JP5631126B2 - 半嵌合防止コネクタ - Google Patents
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Description
特許文献1記載のコネクタは、耐久性があり、嵌合の作業性が良く、コネクタの半嵌合状態を確実に防止することができる完全嵌合コネクタを提供することを目的とするもので、具体的には、ピン側コネクタのハウジングの側板に前方に向かって可撓性の係合片を設け、ソケット側コネクタのハウジングの外側に可動カバーを移動することができるように設け、ハウジングとの間に係合片の係合突条を挿入できないが、係合突条がなければ挿入することができる開口部を可動カバーの前部が有し、ハウジングと可動カバーとの間に前後方向のばねを介在させて、可動カバーを常時前方に付勢させ、かつ、コネクタを完全に接続した状態で係合片の係合突条と係合する係合溝をハウジングの側部に、常時は可動カバーによって隠蔽されており、可動カバーが移動したときに出現する位置に設けている。
特許文献1記載のコネクタは、上記のような構成にすることで、耐久性があり、嵌合の作業性が良く、コネクタの半嵌合状態を確実に防止することができる。
しかしながら、このコネクタは、コネクタ嵌合時にコイルスプリングが相手方コネクタの嵌合間口内に配置されているため、コネクタ嵌合方向に大型化し、コネクタが採用される部位に制約が生じてしまう、という欠点があった。
また、メス端子を収容するのに必要なハウジングの長さが、コイルスプリングの収容に必要な長さよりも大きくなってしまった。
前記メスハウジングに前記相手側嵌合間口部に向かって前記係止突起を立設し、前記メスハウジングと前記相手側コネクタの嵌合時に、前記係止突起と係合する鉤部が前記ロックアームに形成され、
前記メスハウジングを前記相手側嵌合間口部の嵌合間口に挿入すると、前記係止突起が前記ロックアームと接触して前記ロックアームを前記スライダーの進行方向前方に変位させることで、前記ロックアームが前記スライダーと干渉して前記スライダーを押圧し、これにより前記コイルスプリングを圧縮し、
また、前記ロックアームの鉤部が前記係止突起を乗り越えると、前記スライダーとの干渉が解除され、前記スライダーが復元し、同時に前記ロックアームの変位を規制し、
そして、前記メスハウジングと前記相手側コネクタとの嵌合状態で、前記コイルスプリングを押圧する前記押圧面が前記相手側嵌合間口部の外側に位置するようにし、これにより前記コイルスプリングのコイル径およびコイル線径を前記相手側嵌合間口部の内径に制限されずに設定できるようにしたことを特徴としている。
第2発明によれば、ロックアームをスライダーの干渉位置まで簡単な構成で案内できるので、構造が簡単で動作の確実な半嵌合防止コネクタが得られる。
図1は本発明に係るコネクタの分解斜視図である。
本発明に係るコネクタは、以下に述べるハーネス側コネクタ10と、ハーネス側コネクタ10と嵌合する相手側コネクタ20とから構成される。
ハーネス側コネクタ10には、嵌合方向手前側から、カバー11、メス端子とフェライト付きハーネス12、メスハウジング13、コイルスプリング14、スライダー15が配置される。
また、相手側コネクタ20には、同じく嵌合方向手前側から、ショート端子21、ガイド部材22、ホルダ23が配置されている。
図2(A)は、図1の各部品を纏めたハーネス側コネクタ10と相手側コネクタ20の斜視図、図2(B)は、ハーネス側コネクタ10と相手側コネクタ20とを嵌合させたコネクタの斜視図をそれぞれ表している。
図2(A)において、これらのカバー11とハーネス12とメスハウジング13とコイルスプリング14とスライダー15とを纏めると、ハーネス側コネクタ10となり、同じく、ショート端子21とガイド部材22とホルダ23とを纏めると、相手側コネクタ20となる。
さらに、ハーネス側コネクタ10と相手側コネクタ20とを嵌合させると、コネクタ全体は、図2(B)のような形状となる。
図1において、メスハウジング13は、上下左右方向の中央部に嵌合側に向けて突出したメス端子収納部13Tが形成され、メス端子収納部13Tの直上で嵌合側にスライダー15を嵌合方向に摺動可能に取り付け、そのスライダー15とメスハウジング13の上部壁面13W(図3(1))との間にコイルスプリング14を介在させてスライダー15を嵌合側へ復元可能に常時付勢している。
