JP5639763B2 - 放射線防護剤および関連する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、放射線防護剤、その製造方法、および放射損傷からの生体物質を防護におけるその使用に関する。放射線診断および放射線治療、特に癌の放射線治療において、放射線防護剤を使用して、特定の正常な組織または構造を放射線による損傷から保護することができる。放射線防護剤は、一般的および軍事的な非医療的シナリオにおいて放射線の影響を軽減することにおける用途も有する。本発明は特に、フッ素および/または塩素で置換された放射線防護化合物であって、公知の放射線防護化合物と比較して低下した細胞毒性活性を有する化合物に関する。
DNAが電離放射線の細胞障害作用において重要な標的であることは一般に認められている。DNAに二本鎖の破損が特に重要であるという見解を支持する証拠が相当程度存在する。DNA損傷は、DNA分子内における直接イオン化(直接作用)と、水の放射線分解生成物を介する間接作用との両方の結果として生じる。DNAのデオキシリボース部分上の炭素を中心とする基は、鎖破損の重要な前駆体であると考えられている。電離放射線は、DNA塩基における損傷も引き起こす。細胞のDNA損傷のレベルが十分であれば、放射線照射の結果として細胞が死滅するため、電離放射線が癌の治療方法として用いられる。照射を受けた正常細胞については、この細胞殺滅により、一時的または永久的な組織および器官機能の損傷が引き起こされる。このような効果は、照射線の用量次第であり、十分な量であれば有機体にとって致命的となる。ヒトおよび他の動物にとって、造血器官/機能が最も放射線感受性であり、次いで胃腸粘膜である。最後に、放射線照射によって誘発されたDNA損傷が致死未満量であっても、突然変異誘発性損傷が、例えば発癌を含む重篤な長期の結果を引き起こし得る。
上述した放射線により誘発される影響の程度を軽減することを目的とする医療方法または対応策としては、放射線防護剤(有効とするために、一般に放射線への曝露前に投与することが必要とされるもの)、軽減剤(照射後に投与する場合に有効となりうるが、症状が発現する前には有効ではないもの)、および症状の発現後に一般に投与される治療剤が広く記載されている。予防的放射線防護剤のサブクラスは、初期の放射線誘発DNA損傷の程度を軽減する薬剤であり、このサブクラスに本発明は焦点を合わせている。
放射線防護剤の商業的な可能性は、主として2つの異なる領域に存在する。これらのうちの1つは、癌の放射線治療の患者における正常組織を保護する必要性に関連し、他の1つは、国家的な情勢に伴う意図しない放射線照射(例えば、放射線事故および放射線テロリズム、ならびに軍事的な放射線照射など)の結果を緩和する必要性に関連する。
電離放射線による腫瘍の処置(以下“癌放射線治療”と言う)は癌治療に広く用いられている。このような処置の目的は、非腫瘍細胞および組織への障害を少なくしながら、DNA障害によって腫瘍細胞を破壊し、あるいは腫瘍細胞生長を阻害をすることである。非腫瘍細胞への損傷の潜在性が、ある種の腫瘍に対する放射線治療の効果を制限することが多い。これは、特に、脳腫瘍や腹腔腫瘍に関する場合に多い。
癌放射線治療は非常に重要な公衆の健康に関する活動である。癌に関する国際的な調査によれば、癌患者の50%以上がその処置において放射線治療を受けており、全人口の10%以上がその生涯において癌放射線治療の経験を有するようである。
癌放射線治療についての放射線量を決めるのに最も考慮されることは、治療部位における最も放射線感受性の高い正常な組織/臓器の耐容性の評価である。この評価が、腫瘍を消失せしめるのに必要と考えられる放射量と共に、処置方法が治癒または緩和にかなっているかどうかを決定する。多くの場合において、最大耐容線量が腫瘍の根絶には不十分である。この難しい選択を表す概念が治療比率であり、腫瘍抑制対正常組織障害の可能性の比率を表す。治療比率を改善する方法には次のものが含まれる。
(a)腫瘍に対する放射線の物理的なターゲッティングの最適化、
(b)放射線量の分割、および
(c)放射緩和剤の使用。
放射線の物理的投射の改善は、放射線治療の実務にかなりの効果をもたらして来た。例えば、X線プロトンのエネルギーを数百キロボルトから今日のメガボルト線束に増加することにより、旧式の機器では最大線量が皮膚表面に近かったのに対して、数センチメートルの深さに最大放射線量の領域を設定することが可能になった。開発および実施の種々の段階において“仕立て”処置線束についての多くの高度な方法がある。近接照射療法、外部放射線照射でなく植え込み放射線源を使用する方法が、物理的な線量の投射の改善におけるさらなるアプローチである。
ほとんど例外なしに、遠隔放射線治療では放射線量の分割がなされる。通常の療法計画の例は、2グレイの30回分割で与えられる合計60グレイである。細胞は、分割した照射の間に放射線損傷を修復する能力があるため、分割処置により60グレイの単回線量より殺細胞性がずっと少なくなる。しかし、正常細胞は一般に腫瘍細胞よりも大きい修復能を有するので、分割の“助命”効果は正常細胞についてより顕著である。要するに、分割は治療比率を改善する。
放射線防護剤および放射線増感剤などの放射線緩和剤の研究は、メトラニダゾールおよびミソニダゾールなどの低酸素細胞増感剤にしぼられてきた。放射線防護剤は、臨床レベルでは放射線増感剤ほど注目されていなかった。原子力時代の到来で放射線防護剤の開発にかなりの努力を向けられるようになり、1960年代に4000以上の化合物が合成されて、米国のWalter Reed陸軍研究所で試験された。WR2727として知られる1化合物を除き、いずれの化合物も癌放射線治療において有用ではなく、WR2727は、軍事的な場合でも産業的な場合(すなわち全身照射に対する防護)でも投与するには毒性が高すぎるとも考えられた。
治療比率を改善するために、上述した3つの方法の間の相互作用に留意することが重要である。改良された物理的ターゲッティング、分割化、および放射緩和剤の組合せによって、いくつかの放射線治療の状況において改善から治癒に目的を転換することができる。治療計画において放射緩和剤をうまく使用すると、分割の必要性が低下し、処置の全体としての費用を軽減する。費用は、かなりの程度、患者1人当たりの処置分割の数に比例する。
放射線防護剤の特に重要な役割が、放射線治療中の腫瘍細胞の急速な再増殖が処置効果を非常に弱めているとの認識から分かってきた。この認識から導かれる主な結論は次の通りである。
(i)放射線治療処置の全体としての時間を低減させるための、加速化された処置スケジュールの開発。この加速化されたスケジュールにおいては、急性の反応が特に問題となる。例えば頭部および頸部癌患者における急性口腔粘膜炎は、放射線防護剤を明白に必要とする。
(ii)正常組織の反応を理由とする放射線治療処置の中断は、腫瘍抑制の可能性を低下させるという認識。したがって、毒性により誘発される処置中断を避けるための放射線防護剤の使用は明らかに利益をもたらす。
2001年9月11日の事件により、多くの種類のテロリズムシナリオに対する影響の受けやすさが評価され、これらのなかに、放射線テロリズムとして記載されたものがある。1つの例は、いわゆる”ダーティーボム”であり、従来の爆発物と共に放射活性物質を拡散させる形態のものである。注意は急性の放射線症候群(ARS、”放射線病”とも呼ばれる)(1Gyより多くの放射線量に体全体が曝露された結果として記載される)に向けられるが、低い線量の長期的な影響(すなわち、放射線により誘発された突然変異生成および発癌)についての懸念もある(1)。この一般的な状況、および電離放射線への曝露に対する防護を提供する予防薬が全くないという認識が、意義深い研究および政治的活動を引き起した。
全身の放射線照射(LD50/60)後60日間で50%のヒトを殺すために必要とされる平均致死放射線量は、対症療法なしで3.25〜4Gyであり、抗生物質および輸血援助が提供される場合では6〜7Gyである。死亡は、造血症候群、骨髄の形成不全または無形成に大きく起因する。放射線により誘発された成熟機能細胞の減少および正常な成熟機能細胞の減少の結果として血球減少症が発症し、造血幹細胞および前駆細胞が放射線により誘発されて減少することにより、置き換わりの不全と組み合わされる。血球減少の時間および程度は、一般に、放射線量および予後と関連するが、血球の減少および回復の動態も、赤血球生成系統、骨髄造血系統、および血小板産生系統の間でさまざまであり、骨髄造血が最も遅い。
腸陰窩内の幹細胞の剥離に起因する胃腸症候群は、次に腸粘膜の削剥を引き起こす。この損傷は、全身の線量が3〜15Gyの範囲となった後に起こり、齧歯類ではこの範囲の上限の線量で照射の約1週間後までに死がもたらされる。
意図しない放射線照射に対する対応策には、分子および細胞の相互作用において広範囲の可能性がある。しかし、化学放射線防護剤が機構的に単純であること、すなわち、放射線により誘発されたDNA損傷を軽減することには、幅広い可能性があるため魅力的である。このうち、低い放射線線量に曝露される恐れがある個人を保護し、これによって長期の放射線の影響、例えば突然変異生成および発癌などを最小限にするための潜在的必要性が特に重要である。このような個人には、意図しない曝露への対応に関与する緊急要員ならびに電離放射線に職業的に曝される者が含まれる。
さらには、診断放射線医学ならびに病院および外来患者用施設の核医学部門における診断医療処置の過程で電離放射線に曝される患者が含まれる。
Smith,P.J.およびAnderson,C.O.は、DNAリガンドヘキスト33342を結合している小溝(minor groove)の放射線防護特性について、最初に発表した。彼らは、照射培養細胞のクロノジェニック生存検定を用いた。Young,S.D.およびHill,R.P.は、組織細胞において同様の効果を報告し、この研究をインビトロ試験に拡大した。彼らは、インビトロ試験における放射防護作用の欠如は、静注後のターゲット細胞へのヘキスト33342の運搬レベルが十分でなかったことによると結論している。HillおよびYoungの知見は、効果的な放射線防護剤、すなわち効力が特に求められていることを示している。もし放射線防護剤がより強力であれば、インビトロ試験において必要とする濃度に到達する可能性が高かったであろう。
効力以外に考えねばならない点がある。放射線防護に必要な濃度は、放射線防護剤の効力にかかわらず非毒性でなけらばならない。放射線防護剤が全身に運送されると、毒性についての必要条件を欠くことは、放射から防護されるべき細胞や組織だけでなく、患者への全身的な毒性の問題に及ぶ。ヘキスト33342の場合は、その毒性により放射線防護剤としての有用である範囲が限定されている。
癌放射線治療における放射線防護剤の使用において、実質的、概念的な問題もある。放射線防護剤の適用により正常組織に対する放射線作用を軽減する試みにおいて、ある種の放射線防護剤が腫瘍に到達して、腫瘍細胞の殺滅性を損なう恐れがある。現行の放射線防護剤、例えばWR2727は、比較的小さい、分散しやすい分子であり、組織成分と激しく結合することはなく、従って細胞層を効果的に貫通し、循環系を介して腫瘍に到達する。
細胞層の貫通が制限された放射線防護剤が必要である。このような性質は、放射線防護剤を、腫瘍に隣接する放射線感受性が非常に高い正常組織に、局所的にまたは経皮的に適用することを可能にする。貫通が制限されることによって、放射線防護剤が、制限された量で毛管床に到達し、循環系に取り込まれ、これにより腫瘍に対して有効な放射防護を与えるのに充分な濃度で、全身的運搬により腫瘍に到達する。
細胞層を通してのヘキスト33342などのDNA結合リガンドの制限的な拡散は、知られており、多細胞性球状体細胞および(かん流に関する)インビボでの細胞の位置付けに利用されてきた。ヘキスト33342のかん流は、酸素の還流の代理マーカーであると考えられている。正常組織への局所的適用後の全身的取り込みによる腫瘍への到達が制限されることに加えて、癌放射線治療では、貫通が制限されることによるさらに大きい利点がある。この利点は、血管系、特に内皮細胞が、放射線の損傷作用を決定づける重要な標的であるとの見解から派生する。さらに、腫瘍において最も放射線抵抗性である細胞は、毛管から最も遠い生存細胞である。これらの細胞の放射線抵抗性は、低酸素状態に由来しており、逆に言えば、毛管から細胞が遠いことを表している。
従って、制限的な拡散を有する放射線防護剤は、静脈投与されたときに、一般に放射線治療の効果が制限される腫瘍の細胞サブ集団(すなわち、低酸素細胞)以上に、動物組織において非常に放射線感受性である細胞に、より効率的に運送される。したがって、このような放射線防護剤を使用すると、高い放射線量が可能になり、腫瘍における低酸素細胞の殺滅可能性が増大することが期待される。
しかし、これらの放射線生物学的特性と、DNA結合性放射線防護剤の特徴との組合せは、放射線防護剤の最も重要な必須要件が存在すること、すなわち、放射線防護剤が、局所的または全身的に投与されたときに非毒性的な濃度で明らかな放射線防護を付与し得るのに十分な効力を有することを条件とする場合にのみ、癌放射線治療に有用であり得る。さらなる実際的な要件は、貫通が制限される程度が、局所的適用後の顕著な全身的な取り込みを防止するのに十分であるが、電離放射線作用から防護されるべき組織の放射線感受性を決定する細胞に到着するのに十分な濃度に達することを妨げるほどではないことである。
放射線防護の程度は、癌放射線療法および意図しない放射線曝露からの保護の両方の場合において、線量変更係数(Dose Modification Factor)(DMF)を用いて一般に説明される。DMFは、防護剤の存在下で所定の放射線誘起効果を上げるのに必要とされる放射線量の、防護剤の非存在下で同じ効果を上げるのに必要とされる放射線量に対する比率として定義される。インビボの評価項目に基づいて放射線防護効果が観察される場合には、初期の放射線誘起損傷の緩和以外のメカニズムが含まれ得る。例えば、造血性症候群および胃腸症候群の両方に対して、感染症は、それぞれ好中球減少症および腸粘膜壁の破裂を引き起こすため、最終的な死亡率において重要な役割を果たす。したがって、いくつかの免疫賦活剤は、放射線反応の軽減剤としての可能性を有する。免疫賦活剤は、照射後の治療においても有効である。
