以下、本発明を実施するための形態について、図に基づいて説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態に係るアクチュエータは、マグネットの磁界とコイルに流れる電流によって推力を得るリニアモータを備える。このリニアモータは、所謂ロッドタイプのリニアモータである。
図1〜図5に示すように、アクチュエータ110は、内部にマグネット103を有する丸棒状のロッド101と、ロッド101をその軸周りに囲む複数のコイル104と、これらのコイル104を内部に収容するフォーサ(コイル収容ケース)102と、を備える。そして、マグネット103の磁界とコイル104に流れる電流とによって、ロッド101とフォーサ102とをロッド101の長手方向(図1における左右方向)に沿って相対移動させるリニアモータ111を備える。
図3に示すように、コイル104は、銅線を螺旋状に巻いたもので、円筒状又はリング状に形成される。これらのコイル104は、その軸線を前記長手方向に沿って延ばすとともに積層するように配列されて、コイルホルダ105に保持される。コイルホルダ105の下面には、前記長手方向に間隔を開けて複数の樹脂製スペーサ105aが配置される。樹脂製スペーサ105aは、略リング状又はC字状をなし、隣接するコイル104、104の間に配設される。このような構成によって、隣り合うコイル104、104同士は絶縁される。
コイルホルダ105上には、プリント基板106が設けられる。コイル104の巻線の端部104aは、プリント基板106に結線される。図4に示すように、コイル104は、3つでU・V・W相からなる一組の三相コイルとされ、該三相コイルを複数組み合わせて、コイルユニットが構成される。
フォーサ102は、樹脂又はセラミックス等からなる。フォーサ102は、図1〜図3に示すように、角棒状又は細長い直方体状に形成される。フォーサ102の外周面には、コイル104の放熱性を高めるために複数のフィン(不図示)が形成される。
フォーサ102とコイル104及びコイルホルダ105とは、インサート成形によって一体に成形される。すなわち、コイル104及びコイルホルダ105を金型にセットした状態で、溶融した樹脂又はセラミックスを金型内に注入した後、硬化させて、フォーサ102、コイル104及びコイルホルダ105を一体に成形する。尚、このようなインサート成形を用いる代わりに、コイルホルダ105に保持されたコイル104をアルミ製のフォーサ102に収納し、コイル104とフォーサ102との隙間を接着剤で埋めて、コイル104及びコイルホルダ105をフォーサ102に固定してもよい。
フォーサ102の前記長手方向に沿う両端部には、エンドケース109が設けられる。これらのエンドケース109のうち、前記長手方向の一方側(図1における左側)の端部に配置されたエンドケース109は、フォーサ102に対するロッド101の位置を検出する位置検出ヘッド(位置検出手段)109とされる。尚、アクチュエータ110が、そのロッド101を鉛直方向に延びるようにして設置される場合は、上下に配置されるエンドケース109のうちこの位置検出ヘッド109が下側に配置される。位置検出ヘッド109には、ロッド101がフォーサ102に対して前記長手方向に移動する際に生じるマグネット103の磁界の方向の変化を検出する磁気センサ(不図示)が備えられる。
磁気センサは、Si若しくはガラス基板と、その上に形成されたNi、Feなどの強磁性金属を主成分とする合金の強磁性薄膜金属で構成される磁気抵抗素子を有する。このような磁気センサは、特定の磁界方向で抵抗値が変化するためにAMR(Anisotropic−Magnetro−Resistance)センサ又は異方性磁気抵抗素子と呼ばれる。また、磁気センサは、不図示の制御部に電気的に接続される。
図4及び図5に示すように、ロッド101は、非磁性材料のステンレス等からなるパイプと、このパイプ内に配置された円柱状の複数のマグネット(セグメント磁石)103とを有する。これらのマグネット103は、互いに同極を対向させるようにして前記長手方向に沿って配列している。図4は、ロッド101における、マグネット103とコイル104との位置関係を示している。図示するように、マグネット103の配列ピッチは、コイル104の配列ピッチよりも長く設定される。また、ロッド101は、コイル104に対して同軸に配置されており、ロッド101の外周面とコイル104の内周面との間には、僅かに間隙が設けられる。
そして、コイル104に120°ずつ位相が異なる三相電流を流すと、コイル104の軸線方向に移動する移動磁界が発生する。ロッド101は、移動磁界により前記長手方向に沿う推力を得て、移動磁界の速さに同期してコイル104に対して往復直線運動を行う。
図5に示すように、隣り合うマグネット103の間には、例えば鉄等の軟質磁性材料からなり、円柱状又は円板状をなすポールシュー(磁極ブロック)107が配置される。このように、ポールシュー107をマグネット103、103間に介在させることで、ロッド101に発生する磁束密度を正弦波に近付けることができる。磁束密度を正弦波に近付け、かつ、磁束密度を大きくするために、ポールシュー107の軸線方向(すなわち前記長手方向)の長さは、マグネット103の軸線方向の長さよりも短く設定される。この実施形態では、ポールシュー107の軸線方向の長さは、マグネット103の軸線方向の長さの約1/2に設定される。
