JP5652025B2 - 複合材の製造方法および成形品 - Google Patents
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Description
一方、マトリックス樹脂は、機械的強度、繊維材料との親和性、成形性等の観点から、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が通常用いられている。しかしながら、熱硬化性樹脂を使用したものは、再溶融して成形することできないという決定的な欠点を有する。
また、熱可塑性樹脂を用いた繊維強化プラスチックの生産性を向上させる成形方法が開示されている(特許文献4および5参照)が、これらの方法では成形品の強度や寸法安定性が十分ではなかった。
メタキシリレン系ポリアミド樹脂は、ポリアミド6、ポリアミド66などとは異なって主鎖に芳香族環を有し、高い機械的強度と弾性率を有し、低吸水率で、耐油性に優れ、また成形においては、成形収縮率が小さく、引けやそりが小さいことから、これをマトリック樹脂として使用すると、良好な物性を有する新たな複合材をもたらすことが期待される。
上記積層フィルムからポリオレフィン樹脂(B)層を剥離し、ポリアミド樹脂(A)フィルムを製造する工程、
得られたポリアミド樹脂(A)フィルムを繊維材料(C)と積層した積層物を加熱加圧する工程、
を含むことを特徴とする複合材の製造方法が提供される。
また、さらに上記の複合材を熱処理することにより、メタキシリレン系ポリアミド樹脂は結晶化されてさらに耐熱性が向上し、さらに、そりの問題のより少ない複合材とすることができる。
本発明の複合材の製造方法は、メタキシリレンジアミンを30モル%以上含むジアミン成分とジカルボン酸成分から得られるポリアミド樹脂(A)をポリオレフィン樹脂(B)と積層して、ポリアミド樹脂(A)/ポリオレフィン樹脂(B)積層フィルムを製造する工程、
上記積層フィルムからポリオレフィン樹脂(B)層を剥離し、ポリアミド樹脂(A)フィルムを製造する工程、
得られたポリアミド樹脂(A)フィルムを繊維材料(C)と積層した積層物を加熱加圧する工程、
を含むことを特徴とする。
以下、本発明の内容について詳細に説明する。
本発明で使用するポリアミド樹脂(A)は、メタキシリレンジアミンを30モル%以上含むジアミン成分とジカルボン酸成分とから得られるポリアミド樹脂である。メタキシリレンジアミンの量は、ジアミン成分中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。
ポリアミド樹脂(A)としては、メタキシリレンジアミンを主成分とするジアミンと各種ジカルボン酸を重縮合することにより得られ、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。
炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸の好ましい使用割合は、50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。
さらに、ジアミン成分、ジカルボン酸成分以外にも、ポリアミド樹脂組成物を構成する成分として、本発明の効果を損なわない範囲でε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類も共重合成分として使用できる。
ジカルボン酸成分としてアジピン酸とセバシン酸との混合物を使用することで、弾性率や吸水率、結晶性を任意にコントロールできる。高弾性率を重視する場合は、混合物中のセバシン酸が50モル%以下であることが好ましく、40モル%以下がより好ましく、30モル%以下がさらに好ましい。低吸水性を重視する場合は、混合物中のセバシン酸が50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましい。
また、ポリメタキシリレンイソフタラミド、カプロラクタム/メタキシリレンイソフタラミドコポリマーなども好ましいポリアミド樹脂(A)として例示できる。
なかでも、ポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂を好ましくブレンドでき、より好ましくは、脂肪族ポリアミド樹脂をブレンドできる。脂肪族ポリアミド樹脂は、成形品の機械物性を改善できることから好ましく用いられる。脂肪族ポリアミド樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド6/10、ポリアミド6/12、ポリアミド6/66等を単独又は複数以上、使用することができる。
[3.1 ポリアミド樹脂(A)/ポリオレフィン樹脂(B)積層フィルムの製造]
本発明の製造法においては、まず、上記ポリアミド樹脂(A)と後記のポリオレフィン樹脂(B)との積層フィルムを製造する。