Martinらの国際公開第97/04776号およびその後の刊行物(4)は、立体障害性であり電子供与性である基で置換されていることを特徴とする特定のビベンズイミダゾール化合物を開示している。これらの化合物は、強い放射線防護活性を示すが、この種の化合物には、一般的な固有の細胞毒性を低減する余地が残されている。しかし、課題は、(線量変更係数によって測定される)放射線防護活性を維持し、さらに好ましくは向上させながら、細胞毒性を低減することである。国際公開第97/04776号の開示全体を、参照により本明細書に組み込む。
国際公開第97/04776号パンフレット
したがって、癌放射線療法、生体物質の放射線への曝露の影響からの保護、および/またはヒトまたは動物の意図しない放射線照射の影響からの保護において使用することができる放射線防護剤であって、低減された細胞毒性を示す一方で、放射線防護特性が維持されており、さらに好ましくは細胞層の貫通が制限されている、放射線防護剤が求められている。特に、このような化合物が、皮膚、口腔粘膜、食道粘膜、直腸粘膜、膣粘膜、および膀胱上皮などの組織を防護するために局所的に、ならびに、肺および脳などの器官を防護するために、非経口的に投与することができることが望ましい。
本発明の一実施態様では、式(I)の放射線防護化合物およびその塩、その薬学的に許容される誘導体、そのプロドラッグ、および/またはその互変異性体を提供する。
Figure 0005639763
式中、
Xは、場合により置換されていてもよいアルキルアミノまたは場合により置換されていてもよいアルキルであり;
YおよびZは、同じであるかまたは異なり、NおよびC(R’)(式中、R’は、水素、場合により置換されていてもよいアルキル、または場合により置換されていてもよいアルケニルである)から選択され;かつ
〜R11は、同じであるかまたは異なり、フッ素、塩素、水素、および電子供与性基から選択され、あるいは、R1〜R11のいずれか2個およびNHは、それらが結合した炭素原子と共に、ヘテロ原子を有していてもよく場合により置換されていてもよい環を形成することができ、但し、R〜R11の少なくとも1個はフッ素または塩素であることを条件とする。
好ましくは、R〜R11の少なくとも他の1個は、電子供与性基である。
本発明の別の実施態様では、下記の化合物から選択される放射線防護剤を提供する。
Figure 0005639763
本発明のさらに別の実施態様では、放射線損傷から患者を防護するかまたは患者の放射線損傷を軽減する方法であって、上述した放射線防護化合物の有効量を、対象の放射線への曝露前または曝露を継続する前に、対象に投与する工程を含む方法を提供する。
本発明のさらに別の実施態様では、非腫瘍細胞および組織の損傷を最小化するための有効量の上述した放射線防護化合物を、癌治療を必要とする対象の非腫瘍細胞および組織に選択的に投与する工程と、対象の腫瘍部位を放射線に曝露させる工程とを含む癌の放射線治療方法を提供する。
本発明のさらに別の実施態様では、放射線損傷から生体物質を防護するかまたは生体物質の放射線損傷を軽減する方法であって、放射線への曝露前または曝露を継続する前に、上述した放射線防護化合物を生体物質に、化合物が生体物質中のDNAに結合するのに十分な時間曝す工程を含む方法を提供する。
本発明の別の実施態様では、上述した放射線防護化合物の、放射線防護剤としての使用を提供する。
本発明のさらに別の実施態様では、上述した放射線防護化合物の、放射線防護剤として使用するための医薬品の製造における使用を提供する。
本発明のさらに別の実施態様では、上述した放射線防護化合物の、癌の放射線治療に関連する放射線防護剤として使用するための医薬品の製造における使用を提供する。
本発明のさらに別の実施態様では、上述した放射線防護化合物と、1種以上の薬学的に許容される担体および/または希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。
実施例において、以下の図を参照する。
図1は、増加させた濃度(μM)の放射線防護剤と共にインキュベーションした後の、未照射細胞のコロニー生存率のプロットを示す。メチルプロアミン(式I;X=MeN、Y=N、Z=N、R=Me、R=NMe)のデータを○で表した。◆は、実施例1の化合物(オルトフルオロプロアミン)(式I;X=MeN、Y=N、Z=N、R=F、R=NMe)のデータを示す。 図2は、さまざまな放射線防護剤濃度(μM)に対して、12Gyの放射線量に曝露した細胞のコロニー生存率のプロットを示す。メチルプロアミン(式I;X=MeN、Y=N、Z=N、R=Me、R=NMe)のデータを○で表した。◆は、実施例1の化合物(オルトフルオロプロアミン)(式I;X=MeN、Y=N、Z=N、R=F、R=NMe)のデータを示す。
本明細書全体を通して、文脈から他が意図されない限り、「含む」の語または「含んでいる」などの語は、記載した整数または整数群を包含することを含むことを意図するが、他の整数または整数群を包含することを排除するものではない。
本明細書において、参考文献についての言及は、いかなる意味においても、これらの先行技術がオーストラリアの技術常識を形成することを示唆するものと解されるべきではない。
「電子供与性基」の用語は、最も広い意味で本明細書において使用され、一般に、ハメットの式によって定義される、負のハメット置換基定数σを有する置換基を包含する。ハメットの式を以下に示す:
Logk/k =σρ
式中、kは、置換された化合物の平衡定数または速度定数であり、kは、未置換の化合物の平衡定数または速度定数であり、ρは、定数であり、その値は、反応の種類および条件(例えば、溶媒)に依存する。最も通常には、ハメット置換基定数は、未置換安息香酸のイオン化定数に対する置換安息香酸のイオン化定数から導かれたものであり、広範な報告の蓄積がある(例えば、C. Hansch, A. Ieo and R.W. Taft, Chemical Reviews 91, 165-195, 1991を参照されたい。この開示全体を、参照により本明細書に組み込む。)。
電子供与性基には、これらだけに限られないが、場合により置換されていてもよいアルキル、場合により置換されていてもよいアルケニル、NHR’、NR’、OR’、およびSR’(式中、R’は、水素、場合により置換されていてもよいアルキル、または場合により置換されていてもよいアルケニルである)が含まれる。好ましくは、電子供与性基は、NHR’またはNR’である。少なくとも1個の電子供与性基が存在すると、問題となる化合物の放射線防護活性が増加すると考えられる。
理論により制限されることは望まないが、本発明の化合物により与えられる保護は、DNA上の、放射線により誘導された一過性の酸化種への、放射線防護剤の電子供与(還元)によって達成されると考えられる。放射線防護剤は塩基性基を含み得るので、これらの基が生理的pH下でプロトン化されると、この電子供与能力が実質的に低下することが予想される。本発明者らはさらに、フッ素または塩素などの電子求引性基を含ませると、ベンズイミダゾール部分の塩基性が低減し、これによって、放射線防護活性を大きく損失させることなく細胞毒性が低減され得ると推測した。
電子供与性基、場合により置換された環を有する式(I)で示される化合物の一般的な例を、一般構造A〜Jとして以下に示す。飽和環は、DNAへの結合の際の望ましくないエントロピー変化を低下させるだけでなく、隣接する環と同一平面上となることを妨げ、したがって分子間の重なりおよびその結果としての凝集を妨げると考えられる。
Figure 0005639763
Figure 0005639763
Figure 0005639763
(式中、R〜RおよびR〜R11は、同じであるかまたは異なり、水素、フッ素、塩素、および電子供与性基であり、R〜RおよびR〜R11の少なくとも1つは、FまたはClである。好ましくは、R〜RおよびR〜R11の他の少なくとも1つは、電子供与性基である。)
単独で、または例えば「場合により置換されていてもよいアルキル」、「場合により置換されていてもよいアミノアルキル」または「場合により置換されていてもよいアルキレン」などの句で使用する「アルキル」なる用語は、直鎖、分枝、またはモノ−またはポリ−環状の、アルキル、好ましくはC1〜C30アルキルまたはシクロアルキルを意味する。直鎖および分枝アルキルの例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、アミル、イソアミル、sec−アミル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、ヘキシル、4−メチルペンチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、1,2,2−トリメチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、5−メチルヘキシル、1−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,4−ジメチルペンチル、1,2,3−トリメチルブチル、1,1,2−トリメチルブチル、1,1,3−トリメチルブチル、オクチル、6−メチルヘプチル、1−メチルヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−メチルオクチル、1−、2−、3−、4−または5−エチルヘプチル、1−、2−または3−プロピルヘキシル、デシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−および8−メチルノニル、1−、2−、3−、4−、5−または6−エチルオクチル、1−、2−、3−または4−プロピルヘプチル、ウンデシル1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−メチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−エチルノニル、1−、2−、3−、4−または5−プロピルオクチル、1−、2−または3−ブチルヘプチル、1−ペンチルヘキシル、ドデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−または10−メチルウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−エチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−または6−プロピルノニル、1−、2−、3−または4−ブチルオクチル、1−2−ペンチルヘプチル等が含まれる。環状アルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、およびシクロデシル等が含まれる。
単独で、または例えば「場合により置換されていてもよいアルケニル」などの句で使用される「アルケニル」なる用語は、上記で定義したエチレン性モノ−またはポリ−不飽和アルキルまたはシクロアルキル基を含む、直鎖、分枝またはモノ−またはポリ環状アルケンから形成される基を意味し、好ましくはC2〜C30アルケニルを意味する。アルケニルの例には、ビニル、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソ−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチルシクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニル、1−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、シクロオクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、3−デセニル、1,3−ブタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1,3−シクロペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、1,3−シクロヘキサジエニル、1,4−シクロヘキサジエニル、1,3−シクロヘプタジエニル、1,3,5−シクロヘプタトリエニル、1,3,5,7−シクロオクタテトラエニル等が含まれる。
「ヘテロ原子を含んでいてもよい、場合により置換されていてもよい環」なる用語は、最も広い意味で本明細書において使用し、酸素、窒素、および硫黄から選択されるヘテロ原子を含んでいてもよい、飽和または不飽和、同種または異種の環状基(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールまたはヘテロシクリル)を意味する。シクロアルキルおよびシクロアルケニルの例は、上記に記載している。適切なアリールには、芳香族炭化水素の単核、多核、共役および融合の残基、例えば、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、クオーターフェニル、フェノキシフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、ジヒドロアントラセニル、ベンズアントラセニル、ジベンズアントラセニル、フェナントレニル等が含まれる。ヘテロシクリルの例には、N−含有ヘテロ環基、例えば、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、またはテトラゾリルなどの1〜4個の窒素原子を含む不飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
