JP5635511B2 - 物質移動および／または熱交換カラムのための構造化された充填モジュールおよびこれを用いるプロセス - Google Patents

Description

発明の背景
本発明は、概して、物質移動および／または熱交換処理を行うカラム中の気体‐液体または液体‐液体の接触を促進するための装置および方法に関する。特に、本発明は、汚損（フォーリング）、コーキング（コークス化）、および、腐食（エロージョン）が懸念である過酷なサービスのアプリケーションにおいて、物質移動および／または熱交換カラム中に使用される構造化された充填モジュールおよびそのようなモジュールを用いる方法に関する。

沢山の種類のランダムおよび構造化された充填要素は、カラム中に流れる流体流間の接触を促進するための物質移動および／または熱交換のカラム中での使用のために開発されている。充填要素は、概して、流体流が、上昇および下降する流体流間の接触の領域の増大を拡大可能な表面を与えることによって、物質交換または熱交換を改善する。

充填要素は、充填要素の汚損、コーキング、および、腐食が問題である、過酷なサービスのアプリケーションに頻繁に用いられる。理想的には、そのような過酷なサービスのアプリケーションに用いられる充填要素は、蒸気の爆発などのように、劇的なカラムの転倒、および、浸食に耐える十分な構造的強度を持たねばならない。充填要素は、所望の分離効果を達成させるために、構造的な幾何学形態も提供しなければならない。同時に、充填要素は、十分な空間領域が存在しなければならず、さもなければ、自身の表面上における固体粒子の堆積に起因する汚損およびコーキングを避けるように形成される。沢山のタイプの従来の充填は、必須強度および効率特性を有するが、これらの過酷なサービスのアプリケーション中で、汚損およびコーキングしやすい傾向にある。同様に、他のタイプの従来の充填は、汚損およびコーキングに対しては抵抗力があるが、所望の強度や分離効率を与えることができない。従って、汚損およびコーキングに対して抵抗力があると同時に、所望の構造化強度および分離効率を与える構造化された充填モジュールに対するニーズが育まれてきた。

発明の概要
一実施形態において、本発明は、直立し、平行に伸び、隣接するプレートの波形同士が交差する形で伸びるように配置される複数の波形のプレートで構成される構造化された充填モジュールに向けられる。スペーサ部材は、波形が他の波形と接触しないように、それらの全体長さに沿って互いに離間した隣接するプレートの波形と離間した関係でプレートを固定するために用いられる。隣接するプレートの波形間の間隔は、流体の流れ、一般的には、上昇気体のために、完全に開いており、同様に、プレートの表面は、流体、一般的には、下降液体のために、邪魔することのない（スムーズな）流れの表面を与える。この様式においては、汚損やコーキングに抵抗するプレートが、所望の強度や分離効果を与えることが可能である。

他の実施形態においては、本発明は、構造化された充填モジュールを含むカラム、および、このカラム中に流れる流体流間の物質移動および／または熱交換を促進するために用いられる構造化された充填モジュール中の処理方法に向けられる。この処理方法において、流体流の流れは、互いにまたは他の構成部品と接触する付属のプレートの波形によって生じる低流量帯域が存在しないので、プレート中の波形によって形成される流路に沿って、実質的に均一である。この処理方法は、これらのタイプの低流量帯域が存在することによる汚損およびコーキングに抵抗する。この処理方法は、従って、プレートの汚損、コーキング、および、腐食が、通常、問題となるであろう過酷なサービスの状況下で作用する。

図面の簡単な説明
図１は、カラム内に配置される本発明の構造化された充填モジュールを表わすために、縦断面で取り込まれたカラムのシェルと、カラムの部分立面図である。 図２は、図１の線分２‐２の矢印の方向に沿って取り出したカラムの上面図である。 図３は、構造化された充填モジュールの１つの側面図である。 図４は、構造化された充填モジュールに使用可能な波形のプレートの２つの実施形態を示す上面図である。

詳細な説明
さらに詳細に図面、初めは図１を見ると、物質移動および／または熱交換処理の際の使用に最適なカラムは、包括的に数字の１０で表わされる。カラム１０は、多角形を含む他の形状でもふさわしく、本発明の範囲内のものであるが、一般的には、円柱の形状の直立する外側のシェル１２を有する。シェル１２は、あらゆる適切な直径および高さのものであり、自身に対して望ましくは不活性、または、そうでなければ、カラム１０の動作中に存在する流体および状態と親和性のある１種類以上の強固な材料から構成される。

