従来の固定子(10)では、上記3つの接続部(61,62,63)は、固定子コア(30)の周方向においてそれぞれ異なる位置に設けられている。そのため、各接続部(61,62,63)から引き出し部(80)に至る引き出し線(71,72,73)の引き回し距離は各相によって異なり、3相の間で引き回し部分の抵抗値にばらつきが生じてしまう。このように、引き回し部分の抵抗値にばらつきが生じると、電流の値がばらついたり3相駆動による回転子の回転が不安定になって、振動や騒音が発生したり、固定子や駆動回路の一部が発熱して焼損したりするという問題があった。
また、高速の電動機は、一般的に低速の電動機に比べてコイルの巻数が少ない。そのため、高速の電動機では、コイルの抵抗値のばらつきより上記引き回し部分の抵抗値のばらつきの影響を大きく受ける場合が多い。また、大型の電動機は、一般的に小型の電動機に比べてコイルの巻数が少ない。そのため、大型の電動機では、高速の電動機と同様に、コイルの抵抗値のばらつきより上記引き回し部分の抵抗値のばらつきの影響を大きく受ける場合が多い。そのため、特に、高速または大型の電動機では、上記引き回し部分の抵抗値にばらつきが生じると、その影響を大きく受けて上記問題が発生しやすくなる。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、引き出し線の抵抗値のばらつきを抑制し、安定した3相駆動が可能な信頼性の高い固定子及び電動機を提供することである。
第1の発明は、略円筒状に形成され、複数のティース(34)が周方向に配列された固定子コア(30)と、上記ティース(34)に巻装された3相の巻線部(41,42,43)と、上記固定子コア(30)の一端面の周方向に設けられ、上記各相の巻線部(41,42,43)の一端が個別に接続された3つの接続部(61,62,63)と、上記各接続部(61,62,63)から上記固定子コア(30)の外周部に位置する1つの引き出し部(80)まで、上記固定子コア(30)の周方向に引き回された複数の引き出し線(71,72,73)とを備えた固定子を前提としている。そして、第1の発明は、上記接続部(61,62,63)から上記引き出し部(80)に至る引き回し距離が最も長くなる接続部(63)の引き出し線(73)は、他の接続部(61,62)の引き出し線(71,72)よりも本数が多いものである。そして、第1の発明では、上記引き回し距離が最も長くなる接続部の引き出し線は、上記固定子コア(30)の周方向の一方と他方とに分かれて引き回されている。
上記第1の発明では、引き出し線(71,72,73)が各相の接続部(61,62,63)から引き出し部(80)まで固定子コア(30)の周方向に引き回されている。3相の接続部(61,62,63)は、固定子コア(30)の周方向に個別に設けられている。そのため、引き出し線(71,72,73)の引き回し距離は、各相によって異なる。よって、その引き回し部分の抵抗値も各相によって異なり、引き回し部分の抵抗値にばらつきが生じてしまう。上記引き回し部分の抵抗値は、引き回し距離に比例するため、通常では、引き回し距離が最も長い引き出し線(73)の引き回し部分の抵抗値が最も高くなる。しかし、本発明では、その引き回し距離が最も長い引き出し線(73)が、他の引き出し線(71,72)よりも多く設けられている。このように引き出し線の本数を多くすると、引き出し線の導体の総断面積が大きくなる。引き回し部分の抵抗値は、引き出し線の断面積に反比例する。そのため、引き回し距離が最も長い引き出し線(73)を多く設けることで、その引き回し部分の抵抗値を小さくすることができ、引き回し部分の抵抗値の相間ばらつきを低減することができる。更に、上記第1の発明では、引き回し距離が最も長くなる接続部の引き出し線を分けて引き回すことによって、固定子コア(30)の外周部でまとめて引き回しされる複数の引き出し線の線束ができるだけ太くならないようにすることができる。
第2の発明は、略円筒状に形成され、複数のティース(34)が周方向に配列された固定子コア(30)と、上記ティース(34)に巻装される複数のコイル(41a〜41f,42a〜42f,43a〜43f)によって各相が構成された3相の巻線部(41,42,43)と、上記固定子コア(30)の一端面の周方向に設けられ、上記各コイル(41a〜41f,42a〜42f,43a〜43f)の一端が個別に接続された複数の接続部(61a〜61c,62a〜62c,63a〜63c)と、上記各接続部(61a〜61c,62a〜62c,63a〜63c)から上記固定子コアの外周部に位置する1つの引き出し部(80)まで、上記固定子コア(30)の周方向に引き回された複数の引き出し線(71a〜71c,72a〜72c,73a〜73c)とを備えた固定子を前提としている。そして、第2の発明は、3相のうち少なくとも1つの相において、上記接続部(61a〜61c,62a〜62c,63a〜63c)から上記引き出し部(80)に至る引き回し距離が最も長くなる接続部(61c,62c,63c)の引き出し線(71c,72c,73c)は、他の接続部(61a,61b,62a,62b,63a,63b)の引き出し線(71a,71b,72a,72b,73a,73b)よりも本数が多いものである。
