JP5641349B2 - 直方体形状のセリアナノ粒子に富む粉体材料及びその製造方法 - Google Patents

直方体形状のセリアナノ粒子に富む粉体材料及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、直方体形状(典型的にはほぼ立方体として認識され得る立体形状、さらに好ましくは6面全部が(100)面で構成された立体形状)のセリア(CeO)ナノ粒子に富む粉体材料とその製造方法に関する。詳しくは、水熱合成法に基づいて製造する、平均粒径が20nm未満の直方体形状を有するセリアナノ粒子に富む触媒担体用粉体材料とその製造方法に関する。
セリア(CeO)は高い酸素吸蔵放出能(以下、「OSC」ともいう)を有するため、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、及び窒素酸化物(NOx)を成分とする自動車排ガスを浄化するための三元触媒の担体として広く用いられている。また、セリアは水性ガスシフト(以下、「WGS」ともいう)反応を促進する働きを有するため、WGS触媒の担体としても有用である。
近年、ナノ形状(例えば立方体形状、棒形状、多面体形状など)を有するセリアナノ粒子を選択的に作製する方法が開発され、高度に粒子形状が制御されたセリアナノ粒子が従来のセリアと比較し、高い活性を有することが報告されている。例えば非特許文献1には、水熱合成法に基づいて多面体形状、棒形状、及び立方体形状といった結晶形状が異なるセリアナノ粒子を選択的に作製できることが記載されている。更に、非特許文献1の記載によると、作製したセリアの多面体形状ナノ粒子、棒形状ナノ粒子、及び立方体形状ナノ粒子のOSCは、多面体形状<立方体形状<棒形状の順で高くなっている。また、非特許文献2には、非特許文献1と同様の作製方法により作製したセリアの多面体形状、棒形状、及び立方体形状ナノ粒子に金粒子を担持させたもののWGS活性は、立方体形状<多面体形状<棒形状の順で高くなることが記載されている。これらの結果は、セリア粒子のOSCやWGS活性が、粒子の有するナノ形状に依存することを示唆しており、触媒担体用粉体材料を作製するうえで、セリア粒子のナノ形状を高度に制御することの重要性が示されている。
一方、一般的に触媒担体は大きい比表面積、即ち小さい粒径を有することが、触媒活性向上のために望ましい。粒径が小さいセリア系ナノ粒子を作製する方法として、例えば特許文献1には、平均粒径が0.1nm以上10nm未満であることを特徴とした、セリウム元素及びマンガン元素を含む複合酸化物を含有する研磨用砥粒とその製造方法について記載されている。しかしながら、上記研磨用砥粒として用いるためのセリウム−マンガン複合酸化物ナノ粒子は、粒径は小さい(10nm未満)ものの、利用分野上、粒子形状を揃える必要がなく、特定の形状に揃えたナノ粒子に富む粉体材料を製造するという技術的思想は存在していなかった。
特開2004−155914号公報
ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー・B、2005年、109巻、pp.24380−24385 アンゲヴァンテ・ケミー・インターナショナル・エディション(AngewandteChemie International Edition)、2008年、47巻、pp.2884−2887
上記特許文献1、及び上記非特許文献1、2に記載されるような従来のセリア系ナノ粒子に対し、触媒担体としてより適した形状、及び粒径となるように厳密に制御したセリアナノ粒子を作製することにより、触媒担体としての活性が向上することが期待される。また、上記セリアナノ粒子に富む粉体材料を得ることができれば、触媒担体用粉体材料として好適であると考えられる。
