JP5656209B2 - ウシタイレリア症の病態評価を可能とする方法 - Google Patents

ウシタイレリア症の病態評価を可能とする方法 Download PDF

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Description

本発明は、タイレリア・オリエンタリス抗原、もしくは該抗原由来ペプチドを用いてT細胞を活性化してIFN-γもしくはIL-10を分泌するT細胞数を同時に測定することによって、タイレリア原虫に感染したウシが病的状態にあるかを診断する方法、及び該診断方法に使用する診断用器具に関する。
タイレリア症はダニ媒介性の寄生虫感染症で、肥育効率を損ない畜産業における生産性が損なわれる原因となる。タイレリア感染症は、その病態病理像の違いからlymphproliferative groupとhemoproliferative group に分けて研究されて来た。T. parvaや T. annulatareは、アフリカを中心とした熱帯地域を中心に感染が確認されるlymphproliferative groupに属する。一方、hemoproliferative groupとなるタイレリア・オリエンタリス(T. orientalis (=selgenti) ) は、我が国を始め、東アジアからヨーロッパまで広範囲にその感染が確認されている。タイレリア感染は、ダニによる吸血によってウシ体内へ送り込まれたスポロゾイトが、細網内皮系細胞に侵入してシゾントとなって増殖し、その後、血中へ出たメロゾイトが赤血球へ寄生することによる。
lymphproliferative groupのT. parva や T. annulatareでは、寄生するシゾントがJNK1/2の恒常的活性化をもたらしてTやBリンパ球をtransformするため、リンパ系細胞の異常増殖とそれに関連すると考えられる症状 lymph-proliferative disease(リンパ球増殖症)が出現する。一方、hemoproliferative groupのT. orientalisには、リンパ球に対するtransform活性は確認されていない。メロゾイドによる赤血球寄生で、膜変性(degeneration)が生じ、脾臓の細網内皮系による感染赤血球除去が亢進することで生じると考えられる、貧血とそれに関連した慢性消耗疾患(Chronic Wasting Disease)が出現することが知られている。但し、T. orientalisの感染動向を調査した結果、抗ダニ剤が普及した現在では、原虫が感染した赤血球が末梢血中に観察されるものの、貧血等の明らかな臨床所見を呈することは稀で、大部分は不顕性感染となる。(以上、非特許文献1〜5参照)。
感染原因に対する免疫応答を解明することで、それぞれに特有の病態を克服する為の手がかりを得られる。lymphproliferative groupのタイレリア感染について、T. parvaや T. annulatareでは、その感染によってCD4とCD8による免疫応答が惹起され、CD8T細胞が主たる排除エフェクターとして作用すること、そしてその誘導維持にはCD4が必要であることが明らかにされている。またγδT cellは、MHC 非拘束性に感染細胞によって活性化されること、そしてそれによって感染細胞を障害することが知られている。したがって、原虫抗原特異的なCD8陽性T細胞の増加を検出することは、感染状態であることを意味する。(以上、非特許文献6〜9参照)
hemoproliferative groupに属するタイレリア・オリエンタリス(T. orientalis)感染では、受動免疫におけるT細胞の特異的免疫応答は殆ど明らかにされていない.実際、1) タイレリア・オリエンタリス(T. orientalis)感染では末梢血中のリンパ球やマクロファージと言った単核球細胞が活性化するがその特異性は明らかでない。2)マラリア症、バベシア症やアナプラズマ症と言った赤血球寄生性原虫と同様、感染赤血球は脾臓で除去される。3)血中のIFN-γ値が高い程、全身症状は穏やかである。4) タイレリア・オリエンタリス( T. orientalis)感染の末梢血をPHAで刺激すると、IFN-γ分泌が検出されることなどが明らかにされている。いずれにおいても、タイレリア抗原特異的にT細胞が存在して活性化しているのかどうかは、明らかにされていない。(以上、非特許文献10〜13参照)
タイレリア抗原のなかでもmajor piroplasm surface protein (MPSP)に対する抗体産生が知られている。しかしながら、この抗原特異的にT細胞が活性化してIFN-γやIL-10を分泌するかどうか、抗体産生にサポートしているのかどうかは明らかにされていない(非特許文献14参照)。
抗原特異的なT細胞を検出する方法が幾つか開発されている。なかでもELISpot (Enzyme-linked immunospot) 法は、刺激よって特定のサイトカインを分泌する細胞の数を評価する方法として広く活用されている。ELISpot法は最初、抗体を産生する細胞を検出する方法として報告されており、IFN-γの検出に関しては、同じグループから1988年に報告されている(非特許文献15参照)。
Lymphproliferative groupのタイレリア感染や結核症のような細胞性免疫応答を伴う感染症では、病原体特異的なT細胞を検出することとなるELISpot法は、その不顕性感染を検出するのに適しており、近年、感染検出のための検査方法としてELISpot法が取り入れられている。実際、M. Tuberculosis感染ではツベルクリン反応よりも充分な感度を有した迅速な検査であることのエビデンスが、急速に蓄積されている。ELISpot法は、ワクチン候補分子探索について有用なツールとなる為、Lymphproliferative groupのタイレリア感染において、その検出だけでなくワクチン分子の効率的な探索に活用されている。(以上、非特許文献16〜18参照)
MPSP抗原をアジュバントともに、脾臓を摘出したウシに投与するとこの抗原特異的にIFN-γを分泌するT細胞が惹起されることが、ELISA法を用いて明らかにされている(非特許文献19参照)。したがって、タイレリアの自然感染において、IFN-γを分泌するT細胞が出現することが想定される。しかしながら自然感染したウシの末梢血での報告はなく、T. orientalisの自然感染においてMPSP に特異的に反応してIFN-γを分泌するT細胞の検出が、消耗性状態を発症したウシの検出に有効であるかどうか明らかではない。
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我が国におけるタイレリア感染症は、殆どの場合に不顕性感染となり、タイレリア症として発症するものはタイレリア・オリエンタリス(T. orientalis)が感染したウシの数パーセント以下で、殆どの場合治療は不要である。一方、我が国ではタイレリア感染症の治療に、パマキンもしくはプリマキン投与がなされている。しかしながら、タイレリア・オリエンタリス感染症に対する現状の対処法においては,以下に1)〜4)に示す問題点がある。
1)hemoproliferative groupに属するタイレリア・オリエンタリス感染症では、抗体が感染排除において充分なエフェクターとなっていないので、原虫抗原に対する抗体価の上昇が病態を反映しない。
2)血液スメアやPCRによる原虫感染血球の診断は、感染成立を確定できるが、タイレリア症の発症を意味しない。
3)この感染に対する根治療法は無く、対処療法としてパマキンが使用される。大部分の感染ウシは不顕性感染となるため、感染していてもパマキンの投与が必要とは言えない。しかしながら、病態に基づく適切な診断がなされていない現状では、むしろ、過剰な治療がなされている。
4)感染の検出が病態を反映しないことで、投薬治療のガイドラインが明確でなく、また治療薬効果判定は曖昧である。
すなわち、「タイレリア原虫感染の成立」と「治療の必要な病態」の間に大きな乖離が存在するため、「感染原虫の検出で行なうタイレリア感染症診断」は、治療すべき対象となるウシを適切に判別することが出来ておらず、当然、適切な治療もなされていない。
本発明の課題は、このような問題点を解消することにあり、タイレリア・オリエンタリス感染症のうち治療の必要な病態にあるウシを客観的、正確に診断するための手段を新たに提供し、タイレリア・オリエンタリス感染症の適切な治療に役立てようとするものである。
本発明者は、上記ウシのタイレリア・オリエンタリス感染症に対する問題点を解消するため鋭意研究の結果、T細胞免疫学的応答が、タイレリア・オリエンタリスの感染においても生じており、特に、タイレリア・オリエンタリス抗原特異的に応答するIFN-γ分泌T細胞及びIL-10分泌T細胞の数が、タイレリア・オリエンタリス感染症の免疫応答の経時変化を反映し、該IFN-γ分泌T細胞とIL-10分泌T細胞数から、タイレリア・オリエンタリス感染に基づく発症を正確に把握できることを見いだし、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)ウシの末梢血から調製された細胞懸濁液と、タイレリア・オリエンタリス抗原を混和し、該懸濁液中の、タイレリア・オリエンタリス抗原特異的に応答するIFN-γ分泌T細胞及びIL-10分泌T細胞を活性化させて、これらT細胞においてそれぞれIFN-γ及びIL-10を分泌させたのち、IFN-γ抗体及び抗IL-10抗体を用いて、IFN-γ分泌T細胞及びIL-10分泌T細胞数をそれぞれ測定することにより、上記懸濁液中のタイレリア・オリエンタリス抗原特異的に応答するIFN-γ分泌T細胞及びIL-10分泌T細胞数を求め、これらT細胞数を指標にしてウシのタイレリア・オリエンタリス感染症の有無あるいは病態を検知することを特徴とする,ウシのタイレリア・オリエンタリス感染症の診断方法。

