JP5633335B2 - 空気調和装置 - Google Patents
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例えば特許文献1の空気調和装置では、制御上の空調負荷を「室内吸込空気温度と室内設定温度の差」として算出し、その値が予め定められている複数の温度領域のいずれに該当するかにより、圧縮機の駆動周波数の上限周波数を段階的に変化させることが提案されている。例えば空調負荷が大きい温度領域に属する場合には圧縮機の上限周波数を増加させ、反対に空調負荷が小さい温度領域に属する場合には圧縮機の上限周波数を減少させるようにしている。このように、制御上の空調負荷によって圧縮機の上限周波数を定め、圧縮機の駆動周波数(以下、圧縮機の回転速度という)を抑制するとともにそのハンチング幅を抑制することで省エネルギー性の向上が図れるとしている。
まず、冷房運転時において、圧縮機12の吐出管12bを出た冷媒は、四方弁14を通過した後、凝縮器として機能する室外機熱交換器15に導かれる。室外機熱交換器15において、冷媒は室外の空気(外気)により熱を奪われ、凝縮・液化する。その後、逆止弁21を介して室内機30に導かれた冷媒は、電子膨張弁32において減圧されるとともに、蒸発器として機能する室内機熱交換器31において、室内の空気の熱を奪い気化する。その後、冷媒は、四方弁14及びアキュームレータ18を介して圧縮機12の吸入管12aに戻る。以上の過程を経ることで、室内が冷房される。
図1に示すように、室外機10には、ガスエンジン11及び四方弁14等を駆動制御する制御装置41が設けられている。この制御装置41は、マイコンを主体に構成されており、前記吸入管12aの冷媒圧力PLを検出する低側圧力センサ42及び前記吐出管12bの冷媒圧力PHを検出する高側圧力センサ43にそれぞれ電気的に接続されている。また、制御装置41は、ガスエンジン11の回転速度を検出する回転速度センサ44に電気的に接続されている。
(1)ガスエンジン11の実際の回転速度
(2)ガスエンジン11に回転駆動される圧縮機12の接続台数
(3)ガスエンジン11の回転速度を著しく低下させることなく空調能力を低減するために、圧縮機12の吸入管12a及び吐出管12b間をバイパスするバイパス管13jに設けられた容量調整弁25の開度
従って、みかけ回転速度とは、冷媒流量と1対1で対応するようにこれらの要素を考慮して導入されたガスエンジン11の回転速度の概念である。例えばガスエンジン11の実際の回転速度が同一であるとして、圧縮機12の接続台数が多くなればその分、みかけ回転速度が大きく計算・設定され、反対に圧縮機12の接続台数が少なくなればその分、みかけ回転速度が小さく計算・設定される。あるいは、ガスエンジン11の実際の回転速度が同一であるとして、圧縮機12の容量調整弁25の開度が小さくなればその分、みかけ回転速度が大きく計算・設定され、反対に圧縮機12の容量調整弁25の開度が大きくなればその分、みかけ回転速度が小さく計算・設定される。
まず、省エネルギー制御モード指示の有無に関わらず、ガスエンジン11のみかけ回転速度の要求回転速度が計算される。ガスエンジン11のみかけ回転速度が要求回転速度に制御される要求回転速度制御の実施時は、ガスエンジン11のみかけ回転速度即ち空調能力が十分に確保され、各室内機30が設置されている空間での快適性が迅速に向上される。
空調負荷温度差ΔTs=(運転中の各室内機30の(容量PW×(吸込温度Ts−設定温度Tm))を運転中の全ての室内機30で合計した値)÷(運転中の各室内機30の容量PWを運転中の全ての室内機30で合計した値)
…(1)
このように演算された空調負荷温度差ΔTsには、運転中の各室内機30の容量PWが盛り込まれている。
(iは制御周期の回数)
ただし、
前回制御量ΔN(i−1)=前回の空調負荷上限回転速度N(i−1)−前々回の空調負荷上限回転速度N(i−2)
制御効果量E(i)=今回の空調負荷温度差ΔTs(i)−前回の空調負荷温度差ΔTs(i−1)
…(2)
なお、空調負荷上限回転速度制御の開始時、初期回転速度としてガスエンジン11の現在のみかけ回転速度に「0.9」を乗じた値を与えたとき、前回制御量の初期値としてガスエンジン11のみかけ回転速度に「0.1」を乗じた値が採用される。
なお、省エネルギー制御モード指示があるときは、前述の態様で計算等された要求回転速度及び空調負荷上限回転速度Nのうちの小さい方の回転速度になるようにガスエンジン11のみかけ回転速度が制御される。これにより、特に空調負荷上限回転速度制御の実施時は、ガスエンジン11の発停回数の抑制により省エネルギー性を向上することができる。
(1)目標とする空調負荷に到達してからの経過時間