特に、触媒担体用粉体材料を構成するセリアナノ粒子の形状に関しては、セリア結晶の表面エネルギーの計算に係る研究により、(100)面の結晶面が最も活性が高いことが明らかとなっており、理論上、(100)面のみで構成されたセリアの立方体形状ナノ粒子が、最も高活性であることが期待される形状であるといえる。一方、上述した従来技術(上記非特許文献1および2)において、(100)面のみで構成されたセリアの立方体形状ナノ粒子のOSC及びWGS活性は、(110)面と(100)面で構成されたセリア棒形状ナノ粒子の活性に劣っており、予測される高活性を示していない。これは、従来の製造方法により得られるセリア立方体形状ナノ粒子が、その平均粒径が20〜400nm程度の比較的大きなものであることが原因であると考えられる。
よって、粒径が十分に小さく(例えば平均粒径が20nm未満、典型的には数nm(例えば1nm、2nm、若しくは3nm)以上20nm未満)、更になるべく立方体形状に近似する形状、例えば立方体形状を含む直方体形状を有するセリアナノ粒子に富む粉体材料を製造することができれば、より高い触媒活性を示す触媒担体となり得ることが予測される。
本発明では、かかる課題を解決すべく創出されたものであり、平均粒径が20nm未満の直方体形状(典型的には立方体形状)を有するセリアナノ粒子に富む触媒担体用粉体材料を提供することを目的とする。また、そのような性状の触媒担体用粉体材料を好適に製造し得る方法の提供を他の目的とする。
本発明者らは様々な角度から検討を加え、以下の構成のセリアナノ粒子を包含する触媒担体用粉体材料、及び該粉体材料を製造する方法を創出した。
即ち、ここに開示される粉体材料の製造方法は、セリアナノ粒子を主体とする触媒担体用粉体材料を製造する方法であって、セリウム塩およびアンモニア水を混合する工程と、該混合物から水熱合成法に基づいてセリアナノ粒子を合成する工程と、を包含する。また、上記混合工程におけるセリウム塩とアンモニア水の混合比率が、セリウム原子(Ce)に対するアンモニア分子(NH)のモル比(NH/Ce)に換算して60以上270以下であることを特徴とする。
かかる構成の粉体材料に係る製造方法によると、平均粒径が20nm未満であり(典型的には数nm(例えば1nm、2nm、若しくは3nm)以上20nm未満、例えば10nm以上20nm未満)、さらに粒径が揃った直方体形状(典型的には立方体形状)のセリアナノ粒子を収率良く(例えば70個数%以上)得ることができ、該セリアナノ粒子に富む触媒担体用粉体材料、典型的には該粉体材料のうち70個数%以上が平均粒径20nm未満であって直方体形状を有するセリアナノ粒子であることを特徴とする触媒担体用粉体材料を安定的に製造することができる。また、かかる構成の製造方法により製造された粉体材料は、従来のセリア粒子からなる粉体材料より高いOSCを示す。
ここに開示される触媒担体用粉体材料の製造方法の他の好ましい一態様では、上記水熱合成における加熱時間が少なくとも5時間であることを特徴とする。
かかる加熱時間が5時間以上(例えば5時間以上30時間以下、好ましくは7時間以上24時間以下)であると、平均粒径が20nm未満(典型的には数nm(例えば1nm、2nm、若しくは3nm)以上20nm未満、例えば10nm以上20nm未満)の直方体形状セリアナノ粒子を効率よく製造することができる。即ち、粒径分布が狭い平均粒径20nm未満の直方体形状セリアナノ粒子を主体とする粉体材料を効率よく製造することができる。
ここに開示される触媒担体用粉体材料の製造方法の他の好ましい一態様では、上記水熱合成における加熱温度を90℃以上130℃以下とすることを特徴とする。
かかる範囲の加熱温度で加熱することにより、平均粒径が20nm未満(典型的には数nm(例えば1nm、2nm、若しくは3nm)以上20nm未満、例えば10nm以上20nm未満)の直方体形状セリアナノ粒子を効率よく製造することができる。即ち、粒径分布が狭い平均粒径20nm未満の直方体形状セリアナノ粒子を主体とする粉体材料を効率よく製造することができる。
ここに開示される触媒担体用粉体材料の製造方法の他の好ましい一態様では、上記セリウム塩が硝酸セリウム(III)であることを特徴とする。
上記セリウム塩に硝酸セリウム(III)を用いることにより、平均粒径が20nm未満の直方体形状を有するセリアナノ粒子を、収率良く安定的に製造することができる。即ち、平均粒径20nm未満の直方体形状セリアナノ粒子を主体とする粉体材料を効率よく製造することができる。