例えば、ピロリジニル、イミダゾリニル、ピペリジノ、またはピペラジニルなどの1〜4個の窒素原子を含む飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
例えば、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、またはテトラゾロピリダジニルなどの1〜5個の窒素原子を含む不飽和縮合ヘテロ環基;
例えば、ピラニルまたはフリルなどの酸素原子を含む不飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
例えば、チエニルなどの1〜2個の硫黄原子を含む不飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
例えば、オキサゾリル、イソキサゾリル、またはオキサジアゾリルなどの1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含む不飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
例えば、モルホリニルなどの1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含む飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
例えば、ベンズオキサゾリルまたはベンズオキサジアゾリルなどの1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含む不飽和縮合ヘテロ単環基;
例えば、チアゾリルまたはチアジアゾリルなどの1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含む不飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
例えば、チアゾリジニルなどの1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含む飽和3〜6員環ヘテロ単環基;および
例えば、ベンゾチアゾリルまたはベンゾチアジアゾリルなどの1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含む不飽和縮合ヘテロ単環基などが含まれる。
本明細書では、「場合により置換されていてもよい」は、基が、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、カルボキシ、ベンジルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアルキニルオキシ、ハロアリールオキシ、ニトロ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、アジド、アミノ、アルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、ベンジルアミノ、アシル、アルケニルアシル、アルキニルアシル、アリールアシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルデヒド、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロキシ、ヘテロシクリルアミノ、ハロヘテロシクリル、アルキルスルフェニル、アリールスルフェニル、カルボアルコキシ、カルボアリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオなどから選択される1個以上の基で更に置換されていてもよく、または置換されていなくてもよいことを意味する。
式(I)の化合物の塩類は、好ましくは、薬学的に許容されるものであるが、薬学的に許容される塩類以外も、それらは薬学的に許容される塩類の製造における中間体として有用であるから、本発明の範囲内にあると認められる。薬学的に許容される塩類の例には、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、およびアリキルアンモニウムなどの薬学的に許容されるカチオンの塩類;塩酸、オルソホスフィン酸、硫酸、リン酸、硝酸、カルボン酸、ホウ酸、スルファミン酸、および臭化水素酸などの薬学的に許容される無機酸の酸付加塩類;または酢酸、プロピオン酸、ブチル酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、ムチン酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トリハロメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸、および吉草酸などの薬学的に許容される有機酸の塩類がある。
「薬学的に許容される誘導体」は、対象に投与した際に、式(I)の化合物またはそれらの活性代謝物または残基を(直接または間接的に)提供する能力のある、あらゆる薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、またはその他あらゆる化合物を意味する。
「プロドラッグ」なる用語は、本明細書では、インビボで式(I)の化合物に変換される化合物を含むその最も広義の意味で使用する。
「互変異性体」なる用語は、本明細書では、2つの異性体形態間の平衡状態で存在し得る式(I)の化合物を含むその最も広義の意味で使用する。このような化合物類は、2つの原子または基をつなぐ結合および化合物中でのそれらの原子または基の位置が異なり得る。この用語は、特に、ケト−エノール互変異性体を包含する。
本発明の化合物は、電子的に中性であるか、または電子的中性のために会合したアニオンを有するポリカチオン類であり得る。適切な会合アニオン類には、スルフェート、タータレート、シトレート、クロライド、ニトレート、ニトライト、ホスフェート、ペルクロレート、ハロスルホネート、またはトリハロメチルスルホネートが含まれる。
式(I)の好ましい化合物は、Xがアルキルアミノであり、YおよびZがNであり、RおよびRの1つまたは両方が電子供与性基であり、R〜Rの少なくとも1つが(電子供与性基ではない場合には)FまたはClである化合物である。最も好ましくは、R〜Rの少なくとも1つがFである。特に好ましい電子供与性基には、−N(CH)、−NH(CH)、−OCH、および−OCHCHが含まれる。
本発明の特に好ましいさらなる実施態様では、RおよびRが電子供与性基である場合において、Rおよび/またはRがFまたはCl(好ましくはF)である。
本発明によるいくつかの好ましい化合物の構造を、以下に構造K〜Wとして示す。
Figure 0005639763
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本発明は、対象もしくは生体物質を放射線損傷から防護する方法、または対象もしくは生体物質への放射線損傷を軽減する方法であって、対象に本発明の式(I)の放射線防護化合物の有効量を投与することもしくは生体物質を本発明の式(I)の放射線防護化合物の有効量に曝すことを含む方法も提供する。
「放射線損傷から保護する」なる句は、対象内または生体物質内の組織または細胞が所与の量の放射線(例えば、電離放射線、赤外放射線、紫外放射線)への曝露後に被ると予想される損傷と比較して、損傷が、放射線防護剤の存在に起因して、回避され、最小化され、または軽減されることを意味する。「線量変更係数(Dose Modification Factor)」(DMF)は、防護剤の存在下で所定の効果を上げるのに必要とされる放射線量の、防護剤の非存在下で同じ効果を上げるのに必要とされる放射線量に対する比率を表す。
放射線損傷は、電離放射線などの放射線源にさらされた結果起こり得る。「電離性放射線」なる用語は、本明細書では、結合を電離するのに十分なエネルギーを有する光子のことを表し、例えば、放射性核由来のα、β、およびγ線およびx線である。
「生体物質」なる用語は、本明細書では、その最も広義の意味で使用し、生物学的に誘導されたかまたは誘導可能な成分を少なくとも1つ含む物質のあらゆる組成物を含む。本発明に包含される生体物質には、タンパク質およびその他のタンパク質性物質(抽出物を含み、あるいはタンパク質および化学修飾タンパク質またはこれらの抽出物を含む);組織液、組織抽出物、または器官;動物、植物または微生物組織、体液または体液由来の生成物を含む抽出物;生物学的に誘導した非タンパク質性物質、例えば、これらに限定されないが、脂質類、炭化水素類、およびビタミン類(これらの抽出物および誘導体を含む);組換え産物(染色体物質、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、tRNA、リボゾーム、および核物質などの遺伝物質を含む);および動物細胞、植物細胞、微生物細胞全体またはその抽出物が含まれる。
前述の通り、本発明の生体物質は、細胞、組織、または器官、あるいはペプチド、例えば植物由来のタンパク質もしくは核酸、動物、または微生物源、ならびに天然由来の物質を模擬したかまたは類似の合成産物の形態をとることができる。放射線防護化合物を用いて、例えば、生存しているかまたは死後の有機体の実験系における放射線損傷、あるいは治療後にもとのホストに戻すか新たなホストに移植することができる生体外の細胞、組織、または器官の放射線損傷から保護することができる。
例えば、生体物質は、ヒトまたは動物対象の形態、例えば、実験動物(例えば、マウス、ラット、テンジクネズミ、ヤギ、ブタ)、愛玩動物(例えば、イヌ、ネコ)、農業動物(ウマ、ウシ、ヒツジ、ロバ、ヤギ、ブタ)、は虫類、鳥類、捕獲野生動物の形態であってもよい。好ましくは、対象は、哺乳動物であり、最も好ましくはヒトである。本発明の放射線防護化合物の重要な用途は、ヒト患者における放射線治療に関連する使用である。しかし、本化合物は、放射線への意図しない曝露もしくは継続する曝露(例えば、テロリズムによる曝露、軍事的曝露、または職業的曝露など)からの保護からの保護を提供するために使用することもできる。
好ましくは、生体物質(ヒトまたは動物対象を含む)を、予想される放射線曝露または継続する曝露に先だって、放射線防護化合物に十分な時間、例えば、約1分〜約3日間の間、好ましくは約10分間〜約6時間の間、より好ましくは約20分間〜約4時間の間、最も好ましくは約30分〜約2時間の間曝す。好ましくは、放射線防護化合物を放射線曝露に先立って投与する時間は、その化合物が生体物質中でDNAと親和するのに十分な時間である。好ましくは、放射線防護化合物は、放射線に曝露される可能性があるがそのような放射線曝露から保護することが意図される、細胞、組織、または器官に選択的に投与される。例えば、癌放射線治療に関連する投与の場合、放射線治療の過程で放射線に曝露される可能性が高い腫瘍または病変の周囲の正常組織または細胞に、化合物を選択的に投与することが好ましい。優先的な投与は、所望の腫瘍または細胞に直接適用することによって、あるいは特定の細胞または組織を標的とするシステムを利用することによって達成することができる。例えば、本化合物と、特定の細胞または組織に選択的に結合する薬剤(例えば、問題となる特定の細胞または組織における上方制御された受容体に選択的に結合する薬剤)との複合体を形成させることが可能である。
本発明の化合物は、例えば、相互作用基を介して、薬剤との複合体を形成させてもよく、そうしてこの複合体を所望の腫瘍部位に特異的に送達することができる。適切な薬剤には、抗体またはタンパク質、たとえば、増殖因子などが含まれ得る。例えば、造血性増殖因子は、全身照射および骨髄移植の際に造血幹細胞の優先的な放射線防護の実現を可能にする。「相互作用基」なる用語は、本明細書において、その最も広義の意味で使用し、目標分子または薬剤、例えば、タンパク質またはその誘導体上の特定の基との結合を形成する能力がある基を意味する。相互作用基の例には、N(CHCOOH、N(CHCO(CHR、N(CH−SH、N(CH−NH、CH(CHCOOH、CH(CHCO(CHR、CH(CH−SH、およびCH(CH−NH(式中、nは1〜10であり、mは1〜10であり、かつRは場合により置換されていてもよいアルキルである)が含まれる。
本発明はさらに、本発明の放射線防護化合物を、癌治療を必要とする対象に投与する工程と、対象の腫瘍部位を放射線源に曝露させる工程とを含む、癌の放射線治療方法を提供する。「癌の放射線治療」なる用語は、本明細書では、その最も広義の意味で使用し、良性または悪性のいずれかであり得る腫瘍または病変に関する放射線治療を含む。
本発明の化合物は、有利なことに、他の薬物、例えば、化学療法剤、例えば、DNA中に生じた損傷が、電離性放射線により生じた損傷と類似するような方法でDNAに損傷を与える細胞毒性剤である擬似放射線剤などと併合して使用することができる。DNA鎖破壊を引き起こす擬似放射線剤の例には、ブレオマイシン、ドキソルビシン、アドリアマイシン、5FU、ネオカルシノスタチン、アルキル化剤、およびDNA付加生成物を生じるその他の薬剤が含まれる。本発明の放射線防護剤は、電離性放射線の作用に対する保護と同一の防護法で、これらの薬剤による損傷からDNAを防護することが期待される。臨床的な適用においては、放射線防護剤は、腫瘍に対する化学療法剤の作用を減じることがあるため、化学療法剤と一緒に全身投与されるようなことはありそうにない。しかし、問題の組織に対する局所施用が有利である場合がある。例えば、口腔粘膜炎は、ドキソルビシンなどの細胞毒性剤のやっかいな副作用であり、化学療法剤の投与前に本放射線防護剤を口内洗浄剤として投与すると、口腔以外の腫瘍に対する化学療法剤の作用を減じることなく、この副作用を改善できる。同様に、経口投与により胃腸管を保護でき、エアゾール吸入により肺を、または、例えばカテーテルを介する放射線防護剤の膀胱内送達により膀胱を保護できる。したがって、本発明による好ましい方法は、式(I)の化合物を、他の薬物、例えば、放射線擬似薬剤と併用して利用する方法である。