メス端子収納部13Tには左右に貫通する端子収納孔13Hが形成されており、この端子収納孔13Hにメス端子12Hが収納され、メス端子12Hの先端は相手側嵌合間口部(ホルダ)20のショート端子21と接触する。また、メス端子12Hの後端は垂直に下方に延びる電線Wが接続されている。電線Wはメス端子12Hの近傍でフェライトFの貫通孔内に挿通され、フェライトFによるノイズ除去が行われている。メス端子12Hの後端とフェライトFと電線Wの一部はメスハウジング13の反嵌合側に形成された溝13M内に埋設されて、反対の露出側がカバー11によって覆われて、メス端子12Hが抜け防止されて保持されている。
コイルスプリング14は、本発明に係るもので、従来品よりも線径が太く、コイル径が大きく、かつ長さ方向が短くなっているのが特徴である。
スライダー15は、基台15Bから嵌合方向に延設する半嵌合防止棒15Dと、基台15Bの反嵌合側にスプリングコイル14の先端で押圧される押圧面15S(図3(2))と、基台15Bの嵌合方向と直交する方向の両端に設けられることでスライダー15がメスハウジング13の中をスムーズに移動できるガイド部15Gとを備えている。
メス端子収納部13Tには、嵌合側に向けて突出した先端に鉤(かぎ)状の係止突起13Lが形成されており、かつ係止突起13Lの先端でロックアーム22Lに面する側に案内テーパ13G(図3(2))が形成されている。これにより、嵌合途中に係止突起13Lの案内テーパ13Gによってロックアーム22Lが干渉位置まで案内される。
また、嵌合完了時には、この係止突起13Lの鉤部にロックアーム22Lの鉤部22K(図3(2))が係合して、ロックアーム22Lへの干渉が終了する。
メス端子収納部13Tには、また、ピン挿通孔13P(図示なし)が形成されて、嵌合時に補器側嵌合間口部23の2本のピン23Pがピン挿通孔13Pに嵌挿される。
相手側コネクタ20は、基部が中空の円筒状をした補器側嵌合間口部23の中に、同じく基部が円筒状をしたガイド部材22が収納され、ガイド部材22の中にショート端子21が配置される。
補器側嵌合間口部23は中空円筒状の内部にガイド部材22を収納し、また、中央に間隔を開けて2本のピン23Pが立設され、この2本のピン23Pはガイド部材22を貫通してメス端子収納部13Tのピン挿通孔に嵌挿される。
ガイド部材22は、次のようなロックアーム22Lを備えたシャントリングとして形成されている。
ロックアーム22Lはメスハウジング13に向かって所定長さ延びており、先端に鉤部22Kが形成されている。所定長さとは、メスハウジング13と相手側コネクタ20が嵌合したときに、ロックアーム22Lの鉤部22Kがメスハウジング13側のメス端子収納部13Tの係止突起13Lと係合できる長さである。
ロックアーム22Lは樹脂材料の持つ弾性で嵌合方向に対して直角な方向(すなわち、スライダー15の進行方向を遮る向き)に可動となっている。
次ぎに、ハーネス側コネクタ10と相手側コネクタ20の嵌合動作について、図3を用いて説明する。 図3は、図2(B)のコネクタの嵌合方向の中心軸を通る縦断面図で、(1)は嵌合開始時、(2)は嵌合途中、(3)は嵌合完了をそれぞれ表している。
嵌合開始時は、図3(1)のように、ハーネス側コネクタ10を相手側コネクタ20の相手側嵌合間口部23の嵌合間口に挿入すると、メス端子収納部13Tの先端の係止突起13Lの案内テーパ13Gが相手側コネクタ20のロックアーム22Lと接触してロックアーム22Lを、スライダー15の進行方向前方に向かうように変位させる。
さらに、嵌合を続けると、スライダー15の進行方向前方に変位したロックアーム22Lが図3(2)のようにスライダー15と干渉し、スライダー15が押圧され、それによりコイルスプリング14が圧縮される。したがって、作業者がハーネス側コネクタ10がこの段階(嵌合途中)で挿入作業を止めた場合、コイルスプリング14の反力によりハーネス側コネクタ10が押し戻され、半嵌合の流出を防止する。