カラム１０は、断片の生成物を得るために、さらに／または、そうでなければ、流体流間の物質移動および／または熱交換を引き起こすために、一般的には、液体および気体流である流体流を処理するために用いられるタイプのものである。例えば、カラム１０は、未精製の大気、潤滑油の吸引、原油の吸引、流体または熱の分解分溜、コーク器またはビスブレーカの分溜、コークス洗浄、反応装置の気体廃棄物の洗浄、ガスの焼入れ、食用油の脱臭、汚染制御洗浄、さらに、その他の過酷なサービス処理を行うものです。

カラム１０のシェル１２は、流体流間の所望の物質移動および／または熱交換が起こる空間内部領域１４を規定する。通常、流体流は、１種類以上の上昇気体流および１種類以上の下降液体流を含む。あるいは、流体流は、上昇および下降両方の液体流、または、上昇ガス流および下降液体流を含んでもよい。

流体流は、カラム１０の高さに沿って適切な位置に配置される複数の供給配管（図示せず）を通って、カラム１０に向けられる。１種類以上の気体流は、供給配管を通って、カラム１０中に導入されるのではなく、カラム１０内で生成されることも可能である。カラム１０は、一般的に、気体の生成物または副生成物を除去するための高架配管（図示せず）、および、カラム１０から液体の生成物または副生成物を除去するための底流除去配管（図示せず）を有する。通常存在している、還流の配管、再沸器、凝縮器、蒸気の警音器、液体の分配器等のような他のカラムの部材は、実質的に従来のもので、かつ、これらの部材の図示は、本発明の理解のために必要無いと思われるので、図示されない。

本発明に従って、構造化された充填モジュール１６の１以上の層１５ａ‐ｄは、カラム１０の空間内部領域１４内に配置される。さらに、図２‐４を見ると、各構造化された充填モジュール１６は、腐食およびカラム１０内でなされる他の状態に耐える十分な強度および厚みを有する、様々な金属、プラスチック、または、セラミックのいずれのようにも、適切な強度の材料から構成される。

図４でベストモードを見ることができるように、波形は、プレート１８の全体表面に沿って伸び、さらに、概して、三角形または正弦の断面図である。図３に示すように、各構造化された充填モジュール１６の隣接するプレート１８の波形は、十字に交差しているまたは交差しているように波形をつけた形で伸びる。カラム１０の垂直軸に関連する波形の傾斜角は、個々のアプリケーションの要求によって選択可能である。例えば、３０、４５、および、６０°の傾斜角、同様に、他の角度が用いられる。

仮に、各構造化された充填モジュール１６内の隣接するプレート１８の波形が、互いに接触している場合には、接触箇所は、固体が蓄積し、かつ、汚損またはコーキングしやすい低流領域を提供する。従って、各構造化された充填モジュール１６内の隣接するプレート１８の波形は、プレート１８に接合されるスペーサ部材２０によって、全体の長さに沿って、離間した関係で維持される。スペーサ部材２０は、一般的には、プレートの表面全体に沿って下降する流体、一般的には、液体、および、プレート１８間の空間中を上昇する流体、一般的には、気体のために、邪魔することのない（スムーズな）流路を提供するために、それらの全体の長さおよび幅に沿って、隣接するプレート１８の間の隙間を維持するように設計されている。隣接するプレート１８の波形は、このような下降気体のための傾斜流のチャンネルを形成する。隣接するプレート１８の波形は、お互い、または、その他の構造と接触することがないので、プレート１８に沿った液体および気体の流れは、概して、プレート１８上に固体の蓄積、結果として、プレート１８のコーキングおよび汚損を引き起こす可能性のある低流領域の存在が無く、一様である。

