JP5629338B2 - 冷却塔 - Google Patents

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Description

この発明は冷却塔、詳しくは塔内空間に空気の上昇気流を発生し、塔頂部から落下する被冷却水と上昇する空気との間で熱交換を行う高所落下方式の冷却塔に関する。
例えば、地熱発電プラントでは、井戸を掘削して、地下のマグマによって加熱された地熱蒸気を地上に導き、この蒸気を作動流体として発電機のタービンを回転させて発電している。タービンから排出された蒸気(タービン排気)は、高真空状態の復水器に導入され、ここで冷却塔からの冷却水により冷却され、80℃前後の温水(被冷却水)となる。その後、温水は循環ポンプ(揚上ポンプ)により冷却塔に圧送され、ここで外気との熱交換により40℃前後に冷却され、冷却水として再び復水器に戻されてタービン排気の凝縮に利用されている。
このような冷却塔として、従来、例えば特許文献1に開示された高所落下方式のものが知られている。特許文献1の冷却塔は、側壁に空気の吸入部が設けられ、冷却塔の頂部に設置された電動ファンの回転により、吸入部から塔内部空間に外気が吸引される。その後、冷却塔に送られた温水は、塔内空間で上方から散水されて落下しながら、吸入部から取り込まれた外気と熱交換して冷却され、その後、冷却塔の底部の貯水槽から冷却水として回収される。
特開平6−137260号公報
しかしながら、特許文献1に開示された冷却塔にあっては、塔頂部の電動ファンを回転させることで、側壁の吸入部から外気を吸引して上昇気流を発生させていた。そのため、冷却塔の稼動中は電動ファンを作動させる電力が必要となり、ランニングコストがかかっていた。
また、工場プラントなどに配備された別の冷却塔として、例えば、塔内空間に、熱交換率を高める充填材ユニットを収納したものが知られている。この冷却塔は、特許文献1のように塔頂部からの温水が塔底部の貯水槽に直接落下するのではなく、温水が塔内空間の途中で充填材ユニットに捕えられ、ここで多数の充填材の表面を伝い落ちながら、外気との熱交換を長時間にわたって可能としたものである。互いの接触時間が長くなることで、熱交換率が高まる。しかしながら、充填材ユニットは充填物の間に異物が詰まり易く、メンテナンスが面倒で、一定期間後は、新品の充填材ユニットと交換しなければならなかった。
そこで、発明者は鋭意研究の結果、塔頂部にファン駆動用水車を搭載し、これを被冷却水により回転させ、その回転力でファンを回転させるように構成すれば、ファン駆動用のランニングコストが不要になることを知見した。また、塔頂部に、底板に複数の散水孔を配設した散水槽を設けるとともに、この底板の裏面に、散水孔を通過した被冷却水を伝い落とす複数本の水伝い部材を吊設すれば、上述した充填材ユニットを用いなくても、外気と被冷却水との熱交換率を高められることを知見し、この発明を完成させた。
この発明は、ランニングコストが不要で、かつ熱交換効率が高い冷却塔を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、外周壁に複数の外気取込み口が形成された塔ケーシングと、該塔ケーシングの塔頂部にまで被冷却水を揚上する揚上ポンプと、前記塔ケーシングの塔頂部に設けられ、かつ揚上された前記被冷却水を受けるとともに、底板に離間して形成された複数の散水孔を通して前記被冷却水を塔ケーシング内の空間に流下させる散水槽と、この塔ケーシング内の空間にて前記底板のうちの隣接する前記散水孔の間の部分に吊設され、かつ該各散水孔を通した前記被冷却水をその外周面に沿って伝い落とす棒材である複数の水伝い部材と、この塔ケーシング内の空間にて前記底板に、開口する上端部が該底板の上下面を貫通した状態で吊設され、かつ全長にわたって多数の通気孔が形成された多孔筒と、該多孔筒の筒内に一定ピッチで、該多孔筒の長さ方向に延びたファン回転軸を中心にして回転自在に収納された複数のファンと、前記散水槽に設けられ、かつ前記揚上ポンプにより揚上された被冷却水により、水平な水車回転軸を中心にして回転する上掛けファン駆動用水車と、前記水車回転軸の回転力を、前記ファン回転軸に伝達する回転力伝達構造体とを備えた冷却塔である。
