JP5656125B2 - 希土類イオンの検出方法及び希土類イオン検出用キット - Google Patents

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Description

本発明は、希土類イオンの検出方法及び希土類イオン検出用キットに関し、詳しくは、PCR(Polymerase Chain Reaction)法を利用した希土類イオンの検出方法及び希土類イオン検出用キットに関する発明である。
従来より、低濃度の希土類イオンを高感度に検出するための検出装置として、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)が知られている(特許文献1,2参照)。ICP−MSとは、誘導結合プラズマ(ICP)によってイオン化された原子を質量分析計に導入することにより、元素の同定及び定量を行うことができる測定装置である。ICP−MSは、幅広い種類の元素の検出に適用することができる。また、質量分析計を使用するため、pptレベルの超高感度の分析を行うことができる。ところが、ICP−MSは、通常の化学分析と異なり、機材が非常に高価なため、導入が容易ではない。
特開平10−280378号公報(特許請求の範囲等参照) 特開2003−21619号公報(請求項22等参照)
そこで、本発明の目的とするところは、高感度かつ安価に希土類イオンを検出することができる方法及びそのためのキットを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様では、試料中の希土類イオンを検出する方法であって、前記試料を鋳型DNAに接触させる工程と、前記試料を鋳型DNAに接触させる工程と同時又はその後に、前記鋳型DNAを用いてプライマーの存在下でPCR反応を行う工程と、前記PCR反応により増幅されたDNA断片を検出する工程とからなることを特徴とする方法を提供する。
前記希土類イオンは、例えば、原子番号57番〜71番のランタノイド(但し、61番のPmを除く)、原子番号21番のSc、及び原子番号39番のYから選ばれる少なくとも一種である。
好ましくは、前記PCR反応により増幅されたDNA断片を検出する工程では、希土類イオンの非存在下で同じPCR反応が行われた場合に検出されるのと同じDNA断片が減少若しくは消失するのを検出するか、又は希土類イオンの非存在下で同じPCR反応が行われた場合に検出されるDNA断片とは異なる大きさのDNA断片を検出し、それにより、前記試料中の希土類イオンの有無又は濃度を決定する。
好ましくは、前記PCR反応により増幅されたDNA断片を検出する工程は、リアルタイムPCRを用いて行われる。
好ましくは、前記PCR反応により増幅されたDNA断片を検出する工程は、PCR産物をアガロースゲル電気泳動法及びアクリルアミドゲル電気泳動法の少なくともいずれか一方を用いて分離する工程と、前記分離されたDNA断片を検出する工程とからなる。
好ましくは、前記PCR反応により増幅されたDNA断片を検出する工程は、増幅されたDNA断片が発光、蛍光、着色及び放射性の少なくともいずれか一つを生じるプローブ導入反応を用いて行われる。
請好ましくは、前記プローブ導入反応は、インターカレータ試薬及びシアニン系蛍光試薬の少なくともいずれか一方を用いて行われる。
好ましくは、前記鋳型DNAは、配列番号1に示す塩基配列を含むポリヌクレオチドである。
好ましくは、前記プライマーは、配列番号2に示す塩基配列を含むポリヌクレオチドプライマーと配列番号3に示す塩基配列を含むポリヌクレオチドプライマーの組み合わせであるプライマー対からなる。
好ましくは、前記PCR反応により増幅されたDNA断片を検出する工程では、アガロースゲル電気泳動法及びアクリルアミドゲル電気泳動法の少なくともいずれか一方によって求められる塩基対の大きさが100bp以下のDNA断片を検出する。
好ましくは、前記試料は、上下水道、河川、湖沼、海又は土壌から採取したものである。
本発明の第2の態様では、上記第1の態様に係る方法に用いられる希土類イオン検出用キットであって、鋳型DNA、プライマー、及び核酸増幅用試薬を含んでなる希土類イオン検出用キットを提供する。
好ましくは、前記核酸増幅用試薬は、DNAポリメラーゼ、dNTPs混合液、及び核酸増幅反応バッファを含んでなる。
本発明によれば、高感度かつ安価に希土類イオンを検出することができる方法及びそのためのキットを提供することができる。
