JP5646123B1 - エポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物及びその製造方法、プリプレグ、並びに繊維強化複合材料 - Google Patents

エポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物及びその製造方法、プリプレグ、並びに繊維強化複合材料 Download PDF

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Abstract

本発明の目的は、反応性が高く、繊維強化複合材料における樹脂と強化繊維の密着性を向上させることができ、特にサイジング剤として有用なエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物を提供することにある。本発明は、下記式(I)で表されるエポキシ−アミン付加物と界面活性剤とを含み、前記エポキシ−アミン付加物が水系媒体中に分散していることを特徴とするエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物に関する。【化1】[式(I)中、R1は、同一又は異なって、式中に示される窒素原子との結合部位に炭素原子を有する二価の有機基を示す。Xは単結合、又は1以上の原子を有する二価の基を示す。qは1以上の整数を示す。]

Description

本発明は、エポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物及びその製造方法、プリプレグ、並びに繊維強化複合材料に関する。より詳しくは、エポキシ−アミン付加物が水系媒体中に分散しているエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物及びその製造方法、上記水分散型樹脂組成物を強化繊維に含浸又は塗工して得られるプリプレグ、並びに、該プリプレグより形成される繊維強化複合材料に関する。本願は、2013年6月11日に日本に出願した特願2013−122669号の優先権を主張し、その内容をここに援用する。
炭素繊維やガラス繊維等の強化繊維と樹脂との複合材料である繊維強化複合材料は、非常に優れた耐熱性及び機械物性を有するため、様々な用途に使用されるようになってきている。このような繊維強化複合材料においては、一般にサイジング剤(収束剤)が使用されている。上記サイジング剤は、糊剤として炭素繊維等の強化繊維に塗布し、収束性の乏しい強化繊維の高次加工性を向上させることを目的として使用されている。
上記サイジング剤としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(特許文献1、2参照)、ビスフェノールAのポリアルキレンオキサイド付加物(特許文献3、4参照)、ビスフェノールAのポリアルキレンオキサイド付加物にエポキシ基を付加したもの(特許文献5、6参照)、ポリアルキレングリコールのエポキシ付加物(特許文献7〜9参照)などが知られている。
特開昭50−059589号公報 特開昭57−171767号公報 特開平07−009444号公報 特開2000−336577号公報 特開昭61−028074号公報 特開平01−272867号公報 特開昭57−128266号公報 特開昭59−009273号公報 特開昭62−033872号公報
しかしながら、引用文献1〜9に開示されたサイジング剤を用いた繊維強化複合材料においては、樹脂と強化繊維との密着性が十分でないという問題が生じていた。従って、上述の繊維強化複合材料におけるサイジング剤としては、炭素繊維等の強化繊維の高次加工性を向上させるだけではなく、繊維強化複合材料中の強化繊維と樹脂(マトリックス樹脂)の接着性(密着性)を向上させることができるものが求められている。
なお、繊維強化複合材料における強化繊維とマトリックス樹脂との密着性の大小は、サイジング剤とマトリックス樹脂との相性により影響を受け、特にマトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を使用する場合には、これに適したサイジング剤を使い分ける必要があった。このため、どのようなマトリックス樹脂を使用した場合でも、広く強化繊維に対する良好な密着性を発現させることができるサイジング剤の開発が求められている。
また、サイジング剤は、繊維強化複合材料における樹脂と強化繊維の密着性などを高めるための添加剤としての使用を想定した場合、他の成分(例えば、熱可塑性樹脂、エポキシ化合物などの硬化性樹脂など)に対して容易に配合可能であることが求められる。しかしながら、例えば、上記の他に従来知られているビスフェノールAジグリシジルエーテルなどのグリシジル基を有するエポキシ化合物とポリアミン化合物との付加物は、架橋構造が形成されているため、加熱しても軟化乃至溶融せず、他の成分との混合が困難であり均一な組成物を得ることはできなかった。また、上記付加物は、上述のように架橋構造を有するため、溶液や水分散液の形態とすることは困難であった。
従って、本発明の目的は、反応性が高く、繊維強化複合材料における樹脂と強化繊維の密着性を向上させることができ、特にサイジング剤として有用なエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、樹脂と強化繊維の密着性に優れた繊維強化複合材料を形成できるプリプレグを提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、樹脂と強化繊維の密着性に優れ、高い機械物性(例えば、強靭性)を有する繊維強化複合材料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のエポキシ−アミン付加物(アミンアダクト)と界面活性剤とを含み、上記エポキシ−アミン付加物が水系媒体中で分散している水分散型樹脂組成物が、高い反応性を有し、繊維強化複合材料における樹脂と強化繊維の密着性を向上させることができ、特にサイジング剤として有用であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記式(I)
Figure 0005646123
[式(I)中、R1は、同一又は異なって、式中に示される窒素原子との結合部位に炭素原子を有する二価の有機基を示す。Xは単結合、又は1以上の原子を有する二価の基を示す。qは1以上の整数を示す。]
で表されるエポキシ−アミン付加物と界面活性剤とを含み、前記エポキシ−アミン付加物が水系媒体中に分散していることを特徴とするエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物を提供する。
さらに、前記界面活性剤が、アニオン系界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも一種の界面活性剤である前記のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、下記式(I)
Figure 0005646123
[式(I)中、R1は、同一又は異なって、式中に示される窒素原子との結合部位に炭素原子を有する二価の有機基を示す。Xは単結合、又は1以上の原子を有する二価の基を示す。qは1以上の整数を示す。]
で表されるエポキシ−アミン付加物と界面活性剤とを含み、前記エポキシーアミン付加物が水系媒体中に分散しているエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物を製造する方法であって、
前記エポキシ−アミン付加物と、界面活性剤と、水系媒体とを混合することを特徴とするエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物の製造方法を提供する。
さらに、前記界面活性剤が、アニオン系界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも一種の界面活性剤である前記のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物を強化繊維に含浸又は塗工して得られるプリプレグを提供する。
また、本発明は、前記のプリプレグより形成される繊維強化複合材料を提供する。
また、本発明は、前記のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物を製造するのに適した、新規なエポキシ−アミン付加物を提供する。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]下記式(I)
Figure 0005646123
[式(I)中、R1は、同一又は異なって、式中に示される窒素原子との結合部位に炭素原子を有する二価の有機基を示す。Xは単結合、又は1以上の原子を有する二価の基を示す。qは1以上の整数を示す。]
で表されるエポキシ−アミン付加物と界面活性剤とを含み、前記エポキシ−アミン付加物が水系媒体中に分散していることを特徴とするエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物。
[2]前記エポキシ−アミン付加物の含有量が、前記水分散型樹脂組成物の不揮発分(100重量%)に対して、好ましくは0.1〜98重量%、より好ましくは1〜90重量%、さらに好ましくは10〜85重量%、特に好ましくは20〜80重量%である[1]に記載のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物。
[3]前記エポキシ−アミン付加物の数平均分子量が、好ましくは200〜40000、より好ましくは300〜30000、さらに好ましくは400〜20000である[1]又は[2]に記載のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物。
[4]前記エポキシ−アミン付加物のガラス転移温度(Tg)が、好ましくは−50〜200℃、より好ましくは−40〜190℃、さらに好ましくは−30〜180℃である[1]〜[3]のいずれか1つに記載のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物。
[5]前記界面活性剤の含有量が、前記エポキシ−アミン付加物100重量部に対して、好ましくは0.01〜500重量部、より好ましくは0.1〜200重量部、さらに好ましくは0.5〜100重量部である[1]〜[4]のいずれか1つに記載のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物。