上述したように、本発明化合物またはその複合体の生体外での適用があり、その1つの例が骨髄移植に際するものである。骨髄移植は、一般に、対象から骨髄サンプルを入手し、対象の状態の悪化を見越して貯蔵しておく必要がある。その後、化学療法のかなり強烈な形態(すなわち、高用量)が投与される。この化学療法は、正常幹細胞を破壊するため、通常致死的なものであるが、対象自身の造血幹細胞の投与により対象を救出する。この手順に伴う問題点は、最初の幹細胞サンプルが腫瘍細胞によって汚染されやすいことであり、このため骨髄調製物から腫瘍細胞を取り除くために様々な手順が用いられることである。このときに、造血性増殖因子と複合体を形成した放射線防護剤を、骨髄細胞の懸濁液に添加することによって用いることができる。次いで、腫瘍細胞ではなく正常骨髄細胞が放射線の細胞死滅作用から選択的に防護されるという予想の下で、この懸濁液に放射線を照射することができる。
式(I)の化合物は、経口、直腸、鼻腔内、局所的(口内および舌下を含む)、膣内、膀胱内、および非経口的(皮下、筋肉内、静脈内、胸骨内、および皮内)を含む、あらゆる適切な経路によって治療のために投与できる。好ましくは、投与は、直腸、局所、膣内または非経口経路によるものであるが、好ましい経路は、対象の症状および年齢、処置される組織/腫瘍、対象内のその位置、および医師および獣医師の判断にによってさまざまである。式(I)の化合物は、放射線照射される腫瘍の周辺または近くにある組織へと直接投与することができる。
本発明は、医薬的にまたは獣医学的に許容る担体と共に、上述により定義した式(I)の化合物(「本発明の化合物」、「活性剤」、「有効成分」、または「放射線防護化合物」としても言及した化合物)を含む放射線防護組成物にも及ぶ。
本発明の組成物は、少なくとも1種の式(I)の化合物を、1またはそれ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、アジュバント、および/または賦形剤、および場合によりその他の薬物と共に含む。担体、希釈剤、アジュバント、および/または賦形剤は、それぞれ、組成物のその他の成分と適合し、かつ対象にとって有害ではないという点で、薬学的に「許容される」ものでなければならない。組成物には、経口、直腸、鼻腔内、局所的(口内および舌下を含む)、膣内、膀胱内、および非経口的(皮下、筋肉内、静脈内、および皮内)投与に適したものが含まれる。組成物は、適宜、用量ユニット形態で提供することができ、薬学分野でよく知られた方法により調製可能である。このような方法には、有効成分を、1つ以上の補助的な成分を構成する担体と一緒にするという工程が含まれる。一般的に、組成物は、有効成分を、液体担体、希釈剤、アジュバント、および/または、賦形剤もしくは細かく分割した固形担体または両方と、均等かつ完全に一緒にし、次いで、必要に応じて生成物を成形することによって製造する。通常の製薬組成物についての詳細な説明が、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, Mack Publishing Co., Easton, PA, USAに記載されている。この開示全体を、参照により本明細書に組み組む。
経口投与に適した本発明の組成物は、それぞれ予め定めた量の有効成分を含有するカプセル剤、サシェ、または錠剤;散剤または顆粒剤;水性または非水性液体中の液剤または懸濁剤;または、水中油型液体乳剤または油中水型液体乳剤などの別々のユニットとして提供することもできる。有効成分は、また、丸薬、舐剤、またはペーストとして提供することもできる。
錠剤は、場合により1つ以上の補助的な成分と共に、圧縮または成型することにより作成することができる。圧縮錠剤は、所望により、結合剤(例えば、架橋プロビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤(例えば、澱粉グリコール酸ナトリウム)、界面活性剤、および/または分散剤と共に混合した自由流動形態(粉末または顆粒など)の有効成分を、適切な機械にて圧縮することにより製造することができる。成型錠剤は、不活性液体希釈液で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械にて成型することにより作成することができる。錠剤は、場合により、コーティングしたり、打刻してもよく、また、有効成分の遅延放出または制御放出を提供するために、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを所望の放出プロファイルを提供するために様々な割合で用いて製剤化することもできる。所望により、錠剤に腸溶性コーティングを施し、胃以外の消化管部分で放出させることもできる。
口内の局所投与に適した組成物には、香味付けした基剤(通常、ショ糖、アカシア、またはトラガカントゴム)中に有効成分を含むトローチ剤;不活性基剤(例えば、ゼラチンおよびグリセリン、またはショ糖およびアカシアゴムなど)中に有効成分を含むパステル剤;および適切な液体担体中に有効成分を含む口内洗浄剤または噴霧剤がある。
皮膚への局所施用の場合、有効成分は、クリーム、軟膏、ゼリー、溶液、または懸濁液の形態であり得る。
眼への局所施用のために、有効成分は、滅菌した水性または非水性の適切なベヒクル中の溶液または懸濁液の形態であってよい。添加剤(例えば、緩衝剤、殺菌剤および防カビ剤を含む保存剤)(例えば、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ベンズアルコニウムクロリドまたはクロロヘキシジンなど)、および濃化剤(例えば、ヒプロメロースなど)を含めることもできる。
直腸投与用組成物は、常温では固体であるが直腸温度では液体であり、よって、直腸内で融解して有効成分を放出する適切な非刺激性賦形剤と共に、坐剤として提供することができる。このような賦形剤には、ココアバターまたはサリチレートがある。
鼻腔用組成物は、点鼻液または噴霧剤として局所的に、または鼻腔粘膜および/または肺の肺胞細胞に吸収されるのに適した形態で全身的に、与えることができる。
膣内投与に適した組成物は、有効成分に加えて、当分野で適切なことが知られている担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、フォーム、または噴霧製剤として与えることができる。
非経口投与に適した組成物には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および組成物を目的とする対象の血液と等張にするための溶質を含有していてよい水性および非水性の滅菌注射等張溶液;および、懸濁剤および濃化剤を含んでいてよい水性および非水性の滅菌懸濁液がある。これらの組成物は、単回投与容または多回投与容密封容器、例えば、アンプルおよびバイアルにて提供することができ、また、フリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵でき、使用直前に、滅菌液体担体(例えば注射用水)を添加することのみを必要とする。即席の注射溶液および懸濁液は、上述の種類の滅菌散剤、顆粒、および錠剤から製造できる。
好ましいユニット投与組成物は、有効成分の上記の1日の用量またはユニット、1日の副用量、または適切なその一部を含有する。本発明の化合物は、例えば、対象の1kgの体重に対して1日当たり(あるいは、好ましくは1回の放射線曝露ごとに)約0.01mg〜約500mgの量、対象の1kgの体重に対して1日当たりあるいは1回の放射線曝露当たり、好ましくは約0.1mg〜約100mgの量、より好ましくは約1.0mg〜約10mgの量で投与することができる。
式(I)の化合物は、獣医学用組成物の形態で使用する目的で提供することもでき、これは、例えば、当分野で常用の方法により製造することができる。このような獣医学用組成物の例は:
(a)経口投与、外部施用、例えば、水薬(例えば、水性または非水性液剤または懸濁剤);錠剤または丸薬;飼料と混合するための散剤、顆粒剤、またはペレット;舌に塗布するためのペースト;
(b)非経口投与、例えば、滅菌液剤または懸濁剤として皮下、筋肉内、または静脈注射による;または(適切な場合には)懸濁剤または液剤を乳首から乳房へと導入する乳房内注射によるもの;
(c)局所施用、例えば、皮膚へ塗布するクリーム、軟膏、または噴霧剤;または
(d)膣内投与、例えば、ペッサリー、クリーム、またはフォーム
に適したものである。
本発明の組成物は、特に上記した成分に加えて、当該組成物のタイプを顧慮して当分野で常用のその他の薬剤成分を含んでいてもよい。例えば、経口投与に適した組成物は、結合剤、甘味料、濃化剤、香料、崩壊剤、コーティング剤、保存剤、滑沢剤、および/または時間遅延剤などのような更なる薬剤を含んでいてもよい。
適切な甘味料には、ショ糖、ブドウ糖、アスパルテーム、またはサッカリンがある。適切な崩壊剤には、トウモロコシ澱粉、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、キサンタンゴム、ベントナイト、アルギン酸、または寒天がある。適切な香料には、ペパーミント油、冬緑油、チェリー、オレンジ、またはラズベリー香料がある。適切なコーティング剤には、アクリル酸および/またはメタクリル酸および/またはそのエステルのポリマーまたはコポリマー、ワックス、脂肪アルコール、ゼイン、セラック、またはグルテンがある。適切な保存剤には、安息香酸ナトリウム、ビタミンE、アルファ−トコフェロール、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、または重亜硫酸ナトリウムがある。適切な滑沢剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、またはタルクがある。適切な時間遅延剤には、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルがある。
本発明の放射線防護剤の主たる適用は、癌の放射線治療におけるものである。放射線治療において問題となる皮膚、口腔粘膜、食道粘膜、膣粘膜、および膀胱上皮などの正常組織の多くは、本発明の放射線防護剤により局所的に防護することができる。
このような局所的放射線防護剤に対して2つの別個の背景がある。第1に、これらの組織にてしばしば起こる窮迫性急性反応を低減する可能性がある。これらの急性反応は、一過性であることもあるが、その改善が対象にとって有益であることは明らかである。別の背景は、急性反応が腫瘍に輸送され得る放射線量を制限するという状況である。一例は、加速分割法においてであり、急性反応が線量を制限し得る。従って、放射線防護剤の適用により、より多くの放射線量の使用が可能となり、よって、治療の見込みが増大する。
局所適用の他に、本発明の放射線防護剤の薬物分布特性により、高い治療比率を達成し得るその他の方法が提供される。その例には、脳および肺の腫瘍がある。
脳の場合、内皮細胞が、正常脳組織に対する放射線の有害作用の点で重要な放射線感受性ターゲットであると考えられている。本発明の放射線防護剤の投与により、正常脳中の重要な内皮細胞が防護されることになる。相当する腫瘍中の細胞も防護されるが、これらの細胞は十分に酸化されており、したがって腫瘍中では最も放射線感受性の細胞である。腫瘍中のより遠位の細胞は、低酸素性であるため、放射線防護剤の到達範囲外であろう。このことは、正常内皮細胞および腫瘍の酸素性(放射線感受性)細胞が等しく防護されることを意味している。そのうえ、この放射線防護は、より多くの放射線量を使用可能にすることができ、腫瘍中の低酸素性細胞を死滅させる機会を増大するであろう。腫瘍組織および正常組織のいずれの内皮細胞にも等しく効果があるという事実は、治療比率に対していかなる影響も与えない。治療比率が、正常組織損傷に関する負い目を伴わずに、低酸素性腫瘍細胞の死滅の増加によって高くなる。
肺の腫瘍の場合、本発明の放射線防護剤は、肺胞細胞に送達される。肺腫瘍の内皮細胞もまた防護され得るが、腫瘍中のより遠位の細胞は防護されない。更に、一部の肺腫瘍の循環は肺動脈によってではなく、気管支循環によるものであり、放射線防護剤は循環中を次に通過するまで肺腫瘍と接触しないので、肺腫瘍はより低い濃度にさらされる。
放射線防護剤のターゲッティングにより、放射線治療における治療比率の向上を達成することもできる。適切な例は、本発明の放射線防護剤と造血性増殖因子との複合体形成であり、全身照射および骨髄移植に際して造血幹細胞の優先的な放射線防護を達成する。
癌放射線治療に関する以外にも、本発明の放射線防護剤は、危険度の高い放射線照射の場面において予防的に使用できる。例えば、上述した造血性増殖因子との複合体をこの目的のために投与できる。より一般的には、式(I)で表される放射線防護剤を、放射線に曝露されるリスクがある場合、または継続している曝露の作用を最小限にする場合に、予防的に使用することができる。
上述した式(I)の化合物を、以下のとおり、スキーム1にしたがって製造することができる。
Figure 0005639763
スキーム1において、X、Y、Z、およびR〜R11は、式(I)に関して上述により定義したとおりであり、Rは下記式で表される。
Figure 0005639763
スキーム1中、Rは、最初にOを表す。このニトロアミン化合物(この化合物の例は、Kellyら(5)によって以前に報告されている)を、例えば、接触水素添加によって、ジアミン(式中、R=Hである)に還元する。次いで、このジアミンを、メタ亜硫酸水素塩の存在下で、直ちに所望のアルデヒドとカップリングさせて、目的とするビスベンズイミダゾールを製造する。スキーム1にしたがって製造した化合物の具体的な例を、以下に記述する。
