JP5627587B2 - クロメン化合物 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、新規なクロメン化合物およびその用途と中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトクロミズムとは、ある化合物に太陽光あるいは水銀灯の光のような紫外線を含む光を照射すると速やかに色が変わり、光の照射を止めて暗所におくと元の色に戻る可逆作用のことである。この性質を有する化合物はフォトクロミック化合物と呼ばれ、フォトクロミックプラスチックレンズまたはフォトクロミック光学物品の材料として使用されている。
このような用途に使用されるフォトクロミック化合物には、(i)紫外線を照射する前の可視光領域での着色度(以下、初期着色という)が低い、(ii)紫外線を照射した時の着色度(以下、発色濃度という)が高い、(iii)紫外線を照射し始めてから発色濃度が飽和に達するまでの速度(以下、発色感度という)が速い、(iv)紫外線の照射を止めてから元の状態に戻るまでの速度(以下、退色速度という)が速い、(v)この可逆作用の繰り返し耐久性がよい、及び(vi)使用されるホスト材料への分散性が高くなるように、硬化後にホスト材料となるモノマー組成物に高濃度に溶解する、といった特性が求められている。
【0003】
また、フォトクロミックプラスチックレンズには、発色状態の色調としてブラウン、グレーといった中間色が好まれているため、当然のことながらフォトクロミック化合物にとってどのような色に発色するかは、きわめて重要なファクターとなっている。複数のフォトクロミック化合物を混合することにより色調を調整しようとする場合、それぞれのフォトクロミック化合物の特性の違いにより退色時の色調変化(以下、色ずれという)や耐久性の違いにより、劣化時の色調変化を引き起こすことになる。このような問題を解決するために、単独化合物で、発色時に2つの発色ピークを有ししかも中間色に発色するフォトクロミック化合物(以下、ダブルピーク化合物という)が重要となる。
ダブルピーク化合物としては、下記式(A)で示されるクロメン化合物(特許文献1参照)、下記式(B)、下記式(C)で示されるクロメン化合物(特許文献2参照)、下記式(D)で示されるクロメン化合物(特許文献3参照)および下記式(E)で示されるクロメン化合物(特許文献4参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【0004】
【特許文献1】
【特許文献1】 国際公開第WO2001/19813号パンフレット
【特許文献2】 国際公開第WO2003/025638号パンフレット
【特許文献3】 国際公開第WO2003/044022号パンフレット
【特許文献4】 国際公開第WO2005/028465号パンフレット
【0005】
【化1】
【0006】
【化2】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、フォトクロミックプラスチックレンズの分野においては、そのフォトクロミック特性に対する要求、特に、屋外から屋内に移動した際の退色速度の速さ、および、屋内での着用時における透明性(初期着色の小ささ)に対する要求が年々強くなっている。そのため、従来のクロメン化合物よりも、上述した(i)〜(vi)の全ての要求をより高度に満足するフォトクロミック化合物の開発が望まれている。また、複数のフォトクロミック化合物を混合して色調を調整する場合、一般的に黄色に発色するフォトクロミック化合物は、他の色、例えば、青色等に発色するフォトクロミック化合物と比較して、耐久性に劣ることが知られている。そのため、ダブルピーク化合物としては、黄色(430nm〜530nmに最大吸収波長を有する)の発色濃度が、青色(550nm〜650nmに最大吸収波長を有する)の発色濃度よりも、より高くなる化合物が望まれている(以下、ダブルピーク化合物において、青色発色濃度に対する黄色発色濃度の比をダブルピーク性という場合もある。)。これらの特性を考慮すると、従来のクロメン化合物では、以下の点で改善の余地があった。
例えば、前記式(A)で示されるクロメン化合物は、発色濃度、ダブルピーク性は実用的であるが、退色速度が遅いという点で改善の余地があった。また、前記式(B)、(C)および(D)のそれぞれで示されるクロメン化合物は、十分なダブルピーク性を有していないという点で改善の余地があった。さらに、前記式(E)で示されるクロメン化合物は、7位の炭素原子が特定のアリール基で置換された化合物であることにより、ダブルピーク性に優れ、実用的な発色濃度、および退色速度を有しているが、吸収スペクトルの末端部分(以下、吸収端という。)が420nmを超えて可視域に到達しているため、初期着色が大きいという点で改善の余地があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、初期着色が小さく、光照射時の発色濃度が高く、発色感度が高く、退色速度が速く、耐久性が高く、さらに、優れたダブルピーク性を示す新規なフォトクロミック化合物(クロメン化合物)を提供することにある。
また、本発明の他の目的は本発明のクロメン化合物を製造するための中間体であるナフトール化合物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、インデノナフトピラン骨格を有するクロメン化合物において、6位と7位の置換基の電子供与性を高くすることで、ダブルピーク性を改良できるが、その一方で、6位と7位の電子供与性を高くするとそれに比例して退色速度が遅くなり、初期着色が大きくなり、さらに耐久性も低下することを究明した。
