132は、複数のマイクロカプセル120を配列して構成される。マイクロカプセル120は、例えば無色透明な分散液と、複数の白色粒子(電気泳動粒子)127と、複数の黒色粒子(電気泳動粒子)126とを封入している。本実施形態では、例えば白色粒子127は負に帯電しており、黒色粒子126は正に帯電しているとする。
図6(B)は、EPD10の表示部3の部分断面図である。素子基板130と対向基板131は、マイクロカプセル120を配列してなる電気泳動素子132を狭持している。表示部3は、素子基板130の電気泳動素子132側に、複数の画素電極35が形成された駆動電極層350を含む。図6(B)では、画素電極35として画素電極35Aと画素電極35Bが示されている。画素電極35により、画素ごとに電位を供給することが可能である(例えば、Va、Vb)。ここで、画素電極35Aを有する画素を画素40Aとし、画素電極35Bを有する画素を画素40Bとする。画素40A、画素40Bは画素40(図4、図5参照)に対応する2つの画素である。
一方、対向基板131は透明基板であり、表示部3において対向基板131側に画像表示がなされる。表示部3は、対向基板131の電気泳動素子132側に、平面形状の共通電極37が形成された共通電極層370を含む。なお、共通電極37は透明電極である。共通電極37は、画素電極35と異なり全画素に共通の電極であり、電位Vcomが供給される。
共通電極層370と駆動電極層350との間に設けられた電気泳動表示層360に電気泳動素子132が配置されており、電気泳動表示層360が表示領域となる。共通電極37と画素電極(例えば、35A、35B)との間の電位差に応じて、画素毎に所望の表示色を表示させることができる。
図6(B)では、共通電極側電位Vcomが画素40Aの画素電極の電位Vaよりも高電位である。このとき、負に帯電した白色粒子127が共通電極37側に引き寄せられ、正に帯電した黒色粒子126が画素電極35A側に引き寄せられるため、画素40Aは白を表示していると視認される。
図6(C)では、共通電極側電位Vcomが画素40Aの画素電極の電位Vaよりも低電位である。このときは逆に、正に帯電した黒色粒子126が共通電極37側に引き寄せられ、負に帯電した白色粒子127が画素電極35A側に引き寄せられるため、画素40Aは黒を表示していると視認される。なお、図6(C)の構成は図6(B)と同様であり説明は省略する。また、図6(B)、図6(C)ではVa、Vb、Vcomを固定された電位として説明したが、実際にはVa、Vb、Vcomは駆動パルス信号に基づく電圧であり、時間とともに電位が変化する。
そして、第2モードでは通常表示よりも長い時間間隔(例えば、1時間)でしか表示の更新が行われない。そのため、第2モードでは、第1モードに比べて駆動パルス信号に基づく電圧を印加する時間が短く、その結果、消費電力を抑えることが可能になる。
また、駆動パルス信号に基づく電圧が印加されない場合には、電気泳動粒子が移動しない。そのため、更新が行われるまで、同じ表示が維持される。
1.6.フローチャート
図7は、本実施形態の電子時計の表示制御回路が行う制御のフローチャートである。
表示制御回路は、現在の表示モードが第1モードであるかを確認し(S10)、表示モードによって異なる処理を行う。
通常は、電子時計の表示モードは第1モードである(S10Y)。動きセンサーによって使用者の動作が検出された場合、すなわち電子時計の使用時には(S12Y)、表示部に通常表示(S30)を行わせる。そして、再びS10に戻る。
第1モードであっても(S10Y)、動きセンサーによって使用者の動作が検出されない場合、すなわち電子時計の不使用時には(S12N)、タイマーをカウントアップする(S14)。タイマーでは不使用時間がカウントされ、タイマーが所定値になった場合に表示モードが第2モードに設定される(S16Y、S18)。
本実施形態では、電子時計が不使用であると判断されて直ちに第2モードに移行するのではなく、タイマーによって不使用時間が所定の時間以上になることを待って表示モードを変更する。そのため、誤って通常表示がされなくなることを回避できる。
表示モードが第2モードになると、表示部に通常表示でない時刻表示をさせる(S20)。第2モードでは、更新間隔が通常表示よりも長いために消費電力を抑えることができ、使用者にはおおよその時刻を伝えることができる。そして、再びS10に戻る。
電子時計の表示モードが第2モードである場合(S10N)、動きセンサーによって使用者の動作が検出された場合には、第1モードに戻る(S22Y、S24)。