ロッド101は、内部にマグネット103が配置された磁性領域101Aと、前記長手方向に沿った磁性領域101Aの両側に配置された非磁性領域101Bと、を備える。すなわち、ロッド101の長手方向に沿った内側(すなわち中央)部分が磁性領域101Aとされ、この磁性領域101Aの両外側部分が非磁性領域101Bとされる。図1に示すように、ロッド101における磁性領域101Aの前記長手方向に沿う長さは、フォーサ102の前記長手方向に沿う長さよりも長く設定される。
詳しくは、ロッド101は、その長手方向に沿った両端部に、非磁性材料のステンレス等からなるスプライン軸117を有しており、これらスプライン軸117の配置される領域が非磁性領域101Bとされる。スプライン軸117は、その前記内側の端部が前記パイプの中空空間に挿入されることによって、前記パイプに同軸に固定される。
また、スプライン軸117において、前記内側を向く端面は、パイプ内に配置されたマグネット103又はポールシュー107に接触している。このような構成により、マグネット103及びポールシュー107がロッド101のパイプ内で固定された状態となり、前記パイプに対して前記長手方向に移動しないようにされる。
図1において、一対のスプライン軸117のうち、前記長手方向に沿う一方側に配置されたスプライン軸117の先端部には、電子部品を吸着保持可能な不図示のノズル(外部機器)が配置される。
ロッド101の軸受として、ボールスプラインのボールスプラインナット118がフォーサ102の前記長手方向の両側に配置され、ロッド101の長手方向に沿った両端部を支えている。詳しくは、一対のボールスプラインナット118は、ロッド101における非磁性領域101Bのスプライン軸117を支えている。
また、図1に示すように、鉄や鋼等の磁性材料からなり、フォーサ102を囲む筒状のヨーク120が設けられる。ヨーク120は、前記長手方向に延びる扁平した直方体状の角筒からなり、図2に示すように、その前記長手方向に直交する断面が矩形状に形成される。また、図1において、ヨーク120は、前記長手方向に沿ってフォーサ102の両側へ向けて延びているとともに、その両端部においてハウジング119を介しボールスプラインナット118を支持している。すなわち、ヨーク120は、ロッド101の磁性領域101A、コイル104を収容するフォーサ102及びボールスプラインナット118を囲んでいる。
ヨーク120の内周面には、フォーサ102及びハウジング119が、ねじ止めや嵌合等により固定される。詳しくは、ヨーク120の内周面において、前記長手方向に沿った中央部にフォーサ102が配置され、フォーサ102の前記長手方向に沿った両外側に離間して、ボールスプラインナット118を支持するハウジング119が配置される。このように、フォーサ102及びボールスプラインナット118は、互いにヨーク120及びハウジング119を介し連結される。
ヨーク120の前記長手方向に沿う長さは、ロッド101の磁性領域101Aの前記長手方向に沿う長さよりも長く、ロッド101の前記長手方向に沿う全長よりも短く設定される。このような構成により、ロッド101の両端部に配置される一対のスプライン軸117が、ボールスプラインナット118の前記長手方向に沿った外側(すなわちフォーサ102側とは反対側)に向けて突出している。
また、図2に示すように、前記長手方向に直交する断面におけるロッド101の位置は、ヨーク120の中心に設定される。すなわち、ロッド101の中心軸Oが、ヨーク120の前記断面における中央部に配置される。図示の例では、ロッド101の中心軸Oが、ヨーク120の両側壁部の内周面からともに距離L1の位置に配置され、天壁部の内周面及び底壁部の内周面からともに距離L2の位置に配置される。
以上説明したように、本実施形態のアクチュエータ110によれば、磁性材料からなる筒状のヨーク120が、コイル104を含むフォーサ102を囲んでいるとともに、このヨーク120が、ロッド101の両端部においてロッド101を支えるボールスプラインナット118まで延びて形成される。すなわち、磁力を生じるコイル104、及び、ロッド101においてコイル104に対応するボールスプラインナット118の間の部分(磁性領域101A)が、ヨーク120に囲まれている。このような構成により、ロッド101のマグネット103及びコイル104から生じる磁気は、ヨーク120で遮断され、ロッド101とフォーサ102との相対移動の推力に効率的に用いられる。これにより、装置の外部に磁気が漏れることが防止される。
詳しくは、ヨーク120が、その両端部において非磁性領域101Bのスプライン軸117を支えるボールスプラインナット118も囲んでいるので、ロッド101がフォーサ102に対してその長手方向に移動した際にも、この長手方向に沿ったボールスプラインナット118の内側に配される磁性領域101A及びコイル104は、常にヨーク120内に収容され囲まれる。従って、ロッド101の配置に係わらず、磁気漏れが確実に防止される。また、このように磁気漏れが防止されるので、ロッド101が、装置外部のマグネットや磁性体の磁気に影響を受けない。
また、前記長手方向に沿ったボールスプラインナット118の外側には、ボールスプラインナット118に支えられたロッド101のスプライン軸117が配置されるとともに装置の外部に露出している。スプライン軸117は磁性を有していないので、スプライン軸117に対して、装置外部のマグネットや磁性体の磁気が作用しロッド101の動作に影響を与えることがない。従って、ロッド101の動作の精度が充分に確保されるとともに、推力が安定して確保される。