当業者であれば、本明細書に記載した発明が、具体的に記載する発明以外の態様に変形および変更可能であることを理解するであろう。このような全ての変形および変更態様が本発明に包含されることを理解されたい。本発明は、本明細書で言及および指摘した全ての工程、特徴、組成物、および化合物を、個々にまたは全体としてまたはいずれかの組合せとして包含する。
本発明を、下記の実施例を参照して説明する。これらの実施例は、いかなる意味においても本発明を限定するものと解されるべきではない。
[フッ素化されたかまたは塩素化されたビスベンズイミダゾールの合成]
実施例(1)〜(10)の、フッ素化されたかまたは塩素化されたDNAリガンドを、スキーム2に示す一般スキームに従って製造した。既に報告(5)されているニトロアミン前駆体(P)を、接触水素化によって還元して相当する前駆体ジアミン(P)とし、次いで、直ちに、メタ亜硫酸水素塩の存在下でアルデヒド(i)〜(x)とカップリングさせた。良好な収率で、ビスベンズイミダゾール(1)〜(10)がそれぞれ得られた。
Figure 0005639763
[方法]
融点は、電熱融点測定装置を使用して測定し、較正しなかった。プロトン(1H)および炭素(13C)核磁気共鳴(nmr)スペクトルは、Varian Inova 400またはVarian Inova 500スペクトロメータを使用して、記載した溶媒中の溶液として記録した(それぞれ、1Hについては399.77 MHzまたは499.69 MHz、13Cについては100.52 MHzまたは125.66 MHz)。1H nmrスペクトルは、テトラメチルシランからの100万分の1(ppm)単位の化学シフトとして測定し、多重度、カップリング定数、等価な核の数、および帰属を解析した。多重度の帰属において、略号sは一重線、dは二重線、tは三重線、qは四重線、brは幅広い線、およびmは多重線とした。多重線のほぼ中心の値を記載した。数滴のトリフルオロ酢酸-d(d-TFA)をメタノール-d4溶液に添加すると、芳香族領域において、ピークのブロード化を避け、溶解性を高めることが明らかとなった。数滴の酢酸をメタノール-d4溶液に添加する方法を用いて、13C nmrスペクトルの取得のために溶解性を高めた。マススペクトルは、Micromass Quattro IIマススペクトロメータを使用し、精密な質量分析は、メルボルン大学の化学科にてFinnigan LTQ-FTモデル高解像度マススペクトロメータを使用して行った。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、Merck silica gel 60 F254 aluminium sheetまたはMerck neutral aluminium oxide 150 F254 sheetを用いて行った。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、Ajaxシリカゲル230〜400メッシュを用いて行った。
ニトロベンズイミダゾール(P)は、Kellyら(5)によって既に報告されているとおりに製造した。
[実施例1]
4-ジメチルアミノ-2-フルオロ-1-(5’-(5’’-(4’’’-メチルピペラジン-1’’’-イル)ベンズイミダゾール-2’’-イル)ベンズイミダゾール-2’-イル)ベンゼン(1)の製造
4-ジメチルアミノ-2-フルオロベンズアルデヒド(i) (1.98 g, 11.8 mmol)のエタノール(35 ml)溶液に、メタ亜硫酸水素ナトリウム(2.6 g, 13.7 mmol)の1:1 エタノール/水 (40 ml)溶液を加え、この混合物を10分間加温した。次いで、ジアミン(PH)のエタノール(50 ml)溶液(3.22 gのニトロアミン(PO)の接触水素化により得たもの、9.14 mmol)を添加し、この混合物を、窒素下で21時間還流させた。次いで、冷却管を蒸留管に置き換えて、約50 mlの反応溶媒を蒸留によって除去した。残った反応混合物を、-20℃に冷却し、黄色固体を集め、希アンモニア水(6%, 50 ml)、水(50 ml)、アセトン(2 x 20 ml)、およびエーテル(50 ml)で注意深く洗浄した後、減圧下で乾燥させて、4-ジメチルアミノ-2-フルオロ-1-(5’-(5’’-(4’’’-メチルピペラジン-1’’’-イル)ベンズイミダゾール-2’’-イル)ベンズイミダゾール-2’-イル)ベンゼン(1)を、淡黄色粉末として得た(2.50 g, 58%)。これをさらにエタノールから再結晶して精製した。融点は240℃より高い。
1H nmr (500 MHz, d4-MeOH + 2滴のd-TFA) δ 3.01, s, 3H, 4’’’-MeN; 3.16, s, 6H, 4-Me2N; 3.20, t (J = 11.5 Hz), 2H, NCH2; 3.34, dt (J = 3.0, 13.0 Hz), 2H, NCH2; 3.69, d (J = 12.0 Hz), 2H, NCH2; 3.98, d (J = 13.5 Hz), 2H, NCH2; 6.75, dd (J = 2.5, 16.0 Hz), 1H, H3; 6.84, dd (J = 2.5, 9.5 Hz), 1H, H5; 7.35, d (J = 2.0 Hz), 1H, H4”; 7.45, dd (J = 2.5, 9.0 Hz), 1H, H6”; 7.76, d (J = 9.0 Hz), 1H, H7”; 7.97, app t (J = 9.0 Hz), 1H, H6; 8.02, d (J = 8.5 Hz), 1H, H7’; 8.21, dd (J = 1.5, 8.7 Hz), 1H, H6’; 8.50, d (J = 1.5 Hz), 1H, H4’. 13C nmr (100 MHz, d4-MeOH + 3 drops HOAc) δ 39.9, 4-Me2N; 43.6, 4’’’-MeN; 49.3, C2’’’/6’’’; 54.6, C3’’’/5’’’; 98.7, d (2JCF = 26 Hz), C3; 102.1, C4”; 102.9, d (2JCF = 11 Hz), C1; 109.0, C5; 113.2, C4’; 115.6, C7’; 116.1, 116.5, C6”, C7”; 122.3, C6’; 123.0, C5’; 131.0, d (3JCF = 3 Hz), C6; 133.8, C7a”; 138.4, 138.6, C3a’, C3a”; 140.3, C7a’; 148.5, C5”; 150.8, 152.5, C2’, C2”; 154.6, d (3JCF = 12 Hz), C4; 162.7, d (1JCF = 246 Hz), C2. MS (ESI +ve) m/z 470 (M+H, 50%). HRMS (ESI +ve) m/z 470.2461, C27H29FN7 の理論値は 470.2463 (Δ = 0.4 ppm).
[実施例2]
2,6-ジフルオロ-4-ジメチルアミノ-1-(5’-(5’’-(4’’’-メチルピペラジン-1’’’-イル)ベンズイミダゾール-2”-イル)ベンズイミダゾール-2’-イル)ベンゼン(2)の製造
2,6-ジフルオロ-4-ジメチルアミノベンズアルデヒド(ii) (0.20 g, 1.1 mmol) のエタノール(10 ml)溶液を、メタ亜硫酸水素ナトリウム(0.246 g, 1.3 mmol)の水 (1 ml)溶液で処理し、次いで、この合わせた混合物を、ジアミン(PH)(0.29 g, 0.9 mmol)のエタノール(14 ml)溶液に添加し、この混合物を、窒素下で24時間還流させた。この反応混合物を冷却し、溶媒をロータリーエバポレーターによって除去し、残渣を希アンモニア水(6%, 2 x 20 ml)、アセトニトリル(2 x 20 ml)、およびエーテル(2 x 20 ml)で処理した(各処理後に遠心分離を行い、上清を除去した)。得られた固体を減圧下で乾燥させて、2,6-ジフルオロ-4-ジメチルアミノ-1-(5’-(5’’-(4’’’-メチルピペラジン-1’’’-イル)ベンズイミダゾール-2”-イル)ベンズイミダゾール-2’-イル)ベンゼン(2)を、淡褐色粉末として得た(0.362 g, 82%)。融点 259〜261℃。
1H nmr (500 MHz, d4-MeOH + 3 drops d-TFA) δ 3.02, s, 3H, 4’’’-MeN; 3.17, s, 6H, 4-Me2N; 3.23, t (J = 12 Hz), 2H, NCH2; 3.36, m (不明瞭), NCH2; 3.70, d (J = 12.0 Hz), 2H, NCH2; 3.99, d (J = 13.5 Hz), 2H, NCH2; 6.69, d (J = 14.5 Hz), 2H, H3/5; 7.34, d (J = 2.0 Hz), 1H, H4”; 7.45, dd (J = 2.0, 9.5 Hz), 1H, H6 ”; 7.77, d (J = 9.0 Hz), 1H, H7”; 8.06, d (J = 8.5 Hz), 1H, H7; 8.25, dd (J = 1.5, 9.0 Hz), 1H, H6’; 8.56, d (J = 1.5 Hz), 1H, H4’. 13C nmr (100 MHz, d4-MeOH + 3 drops HOAc) δ 40.0, 4-Me2N; 43.6, 4’’’-MeN; 49.4, C2’’’/6’’’; 54.6, C3’’’/5’’’; 94.4, t (2JCF = 16 Hz), C1; 95.8, d (2JCF = 28 Hz), C3/5; 102.4, C4”; 113.9, C4’; 116.1, 116.4, 116.6, C6”, C7’, C7”; 122.6, C6’; 124.0, C5’; 134.7, C7a”; 139.0, 139.2, C3a’, C3a”; 140.5, C7a’; 146.5, C2’ or C2”; 148.5, C5”; 153.1, C2” or C2’; 154.0, t (3JCF = 14 Hz), C4; 162.9, dd (3JCF = 10 Hz, 1JCF = 248 Hz), C2/6. MS (ESI +ve) m/z 488 (M+H, 10%).
[実施例3]
2-フルオロ-4-メチルアミノ-1-(5’-(5’’-(4’’’-メチルピペラジン-1’’’-イル)ベンズイミダゾール-2’’-イル)ベンズイミダゾール-2’-イル)ベンゼン(3)の製造
2-フルオロ-4-メチルアミノベンズアルデヒド(iii) (0.10 g, 0.65 mmol)のエタノール(10 ml)溶液を、メタ亜硫酸水素ナトリウム(0.15 g, 0.8 mmol)の水 (5 ml)溶液で処理し、この混合物を穏やかに10分間加熱した。ジアミン(PH)(0.16 g, 0.5 mmol)のエタノール(16 ml)溶液を添加し、この混合物を、窒素下で21.5時間還流させた。この反応混合物を冷却し、濾過し、濾過した固体を希アンモニア水(6%, 2 x 10 ml)、アセトン(2 x 10 ml)、およびエーテル(2 x 10 ml)で洗浄した後、減圧下で乾燥させて、2-フルオロ-4-メチルアミノ-1-(5’-(5’’-(4’’’-メチルピペラジン-1’’’-イル)ベンズイミダゾール-2’’-イル)ベンズイミダゾール-2’-イル)ベンゼン(3)を、褐色粉末として得た(0.165 g, 73%)。
1H nmr (500 MHz, d4-MeOH + 3 drops d-TFA) δ 2.91, s, 3H, 4-MeN; 3.01, s, 3H, 4’’’-MeN; 3.20, t (J = 12 Hz), 2H, NCH2; 3.34, m (不明瞭), NCH2; 3.69, d (J = 11 Hz), 2H, NCH2; 3.98, d (J = 13 Hz), 2H, NCH2; 6.59, dd (J = 2.0, 15.0 Hz), 1H, H3; 6.70, dd (J = 2.5, 9.0 Hz), 1H, H5; 7.35, d (J = 2.0 Hz), 1H, H4”; 7.45, dd (J = 2.5, 9.0 Hz), 1H, H6”; 7.76, d (J = 9.0 Hz), 1H, H7”; 7.89, app t (J = 8.8 Hz), 1H, H6; 8.01, d (J = 8.5 Hz), 1H, H7’; 8.21, dd (J = 1.5, 8.8 Hz), 1H, H6’; 8.49, d (J = 1.0 Hz), 1H, H4’. 13C nmr (125 MHz, d4-MeOH + 1 drop HOAc) δ 29.9, 4-MeHN; 44.3, 4’’’-MeN; 50.1 C2’’’/6’’’; 55.1, C3’’’/5’’’; 98.4, d (2JCF = 25 Hz), C3; 102.6, C4”; 104.4, d (2JCF = 18 Hz), C1; 110.0, C5; 113.7, C4’; 115.8, C7’; 116.39, 116.43, C6”, C7”; 122.3, C6’; 124.6, C5’; 131.5, d (3JCF = 7 Hz), C6; 135.5, C7a”; 139.77, 139.85, C3a’, C3a”; 141.2, C7a’; 148.6, C5”; 151.8, 153.7, C2’, C2”; 155.4, d (3JCF = 12 Hz), C4; 163.4, d (1JCF = 248 Hz), C2. MS (ESI +ve) m/z 456 (M+H, 25%). HRMS (ESI +ve) m/z 456.2306, C26H27FN7 の理論値は 456.2306 (Δ = 0.0 ppm).