積層フィルムを製造する方法については、特に制限はなく、公知の方法を採用できる。好ましい方法を説明すると、ポリアミド樹脂(A)は、好ましくは後記する各種添加剤や必要により他の樹脂を配合して調製し、その樹脂組成物を使用し、更に、後記するポリオレフィン樹脂(B)を使用し、これらを、例えば、Tダイ共押出機、インフレ−ション共押出機等を使用して共押出成形して、ポリアミド樹脂(A)/ポリオレフィン樹脂(B)積層フィルムを得る。
Tダイ共押出で製造する場合は、押出機により混練、押し出された各溶融樹脂(A)、(B)は、2種2層あるいは2種3層に積層可能なTダイに導入され、その内部で積層され、溶融フィルムとしてTダイより押し出される。ここで、各層の層比は、種々の層比として設定することができ、押し出された溶融フィルムは、冷却ロールで加圧冷却されて所定膜厚に形成される。
また、ポリオレフィン樹脂(B)層の厚みは、5〜50μm位であることが好ましく、より好ましくは10〜30μmである。ポリオレフィン樹脂(B)層の厚みが上記範囲であると、積層樹脂フィルムの成形性が良好となる傾向にあり好ましい。また、積層フィルムを剥離する際に層間の剥離性が良好であり、ポリアミド樹脂(A)層の巻取り性が良好であり、巻きシワの無いポリアミド樹脂(A)からなるフィルムロールとしやすい傾向にあり、好ましい。
積層に使用されるポリオレフィン系樹脂(B)とは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂に代表される樹脂である。
ポリエチレン系樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高圧法低密度ポリエチレン(HPLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、低結晶性エチレン−1−ブテンランダム共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらは1種を単独で使用しても2種以上を併用しても良い。
ポリアミド樹脂(A)のフィルムは、上記ポリオレフィン樹脂(B)層/ポリアミド樹脂(A)層の2層フィルムあるいはポリオレフィン樹脂(B)層/ポリアミド樹脂(A)層/ポリオレフィン樹脂(B)層の3層積層フィルムから、ポリオレフィン樹脂(B)層を剥離することにより製造される。このような工程により、ポリアミド樹脂(A)の薄膜フィルムを得ることができる。ポリオレフィン樹脂(B)層の剥離はいかなる方法で行ってもよいが、工業的には剥離ロール等により剥離し、得られたポリアミド樹脂(A)フィルムは巻き取られる。
得られるポリアミド樹脂(A)フィルムの膜厚は、薄いものが好ましく、5〜50μmであることが好ましく、より好ましくは10〜30μmである。
このように製造されたポリアミド樹脂(A)のフィルムは、繊維材料(C)と積層される。
繊維材料(C)としては、植物繊維、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、セラミック繊維、アラミド繊維、ポリオキシメチレン繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、スチール繊維等の金属繊維などが挙げられる。なかでも、軽量でありながら、高強度、高弾性率であるという優れた特徴を有するため、炭素繊維が好ましく用いられる。
また、ポリアミド樹脂(A)との濡れ性、界面密着性を向上させるために、シランカップリング剤、収束剤又は表面処理剤(例えば、エポキシ系化合物、アクリル系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物)で表面処理したものを用いるのも好ましい。
ポリアミド樹脂(A)フィルムと繊維材料(C)を積層する工程が、ポリアミド樹脂(A)フィルムとボビンに巻かれた繊維材料(C)を開繊しながら加圧する工程をとる場合、あるいはボビンに巻かれたモノフィラメント状の繊維材料(C)を繰出しながら加圧する工程を取る場合は、繊維材料(C)の直径は1〜300μmが好ましく、2〜200μmがより好ましく、3〜100μmがさらに好ましい。この範囲であると、得られる複合材の強度が良好になる傾向にある。
得られる積層物の厚みは、繊維材料(C)層が5〜300μmが好ましく、より好ましくは10〜250μm程度であり、ポリアミド樹脂(A)層は5〜50μmが好ましく、より好ましくは7〜30μmであり、特に好ましくは10〜25μmである。
このようにして得られた積層物は、加熱加圧されることにより、ポリアミド樹脂(A)の全量あるいは少なくとも一部は溶融して、繊維材料(C)層に含浸され、かつ圧密(緻密)化する。
上述の方法で得られた複合材は、そのシート断面形状において、繊維材料(C)層にポリアミド樹脂(A)が含浸しており、その両表面はポリアミド樹脂(A)層で形成される構成となっている。
したがって、本発明の複合材は、熱可塑性樹脂材料からなるので、これをそのまま、あるいは所望の形状・サイズに切断して、これを成形材料として使用し、これを金型に入れて成形し、各種の成形品を得ることが可能である。