[6]有機溶媒の含有量が、前記水分散型樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、好ましくは10重量%以下(例えば、0〜10重量%)、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下である[1]〜[5]のいずれか1つに記載のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物。
[7]前記界面活性剤が、アニオン系界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも一種の界面活性剤である[1]〜[6]のいずれか1つに記載のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物。
[8]下記式(I)
Figure 0005646123
[式(I)中、R1は、同一又は異なって、式中に示される窒素原子との結合部位に炭素原子を有する二価の有機基を示す。Xは単結合、又は1以上の原子を有する二価の基を示す。qは1以上の整数を示す。]
で表されるエポキシ−アミン付加物と界面活性剤とを含み、前記エポキシーアミン付加物が水系媒体中に分散しているエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物を製造する方法であって、
前記エポキシ−アミン付加物と、界面活性剤と、水系媒体とを混合することを特徴とするエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物の製造方法。
[9]前記界面活性剤が、アニオン系界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも一種の界面活性剤である[8]に記載のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物の製造方法。
[10][1]〜[7]のいずれか1つに記載のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物を強化繊維に含浸又は塗工して得られるプリプレグ。
[11]熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、又は硬化性樹脂の前駆体を含み、
熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、又は硬化性樹脂の含有量が、強化繊維を除くプリプレグの全量(100重量%)に対して、好ましくは0.1〜99.9重量%、より好ましくは1〜99重量%、さらに好ましくは2〜98重量%である[10]に記載のプリプレグ。
[12]前記エポキシ−アミン付加物の含有量が、前記熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、又はその前駆体100重量部に対して、好ましくは0.1〜200重量部、より好ましくは1〜100重量部、さらに好ましくは2〜50重量部である[11]に記載のプリプレグ。
[13][10]〜[12]のいずれか1つに記載のプリプレグより形成される繊維強化複合材料。
[14]分子内に2個以上のアミノ基を有するエポキシ−アミン付加物であって、
分子内に2個以上の脂環式エポキシ基を有するエポキシ化合物(A)と、下記式(b−1)
Figure 0005646123
で表されるアミン化合物と、下記式(b−2)
Figure 0005646123
で表されるアミン化合物との反応により得られるエポキシ−アミン付加物。
[15]分子内に2個以上の脂環式エポキシ基を有するエポキシ化合物(A)が、下記式(a)
Figure 0005646123
で表される化合物である[14]に記載のエポキシ−アミン付加物。
[16]分子内に2個以上の脂環式エポキシ基を有するエポキシ化合物(A)が、下記式(a−1)
Figure 0005646123
で表される化合物である[14]又は[15]に記載のエポキシ−アミン付加物。
[17]数平均分子量が、好ましくは200〜40000、より好ましくは300〜30000、さらに好ましくは400〜20000である[14]〜[16]のいずれか1つに記載のエポキシ−アミン付加物。
[18]ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは−50〜200℃、より好ましくは−40〜190℃、さらに好ましくは−30〜180℃である[14]〜[17]のいずれか1つに記載のエポキシ−アミン付加物。
[19]分子内に有する−NH−基の数が、好ましくは1〜200個、より好ましくは1〜150個、さらに好ましくは2〜100個である[1]〜[18]のいずれか1つに記載のエポキシ−アミン付加物。
本発明のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物は上記エポキシ−アミン付加物を含むため、強化繊維の表面に存在する水酸基、カルボキシル基、エポキシ基などの官能基に対する反応性が高く、繊維強化複合材料における樹脂と強化繊維の密着性を効果的に向上させることができる。特に、本発明のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物は、どのようなマトリックス樹脂を使用した場合でも、広く該樹脂の強化繊維に対する良好な密着性を発現させることができる点で、非常に有用である。また、水分散型樹脂組成物の形態をとっているため、強化樹脂への含浸や塗工を容易に行うことができる。さらに、本発明のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物は、有機溶剤を含まないか又はその含有量が少ない水分散型樹脂組成物(水分散液)とすることにより、作業環境を選ぶことなく使用でき、また環境保護の面でも有利となる。このため、本発明のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物を用いると、優れた生産性で、樹脂と強化繊維の密着性に優れた繊維強化複合材料を形成できるプリプレグが得られ、また、上記プリプレグにより、樹脂と強化繊維の密着性に優れ、高い機械物性(特に、強靭性)を有する繊維強化複合材料が得られる。
製造例1、2においてエポキシ−アミン付加物の原料として使用したエポキシ化合物(セロキサイド2021P)の1H−NMRスペクトルのチャートである。 製造例1、2においてエポキシ−アミン付加物の原料として使用したアミン化合物(JEFFAMINE D−230)の1H−NMRスペクトルのチャートである。 製造例1で得られたエポキシ−アミン付加物の1H−NMRスペクトルのチャートである。
<エポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物>
本発明のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物(エポキシ−アミン付加物の水分散液;単に「本発明の水分散型樹脂組成物」と称する場合がある)は、下記式(I)で表される化合物(エポキシ−アミン付加物;「本発明のエポキシ−アミン付加物」と称する場合がある)と、界面活性剤とを必須成分として含み、上記エポキシ−アミン付加物が水系媒体中に分散していることを特徴とする水分散型樹脂組成物である。
Figure 0005646123
なお、本発明の水分散型樹脂組成物において「エポキシ−アミン付加物が分散している」状態とは、エポキシ−アミン付加物の少なくとも一部が水系媒体に溶解していない状態を意味し、懸濁して分散した状態や乳化して分散した状態等が含まれるものとする。本発明の水分散型樹脂組成物においては、エポキシ−アミン付加物が水系媒体に乳化して分散している状態であることが好ましい。また、本明細書においては、単に「アミノ基」という場合には−NH2(無置換アミノ基)を意味するものとし、「−NH−基」には当該無置換アミノ基(−NH2)は含まれないものとする。
[式(I)で表されるエポキシ−アミン付加物]
上記式(I)中のR1は、同一又は異なって、式中に示される窒素原子との結合部位に炭素原子を有する二価の有機基(有機残基)を示す。上記R1としては、例えば、二価の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基;二価の環状の脂肪族炭化水素基;二価の芳香族炭化水素基;これらの基(直鎖又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、環状の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基)の2以上が直接又はヘテロ原子を含む連結基(二価の基)を介して結合した二価の基などが挙げられる。
上記二価の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキレン基[例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、へプタデシレン基、オクタデシレン基などの炭素数1〜30(C1-30)の直鎖又は分岐鎖状アルキレン基(好ましくはC1-18アルキレン基)など]、アルケニレン基[上記アルキレン基に対応するアルケニレン基、例えば、ビニレン基、アリレン基などの炭素数2〜30の直鎖又は分岐鎖状アルケニレン基(好ましくはC2-18アルケニレン基)など]などが挙げられる。
上記二価の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、種々の置換基を有していてもよい(即ち、上記二価の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が有する水素原子の少なくとも1つが種々の置換基で置換されていてもよい)。上記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基など)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基など)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、複素環式基などが挙げられる。上記ヒドロキシル基やカルボキシル基は、有機合成の分野で慣用の保護基(例えば、アシル基、アルコキシカルボニル基、有機シリル基、アルコキシアルキル基、オキサシクロアルキル基など)で保護されていてもよい。