本実施形態では、通常表示を行う第1モードへの復帰を直ちに行い、すぐに正確な時刻を知りたい使用者の要求に応える。このとき、タイマーはリセットされて(S26)、通常表示(S30)の後に再びS10に戻る。
第2モードであって動きセンサーによって使用者の動作が検出されない場合には(S10N、S22N)、通常表示でない時刻表示(S20)の後に再びS10に戻る。
図8(A)、図8(B)は、それぞれ通常表示でない時刻表示S20、通常表示S30のフローチャートであり、順に説明する。
電子時計の表示制御回路は、計時カウンターから時刻信号を受け取る(図3参照)。そして、時刻信号に基づいて更新間隔である時間が経過したか否かが判断される。図8(A)のように、第2モードにおいては、更新間隔である時間が経過した場合に(S200Y)、時刻表示を更新し表示させる(S202)。それ以外の場合には(S200N)何もせず、表示部のメモリー性によりそれまでの表示が維持される。
ここで、更新間隔とは例えば1時間であり、このとき時桁については正確な表示が行われることになる。この例では、表示制御回路は時刻信号に基づいて時桁上げが行われたときにだけ、時刻表示を更新し表示させる。
なお、更新間隔は例えば1時間、30分、15分、または10分など、予め決められた時間を用いてもよい。しかし、本実施形態では、外部入力(例えば図1の操作ボタン6,7)によって更新間隔を設定可能であるとする。
図8(B)のように、通常表示を行う第1モード時においては、分桁上げが行われたときに(S300Y)、時刻を更新して(S308)、通常の時刻を表示部に表示させる(S310)。
ここで、時刻信号に基づいて分桁上げが行われるタイミング以外では(S300N)、外部入力の有無がチェックされる(S302)。外部入力が有る場合には(S302Y)、第2モードの更新間隔を設定するための画面が表示される(S304)。
そして、例えば使用者のボタン操作によって、新たな更新間隔が設定される(S306)。例えば、更新間隔を1時間から、より正確な時刻表示が可能な10分へと変更してもよい。更新間隔の設定が終了すると、通常の時刻表示に戻る(S310)。
なお、分桁上げもなく(S300N)外部入力も無い場合には(S302N)何もせず、表示部のメモリー性によりそれまでの表示が維持される。
1.7.更新間隔と表示例
本実施形態の電子時計は、第2モードにおいては、更新間隔である時間が経過した場合にだけ時刻表示を更新し表示させる。第2モードでは、低消費電力とおおよその時刻表示を実現できる。このとき、使用者の誤認を回避するために、おおよその時刻表示が通常表示とは明確に区別されている必要がある。図1の例では、更新間隔は1時間であり、分桁を数字以外の表示(“xx”)にすることで、使用者が現在時刻であると誤認することを避けている。
図9(A)〜図10(C)は、図1の例以外の本実施形態における第2モードでの表示例を示す。なお、これらの表示は、前記の外部入力による更新間隔の設定(図8(B)のS306参照)と同時に選択可能であってもよい。
図9(A)〜図9(C)は、更新間隔が1時間の場合の表示例である。図9(A)は、第2モードの場合に、表示部3にアナログ時計が表示され、アナログ時計における現在時刻の時桁に対応する領域が他の領域とは異なる色で表示される。これにより使用者は、直感的に何時台であるかを知ることができる。
図9(B)は、第2モードの場合に、明示的に何時台であるかを示すものである。通常の時刻表示とは表示方法が明らかに異なるため、使用者の誤認を避けることができる。図9(B)の表現に代えて、図9(C)のように何時から何時の間という表現を用いてもよい。
図10(A)は、更新間隔を30分にした場合の表示例である。図10(A)では、午後2時台の前半、後半の区別がつく。このように更新間隔を例えば1時間から30分に変更することで、多少の消費電力の増加はあるものの、おおよその時刻が示す時刻の正確さを向上させることができる。
図10(B)は、更新間隔を10分にした場合の表示例である。図10(B)では、10分桁まで正確な時刻を知ることができる。おおよその時刻が示す時刻の正確さをさらに向上させて、通常表示に比べると消費電力も抑えることができる。
本実施形態では、更新間隔を外部入力により切り替えることができる。そのため、第2モードにおけるおおよその時刻表示が示す時刻の正確さを、電力消費とのバランスを考慮しつつ設定することができる。
なお、本実施形態ではパワーセーブモード時に表示モードが第2モードに変化する。そこで、図10(C)のように、パワーセーブモードにあるため通常表示が行われないことを明示してもよい。使用者は通常表示が行われない理由がわかるため、故障であるとの誤解がなくなる。
