JP5652792B2 - メソポーラスシリカの製造方法 - Google Patents
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アルコキシシランを酸性水溶液中に溶解させて、シリカ前駆体水溶液を調製する第1工程;
芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含み、スルホン酸基を有する親水性重合体ブロック(S)、及び不飽和炭化水素化合物に由来する構造単位を含有する非晶性重合体からなる疎水性重合体ブロック(T)を構成成分とするブロック共重合体(Z)を、有機溶媒に溶解させてブロック共重合体溶液を調製する第2工程;
前記シリカ前駆体水溶液とブロック共重合体溶液とを混合する第3工程;
前記第3工程で得られた混合液から、有機溶媒と水とを除去して固形分を得る第4工程;および
前記第4工程で得られた固形分を焼成する第5工程;を含むメソポーラスシリカの製造方法を提供する。
本発明のメソポーラスシリカの製造方法は、
第1工程:アルコキシシランを酸性水溶液中に溶解させて、シリカ前駆体水溶液を調製する工程;
第2工程:芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含み、スルホン酸基を有する親水性重合体ブロック(S)、及び不飽和炭化水素化合物に由来する構造単位を含有する非晶性重合体からなる疎水性重合体ブロック(T)を構成成分とするブロック共重合体(Z)を、有機溶媒に溶解させてブロック共重合体溶液を調製する工程;
第3工程:シリカ前駆体水溶液とブロック共重合体溶液とを混合する工程;
第4工程:第3工程で得られた混合液から、有機溶媒と水とを除去して固形分を得る工程;および
第5工程:第4工程で得られた固形分を焼成する工程;を少なくとも含む。
アルコキシシランを酸性水溶液中に溶解させることによって、アルコキシシランが有するアルコキシル基(−OR)は酸性水溶液中で加水分解を受け水酸基(−OH)に変換され、さらに脱水縮合して高分子量化して、シリカ前駆体となると推定される。
アルコキシシランとしては、例えば下記一般式(1)で示されるものを用いることができる。
第2工程において、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含有するスルホン酸基を有する親水性重合体ブロック(S)(以下、「芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含有するスルホン酸基を有する親水性重合体ブロック(S)」を単に「親水性重合体ブロック(S)」と称する)、及び不飽和炭化水素化合物に由来する構造単位を含有する非晶性重合体からなる疎水性重合体ブロック(T)(以下、「不飽和炭化水素化合物に由来する構造単位を含有する非晶性重合体である疎水性重合体ブロック(T)」を単に「疎水性重合体ブロック(T)」と称する)を構成成分とするブロック共重合体(Z)を、有機溶媒に溶解させてブロック共重合体溶液を調製する。当該ブロック共重合体溶液において、ブロック共重合体(Z)は、親水性重合体ブロック(S)を外側に、疎水性重合体ブロック(T)を内側に配向した均等な直径のミセルを形成して均一に分散していると考えている。
<親水性重合体ブロック(S)>
ブロック共重合体(Z)の構成成分である親水性重合体ブロック(S)は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含みスルホン酸基を有していない重合体ブロック(S0)(以下「芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含みスルホン酸基を有していない重合体ブロック(S0)」を単に「重合体ブロック(S0)」と称する)の芳香環にスルホン酸基を導入することで得られる。かかる芳香族ビニル化合物が有する芳香環は炭素環式芳香環であるのが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環等が挙げられる。
ブロック共重合体(Z)の構成成分である疎水性重合体ブロック(T)は不飽和炭化水素化合物に由来する構造単位を含有する非晶性の重合体ブロックである。ここで「非晶性」とは、ブロック共重合体(Z)の動的粘弾性を測定して、結晶性オレフィン重合体由来の貯蔵弾性率の変化がないことによって確認できる。
ブロック共重合体(Z)は、親水性重合体ブロック(S)と疎水性重合体ブロック(T)とを、それぞれ1個以上有している。親水性重合体ブロック(S)を複数個有する場合、それらの構造(構成する単量体の種類、重合度、スルホン酸基の種類や導入割合等)は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。また、疎水性重合体ブロック(T)を複数個有する場合、それらの構造(構成する単量体の種類、重合度等)は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
本発明のメソポーラスシリカを形成するブロック共重合体(Z)は、重合体ブロック(S0)と疎水性重合体ブロック(T)とからなるブロック共重合体(Z0)を製造した後、重合体ブロック(S0)にスルホン酸基を導入する方法を用いることができる。