図1は、テルビウム(Tb)又はユウロピウム(Eu)に接触させた鋳型DNAを用いたPCR反応によるPCR産物のアガロースゲル電気泳動ゲル写真を示す。尚、写真はバンドの明瞭化のために白黒反転処理している。 図2は、テルビウム(Tb)又はユウロピウム(Eu)に接触させた鋳型DNAを用いたPCR反応によるPCR産物のアガロースゲル電気泳動ゲル写真を示す。尚、写真はバンドの明瞭化のために白黒反転処理している。 図3は、各種の希土類イオンに接触させた鋳型DNAを用いたPCR反応によるPCR産物のアガロースゲル電気泳動ゲル写真を示す。尚、写真はバンドの明瞭化のために白黒反転処理している。 図4(a)は、鋳型DNAに希土類イオンを接触させる時間の長さがゼロ又は1時間の場合のアガロースゲル電気泳動ゲル写真を示す。図4(b)は、鋳型DNAに希土類イオンを接触させる時間の長さが2時間又は3時間の場合のアガロースゲル電気泳動ゲル写真を示す。尚、これらの写真はバンドの明瞭化のために白黒反転処理している。 図5(a)は、鋳型DNAに希土類イオンを接触させるときに超純水又は30mMリン酸カリウム緩衝液を使用した場合のアガロースゲル電気泳動ゲル写真を示す。図5(b)は、鋳型DNAに希土類イオンを接触させるときに60mMリン酸カリウム緩衝液又は120mMリン酸カリウム緩衝液を使用した場合のアガロースゲル電気泳動ゲル写真を示す。尚、これらの写真はバンドの明瞭化のために白黒反転処理している。 図6(a)は、希土類イオンがLa又はEuの場合のアガロースゲル電気泳動ゲル写真を示す。図6(b)は、希土類イオンがY又はTmの場合のアガロースゲル電気泳動ゲル写真を示す。尚、これらの写真はバンドの明瞭化のために白黒反転処理している。 図7(a)は、PCRサイクル数に対する蛍光強度のモニタリングデータを示す。図7(b)は、PCRサイクル数が12回、14回、16回におけるLa濃度と蛍光強度の関係を示すグラフである。 図8(a)は、各試料液における主なイオンの組成を示す表である。図8(b)は、超純水、水道水、又は河川の上流域の水を使用した場合のアガロースゲル電気泳動ゲル写真を示す。図8(c)は、河川の中流域の水A又はB若しくは河川の下流域の水A又はBを使用した場合のアガロースゲル電気泳動ゲル写真を示す。尚、これらの写真はバンドの明瞭化のためにイメージを白黒反転処理している。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
試料中の希土類イオンを検出する本実施形態の方法は、前記試料を鋳型DNAに接触させる工程と、前記試料を鋳型DNAに接触させる工程と同時又はその後に、前記鋳型DNAを用いてプライマーの存在下でPCR反応を行う工程と、前記PCR反応により増幅されたDNA断片を検出する工程とからなる。希土類イオンは、鋳型DNAとの接触により、DNAを基質として種々の触媒反応、例えばDNAの加水分解反応、及びDNAの組換え反応を起こす。したがって、かかる希土類イオンのDNAに対する触媒反応は、PCR反応を撹乱する。PCR反応の撹乱は、希土類イオンの非存在下で同じPCR反応が行われた場合に検出されるのと同じDNA断片が減少若しくは消失するのを検出するか、又は希土類イオンの非存在下で同じPCR反応が行われた場合に検出されるDNA断片とは異なる大きさのDNA断片を検出することにより確認することができる。本実施形態の方法では、PCR反応の撹乱をこうして確認することにより、試料中の希土類イオンの存在の有無を検出する。また、PCR反応により生じたPCR産物については、増幅されたDNA断片が発光、蛍光、着色及び放射性の少なくともいずれか一つを生じるプローブ導入反応に供することにより高感度検出を可能としている。
鋳型DNAに試料を接触させる工程は、希土類イオンによるDNAに対する種々の触媒反応を生じさせるために水溶液(緩衝溶媒)中で行われる。かかる工程は、PCR反応の前に行ってもよいし、PCR反応中に行ってもよいし、あるいはPCR反応の前及びPCR反応中のいずれにおいても行うようにしてもよい。好ましくは、検出処理にかかる時間の短縮の観点から、PCR反応中にのみ行われる。鋳型DNAに試料を接触させる工程をPCR反応の前に行う場合、この接触の工程は、好ましくは25〜45℃、より好ましくは35〜40℃の温度で、数分〜数時間程度の時間にわたり、好ましくは5〜9、より好ましくは6〜8のpHのもとで行われる。この場合、検出感度向上の観点から、例えばリン酸緩衝液などの公知の緩衝液を使用することが好ましい。
本実施形態の方法で検出する希土類イオン(希土類元素)は、例えば、原子番号57番〜71番のランタノイド(但し、61番のPm(プロメチウム)を除く)、原子番号21番のSc(スカンジウム)、及び原子番号39番のY(イットリウム)から選ばれる少なくとも一種である。Pmを除くランタノイドは、具体的には、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、及びLu(ルテチウム)である。
使用される鋳型DNAの種類は、特に限定されず、天然由来のDNAを使用してもよく、人工的に合成したDNAを使用してもよい。鋳型DNAは、希土類イオンがDNAを基質として種々の触媒反応、例えば加水分解反応及び組換え反応を起こすことができるDNAであることが好ましい。かかるDNAとして、例えば配列番号1に示す塩基配列を含むポリヌクレオチドが挙げられる。配列番号1に示す塩基配列は、pBR322ベクター由来の501bpの二本鎖DNAである。