以上のように、本実施形態の電子時計は、通常表示を行わない場合には、電力消費を抑えながらも少なくとも時桁を表す表示を行うことで、使用者におおよその時刻を知らせることができる。そのため、通常表示以外の表示モードを備えることで低消費電力を実現しながら、直ちに時刻を知りたい使用者の要求に応えることが可能になる。
2.第2実施形態
本発明の第2実施形態を図11〜図12を参照して説明する。第2実施形態では、電子時計は太陽電池付き電子時計(ソーラー時計)であって、その発電状態に応じて、表示モードが切り替わる。
なお、図1〜図10(C)と同じ要素には同じ符号を付しており説明を省略する。また、第2実施形態の電子時計の表示は、第1実施形態の図1、図9(A)〜図10(C)と同じであり、説明を省略する。
2.1.電子時計のブロック図
図11は、本実施形態における電子時計1Aのブロック図を表す。第1実施形態の電子時計のブロック図である図3と異なり、電子時計1Aは太陽電池20、発電検出回路21、充電制御回路24、2次電池25を含む。また、動きセンサー、動き検出回路を含んでいてもよいが図11では記載を省略している。なお、図3と同じ要素には同じ符号を付しており説明を省略する。
太陽電池20は、電子時計1Aの発電手段であって発電を行う。充電制御回路24は、太陽電池20で発電された電力を2次電池25に充電する制御を行う。
発電検出回路21は、太陽電池20における発電状態を検出し、太陽電池20が発電状態であるか否かに応じた信号を、表示制御回路14、タイマー22に出力する。具体的には、発電検出回路21は太陽電池20で発電された電力を検出して、上記判断を行ってもよい。発電検出回路21は、電子時計1Aの発電検出手段として機能する。
以下、発電検出回路21が、太陽電池20が所定の値以上の電力を発電していると判断する場合を、発電検出あり又は発電状態と表現する。また、それ以外の場合を非発電状態と表現する。
本実施形態のタイマー22は、分周回路12から基準信号を受け取る。そして、発電検出回路21からの信号に基づいて、非発電状態の時間を計る。そして、所定の時間以上、非発電状態が継続していれば、そのことを示す信号を表示制御回路14に出力する。
表示制御回路14は、タイマー22からの信号に基づいて、非発電状態が所定の時間以上継続していれば、表示モードを第1モードから第2モードに変更する。タイマー22により所定の時間の経過を待つのは、第1実施形態と同様に誤検出を避けるためである。なお、消費電力をできるだけ減らすために、表示制御回路14は非発電状態の検出によって直ちに第1モードから第2モードへと移行させてもよい。
そして、第2モードであって発電状態になった場合に、表示制御回路14は、表示モードを第1モードに戻す。このとき、所定の時間の経過を待たないのは、第1実施形態と同様に、使用者が直ちに通常の時刻表示を見たいとの要求に応えるためである。なお、判断の慎重のために、所定の時間の経過を待って第1モードに戻ってもよい。
2.2.フローチャート
図12は、本実施形態の電子時計の表示制御回路が行う制御のフローチャートである。なお、図7と同じ工程には同じ符号を付しており説明は省略する。また、通常表示でない時刻表示S20、通常表示S30のフローは図8(A)、図8(B)と同じである。
本実施形態のフローチャートでは、第1実施形態のフローチャート(図7)のS22に代えて、発電検出の有無を判断するS40が用いられる。また、第1実施形態のフローチャート(図7)のS12に代えて発電検出の有無を判断するS42が用いられる。
表示制御回路は、現在の表示モードが第1モードである(S10Y)場合に、発電検出があれば(S42Y)表示部に通常表示(S30)を行わせる。もし、非発電状態であれば(S42N)、タイマーが非発電状態の時間を計る(S14)。そして、非発電状態が所定の時間継続していることを、タイマーが所定値になることで判断して(S16Y)、第2モードに設定して(S18)、表示部に通常表示でない時刻表示(S20)を行わせる。
表示制御回路は、表示モードが第2モードである(S10N)場合に、発電検出があれば(S40Y)第1モードへと復帰する(S24)。このとき、タイマーがリセットされて(S26)、表示部に通常表示(S30)を行わせる。もし、非発電状態であれば(S40N)、表示部に通常表示でない時刻表示(S20)を行わせる。