そこで、6、7位の置換基の電子供与性をより調整することにより、上記長所を生かしたまま、その短所を改善できるのではないかと考え、様々な置換基の導入を検討した。
さらに鋭意研究を行った結果、6位および7位の双方に酸素原子が結合したヘテロ環が縮環し、且つ、該へテロ環内に電子供与基を置換してなるインデノナフトピラン骨格を有するクロメン化合物が、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、第1に、
下記式(2)
【0010】
【化3】
【0011】
ここで、Zは、下記式
【0012】
【化4】
【0013】
で示される基であり、
R1は、Hammett数σpが−0.20未満の電子供与基であってヒドロキシル基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、または窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つ該窒素原子でそれが結合している炭素原子に結合する複素環基であり、R1が複数存在する場合、R1は互いに同一でも異なってもよく、
R2は、Hammett数σpが−0.20以上0以下の基であって水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基であり、R2が複数存在する場合、R2は互いに同一でも異なってもよく、
aは、1〜3の整数であり、aが2または3の場合、Zは、互いに同一でも異なってもよく、
ただし、
【0014】
【化5】
【0015】
が
【0016】
【化6】
【0017】
であることはなく、
R 3 およびR 4 は、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つ該窒素原子で5位または8位の炭素原子に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子であり、
R 5 、R 6 およびR 7 は、それぞれ独立に、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つ該窒素原子でそれが結合しているベンゼン環に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子であり、
R 8 およびR 9 は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つ該窒素原子で13位の炭素原子に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子であり、
R 8 とR 9 は、13位の炭素原子と一緒になってカルボニル基または脂肪族炭化水素環を形成してもよく、
bは0〜4の整数であり、cおよびdは、それぞれ独立に、0〜5の整数であり、
bが2〜4の場合は、複数のR 5 は、互いに同一でも異なってもよく、
cおよびdが、それぞれ2〜5の場合は、複数のR 6 および複数のR 7 のそれぞれは、互いに同一でも異なってもよい。
で示されるクロメン化合物である。
【0018】
本発明は、第2に、前記クロメン化合物と重合性単量体とを含有するフォトクロミック硬化性組成物である。
本発明は、第3に、前記クロメン化合物が内部に分散した高分子成形体を構成部材として有するフォトクロミック光学物品である。
本発明は、第4に、少なくとも一部の面が高分子膜で被覆された光学基材を構成部品として備えた光学物品であって、該高分子膜には、前記クロメン化合物が分散していることを特徴とする光学物品である。
本発明は、第5に、本発明の上記クロメン化合物を製造するための中間体である、下記式(3)
【0019】
【化7】
【0020】
ここで、Zおよびa、R 3 、R4、R5、R8、R9およびbは、上記式(2)におけるものと同義である、
で表わされるナフトール化合物である。
【発明の効果】
【0021】
本発明のクロメン化合物は、単一化合物で中間色に発色するため、それ単独で使用することができ、退色時の色調変化や、劣化時の色調変化が起こり難い。さらに初期着色が小さく、発色濃度が高く、且つダブルピーク性が高く、退色速度が速いため、非常に優れたフォトクロミックレンズを得ることができる。そのため、他のフォトクロミック化合物と混合して色調を調整することもでき、混合して使用した場合も、優れたフォトクロミック特性を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のクロメン化合物は、上記式(2)で表わされる。
式(2)のZの定義から理解されるとおり、式(2)において、
【0023】
【化8】
【0024】
は、σpが−0.20未満の電子供与基(R1)を少なくとも1つ以上有する基でなければならない。
次に、上記基Zにおける基R1について説明する。
【0025】
(基R1)
基Zにおいて、基R1は、σpが−0.20未満の電子供与基である。
σpとは、p−置換安息香酸の解離定数Kaを基準に用いて、π電子系に結合した置換基の電気的効果を定量化したHammett則に基づいて定義されるものである。そして、σpが0となる置換基は水素原子である。σpが−0.20未満の置換基とは、電子供与性の高い置換基を指す。この基R1を有することにより、本発明のクロメン化合物は、優れた効果を発揮する。