請求項1に記載の発明によれば、揚上ポンプにより揚上された被冷却水により、塔頂部のファン駆動用水車を回転させ、その水車回転軸の回転力を、回転力伝達構造体を利用して多孔筒内のファン回転軸に伝達することでファンを回転させる。これにより、多孔筒の各通気孔を介して、塔ケーシングの外周壁の各外気取込み口から塔内空間に外気が取り込まれる。このように、揚上ポンプにより揚上された被冷却水の運動エネルギと位置エネルギーとを利用してファンを回転させるように構成したため、従来塔の場合に必要であったファン駆動のための電力を要せず、その結果、ファン駆動用のランニングコストが不要となる。
また、ファン駆動用水車を回転させた被冷却水は散水槽が受け、その底板の各散水孔を通して塔内空間に流下した被冷却水は、底板のうち、隣接する散水孔と散水孔との間の部分に吊設された複数の水伝い部材の外周面に沿って伝い落ちる。このとき、ファンの作動により、塔ケーシングの外周壁の各外気取込み口から塔内空間に取り込まれた外気との間で、例えば塔内空間を直接落下する場合に比べて、長時間熱交換を行うことができる。これにより、上述した別の従来塔の充填材ユニットを使用しなくても、外気と被冷却水との熱交換効率(被冷却水の冷却効率)を高めることができる。
冷却塔としては、例えば、地熱発電プラント、火力発電プラントなどの復水器から排出された温水(被冷却水)を冷却するものを採用することができる。その他、各種の工場プラントに配備された冷却塔を採用することができる。
塔ケーシングの形状は任意である。例えば円筒状、矩形状などを採用することができる。
外気取込み口は、塔ケーシングの外周壁の全域に形成されても、その一部に形成されてもよい。
被冷却水としては、冷却塔が配備される施設に応じたものが採用される。例えば、地熱発電プラントの復水器から排出された温水などである。
揚上ポンプとしては、水の圧送に使用される一般的なポンプを採用することができる。
散水槽の大きさおよび形状は任意である。一般的には、平面視して塔ケーシングの塔頂部と同一の大きさおよび形状である。散水孔の直径は、底板の下面(下側)に吊設される水伝い部材への被冷却水の流動が円滑となる5〜30mmとした方が好ましい。5mm未満では不純物(異物)により散水孔が詰まり易い。また、30mmを超えれば、散水孔を通過した被冷却水が散水槽の底板の裏面を伝って水伝い部材に移動することなく、水流として直下へ落ちてしまう。
水伝い部材および多孔筒の素材としては、錆びにくいステンレスなどを採用することができる。その他、合成樹脂などでもよい。
水伝い部材としては、例えば、棒材、筒材、板材、ワイヤ、ロープ、紐などを採用することができる。棒材の場合、その長さ方向に直交する断面形状としては、例えば円形、半円形、4分の1円形、楕円形、三角形、四角形(正方形を含む)以上の多角形などを採用することができる。このうち、半円形、4分の1円形、短冊形が好ましい。
水伝い部材および多孔筒の長さは任意である。例えば、塔ケーシングと略同一長さでもよい。
水伝い部材の最大幅は任意である。ただし、20〜40mmが好ましい。
水伝い部材の外周面には、被冷却水の流動性の度合いに応じて、親水性塗膜または非親水性塗膜をコーティングしてもよい。