上記第2の発明では、各相の巻線部(41,42,43)は、複数のコイル(41a〜41f,42a〜42f,43a〜43f)によって構成されている。そして、各相の複数のコイル(41a〜41f,42a〜42f,43a〜43f)に対して、接続部(61a〜61c,62a〜62c,63a〜63c)が固定子コア(30)の周方向に個別に設けられている。各相において、各接続部(61a〜61c,62a〜62c,63a〜63c)から引き出し部(80)に至る引き回し距離は、それぞれ異なっている。そのため、引き出し線(71a〜71c,72a〜72c,73a〜73c)の引き回し部分の抵抗値もそれぞれ異なり、各相における引き回し部分の抵抗値にばらつきが生じてしまう。引き回し部分の抵抗値は、引き回し距離に比例するため、通常では、各相内で引き回し距離が最も長い引き出し線(71c,72c,73c)の引き回し部分の抵抗値が最も高くなる。しかし、本発明では、3相のうち少なくとも1つの相において、引き回し距離の最も長い引き出し線(71c,72c,73c)が、他の引き出し線(71a,71b,72a,72b,73a,73b)よりも多く設けられている。このように引き出し線の本数を多くすると、引き出し線の導体の総断面積が大きくなる。引き回し部分の抵抗値は、引き出し線の断面積に反比例する。そのため、引き回し距離の最も長い引き出し線(71c,72c,73c)を多く設けることで、その引き回し部分の抵抗値を小さくすることができ、各相の相内における引き回し部分の抵抗値ばらつきを低減することができる。
第3の発明は、略円筒状に形成され、複数のティース(34)が周方向に配列された固定子コア(30)と、上記ティース(34)に巻装された3相の巻線部(41,42,43)と、上記固定子コア(30)の一端面の周方向に設けられ、上記各相の巻線部(41,42,43)の一端が個別に接続された3つの接続部(61,62,63)と、上記各接続部(61,62,63)から上記固定子コア(30)の外周部に位置する1つの引き出し部(80)まで、上記固定子コア(30)の周方向に引き回された複数の引き出し線(71,72,73)とを備えた固定子を前提としている。そして、上記接続部(61,62,63)から上記引き出し部(80)に至る引き回し距離が最も長くなる接続部(63)の引き出し線(73)は、他の接続部(61,62)の引き出し線(71,72)よりも本数が多いものである。そして、上記3つの接続部(61,62,63)は、上記固定子コア(30)の周方向に互いに等間隔に配置され、上記引き回し距離が最も長くなる接続部(63)は、上記固定子コア(30)の軸心を挟んで上記引き出し部(80)の反対側に設けられるものである。
上記第3の発明では、引き出し線(71,72,73)が各相の接続部(61,62,63)から引き出し部(80)まで固定子コア(30)の周方向に引き回されている。3相の接続部(61,62,63)は、固定子コア(30)の周方向に個別に設けられている。そのため、引き出し線(71,72,73)の引き回し距離は、各相によって異なる。よって、その引き回し部分の抵抗値も各相によって異なり、引き回し部分の抵抗値にばらつきが生じてしまう。上記引き回し部分の抵抗値は、引き回し距離に比例するため、通常では、引き回し距離が最も長い引き出し線(73)の引き回し部分の抵抗値が最も高くなる。しかし、本発明では、その引き回し距離が最も長い引き出し線(73)が、他の引き出し線(71,72)よりも多く設けられている。このように引き出し線の本数を多くすると、引き出し線の導体の総断面積が大きくなる。引き回し部分の抵抗値は、引き出し線の断面積に反比例する。そのため、引き回し距離が最も長い引き出し線(73)を多く設けることで、その引き回し部分の抵抗値を小さくすることができ、引き回し部分の抵抗値の相間ばらつきを低減することができる。更に、、3つの接続部(61,62,63)のうち、引き回し距離が最も長くなる接続部(63)以外の2つの接続部(61,62)の引き回し距離は等しくなる。そのため、引き回し距離が最も長くなる引き出し線(63)を変更するだけで、引き回し部分の抵抗値の相間ばらつきを低減することができる。
第4の発明は、上記第2の発明において、上記引き回し距離が最も長くなる接続部の引き出し線は、上記固定子コア(30)の周方向の一方と他方とに分かれて引き回されているものである。
上記第4の発明では、引き回し距離が最も長くなる接続部の引き出し線を分けて引き回すことによって、固定子コア(30)の外周部でまとめて引き回しされる複数の引き出し線の線束ができるだけ太くならないようにすることができる。
第5の発明は、上記第1、第2または第4の何れか1項の発明において、上記引き回し距離が最も長くなる接続部の引き出し線は、他の引き出し線よりも断面積が大きいものである。
引き回し部分の抵抗値は、引き回し距離に比例する。そのため、引き回し部分の抵抗値において、通常、引き回し距離が最も長い引き出し線が最も高くなる。しかし、ここでは、その引き回し距離が最も長い引き出し線が、他の引き出し線よりも断面積が大きく設けられている。引き回し部分の抵抗値は、引き出し線の断面積に反比例する。そのため、引き回し距離が最も長い引き出し線の引き回し部分の抵抗値を小さくすることができ、引き回し部分の抵抗値ばらつきを低減することができる。
第6の発明は、上記第2の発明において、上記接続部(61a〜61c,62a〜62c,63a〜63c)は、各相に3つずつ上記固定子コア(30)の周方向に互いに等間隔に配置され、上記引き回し距離が最も長くなる接続部(61c,62c,63c)は、上記固定子コア(30)の軸心を挟んで上記引き出し部(80)の反対側に設けられるものである。
上記第6の発明では、引き回し距離が最も長くなる接続部(61c)を有する相において、3つの接続部(61a,61b,61c)のうち、引き回し距離が最も長くなる接続部(61c)以外の2つの接続部(61a,61b)の引き回し距離は等しくなる。そのため、引き回し距離が最も長くなる引き出し線(61bc)を変更するだけで、引き回し部分の抵抗値の相内のばらつきを低減することができる。
第7の発明は、上記第1乃至第6の何れか1項に記載の固定子と、上記固定子の内周側に回転可能に装着され、永久磁石(22)を有する回転子(20)とを備える電動機である。