(2)上記IFN-γ分泌T細胞及びIL-10分泌T細胞数の測定が、ELISpot法によることを特徴とする、上記(1)の診断方法。

(3)タイレリア・オリエンタリス抗原が、タイレリア・オリエンタリスの表面タンパク質及びその部分ペプチドであることを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の診断方法。

(4)上記(1)に記載の診断方法に使用する診断用器具であって、基板上にIFN-γに対する抗体とIL-10に対する抗体がそれぞれ一定量ずつ区画されて配置固定化されていることを特徴とする、上記診断用器具。

(5)IFN-γに対する抗体の区画とIL-10に対する抗体の区画を各一対ずつ隣接配置して一つのユニットとし、該ユニットを基板上に複数配置したことを特徴とする、上記(4)に記載の診断用器具。

(6)基板が複数のウエルを有し、各ウエルが固定化される各抗体の区画を構成することを特徴とする、上記(4)又は(5)に記載の診断用器具。
T. orientalis感染症に関しては、免疫システムで極めて重要な役割を果たす病原体由来抗原特異的T細胞がジェネレーションされるかどうかのエビデンスはこれまで、明らかにされておらず、本発明においてT. orientalis感染ウシ個体中に同病原体由来抗原に特異的に応答してIFN-γ及びIL-10を分泌するT細胞がそれぞれ存在することを初めて検出することに成功したものである。すなわち、本発明によって、明らかになった点は以下のとおりである。
1)自然感染ウシで、 タイレリア・オリエンタリス(T. orientalis)由来抗原特異的に応答してジェネレーションされるIFN-γ及びIL-10を分泌するT細胞がそれぞれ存在すること。
2)上記IFN-γ及びIL-10を分泌するT細胞の検出には、ELISpot法が有効であること。
3)実験感染による感染状態の追跡で、タイレリア抗原に応答するT細胞が、Th1からTh2に変化し、この結果は、同病原体侵入後の経時的なT細胞免疫応答を明らかにするものであること。
4)タイレリア・オリエンタリス(T. orientalis)由来抗原特異的に応答してジェネレーションされるIFN-γ及びIL-10を分泌するT細胞の数は、ウシの同病原体感染症の状態を反映、殆どが不顕性感染として推移する同病原体による感染経過と、タイレリア症として発症する病態を見分けることが可能となること。
このように、本発明によれば、タイレリア・オリエンタリス感染症の免疫応答の経時変化を把握でき、タイレリア・オリエンタリス感染における治療の必要な病態にあるウシを的確に診断することが可能となる。
一方、タイレリア・オリエンタリス感染症のウシの病態は、貧血とそれに関連した慢性消耗疾患であり、これらの病態は他の原因によっても生じ、タイレリア・オリエンタリス感染によるものか否かは直ちに判断できない。他方、タイレリア・オリエンタリスに感染しているだけで治療が必要というわけではない。したがって、タイレリア・オリエンタリス感染における治療の必要な病態を的確に判断することを可能にする本願発明は、タイレリア・オリエンタリス感染症の的確な治療のために、極めて有用なものである。
本発明は、ウシのタイレリア・オリエンタリス感染症の診断法、及び該診断法に使用する診断用器具に関し、上記診断法は、ウシの末梢血から調製された細胞懸濁液と、タイレリア・オリエンタリス抗原を混和し、該懸濁液中の、タイレリア・オリエンタリス抗原特異的に応答するIFN-γ分泌T細胞及びIL-10分泌T細胞を活性化させて、これらT細胞においてそれぞれIFN-γ及びIL-10を分泌させたのち、IFN-γ抗体及び抗IL-10抗体を用いて、IFN-γ分泌T細胞及びIL-10分泌T細胞数をそれぞれ測定することにより、上記懸濁液中のタイレリア・オリエンタリス抗原特異的に応答するIFN-γ分泌T細胞及びIL-10分泌T細胞数を求め、これらT細胞数を指標にしてウシのタイレリア・オリエンタリス感染症の有無あるいは病態を検知するものである。
後記する実施例の実験結果から明らかなように、ウシがタイレリア・オリエンタリス原虫に感染した場合のT細胞免疫応答は、最初に該原虫抗原特異的なIFN-γ分泌T細胞が増加し、その後徐々に該IFN-γ分泌T細胞が減少し始めるとともに、これに変わって該原虫抗原特異的なIL-10分泌T細胞が増加するようになり、その後安定して該IL-10分泌細胞が検出されるようになる。すなわち、タイレリア・オリエンタリス抗原特異的なT細胞は、IFN-γの分泌により特徴づけられるTh1からIL-10の分泌により特徴づけられるTh2またはTregに推移する。
本発明の診断法は、上記IFN-γ分泌T細胞とIL-10分泌細胞の数を同時に測定することを特徴とするものである。これらタイレリア・オリエンタリス原虫抗原特異的なIFN-γ分泌T細胞とIL-10分泌細胞の数は、タイレリア・オリエンタリス感染の進行を反映し、IFN-γ分泌T細胞とIL-10分泌細胞の数がともに基準値を超えるウシは、タイレリア・オリエンタリス感染症が発症していることが、後記実施例の実験の結果から明らかとなっている。
IFN-γ分泌T細胞とIL-10分泌細胞の数と、タイレリア・オリエンタリス感染症の発症の関係は明確ではないが、以下のような現象をもとにカットオフとなる細胞数を決定した。タイレリアの実験感染では、感染初期においてMPSP 抗原に反応して特異的にIFN-γを分泌するT 細胞が検出されるが感染の進展に従って減少し、その後、末梢血液から原虫が検出されている。不顕性感染を示すこの実験では、IFN-γを分泌する細胞(Th1)が10スポット以下に減少した後、代わりに免疫を抑制するIL-10を分泌する細胞が10スポットを超えて増加したことで特徴づけられた(Fig.5D)。感染症学的にこれは、タイレリア原虫感染は不顕性のまま慢性化した考察される。
一方、自然感染ウシの解析で上記カットオフ値を基に判定すると、大部分の個体は、IFN-γもしくはIL-10の片方が高い値を示した。一部の個体で、同時に高い値を示す個体が観察されたが、これらには貧血等の症状が観察された。これは即ちタイレリア原虫感染によって誘導されたIL-10によって、Th1細胞から分泌されるIFN-γのマクロファージに対する活性化効果が抑制される状態にあり、慢性化状態から急激に病態が悪化する際に見られる病理像と類似性が認められる。
本発明の診断法において、被験試料はウシの末梢血から調製された細胞懸濁液であり、ウシの末梢血は、ウシから採取されたものをそのまま用いてもよいし、また、凍結保存したものを用いてもよい。
より具体的には、被験試料はウシより抗凝固処理した末梢血液より、HISTOPAQE(登録商標)-1077(SIGMA-ALDRICH社)などを用いた密度遠心分離法によって単離したPeripheral Blood Mononuclear Cells(PBMC)を使用する。単離後すぐに使用しない場合は細胞凍結保護液CP-1 (極東製薬工業株式会社)などを用いて凍結保存してもよい。また、細胞懸濁液の調製は特に限定されるものではなく、通常使用される培地等により行うが、可能な限りRPMI 1640 培地へ最終濃度10% 非働済FCS、50 μM 2-メルカプトエタノール、100 units/ml penicillin、100 μg/ml streptomycin を添加したRPMI コンプリートメディウムが望ましい。また、使用するPBMC はRPMI コンプリートメディウムへ懸濁した際に細胞数検出キットNucleoCassette(chemometec 社)もしくは血球計算盤を用いて細胞数を算出した後に測定に用いる。