多孔筒の外観形状としては、例えば円筒、角筒などを採用することができる。
多孔筒の内径は100mm以上である。100mm未満では、筒内に収納されるファンが小さくなり過ぎてしまい、各外気取込み口から塔内空間に充分に外気を取り込めない。
通気孔の直径は10〜30mmである。10mm未満では吸気不足となり、30mmを超えれば、散水孔を通過して塔内空間に流下した被冷却水の一部が、通気孔を通って多孔筒の中に侵入し易い。
ファンとしては、例えば、各種のプロペラファンを採用することができる。ファンの外径は、多孔筒の内径と略同一とした方が、多孔筒内への外気の吸引力(負圧力)を最大にできて好ましい。
多孔筒の筒内におけるファンの設置位置は任意である。例えば、多孔筒の上端部内でも、多孔筒の中間部内でも、多孔筒の下端部内でもよい。
ファン回転軸は、その軸線方向が多孔筒の長さ方向に向けて配置される。ファン回転軸の上端部は、多孔筒の上側の開口から上方へ突出してもよい。この方が、回転力伝達構造体との連結がし易い。ファン回転軸を長尺として、複数のファンをファン回転軸の長さ方向に一定ピッチで多段配置してもよい。
ファン駆動用水車の種類は任意である。例えば、開放型上掛け水車の他、プロペラ水車、ベルトン水車、フランシス水車などを採用することができる。水車回転軸は、その長さ方向が水平でも、垂直でもよい。
回転力伝達構造体としては、例えば傘歯車を含む歯車方式のもの、チェーン・スプロケット方式のもの、ベルト・プーリ方式のもの、リンク方向のものなどを採用することができる。
請求項2に記載の発明は、前記複数の外気取込み口は、前記塔ケーシングの外周壁の全域に縦横一定ピッチで形成され、前記多孔筒は前記底板の中央部に吊設され、前記複数の水伝い部材は、前記底板の全域に離間して吊設された請求項1に記載の冷却塔である。
請求項2に記載の発明によれば、ファンを作動させると、各外気取込み口を通して、多孔筒の外周壁の全域から塔内空間に外気が取り込まれる。その後、外気は、底板の中央部に吊設された多孔筒に向かって移動する途中、各水伝い部材の外周面を伝い落ちる被冷却水との間でそれぞれ熱交換を行う。これにより、多孔筒を中心にして配された全ての水伝い部材において、この棒を伝い落ちる温水を均一かつ充分に冷却することができる。
請求項1に記載の発明によれば、揚上ポンプによって塔頂部に揚上された被冷却水により、ファン駆動用水車を回転させ、その回転力を、回転力伝達構造体を用いて多孔筒内のファン回転軸に伝達してファンを回転させる。このように構成したため、従来塔の場合に必要であったファン駆動のための電力が不要となり、その結果、ファン駆動用のランニングコストがかからない。
また、ファン駆動用水車を回転させた被冷却水は散水槽が受け、その底板の各散水孔を通して塔内空間に流下した被冷却水は、底板のうち、隣接する散水孔と散水孔との間の部分に吊設された複数の水伝い部材の外周面に沿って伝い落ちる。このとき、ファンの作動により、塔ケーシングの外周壁の各外気取込み口から塔内空間に取り込まれた外気との間で、例えば塔内空間を直接落下する場合に比べて、長時間熱交換を行うことができる。これにより、上述した別の従来塔の充填材ユニットを使用しなくても、被冷却水の冷却効率を高めることができる。
特に、請求項2に記載の発明によれば、ファンを作動させると、各外気取込み口を通して、多孔筒の外周壁の全域から塔内空間に外気が取り込まれる。その後、外気は、底板の中央部に吊設された多孔筒に向かって移動する途中、各水伝い部材の外周面を伝い落ちる被冷却水との間でそれぞれ熱交換を行う。これにより、多孔筒を中心にして配された全ての水伝い部材において、この棒を伝い落ちる温水を均一かつ充分に冷却することができる。