(2)ガスエンジン11のみかけ回転速度(圧縮機12の回転速度、接続台数、容量調整弁開度)の空調負荷上限回転速度
従って、例えば目標とする空調負荷に到達してからの経過時間が所定時間Tth以上となり、ガスエンジン11のみかけ回転速度の空調負荷上限回転速度が所定値Nth未満となり、ガスエンジン11のみかけ回転速度が所定値NGth未満となるとき(圧縮機12の回転速度が所定値NCth未満となり、且つ、容量調整弁開度が所定値Ath未満となるとき相当)、室外機10の運転が停止されるようになっている。なお、吸込温度Tsが設定温度Tmより所定温度以上離れた場合など再び室内機30から温調要求があった場合、運転停止後所定時間経過の後に室外機10の運転を再開する。
空調負荷温度差ΔTs=(運転中の各室内機30の(容量PW×(設定温度Tm−吸込温度Ts))を運転中の全ての室内機30で合計した値)÷(運転中の各室内機30の容量PWを運転中の全ての室内機30で合計した値)
…(3)
そして、室内機30の操作パネルやリモコンのオンにより室外機10(ガスエンジン11)を始動してから所定時間(例えば5分)以上を経過すると、制御装置41は、冷媒の凝縮温度CTが所定温度CTh(例えば40°C)以上か否かを判断する。図4に示すように、凝縮温度CTは、吐出管12bの圧力(凝縮圧力)に相関するもので、前記高側圧力センサ43により検出される。そして、冷媒の凝縮温度CTが所定温度CTh以上となり、空調負荷温度差ΔTsが開始閾値としての所定温度差DTh(例えば2°C)を下回ると、前述の空調負荷上限回転速度制御を開始する。
省エネルギー制御モード指示があるときは、制御装置41は、図5に従って省エネルギー率に対応する開始条件補正係数αを設定する。この開始条件補正係数αは、空調負荷上限回転速度制御の開始条件に係る前記所定温度差DTh,DTcを補正するものである(開始条件補正手段)。具体的には、開始条件補正係数αは、省エネルギー率が0%のときに零であって、省エネルギー率が大きくなるに従って、大きくなるように設定されている。そして、省エネルギー率が0%のときの空調負荷上限回転速度制御の開始条件であるΔTs<DTc,DThを、ΔTs<DTc,DTh+αと補正する。つまり、開始条件補正係数αは、空調負荷上限回転速度制御の開始条件を緩和してこれを開始しやすくするためのものである。
室外機10が始動されると、通常は空調負荷が大きいことから、省エネルギー制御モード指示の有無に関わらず、要求回転速度制御が実施される。要求回転速度制御の実施に伴い、目標とする空調負荷に近付くと、省エネルギー制御モード指示がある場合には前述の条件を満たすことで空調負荷上限回転速度制御が開始・実施される。これにより、空調負荷から本来要求されているガスエンジン11のみかけ回転速度の上限がより正確に計算され、室外機10(ガスエンジン11等)の発停回数が抑制される。
(1)本実施形態では、ガスエンジン11のみかけ回転速度(圧縮機12の回転速度)の上限である空調負荷上限回転速度は、前回の空調負荷上限回転速度と、空調負荷温度差ΔTs(ΔTs’)と、制御効果量とに基づいて演算される。このように、空調負荷上限回転速度の演算に際し、空調負荷温度差ΔTs(ΔTs’)と、制御効果量とが反映されることで、空調負荷から本来要求されているガスエンジン11のみかけ回転速度(圧縮機12の回転速度)の上限をより正確に計算することができる。そして、室外機10(ガスエンジン11、圧縮機12等)の発停回数の抑制により省エネルギー性を向上しつつも、室内機30が設置されている空間の吸込温度Tsを設定温度Tmに到達させることができる。
・図8に示すように、今回制御量を算出(S20)に際し、制御効果量と空調負荷温度差ΔTs’(省エネルギー率に応じて補正された空調負荷温度差ΔTs)との関係を示す一覧図を利用してもよい。
・前記実施形態において、圧縮機12の回転速度を監視して、該圧縮機12の回転速度を直接制御するようにしてもよい。
Claims (6)
- 回転に伴い冷媒を圧縮する圧縮機及び冷房運転時は冷媒の凝縮器として機能し暖房運転時は冷媒の蒸発器として機能する室外機熱交換器を有する室外機と、冷房運転時は冷媒の蒸発器として機能し暖房運転時は冷媒の凝縮器として機能する室内機熱交換器を有する室内機とを備える空気調和装置において、
一定期間ごとに更新される空調負荷上限回転速度に基づいて前記圧縮機の回転速度の上限を制御する回転速度制御手段と、
前記室内機における実際の空気温度及び目標空気温度の温度差に基づいて空調負荷温度差を演算する空調負荷温度差演算手段と、
前記空調負荷温度差演算手段により演算された前々回の空調負荷温度差から前回の空調負荷温度差を減じて制御効果量を演算する制御効果量演算手段と、
前回の空調負荷上限回転速度と、前記空調負荷温度差と、前記制御効果量とに基づいて空調負荷上限回転速度を演算する空調負荷上限回転速度演算手段と、