ここに開示される触媒担体用粉体材料の製造方法の他の好ましい一態様では、上記直方体形状セリアナノ粒子が、(100)面のみで構成された立体形状(典型的には立方体形状)を有するセリアナノ粒子であることを特徴とする。
ここで(100)面は、ミラー指数により示される結晶面の一つであり、結晶学その他の結晶構造を扱う技術・学術分野で周知の表示態様である。
かかる構成の粉体材料の製造方法により製造された、セリアナノ粒子を含有する粉体材料は高いOSCを示し、触媒担体用粉体として特に好適である。
また、上記目的を実現するべくここに開示される触媒担体用粉体材料は、セリアナノ粒子を主体とする(典型的にはセリアナノ粒子からなる)触媒担体用粉体材料であって、上記粉体材料のうち70個数%以上が、平均粒径が20nm未満である直方体形状のセリア(CeO)ナノ粒子であることを特徴とする。また、好ましい態様では、上記直方体形状セリアナノ粒子は(100)面のみで構成された立体形状(典型的には立方体形状)セリアナノ粒子であることを特徴とする。
かかる粉体材料は高い比表面積を有するため、触媒担体として用いると触媒の分散性が向上し、触媒活性が向上する。また、上記粉体材料は高いOSCを有するため、該粉体材料を例えば排ガス浄化用触媒の触媒担体として用いた場合には、触媒種の浄化性能を向上させることができる。
ここに開示される触媒担体用粉体材料は、好ましくは、上記製造方法により製造することができる。かかる粉体材料は、高い比表面積、及び高いOSCを有するため触媒担体として有用である。
実施例1に係る粉体材料のTEM像である。 比較例1に係る粉体材料のTEM像である。 実施例2に係る粉体材料のTEM像である。 実施例3に係る粉体材料のTEM像である。 実施例4に係る粉体材料のTEM像である。 実施例5に係る粉体材料のTEM像である。 実施例6に係る粉体材料のTEM像である。 水熱合成における加熱温度(横軸:℃)、及び混合工程におけるセリウム原子に対するアンモニア分子のモル比(縦軸:単位なし)を変化させて製造したいくつかの実施例および比較例に係る粉体材料について、セリアナノ粒子生成評価の結果を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここで開示される触媒担体用粉体材料の製造方法は、以下の二つの工程を包含する。即ち、原料であるセリウム塩とアンモニア水を混合して混合物(典型的には、懸濁液)を得る工程(以下、「混合工程」ともいう。)と、該混合工程で得られた混合物を常圧〜加圧下で加熱し水熱処理をすることによりセリアナノ粒子を合成する工程(以下、「水熱合成工程」ともいう。)である。
ここで開示される触媒担体用粉体材料の製造方法において、上記混合工程では適当な溶媒(典型的には水)に溶解させたセリウム塩とアンモニア水を混合・撹拌する。ここで、原料として用いられるセリウム塩としては、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ハロゲン化物等が好適に用いられる。また、上記セリウム塩におけるセリウムの価数は3価であってもよいし、4価であってもよい。これらのセリウム塩は上記のうち一種のみを使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。上記セリウム塩のうち、セリウム硝酸塩は水溶性であるため、水を溶媒として用いる場合に好適に用いられる。また、収率よく平均粒径20nm未満の直方体形状を有するセリアナノ粒子を得る観点から、セリウム塩として硝酸セリウム(III)を採用することがより好ましい。
ここで開示される触媒担体用粉体材料の製造方法において、上記混合工程におけるセリウム塩とアンモニア水の混合比率は、セリウム原子(Ce)に対するアンモニア分子(NH)のモル比(NH/Ce)に換算して、60以上270以下(より好ましくは80以上240以下)であることが好ましい。上記セリウム塩とアンモニア水の混合比率について、NH/Ceが60より小さすぎる、もしくは270より大きすぎる場合は、平均粒径が20nm未満で直方体形状を有するセリアナノ粒子の収率が相対的に低下する。