また、ヨーク120及びハウジング119を介して、コイル104を支持するフォーサ102と、ロッド101を軸支するボールスプラインナット118とが連結される。このため、コイル104とロッド101との相対的な位置精度が確保される。すなわち、フォーサ102とボールスプラインナット118を一体に支持するハウジング119とがともにヨーク120に対して取り付けられることから、互いの相対的な位置決めが簡便に行えるとともに、コイル104の中心軸とロッド101の中心軸とが、互いに同軸に精度よく配置される。従って、アクチュエータ110の製造が容易になるとともに、動作の精度がより高められる。
また、アクチュエータ110の前記長手方向に直交する断面において、ロッド101の位置が、ヨーク120の中心に設定される。このため、ロッド101の動作が安定し、推力が充分に確保される。すなわち、ロッド101がヨーク120の中央に配置されるので、ロッド101が備えるマグネット103が、磁性材料であるヨーク120に軸O周りに均一に引き付けられる。これにより、軸O周りのうち所定の方向に引き付けられてしまうことが防止される。従って、ロッド101の動作がより高精度に安定して行われる。
また、ボールスプラインナット118のボール138と、スプライン軸117のスプライン溝117Aとが、互いに前記長手方向に相対移動可能に嵌まり合っているとともに、ボールスプラインナット118とスプライン軸117との互いの軸O周りの相対移動(回転)を規制している。このため、ロッド101がコイル104に対して軸O周りに回転してしまうことが防止される。
また、フォーサ102における前記ノズル側に、フォーサ102に対するロッド101の位置を検出する位置検出ヘッド109が配置される。このため、ロッド101の先端部に設けられたノズルの位置を安定して高精度に検出できる。
すなわち、位置検出ヘッド109が、ノズルに比較的近い位置に配置されるので、アクチュエータ110の温度変化に応じて、ロッド101が熱変形により伸縮しても、フォーサ102に対するロッド101のノズルの位置精度が充分に確保される。
また、位置検出ヘッド109は磁気センサを備えているので、この磁気センサが、ロッド101に配置されたマグネット103の磁界の方向の変化を検出するとともに、ロッド101のノズルの位置を高精度に検出できる。また、このようにロッド101のマグネット103を用いてノズルの位置検出が行えるので、例えば、磁気スケールやリニアスケール(リニアエンコーダ)等を用いて位置検出を行うような構成に対比して、部材を削減できる。
また、ロッド101の熱変形量は、ロッド101の長手方向の長さに比例する。このため、本実施形態のように、磁気センサを用いてフォーサ102に対するロッド101の位置を検出するような構成の場合に、前記磁気センサがノズルに近い位置に配置されることによって、ロッド101の伸縮の影響をより低減できる。
尚、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、ヨーク120は、前記長手方向に延びる扁平した直方体状の角筒からなり、図2に示すように、その前記長手方向に直交する断面が矩形状に形成されているとしたが、これに限定されない。
図7A及び図7Bに、ヨーク120の変形例を示す。図7Aにおいては、ヨーク120は、前記断面が正方形に形成された角筒状とされる。また、このようなヨーク120の形状に対応して、フォーサ102も前記断面が正方形に形成された角柱状とされる。図7Bにおいては、ヨーク120は、前記断面が円形に形成された円筒状とされる。また、ヨーク120の形状に対応して、フォーサ102も前記断面が円形に形成された円柱状とされる。またこの場合、ハウジング119の形状もヨーク120の形状に対応し設定される。
また、位置検出ヘッド109の磁気センサが、フォーサ102の一方側の端部に配置されることとしたが、これに限定されない。例えば、磁気センサが、フォーサ102の一方側に間隔を開けて配置されてもよい。すなわち、図1において、磁気センサが、ヨーク120の内周面における一方側のボールスプラインナット118とフォーサ102との間に配置されてもよい。尚、ヨーク120の内周面において、一対のボールスプラインナット118とフォーサ102との間に形成されたスペースに、磁気センサ以外の部材を配置してもよい。この場合、装置をよりコンパクトに構成できる。
また、位置検出手段として磁気センサを備えた位置検出ヘッド109を設ける代わりに、磁気スケール、リニアスケール(リニアエンコーダ)等を設けて、フォーサ102に対するロッド101の位置を検出してもよい。
また、ロッド101の一方側の先端部には、電子部品を吸着保持可能なノズルが配置されていることとしたが、これに限定されない。すなわち、ロッド101の先端部に、ノズルを設ける代わりに、電子部品を狭持可能なハンド等の外部機器を設けてもよい。また、ノズルが、電子部品の代わりに精密部品や機械部品等を吸着保持することとしてもよい。
また、フォーサ102の外周面には、コイル104の放熱性を高める複数のフィンが形成されているとしたが、このようなフィンがヨーク120の外周面に形成されていてもよい。この場合、ヨーク120内における温度上昇が抑制されて、ロッド101の熱変形が防止されるとともに、動作の精度がより向上する。
また、フォーサ102やヨーク120の外周面に前記フィンが形成されていなくともよい。
また、ロッド101の両端部にスプライン軸117が配置され、これらスプライン軸117が一対のボールスプラインナット118に支えられていることとしたが、これに限定されない。すなわち、スプライン軸117及びボールスプラインナット118は、アクチュエータ110の前記長手方向に沿ったいずれか一方側の端部にのみ設けられていてもよい。また、スプライン軸117を用いる代わりに、スプライン溝117Aの形成されていない断面円形状の軸を用いてもよく、この場合、軸受として、ボールスプラインのボールスプラインナット118の代わりに、ブッシュ等を用いてもよい。