PCR反応に用いられるプライマーとしては、鋳型DNAの増幅部両端の塩基配列に対応した一対の合成ポリヌクレオチドが用いられる。例えば、鋳型DNAとして配列番号1に示す塩基配列を含むポリヌクレオチドを使用する場合、配列番号2に示す塩基配列を含むポリヌクレオチドプライマーと配列番号3に示す塩基配列を含むポリヌクレオチドプライマーの組み合わせであるプライマー対を使用することができる。かかるプライマー対は、配列番号1に示す塩基配列を含むポリヌクレオチドのそれぞれの両端に相補的なプライマーである。すなわち、プライマーは、鋳型DNAの配列の一部に相当する。プライマーは、希土類イオンの非存在下でのPCR反応では、鋳型DNAを増幅する。一方、希土類イオンの存在下でのPCR反応では、プライマーの配列は、増幅されるDNA断片中に少なくとも部分的に、あるいは組換えにより派生した繰り返し配列または反転した配列として確認することができる。
鋳型DNAとして配列番号1の塩基配列を含むポリヌクレオチドを使用し、配列番号2及び配列番号3の組み合わせからなるプライマー対及び希土類イオンの存在下でPCR反応が行われた場合、希土類イオンの非存在下で同じPCR反応が行われた場合に生じるDNA断片(約500bp)とは異なる大きさ(100bp以下)の低分子量の増幅DNA断片が検出される。これは、希土類イオンの存在により、PCR反応によるDNA増幅が撹乱(例えばDNAの分解やDNAの組み換えを通じて)され、その結果、分解又は組み換えにより新たに生じたDNAの弱い結合を形成する部分にプライマーが結合して、ある長さの断片が増幅されて生じているものと考えられる。かかる低分子量の増幅DNA断片の検出により、希土類イオンの存在の有無を検出することができる。尚、希土類イオンの存在下でPCR反応が行われた場合とは、PCR反応の前に予め鋳型DNAに希土類イオンを接触させた場合を含むものとする。かかる場合であっても、希土類イオンが鋳型DNAに作用することにより、PCR反応に何らかの影響を与えるからである。希土類イオンを含むか否か未知の試料を鋳型DNAに接触させる工程を、PCR反応の前に例えばリン酸緩衝液などの緩衝液中で行った場合には、希土類イオンの非存在下で同じPCR反応が行われた場合に生じるDNA断片(約500bp)とは異なる大きさ(100bp以下)の低分子量の増幅DNA断片の検出感度を向上させることができる。
PCRを用いたゲノムDNAの増幅は、公知の方法を適宜採用して行うことができる。PCR反応は、常法に従い、鋳型DNAの解離、プライマーと鋳型DNAとのアニーリング、そしてプライマーを開始点としたDNAポリメラーゼによる相補鎖の合成からなるDNAの複製サイクルを繰り返すことにより行われる。PCR反応液は、例えば、鋳型DNA、該鋳型DNAの一部の配列からなるプライマー対、耐熱性DNAポリメラーゼ(例えば、Tagポリメラーゼ)、dNTPs(dATP、dTTP、dCTP、dGTP)、及び反応用緩衝液から調製される。PCR反応液は、市販品を適宜使用することもできる。
鋳型DNAの解離工程は、好ましくは94℃で数秒から数分程度の間で行われる。プライマーと鋳型DNAとのアニーリング工程は、好ましくは56〜64℃で数秒から数分程度の間で行われる。DNAポリメラーゼによる相補鎖合成工程は、好ましくは60〜72℃で数秒から数分程度の間で行われる。DNAの複製サイクルの繰り返し回数は、特に限定されないが、好ましくは15〜60回、より好ましくは20〜30回行われる。尚、DNAの複製サイクルは、市販のPCR装置を用いて行うことができる。
上記複製サイクルを繰り返すことにより、目的とするPCR産物(増幅ゲノムDNA)を得ることができる。PCR産物の検出は、DNAの分離工程及びDNAの検出工程により行われる。DNAの分離工程は、例えば、アガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動を用いて行うことができる。
上記DNAの分離工程後に行われるDNAの検出工程は、例えば、増幅されたDNA断片が発光、蛍光、着色及び放射性の少なくともいずれか一つを生じるプローブ導入反応を用いて行われる。プローブ導入反応は、例えば、エチジウムブロマイド等のフェナントリジン系の色素からなるインターカレータ試薬を用いて行うことができる。エチジウムブロマイドは、核酸に結合して紫外線照射によりDNA量に比例した蛍光を発する。あるいは、プローブ導入反応は、蛍光分子、色素分子、発光分子及び放射性同位元素等の標識分子を用いて合成されたプライマー又はそれらの標識分子が付加されたプライマーを用いて行われてもよい。具体的には、シアニン系蛍光試薬、例えばCy3又はCy5を用いて予め蛍光標識されたプライマー分子を使用することができる。