本実施形態の電子時計は、太陽電池が非発電状態の場合に、表示モードが低消費電力の第2モードになる。そのため、電池を長持ちさせることができる。また、例えば、電子時計が腕時計である場合に、衣服の下に時計が隠れることによって第2モードに切り替わる可能性がある。その場合でも、第2モードではおおよその時刻を表示するので、時計としての機能は失われない。
3.第3実施形態
本発明の第3実施形態を図13〜図15を参照して説明する。第3実施形態では、電子時計の電池から供給される電源電圧のレベルに応じて、表示モードが切り替わる。なお、図1〜図12と同じ要素には同じ符号を付しており説明を省略する。
3.1.電子時計の表示例
図13は、本実施形態の電子時計1Bの正面図である。本実施形態の電子時計1Bも、第1、第2実施形態と同じように第1モード(ST1)と第2モード(ST2)を有する。第1モードの場合における通常表示は第1、第2実施形態と同じである。
表示部3の表示は、電源電圧のレベルが低下すると、消費電力を抑えて電池を長持ちさせるために第2モードに切り替わる。第3実施形態の第2モードにおける表示には、電源電圧の低下を示すメッセージが含まれる(図13では、LOW BATTERY)。そのため、使用者は例えば太陽光発電が行われるように日のあたる場所へ移動するなど、適切な対応をとることができる。
そして、図13のように第2モードにおける表示はおおよその時刻を表示する。電源電圧が低下した場合でも使用者はだいたいの時刻を把握できるので、時計としての機能が失われない。
なお、図13の例では、表示部3の表示の更新間隔は1時間である。そのため、使用者が、更新がされない分桁を現在時刻であると誤って認識することを避けるために分桁は数字以外の表示(“xx”)を行っている。
なお、電源電圧が所定のレベル以上になった場合には、電子時計1Bの表示モードは第1モードに戻り通常表示が行われる。
3.2.電子時計のブロック図
図14は、本実施形態における電子時計1Bのブロック図を表す。第2実施形態の電子時計のブロック図である図11と異なり、電子時計1Bは電池電圧検出回路31を含む。本実施形態における電子時計1Bは、第2実施形態と同じく、太陽電池20で発電された電力を2次電池25に充電して電源として用いるが、1次電池を含んでいてもよい。
また、第1実施形態のように動きセンサー、動き検出回路を含んでいてもよいが図14では記載を省略している。なお、図3、図11と同じ要素には同じ符号を付しており説明を省略する。
電池電圧検出回路31は、2次電池25の電圧レベルを検出し、予め設定された閾値電圧V1以上であるか否かに応じた信号を、表示制御回路14、タイマー22に出力する。なお、前記のように、本実施形態では2次電池25が電源として用いられるので、電池電圧検出回路31は電子時計1Bの電源電圧検出手段として機能する。
表示制御回路14は、2次電池25に蓄えられた電気が尽きる前に、電池電圧検出回路31によって電源電圧の低下が検出された場合には、表示モードを低消費電力の第2モードに切り替える。そして、電池を長持ちさせて、その間に使用者が充電などの適切な対応をとるように促す。具体的には、第2モードにおいて電源電圧が低下していることを知らせるメッセージも表示させる。
ここで、本実施形態のタイマー22は、電池電圧検出回路31からの信号に基づいて、電源電圧が閾値電圧V1を下回る状態(低電圧状態)の時間を計る。そして、所定の時間以上、低電圧状態が継続していれば、そのことを示す信号を表示制御回路14に出力する。
表示制御回路14は、タイマー22からの信号に基づいて、低電圧状態が所定の時間以上継続していれば、表示モードを第1モードから第2モードに変更する。タイマー22により所定の時間の経過を待つのは、第1実施形態と同様に誤検出を避けるためである。なお、消費電力をできるだけ減らすために、表示制御回路14は低電圧状態の検出によって直ちに第1モードから第2モードへと移行させてもよい。
そして、第2モードであって低電圧状態でなくなった場合に、表示制御回路14は、表示モードを第1モードに戻す。このとき、所定の時間の経過を待たないのは、第1実施形態と同様に、使用者が直ちに通常の時刻表示を見たいとの要求に応えるためである。なお、判断の慎重のために、所定の時間の経過を待って第1モードに戻ってもよい。
3.3.フローチャート
図15は、本実施形態の電子時計の表示制御回路が行う制御のフローチャートである。なお、図7、図12と同じ工程には同じ符号を付しており説明は省略する。また、通常表示でない時刻表示S20、通常表示S30のフローは図8(A)、図8(B)と同じである。