上記第7の発明では、複数の引き出し線の引き回し部分の抵抗値ばらつきが低減された固定子が電動機に備えられている。上記引き回し部分の抵抗値ばらつきが低減されると、各巻線部からバランス良く磁束が発生する。
本発明によれば、各接続部(61,62,63)から引き出し部(80)に至る引き回し距離が最も長くなる接続部(63)の引き出し線(73)の本数を、他の接続部(61,62)の引き出し線(71,72)の本数よりも多くした。これにより、引き回し距離が最も長い引き出し線(73)の引き回し部分の抵抗値を低くすることができ、3相の引き回し部分の抵抗値のばらつきを低減することができる。これにより、回転駆動が不安定になったり、流れる電流がばらついたりして発生する振動や騒音を抑制することができる。更に、本発明によれば、引き回し距離が最も長くなる接続部の引き出し線を固定子コア(30)の周方向の一方と他方とに分けて引き回しするようにした。このように、上記引き出し線を分けて引き回すことによって、固定子コア(30)の外周部で引き回しされる複数の引き出し線の線束ができるだけ太くならないようにすることができる。つまり、各引き出し線が配線スペースを小さくすることができ、これにより、電動機を小型化することができる。
第2の発明によれば、3相のうち少なくとも1つの相において、各接続部(61a〜61c,62a〜62c,63a〜63c)から引き出し部(80)に至る引き回し距離が最も長くなる接続部(61c,62c,63c)の引き出し線(71c,72c,73c)の本数を、他の接続部(61a,61b,62a,62b,63a,63b)の引き出し線(71a,71b,72a,72b,73a,73b)の本数よりも多くした。これにより、引き回し距離が最も長い引き出し線(71c,72c,73c)の引き回し部分の抵抗値を低くすることができ、少なくとも1つの相において、相内の引き回し部分の抵抗値のばらつきを低減することができる。また、少なくとも1つの相において、相内の引き回し部分の抵抗値のばらつきが低減されると、3相駆動の不安定要素を軽減して回転を安定化させることができ、回転が不安定になることや流れる電流のばらつきでもたらされる振動や騒音を抑制することができる。
第3の発明によれば、各接続部(61,62,63)から引き出し部(80)に至る引き回し距離が最も長くなる接続部(63)の引き出し線(73)の本数を、他の接続部(61,62)の引き出し線(71,72)の本数よりも多くした。これにより、引き回し距離が最も長い引き出し線(73)の引き回し部分の抵抗値を低くすることができ、3相の引き回し部分の抵抗値のばらつきを低減することができる。これにより、回転駆動が不安定になったり、流れる電流がばらついたりして発生する振動や騒音を抑制することができる。更に、3つの接続部(61,62,63)は、固定子コア(30)の周方向に互いに等間隔に配置され、引き回し距離が最も長くなる接続部(63)は、固定子コア(30)の軸心を挟んで上記引き出し部(80)の反対側に設けられるようにした。そのため、引き回し距離が最も長くなる引き出し線(63)を変更するだけで、引き回し部分の抵抗値の相間ばらつきを低減することができ、回転駆動の安定化と流れる電流ばらつきの低減を容易に行うことができる。
第4の発明によれば、引き回し距離が最も長くなる接続部の引き出し線を固定子コア(30)の周方向の一方と他方とに分けて引き回しするようにした。このように、上記引き出し線を分けて引き回すことによって、固定子コア(30)の外周部で引き回しされる複数の引き出し線の線束ができるだけ太くならないようにすることができる。つまり、各引き出し線が配線スペースを小さくすることができ、これにより、電動機を小型化することができる。
第5の発明によれば、引き回し距離が最も長くなる接続部の引き出し線は、他の引き出し線よりも断面積が大きくなるようにした。そのため、引き回し距離が最も長い引き出し線の引き回し部分の抵抗値を一層小さくすることができ、引き回し部分の抵抗値ばらつきを低減することができ、3相による回転駆動を更に安定化し、流れる電流のばらつきを低減することができる。
第6の発明によれば、上記第2の発明において、接続部(61a〜61c,62a〜62c,63a〜63c)は、各相に3つずつ固定子コア(30)の周方向に互いに等間隔に配置され、引き回し距離が最も長くなる接続部は、上記固定子コア(30)の軸心を挟んで上記引き出し部(80)の反対側に設けられるようにした。そのため、引き回し距離が最も長くなる引き出し線(61c)を変更するだけで、引き回し部分の抵抗値の相内のばらつきを低減することができ、回転駆動の安定化と流れる電流ばらつきの低減を容易に行うことができる。
第7の発明によれば、永久磁石(22)を有する回転子(20)を備えた電動機に、上記第1乃至第6の何れか1項に記載の固定子を設けるようにした。これにより、引き出し線の引き回し部分の抵抗値ばらつきが原因で発生する振動や騒音等の不安定な回転を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態及び変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、或いはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
〈発明の実施形態1〉
本発明の実施形態1に係る電動機(1)は、圧縮機等を駆動するものである。
電動機(1)は、図1に示すように、回転子(20)と、この回転子(20)の径方向外側に隙間を介して配置される固定子(10)とを有している。