希土類イオンが測定試料中に含まれるか否かの判定は、上記複製サイクルにより生成したPCR産物の分離及び検出の各工程を経ることにより得られる分画パターンに基づいて判断される。PCR産物の分画パターンの比較解析は、例えば、増幅ゲノムDNAの有無、分子量(塩基数)、量、及び塩基配列に基づいて行われる。より具体的には、PCR産物を電気泳動してバンドの有無や濃淡、移動距離及び塩基配列をコントロールと比較することにより行うことができる。
また、PCR反応により増幅されるDNA断片の検出は、リアルタイムPCRを用いて行ってもよい。リアルタイムPCRは、定量PCRの一つで、PCRによる増幅を経時的に測定することで増幅率に基づいて鋳型となるDNAの検出のみならず鋳型DNAの定量を行うこともできる。
希土類イオンは、DNAに対する触媒反応によりPCR反応を撹乱し、希土類イオンの非存在下で同じPCR反応が行われた場合に検出されるのと同じDNA断片を減少若しくは消失させるか、あるいは希土類イオンの非存在下で同じPCR反応が行われた場合に検出されるDNA断片とは異なる大きさのDNA断片を生じさせる。かかるDNA断片の減少量又は消失量は、希土類イオンの濃度に依存し、希土類イオンの濃度が高くなるほど増大することを確認している。同様に、前記異なる大きさのDNA断片が生じる量も、希土類イオンの濃度に依存し、希土類イオンの濃度が高くなるほど増大することを確認している。したがって、PCR反応により増幅されるDNA断片の検出を、リアルタイムPCRを用いて行った場合には、DNA断片の検出量から試料中の希土類イオンの濃度を算出することができる。
リアルタイムPCR法は、公知の方法で行うことができる。例えば、サーマルサイクラー及び分光蛍光光度計を一体化した市販のリアルタイムPCR装置を使用してもよい。DNAの検出は、例えば、二重鎖DNAに結合することで蛍光を発するインターカレータ試薬を用いたインターカレータ法や、増幅するDNA配列に特異的なオリゴヌクレオチドに蛍光色素を結合させた蛍光標識プローブを用いる方法で行うことができる。インターカレータ法で使用することができるインターカレータ試薬は、例えばSYBR Green Iが挙げられる。
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態の方法によれば、PCR反応工程とDNA検出工程により希土類イオン(希土類金属)の検出が可能である。したがって、ICP−MSを用いた方法と比べ、高価な機器を使用することなく安価に且つ短時間で希土類イオンを検出することができる。
(2)鋳型DNAに試料を接触させる工程と同時に、鋳型DNAを用いてプライマーの存在下でPCR反応を行った場合には、試料中の希土類イオンの検出にかかる時間の短縮を図ることができる。
(3)PCR反応により増幅されるDNA断片の検出をリアルタイムPCRにより行った場合には、試料中の希土類イオンの有無の検出のみならず、希土類イオンの定量を行うことができる。
(4)PCR反応により増幅されたDNA断片の検出は、増幅されたDNA断片が発光、蛍光、着色及び放射性の少なくともいずれか一つを生じるプローブ導入反応を用いて行われる。この場合、希土類イオンのより高感度の検出が可能となる。
(5)ランタノイド等の希土類金属は、特徴的な性質を有しているために、工業・産業上の利用価値が見出されている。また、生体分子レベルで希土類金属が生理活性を有することも多数報告されている。したがって、本実施形態の希土類イオンの検出方法は、これらの各分野において有用である。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
上記実施形態の希土類イオンの検出方法は、例えば、鋳型DNA、プライマー、及び核酸増幅用試薬を含んでなる希土類イオン検出用キットを使用して行ってもよい。核酸増幅用試薬は、例えば、DNAポリメラーゼ、dNTPs混合液、及び核酸増幅反応バッファを含んでなる。この場合、簡便に希土類イオンの検出を実施することができる。
PCR産物を電気泳動して例えば検出バンドの濃淡をコントロールと比較することにより、試料中の希土類イオンの有無の検出のみならず、試料中の希土類イオンの定量又は定性をしてもよい。
PCR反応は、超高速又は高増幅PCR装置を用いて行ってもよい。超高速又は高増幅PCR装置では、温度を固定した熱板の上で、PCR容器を封入したディスクを接触回転させることが行われる。この場合、希土類イオンの検出にかかる時間のさらなる短縮を図ることができる。
上記実施形態の希土類イオンの検出方法は、例えば、上下水道、河川、湖沼、海又は土壌から採取した試料中の希土類イオンの検出に使用されてもよい。