この発明の実施例1に係る冷却塔の縦断面図である。 この発明の実施例1に係る冷却塔の一部断面図を含む拡大平面図である。 この発明の実施例1に係る冷却塔の塔頂部の要部拡大縦断面図である。 この発明の実施例1に係る冷却塔の塔頂部に配置された散水槽の拡大断面図である。 この発明の実施例1に係る冷却塔の塔内空間での空気の流れを示す一部拡大正面図である。
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。ここでは、地熱発電プラントの冷却塔について説明する。
図1〜図3中、10はこの発明の実施例1に係る冷却塔で、この冷却塔10は外周壁11に複数の外気取込み口12が形成された外塔ケーシング13と、外塔ケーシング13の塔頂部に温水(被冷却水)を揚上する揚上ポンプPと、外塔ケーシング13の塔頂部に設けられ、かつ揚上された温水を受けるとともに、底板14に離間して形成された複数の散水孔15を通して塔内空間に流下させる散水槽16と、底板14のうちの隣接する散水孔15の間の部分に吊設され、かつ各散水孔15を通した温水を外周面に沿って伝い落とす複数の水伝い部材17と、底板14に、開口する上端部が底板14の上下面を貫通して吊設され、かつ全長にわたって多数の通気孔18が形成された多孔筒19と、多孔筒19の筒内に、多孔筒19の長さ方向に延びたファン回転軸20を中心にして回転自在に収納されたファン21と、散水槽16に設けられ、かつ揚上ポンプPにより揚上された温水により、水車回転軸28を中心にして回転するファン駆動用水車22と、ファン駆動用水車22の水車回転軸28の回転力を、ファン21のファン回転軸20に伝達する回転力伝達構造体23とを備えた、地熱発電プラント用の高所落下方式冷却塔である。
以下、これらの構成体を具体的に説明する。
外塔ケーシング13は、平面視して一辺の長さが1.5mの正方形で、かつ高さが8mの角筒状の筐体で、地面を掘削して設けたコンクリート製の貯水槽24の中に立設されている。外塔ケーシング13の塔頂部には、揚上ポンプPによって揚上した温水を流下してファン駆動用水車22を回転させる際、温水が塔外へ飛散しないように、平面視して正方形状の遮蔽壁25が立設されている。外塔ケーシング13の外周壁11の全域には、縦横一定ピッチで複数の外気取込み口12が形成されている。
揚上ポンプPは、冷却塔10の近くに設置され、地熱発電プラントの復水器から導出された80℃前後の温水を、揚上管26を介して冷却塔10の塔頂部に揚上する。揚上管26の上端部26aは塔頂部の上方で水平に屈曲し、その開口する先端が、ファン駆動用水車22の直上に配置される。これにより、揚上管26の先端から流れ落ちた温水は、その直下のファン駆動用水車22の各羽根22aに連続的に衝突し、水車回転軸28を中心にして、ファン駆動用水車22を回転させる。
散水槽16は、外塔ケーシング13の塔頂部に搭載された平面視して正方形の水槽で、外塔ケーシング13の上端開口部に平行に横架された一対のH型鋼41により支持されている。散水槽16の底板14の略全域には、直径2cmの散水孔15が縦横一定ピッチでマトリクス状に配設されている。底板14の中央部には、長さ方向を垂直方向に向けた多孔筒19の上端部が固定されている。
各水伝い部材17は長さ方向に直交する断面が半円形の棒材で、底板14の裏面全域において、隣接する散水孔15と散水孔15との間に、各上端を底板14に固定した状態で吊設されている。各水伝い部材17の直径(最大幅)は25mmで、その長さは7m程度である。各水伝い部材17の下端は、貯水槽24の近くに配置されている。
前記多孔筒19は、内径20cm、長さ約7mで、かつその上端部を除く略周壁全域に直径3cmの通気孔18が多数形成されている。これにより、全ての外周壁11の外気取込み口12から塔内空間に取り込まれた外気を、外塔ケーシング13のどの高さ位置からでも多孔筒19に導入することができる。