[実施例4]
2-クロロ-4-ジメチルアミノ-1-(5’-(5”-(4’’’-メチルピペラジン-1’’’-イル)ベンズイミダゾール-2”-イル)ベンズイミダゾール-2’-イル)ベンゼン(4)の製造
20% MeOH/EtOAc (20 ml)中のニトロアミン(PN) (0.115 g, 0.327 mmol)を、大気圧下、5% Pd/Cの存在下で水素化した。3時間後に、触媒を、セライトを通して濾過することにより除去し、濾液を蒸発させた。次いで、このジアミン残渣を光から遮蔽し、窒素下に置いた。1:1 EtOH/H2O (3 ml)中のメタ亜硫酸水素ナトリウム(0.327 mmol)を、EtOH (3 ml)中の2-クロロ-4-ジメチルアミノベンズアルデヒド (iv) (0.06g, 0.327 mmol)に加えた。次いで、EtOH (3 ml)中の前記ジアミン(PH)を、前記アルデヒド/メタ亜硫酸水素錯体に添加し、混合物を還流下で4時間撹拌した。得られた混合物を0℃にて3日間冷却し、得られた沈殿物を濾過により単離し、(4) (0.1 g)を茶色粉末として得た。
1H nmr (500 MHz, d4-MeOH + 3 drops d-TFA) δ 3.00, s, 3H, MeN; 3.14, s, 6H, Me2N 3.23, t (J = 12.0 Hz), 2H, NCH2; 3.34, m (不明瞭), 2H, NCH2; 3.68, d (J = 11.0 Hz), 2H, NCH2; 3.98, d (J = 14.0 Hz), 2H, NCH2; 6.93, dd, (J = 2.0, 8.5 Hz), 1H, H5, 7.00, d, (J = 2.0 Hz), 1H, H3; 7.40, bs, 1H, H4”; 7.44, dd (J = 2.0, 8.5 Hz), 1H, H6”; 7.77, d (J = 8.8 Hz), 1H, H7”; 7.84, d, (J = 9.0 Hz), 1H, H5; 8.08, d (J = 8.8 Hz), 1H, H7’; 8.26, dd (J = 2.0, 8.5 Hz), 1H, H6’; 8.59, d (J = 1.5 Hz), 1H, H4’. HRMS (ESI +ve) m/z 486.2162 理論値= 416.2168, (Δ = 1.2 ppm).
[実施例5]
3-フルオロ-4-メトキシ-1-(5’-(5”-(4’’’-メチルピペラジン-1’’’-イル)ベンズイミダゾール-2”-イル)ベンズイミダゾール-2’-イル)ベンゼン(5)の製造
20% MeOH/EtOAc (20 ml)中のニトロアミン(PO) (0.45 g, 1.3 mmol)を、大気圧下、5% Pd/Cの存在下で水素化した。5時間後に、触媒を濾過により除去し、濾液を蒸発させて、ジアミン(PH)を橙色の残渣として得た。1:1 EtOH/H2O (20 ml)中のメタ亜硫酸水素ナトリウム(0.49 g, 2.6 mmol)を、EtOH (20 ml)中の3-フルオロ-4-メトキシベンズアルデヒド (v) (0.40g, 2.6 mmol)に加えた。新たに調製したEtOH (40 ml)中の前記ジアミン(PH)を、前記アルデヒド/メタ亜硫酸水素錯体に添加し、混合物を還流下で20時間撹拌した。混合物を蒸発させ、得られた残渣をEt2Oおよび熱クロロホルムで洗浄した。得られた固体を最小量のEtOHに溶解させた後、Et2Oで処理し、得られた固体を濾取した。次いで、これを1N HClに溶解させ、28%のNH3溶液を添加することによって再結晶した、濾過により、(5) (0.128 g)を茶色粉末として得た。
1H nmr (500 MHz, d4-MeOH + 3 drops d-TFA) δ 3.01, s, 3H, MeN; 3.22, t (J = 12.0 Hz), 2H, NCH2; 3.33, m , 2H, NCH2; 3.69, d (J = 12 Hz), 2H, NCH2; 3.97, d (J = 13.2 Hz), 2H, NCH2; 4.04, s, 3H, OCH3; 7.36, d (J = 2.2 Hz), 1H, H4”; 7.42, dd (J = 2.2, 9.3 Hz), 1H, H6”; 7.47, app t (J = 9.0 Hz), 1H, H4; 7.76, d (J = 9.0 Hz), 1H, H7”; 8.00, dd (J = 11.5, 2.1 Hz), 1H, H2; 8.05, dd, (J =8.8, 1.5 Hz ), 1H, H5; 8.08, d, (J = 8.5 Hz), 1H, H7’ 8.25, dd (J = 1.8, 8.6 Hz), 1H, H6’; 8.58, d (J = 1.7 Hz), 1H, H4’. 13C nmr (125 MHz, d4-MeOH + 1 drop HOAc) δ 43.6, 4’’’-MeN; 48.6 C2’’’/6’’’; 54.6, C3’’’/5’’’; 56.6 (OMe); C3; 101.3, C4”; 114.1, 114.3, 115.07 (C3, 3J CF = 21 Hz) 115.7 (ArCH), 116.5 (ArCH), 117.3 (ArCH), 120.2, (C5’/C1); 121.9 (C5’/C1);122.3 (C6’); 124.3 (C6); 130.7 (C7a’’), 136.3 (C3a’/C3a’’); 142.0 (C7a’); 149.0 (C5’’); 150.82 (4J CF = 10 Hz) (C4); 151.0 (C2’’/C2’); 153.05 (1J CF = 245 Hz) (C3); 153.9 (C2’/C2’’). HRMS (ESI +ve) m/z = 457.2140, 理論値= 457.2149, (Δ = 2.0 ppm).
[実施例6]
4-フルオロ-1-{5’-[5’’-(4’’’-メチルピペラジン-1’’’-イル)ベンズイミダゾール-2’’-yl]ベンズイミダゾール-2'-yl}ベンゼン(6)の製造
20% MeOH/EtOAc (20 ml)中のニトロアミン(PO) (0.500 g, 1.42 mmol)を、大気圧下、5% Pd/Cの存在下で水素化した。5時間後に、触媒を、セライトを通して濾過することにより除去し、濾液を蒸発させた。次いで、得られた残渣を光から遮蔽し、窒素下に置いた。1:1 EtOH/H2O (20 ml)中のメタ亜硫酸水素ナトリウム(0.437 g, 2.30 mmol)を、EtOH (20 ml)中の4-フルオロノベンズアルデヒド (vi) (0.29 g, 2.30 mmol)に加えた。次いで、EtOH (40 ml)中の前記ジアミン(PH)を、前記アルデヒド/メタ亜硫酸水素錯体に添加し、混合物を還流下で20時間撹拌した。この混合物を室温に数時間で放冷した。濾過後に、得られた固体をEtOHで洗浄し、HCl(1N)で希釈し、28% NH3溶液で再結晶させて、純粋な(6)を得た(0.230 g)。
1H nmr (500 MHz, d4-MeOH + 3 drops d-TFA) δ 3.01, s, 3H, MeN; 3.23, t (J = 12.0 Hz), 2H, NCH2; 3.34, m (不明瞭), 2H, NCH2; 3.69, d (J = 11.5 Hz), 2H, NCH2; 3.97, d (J = 14.0 Hz), 2H, NCH2; 7.35, d (J = 2.0 Hz), 1H, H4”; 7.42, dd (J = 2.3, 9.3 Hz), 1H, H6”; 7.48, app t (J = 9.0 Hz), 2H, H3/5; 7.75, d (J = 9.0 Hz), 1H, H7”; 8.07, d (J = 8.5 Hz), 1H, H7’; 8.22, dd (J = 2.0, 8.5 Hz), 1H, H6’; 8.26, dd (J = 5.0, 9.0 Hz), 2H, H2/6; 8.58, d (J = 1.5 Hz), 1H, H4’. HRMS (ESI +ve) m/z = 428.2025, 理論値= 428.2074, (Δ = 13.8 ppm).
[実施例7]
4-ジメチルアミノ-3-フルオロ-1-(5’-(5”-(4’’’-メチルピペラジン-1’’’-イル)ベンズイミダゾール-2”-イル)ベンズイミダゾール-2’-イル)ベンゼン(7)の製造
ニトロアミン(PO)および4-ジメチルアミノ-3-フルオロアルテ゛ヒト゛(vii)から、(1)の製造について記述した方法によって、(7)を淡黄色粉末として得た。
1H nmr (500 MHz, d4-MeOH + 2滴のd-TFA) δ 2.99, s, 3H, MeN; 3.15, s, 6H, 4-Me2N; 3.22, t (J = 11.5 Hz), 2H, NCH2; 3.34, m, 2H, NCH2; 3.68, d (J = 11.9 Hz), 2H, NCH2; 3.96, d (J = 13.5 Hz), 2H, NCH2; 7.11, apt (J = 8.5 Hz), 1H, H5; 7.37, d (J = 2.0 Hz), 1H, H4”; 7.44, dd (J = 2.5, 9.3 Hz), 1H, H6”; 7.76, d (J = 9.0 Hz), 1H, H7”; 7.90, dd (J = 2.0, 14.7 Hz), 1H, H2; 7.92, dd, (J = 2.0, 9.0 Hz), 1H, H2; 8.03, d (J = 8.5 Hz), 1H, H7’; 8.24, dd (J = 1.5, 6.9 Hz), 1H, H6’; 8.54, d (J = 1.5 Hz), 1H, H4’. HRMS (ESI +ve) m/z = 470.2459 理論値= 470.2463, (Δ = 0.8 ppm).
[実施例8]
2-フルオロ-5-メチルアミノ-1-(5’-(5’’-(4’’’-メチルピペラジン-1’’’-イル)ベンズイミダゾール-2’’-イル)ベンズイミダゾール-2’-イル)ベンゼン(8)の製造
エタノール(5 ml)中の2-フルオロ-5-メチルアミノベンズアルデヒド(viii) (155 mg, 1.01 mmol)に、メタ亜硫酸水素ナトリウム(206 mg, 1.08 mmol)の水(1 ml)溶液を、ゆっくりと添加した。次いで、得られた混合物を、ジアミン(0.92 mmolのニトロアミンPOの接触水素化によって製造したもの)のエタノール(5 ml)溶液に、移すための追加的なエタノール(5 ml)と共に添加した。この混合物を、窒素下で16.5時間還流させた後、冷却し、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。残渣を希アンモニア水(6%, 3 x 10 ml)、アセトニトリル(2 x 10 ml)、およびジエチルエーテル(2 x 10 ml)で処理した(各処理後に遠心分離を行って上清を除去した)。得られた固体を減圧下で乾燥させて、淡褐色粉末を得た。これを4:1 酢酸エチル/メタノール (3 ml)に溶解させ、同じ溶媒を用いてアルミナプラグ(中性, 活性度 I, 40 x 40 mm)を通して濾過して、-フルオロ-5-メチルアミノ-1-(5’-(5’’-(4’’’-メチルピペラジン-1’’’-イル)ベンズイミダゾール-2’’-イル)ベンズイミダゾール-2’-イル)ベンゼンを、淡橙褐色ガラス状固体(353 mg, 84%)を得た。融点195〜198℃。
1H nmr (500 MHz, d4-MeOH + 4滴のd-TFA) δ 3.00, s, 3H, 5-MeN or 4’’’-MeN; 3.02, s, 3H, 4’’’-MeN or 5-MeN; 3.20, t (J = 12.0 Hz), 2H, NCH2; 3.34, m (不明瞭), NCH2; 3.69, d (J = 12.0 Hz), 2H, NCH2; 3.97, d (J = 13.5 Hz), 2H, NCH2; 7.35, m, 2H, H4, H4”; 7.43, m, 2H, H3, H6”; 7.74, d (J = 9.0 Hz), 1H, H7”; 7.77, dd (J = 2.8, 5.8 Hz), 1H, H6; 8.04, d (J = 9.0 Hz), 1H, H7’; 8.15, dd (J = 8.5, 2.0 Hz), 1H, H6’; 8.55, d (J = 1.5 Hz), 1H, H4’. 13C nmr (100 MHz, d4-MeOH + 3 drops HOAc) δ 31.0, 5-MeHN; 43.6, 4’’’-MeN; 49.2, C2’’’/6’’’; 54.5, C3’’’/5’’’; 102.2, C4”; 112.0, C6; 114.6, C4’; 116.1, 116.5, 116.8, C6”, C7’, C7”; 117.4, d (3JCF = 7 Hz), C4; 117.7, d (2JCF = 23 Hz), C3; 117.8 (部分的に不明瞭), C1; 122.6, C6’; 123.5, C5’; 133.8, C7a”; 138.6, 139.7, C3a’, C3a”; 141.2, C7a’; 148.2, 148.5, C5, C5”; 151.0, 152.7, C2’, C2”; 154.0, d (1JCF = 238 Hz), C2. MS (ESI +ve) m/z 456 (M+H, 100%). HRMS (ESI +ve) m/z 456.23072, C26H27FN7 の理論値は 456.23065 (Δ = 0.2 ppm).