ポリアミド樹脂(A)には、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、熱安定剤等の安定剤、耐加水分解性改良剤、耐候安定剤、艶消剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、分散剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤、着色剤、離型剤等の添加剤等を加えることができる。
本発明のポリアミド樹脂(A)には、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤)を配合することが好ましい。安定剤としては、例えば、リン系、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、シュウ酸アニリド系、有機硫黄系、芳香族第2級アミン系などの有機系安定剤、アミン系酸化防止剤、銅化合物やハロゲン化物などの無機系安定剤が好ましい。リン系安定剤としては、ホスファイト化合物およびホスホナイト化合物が好ましい。
有機硫黄系化合物の分子量は、通常200以上、好ましくは500以上であり、その上限は通常3,000である。
銅化合物は、種々の無機酸または有機酸の銅塩であって、後述のハロゲン化物を除くものである。銅としては、第1銅、第2銅の何れでもよく、銅塩の具体例としては、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、リン酸銅、ステアリン酸銅の他、ハイドロタルサイト、スチヒタイト、パイロライト等の天然鉱物が挙げられる。
ポリアミド樹脂(A)には、耐加水分解性改良剤としてのカルボジイミド化合物を配合することが好ましい。カルボジイミド化合物としては、種々の方法で製造した芳香族、脂肪族又は脂環式のポリカルボジイミド化合物が好ましく挙げられる。これらの中で、押出し時等における溶融混練性の面から、脂肪族又は脂環式ポリカルボジイミド化合物が好ましく、脂環式ポリカルボジイミド化合物がより好ましく用いられる。
有機ジイソシアネートとしては、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、メチレンビス(4,1−シクロへキシレン)=ジイソシアネート等を例示することができ、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチレンビス(4,1−シクロへキシレン)=ジイソシアネートが好ましい。
(1)ポリアミド樹脂の融点、ガラス転移点
島津製作所社製DSC−60を用いて、示差走査熱量測定(DSC)により求めた。測定条件は、約5mgのサンプルを室温から10℃/分の条件で昇温し、300℃で2分間保持した後、30℃まで20℃/分の速度で降温する。次いで、10℃/分の条件で昇温し、融点、ガラス転移点を測定した。
(2)数平均分子量
後記するポリアミド6以外のポリアミド樹脂の数平均分子量は、東ソー社製HLC−8320GPCを用いて、GPC測定によりPMMA換算値を求めた。なお、測定用カラムはTSKgel SuperHM−Hを用い、溶媒にはトリフルオロ酢酸ナトリウムを10mmol/l溶解したヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を用い、測定温度は40℃にて測定した。また、検量線は6水準のPMMAをHFIPに溶解させて測定し作成した。ポリアミド6の数平均分子量は、メーカー公称値である。
ポリアミド樹脂を射出成形し作成した成形片を、23℃の条件下で蒸留水に浸漬し、1週間後に水分率をカールフィッシャー法により測定した。測定には平沼産業製微量水分測定装置 AQ−2000を用いた。測定温度は、ポリアミド樹脂の融点−5℃とし、測定時間は30分とした。
また、比較のために、下記の市販のポリアミド6も使用した。
三菱ガス化学(株)製、商品名「MXナイロン グレードS6007」、
融点:240℃、ガラス転移点:85℃、数平均分子量:45,000、吸水率:0.54%。以下、「MXD6」という。
・ポリアミド6
宇部興産(株)製商品名「UBEナイロン6 グレード1030B」
融点:220℃、ガラス転移点:60℃、数平均分子量:30,000(メーカー公称値)、吸水率:3.11%。以下、「PA6」という。
(ポリアミド(MXD10)の合成)
反応缶内でセバシン酸(伊藤製油製TAグレード)を170℃にて加熱し溶融した後、内容物を攪拌しながら、メタキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)をセバシン酸とのモル比が1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を240℃まで上昇させた。滴下終了後、260℃まで昇温した。反応終了後、内容物をストランド状に取り出し、ペレタイザーにてペレット化した。得られたペレットをタンブラーに仕込み、減圧下で固相重合し、分子量を調整したポリアミド(MXD10)を得た。