上記置換又は無置換カルバモイル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基、若しくはアセチル基、ベンゾイル基等のアシル基等を有するカルバモイル基、又は無置換カルバモイル基などが挙げられる。また、上記置換又は無置換アミノ基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基、若しくはアセチル基、ベンゾイル基等のアシル基等を有するアミノ基、又は、無置換アミノ基等が挙げられる。
上記複素環式基を構成する複素環には、芳香族性複素環及び非芳香族性複素環が含まれる。このような複素環としては、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例えば、オキシラン環などの3員環、オキセタン環などの4員環、フラン環、テトラヒドロフラン環、オキサゾール環、γ−ブチロラクトン環などの5員環、4−オキソ−4H−ピラン環、テトラヒドロピラン環、モルホリン環などの6員環、ベンゾフラン環、4−オキソ−4H−クロメン環、クロマン環などの縮合環、3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン環、3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン環などの橋かけ環)、ヘテロ原子として硫黄原子を含む複素環(例えば、チオフェン環、チアゾール環、チアジアゾール環などの5員環、4−オキソ−4H−チオピラン環などの6員環、ベンゾチオフェン環などの縮合環など)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環(例えば、ピロール環、ピロリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環などの5員環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環などの6員環、インドール環、インドリン環、キノリン環、アクリジン環、ナフチリジン環、キナゾリン環、プリン環などの縮合環など)などが挙げられる。上記複素環式基は、上記二価の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基のほか、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基などのC1-4アルキル基など)、シクロアルキル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)などの置換基を有していてもよい。また、複素環を構成する窒素原子は、慣用の保護基(例えば、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アラルキル基、アシル基、アリールスルホニル基、アルキルスルホニル基など)により保護されていてもよい。
上記二価の環状の脂肪族炭化水素基としては、例えば、シクロアルキレン基[例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基などの炭素数3〜20のシクロアルキレン基(好ましくはC3-15シクロアルキレン基)など]、シクロアルケニレン基[上記シクロアルキレン基に対応するシクロアルケニレン基、例えば、シクロヘキセニレン基などの炭素数3〜20のシクロアルケニレン基(好ましくはC3-15シクロアルケニレン基)など]、シクロアルキリデン基[上記シクロアルキレン基に対応するシクロアルキリデン基、例えば、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基などの炭素数3〜20のシクロアルキリデン基(好ましくはC3-15シクロアルキリデン基)など]、シクロアルカジエニレン基[上記シクロアルキレン基に対応するシクロアルカジエニレン基、例えば、シクロペンタジエニレン基などの炭素数4〜20のシクロアルカジエニレン基(好ましくはC4-15シクロアルカジエニレン基)など]、二価の多環式炭化水素基[例えば、スピロ炭化水素(例えば、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカンなど)−ジイル基などの二価のスピロ炭化水素基;環集合炭化水素(例えば、ビシクロプロピルなど)−ジイル基などの二価の環集合炭化水素基;橋かけ環炭化水素(例えば、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ノルボルナン、ノルボルネン、アダマンタンなど)−ジイル基などの二価の橋かけ環炭化水素基など]などが挙げられる。上記二価の環状の脂肪族炭化水素基は、上記二価の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基のほか、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基などのC1-4アルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)などの置換基を有していてもよい。
上記二価の芳香族炭化水素基としては、芳香族炭化水素から二個の水素原子を除いた基が挙げられる。上記芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、9−フェニルアントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、ナフタセン、ピレン、ペリレン、ビフェニル、ビナフチル、ビアンスリルなどが挙げられる。なお、上記二価の芳香族炭化水素基は、二価の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基のほか、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基などのC1-4アルキル基など)、シクロアルキル基などの置換基を有していてもよい。
直鎖又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、環状の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基の2以上が直接結合した二価の基としては、例えば、シクロヘキシレン−メチレン基などの脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基とが結合した基;フェニレン−メチレン基、フェニレン−エチレン基等の合計炭素数7〜18のアリーレン−アルキレン基(特に、合計炭素数7〜10のアリーレン−アルキレン基)、フェニレン−プロペニレン基、フェニレン−ビニレン基等のC6-10アリーレン−C2-6アルケニレン基などの脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合した基などが挙げられる。
上記ヘテロ原子を含む連結基(二価の基)としては、例えば、−CO−(カルボニル基)、−O−(エーテル結合)、−CO−O−(エステル結合)、−O−CO−O−(カーボネート基)、−CO−NH−(アミド基)、−CO−NRa−(置換アミド基;Raはアルキル基を示す)、−NH−、−NRb−(Rbはアルキル基を示す)、−SO−、−SO2−などのヘテロ原子(酸素原子、窒素原子、硫黄原子等)を含む二価の基、これらが複数個連結した二価の基などが挙げられる。
式(I)中のR1は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(I)中のXは、単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、これらの基の2以上が連結した基などが挙げられる。
上記Xにおける二価の炭化水素基としては、炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状アルキレン基、二価の脂環式炭化水素基などが挙げられる。炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状アルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基などが挙げられる。上記二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基などの二価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)などが挙げられる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖状のアルケニレン基等が挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2〜4のアルケニレン基である。
上記連結基Xとしては、特に、酸素原子を含有する連結基が好ましく、具体的には、−CO−、−O−CO−O−、−CO−O−、−O−、−CO−NH−、エポキシ化アルケニレン基;これらの基が複数個連結した基;これらの基の1又は2以上と二価の炭化水素基の1又は2以上とが連結した基などが挙げられる。二価の炭化水素基としては上記で例示したものが挙げられる。
なお、qが2以上の整数である場合、それぞれのXは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(I)中のq(qが付された括弧内の構造単位の繰り返し数)は、1以上の整数を示す。qとしては、特に限定されないが、1〜200が好ましく、より好ましくは2〜150、さらに好ましくは2〜100である。qを200以下とすることにより、エポキシ−アミン付加物の他の成分に対する配合や、水分散型樹脂組成物の調製がより容易となる傾向がある。なお、上記式(I)におけるqは、例えば、後述の反応に付すエポキシ化合物(A)とアミン化合物(B)の割合、反応条件などにより制御可能である。
上記式(I)において、シクロヘキサン環を構成する炭素原子のうち、Xが結合した炭素原子を「1位」の炭素原子とすると、式(I)に示されるシクロヘキサン環に結合する窒素原子(−NH−)の結合位置は、3位の炭素原子又は4位の炭素原子である。上記窒素原子の結合位置が3位の炭素原子である場合、式(I)に示されるシクロヘキサン環に結合する水酸基(−OH)の結合位置は、4位の炭素原子である。また、上記窒素原子の結合位置がシクロヘキサン環の4位の炭素原子である場合、式(I)に示されるシクロヘキサン環に結合する水酸基(−OH)の結合位置は、3位の炭素原子である。上記式(I)中の複数の(2以上の)シクロヘキサン環における上記窒素原子の結合位置(又は水酸基の結合位置)は、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。なお、式(I)中のシクロヘキサン環を構成する炭素原子に上述の位置番号を付すと、下記式のようになる。