また、図8に示すように、アクチュエータ110を複数用い、これらのアクチュエータ110のロッド101同士を互いに並列に配列してアクチュエータユニット150を構成してもよい。アクチュエータユニット150は、前述のように構成されたアクチュエータ110を複数用いてユニット化しているので、ロッド101の先端部の各ノズルの位置精度を充分に確保できる。従って、このアクチュエータユニット150を用いて、表面実装機やICハンドラ等の電子部品搬送装置を構成した際に、電子部品を安定して高精度に搬送できるとともに、生産性が向上する。
[第2実施形態]
第2実施形態に係るアクチュエータは、マグネットの磁界とコイルに流れる電流によって推力を得るリニアモータを備える。このリニアモータは、所謂ロッドタイプのリニアモータである。
第2実施形態に係るアクチュエータは、フォーサから突出するロッドの端部が、磁性材料からなる伸縮部材に囲まれる点が第1実施形態と異なる。以下、第2実施形態に係るアクチュエータについて、第1実施形態と異なる点について説明する。
図9A、図9Bに、本実施形態に係るアクチュエータ210を示す。図9A、図9Bに示すように、フォーサ202の前記長手方向に沿う両端部には、エンドケース209が配置される。エンドケース209は、ロッド201を前記長手方向に沿って摺動可能に支えるロッド201の軸受としてのボールスプラインナット218を有している。ボールスプラインナット218は、直方体状又は正方形板状をなすハウジング(不図示)に収容され、フォーサ202に隣接して配置される。また、ハウジングはフォーサ202に連結されている。
これらのエンドケース209のうち、前記長手方向の一方側(図9A、図9Bにおける下側)に配置されたエンドケース209は、フォーサ202に対するロッド201の位置を検出する位置検出ヘッド(位置検出手段)209とされる。第1実施形態と同様に、ロッド201は内部にマグネットを有する。位置検出ヘッド209には、ロッド201がフォーサ202に対して前記長手方向に移動する際に生じる前記マグネットの磁界の方向の変化を検出する磁気センサ(不図示)が備えられる。磁気センサの詳細な構成は第1実施形態と同様である。
ヨーク220の内周面には、フォーサ202及びエンドケース209の前記ハウジングが、ねじ止めや嵌合等により固定される。また、ヨーク220の内周面において、一対のエンドケース209の前記長手方向に沿う両外側には、磁性材料からなる伸縮部材のコイルばね233が配置される。これら一対のコイルばね233は、ロッド201に対して同軸に配置されるとともに、ロッド201の両端部を囲んでいる。
コイルばね233は、その軸線方向の両端がロッド201の端部とフォーサ202とに連結される。詳しくは、コイルばね233は、その前記長手方向に沿うフォーサ202側とは反対側を向く端部がロッド201の端部に連結されており、その前記長手方向に沿うフォーサ202側の端部がヨーク220又はエンドケース209を介してフォーサ202に連結される。そして、コイルばね233は、ロッド201のフォーサ202に対する移動に伴い連動して、前記長手方向に沿って伸縮する。
また、一対のコイルばね233のうち、他方側(図9A、図9Bにおける上側)に配置されたコイルばね233Bのばね定数は、前記一方側に配置されたコイルばね233Aのばね定数よりも大きく設定される。
以上説明したように、本実施形態のアクチュエータ210によれば、フォーサ202から突出するロッド201の端部が、磁性材料からなるコイルばね233に囲まれており、コイルばね233は、ロッド201とフォーサ202とに連結されている。そして、コイルばね233は、ロッド201がフォーサ202に対して移動するのに伴い連動して伸縮する。すなわち、ロッド201とフォーサ202との相対移動により、ロッド201の端部がフォーサ202から突出する突出長さが変化するのに対応して、コイルばね233が、前記長手方向に沿って伸縮可能とされている。このようにコイルばね233が伸縮することによって、ロッド201の端部は常にコイルばね233に囲まれるようになっているので、ロッド201からの磁気漏れを確実に防止することができる。
また、このように、伸縮部材としてコイルばね233を用いているので、簡便な構成を用いて、ロッド201からの磁気漏れを確実に防止できる。また、特に、ロッド201の端部がフォーサ202から突出する突出長さが最大となる相対移動の終端近傍においては、コイルばね233の弾性復元力が作用して、ロッド201の戻り動作開始時の推力の補助となる。また、この実施形態のように、アクチュエータ210のロッド201を鉛直方向に延ばすように設置した際、コイル204への電流供給が停止するようなことがあっても、コイルばね233の弾性力により、ロッド201の落下を防止できる。すなわち、コイルばね233は、ロッド201の落下防止機能を有している。
また、ロッド201の両端部がフォーサ202から突出しているとともに、これら両端部がコイルばね233に夫々囲まれているので、ロッド201からの磁気漏れがより確実に防止されている。また、一対のコイルばね233の弾性力が互いに相殺されて、これらコイルばね233による推力損失を抑制できる。
また、一対のコイルばね233のうち、上側に配置されたコイルばね233Bのばね定数が、下側に配置されたコイルばね233Aのばね定数よりも大きく設定されている。このため、ロッド201を上昇させる際に要求される推力を抑制することができる。すなわち、コイル204へ供給する電力を低減できる。