上記回転子(20)は、コア(21)と永久磁石(22)とを有している。コア(21)は、外形が略円柱状に形成され、その中心部において軸方向に貫通孔(23)が形成されている。貫通孔(23)には、回転力を伝達するための回転軸(25)が挿入され、その回転軸(25)はコア(21)に対して同軸に固定されている。回転子(20)は、回転軸(25)と共に回転する。つまり、回転子(20)は、固定子(10)に回転可能に装着されている。また、コア(21)の外周部において、互いに等間隔に配置され、軸方向に貫く複数の永久磁石埋設用の穴が設けられている。各永久磁石埋設用の穴には、板状の永久磁石(22)が埋設されている。図1では、永久磁石(22)は6個設けて、極数が6である場合を例示している。
上記固定子(10)は、図2に示すように、固定子コア(30)と該固定子コア(30)に巻装される3相の巻線部(41,42,43)とを備えている。
上記固定子コア(30)は、外形が略円筒状に形成され、コア本体(32)と巻線部(41,42,43)との間に設けられる絶縁紙(図示省略)とを有している。
上記コア本体(32)は、金属材料からなる複数の薄板が互いに積層されるとともに、溶接などによって互いに接合されることによって形成されている。コア本体(32)には、径方向内側に向けて突出し、周方向に配列された複数のティース(34)が形成されている。各ティース(34)は、略同一の形状で形成されている。互いに隣接するティース(34)の間には、スロット(35)が形成されている。
上記絶縁紙は、ポリエチレンテレフタレート等の絶縁体で形成され、前記スロット(35)の内周面に沿うように配置されている。
上記巻線部(41,42,43)は、絶縁紙が配置された複数個のスロット(35)内に挿入され巻装されている。巻線部(41,42,43)は、U相巻線部(41)、V相巻線部(42)及びW相巻線部(43)を有し、各相の巻線部(41,42,43)は、第1コイル(41a,42a,43a)から第6コイル(41f,42f,43f)によって構成されている。U相の巻線部(41)に対して、V相の巻線部(42)は反時計回りに40度回転させて配置され、W相の巻線部(43)は反時計回りに80度回転させて配置されている。つまり、電動機が反時計回りに回転するように巻線部(41,42,43)は配置されている。各相において第1コイル(41a,42a,43a)、第2コイル(41b,42b,43b)、第3コイル(41c,42c,43c)は、120度間隔で反時計回りに配置され、第4コイル(41d,42d,43d)は第1コイルに、第5コイル(41e,42e,43e)は第2コイル(41b,42b,43b)に、第6コイル(41f,42f,43f)は第3コイル(41c,42c,43c)にそれぞれ対向配置されている。図3に示すように、U相は、第1コイル(41a)、第6コイル(41f)、第2コイル(41b)、第4コイル(41d)、第3コイル(41c)、第5コイル(41e)の順に直列に接続されている。V相は、第2コイル(42b)、第4コイル(42d)、第3コイル(42c)、第5コイル(42e)、第1コイル(42a)、第6コイル(42f)の順に直列に接続されている。W相は、第3コイル(43c)、第5コイル(43e)、第1コイル(43a)、第6コイル(43f)、第2コイル(43b)、第4コイル(43d)の順に直列に接続されている。このように、各相の巻線部(41,42,43)は、ティース(34)の周方向に均等に配置されている。尚、各巻線部(41,42,43)のコイルの個数や接続方法はこれに限らず、電動機の回転方向も反時計回りに限らない。
上記固定子コア(30)の一端面には、各相の巻線部(41,42,43)のコイル(41a,42b,43c)の一端を個別に接続する接続部(61,62,63)が設けられている。各接続部(61,62,63)には、給電するための引き出し線(71,72,73)が接続されている。各相の引き出し線(71,72,73)には、導体の断面積が22mm2の電線が使用されている。また、接続部(61,62,63)は、コイル(41a,42b,43c)の一端と引き出し線(71,72,73)とが、例えば、半田接続、かしめ接続、圧着接続等によって接続された部分であって、その接続形態が如何なる構成であっても構わない。
上記引き出し線(71,72,73)は、各相の接続部(61,62,63)から固定子コア(30)の外周部に位置する1つの引き出し部(80)まで、固定子コア(30)の周方向に引き回されている。そして、各相の引き出し線(71,72,73)は、その引き出し部(80)でまとめられ外方へ引き出されている。
上記3相の接続部(61,62,63)は、各相の巻線部(41,42,43)のコイル端の長さが等しくなるように設けられている。具体的に、上記引き出し部(80)に対して、U相の接続部(61)は時計回りに100度回転させた位置に設けられ、V相の接続部(62)は反時計回りに60度回転させた位置に設けられ、W相の接続部(63)は反時計回りに190度回転させた位置に設けられている。このように、各相の巻線部(41,42,43)のコイル端の長さが等しくすることによって、3相の巻線部(41,42,43)の抵抗値がばらつくのを抑制できる。しかし、各接続部(61,62,63)から引き出し部(80)に至る引き回し距離において、W相の引き回し距離は他の相の引き回し距離よりも長くなる。引き出し線(71,72,73)の引き回し部分の抵抗値は、引き回し距離に比例する。そのため、通常では、W相の引き回し部分の抵抗値は、他の相の引き回し部分の抵抗値よりも高くなってしまう。
そこで、本実施形態では、U相の接続部(61)及びV相の接続部(62)には引き出し線(71,72)が1本ずつ接続され、W相の接続部(63)には引き出し線(73)が2本接続されている。引き出し線の本数を多くすると、引き出し線の導体の総断面積が大きくなる。また、引き回し部分の抵抗値は、引き出し線の断面積に反比例する。そのため、W相の引き出し線(73)の本数を他の引き出し線(71,72)よりも多くすることによって、W相の引き回し部分の抵抗値だけを低くすることができ、3相の引き回し部分の抵抗値のばらつきを抑制することができる。これにより、電流の値がばらついたり回転駆動が不安定になったりして、発生する振動や騒音を抑制することができる。