この懸濁液中には、ウシがタイレリア・オリエンタリス原虫に感染している場合、タイレリア・オリエンタリス抗原特異的に応答するIFN-γ分泌T細胞及びIL-10分泌T細胞が含有されるが、このほかにもB細胞、単球、マクロファージや樹状細胞等 様々な細胞が含有している。
本願発明においては、この懸濁液中に含まれる、タイレリア・オリエンタリス抗原特異的に応答するIFN-γ分泌T細胞及びIL-10分泌T細胞を、タイレリア・オリエンタリス抗原を用いて刺激し、活性化する。この刺激は、懸濁液に刺激物質であるタイレリア・オリエンタリス抗原を混和すればよい。
この活性化において使用するタイレリア・オリエンタリス抗原としては、例えば、タイレリア・オリエンタースの表面タンパク質(major piroplasm surface protein (ピロプラズマ主要表面タンパク質, MPSP)及びその部分ペプチドが挙げられるが、ピロプラズム虫体表面に分布し、免疫原性が高い原虫抗原であることが証明されている(Sako et al., Int. J. Parasitol., 1999)p23等も使用できる。
この活性化によって、タイレリア・オリエンタリス感染によってジェネレートとしたタイレリア・オリエンタリス抗原特異的に応答するIFN-γ分泌T細胞及びIL-10分泌T細胞はそれぞれIFN-γおよびIL-10を分泌するようになる。本発明においては、この分泌されたIFN-γ及びIL-10をそれぞれターゲットとする解析法によって、タイレリア・オリエンタリス抗原特異的に応答するIFN-γ分泌T細胞及びIL-10分泌T細胞数を求める。
すなわち、本発明の診断法においては、タイレリア・オリエンタリス抗原の混和によって活性化し、IFN-γおよびIL-10を分泌するようになったT細胞を含有する細胞懸濁液は、抗IFN-γ抗体および抗体IL-10抗体と接触させ、上記IFN-γおよびIL-10がそれぞれ結合した抗IFN-γ抗体数および抗体IL-10抗体数を検出することにより、上記懸濁液中のIFN-γおよびIL-10を分泌するようになったT細胞数を測定することができる。このIFN-γおよびIL-10を分泌するようになったT細胞の数は、求めるタイレリア・オリエンタリス感染によってジェネレートとしたタイレリア・オリエンタリス抗原特異的に応答するIFN-γ分泌T細胞及びIL-10分泌T細胞数に対応する。
上記使用する抗IFN-γ抗体数および抗体IL-10抗体は、好ましくはウシ由来のものが用いられるが、これに限らず、ウシ由来のIFN-γ及びIL-10を結合できるものであればよい。又、モノクローナル抗体あるいはポリクローナル抗体であってもよい。
サイトカイン分泌T細胞の数を測定する方法は、抗体による細胞内染色を行ないフローサイトメーターで検出する等いくつか知られているが、本願発明においては、ELISpot (Enzyme-linked immunospot)法が好ましく用いられる。
このように求められたタイレリア・オリエンタリス抗原特異的に応答するIFN-γ分泌T細胞及びIL-10分泌T細胞数は、タイレリア・オリエンタリス感染の状態を反映し、診断対象のウシにおいてIFN-γ分泌T細胞及びIL-10分泌T細胞数がともに検出されない場合には、診断対象のウシはタイレリア・オリエンタリスに感染しておらず、また、IFN-γ分泌T細胞及びIL-10分泌T細胞数がともに一定基準値を超える場合には、診断対象のウシにおいて、タイレリア・オリエンタリス感染症を発症しているか、あるいは発症する恐れが高いものと判定することができる。
一方、本願発明の診断用器具は、上記活性化によりIFN-γおよびIL-10を分泌するようになったT細胞数を測定するために用いるものである。
このような診断用器具は、IFN-γに対する抗体とIL-10に対する抗体がそれぞれ一定量ずつ区画されて配置固定化されて構成されている。このような診断用器具において、好ましいものは、IFN-γに対する抗体の区画とIL-10に対する抗体の区画を各一対ずつ隣接配置して一つのユニットとし、該ユニットを基板上に複数配置されているものであり、さらに、基板が複数のウエルを有し、各ウエルが固定化される各抗体の区画を構成しているものが好ましく用いられる。
本発明の診断用器具においては、IFN-γに対する抗体とIL-10に対する抗体の区画がそれぞれ一つ設けたものでも良いが、これらはそれぞれ複数設ける方が望ましい。
これによりウシ検体が異なる場合にも同時に診断可能になり、また、同一検体でも複数行うことにより正確なものとなる。
以下、本発明の1例を示す図1に基づき、ELISpot (Enzyme-linked immunospot)法を用いる場合について具体的に説明する。
図1に示される診断用器具は、基板に96個のウエルを有するフィルタープレートであって、各ウエルで構成される各区画には、キャプチャー抗体として、抗bovine IFN-γ抗体と抗bovineIL-10抗体が一定量ずつそれぞれ配置固定され、また、抗bovine IFN-γ抗体が配置固定化されたウエル2個及び抗bovineIL-10抗体が配置固定化されたウエル2個はそれぞれ対をなして隣接配置されて一つの検出ユニットを構成し、該ユニットはプレートにおいて複数設けられている。
これらのユニット中の一対の抗bovineIFN-γ抗体の一方及び同抗bovineIL-10抗体の一方は、それぞれ、細胞懸濁液中の、タイレリア・オリエンタリス抗原特異的に活性化されてIFN-γおよびIL-10を分泌するようになった各T細胞数の測定に用いられ、他方の抗bovineIFN-γ抗体及び抗bovineIL-10抗体は、植物レクチンの一種であるフィトヘマグルチニン(PHA)により非特異的に活性化されてIFN-γおよびIL-10を分泌するようになった各T細胞数の測定に用いられ、後者はポジティブコントロールとして用いられ、前者の測定の正しさの検証として用いるものである。操作は、T細胞活性化手段を除いて全く同様に行う。
ウシ末梢血から調製した細胞懸濁液は、タイレリア・オリエンタリス抗原と混和して、上記ユニット中の一対の抗bovineIFN-γ抗体及び同抗bovineIL-10抗体がそれぞれ配置固定化された一方ウエルに滴下され、抗bovineIFN-γ抗体及び抗bovineIL-10抗体がそれぞれ配置固定化された他方のウエルには、上記細胞懸濁液とPHAが混和されて滴下される。
該細胞懸濁液中の各タイレリア・オリエンタリス抗原特異的なIFN-γ分泌T細胞 およびIL-10分泌T細胞は、タイレリア・オリエンタリス抗原の混和によって活性化され、IFN-γおよびIL-10を分泌する。分泌されたIFN-γおよびIL-10は、メンブランに個相化された抗bovineIFN-γ抗体分子もしくは、抗bovineIL-10抗体分子によって補足される(抗体:MABTECH 社とAbD Serotec社製)。この後、洗浄により、上記T細胞はIFN-γおよびIL-10を残し除去される。