[実施例9]
5-ジメチルアミノ-2-フルオロ-1-(5’-(5’’-(4’’’-メチルピペラジン-1’’’-イル)ベンズイミダゾール-2’’-イル)ベンズイミダゾール-2’-イル)ベンゼン(9)の製造の製造
エタノール(5 ml)中の5-ジメチルアミノ-2-フルオロベンズアルデヒド(ix) (185 mg, 1.1 mmol)に、メタ亜硫酸水素ナトリウム(261 mg, 1.37 mmol)の水(1 ml)溶液を、ゆっくりと添加した。次いで、合わせた混合物を、ジアミン(1.04 mmolのニトロアミンPOの接触水素化によって製造したもの)のエタノール(5 ml)懸濁液に、移すための追加的なエタノール(5 ml)と共に添加した。その後、この混合物を、窒素下で24時間還流させた後、冷却し、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。残渣を希アンモニア水(6%, 2 x 15 ml)、アセトニトリル(2 x 10 ml)、およびジエチルエーテル(2 x 10 ml)で処理した(各処理後に遠心分離を行って上清を除去した)。得られた乾燥した褐色粉末(467 mg)を、メタノールから再結晶させ、熱濾過して、5-ジメチルアミノ-2-フルオロ-1-(5’-(5’’-(4’’’-メチルピペラジン-1’’’-イル)ベンズイミダゾール-2’’-イル)ベンズイミダゾール-2’-イル)ベンゼンを、淡褐色粉末として得た(348 mg, 71%)。融点231〜233℃。
1H nmr (500 MHz, d4-MeOH + 3 drops d-TFA) δ 3.00, s, 3H, 4’’’-MeN; 3.17, s, 6H, 5-Me2N; 3.24, app t (J = 13.0 Hz), 2H, NCH2; 3.34, m (不明瞭), NCH2; 3.68, d (J = 12.0 Hz), 2H, NCH2; 3.96, d (J = 13.5 Hz), 2H, NCH2; 7.34, d (J = 2.0 Hz), 1H, H4”; 7.43, m, 3H, H3, H4, H6”; 7.74, d (J = 9.0 Hz), 1H, H7”; 7.80, dd (J = 3.0, 5.5 Hz), 1H, H6; 8.08, dd (J = 0.8, 8.8 Hz), 1H, H7’; 8.20, dd (J = 2.0, 8.5 Hz), 1H, H6’; 8.60, dd (J = 1.8, 1.0 Hz), 1H, H4’. 13C nmr (100 MHz, d4-MeOH + 3 drops HOAc) δ 41.1, 5- Me2N; 43.6, 4’’’-MeN; 49.4, C2’’’/6’’’; 54.6, C3’’’/5’’’; 102.4, C4”; 113.4, C6; 114.6, C4’; 116.3, 116.5, 116.7, C6”, C7’, C7”; 117.3, d (3JCF = 7 Hz), C4; 117.4 (部分的に不明瞭), C1; 117.6, d (2JCF = 23 Hz), C3; 122.7, C6’; 124.0, C5’; 134.4, C7a”; 139.0, 139.8, C3a’, C3a”; 141.2, C7a’; 148.5, 149.0, C5, C5”; 151.0, 152.9, C2’, C2”; 154.0, d (1JCF = 239 Hz), C2. MS (ESI +ve) m/z 470 (MH+, 100%). HRMS (ESI +ve) m/z 470.24612, C27H29FN7 の理論値は 470.24630 (Δ = 0.4 ppm).
[実施例10]
2,5-ジフルオロ-4-メチルアミノ-1-(5’-(5’’-(4’’’-メチルピペラジン-1’’’-イル)ベンズイミダゾール-2’’-イル)ベンズイミダゾール-2’-イル)ベンゼン(10)の製造
エタノール(16 ml)中の2,5-ジフルオロ-4-メチルアミノベンズアルデヒド(x) (250 mg, 1.46 mmol)の溶液に、メタ亜硫酸水素ナトリウム(270 mg, 1.42 mmol)の水(1 ml)溶液を、ゆっくりと添加した。次いで、合わせた混合物を、ジアミン(1.22 mmolのニトロアミンPOの接触水素化によって製造したもの)のエタノール(14 ml)懸濁液に添加した。その後、この混合物を、窒素下で16時間還流させた後、冷却し、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。残渣を希アンモニア水(6%, 2 x 20 ml)、アセトニトリル(2 x 20 ml)、およびジエチルエーテル(2 x 20 ml)で処理した(各処理後に遠心分離を行って上清を除去した)。得られた固体を、減圧下で乾燥して、2,5-ジフルオロ-4-メチルアミノ-1-(5’-(5’’-(4’’’-メチルピペラジン-1’’’-イル)ベンズイミダゾール-2’’-イル)ベンズイミダゾール-2’-イル)ベンゼンを、淡褐色粉末として得た(524 mg, 91%)。融点209〜215℃。
1H nmr (500 MHz, d4-MeOH + 3滴のTFA) δ 2.94, s, 3H, 4-MeN; 3.02, s, 3H, 4’’’-MeN; 3.22, t (J = 13 Hz), 2H, NCH2; 3.34, m (不明瞭), NCH2; 3.70, d (J = 13 Hz), 2H, NCH2; 3.97, d (J = 13 Hz), 2H, NCH2; 6.70, dd (J = 7.2, 14.0 Hz), 1H, H3; 7.34, d (J = 2.0 Hz), 1H, H4”; 7.42, dd (J = 2.3, 9.3 Hz), 1H, H6”; 7.76, m, 2H, H6, H7”; 7.99, d (J = 9.0 Hz), 1H, H7’; 8.18, dd (J = 2.0, 8.5 Hz), 1H, H6’; 8.47, d (J = 1.5 Hz), 1H, H4’.
[実施例11]
アルデヒドの製造
a)2-フルオロ-5-メチルアミノベンズアルデヒド(viii)の製造
ステップ1:2-フルオロ-5-メチルアミノベンゾニトリルおよび5-ジメチルアミノ-2-フルオロベンゾニトリルの製造
Figure 0005639763
5-アミノ-2-フルオロベンゾニトリル(2.50 g, 18.4 mmol)のメタノール(100 ml)中の懸濁液に、炭酸ナトリウム(7.66 g, 55.4 mmol, 3 eq.)、次いでヨウ化メチル(2.35 ml, 37.6 mmol, 2 eq.)を添加した。この混合物を、65℃のオイルバス中で、窒素下、23時間穏やかに還流させた。次いで、追加のヨウ化メチル(4.7 ml, 4 eq.)を添加し、還流をさらに23.5時間続けると、出発物質が全て消費された(TLCのRf0.09で確認)。この反応混合物を濃縮し、残渣をジエチルエーテル(100 ml)と水(100 ml)とに分配させた。水性相をエーテル(100 ml)で再び抽出し、合わせたエーテル抽出物を水(100 ml)、塩水(100 ml)で洗浄し、無水にし(MgSO4)、さらに蒸発させて、橙−褐色のオイル状固体(1.656 g)を得た。4:1 ヘキサン/クロロホルムで流出させるカラムクロマトグラフィー(中性 Al2O3 活性度 I, 40 x 150 mm)によって、5-ジメチルアミノ-2-フルオロベンゾニトリル(1.050 g, 35%)を、白色固体として得た。融点72〜72.5℃。3:2 ヘキサン/クロロホルムでさらに流出させて、2-フルオロ-5-メチルアミノベンゾニトリル(0.37 g, 13%)を、灰白色固体として得た。融点64〜65℃。
5-ジメチルアミノ-2-フルオロベンゾニトリル: 1H nmr (500 MHz, CDCl3) δ 2.94, s, 6H, NMe2; 6.76, dd (J = 3.3, 4.8 Hz), 1H, H6; 6.86, ddd (J = 9.0, 4.0, 3.5 Hz), 1H, H4; 7.04, dd (J = 8.5, 9.0 Hz), 1H, H3. 13C nmr (125 MHz, CDCl3) δ 40.7, NMe2; 101.0, d (2JCF = 16 Hz), C1; 114.9, CN; 115.0, d (3JCF = 3 Hz), C6; 116.6, d (2JCF = 20 Hz), C3; 118.3, d (3JCF = 6 Hz), C4; 147.0, C5; 155.3, d (1JCF = 247 Hz), C2. MS (ESI +ve) m/z 165 (M+H, 100%). HRMS (ESI +ve) m/z 165.08220, C9H10FN2の理論値は165.08225 (Δ = 0.1 ppm).
2-フルオロ-5-メチルアミノベンゾニトリル: 1H nmr (500 MHz, CDCl3) δ 2.82, s, 3H, NMe; 3.87, br, 1H, NH; 6.68, app t (J = 3.5 Hz), 1H, H6; 6.75, m, 1H, H4; 7.00, app t (J = 8.8 Hz), 1H, H3. 13C nmr (125 MHz, CDCl3) δ 30.7, NHMe; 101.1, d (2JCF = 17 Hz), C1; 113.9, C6; 114.7, CN; 116.8, d (2JCF = 21 Hz), C3; 118.7, d (3JCF = 7 Hz), C4; 145.8, C5; 155.8, d (1JCF = 246 Hz), C2. MS (ESI +ve) m/z 301 (2M+H, 60%), 151 (M+H, 100). HRMS (ESI +ve) m/z 151.06661, C8H8FN2の理論値は151.06660 (Δ = 0.1 ppm).
ステップ2:2-フルオロ-5-メチルアミノベンズアルデヒド(viii)の製造
Figure 0005639763
窒素下、室温にて撹拌している2-フルオロ-5-メチルアミノベンゾニトリル(307 mg, 2.04 mmol)の無水ジエチルエーテル(10 ml)溶液に、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(2.8 ml, トルエン中1.0 M, 2.8 mmol, 1.4当量)を、シリンジを用いて滴下することにより添加し、撹拌を19.5時間続けた。この溶液を氷浴中で冷却し、メタノール(1.0 ml)を滴下により添加し、混合物を1時間撹拌した後、1.0 M HCl (9 ml)を添加してさらに1時間撹拌した。この反応混合物をNaOH (0.4 g)で塩基性にし、次いで、エーテル(50 ml)と水(50 ml)とに分配させ、水性相をエーテル(50 ml)で再び抽出した。合わせたエーテル抽出液を塩水(50 ml)で洗浄し、MgSO4で無水にし、蒸発させて、橙色オイル(289 mg)を得た。これを100%ジクロロメタンで流出させるカラムクロマトグラフィー(シリカゲル, 30 x 190 mm)にかけて、2-フルオロ-5-メチルアミノベンズアルデヒド(viii)を黄色結晶固体(162 mg, 52%)として得た。融点36〜38℃。
1H nmr (500 MHz, CDCl3) δ 2.85, d (J = 5.0 Hz), 3H, NMe; 3.77, br, 1H, NH; 6.82, ddd (J = 9.0, 4.3, 3.3 Hz), 1H, H4; 6.97, dd (J = 5.5, 3.0 Hz), 1H, H6; 7.00, app t (J = 9.3 Hz), 1H, H3; 10.32, s, 1H, CHO. 13C nmr (100 MHz, CDCl3) δ 31.0, NHMe; 108.6, C6; 116.9, d (2JCF = 22 Hz), C3; 120.7, d (3JCF = 8 Hz), C4; 124.0, d (2JCF = 9 Hz), C1; 145.9, C5; 158.0, d (1JCF = 248 Hz), C2; 187.0, d (3JCF = 7 Hz), CHO. MS (ESI +ve) m/z 154 (M+H, 100%). HRMS (ESI +ve) m/z 154.06631, C8H9FNO の理論値は 154.06627 (Δ = 0.3 ppm).