ここで開示される触媒担体用粉体材料の製造方法において、上記水熱合成工程では、上記混合工程で得られた混合物を加熱装置に設置し、所定時間及び所定温度において加熱することによりセリアナノ粒子を合成する。
ここで、上記水熱合成における加熱時間は5時間以上30時間以下(より好ましくは7時間以上24時間以下)が好ましい。加熱時間が5時間より短すぎる場合は、上記水熱合成時の反応が不十分であるために、直方体形状を有するセリアナノ粒子の収率が相対的に低下する傾向がある。また、加熱時間が30時間を超えると上記セリアナノ粒子の収率が飽和するのに加え、セリアの結晶成長が進行し粒径が大きくなる、又は凝集する傾向があり好ましくない。
また、ここで開示される触媒担体用粉体材料の製造方法において、上記水熱合成における加熱温度は90℃以上130℃以下であることが好ましい。加熱温度が90℃より低すぎる場合は、直方体形状を有するセリアナノ粒子の収率が相対的に低下しがちである。また、加熱温度が130℃より高すぎる場合は、直方体形状を有するセリアナノ粒子は生成するものの、該セリアナノ粒子の粒径が増大する傾向がある。
上記水熱合成で上記混合物を加熱するために用いられる装置は、高温高圧に耐えられるようなものであることが好ましい。このため、上記加熱装置としてはオートクレーブ装置などの耐圧反応容器が好適に用いられる。また、反応容器は反応溶液に対し耐食性が高い内壁を有していることが好ましく、ガラスやポリテトラフルオロエチレン製などの高耐食性の内筒を用いることが好ましい。
本明細書においてセリアナノ粒子に関する「平均粒径」とは、該ナノ粒子をTEM(透過型電子顕微鏡)観察用のグリッド基板上に希薄に分散・担持させ、TEMによる観察を行うことによって測定・算出した平均粒径、又は動的光散乱法に基づいて測定された平均粒径、と規定することができる。また、本明細書においてセリアナノ粒子に関する「粒径」とは、例えば得られたセリアナノ粒子がTEM観察によりほぼ直方体形状(立方体形状を含む)であると認識される場合には、TEMにより観測される長方形状(典型的には正方形状)の粒子像について、縦と横のそれぞれ一辺の長さを平均した値、と規定することができる。また、得られたセリアナノ粒子の形状が直方体形状であると認識されない場合には、TEM観察により得られた粒子像の面積から幾何学公式を用いて、該粒子像を相当円に換算し、該相当円の直径を該セリアナノ粒子の粒径とすることができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<粉体材料の製造例とTEM観察>
硝酸セリウム(III)六水和物(Ce(NO・6HO)4.5mlを純水10mlに溶解し、硝酸セリウム水溶液を調製した。また、6mol/Lのアンモニア水(NH水)を調製した。上記硝酸セリウム水溶液10mlと、アンモニア水90mlを混合し、10分間撹拌した。このときの硝酸セリウム水溶液とアンモニア水の混合割合はセリウム原子(Ce)に対するアンモニア分子(NH)のモル比(NH/Ce)に換算すると120となる。上記混合液は懸濁液となり、該懸濁液がほぼ均一に撹拌された状態で、30mlの体積を有するポリテトラフルオロエチレン製容器に移し替え、さらにこのポリテトラフルオロエチレン製容器を加圧分解容器のSUS製密閉容器内に収納し、しっかりと密閉した。その後、加圧分解容器をあらかじめ100℃に昇温しておいた電気炉に入れ、24時間加熱し、水熱合成を進行させた。加熱後、加圧分解容器を室温まで冷却した後、内容物を取り出し、遠心分離を行うことにより白色の粉体材料、即ちセリア(CeO)粉末を得た。粉体材料は純水で3回洗浄したのち、80℃で24時間減圧乾燥を行い乾燥させた。上記の一連のプロセスにより得られたセリア粉末を実施例1に係る粉体材料とする。