そして、さらに嵌合を続けると、ロックアーム22Lの鉤部22Kが係止突起13Lを乗り越え、図3(3)のように溝に入り込むことで、スライダー15との干渉が解除され、スライダー15が復元し、同時にロックアーム22の変位を規制する。
このように、本発明によれば、ハーネス側コネクタ10がロック係止以前の位置にある状態で作業者が挿入作業を止めた場合、コイルスプリング14の反力によりハーネス側コネクタ10が押し戻され、半嵌合の流出を防止するようになる。
図4はコイルスプリングの径の大きさが決まる根拠を説明する図で、(A)は図4(B)のコネクタのA−A矢視図、(B)は図2(B)のコネクタの側面図である。
本発明によれば、メスハウジング13にスライダー15を押圧するコイルスプリング14が配置されており、その押圧面が本発明によってハーネス側コネクタ10の嵌合時に相手側コネクタ20の嵌合間口の手前になるように設定している。これによって、相手側コネクタ20のホルダ外周壁による制約を受けない大きな径T1(図4(A))の範囲内にコイルスプリング14が配置できるので、コイルスプリング14のコイル径を大きくできるようになり、したがってコイル径とコイル線径を十分に大きくでき、よってコイル長を短くしても大きな反発力のあるコイルスプリングを形成でき、ハウジングの長さを大きくしなくて済む。
このようにコネクタの嵌合方向に製品が大型化しないので、したがってまた、コネクタ採用部位に設計の自由ができるようになる。
これに対して、相手側嵌合間口部23の嵌合間口内にコイルスプリング14を入れ込んだ場合は、限られた径T2(図4(A))の範囲内でコイルスプリング14の径、線径などを設定する必要があり、必要な反力が得られる設定が困難となる。
逆に、必要な反力が得られるように設定をするにはコイルスプリングを長く採ることが必要となり、コネクタが大型化とならざるを得ないことになる。
11 カバー
12 ハーネス
12H メス端子
13 メスハウジング
13G 案内テーパ
13H 端子収納孔
13L 係止突起
13T メス端子収納部
13W 上部壁面
14 コイルスプリング
15 スライダー
15B 基台
15D 半嵌合防止棒
15G ガイド部
15S 押圧面
20 相手側コネクタ
21 ショート端子
22 ガイド部材
22K 鉤部
22L ロックアーム
23 ホルダ
23P ピン
F フェライト
W 電線
Claims (2)
- メスハウジングを備えたハーネス側コネクタと、前記ハーネス側コネクタと嵌合する相手側嵌合間口部を備えた相手側コネクタと、を有し、前記メスハウジングにはスライダーと前記スライダーの押圧面を常時嵌合方向へ付勢するコイルスプリングが配置され、前記相手側嵌合間口部にはロックアームを備えたガイド部材が配置されて成る半嵌合防止コネクタにおいて、
前記メスハウジングに前記相手側嵌合間口部に向かって前記係止突起を立設し、前記メスハウジングと前記相手側コネクタの嵌合時に、前記係止突起と係合する鉤部が前記ロックアームに形成され、
前記メスハウジングを前記相手側嵌合間口部の嵌合間口に挿入すると、前記係止突起が前記ロックアームと接触して前記ロックアームを前記スライダーの進行方向前方に変位させることで、前記ロックアームが前記スライダーと干渉して前記スライダーを押圧し、これにより前記コイルスプリングを圧縮し、
また、前記ロックアームの鉤部が前記係止突起を乗り越えると、前記スライダーとの干渉が解除され、前記スライダーが復元し、同時に前記ロックアームの変位を規制し、
そして、前記メスハウジングと前記相手側コネクタとの嵌合状態で、前記コイルスプリングを押圧する前記押圧面が前記相手側嵌合間口部の外側に位置するようにし、これにより前記コイルスプリングのコイル径およびコイル線径を前記相手側嵌合間口部の内径に制限されずに設定できるようにしたことを特徴とする半嵌合防止コネクタ。 - 前記ロックアームを前記スライダーの進行方向前方に変位させる案内テーパが前記係止突起の先端に形成され、これにより嵌合途中に前記案内テーパによって前記ロックアームが前記スライダーの干渉位置まで案内されることを特徴とする請求項1記載の半嵌合防止コネクタ。
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