b)5-ジメチルアミノ-2-フルオロベンズアルデヒド(ix)の製造
Figure 0005639763
窒素下、室温にて撹拌している、無水ジエチルエーテル(10 ml)中の5-ジメチルアミノ-2-フルオロベンゾニトリル(viii) (331 mg, 2.02 mmol)の溶液に、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(2.8 ml, トルエン中1.0 M, 2.8 mmol, 1.4当量)を、シリンジを用いて滴下することにより添加し、撹拌を19.5時間続けた。この溶液を氷浴中で冷却し、メタノール(1.0 ml)を滴下により添加し、混合物を1時間撹拌した後、1.0 M HCl (9 ml)を添加してさらに1時間撹拌した。この反応混合物をNaOH (0.4 g)で塩基性にし、次いで、エーテル(50 ml)と水(50 ml)とに分配させ、水性相をエーテル(50 ml)で再び抽出した。合わせたエーテル抽出液を塩水(50 ml)で洗浄し、MgSO4で無水にし、蒸発させて、橙色オイル(323 mg)を得た。これを100%ジクロロメタンで流出させるカラムクロマトグラフィー(シリカゲル, 30 x 170 mm)にかけて、5-ジメチルアミノ-2-フルオロベンズアルデヒド(ix)を明るい黄−緑色結晶オイル(228 mg, 68%)として得た。
1H nmr (400 MHz, CDCl3) δ 2.94, s, 6H, NMe2; 6.93, dt (J = 8.8, 4.0 Hz), 1H, H4; 7.03, app t (J = 9.4 Hz), 1H, H3; 7.07, dd (J = 3.4, 5.4 Hz), 1H, H6; 10.32, s, 1H, CHO. 13C nmr (100 MHz, CDCl3) δ 40.9, NMe2; 109.8, C6; 116.7, d (2JCF = 22 Hz), C3; 120.3, d (3JCF = 8 Hz), C4; 123.8, d (2JCF = 8 Hz), C1; 147.4, C5; 157.6, d (1JCF = 248 Hz), C2; 187.8, d (3JCF = 7 Hz), CHO. MS (ESI +ve) m/z 168 (M+H, 100%). HRMS (ESI +ve) m/z 168.08192, C9H11FNO の理論値は 168.08192 (Δ = 0.0 ppm).
c)2,5-ジフルオロ-4-メチルアミノベンズアルデヒド(x)の製造
ステップ1:2,5-ジフルオロ-4-メチルアミノベンゾニトリルの製造
Figure 0005639763
エタノール(20 ml)中の2,4,5-トリフルオロベンゾニトリル(0.575 g, 3.7 mmol)に、メチルアミン(30%水溶液, 4.2 ml, 37 mmol)を添加し、この混合物を3時間撹拌した。次いで、反応混合物を、エーテル(100 ml)と水(100 ml)とに分配させ、水相をエーテル(100 ml)で再び抽出した。合わせたエーテル抽出液を塩水(200 ml)で洗浄し、MgSO4で無水にし、蒸発させて、2,5-ジフルオロ-4-メチルアミノベンゾニトリル(0.549 g, 89%)を得た。融点160〜163℃。
1H nmr (500 MHz, CDCl3) δ 2.92, d (J = 5.0 Hz), 3H, NMe; 4.68, br, 1H, NH; 6.36, dd (J = 7.3, 10.8 Hz), 1H, H3; 7.10, dd (J = 6.0, 11.0 Hz), 1H, H6. MS (ESI +ve) m/z 169 (MH+, 100%).
ステップ2:2,5-ジフルオロ-4-メチルアミノベンズアルデヒド(x)の製造
Figure 0005639763
窒素下、室温にて撹拌している、無水ジエチルエーテル(40 ml)中の2,5-ジフルオロ-4-メチルアミノベンゾニトリル(0.509 g, 3.03 mmol) の溶液に、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(5.5 ml, トルエン中1.0 M, 5.5 mmol)を、シリンジを用いて滴下することにより添加し、撹拌を16時間続けた。この溶液を氷浴中で冷却し、メタノール(2.8 ml)を滴下により添加し、混合物を1時間撹拌した後、1.0 M HCl (9 ml)を添加してさらに1時間撹拌した。この反応混合物を、エーテル(50 ml)と水(50 ml)とに分配させ、水性相をエーテル(50 ml)で再び抽出した。合わせたエーテル抽出液を5%重炭酸ナトリウム溶液(34 ml)、次いで塩水で洗浄し、MgSO4で無水にし、蒸発させて、所望のアルデヒドと加水分解されていないイミンとの混合物(0.511 g)を得た。これを100%ジクロロメタンで流出させるシリカゲルのプラグを通して濾過して、純粋な2,5-ジフルオロ-4-メチルアミノベンズアルデヒド(x)を得た(0.481 g, 94%)。融点133〜138℃。
1H nmr (400 MHz, CDCl3) δ 2.95, s, 3H, NMe; 4.79, br, 1H, NH; 6.30, dd (J = 6.8, 12.0 Hz), 1H, H3; 7.41, dd (J = 6.0, 11.6 Hz), 1H, H6; 10.07, d (J = 3.2 Hz), 1H, CHO. 13C nmr (100 MHz, d6-dmso) δ 29.2, NHMe; 96.8, dd (2JCF = 28 Hz, 3JCF = 4 Hz), C3; 110.0, dd (2JCF = 11 Hz, 3JCF = 5 Hz), C1; 111.5, dd (2JCF = 28 Hz, 3JCF = 5 Hz), C6; 145.3, app t (2/3JCF = 14 Hz), C4; 146.8, d (1JCF = 237 Hz), C5; 162.9, d (1JCF = 250 Hz), C2; 183.9, d (3JCF = 5 Hz), CHO. MS (ESI +ve) m/z 194 (MNa+, 100%), 172 (MH+, 30). HRMS (ESI +ve) m/z 194.03877, C8H7F2NONa の理論値は 194.03879 (Δ = 0.1 ppm).
[実施例12]
細胞毒性および放射線防護性についてのコロニー生存細胞培養アッセイ
このアッセイでは、形質転換ヒトケラチノサイト細胞系(FEP1811)(Smithらの記載(6)と同じもの)と、クローン生存率を評価項目として用いる細胞毒性および放射線防護性の評価とを用いる。詳細は、Martinら(4)に記載されている(この開示全体を参照により本明細書に組み込む)が、手短にまとめると、中期対数期の単層培養物をさまざまな濃度の試験薬剤と共に1時間インキュベートした後、この単層を洗浄し、プロナーゼを用いて分散させて単細胞懸濁液とし、最後に適切な数の細胞をペトリ皿に分配する。8日間のインキュベーション後にコロニーの数をカウントする。放射線防護研究のためには、この単層培養物を、137Cs−ガンマ−細胞照射源内で12Gyの線量まで照射する。この放射線照射(1分当たり0.6Gyの線量速度を用いる照射)は、試験薬剤の添加の30分後に開始する。照射が完了した後、培養物のインキュベーションを、薬剤への曝露が合計60分間になるまで続ける。次いで、培養物を洗浄し、上述した細胞毒性のための実験と同様にコロニー生存率試験のためにプレートする。実験には、未処理の培養物を対照として含め、これらの対照のプレーティング効率を用いて試験培養物のプレーティング効率を修正し、全体的なコロニー生存率を算出した。
一般に、各実験では、4つまたは5つの異なる試験濃度の試験薬物を、放射線照射する場合およびしない場合において使用した。放射線未照射の細胞を用いた実験についてのデータを分析すると、細胞生存率と薬物濃度との間の関係を示す曲線(図1)が得られる。この曲線から、50%生存率(C50)に相当する濃度を決定した。図1に示した結果は、本発明の細胞毒性が、既知の放射線防護剤であるメチルプロアミン(Martinらによって記載されているもの(4))に対して低下していることを実証している。
放射線照射した細胞については、本発明の化合物の濃度が増大するにしたがって、初期にはコロニー生存率が高まり、放射線防護剤の効果を実証している。しかし、いくつかの化合物については、その細胞毒性に起因して、化合物の濃度が増大するにしたがって生存率が低下する。例えば図2のデータを非線形回帰分析すると、放射線照射のみ(薬剤なし)の生存率に対する最大生存率の比率である、防護係数(Protection Factor)(PF)が算出される。したがって、PFは放射線防護効率の尺度である。C50値およびPF値ならびに化合物番号を、これらの化合物の繰り返し実験研究に対する標準偏差値(SD)と共に、表1にまとめる。
Figure 0005639763
参考文献
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3. Young, S.D. and Hill, R.P., Brit. J. Cancer, 60, 715-721 (1989).
4. Martin RF, Broadhurst S, Reum ME, Squire CJ, Clark GR, Lobachevsky PN, White JM, Clark C, Sy D, Spotheim-Maurizot M, Kelly DP. In vitro studies with methylproamine: a potent new radioprotector. Cancer Res. 64(3):1067-70 (2004)
5. Kelly, D. P.; Bateman, S. A.; Hook, R. J.; Martin, R. F.; Reum, M. E.; Rose, M.; Whittaker, A. R. D. Aust. J. Chem. 1994, 47, 1751-1769
6. Smith PP, Bryant EM, Kaur P, ]" McDougall JK, Cytogenetic analysis of eight human papillomavirus immortalized human keratinocyte cell lines, Int. J. Cancer, 1989 Dec 15;44(6):1124-31.

Claims (12)

  1. 式(I)の放射線防護化合物およびその塩、および/またはその互変異性体:
    Figure 0005639763
    [式中、Xは、C〜C30直鎖アルキルで置換された窒素原子であり;
    YおよびZは、同じであるかまたは異なり、NおよびC(R’)から選択され;
    R’は、水素、C〜C30アルキル、またはC〜C30アルケニルであり;かつ
    〜R11は、同じであるかまたは異なり、フッ素、塩素、水素、および電子供与性基から選択され、但し、
    (i)R1〜の少なくとも1個がFであるか、あるいは
    (ii)R1〜のいずれもFではない場合には、Rおよび/またはRがClであり、かつ、R、R、またはRが電子供与性基である
    ことを条件とし、
    前記電子供与性基は、C〜C30アルキル、C〜C30アルケニル、NHR’、NR’、OR’、またはSR’から選択される]。
  2. YおよびZがNであり、
    が電子供与性基であり、
    、R、R、およびRが、フッ素、塩素、および水素から選択され、
    〜R11が水素である、請求項1に記載の式(I)の放射線防護化合物。
  3. YおよびZがNであり、
    が電子供与性基であり、
    、R、R、およびRが、フッ素、塩素、および水素から選択され、
    〜R11が水素である、請求項1に記載の式(I)の放射線防護化合物。
  4. YおよびZがNであり、
    が、N(R)またはNHR(式中、RはC〜Cアルキルである)であり、
    、R、R、およびRが、フッ素および水素から選択され、
    〜R11が水素である、請求項1に記載の式(I)の放射線防護化合物。
  5. YおよびZがNであり、
    が、N(R)またはNHR(式中、RはC〜Cアルキルである)であり、
    、R、R、およびRが、フッ素および水素から選択され、
    〜R11が水素である、請求項1に記載の式(I)の放射線防護化合物。
  6. YおよびZがNであり、
    が、N(R)またはNHR(式中、RはC〜Cアルキルである)であり、
    が、フッ素であり、
    およびR〜R11が水素である、請求項1に記載の式(I)の放射線防護化合物。
  7. 下記の化合物から選択される、放射線防護化合物。
    Figure 0005639763
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物の、放射線防護剤としての使用(但し、前記化合物のヒトへの使用を除く)
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物の、放射線防護剤として使用するための医薬品の製造における使用。
  10. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物の、癌の放射線治療に関連する放射線防護剤として使用するための医薬品の製造における使用。
  11. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物と、1種以上の薬学的に許容される担体および/または希釈剤とを含む、医薬組成物。
  12. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物を含む、生体物質を放射線損傷から保護するための薬剤。
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