図1(a)〜(c)に実施例1に係る粉体材料をTEMにより観察したときのTEM像を示す。図1(a)〜(c)から明らかなように、実施例1に係る粉体材料は主に直方体形状、もしくは立方体形状の粒子形状を有するセリアナノ粒子により構成されており、該セリアナノ粒子の平均粒径は10〜20nmの範囲内であることがわかる。さらに該セリアナノ粒子の粒度分布は狭く、ほとんど全てのセリアナノ粒子(概ね90個数%以上)が平均粒径20nm未満であることが判る。また、図1(c)に示すTEM像から明らかなように、該セリアナノ粒子の格子像には0.27nm間隔の干渉縞が見られ、これはセリア(CeO)の(200)面間隔に対応している。以上より、実施例1に係る粉体材料のうちほとんど全て(概ね90個数%以上)は、平均粒径が10〜20nmの(100)面で構成された立体形状を有するセリアナノ粒子であり、さらに粒径がよく揃っていることが判る。
<参考例;従来技術によるセリアナノ粒子の製造例とTEM観察>
本発明との比較のために、先行技術文献(非特許文献1)に記載された従来のセリアナノ粒子の製造方法と同一の方法によりセリアナノ粒子を作製した。即ち、原料として、硝酸セリウム(III)六水和物及び水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を用い、両者を混合したものを180℃で24時間加熱して水熱合成をすることによりセリアナノ粒子を得た。具体的には、上記の実施例1にかかる製造プロセスの中で、6mol/Lのアンモニア水の代わりに6mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いること、及び水熱合成における加熱温度を100℃から180℃に変更したこと以外は、実施例1に係る製造プロセスと同様の手順によりセリアナノ粒子(比較例1)を製造した。
図2に比較例1に係るセリアナノ粒子をTEMにより観察したときのTEM像を示す。図2(a)〜(c)から明らかなように、比較例1に係るセリアナノ粒子は直方体形状を有しており、また、図2(c)に示すTEM像において、セリアの(200)面間隔に対応する格子縞が観測されたことから、該セリアナノ粒子は(100)面で構成されたセリアナノ粒子であることがわかる。しかし、TEMで観測した範囲内において、比較例1に係るセリアナノ粒子の平均粒径は20〜400nmの範囲内であった。また、該セリアナノ粒子の粒径は非常に広範囲に渡ってばらついており、粒径が100nm〜400nm程度の大きな粒子も多く(概ね40個数%以上)見られた。また、平均粒径が20nm未満のセリアナノ粒子はほとんど見当たらなかった(概ね10個数%未満)。
図1及び図2に示すTEM像を比較すると明らかなように、実施例1に係る粉体材料を構成するセリアナノ粒子は比較例1に係るセリアナノ粒子より明らかに平均粒径が小さく、また粒度分布が狭いことが判る。従って、ここで開示される粉体材料の製造方法によると、平均粒径が20nm未満であり、かつ粒径が揃った直方体形状を有するセリアナノ粒子が主体である粉体材料を製造することができることが判る。
次に、より安定的に収率よく、平均粒径20nm未満の直方体形状を有するセリアナノ粒子を主体とした粉体材料を製造できる条件を見出すために、水熱合成における加熱時間、及び加熱温度を変化させ、生成した粉体材料について観測した。
<好適な加熱時間>
まず、水熱合成における加熱時間を変化させたときに得られる粉体材料の性状を調べた。即ち、上記実施例1に係る製造プロセスにおいて24時間であった水熱合成における加熱時間を、24時間未満に短縮した場合における直方体形状を有するセリアナノ粒子の収率について調べた。
具体的には、上記加熱時間を7時間(実施例2)及び3時間(実施例3)とし、加熱時間を変化したこと以外は実施例1に係る製造プロセスと同様の方法により粉体材料を製造した。
図3に実施例2に係る粉体材料のTEM像を示す。図3(a)〜(c)より明らかなように、実施例2に係る粉体材料のうちほとんど(概ね90個数%以上)は(100)面で構成された立体形状を有するセリアナノ粒子であった。また図3より、該セリアナノ粒子の平均粒径は10〜20nmであり、粒度分布も狭いことが判った。TEM観察の限りにおいて、実施例2に係る粉体材料を構成するセリアナノ粒子と、上記実施例1に係る粉体材料を構成するセリアナノ粒子との間に明瞭な差は認められなかった。