次いで、2次抗体である抗bovineIFN-γビオチン化抗体および抗bovineIL-10ビオチンか抗体を、IFN-γ結合抗体およびIL-10結合抗体を有するウエルにそれぞれ加え、さらに洗浄後、ストレプトアビジンを加える。ついで、洗浄後、AECkit(AEC kit:BD Biosciences 社)等の発色試薬を用いて発色させ、この後水洗、乾燥する。
これにより、上記発色部分は、ウエル内にスポットとして固定され、該スポットを顕微鏡でカウントすることにより、細胞懸濁液中の各タイレリア・オリエンタリス抗原特異的IFN-γ分泌T細胞 およびIL-10分泌T細胞数をそれぞれ求めることができる。
すなわち、上記発色部分は、細胞懸濁液中の各タイレリア・オリエンタリス抗原特異的IFN-γ分泌T細胞 およびIL-10分泌T細胞が分泌し、その表面に存在するIFN-γ分子およびIL-10分子が結合した抗bovineIFN-γ抗体及び抗bovineIL-10分子の位置及び数に対応する。したがって、上記ウエル内のスポット数は、細胞懸濁液中の各タイレリア・オリエンタリス抗原特異的IFN-γ分泌T細胞 およびIL-10分泌T細胞の数にほぼ対応する。
タイレリア・オリエンタリス感染症の発症は、このELISpot法を使用した場合、実施例の条件下において、細胞懸濁液中の各タイレリア・オリエンタリス抗原特異的IFN-γ分泌T細胞およびIL-10分泌T細胞に由来する各スポット数が、それぞれともに10以上検出された場合に生じている。なお、ウシPBMC は末梢血液100ml より約2x10E9 cells 程度が回収できるため、末梢血液1ml 当たり約2x10E7 cellsが含まれる。本発明法に検出手順では、IFN-γ検出ウエルでは1x10E6 cells、IL-10 検出ウエルでは1x10E5 cells のPBMC を播種して測定しているので、それぞれの検出されたサイトカインスポット数が「10」としてすると、1mlあたりIFN-γ分泌T細胞が200個、IL-10 分泌T細胞が2000 個含まれている。よって、本発明の診断法において、この値をタイレリア・オリエンタリス感染症が発症しているか否かの基準値とすることができる。また、ELISpot法以外の方法を使用した場合においても、この基準値に対応する解析データに基づき、タイレリア・オリエンタリス感染症が発症しているか否かの診断を行うことができる。
上記ELISpot法に対して、既存のPCR法、血液スメア解析、既存の一般血液解析を組み合わせる事で、免疫応答のバランスと病態の診断をより確実に行うことも可能である。すなわち、PCR法および血液スメア解析によって、血液内に存在するタイレリア・オリエンタリスをELISpot結果に遅れて検出することでELISpot結果を補強することが可能であるし、一般血液解析によって貧血等の病態の発症の有無を直接示すことでELISpot結果との相関性を示すことが可能である。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
本実施例において使用した手法、及び予備実験の手法は以下のとおりである。
1)ELISPOT アッセイの準備
底面がPolyVinylidine DiFluoride (PVDF) メンブランで構成されている96 ウエルフィルタープレート(Millipore 社)を準備し、各ウエルへ70 % EtOH を50 μl ずつ加え30 秒 〜 2 分間処理することにより疎水性PVDF メンブランの親水処理を行った。ウエル内のEtOH をアスピレーターにより吸引除去後、Phosphate Buffered Saline (Ca2+ Mg2+ 無添加) (PBS) を各ウエルあたり150 μl 加えた後にアスピレーターで取り除く洗浄作業を5 回繰り返し、洗浄操作が終了した後、抗bovine IFN-γ キャプチャー抗体(MABTECH code 3115-3) 及び抗bovineIL-10 キャプチャー抗体(AbD serotec, code MCA2110, clone CC318) をPBS により7.5 μg/ml に希釈し、それぞれ80 μl ずつ加え 4 ℃、一晩処理することにより底面のPVDF メンブランへキャプチャー抗体をコーティングさせた。翌日に余剰なキャプチャー抗体はアスピレーターにより吸引除去後、各ウエルを150 μl のPBS で洗浄作業を行った。洗浄終了後のウエルにはRPMI コンプリートメディウムを100 μl ずつ加えて室温30 分間もしくは4 ℃、1 時間以上のブロッキング処理を行った。また、処理温度が4 ℃でのブロッキング処理を行った場合はELISpot法を行う前にプレートを室温へ戻しておいた。
2)ELISPOT アッセイに使用する細胞の準備
解析対象ウシ個体から抗凝固処理した末梢血液を採取した。その後、同末梢血より単核球分画Peripheral Blood Mononuclear Cells (PBMCs)をHISTOPAQE(登録商標)-1077 (SIGMA-ALDRICH 社)を用いた密度遠心分離法によって単離した。また、単離後すぐに使用しない場合は細胞凍結保護液CP-1 (極東製薬工業株式会社) を用いて必要になるまで保存した。PBMCsはRPMI コンプリートメディウムで洗浄後、RPMI コンプリートメディウムへ再懸濁させ細胞数検出キットNucleoCassettetm (chemometec) もしくは血球計算盤を用いて細胞数を算出した。
3)刺激用抗原ペプチドの合成
(1) タイレリア原虫表面タンパク質であるmajor piroplasm surface protein (ピロプラズマ主要表面タンパク質, MPSP) において抗原性が報告されている7C、7I、15C、15Iの4 種類をペプチド合成した(J. Vet. Med. Sci 63:895-901,2001 Kakuda T et al)。
(2) Bovine herpesvirus type 1 (ウシヘルペスウイルス1型, BHV) のglycoprotein B (gB)タンパク質においてCD4+ T cell epitopeとして報告されているBHV-gB7、 BHV-gB15の2 種類をペプチド合成した(J. Gen Virol. 80:2699-2704, 1999 Gao Yi et al)。
(3) Bovine respiratory syncytial virus (ウシRS ウイルス, RSV) のF タンパク質においてCD4+ T cell epitopeとして報告されているRSV-F25、RSV-F69の2 種類をペプチド合成した(Vaccine 19:3226-3240,2001 Fogg MH et al)。
上記(1)〜(3)に示される合成ペプチドを実験目的に合わせて単独もしくは混合して使用した。これら合成ペプチドのアミノ酸配列は以下に示される。
7C: MPSP アミノ酸配列の第61 位から80 位からなるペプチド配列(DTSKFTPTVAHRLKHAEDLF;配列番号1)