Figure 0005646123
本発明のエポキシ−アミン付加物は、qが異なる2種以上のエポキシ−アミン付加物の混合物であってもよい。
本発明のエポキシ−アミン付加物は、下記式(a)で表される化合物(エポキシ化合物;「エポキシ化合物(A)」と称する場合がある)と下記式(b)で表される化合物(アミン化合物;「アミン化合物(B)」と称する場合がある)とを、付加反応させることによって得られる。
Figure 0005646123
Figure 0005646123
上記式(a)におけるXは、式(I)におけるXと同じく、単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。
上記式(a)中のXが単結合であるエポキシ化合物(A)としては、3,4,3',4'−ジエポキシビシクロヘキサンが挙げられる。
上記式(a)で表される脂環式エポキシ化合物の代表的な例としては、下記式(a−1)〜(a−10)で表される化合物、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテルなどが挙げられる。なお、下記式(a−5)、(a−7)中のl、mは、それぞれ1〜30の整数を表す。下記式(a−5)中のRは炭素数1〜8のアルキレン基を示し、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等の直鎖又は分岐鎖状アルキレン基が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状アルキレン基が好ましい。下記式(a−9)、(a−10)中のn1〜n6は、それぞれ1〜30の整数を示す。
Figure 0005646123
Figure 0005646123
上記式(a)で表される化合物の中でも、特に、耐熱性や取扱性の観点で、上記式(a−1)で表される化合物[3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート;商品名「セロキサイド2021P」((株)ダイセル製)など]が好ましい。
上記式(b)におけるR1は、式(I)におけるR1と同じく、式中に示される窒素原子との結合部位に炭素原子を有する二価の有機基(有機残基)を示す。
特に、アミン化合物(B)としては、下記式(b−1)で表される化合物((ポリ)エーテルジアミン)が好ましい。
Figure 0005646123
上記式(b−1)におけるR2は、二価の直鎖、分岐鎖、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、又は、直鎖若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の1以上と環状の脂肪族炭化水素基の1以上とが連結して形成される二価の基を示す。上記二価の直鎖、分岐鎖、又は環状の脂肪族炭化水素基としては、例えば、上述のR1として例示した二価の直鎖、分岐鎖、又は環状の脂肪族炭化水素基が挙げられる。なお、上記R2としての二価の直鎖、分岐鎖、又は環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、上述のR1における置換基として例示したものと同様の置換基が挙げられる。
中でも、上記R2としては、二価の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、より好ましくは炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖状アルキレン基、さらに好ましくは炭素数2〜4の直鎖又は分岐鎖状アルキレン基(特に、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基)である。
上記式(b−1)におけるR3は、二価の直鎖、分岐鎖、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、又は、直鎖若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の1以上と環状の脂肪族炭化水素基の1以上とが連結して形成される二価の基を示す。上記二価の直鎖、分岐鎖、又は環状の脂肪族炭化水素基としては、例えば、上述のR1として例示した二価の直鎖、分岐鎖、又は環状の脂肪族炭化水素基が挙げられる。なお、上記R3としての二価の直鎖、分岐鎖、又は環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、上述のR1における置換基として例示したものと同様の置換基が挙げられる。
中でも、上記R3としては、二価の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、より好ましくは炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖状アルキレン基、さらに好ましくは炭素数2〜4の直鎖又は分岐鎖状アルキレン基(特に、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基)である。なお、pが2以上の整数の場合には、それぞれの括弧内のR3(複数のR3)は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、2種以上のR3を有する場合、pが付された括弧内の構造の付加形態(重合形態)はランダム型であってもよいし、ブロック型であってもよい。
上記式(b−1)におけるp(pが付された括弧内の構造単位の繰り返し数)は、1以上の整数を示す。pとしては、例えば、1〜100が好ましく、より好ましくは1〜70、さらに好ましくは1〜30である。pを100以下とすることにより、本発明のエポキシ−アミン付加物の耐熱性、繊維強化複合材料の耐熱性や機械物性(強靭性等)がより向上する傾向がある。
なお、上記式(b−1)におけるR2とR3は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、アミン化合物(B)としては、下記式(b−2)で表される化合物(シクロヘキサン環を有するジアミン)も例示できる。
Figure 0005646123
上記式(b−2)中、R4、R5は、同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキレン基、又は炭素数6〜12のアリーレン基を示す。R6は、式中に示されるシクロヘキサン環上の置換基であり、同一又は異なって、炭素数1〜6のアルキル基を示す。rは0又は1を示す。sは式中に示されるシクロヘキサン環上の置換基(R6)の数を示し、0〜10の整数である。なお、2以上のR6を有する場合、それぞれのR6は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
より詳しくは、上記式(b−2)で表される化合物としては、例えば、イソホロンジアミンなどが挙げられる。
アミン化合物(B)としては、例えば、商品名「JEFFAMINE D−230」、「JEFFAMINE D−400」、「JEFFAMINE D−2000」、「JEFFAMINE D−4000」、「JEFFAMINE HK−511」、「JEFFAMINE ED−600」、「JEFFAMINE ED−900」、「JEFFAMINE ED−2003」、「JEFFAMINE EDR−148」、「JEFFAMINE EDR−176」、「JEFFAMINE XTJ−582」、「JEFFAMINE XTJ−578」、「JEFFAMINE XTJ−542」、「JEFFAMINE XTJ−548」、「JEFFAMINE XTJ−559」(以上、HUNTSMAN社製);商品名「VESTAMIN IPD」、「VESTAMIN TMD」、「VESTAMIN A139」(以上、EVONIK社製)などの市販品を使用することもできる。
アミン化合物(B)の分子量は、特に限定されないが、80〜10000が好ましく、より好ましくは100〜5000、さらに好ましくは200〜1000である。分子量を80以上とすることにより、エポキシ−アミン付加物における後述の−NH−基(置換アミノ基)の量が多くなり過ぎず適正な量となり、例えば、硬化性樹脂(硬化性化合物)との組成物を硬化させて得られる硬化物(硬化樹脂)の靭性がより向上する傾向がある。一方、分子量を10000以下とすることにより、エポキシ化合物(A)との良好な反応性が確保され、エポキシ−アミン付加物の配合により得られる効果(例えば、硬化物(硬化樹脂)の耐熱性向上、繊維強化複合材料の耐熱性及び強靭性向上など)をより効率的に享受できる傾向がある。
本発明のエポキシ−アミン付加物は、上述のように、エポキシ化合物(A)とアミン化合物(B)とを反応させることにより製造できる。より具体的には、エポキシ化合物(A)が有する脂環式エポキシ基と、アミン化合物(B)が有するアミノ基とを反応させることにより、本発明のエポキシ−アミン付加物が生成する。
なお、本発明のエポキシ−アミン付加物の製造において、エポキシ化合物(A)は一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。同様に、アミン化合物(B)も一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記反応(エポキシ化合物(A)とアミン化合物(B)の反応)は、溶媒の存在下で進行させることもできるし、溶媒の非存在下で(即ち、無溶媒で)進行させることもできる。上記溶媒としては、特に限定されないが、エポキシ化合物(A)とアミン化合物(B)とを均一に溶解又は分散できるものが好ましい。より具体的には、上記溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどのエステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール;ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。なお、溶媒は一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記反応は、触媒の存在下で進行させることもできるし、触媒の非存在下(実質的に非存在下)で進行させることもできる。より具体的には、アミン化合物(B)として芳香族アミン化合物(芳香環に置換したアミノ基を有する化合物)を使用する場合には、触媒の存在下で上記反応を進行させることが好ましく、アミン化合物(B)として芳香族アミン化合物以外の化合物(非芳香族アミン化合物)を使用する場合には、触媒の非存在下で上記反応を進行させることが好ましい。