図4に実施例3に係るセリアのTEM像を示す。図4(a)〜(c)より明らかなように、実施例3に係る粉体材料は、主に平均粒径が5〜10nm程度のセリアナノ粒子により構成されていることが判る。また、実施例3に係る粉体材料を構成するセリアナノ粒子の結晶粒界はTEM観察により観察しづらいことが判る。
図1、図3及び図4に示すTEM像から明らかなように、実施例1に係る粉体材料の作製条件、即ちNH/Ceが120で、水熱合成の加熱温度が100℃である製造条件において、平均粒径が20nm未満の直方体形状を有するセリアナノ粒子が主体である粉体材料を安定的に作製するためには、水熱合成における加熱時間は7時間以上とすることが好ましいことが判る。
<好適なNH水の濃度及び量>
次に、原料のセリウム硝酸塩とアンモニア水を混合する工程において、セリウム硝酸塩に対するアンモニア水の濃度または量を変化させたときに得られる粉体材料の性状について調べた。即ち、実施例1に係る製造プロセスにおいて、セリウム原子に対するアンモニア分子のモル比(NH/Ce)は120であったが、これを80、または180となるように調製し、水熱合成を経ることによりセリアを製造した。
具体的には、原料の硝酸セリウム水溶液の濃度および量は実施例1に係る製造プロセスと同一とし、これと混合するアンモニア水の濃度(モル濃度)及び量(ml)を、6mol/L−60ml(実施例4)、9mol/L−90ml(実施例5)、及び3mol/L−120ml(実施例6)とした。このときのNH/Ceはそれぞれ80(実施例4、及び実施例6)、180(実施例5)である。また、実施例4〜6に係る製造プロセスにおいて、水熱合成における加熱温度は90℃とし、上記アンモニア水の濃度及び量と、水熱合成における加熱温度を変更したこと以外は実施例1に係る製造プロセスと同様の方法により製造した。
図5、図6、及び図7にそれぞれ実施例4、実施例5、及び実施例6に係る粉体材料のTEM像を示す。
図5〜7に示すTEM像から明らかなように、NH水の濃度及び量を変化させることによりNH/Ceを80、及び180に調節して得られたいずれの粉体材料についても、該粉体材料のうちほとんど(概ね90個数%以上)は直方体形状を有するセリアナノ粒子であり、該セリアナノ粒子の平均粒径は20nm未満であった。
<製造条件とセリアナノ粒子生成評価>
混合工程におけるNH水の濃度及び量、及び水熱合成における加熱温度など様々な製造条件を変化させて粉体材料を製造し、得られた粉体材料の性状について評価した。具体的には混合工程におけるNH水の濃度を1〜15mol/L、NH水の量を30〜180mlの範囲で、さらに水熱合成における加熱温度を70℃〜180℃の範囲で変化させ、上記以外は実施例1の製造プロセスに倣って粉体材料を製造した。得られた粉体材料はTEMにより観察し、該粉体材料のうち70個数%以上が平均粒径20nm未満であって直方体形状を有するセリアナノ粒子であるか否かを判定(以下、「セリアナノ粒子生成評価」ともいう)した。
表1に、製造した粉体材料(実施例7〜11、比較例2〜10)における各種製造条件、及び得られた粉体材料におけるセリアナノ粒子生成評価の結果を示す。また、表1には上述した実施例1〜6に係る製造条件及びセリアナノ粒子生成評価結果も合わせて示す。
なお、セリアナノ粒子生成評価については、粉体材料をTEMで観察した結果、該粉体材料のうち70個数%以上が平均粒径20nm未満であって直方体形状を有するセリアナノ粒子であった場合は○で示し、該粉体材料のうち平均粒径20nm未満であって直方体形状を有するセリアナノ粒子の割合が70個数%未満であった場合は×で示した。