(1)シクロヘキサン等の非極性溶媒中でアニオン重合開始剤の存在下、20〜100℃の温度条件下で、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、芳香族ビニル化合物を逐次重合させS0−T−S0型ブロック共重合体(Z0)を得る方法;
(2)シクロヘキサン等の非極性溶媒中でアニオン重合開始剤の存在下、20〜100℃の温度条件下で芳香族ビニル化合物、共役ジエンを逐次重合させた後、安息香酸フェニル等のカップリング剤を添加してS0−T−S0型ブロック共重合体(Z0)を得る方法;
(3)シクロヘキサン等の非極性溶媒中でアニオン重合開始剤として有機リチウム化合物の存在下、0.1〜10質量%濃度の極性化合物の存在下、−30〜30℃の温度にて、5〜50質量%濃度の芳香族ビニル化合物を重合させ、得られるリビングポリマーに共役ジエンを重合させた後、安息香酸フェニル等のカップリング剤を添加して、S0−T−S0型ブロック共重合体(Z0)を得る方法;
(4)シクロヘキサン等の非極性溶媒中でアニオン重合開始剤の存在下、20〜100℃の温度条件下で、t−ブチルスチレン、スチレン、共役ジエンを所望の順番で各1回以上逐次添加し、3種類以上の重合体ブロックからなるブロック共重合体(Z0)を得る方法;
等が採用される。
(5)ハロゲン化炭化水素および炭化水素の混合溶媒中、−78℃で、2官能性ハロゲン化開始剤を用いて、ルイス酸存在下、イソブテンをカチオン重合させた後、スチレン等の芳香族ビニル化合物を重合させて、S0−T−S0型ブロック共重合体(Z0)を得る方法(Macromol.Chem.,Macromol.Symp.32,119(1990).)等が採用される。
次に、ブロック共重合体(Z0)にスルホン酸基を導入してブロック共重合体(Z)を製造する方法について述べる。スルホン酸基の導入(スルホン化)は、公知の方法で行える。例えば、ブロック共重合体(Z0)の溶液や懸濁液を調製したのち、後述するスルホン化剤を添加し混合する方法や、ブロック共重合体(Z0)に直接ガス状のスルホン化剤を添加する方法が挙げられる。
前記第1工程で得られたシリカ前駆体水溶液と、第2工程で得られたブロック共重合体溶液とを混合する。混合方法に制限はなく、シリカ前駆体水溶液中にブロック共重合体溶液を供給する方法、ブロック共重合体溶液中にシリカ前駆体水溶液を供給する方法、シリカ前駆体水溶液とブロック共重合体溶液とを同時に容器内に供給する方法のいずれであってもよい。なお、混合に際しては、公知の攪拌装置を用いて、攪拌しながら行うことが好ましい。
前記第3工程で得られた混合液から有機溶媒と水とを除去して固形分を得る。得られるメソポーラスシリカの結晶性を高める観点から、第3工程で調製後、1時間以内に第4工程に供することが好ましく、30分以内に第4工程に供することがより好ましい。
前記第4工程で得られた固形分を焼成して、ブロック共重合体(Z)を除去し、細孔径2〜50nmの多数の細孔が周期的に形成されたメソポーラスシリカが得られる。
GPCシステム :東ソー株式会社製HLC-8220GPC
カラム :TSKgel Super Multipore HZ-M
TSK guard Column Super MP-M
TSK gel G3000H
RI検出器 :HLC-8220GPC
カラムオーブン温度:40℃
溶離液 :テトラヒドロフラン
標準サンプル:標準ポリスチレンの較正曲線を用いて、換算した
NMRシステム :日本電子製JNM-ECX400
溶媒 :重水素化クロロホルム
基準ピーク :テトラメチルシラン
ブロック共重合体(Z)の20質量%トルエン/イソプロピルアルコール(質量比5/5)溶液を調製し、離型処理済PETフィルム[三菱樹脂(株)製、MRV(商品名)]上に約350μmの厚みでコートし、熱風乾燥機にて、100℃で4分間乾燥後、25℃で離型処理済PETフィルムから剥離させて、厚さ30μmの膜を得た。得られた膜を、広域動的粘弾性測定装置(レオロジ社製「DVE−V4FTレオスペクトラー」)を使用して、引張りモード(周波数:11Hz)で、昇温速度を3℃/分、−80℃から250℃まで昇温して、貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)及び損失正接(tanδ)を測定した。結晶化オレフィン重合体に由来する80〜100℃における貯蔵弾性率の変化がないことに基づき、疎水性重合体ブロック(T)の非晶性を判断した。この結果、下記実施例、比較例で得られたすべてのブロック共重合体(Z)について、疎水性重合体ブロック(T)は非晶性であった。
日本ベル株式会社製、自動比表面積/細孔分布測定装置、商品名「BELSORP-miniII」」を使用し、液体窒素を用いて多点法でBET比表面積を測定し、パラメータCが正になる範囲で値を導出した。細孔分布は、前記のBJH 法を採用し、ピークトップを細孔径とした。前処理は100℃で24時間行った。