本実施形態のフローチャートでは、第1実施形態のフローチャート(図7)のS22に代えて、電源電圧VDDが閾値電圧V1にAを加えた電圧以上か(VDD≧V1+A)を判断するS44が用いられる。Aはヒステリシスをもたせるために加えられる。
また、本実施形態のフローチャートでは、第1実施形態のフローチャート(図7)のS12に代えて、電源電圧VDDが閾値電圧V1以上か(VDD≧V1)を判断するS46が用いられる。
表示制御回路は、現在の表示モードが第1モードである(S10Y)場合に、低電圧状態でなければ(S46Y)表示部に通常表示(S30)を行わせる。もし、低電圧状態であれば(S46N)、タイマーが低電圧状態の時間を計る(S14)。そして、低電圧状態が所定の時間継続していることを、タイマーが所定値になることで判断して(S16Y)、第2モードに設定して(S18)、表示部に通常表示でない時刻表示(S20)を行わせる。このとき、図13の例では、低電圧状態を示すLOW BATTERYのメッセージも表示される。
表示制御回路は、表示モードが第2モードである(S10N)場合に、低電圧状態でなくなった場合(S44Y)に第1モードへと復帰する(S24)。このとき、タイマーがリセットされて(S26)、表示部に通常表示(S30)を行わせる。もし、低電圧状態であれば(S44N)、表示部に通常表示でない時刻表示(S20)を行わせる。
ここで、本実施形態では、第1モードへと復帰する判断(S44)において、閾値電圧V1にAを加えた電圧を用いて比較する(V1+A)。これにより、ノイズ等の影響によって、誤って第1モードへと復帰することを防止することができる。
本実施形態の電子時計は、低電圧状態の場合に、表示モードが低消費電力の第2モードになる。そのため、電池を長持ちさせることができる。また、定電圧状態の場合でも、第2モードではおおよその時刻を表示するので、時計としての機能は失われない。そして、使用者は第2モードにおける理由表示(例えば図13のLOW BATTERY)によって、適切な対応をとることが可能になる。
4.第4実施形態
本発明の第4実施形態を図16(A)〜図18を参照して説明する。第4実施形態では、電子時計の使用環境温度が所定の範囲内であるか否かに応じて、表示モードが切り替わる。なお、図1〜図15と同じ要素には同じ符号を付しており説明を省略する。
4.1.電子時計の表示例
図16(A)は、本実施形態の電子時計1Cの正面図である。本実施形態の電子時計1Cも、第1〜第3実施形態と同じように第1モード(ST1)と第2モード(ST2)を有する。第1モードの場合における通常表示は第1〜第3実施形態と同じである。
使用環境温度が所定の範囲より低いと、EPDの表示切り替え速度が低下するため駆動パルス信号に基づく電圧を長時間印加する必要がある。すると、消費電力が高くなって、電池によって動作できる時間が短くなり得る。
表示部3の表示は、消費電力を抑えて電池を長持ちさせるために第2モードに切り替わる。第4実施形態の第2モードにおける表示には、使用環境温度が所定の範囲より低いことを示すメッセージが含まれる(図16(A)では、LOW TEMP)。そのため、使用者は戸外から室内へと移動するなど、適切な対応をとることができる。
そして、図16のように第2モードにおける表示はおおよその時刻を表示する。表示モードが第2モードに移行しても、使用者はだいたいの時刻を把握できるので、時計としての機能が失われない。
なお、分桁を数字以外の表示(“xx”)にすることは、例えば第1実施形態と同じである。また、使用環境温度が所定の範囲内となった場合には、電子時計1Cの表示モードは第1モードに戻り通常表示が行われる。
ここで、使用環境温度が低温の場合のみならず、高温の場合にも第2モードに切り替えてもよい。高温においてEPDを動作させると、電流が流れすぎる等の問題によって品質を保つことができない場合がある。
そのため、使用環境温度が所定の範囲より高い場合にも、時間を知りたい使用者の要求には応えつつ、駆動パルス信号に基づく電圧を印加する必要がある更新の頻度を少なくするために、表示モードを第2モードにすることが好ましい。
図16(B)は、使用環境温度が所定の範囲より高い場合の表示部3の表示例を表す。このとき、第4実施形態の第2モードにおける表示には、使用環境温度が所定の範囲より高いことを示すメッセージが含まれる(図16(B)では、HIGH TEMP)。そのため、使用者は暑い日中に自動車内に放置した電子時計を車外へと運ぶなど、適切な対応をとることができる。
4.2.電子時計のブロック図