また、本実施形態では、W相の2本の引き出し線(73)のうち、一方がU相の接続部(61)側に引き回しされ、もう一方がV相の接続部(62)側に引き回しされている。つまり、引き回し距離が最も長くなる接続部(63)の引き出し線(73)は、固定子コア(30)の周方向の一方と他方とに分かれて引き回されている。そして、U相の接続部(61)側では、U相の引き出し線(71)とW相の引き出し線(73)の1本とがまとめられて引き回しされ、V相の接続部(62)側では、V相の引き出し線(72)とW相の引き出し線(73)の1本とがまとめられて引き回しされている。このように、W相の引き出し線(73)を分けて引き回すことによって、固定子コア(30)の外周部でまとめて引き回しされる複数の引き出し線(71,72,73)の線束ができるだけ太くならないようにすることができる。つまり、引き出し線(71,72,73)の配線スペースを小さくすることができ、これにより、電動機を小型化することができる。本実施形態では、W相の2本の引き出し線(73)は、一方がU相の接続部(61)側の周方向に、他方がV相の接続部(62)側の周方向にそれぞれ延びるように、接続部(63)に接続されている。しかし、W相の引き出し線(73)の接続形態はこれに限らず、例えば、2本が同一方向に向くように接続されても構わない。
また、本実施形態では、W相の引き出し線(73)が2本設けられているが、他の相の引き出し線(71,72)よりも多く設けられていれば何本でも構わない。また、本実施形態では、各相の引き出し線(71,72,73)の導体の断面積は22mm2であるが、これに限らない。
−実施形態1の効果−
実施形態1では、各接続部(61,62,63)から引き出し部(80)に至る引き回し距離が最も長いW相の引き出し線(73)の本数を2本にして、他の接続部(61,62)の引き出し線(71,72)の本数よりも多くした。これにより、W相の引き出し線(73)の引き回し部分の抵抗値を低くすることができ、3相の引き回し部分の抵抗値ばらつきを抑制することができる。これにより、回転駆動が不安定なったり、流れる電流がばらついたりして発生する振動や騒音を抑制することができる。
また、実施形態1では、W相の接続部(63)の2本の引き出し線(73)を固定子コア(30)の周方向の一方と他方とに分けて引き回しするようにした。そのため、W相の引き出し線(73)を2本にしても、固定子コア(30)の外周部でまとめて引き回しされる複数の引き出し線(71,72,73)の線束ができるだけ太くならないようにすることができる。つまり、引き出し線(71,72,73)の配線スペースを小さくすることができ、固定子(10)ひいては電動機(1)を小型化することができる。
〈実施形態1の変形例1〉
上記実施形態1では、各相の引き出し線(71,72,73)は、導体の断面積が同じであったが、本変形例では、W相の2本の引き出し線(73)の導体の断面積を、U相及びV相の引き出し線(71,72)の導体の断面積よりも大きくしている。つまり、引き回し距離が最も長い引き出し線(73)の断面積を、他の引き出し線(71,72)の断面積よりも大きくしている。具体的には、W相の2本の引き出し線(73)の導体の断面積を22mm2とし、U相及びW相の引き出し線(71,72)の導体の断面積を14mm2としている。引き回し部分の抵抗値は、導体の断面積に反比例する。そのため、引き回し距離が最も長いV相の引き出し線(73)の断面積を大きくすることによって、W相の引き回し部分の抵抗値だけを更に小さくすることができ、引き回し部分の抵抗値の相間ばらつきを一層低減することができる。
また、本変形例では、U相の接続部(61)側では、U相の引き出し線(71)とW相の引き出し線(73)の1本とがまとめて引き回しされている。同様に、V相の接続部(62)側では、V相の引き出し線(72)とW相の引き出し線(73)の1本とがまとめて引き回しされている。このように、U相の接続部(61)側及びV相の接続部(62)側では、14mm2の引き出し線(71,72)と22mm2の引き出し線(73)とがまとめられた線束が形成されている。上記線束は、実施形態1の線束に比べて細い。そのため、引き出し線(71,72,73)の配線スペースを小さくすることができる。また、線束の取り回しが行い易くなり、例えば、電源側の端子台に接続しやすくなる。尚、本変形例では、引き出し線(71,72,73)の本数及び導体の断面積については、これに限らない。また、その他の構成、作用及び効果は、実施形態1と同様である。
〈実施形態1の変形例2〉
上記実施形態1の変形例1では、W相の2本の引き出し線(73)の導体の断面積を22mm2とし、U相及びV相の引き出し線(71,72)の導体の断面積を14mm2としたが、本変形例では、W相の2本の引き出し線(73)の導体の断面積を14mm2とし、U相及びV相の引き出し線(71,72)の導体の断面積を22mm2としている。このように引き出し線(71,72,73)の導体の断面積を変更すると、引き回し部分の抵抗値の相間ばらつきは、変形例1ほど低減はできないが、従来よりも低減することができる。また、変形例1と同様に、上記線束が実施形態1に比べて細くなるため、引き出し線(71,72,73)の配線スペースを小さくすることができ、線束の取り回しが行い易くなる。尚、本変形例では、引き出し線(71,72,73)の本数及び導体の断面積については、これに限らない。また、その他の構成、作用及び効果は、実施形態1と同様である。