ポリアミド(MXD10)の融点は191℃、ガラス転移点は60℃、数平均分子量は30,000、吸水率は0.36%であった。以下、「MXD10」という。
(ポリアミド(MPXD6)の合成)
アジピン酸を窒素雰囲気下の反応缶内で加熱溶解した後、内容物を攪拌しながら、パラキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)とメタキシリレンジアミンのモル比が3:7の混合ジアミンを、ジアミンとアジピン酸とのモル比が1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を上昇させた。滴下終了後、所定の粘度になるまで攪拌、反応を続けた後、内容物をストランド状に取り出し、ペレタイザーにてペレット化し、ポリアミド(MPXD6)を得た。
ポリアミド(MPXD6)の融点は258℃、ガラス転移点は89℃、数平均分子量は25,000、吸水率は0.55%であった。以下、「MPXD6」という。
(ポリアミド(MPXD10)の合成)
アジピン酸の代わりにセバシン酸を用いた以外は製造例2と同様にして、ポリアミド(MPXD10)を合成した。
ポリアミド(MPXD10)の融点は215℃、ガラス転移点は60℃、数平均分子量は19,000、吸水率は0.4%であった。以下、「MPXD10」という。
(ポリアミド(MPXD6’)の合成)
パラキシリレンジアミンとメタキシリレンジアミンのモル比が6:4の混合ジアミンを用いた以外は製造例2と同様にして、ポリアミド(MPXD6’)を合成した。
ポリアミド(MPXD6’)の融点は288℃、ガラス転移点は93℃、数平均分子量は21,000、吸水率は0.56%であった。以下、「MPXD6’」という。
(ポリアミド(MXD6I)の合成)
アジピン酸とイソフタル酸のモル比が9:1の混合ジカルボン酸を窒素雰囲気下の反応缶内で加熱溶解した後、内容物を攪拌しながら、メタキシリレンジアミンを、ジアミンとジカルボン酸とのモル比が1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を上昇させた。滴下終了後、所定の粘度になるまで攪拌、反応を続けた後、内容物をストランド状に取り出し、ペレタイザーにてペレット化した。得られたペレットをタンブラーに仕込み、減圧下で固相重合し、分子量を調整したポリアミド(MXD6I)を得た。
ポリアミド(MXD6I)の融点は226℃、ガラス転移点は94℃、数平均分子量は48,000、吸水率は0.56%であった。以下、「MXD6I」という。
(ポリアミド(MXD610)の合成)
セバシン酸の代わりに、セバシン酸とアジピン酸のモル比が4:6の混合ジカルボン酸を用いた以外は製造例1と同様にしてポリアミド(MXD610)を合成した。
ポリアミド(MXD610)の融点は185℃、ガラス転移点は75℃、数平均分子量は35,000、吸水率は0.44%であった。以下、「MXD610」という。
(1)カルボジイミド化合物:
脂環式ポリカルボジイミド化合物
日清紡績社製商品名「カルボジライトLA−1」
以下、このカルボジイミド化合物を、「カルボジイミド」と略記する。
(2)アミン系酸化防止剤:
N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン
大内新興化学工業社製商品名「ノクラックwhite」
以下、「アミン系酸防剤」と略記する。
(3)塩化銅/ヨウ化カリウム混合物:
塩化銅:ヨウ化カリウム=1:10(質量比)の混合物
以下、「CuCl/KI」と略記する。
上記したポリアミドMXD6を、30mmφのスクリューを有する単軸押出機にて溶融押出しし、また、高圧法低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名「ノバテックLF240」)を、30mmφのスクリューを有する単軸押出機にて溶融押出しし、500mm幅のTダイを介して共押出成形し、450mm幅のポリエチレン層(30μm厚)/MXD6層(7μm厚)の2層キャストフィルムを得た。
得られた2層フィルムを400mm幅にスリットし、ポリエチレン層とMXD6層の界面を剥離しながら、それぞれロール状に巻き取り、長さ500mm、厚み7μm、幅400mmのロール状MXD6フィルムを得た。
次いで、得られた20cm×20cmに切断した積層物10枚を重ね合わせて重畳物とし、さらに前記MXD6単層フィルムを重畳物最表面の炭素繊維層側に重ねて、260℃の金型で圧力1MPaにて熱プレス処理を行い、両表面がMXD6の板状の成形品を得た。得られた成形品の炭素繊維含有率は40容量%であった。得られた成形品に、加熱オーブンにて、130℃×4分の熱処理を施した。
得られた成形品の引張り弾性率、そり量、熱水処理後の弾性率の評価を行った。
結果を以下の表に示す。
(1)引張り弾性率:
成形品を1cm×10cmの形状とし、JIS K7113に準じて引張試験を実施した。
(2)そり量:
試料片(20cm×20cm)の中心より10cmの点でのそり量を測定した。なお、そり量とは、試料片の最大高さより試料片の厚みを引いたものである。そり量が少ないほど寸法安定性が良好であることを意味する。