7I: MPSP アミノ酸配列の第61 位から80 位からなるペプチド配列(DTSKFTPTVAHRLKHADDLF;配列番号2)

15C: MPSP アミノ酸配列の第141 位から160 位からなるペプチド配列(GTGKVYDFVGNFKVTKVKFE;配列番号3)

15I: MPSP アミノ酸配列の第141 位から160 位からなるペプチド配列(GTGKLYNFIGNFKVKKVMFE;配列番号4)

BHV-gB7: BHV-gB アミノ酸配列の第319 位から第340 位からなるペプチド配列(HREHTSYSPERFQQIEGYYKR;配列番号5)

BHV-gB15: BHV-gB アミノ酸配列の第415 位から第436 位からなるペプチド配列(LQNVPLSDCVIEEAEAAVERV;配列番号6)

RSV-F25: RSV-F アミノ酸配列の第121 位から第136 位からなるペプチド配列(STKKFYGLMGKKRKRR;配列番号7)

RSV-F69: RSV-F アミノ酸配列の第341 位から第356 位からなるペプチド配列(WYCDNAGSVSFFPQAE;配列番号8)
4)免疫活性化反応
上記1)のキャプチャー抗体をブロッキングした96 ウエルフィルタープレートにおいて、ブロッキング処理に用いたRPMI コンプリートメディウムを除去した後に、抗bovine IFN-γ キャプチャー抗体をブロッキングしたウエルには5 〜20 x 10E5 cells 、抗IL-10 キャプチャー抗体をブロッキングしたウエルには0.5〜 2 x 10E5 cells の細胞を含むRPMI コンプリートメディウム100 μl ずつウエルへ播種した。刺激物質としては抗原性が報告されている刺激用抗原ペプチドを合成し、RPMI コンプリートメディウムで最終濃度の2 倍濃度に調製し用いた。調製した刺激用抗原ペプチドを100 μl ずつ加えて目的の最終濃度の刺激用抗原ペプチドを含む細胞懸濁液200 μl とした。 ELISPOT アッセイのコントロールとしては最終濃度1μg/ml phytohemagglutin (PHA) で刺激するためのウエルを用意し、数回ピペティングした後に37 ℃のCO2 インキュベーター内で18 〜 42 時間、振動を与えないように培養した。
以上の1)〜4)の操作は、安全キャビネットもしくはクリーンベンチ内で無菌的に行った。
5)ELISPOT アッセイの検出
上記4)の操作後、細胞懸濁液を除去した後に200 μl PBS で5 回洗浄作業をし、0.5% FCSを含むPBS (0.5% FCS/PBS)で希釈した抗bovine IFN-γ ビオチン化抗体(最終濃度 0.25 μg/ml MABTECH code 3115-6)または抗bovine IL-10 ビオチン化抗体(最終濃度 0.5 μg/ml AbD serotec code MCA211B clone CC320) をそれぞれのサイトカインに対応するウエルへ80 μl ずつ加えて室温 2 時間反応させた。ビオチン化抗体溶液を除去し、200 ul PBS で5 回洗浄作業をした後に0.5% FCS/PBS で500 倍希釈したHorseradish Peroxidase (HRP) をコンジュゲートしたstreptavidin (MABTECH code 3310-9) を室温1 時間反応させた。HRP 溶液を除去し、200 μl PBS で5 回洗浄作業をした後に3-Amino-9-ethylcarbazole (AEC) substrate kit (BD Biosciences code 551951) を用いて室温30 分間、発色させた。流水により反応液を洗い流し発色反応を停止させた。プレートは風乾によって十分に乾燥させた。
6)スポットのカウントと評価
上記5)の操作において、乾燥後のメンブラン上に現れたスポットを正立顕微鏡 (Leica DM200) を用いてそれぞれをカウントした。その結果IFN-γ とIL-10 を同一個体で10 スポット以上検出されると、貧血を含む慢性消耗性状態と判断した。
7)タイレリア病の顕微鏡検査 (ギムザ染色による原虫の直接観察)
検体ウシより採取した血液をスライドガラスへ塗布し、乾燥させ、メタノールによって固定した後に、MUTO化学薬品より購入したギムザ液により添付プロトコールにしたがって染色を行った。染色が終了した後に軽く水洗し、再び乾燥させ封入した。
その後に下記基準に従って顕微鏡を用いて検鏡し下記の基準に従って原虫の感染を判定した。
+ 10 視野を観察して、1 個の原虫を検出したもの
++ 10 視野を観察して、2 ~ 9 個の原虫を検出したもの
+++ 1 視野で1 ~ 9 個の原虫を検出したもの
++++ 1 視野で10 個以上の原虫を検出したもの
8)タイレリア病の遺伝子診断
タイレリア病の遺伝子診断(Polymerase Chain Reaction (PCR) 法)