なお、上記触媒としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂(エポキシ化合物)をアミン系の硬化剤により硬化させる際に使用される硬化促進剤などが挙げられ、具体的には、第三級アミン[例えば、ラウリルジメチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)など];第三級アミン塩[例えば、上記第三級アミンのカルボン酸塩、スルホン酸塩、無機酸塩など];イミダゾール類[例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールなど];有機リン系化合物[例えば、トリフェニルホスフィン、亜リン酸トリフェニルなど];第四級アンモニウム塩[例えば、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミドなど]、第四級ホスホニウム塩[例えば、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、テトラブチルホスホニウムラウリン酸塩、テトラブチルホスホニウムミリスチン酸塩、テトラブチルホスホニウムパルミチン酸塩、テトラブチルホスホニウムカチオンとビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸及び/又はメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸のアニオンとの塩、テトラブチルホスホニウムカチオンと1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸のアニオンとの塩など]、第四級アルソニウム塩、第三級スルホニウム塩、第三級セレノニウム塩、第二級ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩等のオニウム塩;強酸エステル[例えば、硫酸エステル、スルホン酸エステル、りん酸エステル、ホスフィン酸エステル、ホスホン酸エステルなど];ルイス酸と塩基の錯体[例えば、三フッ化ホウ素・アニリン錯体、三フッ化ホウ素・p−クロロアニリン錯体、三フッ化ホウ素・エチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・イソプロピルアミン錯体、三フッ化ホウ素・ベンジルアミン錯体、三フッ化ホウ素・ジメチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・ジエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・ジブチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・ピペリジン錯体、三フッ化ホウ素・ジベンジルアミン錯体、三塩化ホウ素・ジメチルオクチルアミン錯体など];有機金属塩[オクチル酸スズ、オクチル酸亜鉛、ジラウリン酸ジブチルスズ、アルミニウムアセチルアセトン錯体など]などが挙げられる。
特に、アミン化合物(B)として上記非芳香族アミン化合物を使用する場合の該触媒の使用量は、特に限定されないが、エポキシ化合物(A)100重量部に対して、1重量部未満(例えば、0重量部以上、1重量部未満)が好ましく、より好ましくは0.5重量部未満、さらに好ましくは0.3重量部未満である。触媒の使用量を1重量部未満とすることにより、エポキシ化合物(A)とアミン化合物(B)の反応により生成する−NH−基が、さらにエポキシ化合物(A)の脂環式エポキシ基と反応することが抑制され、他の成分に対して配合がより容易で、反応性の高いエポキシ−アミン付加物が得られる傾向がある。
一方、アミン化合物(B)として芳香族アミン化合物を使用する場合の該触媒の使用量は、特に限定されないが、エポキシ化合物(A)100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜8重量部、さらに好ましくは1〜5重量部である。触媒の使用量を0.1重量部以上とすることにより、エポキシ化合物(A)とアミン化合物(B)の反応をより効率的に進行させることができる傾向がある。一方、触媒の使用量を10重量部以下とすることにより、経済的により有利となる傾向がある。
上記反応に付すエポキシ化合物(A)とアミン化合物(B)の割合は、特に限定されないが、上記反応におけるエポキシ化合物(A)が有する脂環式エポキシ基(シクロヘキセンオキシド基)とアミン化合物(B)が有するアミノ基との割合[脂環式エポキシ基/アミノ基]が、0.05〜1.00(より好ましくは0.10〜0.95、さらに好ましくは0.15〜0.90)となるように制御することが好ましい。上記割合[脂環式エポキシ基/アミノ基]を0.05以上とすることにより、エポキシ−アミン付加物中に未反応のアミン化合物(B)が残存しにくい傾向がある。一方、上記割合[脂環式エポキシ基/アミノ基]を1.00以下とすることにより、エポキシ−アミン付加物中に未反応のエポキシ化合物(A)が残存しにくい傾向がある。
上記反応における温度(反応温度)は、特に限定されないが、30〜250℃が好ましく、より好ましくは80〜200℃、さらに好ましくは120〜180℃である。反応温度を30℃以上とすることにより、十分な反応速度が確保され、エポキシ−アミン付加物の生産性がより向上する傾向がある。一方、反応温度を250℃以下とすることにより、エポキシ化合物(A)やアミン化合物(B)の分解反応が抑制され、エポキシ−アミン付加物の収率がより向上する傾向がある。なお、上記反応中、反応温度は常に一定(実質的に一定)となるように制御されていてもよいし、段階的又は連続的に変化するように制御されていてもよい。
上記反応を実施する時間(反応時間)は、特に限定されないが、0.2〜20時間が好ましく、より好ましくは0.5〜10時間、さらに好ましくは1〜5時間である。反応時間を0.2時間以上とすることにより、エポキシ−アミン付加物の収率がより向上する傾向がある。一方、反応時間を20時間以下とすることにより、エポキシ−アミン付加物の生産性がより向上する傾向がある。
上記反応は、常圧下、加圧下、減圧下のいずれにおいても実施することができる。また、上記反応を実施する雰囲気も特に限定されず、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴンなど)中、空気中等のいずれの雰囲気においても実施することができる。
上記反応は、特に限定されず、回分方式(バッチ式)、半回分方式、連続流通方式のいずれの方式によっても実施することができる。例えば、上記反応を回分方式で実施する場合には、回分式の反応器にエポキシ化合物(A)、アミン化合物(B)、及び必要に応じて溶媒等のその他の成分を仕込み、さらに必要に応じて加熱、攪拌する方法等により実施することができる。
上記反応(エポキシ化合物(A)とアミン化合物(B)の反応)により、本発明のエポキシ−アミン付加物が得られる。上記反応の後、本発明のエポキシ−アミン付加物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の公知乃至慣用の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製することが可能である。
本発明のエポキシ−アミン付加物は、上述のように、エポキシ化合物(A)の脂環式エポキシ基とアミン化合物(B)のアミノ基(−NH2;無置換アミノ基)が反応することにより生成する。本発明のエポキシ−アミン付加物は、式(I)に示すように、上記脂環式エポキシ基とアミノ基の反応により生成する−NH−基(置換アミノ基)とエポキシ化合物(A)の脂環式エポキシ基との反応性に乏しいためと推測されるが、分子内に−NH−基を有する。本発明のエポキシ−アミン付加物が分子内に有する−NH−基の数は、特に限定されないが、1〜200個が好ましく、より好ましくは1〜150個、さらに好ましくは2〜100個である。エポキシ−アミン付加物が−NH−基を有しない場合、反応性が低下したり、用途によっては、繊維強化複合材料における樹脂と強化繊維の密着性向上の効果が十分に得られない場合がある。なお、エポキシ−アミン付加物における−NH−基の数は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される標準ポリスチレン換算の分子量を用いて、該エポキシ−アミン付加物を構成するエポキシ化合物(A)単位とアミン化合物(B)単位の数を求めることにより算出することが可能である。
上記に対して、例えば、グリシジル基を有するエポキシ化合物とアミン化合物(B)との反応により得られる化合物(エポキシ−アミン付加物)には、グリシジル基とアミノ基(無置換アミノ基)の反応により生成する−NH−基とグリシジル基との反応性が非常に高いため、通常、−NH−基は実質的に残存しない。
本発明のエポキシ−アミン付加物の数平均分子量は、特に限定されないが、200〜40000が好ましく、より好ましくは300〜30000、さらに好ましくは400〜20000である。数平均分子量を200以上とすることにより、エポキシ−アミン付加物としての機能をより効果的に発現させることができる傾向がある。一方、数平均分子量を40000以下とすることにより、他の成分に対する配合や水分散液の調製がより容易となる傾向がある。なお、エポキシ−アミン付加物の数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される標準ポリスチレン換算の分子量を用いて算出することができる。
本発明のエポキシ−アミン付加物のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、−50〜200℃が好ましく、より好ましくは−40〜190℃、さらに好ましくは−30〜180℃である。エポキシ−アミン付加物のTgを−50℃以上とすることにより、繊維強化複合材料の耐熱性や機械物性(強靭性等)がより向上する傾向がある。一方、エポキシ−アミン付加物のTgを200℃以下とすることにより、他の成分に対する配合や水分散液の調製がより容易となる傾向がある。なお、エポキシ−アミン付加物のガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)、動的粘弾性測定などにより測定することが可能である。