また、ロッド201とコイルばね233とが互いに同軸に配置されているので、ロッド201の動作が安定し、推力が充分に確保される。すなわち、前記長手方向に直交する断面において、ロッド201がコイルばね233の中央に配置されているので、ロッド201が備えるマグネットが、磁性材料であるコイルばね233に軸周りに均一に引き付けられる。これにより、軸周りのうち所定の方向に引き付けられてしまうことが防止されている。従って、ロッド201の動作がより高精度に安定して行われる。
尚、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、図11及び図12に示すように、アクチュエータ210を複数用い、これらのアクチュエータ210のロッド201同士を互いに並列に配列してアクチュエータユニット250を構成してもよい。アクチュエータユニット250は、前述のように構成されたアクチュエータ210を複数用いてユニット化しているので、隣り合うロッド201同士が互いの磁気により引き付け合うことがない。従って、ロッド201の先端部の各ノズルの位置精度が充分に確保される。よって、このアクチュエータユニット250を用いて、表面実装機やICハンドラ等の電子部品搬送装置を構成した際に、電子部品を安定して高精度に搬送できるとともに、生産性が向上する。
また、図13A、図13Bに本実施形態の変形例を示す。本変形例では、伸縮部材としてコイルばね233を用いる代わりに、複数の筒234A、234B、234Cが互いに径方向に重なり合うように同心状に配置されたテレスコピック構造234を用いている。
テレスコピック構造234は、一対のエンドケース209の前記長手方向に沿う両外側に配置される。これら一対のテレスコピック構造234は、ロッド201に対して同軸に配置されているとともに、ロッド201の両端部を囲んでいる。
テレスコピック構造234は、磁性材料からなる円筒状の筒234A、234B、234Cを有する。そして、これらの筒234A、234B、234Cが、ロッド201に対して同軸に配置されるとともに、前記長手方向に沿って摺動するように互いに相対移動可能とされる。また、これらの筒234A、234B、234Cに囲まれることにより、ロッド201が露出しない。
筒234Aは、その前記長手方向に沿うフォーサ202側の端部が、ヨーク220又はエンドケース209を介してフォーサ202に連結されている。また、筒234Cは、筒234Aよりも小径に形成されており、不図示の連結部材等を介してロッド201の端部に連結されている。また、筒234Bは、筒234Aよりも小径かつ筒234Cよりも大径に形成されており、これら筒234Aと筒234Cとを前記長手方向に沿って摺動可能に連結している。
このように構成されるテレスコピック構造234は、ロッド201のフォーサ202に対する移動に伴い連動して、前記長手方向に沿って伸縮する。
すなわち、図13Aに示すように、ロッド201がフォーサ202に対して前記長手方向の一方側へ向けて移動した際は、ロッド201の相対移動に対応して、一対のテレスコピック構造234のうち前記一方側のテレスコピック構造234は伸長状態となり、前記他方側のテレスコピック構造234は収縮状態となる。また、図13Bに示すように、ロッド201がフォーサ202に対して前記長手方向の他方側へ向けて移動した際は、前記一方側のテレスコピック構造234が収縮状態となり、前記他方側のテレスコピック構造234が伸長状態となる。
伸縮部材として、前述のテレスコピック構造234を用いた場合には、ロッド201が外部に露出されない密閉状態を形成できる。このため、ロッド201に装置外部の塵埃等が付着することを防止でき、動作の精度が長期に亘り安定して確保される。
また、伸縮部材として、前述したコイルばね233やテレスコピック構造234以外に、磁性材料からなる蛇腹状のフレキシブルホースや板ばね等を用いてもよい。
また、ロッド201の両端部がフォーサ202から突出しているとともに、これら両端部がコイルばね233に囲まれているとしたが、ロッド201のいずれか一方の端部がフォーサ202から突出していてもよい。この場合、前記一方の端部がコイルばね233に囲まれる。
[第3実施形態]
図14及び図15に示すように、第3実施形態に係るアクチュエータユニット350は、複数のアクチュエータ310を備える。アクチュエータユニット350は、これらのアクチュエータ310を互いに積層させるように配列した、アクチュエータ310の積層構造を有する。アクチュエータ310は、マグネットの磁界とコイルに流れる電流によって推力を得るリニアモータ311を備える。このリニアモータ311は、所謂ロッドタイプのリニアモータである。
アクチュエータ310は、内部にマグネット303を有する丸棒状のロッド301と、ロッド301をその軸周りに囲む複数のコイル304と、これらのコイル304を内部に収容するフォーサ302と、フォーサ302を囲む筒状のヨーク320と、を備える。そして、マグネット303の磁界とコイル304に流れる電流とによって、ロッド301とフォーサ302とをロッド301の長手方向に沿って相対移動させる。本実施形態では、図14に示すように、ロッド301が鉛直方向(図14における上下方向)に延びて配置される。