上記実施形態の希土類イオンの検出方法で使用される鋳型DNAは、配列番号1に示す塩基配列のみからなるDNAであってもよいし、あるいは、配列番号1に示す塩基配列を一部に含むDNAであってもよい。配列番号1に示す塩基配列を一部に含むDNAの具体例としては、例えば、pBR322ベクター(4361bp)が挙げられる。
PCR法により増幅されるDNA断片は、核酸切断反応などの核酸を基質とした希土類イオンの触媒活性による新規なPCR撹乱効果により生じるDNA断片であって、必ずしも鋳型DNAに含まれる配列である必要はない。
次に、実施例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。
<試験例1:Tb及びEuによるPCR反応の撹乱の確認試験>
Tb及びEuがDNA及びPCR反応に影響を与えるか否かについて、PCRにより増幅するDNAを追跡することにより測定した。鋳型DNAとして配列番号1に示されるポリヌクレオチドからなるDNAを使用した。配列番号1のDNAは、pBR322ベクター由来の501bpの二本鎖DNAである。まず、リン酸カリウムバッファ(pH7.0)30mM中に鋳型DNAを150μM及び希土類イオン(Tb、Eu)をそれぞれ0.3mM,3mM,30mMの各濃度になるように添加し、反応液を調製した。その反応液を37℃で1時間インキュベートした。
次に、上記インキュベート後の反応液にPCR反応試薬を添加することにより、PCR反応を行った。PCR反応試薬は、タカラバイオ社製のTakara ExTaq(10×PCRバッファ、dNTP混合物、及びExTaqポリメラーゼ)を使用した。プライマーとしては、配列番号2,3のポリヌクレオチドからなるプライマー対を0.2〜1μMの濃度で使用した。その他は製品記載のプロトコルに従った。
PCRは、サーマルサイクラー(PERKIN ELMER CETUS社製Gene Amp PCR System)を用い、94℃に2分間保持した後、94℃で1分間の解離工程、59.5℃で1分間のアニーリング工程、そして70℃で1分間のポリメラーゼ反応(相補鎖伸長反応)工程というサイクルを25回繰り返し、最後に再度伸長反応を72℃で10分間行うことにより実施した。
反応後のPCR産物を0.5×TBEバッファ中、2.0%アガロースゲル上で電気泳動し、エチジウムブロマイド染色した後、UV光下でバンドを検出した。結果を図1に示す。
図1に示されるように、希土類イオンの濃度に依存して500bp付近のバンド(鋳型DNAに対応)が薄くなる、すなわち次第に消失することが確認された。これは、希土類イオンによる鋳型DNAの分解が原因と考えられる。したがって、このバンドの濃淡により、希土類イオンの存在の有無を検出できることが分かる。この試験例に記載の方法に従うと、鋳型DNAと希土類イオンを混合した後のインキュベートにかかる時間が1時間で、サーマルサイクラーによるPCR反応にかかる時間が約2時間半なので、電気泳動によるチェックの時間を含めても、合計4時間程度で希土類イオンの検出が可能である。
また、図1に示されるように、500bp付近のバンド(鋳型DNA)は希土類イオンの濃度が高くなるにつれて薄くなるため、検量線を作成することにより希土類イオンの定量も可能となることが示唆される。
<試験例2:Tb及びEuによるPCR反応の撹乱の確認試験>
Tb及びEuがDNA及びPCR反応に影響を与えるか否かについて、PCR反応後に鋳型DNA以外のDNAに由来するバンドを検出することにより測定した。
鋳型DNAとして配列番号1に示されるポリヌクレオチドからなるDNAを使用した。まず、リン酸カリウムバッファ(pH7.0)30mM中に鋳型DNAを15pM、及び希土類イオン(Tb、Eu)をそれぞれ300pM、3nM、30nMの各濃度になるように添加し、反応液を調製した。その反応液を37℃で1時間インキュベートした。
次に、試験例1に記載の方法に従い、上記インキュベート後の反応液にPCR反応試薬を添加することによりPCR反応を行い、その後にアガロースゲル電気泳動によりバンドの検出を行った。結果を図2に示す。尚、図2中、丸で囲んだ数字の1で示すバンドは希土類イオンを添加していないコントロールのもの、丸で囲んだ数字の2で示すバンドはTbの濃度が300pMのときのもの、丸で囲んだ数字の3で示すバンドはTbの濃度が3nMのときのもの、丸で囲んだ数字の4で示すバンドはTbの濃度が30nMのときのもの、丸で囲んだ数字の5で示すバンドはEuの濃度が300pMのときのもの、丸で囲んだ数字の6で示すバンドはEuの濃度が3nMのときのもの、丸で囲んだ数字の7で示すバンドはEuの濃度が30nMのときのものを示す。