図8には表1に示す実施例、及び比較例の中で、水熱合成における加熱時間を24時間と設定した複数の実施例、及び比較例についてプロットし、セリアナノ粒子生成評価の結果について示した。即ち、図8において○で示された点は粉体材料のうち70個数%以上が平均粒径20nm未満の直方体形状を有するセリアナノ粒子であったことを示す。図8に示す結果より、少なくとも○で示された点により画された範囲内における製造条件であれば、平均粒径が20nm未満の直方体形状を有するセリアナノ粒子が主体の粉体材料を安定的に製造することができることが判る。
<OSC測定試験>
比較例1、実施例1及び2に係る粉体材料について、OSC測定を行った。具体的には比較例1、実施例1及び2に係る粉体材料を20mg秤量したのち、熱重量分析器(TG−MS)にセットし、400℃で加熱しながら酸素(O)濃度が5容量%のガス(バランスガスは窒素)を20分間流通させたのち、窒素ガスでパージし、次いで350℃で加熱しながら一酸化炭素(CO)濃度が5容量%のガス(バランスガスは窒素)を15分間パルス導入させた。この際に発生する二酸化炭素(CO)を質量分析計で検出し、CO検出量をOSC相当値とした。
表2に、比較例1に係る粉体材料のOSC相当値に対する、実施例1及び2に係る粉体材料のOSC相当値の比率を示す。表2に示す結果から明らかなように、実施例1及び実施例2に係る粉体材料のOSCは、従来技術に基づいて製造した比較例1に係るセリアナノ粒子のOSCに対して約1.7〜1.8倍もの高い値を示した。実施例1及び実施例2に係る粉体材料においてOSCの向上がみられた理由は、実施例1及び実施例2に係る粉体材料の主構成物であるセリアナノ粒子の粒径及び形状が厳密に制御されていること、特に該セリアナノ粒子の平均粒径が20nm未満と十分に小さく、さらに該セリアナノ粒子の粒子形状が直方体形状(典型的には(100)面のみで構成された立体形状)であることに起因する。
以上に説明したように、本発明によると平均粒径が20nm未満の直方体形状(典型的には立方体形状)を有するCeOナノ粒子に富む触媒担体用粉体材料が得られる。このため、従来よりも触媒種の浄化性能が向上した排ガス浄化用触媒とその触媒担体を提供することができる。

Claims (5)

  1. セリアナノ粒子を主体とする触媒担体用粉体材料を製造する方法であって、
    セリウム塩およびアンモニア水を混合する工程と、該混合物から水熱合成法に基づいてセリアナノ粒子を合成する工程と、を包含し、
    前記混合工程におけるセリウム塩とアンモニア水の混合比率が、セリウム原子(Ce)に対するアンモニア分子(NH)のモル比(NH/Ce)に換算して60以上270以下であり、且つ、前記水熱合成における加熱温度が90℃以上130℃以下であることを特徴とする、
    前記粉体材料のうち70個数%以上が、平均粒径が20nm未満であって直方体形状を有するセリアナノ粒子である、触媒担体用粉体材料製造方法。
  2. セリアナノ粒子を主体とする触媒担体用粉体材料を製造する方法であって、
    セリウム塩およびアンモニア水を混合する工程と、該混合物から水熱合成法に基づいてセリアナノ粒子を合成する工程と、を包含し、
    前記混合工程におけるセリウム塩とアンモニア水の混合比率が、セリウム原子(Ce)に対するアンモニア分子(NH )のモル比(NH /Ce)に換算して60以上270以下であり、且つ、前記水熱合成における加熱時間が5時間以上30時間以下であることを特徴とする、
    前記粉体材料のうち70個数%以上が、平均粒径が20nm未満であって直方体形状を有するセリアナノ粒子である、触媒担体用粉体材料製造方法。
  3. 前記水熱合成における加熱温度が90℃以上130℃以下である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記セリウム塩が硝酸セリウム(III)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記直方体形状セリアナノ粒子が、(100)面のみで構成された立体形状を有するセリアナノ粒子であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
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