図14に示すように、フォーサ302の前記長手方向に沿う両端部には、エンドケース309が配置される。これらのエンドケース309のうち、前記長手方向の一方側(図14における下側)に配置されたエンドケース309は、フォーサ302に対するロッド301の位置を検出する位置検出ヘッド(位置検出手段)309とされる。位置検出ヘッド309には、ロッド301がフォーサ302に対して前記長手方向に移動する際に生じるマグネット303の磁界の方向の変化を検出する磁気センサ(不図示)が備えられる。磁気センサの詳細な構成は第1実施形態、第2実施形態と同様である。
ロッド301は、内部にマグネット303が配置された磁性領域301Aと、前記長手方向に沿った磁性領域301Aの他方側(図14における上側)に配置された非磁性領域301Bと、を備える。すなわち、ロッド301の長手方向に沿った中央部分及び下側部分が磁性領域301Aとされ、この磁性領域301Aの上側部分が非磁性領域301Bとされる。
図14に示すように、ロッド301における磁性領域301Aの前記長手方向に沿う長さは、フォーサ302の前記長手方向に沿う長さよりも長く設定される。そして、磁性領域301Aの前記長手方向に沿う両端部は、フォーサ302から両側(すなわち上下側)へ向けて突出して配置される。
アクチュエータ310には、図14及び図15に示すように、鉄や鋼等の磁性材料からなり、フォーサ302を囲む筒状のヨーク320が設けられる。ヨーク320は、前記長手方向に延びる直方体状の角筒からなる。図示の例では、その前記長手方向に直交する断面が正方形状に形成される。ヨーク320の内周面には、フォーサ302がねじ止めや嵌合等により固定される。
ヨーク320の前記長手方向に沿う長さは、フォーサ302の前記長さと略同一又は僅かに大きく、ロッド301の磁性領域301Aの前記長さよりも短く設定される。すなわち、ロッド301の磁性領域301Aの長手方向に沿う両端部は、ヨーク320から突出して配置される。また、この実施形態では、すべてのアクチュエータ310のヨーク320が、その前記長手方向に沿う全長が同一長とされる。
また、図15に示すように、前記長手方向に直交する断面におけるロッド301の位置は、ヨーク320の中心に設定される。すなわち、ロッド301の中心軸が、ヨーク320の前記断面における中央部に配置される。
図14に示すように、アクチュエータユニット350は、アクチュエータ310のヨーク320同士を互いに並列に配列している。そして、隣接するアクチュエータ310のヨーク320同士の前記長手方向に沿う位置が互いに異なって設定されるとともに、これらヨーク320の一部同士が、前記長手方向において互いに重なるように配置される。
詳しくは、隣接するヨーク320のうち、一のヨーク320における上端部又は下端部が、他のヨーク320における中央部に対応するように配置される。また、隣り合うヨーク320は、互いの外周面の一部同士を連結させている。このようにして、ヨーク320全体が互い違い構造とされる。
このように、ヨーク320が互い違いに配置されていることで、隣接するアクチュエータ310のうち、一のアクチュエータ310のロッド301の端部は、他のアクチュエータ310のヨーク320に対応する位置に配置される。詳しくは、ロッド301の磁性領域301Aにおける両端部のうち、一方側又は他方側の端部が、隣り合うヨーク320の一方側又は他方側の端部に対応するように配置される。このような構成によって、隣接するアクチュエータ310のロッド301において露出する前記端部同士が、互いに隣り合わないように配置される。
以上説明したように、本実施形態のアクチュエータユニット350によれば、隣接するアクチュエータ310のヨーク320の一部同士が、前記長手方向において互いに重なるように配置される。このため、これらアクチュエータ310のうち、一のアクチュエータ310においてヨーク320から突出するロッド301の端部が、他のアクチュエータ310のヨーク320に対応するように配置される。
従って、一のアクチュエータ310においてロッド301の前記端部から生じる磁気が、他のアクチュエータ310のヨーク320に遮蔽される。これにより、これらアクチュエータ310のロッド301同士が互いの磁気により引き付け合い動作に影響を受けることが防止される。よって、ロッド301の動作の精度が高められるとともに、推力が安定して確保される。
また、ロッド301の一方側の先端部には、電子部品を吸着保持可能なノズルが配置されていることとしたが、これに限定されない。すなわち、ロッド301の先端部に、ノズルを設ける代わりに、電子部品を狭持可能なハンド等の外部機器を設けてもよい。また、ノズルが、電子部品の代わりに精密部品や機械部品等を吸着保持することとしてもよい。
図14の例では、4つのアクチュエータ310を用い、これらのアクチュエータ310が、鉛直方向に交互に突出するように互い違いに配置されているが、これに限定されない。例えば、これらのアクチュエータ310のうち1つのアクチュエータ310のみが、他のアクチュエータ310に対して鉛直方向の位置を異ならせるように配置されてもよい。
また、図14の例では、各ロッド301の下端部が互い違いに配置されているが、例えば、前記下端部に非磁性材料からなる軸部材を適宜延長して、すべてのロッド301の下端部が互いに同一の水平面内に配置されるように構成してもよい。この場合、ロッド301の下端部に配置された前記ノズルが同一高さに設定される。また、各ノズルの高さを、適宜夫々に設定することも可能である。このような構成によれば、搬送等に対する種々の要望に柔軟に対応することができる。
[第4実施形態]