スペーサ部材２０は、いかなる様々な適切な形状でもよい。図示された実施形態において、スペーサ部材２０は、プレート１８に対しておおよそ垂直方向において、構造化された充填モジュール１６の上部および底部の端部に沿って伸びる一連の平滑な棒２２である。棒２２は、溶接または他の方法によって、プレート１８に固定される。棒２２は、１つの構造化された充填モジュール中のプレート１８の上部の端部および上位の構造化された充填モジュール中のプレート１８の底部の端部間での接触を阻止するように、プレート１８の端部に形成される開口２４を通りぬけて伸びても良いし、または、中の凹所に置かれても良い。棒２２は、丸い、三角形、四角形、または、所望の断面を有する。棒２２を受容する開口２４は、ノッチ、または、完全な穴のように形成され、同じように、円形、三角形、四角形、または、他の所望の形を有する。スペーサ部材２０は、各構造化された充填モジュール内にプレート１８と共に固定され、かつ、隣接するプレート１８の波形間に所望のスペーシングを維持する機能を果たす。棒２２以外の他の種類のスペーシング部材２０は、これらの機能を遂行するために用いられるものであれば良いと理解されている。これは、本発明の範囲および範囲内で熟考される。しかしながら、好ましくは、スペーシング部材２０は、固体が、スペーサ部材２０上、または、プレート１８に対する取り付け箇所に蓄積する機会を減らす方法で構成され、かつ、プレート１８に取り付けられる。

各構造化された充填モジュール１６内の隣接するプレート１８間の間隔と同様に、各プレート１８の波形のクリンプ（ひだ）の角度φ（図４）および高さｈ_２ （図４）または振幅は、個々の用途に応じて変えることができる。波形のクリンプ（ひだ）の高さが高くなると、カラム１０の横断面内に配置されるプレート１８の数が少なくなる。同様に、プレート１８間の間隔が増加すると、カラム１０の横断面内に配置されるプレート１８が少なくなる。一般的に、プレート１８の数または表面領域が増加すると、同様に、物質移動および／または熱交換処理の効果も増加する。しかしながら、同時に、構造化された充填モジュール１６の上部および低部の端部間の圧力低下が増加し、さらに、構造化された充填モジュール１６の流体流の収容能力が減少する。

波形のピークの屈曲半径が減少する際に、プレート１８の表面に固体が蓄積する可能性も増加する。汚損およびコーキングが懸念される過酷なサービスの用途においては、構造化された充填モジュール１６に所望の圧力低下および流体流の収容能力を提供するために、波形のクリンプ（ひだ）の角度および高さと、隣接するプレート１８間の間隔とを選択すると同時に、固体がプレート１８上に蓄積する機会を減らすために、プレート１８の屈曲半径を減らすのが好ましい。

構造化された充填モジュール１６の各層１５ａ‐ｄは、カラム１０の横断面を完全に横切って延在するシングルの構造化された充填モジュール１６で成り、さらに、カラムのシェル１２に固定された支持リング（図示せず）、下位の充填モジュール１６、または、他の適切な支持構造体上に支持される。あるいは、レンガのような形の複数の個別の構造化された充填モジュール１６は、１種類以上の層１５ａ‐ｄを形成するために、組み立てられてもよい。各構造化された充填モジュール１６は、通常、隣接する下位の構造化された充填モジュール上に直接積み重ねられ、かつ、１つの層の波形を付けられたプレート１８が、隣接する層の波形を付けられたプレート１８によって規定される垂直面に対して角度付けされた垂直面に配置されるように、さらに、通常、回転される。回転角度は、一般的には、４５または９０°であるが、もし望むのであれば、他の角度でも可能である。

プレート１８の全体表面は、通常、平滑で、かつ、粗面仕上げがされておらず、固体をプレート１８上に蓄積させる開口（プレート１８に棒２２を固定するために用いられる開口２４の他に）がない。スプレーノズル（図示せず）は、プレート１８上の固体の蓄積を除去および避けるために、プレート１８の表面上にスプレー洗浄剤を注ぐので、モジュール１６の上および／または下に配置される。プレート１８の全表面にスプレー洗浄剤を到達させるために、モジュール１６は、わずか約２と７／８インチの垂直高さで構成される。他のアプリケーションにおいては、構造化された充填モジュール１６は、約６インチまで、または、それより大きい高さを有してもよい。流体中の固体が、充填モジュール１６に流体を供給するスプレーノズルまたは簡便なスルータイプの流体分配器の目詰まりを引き起こすアプリケーションにおいては、堰谷タイプの液体の分配器が用いられる。