中でも、本発明のエポキシ−アミン付加物は、エポキシ化合物(A)として式(a−1)で表される化合物を使用し、アミン化合物(B)として式(b−1)で表される化合物及び式(b−2)で表される化合物のいずれか一方又は両方を使用して、これらエポキシ化合物(A)とアミン化合物(B)とを付加反応させることによって得られるエポキシ−アミン付加物であることが好ましい。
例えば、アミン化合物(B)として式(b−1)で表される化合物を使用した場合の本発明のエポキシ−アミン付加物として、下記式(I−1)で表されるエポキシ−アミン付加物が挙げられ、さらにエポキシ化合物(A)として式(a−1)で表される化合物を使用した場合の本発明のエポキシ−アミン付加物として、下記式(I−2)で表されるエポキシ−アミン付加物が挙げられる。なお、下記式(I−1)におけるX、q、下記式(I−2)におけるqは、それぞれ上記式(I)におけるX、qと同じものを示す。下記式(I−1)、(I−2)におけるpは、1以上の整数を示し、上記式(b−1)におけるpと同じである。また、下記式(I−1)、(I−2)におけるR2、R3は、それぞれ、二価の直鎖、分岐鎖、若しくは環状の脂肪族炭化水素基、又は、直鎖若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の1以上と環状の脂肪族炭化水素基の1以上とが連結して形成される二価の基を示し、上記式(b−1)におけるR2、R3と同じである。なお、pが2以上の整数である場合、それぞれのR3は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、二種以上のR3を有する場合、pが付された括弧内の構造の付加形態(重合形態)はランダム型であってもよいし、ブロック型であってもよい。R2とR3は、同じ基であってもよいし、異なる基であってもよい。
Figure 0005646123
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本発明の水分散型樹脂組成物における本発明のエポキシ−アミン付加物の含有量(配合量)は、特に限定されないが、水分散型樹脂組成物の不揮発分(100重量%)に対して、0.1〜98重量%が好ましく、より好ましくは1〜90重量%、さらに好ましくは10〜85重量%、特に好ましくは20〜80重量%である。
[界面活性剤]
本発明の水分散型樹脂組成物における界面活性剤としては、公知乃至慣用の界面活性剤を使用することができ、特に限定されないが、周知のアニオン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、高分子分散剤等が挙げられる。界面活性剤は、主に、本発明の水分散型樹脂組成物においてエポキシ−アミン付加物を安定的に分散させる働きを有する。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、アルキレンジスルホン酸塩、ジアルキルサクシネートスルホン酸ナトリウム塩、モノアルキルサクシネートスルホン酸ジナトリウム塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩、α−オレフィンスルホン酸塩などのスルホン酸塩型;ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル硫酸エステル塩などの硫酸エステル塩型;ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのリン酸エステル型;ポリアクリル酸ナトリウム塩などが挙げられる。中でも、アニオン系界面活性剤としては、硫酸エステル塩型界面活性剤が好ましく、具体的には、商品名「NEWCOL707SF」、「NEWCOL707SFC」、「NEWCOL707SN」(以上、日本乳化剤(株)製)などの市販品が使用できる。
上記のほか、アニオン系界面活性剤としては、例えば、ラジカル重合可能な重合性官能基を有する反応性界面活性剤を使用することができ、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩の分子中にラジカル重合性の不飽和二重結合が導入された界面活性剤、スルホコハク酸アルキルエステル塩の分子中にラジカル重合性の不飽和二重結合が導入された界面活性剤などが挙げられる。具体的には、前者の例としては、商品名「アクアロンKH−10」、「アクアロンHS−10」(以上、第一工業製薬(株)製);商品名「アデカリアソープSE−10N」((株)ADEKA製)等が挙げられる。また、後者の例としては、商品名「エレミノールJS2」、「エレミノールRN−30」(以上、三洋化成工業(株)製);商品名「ラテムルS−180」、「ラテムルS−180A」(以上、花王(株)製)等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシアルキレン2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシアルキレンノニルエーテル、ポリオキシアルキレントリデシルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル型;ポリオキシエチレン多環フェニルエーテルなどのポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル型(多環フェニルエーテル型);ソルビタンラウレート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタン誘導体型;ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、2−ブチル−2−エチル−1,3−β−ヒドロキシプロパンのアルキレンオキサイド付加体、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などが挙げられる。中でも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型の非イオン性界面活性剤が好ましく、具体的には、商品名「ノイゲンEA−197D」、「ノイゲンXL」、「ノイゲンET−B」、「ノイゲンTDS」(以上、第一工業製薬(株)製)等が使用できる。
上記のほか、非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの分子中にラジカル重合性の不飽和二重結合が導入された界面活性剤などが挙げられ、具体的には、商品名「アクアロンRN−20」、「アクアロンRN−50」(以上、第一工業製薬(株)製);商品名「アデカリアソープNE−20」、「アデカリアソープNE−40」(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩(例えば、塩化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなど)、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の4級アンモニウム塩型;アルキルアミン塩(例えば、モノメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩など)、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型;塩化ブチルピリジニウム、塩化ドデシルピリジニウムなどのピリジニウム塩型等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等が挙げられる。
また、高分子分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、マレイン酸共重合体(エチルビニルエーテル−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等)及びその各種金属塩やアンモニウム塩、アクリル酸重合体(ポリアクリル酸、アクリル酸の共重合体等)及びその各種金属塩やアンモニウム塩、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸共重合体、ポリエステル系、CMC(カルボキシメチルセルロース)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、アルギン酸、ペクチン酸などが挙げられる。
本発明の水分散型樹脂組成物において界面活性剤は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。中でも、アニオン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤が好ましく、特に、アニオン系界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを組み合わせて使用することが好ましい。
本発明の水分散型樹脂組成物における界面活性剤の含有量(配合量)は、特に限定されないが、本発明のエポキシ−アミン付加物100重量部に対して、0.01〜500重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜200重量部、さらに好ましくは0.5〜100重量部である。界面活性剤の含有量を0.01重量部以上とすることにより、エポキシ−アミン付加物をより安定的に分散させることができる傾向がある。一方、界面活性剤の含有量を500重量部以下とすることにより、経済的に有利となったり、繊維強化複合材料の耐熱性や機械物性をより高いレベルに保持できる傾向がある。
界面活性剤としてアニオン系界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを併用する場合、これら界面活性剤の使用量の比[アニオン系界面活性剤/非イオン性界面活性剤](重量比)は、特に限定されないが、90/10〜10/90が好ましく、より好ましくは70/30〜30/70、さらに好ましくは60/40〜30/70である。