図16及び図17A、図17Bに示すように、第4実施形態に係るアクチュエータユニット450は、複数のアクチュエータ410を備える。アクチュエータユニット450は、これらのアクチュエータ410を互いに積層させるように配列した、アクチュエータ410の積層構造を有する。また、アクチュエータ410は、マグネットの磁界とコイルに流れる電流によって推力を得るリニアモータ411を備える。このリニアモータ411は、所謂ロッドタイプのリニアモータである。
アクチュエータ410は、内部にマグネットを有する丸棒状のロッド401と、ロッド401をその軸周りに囲む複数のコイル404と、これらのコイル404を内部に収容するフォーサ402と、フォーサ402を囲む筒状のヨーク420と、を備える。そして、前記マグネットの磁界とコイル404に流れる電流とによって、ロッド401とフォーサ402とをロッド401の長手方向に沿って相対移動させる。尚、本実施形態では、図16に示すように、ロッド401が鉛直方向(図16における上下方向)に延びて配置される。
図16に示すように、ロッド401の長手方向に沿う長さは、フォーサ402の前記長手方向に沿う長さよりも長く設定される。また、ロッド401の長手方向に沿う両端部は、フォーサ402から両側(すなわち上下側)へ向けて突出して配置される。
また、ロッド401の長手方向に沿う一方側(図16における下側)の先端部(すなわち下端部)には、電子部品を吸着保持可能な不図示のノズル(外部機器)が配置される。ロッド401の前記先端部は、外部機器取付部とされる。
アクチュエータ410には、図16及び図17A、図17Bに示すように、鉄や鋼等の磁性材料からなり、フォーサ402を囲む筒状のヨーク420が設けられる。ヨーク420には、前記長手方向に貫通するとともにフォーサ402を収容する角孔420Aが形成される。図示の例では、角孔420Aは、その前記長手方向に直交する断面が、正方形状に形成される。
また、この実施形態では、ヨーク420には、角孔420Aが複数形成されている。図17Aに示すように、前記長手方向に直交する断面において、これらの角孔420Aは縦横に配列しており、ヨーク420の前記断面は、格子状に形成される。尚、図17Bに示すように、ヨーク420が、各フォーサ402に対応して夫々設けられていてもよい。図示の例では、ヨーク420は、前記長手方向に延びる直方体状の角筒からなる。この場合、ヨーク420同士は、互いに並列に配列されているとともに、隣り合うヨーク420同士は、互いの外周面を接触させて連結される。
図16に示すように、ヨーク420は、前記長手方向に沿ってフォーサ402の両側へ向けて延びているとともに、その両端部においてボールスプラインナット418を含むエンドケース409を支持している。すなわち、ヨーク420は、ロッド401の中央部、コイル404を収容するフォーサ402及びボールスプラインナット418を囲んでいる。また、ヨーク420の角孔420Aの内周面には、フォーサ402及びエンドケース409の前記ハウジングが、ねじ止めや嵌合等により固定される。
また、ヨーク420の前記長手方向に沿う長さは、フォーサ402の前記長さよりも僅かに大きく、ロッド401の前記長さよりも短く設定される。すなわち、ロッド401の長手方向に沿う両端部は、ヨーク420から突出して配置される。
また、図17A、図17Bに示すように、前記長手方向に直交する断面におけるロッド401の位置は、ヨーク420の角孔420Aの中心に設定される。すなわち、ロッド401の中心軸が、角孔420Aの前記断面における中央部に配置されている。
また、図16において、アクチュエータユニット450は、アクチュエータ410のフォーサ402同士を互いに並列に配列している。
また、これらのアクチュエータ410の前記長手方向に沿う端部には、隣り合うロッド401同士の間に鉄や鋼等の磁性材料からなる壁部433Aを配置して一体型とされた磁気遮蔽部材433が設けられる。この実施形態では、磁気遮蔽部材433は、ヨーク420の前記長手方向に沿う両側に配置される。
磁気遮蔽部材433の壁部433Aは、前記長手方向に沿う板状をなし、隣り合うロッド401同士の中央に配置される。壁部433Aは、アクチュエータユニット450の前記長手方向に直交する方向(すなわち水平方向)の端部に配置されたアクチュエータ410におけるロッド401の前記水平方向外側にも配置される。
詳しくは、壁部433Aは、ロッド401においてヨーク420から突出し露出する端部をロッド401の軸周りに囲むように形成される。そして、ロッド401は、周囲を囲む壁部433Aの中央(すなわち周囲の壁部433Aから等距離の位置)に配置される。
図18に示すように、この実施形態では、壁部433Aは、ロッド401を囲む角孔を形成するようにして、前記長手方向に直交する断面が矩形状とされる。また、壁部433Aからなる前記角孔は、磁気遮蔽部材433を前記長手方向に貫通し形成されるとともに、前記断面において縦横に配列される。
磁気遮蔽部材433は、これらの壁部433Aが一体に成形又は連結された構造を有する。そして、全体として複数の前記角孔が形成された略直方体状又は角形多穴管状とされるとともに、その前記断面が格子状に形成される。
また、磁気遮蔽部材433は、ねじ作用や接着等により、アクチュエータ410の前記長手方向に沿う端部に着脱可能とされる。
以上説明したように、本実施形態のアクチュエータユニット450によれば、隣接するアクチュエータ410同士において、ヨーク420から突出し露出したロッド401同士の間に、磁気遮蔽部材433の磁性材料からなる壁部433Aが配置される。このため、これらロッド401同士の磁気の干渉を防止でき、動作が高精度に行えるとともに、推力が安定して確保される。