図2に示されるように、希土類イオンを溶液中に含まない場合では、500bp付近のバンド(鋳型DNA)が増幅された(丸で囲んだ数字の1で示すバンドを参照)。一方、希土類イオンを添加した試料について、特に、Tbの濃度が300pMの場合(丸で囲んだ数字の2で示すバンドを参照)、Euの濃度が300pMの場合(丸で囲んだ数字の5で示すバンドを参照)、及びEuの濃度が3nMの場合(丸で囲んだ数字の6で示すバンドを参照)において、図2中に白色矢印で示すように、鋳型DNA由来のバンドとは異なる100bp以下の長さの(非特異的な)バンドが出現することが確認された。これは、Tb及びEuの添加によりPCR反応が撹乱されたためと考えられる。かかる短いDNA鎖を検出することにより、希土類イオンの存在の有無を検出することが可能である。
<試験例3:種々の希土類イオンによるPCR反応の撹乱の確認試験>
種々の希土類イオンのそれぞれがDNA及びPCR反応に影響を与えるか否かについて、鋳型DNA以外のDNAに由来するバンドを検出することにより測定した。
鋳型DNAとして配列番号1に示されるポリヌクレオチドからなるDNAを使用した。まず、リン酸カリウムバッファ(pH7.0)30mM中に鋳型DNAを15pM及び図3中に示されている各希土類イオンをそれぞれ3nMの濃度になるように添加することにより反応液を調製した。その反応液を37℃で1時間インキュベートした。
次に、試験例1に記載の方法に従い、上記インキュベート後の反応液にPCR反応試薬を添加することによりPCR反応を行い、その後にアガロースゲル電気泳動によりバンドの検出を行った。尚、分子量マーカーとしてニッポンジーン社製のGene Ladder100を使用した。結果を図3に示す。
図3に示されるように、希土類イオンを溶液中に含まない場合(コントロール)では、500bp付近のバンド(鋳型DNA)が増幅された。一方、希土類イオンを添加した全ての試料について、鋳型DNAとは異なる100bp以下の長さの(非特異的な)バンドが出現することが確認された(Y,Gd,Ybの場合、図3中不明瞭ではあるが存在する)。これは、希土類イオンの添加によりPCR反応が撹乱されたためと考えられる。かかる短いDNA鎖を検出することにより、希土類イオンの存在の有無を検出することが可能である。
また、図3に示されるように、100bp以下の非特異的なバンドは、希土類イオンの種類により濃淡が相違するため、かかるバンドの濃淡の比較により希土類イオンの定性の可能性も示唆される。
<試験例4:鋳型DNAに希土類イオンを接触させる工程の条件検討(その1)>
鋳型DNAに希土類イオンを接触させる時間の長さによる影響について検討した。
鋳型DNAとして配列番号1に示されるポリヌクレオチドからなるDNAを使用した。まず、超純水中に鋳型DNAを150pM、及び希土類イオン(La)をゼロ、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μMの各濃度になるように添加し、反応液を調製した。その反応液を37℃で0時間、1時間、2時間又は3時間インキュベートした。
次に、試験例1に記載の方法に従い、上記インキュベート後の反応液にPCR反応試薬を添加することによりPCR反応を行い、その後にアガロースゲル電気泳動によりバンドの検出を行った。インキュベート時間がゼロ又は1時間の場合の電気泳動写真を図4(a)、インキュベート時間が2時間又は3時間の場合の電気泳動写真を図4(b)に示す。
図4(a)及び図4(b)に示されるように、Laの濃度が同じであれば、鋳型DNAに希土類イオンを接触させる時間の長さにより、500bpのバンドの消失量に差がないことが確認された。したがって、希土類イオンの検出時間の短縮の観点から、鋳型DNAに希土類イオンを接触させる工程は、PCR反応の前処理として行うよりもPCR反応中に行うことが好ましいこと、また前処理として行うとしてもできるだけ短時間で済ませるのが好ましいことが示唆された。
<試験例5:鋳型DNAに希土類イオンを接触させる工程の条件検討(その2)>
鋳型DNAに希土類イオンを接触させるときに使用されるリン酸緩衝液の濃度による影響について検討した。
鋳型DNAとして配列番号1に示されるポリヌクレオチドからなるDNAを使用した。まず、超純水、30mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)、60mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)、又は120mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)中に鋳型DNAを150pM、及び希土類イオン(La)をゼロ、0.5μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μMの各濃度になるように添加し、反応液をそれぞれ調製した。その反応液を37℃1時間でインキュベートした。