本発明の水分散型樹脂組成物は、水系媒体を含む組成物である。水系媒体としては、水を必須成分として含む媒体(媒質)であればよく、特に限定されるものではない。即ち、本発明の水分散型樹脂組成物は、水系媒体として水のみを含むものであってもよいし、水と有機溶媒とを含むものであってもよい。上記有機溶媒としては、特に限定されないが、へキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどのエステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール;ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。なお、有機溶媒は一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。中でも、アミド、アルコール、ジメチルスルホキシド等の水と混和可能な有機溶媒が好ましい。
本発明の水分散型樹脂組成物は、作業安全性の確保や環境保護の観点では、有機溶媒の含有量が少ないことが好ましい。本発明の水分散型樹脂組成物における有機溶媒の含有量(配合量)は、特に限定されないが、樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、10重量%以下(例えば、0〜10重量%)が好ましく、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下である。
本発明の水分散型樹脂組成物は、上述の成分以外の成分(「その他の成分」と称する場合がある)を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、脂肪酸、アミド、エステル等の潤滑剤;シランカップリング剤やチタンカップリング剤等のカップリング剤などの各種添加剤が挙げられる。
本発明の水分散型樹脂組成物は、公知乃至慣用の方法により調製(製造)することが可能であり、特に限定されないが、例えば、本発明のエポキシ−アミン付加物と、界面活性剤と、水系媒体と、必要に応じてさらにその他の成分とを混合して、上記エポキシ−アミン付加物を水系媒体中に分散(例えば、懸濁分散、乳化分散)させることによって、製造できる。混合にあたっての各種成分の添加順序は特に限定されない。具体的には、例えば、エポキシ−アミン付加物と、界面活性剤と、水系媒体とを含む混合物を、ディスパー、ホモミキサー、ビーズミル、ジェットミル、ロールミル、ハンマーミル、振動ミル、ボールミル、サンドミル、パールミル、スパイクミル、アジテータミル、コボールミル等の分散機(特に、メディア攪拌型分散機)を用いて混合することにより、本発明の水分散型樹脂組成物を調製できる。なお、本発明の水分散型樹脂組成物中の有機溶媒の含有量を低減させるため、さらに、減圧乾燥等の処理を行ってもよい。
[プリプレグ]
本発明の水分散型樹脂組成物は、本発明のエポキシ−アミン付加物を含むため、強化繊維の表面に存在する水酸基、カルボキシル基、エポキシ基などの官能基に対する反応性が高く、繊維強化複合材料における樹脂と強化繊維(特に、ガラス繊維や炭素繊維)の密着性を効果的に向上させることができる。また、本発明の水分散型樹脂組成物は、水分散型樹脂組成物(水分散液)の形態をとっているため、強化繊維に対する塗工や含浸が容易である。このため、本発明の水分散型樹脂組成物は、特にサイジング剤(特に、ガラス繊維用サイジング剤や炭素繊維用サイジング剤)として有用である。なお、サイジング剤とは、強化繊維の製造工程や、高次加工工程(織物工程、プリプレグ工程、その他の成形工程)での取り扱い性を向上させるために強化繊維に含浸又は塗布(塗工)される処理剤であり、収束剤と称される場合もある。
本発明の水分散型樹脂組成物をサイジング剤として使用し、該樹脂組成物を強化繊維に含浸又は塗工することにより、繊維強化複合材料の前駆体材料であるプリプレグ(「本発明のプリプレグ」と称する場合がある)が得られる。
上記強化繊維としては、公知乃至慣用の強化繊維を使用することができ、特に限定されないが、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、黒鉛繊維、炭化珪素繊維、高強度ポリエチレン繊維、タングステンカーバイド繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維(PBO繊維)などが挙げられる。上記炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維などが挙げられる。中でも、機械物性(強靭性等)の観点で、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が好ましい。なお、上記強化繊維は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
なお、上記強化繊維は、カップリング処理、酸化処理、コーティング処理などの公知乃至慣用の表面処理が施されたものであってもよい。
上記強化繊維の形態は、特に限定されず、例えば、フィラメント(長繊維)の形態、トウの形態、トウを一方向に配列させた一方向材の形態、織物の形態、不織布の形態などが挙げられる。強化繊維の織物としては、例えば、平織、綾織、朱子織、若しくはノンクリンプファブリックに代表される繊維束を一方向に引き揃えたシートや角度を変えて積層したようなシートをほぐれないようにステッチしたステッチングシートなどが挙げられる。
本発明のプリプレグにおける強化繊維の含有量は、特に限定されず、適宜調整可能である。
本発明の水分散型樹脂組成物を強化繊維に含浸又は塗工して本発明のプリプレグを製造する方法は特に限定されず、公知乃至慣用のプリプレグの製造方法における含浸又は塗工の方法により実施することができる。具体的には、例えば、本発明の水分散型樹脂組成物に強化繊維を浸漬する方法、本発明の水分散型樹脂組成物が付着したローラに強化繊維を接触させる方法、本発明の水分散型樹脂組成物を霧状にして強化繊維に吹き付ける方法などの公知乃至慣用の方法が挙げられる。なお、本発明の水分散型樹脂組成物の塗布は、強化繊維の全面に対して行ってもよいし、一部の表面に対して行ってもよい。また、塗布厚みや塗布量、含浸させる量も適宜調整可能であり、特に限定されない。
本発明のプリプレグは、本発明の水分散型樹脂組成物を強化繊維に含浸又は塗工した後、必要に応じて、熱処理を行って得られるものであってもよい。上記熱処理の条件は、特に限定されないが、加熱温度は40〜300℃が好ましく、より好ましくは60〜250℃である。また、加熱時間は、加熱温度に応じて適宜調節可能であり、特に限定されないが、1秒〜60分が好ましく、より好ましくは5秒〜10分である。上記熱処理において、加熱温度は一定とすることもできるし、連続的又は段階的に変更することもできる。また、上記熱処理は一段階で連続的に行うものであってもよいし、二以上の段階に分けて断続的に行うものであってもよい。なお、上記熱処理は、例えば、エポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物の強化繊維への含浸を促進させるとともに、揮発分(水系媒体等)を乾燥除去するために実施される。上記熱処理は、公知乃至慣用の方法(例えば、熱風オーブンを使用した加熱など)により行うことができる。
本発明のプリプレグは、本発明の水分散型樹脂組成物を強化繊維に含浸又は塗工した後、さらに、熱可塑性樹脂や硬化性樹脂等の樹脂又はその前駆体(これらを「樹脂等」と総称する場合がある)などを塗布したものであってもよい。これにより、上記樹脂等の種類によっては本発明のプリプレグのタックが低減され、取り扱い性(ハンドリング性)がより向上する場合がある。上記塗布の方法は、特に限定されず、例えば、本発明の水分散型樹脂組成物を強化繊維に塗布する方法と同様にして実施することができる。なお、上記塗布は、プリプレグ(樹脂等を塗布していないもの)の全面に対して行ってもよいし、一部の表面に対して行ってもよい。また、塗布厚みや塗布量も適宜調整可能であり、特に限定されない。
上記樹脂等としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエンなど)、ビニル系重合体(例えば、アクリル樹脂、ポリスチレンなど)、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン61、ナイロン6T、ナイロン9Tなど)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトンなどの熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂、アリル樹脂(例えば、ジアリルフタレート樹脂など)、フェノール樹脂、ポリイミド、シアネート樹脂、マレイミド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂(硬化性化合物)[例えば、熱硬化性樹脂(熱硬化性化合物)、光硬化性樹脂(光硬化性化合物)など]などが挙げられる。なお、樹脂等は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
中でも、上記樹脂等として熱可塑性樹脂を使用したプリプレグ、即ち、熱可塑性プリプレグは、特に、硬化性プリプレグ(例えば、熱硬化性プリプレグ、光硬化性プリプレグなど)に比べて、短い時間で成形できるという利点を有する。このため、上記熱可塑性プリプレグは、成形時間の短縮が要求される用途(例えば、自動車部品用途など)に特に好ましく使用できる。
本発明のプリプレグにおける上記樹脂等の含有量(配合量)は、特に限定されないが、強化繊維を除くプリプレグの全量(100重量%)に対して、0.1〜99.9重量%が好ましく、より好ましくは1〜99重量%、さらに好ましくは2〜98重量%である。含有量を0.1重量%以上とすることにより、繊維強化複合材料の耐熱性や機械物性(強靭性等)がより向上する傾向がある。一方、含有量を99.9重量%以下とすることにより、繊維強化複合材料における樹脂と強化繊維の密着性がより向上する傾向がある。
本発明のプリプレグにおける本発明のエポキシ−アミン付加物の含有量(配合量)は、特に限定されないが、上記樹脂等100重量部に対して、0.1〜200重量部が好ましく、より好ましくは1〜100重量部、さらに好ましくは2〜50重量部である。本発明のエポキシ−アミン付加物の含有量を0.1重量部以上とすることにより、繊維強化複合材料における樹脂と強化繊維の密着性がより向上する傾向がある。一方、本発明のエポキシ−アミン付加物の含有量を200重量部以下とすることにより、繊維強化複合材料の耐熱性や機械物性(強靭性等)をより高いレベルで確保することができる傾向がある。