また、磁気遮蔽部材433の壁部433Aが、ロッド401をその軸周りに囲むように形成されているので、前述したロッド401同士の磁気の干渉を防止できる以外に、さらにロッド401と装置外部のマグネットや磁性体等との間の磁気の干渉も防止することができ、動作がより高精度に安定して行える。従って、アクチュエータユニット450の配置の自由度が増す。
また、前記長手方向に直交する断面において、ロッド401がその周囲を囲む壁部433Aから等距離の位置に配置されているので、ロッド401のマグネット403が周囲の壁部433Aに均一に引き付けられることになる。このため、その軸周りのうち所定の方向に引き付けられてしまうことが防止される。従って、ロッド401の動作がさらに高精度に安定して行われる。
また、これらのアクチュエータ410の前記長手方向に沿う端部に、一体型の磁気遮蔽部材433が配置されることから、比較的容易に組み立てが行えるとともに、製造やメンテナンスが容易になる。
また、このような構成によれば、磁気遮蔽部材433の形状の自由度が増す。すなわち、従来のように、フォーサ402の外周面に対応した壁部433Aの配置や形状とする必要はなく、壁部433Aを所望の形状に形成することができる。従って、例えば、各ロッド401に個々に対応した壁部433Aの形状を設定することが可能である。また、壁部433Aとロッド401との隙間を小さく設定することもできる。よって、ロッド401からの磁気漏れを確実に防止できる。
また、磁気遮蔽部材433が、複数のアクチュエータ410の前記長手方向に沿う端部に着脱可能とされているので、磁気遮蔽部材433を、種々の要望に対応して簡便に交換できる。
尚、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本実施形態では、磁気遮蔽部材433の壁部433Aが、前記断面において矩形状とされているとともに、ロッド401をその軸周りに囲むように形成されているとしたが、これに限定されない。
図19A、図19Bは、磁気遮蔽部材433の変形例を示している。
図19Aに示す例では、磁気遮蔽部材433の壁部433Aが、隣り合うロッド401同士の間にのみ設けられている。すなわち、アクチュエータユニット450の水平方向に沿う端部に配置されたアクチュエータ410におけるロッド401の前記水平方向外側には、壁部433Aが設けられていなくてもよい。
図19Bに示す例では、磁気遮蔽部材433には、前記長手方向に貫通する複数の丸孔が形成されている。これらの丸孔は、各ロッド401に対応して形成されており、この場合、隣り合う丸孔同士の間の部分が壁部433Aとされる。詳しくは、隣り合う丸孔の内周面において、互いに背向配置される凹曲面同士の間の部分が、壁部433Aとされる。この場合、壁部433Aがロッド401の外周面の形状に対応するように形成されるので、前述した磁気漏れをより確実に防止できる。
[本発明の実施形態の応用例]
図20に本発明の実施形態の応用例としてのリニアモータの位置検出システムを示す。この位置検出システムは、リニアモータ511と、リニアモータ511のロッド501の位置を検出する磁気センサ512と、磁気センサ512が出力する信号を内挿処理する位置検出回路513と、を備える。位置検出回路513が出力する位置の信号は、リニアモータ511のドライバ514に出力される。ドライバ514には、リニアモータ511を制御するのに適した形態をした電力を供給するPWMインバータ(PWM:Pulse Width Modulation)などの電力変換器、並びに位置検出回路513からの信号及び上位コンピュータからの指令によって電力変換器を制御する制御器が組み込まれる。磁気センサ512と位置検出回路513とは、エンコーダケーブル515によって接続される。リニアモータ511のコイルとドライバの電力変換器とは、動力ケーブル516によって接続される。
図21は、リニアモータ511の斜視図(一部断面図)を示す。このリニアモータ511は、コイル収容ケース502に対してロッド501が軸線方向に移動するロッドタイプリニアモータである。例えば、ロッド501の先端にチップ状の電子部品などを取り付け、電子部品を基板上の所定の位置にマウントするのに用いられる。リニアモータ511は一軸のみで使用されてもよいし、作業効率を上げるための多軸のアクチュエータとして、複数個並べて使用されてもよい。
コイル収容ケース502内には、複数のコイル504が積層される。コイル収容ケース502の両端面それぞれには、エンドケース509が取り付けられる。エンドケース509には、ロッド501の直線運動を案内するための軸受であるブッシュ508が取り付けられる。尚、これらのエンドケース509のうち、下側に配置されるエンドケース509が前記位置検出ヘッド509とされる。
ロッド501は、例えばステンレス等の非磁性材からなり、パイプのように中空の空間を有する。ロッド501の中空空間には、円柱状の複数のマグネット503(セグメント磁石)が互いに同極が対向するように積層される。すなわちN極とN極が、S極とS極とが対向するように積層される。マグネット503の間には、例えば鉄等の磁性体からなるポールシュー507(磁極ブロック)が介在される。ロッド501は、積層されたコイル504内を貫通すると共に、コイル収容ケース502に軸線方向に移動可能に支持される。
図21に示されるように、磁気センサ収容ケースであるエンドケース509の一方には、ロッド501の位置を検出するための磁気センサ512が取り付けられる。磁気センサ512は、ロッド501から所定のすきまを開けて配置され、ロッド501の直線運動によって生ずるロッド501の磁界の方向(磁気ベクトルの方向)の変化を検出する。