次に、試験例1に記載の方法に従い、上記インキュベート後の反応液にPCR反応試薬を添加することによりPCR反応を行い、その後にアガロースゲル電気泳動によりバンドの検出を行った。反応液の調製において超純水又は30mMリン酸カリウム緩衝液を使用した場合の電気泳動写真を図5(a)、反応液の調製において60mMリン酸カリウム緩衝液又は120mMリン酸カリウム緩衝液を使用した場合の電気泳動写真を図5(b)に示す。
図5(a)及び図5(b)に示されるように、鋳型DNAに希土類イオンを接触させるときには超純水よりも30mM程度の濃度のリン酸カリウム緩衝液を使用した方が、100bpのバンドの検出感度が優れることが確認された。
<試験例6:種々の希土類イオンによるPCR反応の撹乱の確認試験>
希土類イオンであるLa,Eu,Y,Tmのそれぞれの濃度がPCR反応に与える影響について、鋳型DNAに由来するバンドを検出することにより測定した。
鋳型DNAとして配列番号1に示されるポリヌクレオチドからなるDNAを使用した。まず、超純水中に鋳型DNAを150pM及びLa,Eu,Y,Tmの各希土類イオンをそれぞれゼロ、0.3μM、1μM、3μM、10μM、30μM、100μMの各濃度になるように添加し、反応液を調製した。その反応液を37℃で1時間インキュベートした。
次に、試験例1に記載の方法に従い、上記インキュベート後の反応液にPCR反応試薬を添加することによりPCR反応を行い、その後にアガロースゲル電気泳動によりバンドの検出を行った。尚、分子量マーカーとしてニッポンジーン社製のGene Ladder100を使用した。使用した希土類イオンがLa又はEuの場合の電気泳動写真を図6(a)、使用した希土類イオンがY又はTmの場合の電気泳動写真を図6(b)に示す。
図6(a)及び図6(b)に示されるように、La,Eu,Y,Tmのいずれを使用した場合も、希土類イオンの濃度に依存して鋳型DNAに対応する500bpのバンドの消失が起こることが確認された。したがって、鋳型DNA鎖の消失を検出することにより、希土類イオンの存在の有無を検出できること、また、バンドの濃さを測定することにより、希土類イオンの定量も可能であることが確認された。また、希土類イオンの種類によりバンドの濃淡が相違するため、かかるバンドの濃淡の比較により希土類イオンの定性の可能性も示唆される。
<試験例7:リアルタイムPCRを用いた増幅DNAの検出試験>
希土類イオンLaが鋳型DNAに与える影響について、リアルタイムPCRを用いて増幅DNAを検出することにより測定した。
鋳型DNAとして配列番号1に示されるポリヌクレオチドからなるDNAを使用した。まず、超純粋中に、リアルタイムPCR用試薬の他、鋳型DNAを150pM、及び希土類イオンLaをゼロ、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μMの各濃度になるように添加し、各PCR反応液を調製した。リアルタイムPCR用試薬は、バイオラッド・ラボラトリーズ社製のiQ SYBR Green Supermixを使用した。プライマーとしては、配列番号2,3のポリヌクレオチドからなるプライマー対を0.2〜1μMの濃度で使用した。その他は製品記載のプロトコルに従った。
次に、リアルタイムPCR測定器(バイオラッド・ラボラトリーズ社製のリアルタイムPCR装置(Chromo4))を使用し、各反応液毎にPCR反応により増幅されるDNA産物をインターカレータ試薬(SYBR Green)由来の蛍光強度によりリアルタイムで測定した。リアルタイムPCRを用いて得られたPCRサイクル数に対する蛍光強度のモニタリングデータを図7(a)に示す。サイクル数が12回、14回又は16回におけるLa濃度と蛍光強度との関係を示すグラフを図7(b)に示す。
図7(b)に示されるように、La濃度と蛍光強度との間には直線的な相関関係が認められた。したがって、希土類イオンの検量線を予め作成することにより、未知試料中の希土類イオンの濃度を測定することも可能である。リアルタイムPCRによる増幅途中の蛍光強度を指標にすることで、短時間且つ細かい濃度範囲で正確な希土類イオンの濃度の測定が可能であることが示唆された。
尚、リアルタイムPCR用試薬として、バイオラッド・ラボラトリーズ社製のSsoFast EvaGreen Supermixを使用した場合にも同様の結果を得ている。
<試験例8:自然界で採取される試料によるPCR反応の撹乱の確認試験>
自然界で採取される試料液に溶解させた希土類イオンLaがPCR反応に与える影響について、鋳型DNAに由来するバンドを検出することにより測定した。
鋳型DNAとして配列番号1に示されるポリヌクレオチドからなるDNAを使用した。試料液として超純水、水道水、河川の上流域の水、河川の中流域において採取場所の異なる水A及び水B、並びに河川の下流域において採取場所の異なる水A及び水Bをまず用意し、これらの試料液のそれぞれに鋳型DNAを150pM及びLaをゼロ、2μm、6μMの各濃度になるように添加し、反応液を調製した。その反応液を37℃で1時間インキュベートした。