多孔筒19の外周面のうち、各ファン21の収納領域の直上部分には、円錐台状(略傘状)の水避けガイド部材40が配設されている。
ファン21はプロペラファンで、多孔筒19の筒内空間に多段配置されている。すなわち、複数のファン21は、多孔筒19の通気孔18が存在しない上端部一帯のみに配置しても、多孔筒19の長さ方向の全長にわたって配置してもよい(ここでは前者)。何れの場合も、対応する長さのファン回転軸20に対して、ファン回転軸20の長さ方向に一定ピッチで複数のファン21が固定されている。これにより、ファン21の作動により発生した負圧力が、多孔筒19の長さ方向の全域まで及ぶ。ファン21のファン回転軸20は、多孔筒19の上端部に十字枠により固定された軸受27に軸支されている。ファン21のファン回転軸20の上端部は、多孔筒19の上側の開口を通過して、ファン駆動用水車22の水車回転軸28付近に配置されている。ファン21のファン回転軸20の上端には、小径な従動側傘歯車29が固定されている。
ファン駆動用水車22は、水車回転軸28が水平な開放型上掛け水車で、散水槽16の一側部の上方に配置されている。水車回転軸28の元部は、散水槽16の一側壁に沿って立設された水車支持台30の上端部に、軸受31を介して、回転自在に片持ちされている。また、水車回転軸28の先端部は、ファン駆動用水車22の中心部を貫通して多孔筒19の上方近くに達している。この水車回転軸28の先端には、前記従動側傘歯車29と噛合する大径な駆動側傘歯車32が固定されている。回転力伝達構造体23は、これらの駆動側傘歯車32および従動側傘歯車29を有している。
次に、図1〜図5を参照して、この発明の実施例1に係る冷却塔10の稼動方法を説明する。
図1〜図3に示すように、この冷却塔10は、地熱発電プラントに配備されている。地熱発電プラントでは、井戸を掘削して、地下のマグマによって加熱された地熱蒸気を地上に導き、この蒸気を作動流体として発電機のタービンを回転させて発電する。その際、タービンから排出されたタービン排気は、高真空状態の復水器に導入され、ここで冷却塔10からの冷却水により冷却され、80℃前後の温水となる。その後、温水は揚上ポンプPにより冷却塔10に圧送される。
すなわち、揚上ポンプPにより塔頂部まで揚上された温水は、揚上管26の先端の開口から流下してファン駆動用水車22を回転させる。その回転力は、水車回転軸28から駆動側傘歯車32、従動側傘歯車29を経てファン回転軸20に伝達されてファン21が回転する。これにより、多孔筒19の筒内空間が負圧化し、その影響で外塔ケーシング13の塔内空間が負圧化し、これに伴い、外塔ケーシング13の外周壁11の各外気取込み口12から塔内空間に外気が取り込まれる。このように、揚上ポンプPにより揚上された温水の位置エネルギーを利用してファン21を回転するため、従来塔では必要であったファン駆動用の電力が不要となり、その結果、ファン駆動用のランニングコストがかからない。
また、ファン駆動用水車22を回転させた後の温水は散水槽16に溜まり、その底板14の各散水孔15の直径が2cmと小さいため、各散水孔15を通して塔内空間に流下した温水は底板14の裏面を伝い、隣接する散水孔15と散水孔15との間の部分に吊設された各水伝い部材17に移る(図4)。その後、温水は各水伝い部材17の外周面に沿ってゆっくりと伝い落ちて行く。このとき、ファン21が作動しているため、外塔ケーシング13の外周壁11の各外気取込み口12から塔内空間に取り込まれた外気と、伝い落ちている温水とが熱交換を行う(図5)。すなわち、温水は、各水伝い部材17の外周面を低速で下方へ移動しながら外気と接触するため、例えば、従来のように温水が、直接、散水孔15から貯水槽24に向かって鉛直に落下する場合に比べて、熱交換の時間が長くなる。これにより、上述した別の従来塔の充填材ユニットを使用しなくても、被冷却水の冷却効率を高めることができる。