σpが−0.20未満の電子供与基であるR 1 は、ヒドロキシル基(σp=−0.37)、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、または窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つ該窒素原子でそれが結合している炭素原子に結合する複素環基である。なお、これらの基には、σpが0より小さい電子供与基が置換されていてもよい。下記に詳述するが、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基または窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つ該窒素原子でそれが結合している炭素原子に結合する複素環基は、置換基を有さない場合にσpが−0.20未満の電子供与基である。そのため、これらの基に、さらにσpが0より小さい電子供与基が置換した基もσpが−0.20未満の基となる。
以下、σpが−0.20未満の上記電子供与基について、詳細に説明する。
【0026】
アルコキシ基は、通常、σpが−0.3以上−0.2未満であり、特に、本発明においては、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましい。好適なアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基(σp=−0.28)、エトキシ基(σp=−0.21)、n−プロポキシ基(σp=−0.26)、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等を挙げることができる。
アラルコキシ基は、通常、σpが−0.20未満であり、特に、本発明においては、炭素数7〜11のアラルコキシ基が好ましい。好適なアラルコキシ基としては、例えば、ベンジロキシ基、ナフチルメトキシ基等を挙げることができる。また、アラルコキシ基は、ベンゼン環の1もしくは2以上の水素原子が、σpが0よりも小さい基、具体的には、上記、または、下記に示すアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基で置換されたものであってもよい。これらの基で置換されたアラルコキシ基も、σpは−0.20未満となる。
【0027】
アリールオキシ基は、通常、σpが−0.6以上−0.4以下であり、特に、本発明においては、炭素数6〜10のアリールオキシ基が好ましい。好適なアリールオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ基(σp=−0.49)、ナフチルオキシ基等を挙げることができる。また、アリールオキシ基は、ベンゼン環の1もしくは2以上の水素原子が、σpが0よりも小さい基、具体的には、上記、または、下記に示すアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基で置換されたものであってもよい。これら基で置換されたアリールオキシ基も、σpは−0.20未満となる。
アミノ基は、通常、σpが−1.00以上−0.50以下である。好適なアミノ基は、例えば、一級アミノ基(σp=−0.66)および置換基を有する2級アミノ基や3級アミノ基であることができる。かかるアミノ基が有する置換基としては、σpが0よりも小さい基であることが好ましく、アルキル基が代表的である。これらの基で置換されたアミノ基も、σpは−0.20未満となる。このような置換アミノ基すなわち2級アミノ基或いは3級アミノ基の好適な例としては、メチルアミノ基(σp=−0.77)、エチルアミノ基等のアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基(σp=−0.83)、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;などを挙げることできる。
【0028】
窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つ該窒素原子でそれが結合している炭素原子に結合する複素環基は、通常、σpが−1.00以上−0.40以下である。好適な該複素環基としては、例えば、モルホリノ基(σp=−0.50)、ピペリジノ基(σp=−0.83)、ピロリジニル基、ピペラジノ基、N−メチルピペラジノ基、インドリニル基等を挙げることができる。さらに、該複素環基は、σpが0よりも小さい基を置換基として有してもよい。具体的な置換基としては、メチル基等のアルキル基を挙げることができる。このような置換基を有しても、σpは−0.20未満の基となる。置換基を有する複素環基としては、例えば、2,6−ジメチルモルホリノ基、2,6−ジメチルピペリジノ基、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ基等が挙げられる。
【0029】
本発明において、優れた退色速度を維持しつつ、ダブルピーク性を高めるには、基R1は、前記例示の中でも、σpが−1.00以上−0.20未満の範囲となる電子供与基であることが好ましく、特に−0.80以上−0.20未満の範囲となる電子供与基であることが特に好ましい。具体的には、ヒドロキシル基、アルコキシ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つ該窒素原子でそれが結合している炭素原子に結合する複素環基が好ましく、具体的な置換基としては、ヒドロキシル基、メトキシ基、モルホリノ基等を挙げることができる。