図17は、本実施形態における電子時計1Cのブロック図を表す。第1実施形態の電子時計のブロック図である図3と異なり、電子時計1Cは温度センサー41と、温度検出回路42を含む。
図17では電源の記載を省略しているが、電子時計1Cは1次電池を含んでいてもよいし、発電装置(太陽電池)と2次電池を含んでいてもよい。また、動きセンサー、動き検出回路も含んでいてもよいが図17では記載を省略している。なお、図3、図11、図14と同じ要素には同じ符号を付しており説明を省略する。
温度センサー41は、電子時計1C、特に表示部3(図16参照)の温度を検出するセンサーである。温度検出回路42は、温度センサー41で検出された温度(使用環境温度)が所定の範囲に含まれているか否かに応じた信号を、表示制御回路14、タイマー22に入力する。温度センサー41、温度検出回路42により、電子時計1Cの温度検出手段が構成される。
表示制御回路14は、温度検出回路42およびタイマー22からの信号に基づいて、使用環境温度が所定の範囲に含まれない場合に、表示モードを第2モードに切り替える。そして、低温の場合には電池を長持ちさせて、高温の場合にはEPD10の品質を劣化させないようにして、使用者に適切な対応をとるように促す。具体的には、第2モードにおいて使用環境温度が所定の範囲を越えているとのメッセージも表示させる。
ここで、本実施形態のタイマー22は、温度検出回路42からの信号に基づいて、使用環境温度が所定の範囲(例えば0℃〜50℃)に含まれない時間を計る。そして、所定の時間以上、所定の範囲外の高温状態、または低温状態が継続していれば、そのことを示す信号を表示制御回路14に出力する。
4.3.フローチャート
図18は、本実施形態の電子時計の表示制御回路が行う制御のフローチャートである。なお、図7、図12、図15と同じ工程には同じ符号を付しており説明は省略する。また、通常表示でない時刻表示S20、通常表示S30のフローは図8(A)、図8(B)と同じである。
本実施形態のフローチャートでは、第1実施形態のフローチャート(図7)のS22、S12に代えて、使用環境温度が所定の範囲であるかを判断するS48、S50がそれぞれ用いられる。
表示制御回路は、現在の表示モードが第1モードである(S10Y)場合に、使用環境温度が所定の範囲内(S50Y)であれば表示部に通常表示(S30)を行わせる。もし、所定の範囲外の高温状態または低温状態(S50N)であれば、タイマーが高温状態または低温状態の時間を計る(S14)。そして、所定の時間継続していることを、タイマーが所定値になることで判断して(S16Y)、第2モードに設定して(S18)、表示部に通常表示でない時刻表示(S20)を行わせる。このとき、図16(A)、図16(B)のように、通常表示が行われない理由(LOW TEMP、HIGH TEMP)も表示される。
表示制御回路は、表示モードが第2モードである(S10N)場合に使用環境温度が所定の範囲内に戻る(S48Y)と、第1モードへと復帰する(S24)。このとき、タイマーがリセットされて(S26)、表示部に通常表示(S30)を行わせる。もし、所定の範囲外の高温状態または低温状態が継続(S48N)していれば、表示部に通常表示でない時刻表示(S20)を行わせる。
ここで、本実施形態においても、第1モードへと復帰する判断(S48)において、ヒステリシスをもたせてもよい(図15のS44参照)。これにより、ノイズ等の影響によって、誤って第1モードへと復帰することを防止することができる。
本実施形態の電子時計は、使用環境温度が所定の範囲を越える場合に、低消費電力のため、又はEPDの品質劣化防止のために、表示モードが第2モードになる。この場合でも、第2モードではおおよその時刻を表示するので、時計としての機能は失われない。そして、使用者は第2モードにおける理由表示によって、適切な対応をとることが可能になる。
5.その他
前記の各実施形態に用いられるEPDは、黒粒子および白粒子による白黒二粒子系の電気泳動が行われるものでもよいし、一粒子系の電気泳動を行っても良く、また、白黒以外の組み合わせでもよい。
そして、メモリー性の表示手段は、EPDに限定されず、他のメモリー性を有するディスプレイでもよい。例えば、ECD(Electrochromic Display=エレクトロクロミックディスプレイ)、強誘電性液晶ディスプレイ、コレステリック液晶ディスプレイ等でもよい。
さらに、本発明の電子時計は、腕時計に限らず、例えば置時計、掛け時計、懐中時計等であってもよい。
これらの例示に限らず、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。