その際、多孔筒19の外周面には、各ファン21の収納領域の直上部分に水避けガイド部材40が配設されているため、各散水孔15から落下した温水の飛沫等は、水避けガイド部材40に衝突して多孔筒19から遠ざかる。これにより、温水の飛沫等がファン21の負圧力により多孔筒19に吸引され、ファン21に多量の温水がかかるのを防止できる。水避けガイド部材40は、温水が酸性度が高い温泉水の場合にファン21が錆び易いことから、特に有効となる。
さらに、塔ケーシング13の外周壁11の全域に、複数の外気取込み口12を縦横一定ピッチで形成し、底板14の中央部に多孔筒19を吊設し、かつ複数の水伝い部材17を、底板14の全域に離間して吊設するように構成したため、ファン21を作動させると、各外気取込み口12を通して、多孔筒19の外周壁11の全域から塔内空間に外気が取り込められる。その後、外気は、底板14の中央部に吊設された多孔筒19に向かって移動するが、その途中、多孔筒19の周りに配された各水伝い部材17の外周面を伝い落ちる温水との間でそれぞれ熱交換を行う。これにより、多孔筒19を中心にして吊設された全ての水伝い部材17において、この棒を伝い落ちる温水を均一かつ充分に冷却することができる。
熱交換後、40℃前後まで冷却された冷却水(温水)は、各水伝い部材17の下端から貯水槽24に落下していったん貯水され、その後、冷却水として再び復水器に戻されてタービン排気の凝縮に利用される。
この発明は、経済的でかつ被冷却水の外気との熱交換効率も高い冷却塔の技術として有用である。
10 冷却塔、
11 外周壁、
12 外気取込み口、
13 塔ケーシング、
14 底板、
15 散水孔、
16 散水槽、
17 水伝い部材、
18 通気孔、
19 多孔筒、
20 ファン回転軸、
21 ファン、
22 ファン駆動用水車、
23 回転力伝達構造体、
28 水車回転軸、
P 揚上ポンプ。

Claims (2)

  1. 外周壁に複数の外気取込み口が形成された塔ケーシングと、
    該塔ケーシングの塔頂部にまで被冷却水を揚上する揚上ポンプと、
    前記塔ケーシングの塔頂部に設けられ、かつ揚上された前記被冷却水を受けるとともに、底板に離間して形成された複数の散水孔を通して前記被冷却水を塔ケーシング内の空間に流下させる散水槽と、
    この塔ケーシング内の空間にて前記底板のうちの隣接する前記散水孔の間の部分に吊設され、かつ該各散水孔を通した前記被冷却水をその外周面に沿って伝い落とす棒材である複数の水伝い部材と、
    この塔ケーシング内の空間にて前記底板に、開口する上端部が該底板の上下面を貫通した状態で吊設され、かつ全長にわたって多数の通気孔が形成された多孔筒と、
    該多孔筒の筒内に一定ピッチで、該多孔筒の長さ方向に延びたファン回転軸を中心にして回転自在に収納された複数のファンと、
    前記散水槽に設けられ、かつ前記揚上ポンプにより揚上された被冷却水により、水平な水車回転軸を中心にして回転する上掛けファン駆動用水車と、
    前記水車回転軸の回転力を、前記ファン回転軸に伝達する回転力伝達構造体とを備えた冷却塔。
  2. 前記複数の外気取込み口は、前記塔ケーシングの外周壁の全域に縦横一定ピッチで形成され、
    前記多孔筒は前記底板の中央部に吊設され、
    前記複数の水伝い部材は、前記底板の全域に離間して吊設された請求項1に記載の冷却塔。
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