省エネルギー制御モード時、前記室内機における実際の空気温度が目標空気温度に収束しにくくなるように前記空調負荷温度差演算手段により演算される空調負荷温度差を補正する補正手段とを備え、
前記回転速度制御手段は、前記空調負荷温度差演算手段により演算される空調負荷温度差が開始閾値を下回ることを開始条件に、前記圧縮機の回転速度の上限制御を開始してなり、
省エネルギー制御モード時、前記回転速度制御手段が前記圧縮機の回転速度の上限制御を開始しやすくなるように前記開始条件を補正する開始条件補正手段を備えたことを特徴とする空気調和装置。 - 回転に伴い冷媒を圧縮する圧縮機及び冷房運転時は冷媒の凝縮器として機能し暖房運転時は冷媒の蒸発器として機能する室外機熱交換器を有する室外機と、冷房運転時は冷媒の蒸発器として機能し暖房運転時は冷媒の凝縮器として機能する室内機熱交換器を有する室内機とを備える空気調和装置において、
一定期間ごとに更新される空調負荷上限回転速度に基づいて前記圧縮機の回転速度の上限を制御する回転速度制御手段と、
前記室内機における実際の空気温度及び目標空気温度の温度差に基づいて空調負荷温度差を演算する空調負荷温度差演算手段と、
前記空調負荷温度差演算手段により演算された前々回の空調負荷温度差から前回の空調負荷温度差を減じて制御効果量を演算する制御効果量演算手段と、
前回の空調負荷上限回転速度と、前記空調負荷温度差と、前記制御効果量とに基づいて空調負荷上限回転速度を演算する空調負荷上限回転速度演算手段と、
省エネルギー制御モード時、前記室内機における実際の空気温度が目標空気温度に収束しにくくなるように前記空調負荷温度差演算手段により演算される空調負荷温度差を補正する補正手段とを備え、
前記回転速度制御手段は、前記空調負荷温度差演算手段により演算される空調負荷温度差が終了閾値を超えることを終了条件に、前記圧縮機の回転速度の上限制御を終了してなり、
省エネルギー制御モード時、前記回転速度制御手段が前記圧縮機の回転速度の上限制御を終了しにくくなるように前記終了条件を補正する終了条件補正手段を備えたことを特徴とする空気調和装置。 - 回転に伴い冷媒を圧縮する圧縮機及び冷房運転時は冷媒の凝縮器として機能し暖房運転時は冷媒の蒸発器として機能する室外機熱交換器を有する室外機と、冷房運転時は冷媒の蒸発器として機能し暖房運転時は冷媒の凝縮器として機能する室内機熱交換器を有する室内機とを備える空気調和装置において、
一定期間ごとに更新される空調負荷上限回転速度に基づいて前記圧縮機の回転速度の上限を制御する回転速度制御手段と、
前記室内機における実際の空気温度及び目標空気温度の温度差に基づいて空調負荷温度差を演算する空調負荷温度差演算手段と、
前記空調負荷温度差演算手段により演算された前々回の空調負荷温度差から前回の空調負荷温度差を減じて制御効果量を演算する制御効果量演算手段と、
前回の空調負荷上限回転速度と、前記空調負荷温度差と、前記制御効果量とに基づいて空調負荷上限回転速度を演算する空調負荷上限回転速度演算手段と、
省エネルギー制御モード時、前記室内機における実際の空気温度が目標空気温度に収束しにくくなるように前記空調負荷温度差演算手段により演算される空調負荷温度差を補正する補正手段とを備え、
前記補正手段は、省エネルギー制御モード時に要求される省エネルギー率が大きいほど、前記室内機における実際の空気温度が目標空気温度により収束しにくくなるように前記空調負荷温度差演算手段により演算される空調負荷温度差を補正することを特徴とする空気調和装置。 - 請求項1に記載の空気調和装置において、
前記開始条件補正手段は、省エネルギー制御モード時に要求される省エネルギー率が大きいほど、前記回転速度制御手段が前記圧縮機の回転速度の上限制御をより開始しやすくなるように前記開始条件を補正することを特徴とする空気調和装置。 - 請求項2に記載の空気調和装置において、
前記終了条件補正手段は、省エネルギー制御モード時に要求される省エネルギー率が大きいほど、前記回転速度制御手段が前記圧縮機の回転速度の上限制御をより終了しにくくなるように前記終了条件を補正することを特徴とする空気調和装置。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気調和装置において、
省エネルギー制御モード時、前記室内機における実際の空気温度を目標空気温度に収束させないで前記回転速度制御手段による前記圧縮機の回転速度の上限制御を継続する場合のエネルギー消費量の方が、前記圧縮機を発停させた場合のエネルギー消費量よりも大きいときに、前記室外機を停止させる停止手段を備えたことを特徴とする空気調和装置。
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