検体ウシより抗凝固剤処理により採血した末梢血液からQIAamp DNA Blood Mini Kit (QIAGEN 社)を用いてゲノムDNA を精製した。精製したゲノムDNA をPCR 法のテンプレートとして、フォワードプライマー(5' -CTTTGCCTAGGATACTTCCT- 3';配列番号9)、リバースプライマー(5' -CAAGAGAGGCAACAACAACGA- 3';配列番号10)、Takara Ex Taq (タカラバイオ株式会社)、Ampdirect Plus (Shimadzu 社)を調製しPCR 反応液とした。
反応サイクルは下記の条件を用いた。
94℃、10分続いて(94℃、30秒;58℃、45秒;72℃、60秒)を35サイクル続いて72℃、4分。次に、このPCR 法によって得られた産物を常法に従い電気泳動分析した。その結果分離できたバンドパターンを分析することによりタイレリア感染を判定した。
9)血液検査 (貧血に関わる血液成分の測定)
EDTA採血した血液は全自動血球計数器MEK-6358 (日本光電)により赤血球濃度(RBC)、ヘモグロビン濃度(HGB)、ヘマトクリット値(HCT)を測定した。下記のウシ血液正常範囲(獣医血液学〈医歯薬出版〉参照)のいずれかが正常値以下のものを貧血とし、血球性状によって貧血を分類した。
赤血球濃度(RBC) :正常値(500 〜1000)
ヘモグロビン濃度(HGB) :正常値(8.0 〜15.0)
ヘマトクリット値(HCT) :正常値(24.0 〜46.0)
予備実験1
PHA 刺激によるELISPOT アッセイ
糖結合性のタンパク質または糖タンパク質であるレクチンは、抗原非特異的にリンパ球を活性化するため免疫応答機構の基礎研究において広く使用されている。そこで、本ELISpot法系においても植物レクチンPHA 刺激処理によって産生されたIFN-γ とIL-10 を検出できるかを検討した。
標的細胞として、京都微研製の牛5種混合生ワクチン(牛伝染性鼻気管炎(BHV)・牛ウイルス性下痢−粘膜病・牛パラインフルエンザ・牛RSウイルス感染症・牛アデノウイルス感染症混合生ワクチン)を接種したウシ由来のPBMCを用意し、上記1)で調製した抗bovine IFN-γ キャプチャー抗体をブロッキングしたプレート (IFN-γ 検出プレート)、及び抗bovineIL-10 キャプチャー抗体をブロッキングしたプレートにIL-10 検出プレートに、上記4)の手法に従い、それぞれ上記標的細胞(IFN-γ 検出プレート:1.25〜10x10E5 cells/well、IL-10 検出プレート:0.5〜5x10E5 cells/well)cells/well、IL-10 検出プレート:0.5〜5x10E5 cells/well)とPHA (最終濃度0, 10 ng/ml, 100 ng/ml, 500 ng/ml, 1 μg/ml, 10 μg/ml)を混合し42 時間インキュベーションした。その後、上記5)、6)の操作を行って、スポットを検出した。その結果、1 μg/ml PHAで刺激した際にはIFN-γ:10x10 E5 cells/well、またはIL-10:2x10 E5 cells/well条件において未刺激群と比較し良好な結果を得られた(図2A, 図4)。しかし、高濃度の刺激剤や高密度の標的細胞でインキュベーションすると過剰にスポットが検出され、個々のスポットの識別が困難になるが、本ELISpot法系は至適な処理条件を見いだすことによって細胞から産生されたIFN-γ とIL-10 を検出すること可能であるとの結論を得た。
予備実験2
ウイルスペプチドによるELISpot
本ELISpot法が抗原特異的な刺激よって活性化された細胞から産生されるIFN-γ を検出できるか検討した。使用した標的細胞は、上記京都微研製の牛5 種混合生ワクチンを3 回接種したウシよりPBMC を単離し用いた。刺激剤はBHV のglycoprotein B タンパク質上で抗原性が報告されているペプチド(BHV-gB7, BHV-gB15) または、RSV のF タンパク質上で抗原性が報告されているペプチド(RSV-F25, RSV-F69) を選択し、ペプチド合成を行い刺激ペプチドとしてELISpot法 に用いた。上記IFN-γ 検出プレートへそれぞれの刺激ペプチドを最終濃度0.01 μM, 0.1 μM, 1 μM, 2 μMに調製し、2.5〜20x10 E5 cells/well のPBMC と混合し42 時間インキュベーションした。
その結果0.1 μM 以上のBHV-gB7 ペプチド濃度で処理することによりIFN-γ を良好に検出できた。しかし、BHV-gB15, RSV-F25, RSV-F69 に反応しIFN-γを産生する細胞はほとんど存在しなかった(図2C)。これらの結果から、本ELISpot法は適切な刺激剤とその処理条件を見いだすことによって、抗原特異的にIFN-γ を産生する細胞を検出することが可能であるとの結論を得た。
実施例 1
野外感染群による検索
そこで既存のタイレリア症診断(顕微鏡検査、遺伝子診断法) のどちらかでタイレリア感染が認められた放牧牛に対してIFN-γ とIL-10 両ELISpot法の結果と血液検査との関係を検討した。検体ウシはタイレリア症の病態を示しやすいホルスタイン群(T1-10)とタイレリア症の病態を示しにくいアンガス・黒毛和種群(S1-8) の2 群で行った。