【0030】
(基R2)
基Zにおいて、基R2は、σpが−0.20以上0以下の電子供与基である。
σpが−0.20以上0以下の電子供与基であるR 2 は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基である。
アルキル基は、通常、σpが−0.20以上−0.10以下の基であり、特に、本発明においては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましい。好適なアルキル基としては、例えば、メチル基(σp=−0.14)、エチル基(σp=−0.13)、n−プロピル基(σp=−0.12)、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基(σp=−0.15)、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基等を挙げることができる。
シクロアルキル基は、通常、σpが−0.20以上0未満の基であり、特に、本発明においては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましい。好適なシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基(σp=−0.16)、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。
【0031】
アラルキル基は、通常、σpが−0.20以上0未満の基であり、特に、本発明においては、炭素数7〜11のアラルキル基が好ましい。好適なアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
アリール基は、通常、σpが−0.1以上−0.01以下の基であり、特に、本発明においては、炭素数6〜14のアリール基が好ましい。好適なアリール基としては、例えば、フェニル基(σp=−0.01)、1−ナフチル基(σp=−0.08)等を挙げることができる。
これらのうち、基R2は、耐久性が高い化合物が得られ、かつ合成も容易であるという点から、メチル基などのアルキル基、もしくは水素原子が特に好ましい。
【0032】
(基Zの数a)
aは、基Zの数を示すものであり、1〜3の整数であり、aが2、または3の場合は、aは互いに同一でも異なってもよい。
(好ましい基Z)
本発明において、クロメン化合物が、高いダブルピーク性を保ちつつ、優れた退色速度と耐久性を有するために、基Zは、特に以下の基であることが好ましい。
a=1の場合、
【0033】
【化9】
【0034】
における基R1と基R1のHammett数の総和、もしくは、
【0035】
【化10】
【0036】
における基R1と基R2のHammett数の総和が、−1.00以上−0.20未満となるものが好ましく、−0.80以上−0.20未満となるものが特に好ましい。Hammett数の総和が−1.00未満となるものは、退色速度が遅くなる傾向がある。
次に、a=2の場合は、
【0037】
【化11】
【0038】
における基R1と基R1のHammett数の総和、もしくは、
【0039】
【化12】
【0040】
における基R1と基R2のHammett数の総和
が、−1.00以上−0.20未満となるものが好ましく、−0.80以上−0.20未満となるものが特に好ましい。Hammett数の総和が−1.00未満の場合は、退色速度が遅くなる傾向がある。
また、2つのZのうち、基R1と基R1もしくは、基R1と基R2のHammett数の総和がより小さいものが、インデノナフトピラン骨格の6位に結合する酸素原子、あるいは7位に結合する酸素原子のいずれに結合しても良いが、退色速度を保ちつつより高いダブルピーク性が得られるという点で、7位に結合する酸素原子に結合することがより好ましい。
さらに、a=3の場合は、
【0041】
【化13】
【0042】
における基R1と基R1のHammett数の総和、もしくは、
【0043】
【化14】
【0044】
における基R1と基R2のHammett数の総和
が、−1.00以上−0.20未満となるものが好ましく、−0.80以上−0.20未満となるものが特に好ましい。Hammett数の総和が−1.00未満の場合は、退色速度が遅くなる傾向がある。
また、3つのZのうち、基R1と基R1もしくは、基R1と基R2のHammett数の総和が最も小さいものが、退色速度を保ちつつより高いダブルピーク性が得られるという点で、インデノナフトピラン骨格の6位に結合する酸素原子、あるいは7位に結合する酸素原子のいずれかに結合することが好ましく、7位に結合する酸素原子に結合することが特に好ましい。
aは、ダブルピーク性と退色速度の観点から、1または2であることが好ましい。特に、退色速度の観点から、aは1であることが好ましく、ダブルピーク性の観点からaは2であることが好ましい。
ここで、特に好適なZ、aの組み合わせを以下に例示する。なお、下記式において、6、7で示される位置の炭素原子が、前記式(2)における6位、7位の炭素原子である。
【0044】
【化15】
【0045】
本発明のクロメン化合物は、前記式(2)で示されるように、インデノナフトピランの骨格を有し、6位および7位の置換基を前記のような基とすることにより、優れたフォトクロミック特性を発揮する。
前記式(2)で示されるクロメン化合物において、Zおよびa以外のその他の基について以下説明する。
【0046】
(基R3およびR4)