次に、試験例1に記載の方法に従い、上記インキュベート後の反応液にPCR反応試薬を添加することによりPCR反応を行い、その後にアガロースゲル電気泳動によりバンドの検出を行った。尚、分子量マーカーとしてニッポンジーン社製のGene Ladder100を使用した。図8(a)は、超純水を除く各試料液における主なイオンの組成について示す。反応液の調製において超純水、水道水、又は河川の上流域の水を使用した場合の電気泳動写真を図8(b)に示す。反応液の調製において河川の中流域の水A又はB若しくは河川の下流域の水A又はBを使用した場合の電気泳動写真を図8(c)に示す。
図8(b)及び図8(c)に示されるように、いずれの反応液を使用した場合も、Laの濃度が同じであれば、500bpのバンドの消失量に差がないことが確認された。したがって、希土類イオンによるPCR反応の撹乱は、反応液中に存在する無機イオンの影響を受けにくいことが確認された。つまり、本発明の希土類イオンの検出方法により、自然界に存在する希土類イオンの検出の可能性も示唆される。

Claims (13)

  1. 試料中の希土類イオンを検出する方法であって、
    前記試料を鋳型DNAに接触させる工程と、
    前記試料を鋳型DNAに接触させる工程と同時又はその後に、前記鋳型DNAを用いてプライマーの存在下でPCR反応を行う工程と、
    前記PCR反応により増幅されたDNA断片を検出する工程と
    からなることを特徴とする方法。
  2. 前記希土類イオンは、原子番号57番〜71番のランタノイド(但し、61番のPmを除く)、原子番号21番のSc、及び原子番号39番のYから選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記PCR反応により増幅されたDNA断片を検出する工程では、希土類イオンの非存在下で同じPCR反応が行われた場合に検出されるのと同じDNA断片が減少若しくは消失するのを検出するか、又は希土類イオンの非存在下で同じPCR反応が行われた場合に検出されるDNA断片とは異なる大きさのDNA断片を検出し、それにより、前記試料中の希土類イオンの有無又は濃度を決定する、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 前記PCR反応により増幅されたDNA断片を検出する工程は、リアルタイムPCRを用いて行われる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記PCR反応により増幅されたDNA断片を検出する工程は、
    PCR産物をアガロースゲル電気泳動法及びアクリルアミドゲル電気泳動法の少なくともいずれか一方を用いて分離する工程と、
    前記分離されたDNA断片を検出する工程と
    からなる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記PCR反応により増幅されたDNA断片を検出する工程は、増幅されたDNA断片が発光、蛍光、着色及び放射性の少なくともいずれか一つを生じるプローブ導入反応を用いて行われる、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記プローブ導入反応は、インターカレータ試薬及びシアニン系蛍光試薬の少なくともいずれか一方を用いて行われる、請求項6に記載の方法。
  8. 前記鋳型DNAは、配列番号1に示す塩基配列を含むポリヌクレオチドである、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記プライマーは、配列番号2に示す塩基配列を含むポリヌクレオチドプライマーと配列番号3に示す塩基配列を含むポリヌクレオチドプライマーの組み合わせであるプライマー対からなる、請求項8に記載の方法。
  10. 前記PCR反応により増幅されたDNA断片を検出する工程では、アガロースゲル電気泳動法及びアクリルアミドゲル電気泳動法の少なくともいずれか一方によって求められる塩基対の大きさが100bp以下のDNA断片を検出する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記試料は、上下水道、河川、湖沼、海又は土壌から採取したものである、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の方法に用いられる希土類イオン検出用キットであって、
    鋳型DNA、プライマー、及び核酸増幅用試薬を含んでなることを特徴とする希土類イオン検出用キット。
  13. 前記核酸増幅用試薬は、DNAポリメラーゼ、dNTPs混合液、及び核酸増幅反応バッファを含んでなる、請求項12に記載の希土類イオン検出用キット。
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