実験操作は、上記1)で調製したIFN-γ検出プレート及びIL-10検出プレートを用い 、上記2)〜6)の手法にしたがい行った。なお、ELISpot法に使用した刺激剤はタイレリア原虫表面タンパク質MPSP よりT細胞のproliferative response が報告されているアミノ酸配列を、上記3)のようにペプチド合成(7C, 15C, 7I, 15I)し、使用した。それぞれのペプチド刺激によって検出したIFN-γ、IL-10 のスポットを数値化しグラフ化した(図5ABC)。ELISpot法の評価は各実験系に合わせてIFN-γ、IL-10 スポット数の基準値(今回はスポット数:10)を設定し、基準値よりスポット数が増加した場合は検出サイトカインの産生が亢進していると判定した。
その結果、ホルスタイン群ではIFN-γ のスポット数が基準値を超えるウシが6 頭(T1〜6)検出された(図5C)。これら6 頭のほとんどが上記7)の手法による顕微鏡検査ではピロプラズマ原虫の高い感染率を示した(表1)。
従って、原虫感染率とMPSP ペプチドを用いるIFN-γ ELISpot法には相関関係があることが示された。また、IFN-γ、IL-10 の両スポット数が基準値を超えるウシ(T1,2,4,5)のうち2頭(T1,5)が上記9)に示す血液検査において貧血状態であると判断され、また別の1頭(T1)も貧血予備状態と判断された。一方、アンガス・黒毛和種群ではIL-10 の基準値を超えるウシが2 頭(S1、S4)は確認できたが、すべての検体ウシがIFN-γ の基準値を超えていなかった。
また、上記7)の顕微鏡検査と上記8)の手法による遺伝子診断法によりピロプラズマ原虫の感染は認められるが貧血病態は示していなかった。以上の結果より、野外自然感染したウシサンプルにおいてもMPSP 抗原ペプチドを用いてELISpot法が可能であった。さらに、IFN-γ とIL-10 ELISpot法のスポット数を評価することによってタイレリア感染による病態症状を予測することができた。
実施例2
人工感染群による検索
タイレリア未感染牛へ人為的にピロプラズマ原虫を投与し、その感染動態における免疫応答能の経時的変化を検討した。検体は感染ウシより回収した原虫を含む感染生血液を投与した個体(OU1) と感染血液から単離後に、凍結保存により赤血球除去により感染力を低下させたPBMC を投与する個体(OU2)とした。投与後に定期的に採血を行いELISA 法用の血清とELISpot法用のPBMC を調製し実験に用いた。
まず、虫体抗原を用いてELISA により血中抗体量を測定すると、OU1は投与後20 日以降で抗体価が上昇し始めた。一方、OU2では投与後30 日目以降でわずかな抗体価上昇が認められた(図6A)。また、OU1では上記7)の手法による顕微鏡検査において原虫が投与後34 日以降で確認でき、上記8)の手法による遺伝子診断法では20 日目以降で陽性を示した。しかし、OU2は両診断方法とも陰性のままだった。このことから感染生血液を投与した群では人工感染が成立していることが確認できた(図6B, C)。
そこで次に採取したPBMC と上記3)(1)に示されるMPSP 抗原ペプチド(7C, 15C, 7I, 15I) 用いてIFN-γ とIL-10 ELISpot法を行った。なお、IFN-γ とIL-10 ELISpot法の操作は、上記1)〜6)の手法により行った。
その結果、OU1 PBMC は上記顕微鏡検査と遺伝子診断法が陰性であった投与後5 日目からIFN-γが基準値を超えて検出され、このIFN-γ産生亢進は13 日目まで一過性に続いた。その後、20 日目以降からIFN-γが低下し始めこれに変わって徐々にIL-10が検出され、投与後27 日目以降では安定して検出されるようになった(図6D)。また、OU2 PBMC では20 〜27 日にかけてIFN-γ のみが基準値をやや超えたが、検出されるIFN-γ、IL-10スポット数は少ない傾向であった。以上の結果よりMPSP 抗原ペプチドに反応する細胞はIFN-γ の産生に特徴づけられるTh1 からIL-10 を産生するTh2 またはTregへ推移しており、本ELISpot法を用いることより個体の免疫応答を予測することができる。さらに本ELISpot法は他のタイレリア診断方法より早期の段階で感染の兆候を確認することができるため早期治療を開始できると考えられる。
本発明の診断法の概略を示す図である。 PHAを用いたELISpot法の結果を示す図である。 予備実験2において、抗原特異ペプチド(BHV-gB7, gB15及びRSV-F25,F69)刺激を行って、ウシIFN-γ分泌細胞をELISpot法により検出した結果を示す図である。 予備実験1において、PHA刺激を行って、ウシIL-10分泌細胞をELISpot法により検出した結果を示す図である。 自然感染ウシから採取した細胞試料とタイレリア・オリエンタリスのMPSPペプチドを抗原として用い、ウシIFN-γ分泌細胞及びウシIL-10分泌細胞をELISpot法により検出した結果を示す図である。 タイレリア・オリエンタリスをウシに対して人工感染させ、T細胞免疫応答の経時変化を解析した結果を示す図である。