〈実施形態1の変形例3〉
本変形例は、上記実施形態1の各相の接続部(61,62,63)の配置を変更したものである。上記実施形態1では、各相の接続部(61,62,63)は、各相の巻線部(41,42,43)のコイル端の長さが等しくなるように配置されていた。これに対し、本変形例では、各相の接続部(61,62,63)を固定子コア(30)の周方向に互いに等間隔に配置するようにした。具体的には、図4に示すように、W相の接続部(63)は、固定子コア(30)の軸心を挟んで引き出し部(80)の反対側に設けられている。一方、U相の接続部(61)は、固定子コア(30)の一方の周方向に、V相の接続部(62)は、U相の接続部(61)とは反対の周方向に、それぞれ引き出し部(80)から60度の位置に設けられている。このように、各接続部(61,62,63)が等間隔に配置されると、U相及びW相の引き回し距離を同じにすることができる。つまり、W相の引き出し線(73)の本数を多くするだけで、引き回し部分の抵抗値の相間ばらつきをなくすことができる。尚、本変形例では、各相の巻線部(41,42,43)のコイル端の長さが等しくなるように、W相の第2コイル(43b)の端部が固定子コア(30)の周方向に折り返されてW相の接続部(63)に接続されている。そして、各相の巻線部(41,42,43)のコイル(41a〜41f,42a〜42f,43a〜43f)は、図5のように接続されている。また、その他の構成、作用及び効果は、実施形態1と同様である。
〈発明の実施形態2〉
次に、本発明の実施形態2を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態は、上記実施形態1において、各相の接続部の数を変更したものである。つまり、上記実施形態1では、各相に1つずつ接続部(61,62,63)が設けられていたが、本実施形態では、図6に示すように、各相に3つずつ接続部(61a〜61c,62a〜62c,63a〜63c)を設けるようにした。
具体的に、U相巻線部(41)は、同じ巻回方法で形成された第1から第6のコイル(41a,41b,41c,41d,41e,41f)によって構成されている。図7に示すように、第1から第3のコイル(41a,41b,41c)には、それぞれ第4から第6のコイル(41d,41e,41f)が直列に接続される。そして、その第4から第6のコイル(41d,41e,41f)の一端は、V相及びW相の第4から第6のコイル(42d,43d,42e,43e,42f,43f)の一端にそれぞれ接続され、中性点が形成される。第1から第3の各コイル(41a,41b,41c)は、ティース(34)の周方向に互いに120度離れて配置され、第4コイルから第6コイル(41d,41e,41f)は、それぞれ第1から第3の各コイル(41a,41b,41c)に対向配置されている。つまり、U相の各コイル(41a,41b,41c,41d,41e,41f)は、ティース(34)の周方向に均等に配置されている。
上記固定子コア(30)の一端面、には、U相の第1から第3のコイル(41a,41b,41c)の一端を個別に接続する第1から第3の接続部(61a,61b,61c)が設けられている。各接続部(61a,61b,61c)には、給電するための第1から第3の引き出し線(71a,71b,71c)が個別に接続されている。第1から第3の引き出し線(71a,71b,71c)には、導体の断面積が22mm2の電線が使用されている。各接続部(61a,61b,61c)では、U相の第1から第3のコイル(41a,41b,41c)の一端と各引き出し線(71a,71b,71c)とが、例えば、半田接続、かしめ接続、圧着接続等によって個別に接続されており、その接続形態が如何なる構成でも構わない。
U相の引き出し線(71a,71b,71c)は、各接続部(61a,61b,61c)から固定子コア(30)の外周部に位置する1つの引き出し部(80)まで、固定子コア(30)の周方向に引き回されている。そして、引き出し部(80)で、各引き出し線(71a,71b,71c)は外方へ引き出されている。
U相の各接続部(61a,61b,61c)のうち、第3接続部(61c)は、固定子コア(30)の軸心を挟んで引き出し部(80)の略反対側に設けられている。一方、第1接続部(61a)は、固定子コア(30)の一方の周方向に、第2接続部(61b)は、第1接続部(61a)とは反対の周方向に、各接続部(61a,61b,61c)が、固定子コア(30)の周方向に等間隔になるように配置されている。このようにU相の各接続部(61a,61b,61c)が等間隔に配置されると、第1から第3コイル(41a,41b,41c)と対応する接続部(61a,61b,61c)との間の距離が等しくなるため、各コイル(41a,41b,41c)の抵抗値がばらつくのを抑制することができる。しかし、各接続部(61a,61b,61c)から引き出し部(80)に至る引き回し距離において、第3引き出し線(71c)が他の引き出し線(71a,71b)よりも長くなる。引き出し線の引き回し部分の抵抗値は、引き回し距離に比例する。そのため、第3引き出し線(71c)の引き回し部分の抵抗値は、他の引き出し線(71a,71b)の引き回し部分の抵抗値よりも高くなってしまう。
そこで、本実施形態では、第1引き出し線(71a)及び第2引き出し線(71b)は1本ずつ設けられ、第3引き出し線(71c)は2本設けられている。引き出し線の本数を多くすると、引き出し線の導体の総断面積が大きくなる。また、引き回し部分の抵抗値は、引き出し線の断面積に反比例する。そのため、第3引き出し線(71c)の本数を他の引き出し線(71a,71b)よりも多くすることによって、第3引き出し線(71c)の引き回し部分の抵抗値だけを低くすることができ、第1から第3の引き出し線(71a,71b,71c)の引き回し部分の抵抗値のばらつきを抑制することができる。