(3)熱水処理後の弾性率:
成形品を1cm×10cmの形状とし、100℃の沸水中で240時間浸漬後、引っ張り試験を実施した。
ポリアミド樹脂として、以下の表に記載のものを選び、表に記載の種類の添加剤を、ポリアミド樹脂100質量部に対し、表に記載の量秤量し、ポリアミド樹脂とドライブレンドしたものを使用した。また、ポリアミドフィルムの厚さは表に記載の厚さに変更した。また、加熱加圧時の加熱温度・圧力を表に記載のとおりとした。また、炭素繊維(三菱レイヨン株式会社製、TR50S−15K)を、公知の方法(特開2009−113369号公報の実施例1参照)により、開繊して得た炭素繊維シート材を用いた以外は、実施例1と同様にして、成形品を作成した。得られた成形品に、加熱オーブンにて、140℃×2分の熱処理を施した。
評価結果を以下の表に示す。
ポリアミド樹脂として、以下の表に記載のものを選び、表に記載の種類の添加剤を、ポリアミド樹脂100質量部に対し、表に記載の量秤量し、ポリアミド樹脂とドライブレンドしたものを使用した。また、ポリアミドフィルムの厚さは表に記載の厚さに変更した。また、加熱加圧時の加熱温度・圧力を表に記載のとおりとした。また、炭素繊維織物(三菱レイヨン株式会社製、パイロフィルクロスTR3110)を用いた以外は、実施例1と同様にして、成形品を作成した。得られた成形品に、加熱オーブンにて、160℃×1分の熱処理を施した。
評価結果を以下の表に示す。
ポリアミド樹脂として、以下の表に記載のものを選び、表に記載の種類の添加剤を、ポリアミド樹脂100質量部に対し、表に記載の量秤量し、ポリアミド樹脂とドライブレンドしたものを使用した。また、ポリアミドフィルムの厚さは表に記載の厚さに変更した。また、加熱加圧時の加熱温度・圧力、熱処理の温度・時間を表に記載のとおりとした以外は、実施例1と同様にして、成形品を作成した。なお、実施例13は、熱処理を行わなかった例である。
評価結果を以下の表に示す。
実施例1において、ポリエチレン樹脂を使用せず、ポリアミドMXD6単独で、厚み7μmのフィルムを溶融押出ししたが、破断してフィルムを得ることができなかった。
Claims (11)
- メタキシリレンジアミンを30モル%以上含むジアミン成分とジカルボン酸成分から得られるポリアミド樹脂(A)をポリオレフィン樹脂(B)と積層して、ポリアミド樹脂(A)/ポリオレフィン樹脂(B)積層フィルムを製造する工程、
上記積層フィルムからポリオレフィン樹脂(B)層を剥離し、ポリアミド樹脂(A)フィルムを製造する工程、
得られたポリアミド樹脂(A)フィルムを繊維材料(C)と積層した積層物を加熱加圧する工程、
を含み、前記ポリアミド樹脂(A)フィルムの厚みが、5〜50μmであることを特徴とする複合材の製造方法。 - ポリアミド樹脂(A)フィルムと繊維材料(C)の積層物を重畳した重畳物に対して、加熱加圧を行うことを特徴とする請求項1に記載の複合材の製造方法。
- さらに、前記複合材を熱処理する工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の複合材の製造方法。
- ポリアミド樹脂(A)/ポリオレフィン樹脂(B)の積層フィルムの製造を、共押出成形により行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合材の製造方法。
- ポリアミド樹脂(A)が、ジアミン成分の50モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸成分の50モル%以上がアジピン酸またはセバシン酸に由来するポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合材の製造方法。
- ポリアミド樹脂(A)が、安定剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合材の製造方法。
- ポリアミド樹脂(A)が、カルボジイミド化合物を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合材の製造方法。
- 前記加熱加圧温度が250℃以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合材の製造方法。
- 前記加熱加圧温度がポリアミド樹脂(A)のガラス転移点+10℃以上の温度から熱分解温度−20℃の温度範囲であり、さらに、前記加熱加圧した後に、120〜180℃で熱処理する工程を含むことを特徴とする請求項1、2、4〜8のいずれか1項に記載の複合材の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の複合材の製造方法を含む成形品の製造方法。
- 成形品が、電気・電子機器部品または自動車用部品・部材であることを特徴とする請求項10に記載の成形品の製造方法。
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