撹拌装置付き耐圧容器を十分に窒素置換を行った後、充分に脱水したα−メチルスチレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンおよびテトラヒドロフランを、各々172g、258.1g、28.8gおよび5.9g投入した。続いてsec−ブチルリチウム(1.3M、シクロヘキサン溶液)17.5mlを添加し、−10℃で5時間重合した。5時間重合後のポリα−メチルスチレンの数平均分子量をGPCにより測定したところ、ポリスチレン換算で6,400であった。次いで、1,3−ブタジエン27gを添加し、30分間撹拌後、シクロヘキサン1,703gを加えた。ポリ1,3−ブタジエンブロック(b1)の数平均分子量は3640であった。次に1,3−ブタジエンを303g加え、温度を60℃まで上昇させながら2時間重合をした。さらに、耐圧容器中の重合溶液に、α,α′−ジクロロ−p−キシレン(0.3M、トルエン溶液)27.0mlを加え、60℃で1時間撹拌し、カップリング反応を行い、ポリ( α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)型共重合体(以下mSEBmSと略記する)を合成した。得られたmSEBmSの数平均分子量は74000であり、1H−NMR測定から求めた1、2−結合量は43.9% 、α−メチルスチレン単位の含有量は28質量%であった。また、ポリブタジエンブロック中には、α−メチルスチレンが実質的に共重合されていないことが、1H−NMRスペクトル測定による組成分析により判明した。
合成例1で得られたブロック共重合体(Z0−1)100gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン1000mlを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、塩化メチレン41.8ml中、0℃ にて無水酢酸21.0mlと硫酸9.34mlとを反応させて得られた硫酸化試薬を、20分かけて徐々に滴下した。35℃にて0.5時間攪拌後、2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ取した重合体を真空乾燥してスルホン化物を得た(以下、ブロック共重合体(Z−1)と称する)。得られたブロック共重合体(Z−1)のα−メチルスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR分析から27mol%、酸価滴定によって求めたイオン交換容量は0.8meq/gであった。
合成例2の反応温度を25℃に、反応時間を3時間に変更した以外は、合成例2と同様に行った。得られたスルホン化物(以下、ブロック共重合体(Z−2)と称する)のα−メチルスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR分析から36mol%、酸価滴定によって求めたイオン交換容量は0.88meq/gであった。
合成例3の反応時間を7時間に変更した以外は、合成例3と同様に行った。得られたスルホン化物(以下、ブロック共重合体(Z−3)と称する)のα−メチルスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR分析から50mol%、酸価滴定によって求めたイオン交換容量は1.06meq/gであった。
モノメトキシポリエチレンオキサイド(Acros社製PEG5000)20gをTHF60mlに溶解させた。これにピリジン40mlを添加し、均一な溶液を得た。この溶液を氷浴で冷却し、2−ブロモイソブチリルブロマイド(Acros社製)13mmolを30分かけて滴下した後、更に30℃で12時間撹拌した。室温に冷却後、冷却したジメチルエーテル200mlを溶液に添加して、沈殿物として白色のPEO−Brを得た。PEO−Brは冷却したジメチルエーテルで洗浄し、真空乾燥した。次に、PEO−Br3g、CuBr0.08g、N,N,N’、N’−ペンタメチルジエチレントリアミン(Acros社製)0.10g、スチレン(和光純薬工業製)15gをアンプル管に入れて、脱酸素処理を行った後、110℃、3時間かけて重合反応を実施した。得られたゲル状の生成物をTHF50mlに溶解させ、アルミナカラムに通すことでCu錯体を除去した。これに石油エーテル200mlを添加して再沈殿処理を行うことで、ブロック共重合体(Q)を得た。得られたブロック共重合体(Q)の数平均分子量は36100であった。
Claims (3)
- アルコキシシランを酸性水溶液中に溶解させて、シリカ前駆体水溶液を調製する第1工程;
芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含み、スルホン酸基を有する親水性重合体ブロック(S)、及び不飽和炭化水素化合物に由来する構造単位を含有する非晶性重合体からなる疎水性重合体ブロック(T)を構成成分とするブロック共重合体(Z)を、有機溶媒に溶解させてブロック共重合体溶液を調製する第2工程;
前記シリカ前駆体水溶液とブロック共重合体溶液とを混合する第3工程;
前記第3工程で得られた混合液から、有機溶媒と水とを除去して固形分を得る第4工程;および
前記第4工程で得られた固形分を焼成する第5工程;を含むことを特徴とする、メソポーラスシリカの製造方法。 - ブロック共重合体(Z)の単位質量あたりのスルホン酸基の当量数が0.10meq/g以上、5.00meq/g以下である、請求項1記載の製造方法。
- 第3工程で得られた混合液中のブロック共重合体(Z)とアルコキシシランとの質量比が0.01:1〜25:1である、請求項1または2記載の製造方法。
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