前記式(2)のクロメン化合物において、R3およびR4は、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つ該窒素原子で5位または8位の炭素原子に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子である。
ここで、これらのアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、または上記複素環基の具体例としては、前記のR1またはR2において説明した基と同様な基が好適な基として挙げられる。
【0047】
また、好適なハロアルキル基としては、炭素数1〜8のハロアルキル基が好ましく、例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等を挙げることができる。
好適なアルケニル基としては、炭素数2〜9のアルケニル基が好ましく、具体例としては、アリル基、プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基等を挙げることができる。
好適なアルキニル基としては、炭素数2〜9のアルキニル基が好ましく、例えば、プロパルギル基、1−ペンチニル基等を挙げることができる。
好適なアルキルカルボニル基としては、炭素数2〜9のアルキルカルボニル基が好ましく、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基等を挙げることができる。
【0048】
好適なアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜9のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等を挙げることができる。
好適なハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を挙げることができる。
本発明において、基R3およびR4は、退色速度に関与している。退色速度を速めるためにはR3が立体的に小さい置換基であることが好ましく、特に好適には、水素原子である。
【0049】
(基R5)
前記式(2)のクロメン化合物において、R5は、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つ該窒素原子でそれが結合しているベンゼン環に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子である。
ここで、これらのアルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、上記複素環基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子の具体例としては、前記のR1、R2、R3またはR4において説明した基と同様な基が好適な基として挙げられる。
また、bは、R5の基の数を示すものであり、0〜4の整数であり、bが2〜4の場合は、R5は互いに同一でも異なってもよい。
本発明において、基R5は、退色速度に関与している。基R5は、水素原子(bが0である場合)、または電子吸引基であることが好ましい。また、基R5が電子吸引基である場合、基R5は、退色速度をより速くするためには11位の炭素原子に結合することが好ましい。特に、好適な電子吸引基は、シアノ基、またはハロアルキル基であり、好適な具体例としてシアノ基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
【0050】
(基R6およびR7)
前記式(2)のクロメン化合物において、R6およびR7は、それぞれ独立に、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つ該窒素原子でそれが結合しているベンゼン環に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子である。ここで、これらのアルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、上記複素環基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子の具体例としては、前記のR1、R2、R3またはR4についての具体例と同様な基が好適な基として挙げられる。
cおよびdは、それぞれ、R6およびR7の置換基の数を示すものであり、それぞれ独立に、0〜5の整数である。cおよびdがそれぞれ2〜5の場合は、R6およびR7はそれぞれ互いに同一でも異なってもよい。
【0051】
本発明において、R6およびR7の置換基はダブルピーク性と退色速度に関与している。置換基数と位置は特に制限されないが、ダブルピーク性を高め、且つ良好な退色速度を得るためにはR6、R7の置換基は、水素原子(cおよび/またはdが0である場合)であるか、p位に有することが好ましい。また、好適な置換基は、水素原子(cおよび/またはdが0である場合)、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基または窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つ該窒素原子でそれが結合しているベンゼン環に結合する複素環基であり、好適な具体例としては、メチル基、メトキシ基、ジメチルアミノ基、モルホリノ基等が挙げられる。
【0052】