使用に際しては、１個以上の構造化された充填モジュール１６は、カラム１０内に対向流で流れる流体流間の物質移動および／または熱交換を促進するために使用するために、カラム１０内の空間内部領域１４内に配置される。流体流が１個以上の構造化された充填モジュール１６中でプレート１８に衝突する際に、流体流は、接触領域、さらに、流体流間の物質移動および／または熱交換が増加するように、プレート１８の表面を超えて広がる。隣接するプレート１８の波形は、互いに離間しているので、流体流、一般的には、液体流は、波形がそれらの長さに沿って互いにまたは他の構成要件と接触する際に典型的に生じる低流量帯域によって妨害されることなく、一般的に一様な方法で、波形の傾斜した表面に沿って、下降する。他の流体流、一般的には、気体流は、同様に、仮に、波形がそれらの長さに沿って互いにまたは他の構成要件と接触しているならば起こるであろう低流量の領域によって妨害されることなく、およそ一様な方法で、プレート１８間の空間中を上昇する。この方法で、構造化された充填モジュール１６は、汚損およびコーキングに耐える一方で、所望の構造強度と分離効果とを提供する。

上述から、本発明は、構造に固有の他の利点と共に、詳細に説明されたすべての結論および目的に達するようによく適合させられたものである。

所定の特徴や部分的特徴は、有効であり、かつ、他の特徴および部分的特徴に関係なく、用いられると理解される。これは、発明の範囲によって、考慮され、さらに、発明の範囲内にある。

沢山の可能な実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明によって作り出されるので、ここに記載の、または、添付図面に示される全ての事項は、限定的な意義ではなく、具体的な説明に役に立つものとして解釈されていると理解される。

Claims (13)

1. 波形を有し、直立し、平行に伸びる複数のプレートと、
   前記プレートの表面に沿ってかつ前記プレート間の空間に流体のための流路を形成するために、前記波形の全体長さに沿って互いに離間した隣接するプレートの波形と離間した関係で前記複数のプレートを固定する複数のスペーサ部材とを有し、
   前記プレートは、隣接するプレートの波形同士が、直立方向に対して互いに逆方向に傾斜して交差する形で伸びるように配置され、
   前記プレートの表面は、固体が前記プレート上に蓄積しない、平滑で粗面仕上げされていない面であることを特徴とする構造化された充填モジュール。
2. 前記波形が、各プレートの全体表面に沿って伸びる請求項１に記載の構造化された充填モジュール。
3. さらに、前記プレート上の固体の蓄積を除去および避けるために、前記プレートの表面上に洗浄剤を注ぐスプレーノズルを有する請求項１または２に記載の構造化された充填モジュール。
4. 前記スペーサ部材は、前記プレートを通って伸びる棒を有する請求項１〜３のいずれか１項に記載の構造化された充填モジュール。
5. 前記プレートは、上部および底部の端部を有し、
   前記棒は、前記上部および底部の端部を通って伸びる請求項４に記載の構造化された充填モジュール。
6. 前記プレートは、前記上部および底部の端部に開口を有し、
   前記棒は、前記開口を通って伸びる請求項５に記載の構造化された充填モジュール。
7. 前記プレートの表面は、前記上部および底部の端部以外に前記開口が無い請求項６に記載の構造化された充填モジュール。
8. 前記棒は、平滑であり、かつ、円形の断面のものである請求項４〜７のいずれか１項に記載の構造化された充填モジュール。
9. 前記棒は、前記プレートに溶接される請求項４〜８のいずれか１項に記載の構造化された充填モジュール。
10. 空間内部領域を規定するシェルと、
    前記空間内部領域内に配置される、請求項１〜９のいずれか１項に記載の構造化された充填モジュールと、を有することを特徴とする物質移動および／または熱交換カラム。
11. 請求項１０に記載の物質移動および／または熱交換カラム内に流れる流体流間の物質移動および／または熱交換を引き起こすための処理方法であって、
    前記プレートの表面上において前記物質移動および／または熱交換を引き起こすために、前記波形によって形成される流路に沿って、前記構造化された充填モジュールを通って前記流体流を通過させるステップを有することを特徴とする処理方法。
12. 前記構造化された充填モジュールを通って前記流体流を通過させるステップは、前記流路に沿って前記流体流の流れを均一にする請求項１１に記載の処理方法。
13. 前記構造化された充填モジュールを通って前記流体流を通過させるステップが、前記構造化された充填モジュールを通って下降液体流および上昇気体流を通過させるステップを有する請求項１１または１２に記載の処理方法。

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