Claims (7)

  1. ウシの末梢血から調製された細胞懸濁液と、タイレリア・オリエンタリス抗原を混和し、該懸濁液中の、タイレリア・オリエンタリス抗原特異的に応答するIFN-γ分泌T細胞及びIL-10分泌T細胞を活性化させて、これらT細胞においてそれぞれIFN-γ及びIL-10を分泌させたのち、IFN-γ抗体及び抗IL-10抗体を用いて、IFN-γ分泌T細胞及びIL-10分泌T細胞数をそれぞれ測定することにより、上記懸濁液中のタイレリア・オリエンタリス抗原特異的に応答するIFN-γ分泌T細胞及びIL-10分泌T細胞数を求め、これらT細胞数を指標にして、ウシのタイレリア・オリエンタリス感染症の有無、及び、感染している場合は、その病態が不顕性であるか、あるいは、感染症を発症しているかを検知することを特徴とする,ウシのタイレリア・オリエンタリス感染症の診断方法。
  2. 上記IFN-γ分泌T細胞及びIL-10分泌T細胞数の測定が、ELISpot法によることを特徴とする、請求項1に記載の診断方法。
  3. タイレリア・オリエンタリス抗原が、タイレリア・オリエンタリスの表面タンパク質及びその部分ペプチドであることを特徴とする、上記請求項1又は2に記載の診断方法。
  4. 請求項1記載の診断方法に使用する診断用器具であって、基板上にIFN-γに対する抗体とIL-10に対する抗体がそれぞれ一定量ずつ区画されて配置固定化されていることを特徴とする、上記診断用器具。
  5. IFN-γに対する抗体の区画とIL-10に対する抗体の区画を各一対ずつ隣接配置して一つのユニットとし、該ユニットを基板上に複数配置したことを特徴とする、請求項4に記載の診断用器具。
  6. 基板が複数のウエルを有し、各ウエルが固定化される各抗体の区画を構成することを特徴とする、上記請求項4又は5に記載の診断用器具。
  7. タイレリア・オリエンタリス抗原と請求項4〜6に記載の診断用器具を含む、請求項1記載の診断方法に使用するための診断用キット。
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