本発明のプリプレグは、その他、例えば、重合開始剤(熱重合開始剤、光重合開始剤等)、硬化剤、硬化促進剤、消泡剤、レベリング剤、カップリング剤(シランカップリング剤等)、界面活性剤、無機充填剤(シリカ、アルミナ等)、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、イオン吸着体、顔料、蛍光体、離型剤などの慣用の添加剤を含んでいてもよい。これら添加剤の量は特に限定されない。
なお、本発明のプリプレグが硬化性プリプレグである場合、該プリプレグは、加熱や活性エネルギー線照射などを行って硬化性樹脂の一部を硬化(即ち、半硬化)させたものであってもよい。
本発明のプリプレグより、繊維強化複合材料(「本発明の繊維強化複合材料」と称する場合がある)が形成される。より具体的には、例えば、本発明のプリプレグが熱可塑性プリプレグの場合には、該プリプレグを成形することにより、繊維強化複合材料が製造される。一方、例えば、本発明のプリプレグが硬化性プリプレグの場合には、該プリプレグ中の硬化性樹脂の硬化及び成形を行うことにより繊維強化複合材料が製造される。
[繊維強化複合材料]
本発明の繊維強化複合材料は、上述のように、本発明のプリプレグより形成され、その製造方法は特に限定されないが、公知乃至慣用の方法、例えば、ハンドレイアップ法、プリプレグ法、RTM法、プルトルージョン法、フィラメントワインディング法、スプレーアップ法、引抜成形法などによって製造できる。本発明の繊維強化複合材料は、樹脂と強化繊維との密着性に優れ、高い機械物性(特に、強靭性)を有する。
本発明の繊維強化複合材料は、各種の構造物の材料として使用することができ、特に限定されないが、例えば、航空機の胴体、主翼、尾翼、動翼、フェアリング、カウル、ドアなど;宇宙機のモーターケース、主翼など;人工衛星の構体;自動車のシャシーなどの自動車部品;鉄道車両の構体;自転車の構体;船舶の構体;風力発電のブレード;圧力容器;釣り竿;テニスラケット;ゴルフシャフト;ロボットアーム;ケーブル(例えば、ケーブルの芯材など)などの構造物の材料として好ましく使用することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
製造例1
[エポキシ−アミン付加物(アミンアダクトD230)の製造]
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート(商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製)30.0重量部、及びアミン末端ポリプロピレングリコール(商品名「JEFFAMINE D−230」、HUNTSMAN社製)35.9重量部を混合し、その後、160℃で2時間攪拌しながら反応させることにより、エポキシ−アミン付加物(「アミンアダクトD230」と称する場合がある)を製造した。
図3には、得られたエポキシ−アミン付加物の1H−NMRスペクトルのチャートを示す。
製造例2
[エポキシ−アミン付加物(アミンアダクトIPD)の製造]
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート(商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製)30.0重量部、アミン末端ポリプロピレングリコール(商品名「JEFFAMINE D−230」、HUNTSMAN社製)18.0重量部、及びイソホロンジアミン(商品名「VESTAMIN IPD」、EVONIK社製)18.0重量部を混合し、その後、160℃で2時間攪拌しながら反応させることにより、エポキシ−アミン付加物(「アミンアダクトIPD」と称する場合がある)を製造した。
実施例1
製造例1で得たエポキシ−アミン付加物70重量部に対して、商品名「NEWCOL170」(界面活性剤、日本乳化剤(株)製、有効成分:100重量%)30重量部を仕込み、溶解させた。次いで、攪拌混合下でイオン交換水300重量部を約10分間かけて滴下し、滴下終了後にホモミキサーを用いて10000rpmで1分間強制乳化させ、エポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物を得た。さらに、水分散型樹脂組成物に含まれる有機溶剤を減圧で除去し、固形分重量15%、粘度30mPa・s、pH9.2の、目的のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物(エポキシ−アミン付加物の水分散液)を得た。
実施例2
製造例2で得たエポキシ−アミン付加物70重量部に対して、商品名「NEWCOL780SF」(界面活性剤、日本乳化剤(株)製、有効成分30重量%)100重量部を仕込み、溶解させた。次いで、攪拌混合下でイオン交換水300重量部を約10分間かけて滴下し、滴下終了後にホモミキサーを用いて10000rpmで1時間強制乳化させ、エポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物を得た。さらに、水分散型樹脂組成物に含まれる有機溶剤を減圧で除去し、固形分重量14%、粘度10mPa・s、pH9.0の、目的のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物(エポキシ−アミン付加物の水分散液)を得た。
比較例1
エポキシ−アミン付加物(アミンアダクトD230)の代わりに脂環式エポキシ樹脂(商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製)を使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、脂環式エポキシ樹脂を水中で安定的に分散させることができず、水分散型樹脂組成物を得ることはできなかった。
比較例2
エポキシ−アミン付加物(アミンアダクトIPD)の代わりに脂環式エポキシ樹脂(商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製)を使用したこと以外は実施例2と同様の操作を行った。その結果、脂環式エポキシ樹脂を水中で安定的に分散させることができず、水分散型樹脂組成物を得ることはできなかった。
[評価試験]
実施例で得られた水分散型樹脂組成物を不揮発分が約2重量%となるように水で希釈し、サイジング剤を得た。このサイジング剤を浸漬法により、あらかじめアセトンで除去処理した炭素繊維に塗布した後、210℃の温度で90秒間熱処理をした。続いて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「エポトートYD128」、新日鐵化学(株)製)に浸漬した後、取り出して、100℃で30分間処理したところ、タックのない炭素繊維束(プリプレグ)が得られた。
本発明のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物は上記エポキシ−アミン付加物を含むため、強化繊維の表面に存在する水酸基、カルボキシル基、エポキシ基などの官能基に対する反応性が高く、繊維強化複合材料における樹脂と強化繊維の密着性を効果的に向上させることができる。特に、本発明のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物は、どのようなマトリックス樹脂を使用した場合でも、広く該樹脂の強化繊維に対する良好な密着性を発現させることができる点で、非常に有用である。また、水分散型樹脂組成物の形態をとっているため、強化樹脂への含浸や塗工を容易に行うことができる。さらに、本発明のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物は、有機溶剤を含まないか又はその含有量が少ない水分散型樹脂組成物(水分散液)とすることにより、作業環境を選ぶことなく使用でき、また環境保護の面でも有利となる。このため、本発明のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物を用いると、優れた生産性で、樹脂と強化繊維の密着性に優れた繊維強化複合材料を形成できるプリプレグが得られ、また、上記プリプレグにより、樹脂と強化繊維の密着性に優れ、高い機械物性(特に、強靭性)を有する繊維強化複合材料が得られる。

Claims (6)

  1. 下記式(I)
    Figure 0005646123
    [式(I)中、R1は、同一又は異なって、式中に示される窒素原子との結合部位に炭素原子を有する二価の有機基を示す。Xは単結合、又は1以上の原子を有する二価の基を示す。qは1以上の整数を示す。]
    で表されるエポキシ−アミン付加物と界面活性剤とを含み、前記エポキシ−アミン付加物が水系媒体中に分散していることを特徴とするエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物。
  2. 前記界面活性剤が、アニオン系界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも一種の界面活性剤である請求項1に記載のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物。
  3. 下記式(I)
    Figure 0005646123
    [式(I)中、R1は、同一又は異なって、式中に示される窒素原子との結合部位に炭素原子を有する二価の有機基を示す。Xは単結合、又は1以上の原子を有する二価の基を示す。qは1以上の整数を示す。]
    で表されるエポキシ−アミン付加物と界面活性剤とを含み、前記エポキシーアミン付加物が水系媒体中に分散しているエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物を製造する方法であって、
    前記エポキシ−アミン付加物と、界面活性剤と、水系媒体とを混合することを特徴とするエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記界面活性剤が、アニオン系界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも一種の界面活性剤である請求項3に記載のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物の製造方法。
  5. 請求項1又は2に記載のエポキシ−アミン付加物水分散型樹脂組成物を強化繊維に含浸又は塗工して得られるプリプレグ。
  6. 請求項5に記載のプリプレグより形成される繊維強化複合材料。
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