また、V相についても、U相と同様に、第1から第6のコイル(42a,42b,42c,42d,42e,42f)によって構成されるV相巻線部(42)を備えている。V相巻線部(42)は、U相巻線部(41)に対して、ティース(34)の周方向に40度ずらして設けられている。そして、V相巻線部(42)の第1から第3のコイル(42a,42b,42c)の一端を個別に接続する第1から第3の接続部(62a,62b,62c)が設けられ、該各接続部(62a,62b,62c)には、第1から第3の引き出し線(72a,72b,72c)が個別に接続されている。第1から第3の引き出し線(72a,72b,72c)には、導体の断面積が22mm2の電線が使用されている。V相の各接続部(62a,62b,62c)も、U相の接続部(61a,61b,61c)に対して固定子コア(30)の周方向にそれぞれ40度ずらし、互いに等間隔に配置されている。このようにV相の各接続部(62a,62b,62c)が配置されると、3つの接続部(62a,62b,62c)のうち、第3引き出し線(72c)が他の引き出し線(72a,72b)よりも長くなり、その分引き回し部分の抵抗値は、第3引き出し線(72c)が最も高くなってしまう。そこで、U相と同様に、第1引き出し線(72a)及び第2引き出し線(72b)は1本ずつ設けられ、第3引き出し線(72c)は2本設けられている。このように、第3引き出し線(72c)の本数を他の引き出し線(72a,72b)よりも多くすることによって、第3引き出し線(72c)の引き回し部分の抵抗値が低くなり、第1から第3の引き出し線(72a,72b,72c)の引き回し部分の抵抗値ばらつきを抑制することができる。
また、W相についても、U相及びV相と同様に、第1から第6のコイル(43a,43b,43c,43d,43e,43f)によって構成されるW相巻線部(43)を備えている。W相巻線部(43)は、V相巻線部(42)に対して、周方向にそれぞれさらに40度ずらして設けられている。また、W相巻線部(43)の第1から第3のコイル(43a,43b,43c)の一端を個別に接続する第1から第3の接続部(63a,63b,63c)が設けられ、該各接続部(63a,63b,63c)には、第1から第3の引き出し線(73a,73b,73c)が個別に接続されている。第1から第3の引き出し線(73a,73b,73c)には、導体の断面積が22mm2の電線が使用されている。W相の各接続部(63a,63b,63c)も、V相の接続部(62a,62b,62c)に対してそれぞれさらに40度ずらし、互いに等間隔に配置されている。このようにW相の接続部(63a,63b,63c)が配置されると、3つの接続部(63a,63b,63c)のうち、第3引き出し線(73c)が他の引き出し線(73a,73b)よりも長くなり、その分引き回し部分の抵抗値は、第3引き出し線(73c)が最も高くなってしまう。そこで、U相及びV相と同様に、第1引き出し線(73a)及び第2引き出し線(73b)は1本ずつ設けられ、第3引き出し線(73c)は2本設けられている。このように、第3引き出し線(73c)の本数を他の引き出し線(73a,73b)よりも多くすることによって、第3引き出し線(73c)の引き回し部分の抵抗値が低くなり、第1から第3の引き出し線(73a,73b,73c)の引き回し部分の抵抗値ばらつきを抑制することができる。
以上のように、各相において、引き回し部分の抵抗値のばらつきが低減されると、各相の間の抵抗値ばらつきも低減される。そのため、3相による回転駆動は安定し、回転駆動が不安定になることで発生する振動や騒音を抑制することができる。
また、本実施形態では、各相において、2本の第3引き出し線(71c,72c,73c)のうち、一方が第1接続部(61a,62a,63a)側に引き回しされ、もう一方が第2接続部(61b,62b,63b)側に引き回しされている。つまり、各相の2本の第3引き出し線(71c,72c,73c)は、固定子コア(30)の周方向の一方と他方とに分かれて引き回されている。そして、第1接続部(61a,62a,63a)側では、第1引き出し線(71a,72a,73a)と第3引き出し線(71c,72c,73c)の1本とがまとめられて引き回しされ、第2接続部(61b,62b,63b)側では、第2引き出し線(71b,72b,73b)と第3引き出し線(71c,72c,73c)の1本とがまとめられて引き回しされる。このように、第3引き出し線(71c,72c,73c)を分けて引き回すことによって、固定子コア(30)の外周部でまとめて引き回しされる複数の引き出し線(71,72,73)の線束ができるだけ太くならないようにすることができる。つまり、引き出し線(71,72,73)の配線スペースを小さくすることができ、これにより、電動機(1)を小型化することができる。本実施形態では、2本の第2引き出し線(71b,72b,73b)は、一方が第1接続部(61a,62a,63a)側の周方向に、他方が第2接続部(61b,62b,63b)側の周方向にそれぞれ延びるように、接続部(62)に接続されている。しかし、第2引き出し線(71b,72b,73b)の接続形態はこれに限らず、例えば、2本が同一方向に向くように接続されても構わない。
また、各相の引き出し線(71,72,73)は、端子台(図示省略)を介して、電源から延びる電源線(図示省略)に接続されている。各相の複数の引き出し線(71,72,73)は、その端部同士を予め端子接続しておくと、まとめて端子台の接続端子に接続できるが、引き出し線(71,72,73)の取り回し易さを考慮すると、まとめて接続される引き出し線(71,72,73)の本数は2本が好ましい。端子台への接続は、3相とも同じ接続形態で行われる。ここでは、代表してU相について説明する。図8では、U相の第1接続部(61a)側の第1引き出し線(71a)と第3引き出し線(71c)の1本とが丸端子(91)に接続され、第2接続部(61b)側の第2引き出し線(71b)と第3引き出し線(71c)の1本とが別の丸端子(92)に接続されている。そして、上記2つの丸端子(91,92)は端子台の接続端子に個別に接続されている。このように本実施形態では、第3引き出し線(71c)を2本にすることによって、合計4本の引き出し線(71a,71b,71c)を2本ずつにまとめることができる。従って、接続部を1個にして3つのコイルの一端をまとめて1本の太い引き出し線で引き出し大きな丸端子1つに接続したり、または各接続部から各1本の引き出し線を1個の大きな丸端子にまとめて接続したりするよりも取り回し易い状態で端子台に接続することができる。
また、従来では、U相の3つの接続部(61a,61b,61c)は1つにまとめられ、その接続部から太い引き出し線が1本引き出されていた。そのため、接続端子に大きな電流が流れていた。しかし、本実施形態では、各接続端子の電流値を小さくすることができる。よって、従来に比べて、定格電流の小さいの端子台を使用することができる。
また、従来では、U相の3つの接続部(61a,61b,61c)から引き出し線(71a,71b,71c)が1本ずつ引き回されていため、3本の引き出し線(71a,71b,71c)は2本と1本とに分けて端子台に接続されていた。そのため、各接続端子に流れる電流値に差が生じ、2本の引き出し線が接続される接続端子に大きな電流が流れていた。しかし、本実施形態では、2本ずつにまとめられた引き出し線(71a,71b,71c)の断面積を同じにすることができる。そのため、各接続端子に均等に電流を流すことができ、各接続端子の電流値を小さくすることができる。よって、従来に比べて、定格電流の小さい端子台を使用することができる。
尚、本実施形態では、各相の第3引き出し線(71c,72c,73c)が2本設けられているが、他の引き出し線(71a,71b,72a,72b,73a,73b)よりも多く設けられていれば何本でも構わない。また、本実施形態では、各相の引き出し線(71,72,73)の導体の断面積は22mm2であるが、これに限らない。
〈実施形態2の変形例1〉
上記実施形態2では、各相の引き出し線(71,72,73)は、導体の断面積が同じであったが、本変形例では、各相の第3引き出し線(71c,72c,73c)の導体の断面積を、第1及び第2引き出し線(71a,71b,72a,72b,73a,73b)の導体の断面積よりも大きくしている。つまり、各相において、引き回し距離が最も長い引き出し線(71c,72c,73c)の断面積を、他の引き出し線(71a,71b,72a,72b,73a,73b)の断面積よりも大きくしている。具体的には、第3引き出し線(71c,72c,73c)の導体の断面積を22mm2とし、第1及び第2引き出し線(71a,71b,72a,72b,73a,73b)の導体の断面積を14mm2としている。引き回し部分の抵抗値は、導体の断面積に反比例する。そのため、引き回し距離が最も長い第3引き出し線(71c,72c,73c)の断面積を大きくすることによって、第3引き出し線(71c,72c,73c)の引き回し部分の抵抗値だけを更に小さくすることができ、各相における引き回し部分の抵抗値のばらつきを一層低減することができる。
また、本変形例では、第1接続部(61a,62a,63a)側では、第1引き出し線(71a,72a,73a)と第3引き出し線(71c,72c,73c)の1本とがまとめて引き回しされる。同様に、第2接続部(61b,62b,63b)側では、第2引き出し線(71b,72b,73b)と第3引き出し線(71c,72c,73c)の1本とがまとめて引き回しされる。このように、第1接続部(61a,62a,63a)側及び第2接続部(61b,62b,63b)側では、14mm2の引き出し線(71a,71b,72a,72b,73a,73b)と22mm2の引き出し線(71c,72c,73c)とによって線束が形成される。上記線束は、実施形態2の線束に比べて細い。そのため、引き出し線(71,72,73)の配線スペースを小さくすることができる。また、線束の取り回しが行い易くなり、例えば、電源側の端子台に接続しやすくなる。尚、本変形例では、引き出し線(71,72,73)の本数及び導体の断面積については、これに限らない。また、その他の構成、作用及び効果は、実施形態2と同様である。
〈実施形態2の変形例2〉
上記実施形態2の変形例1では、各相の第3引き出し線(71c,72c,73c)の導体の断面積を22mm2とし、第1及び第2引き出し線(71a,71,b72a,72b,73a,73b)の導体の断面積を14mm2としたが、本変形例では、各相の第3引き出し線(71c,72c,73c)の導体の断面積を14mm2とし、第1及び第2引き出し線(71a,71b,72a,72b,73a,73b)の導体の断面積を22mm2としている。このように引き出し線(71,72,73)の導体の断面積を変更すると、実施形態2の変形例1に比べて、各相における引き出し線(71,72,73)の引き回し部分の抵抗値ばらつきは低減できないが、引き回し部分の抵抗値を全体的に小さくすることができる。そのため、引き回し部分の抵抗値の相間ばらつきがあっても、その影響を小さくすることができる。また、実施形態2の変形例1と同様に、上記線束が実施形態1の線束と比べて細くなるため、線束の取り回しが行い易くなる。尚、本変形例では、引き出し線(71,72,73)の本数及び導体の断面積については、これに限らない。また、その他の構成、作用及び効果は、実施形態2と同様である。