(基R8およびR9)
前記式(2)で示されるクロメン化合物において、R8およびR9は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つ該窒素原子で13位の炭素原子に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはハロゲン原子である。
ここで、これらのアルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、上記複素環基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子の具体例としては、前記のR1、R2、R3またはR4において説明した基と同様な基が好適な基として挙げられる。
また、前記式(2)で示されるクロメン化合物においては、R8とR9とが一緒になって13位の炭素原子とともに、カルボニル基または脂肪族炭化水素環を形成することもできる。
【0053】
該脂肪族炭化水素環は、環員炭素原子数が4〜20であることが好ましく、発色濃度と退色速度の観点から、環を形成する炭素原子数は4〜15であることが好ましい。特に、退色速度の観点から、環員炭素原子数は4〜12であることがとりわけ好ましい。また、この脂肪族炭化水素環は、例えばアルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アラルキル基、アリール基およびハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有していてもよい。
これら置換基であるアルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アラルキル基、アリール基またはハロゲン原子の具体例としては、前記のR1、R2、R3またはR4において説明した基と同様な基が好適な基として挙げられる。中でも、発色濃度と退色速度の観点から、置換基はアルキル基が好ましく、具体的な置換基としてはメチル基が好ましい。
【0054】
本発明において、R8およびR9の好適な置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、R8とR9とが一緒になって13位の炭素原子と共に脂肪族炭化水素環を形成する場合等が挙げられる。アルキル基としては、メチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基等が挙げられる。上記好適な置換基の中でも、ダブルピーク性を維持したまま、光未照射における室温での熱による発色(以下、この発色をサーモクロミズムによる初期着色という)がより小さく、退色速度をより速くするためには、R8とR9とが一緒になって13位の炭素原子と共に脂肪族炭化水素環を形成することが好ましい。好ましい脂肪族炭化水素環としては、環員炭素原子数が4〜20である単環、ビシクロ環、トリシクロ環等が挙げられる。具体的な脂肪族炭化水素環としては、単環として、例えばシクロブタン環、シクロペンタン環、シクロへキサン環、シクロへプタン環、シクロオクタン環、シクロノナン環、シクロデカン環、3,3,5,5−テトラメチルシクロへキサン環等が挙げられ、ビシクロ環として、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン環、ビシクロ[3,2,1]オクタン環、ビシクロ[3,3,1]ノナン環が挙げられ、トリシクロ環として、アダマンタン環が挙げられる。
これらの中でも、特に、優れた効果を発揮するのは、基R8およびR9が一緒になって単環を形成する場合である。具体的な単環を例示すれば、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロへキサン環、シクロへプタン環、シクロオクタン環、シクロノナン環、シクロデカン環、3,3,5,5−テトラメチルシクロへキサン環等を挙げることができる。
上記単環の中でも、特に、シクロオクタン環、3,3,5,5−テトラメチルシクロへキサン環が好ましい。
【0055】
(好適なクロメン化合物の具体例)
本発明において、好適なクロメン化合物を具体的に例示すれば、次のような化合物を挙げることができる。
【0056】
【化16】
【0057】
【化17】
【0058】
(クロメン化合物の同定)
本発明のクロメン化合物は、常温常圧で無色あるいは淡黄色の固体または粘稠な液体として存在し、次の(イ)〜(ハ)のような手段で確認できる。
【0059】
(イ)プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定することにより、δ5.0〜9.0ppm付近にアロマティックなプロトンに基づくピーク、δ0.5〜4.5ppm付近にアルキル基、およびアルコキシ基のプロトンに基づくピークが現れる。また、それぞれのスペクトル強度を相対的に比較することにより、それぞれの結合基のプロトンの個数を知ることができる。
(ロ)元素分析によって相当する化合物の組成を決定することができる。
(ハ)13C−核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定することにより、δ110〜160ppm付近に芳香族炭化水素基の炭素に基づくピーク、δ10〜80ppm付近にアルキル基、アルコキシ基の炭素に基づくピークが現われる。
【0060】
(クロメン化合物の製造方法)
本発明のクロメン化合物の製造方法は、特に限定されるものではなく、いかなる合成法によってもよい。好適に採用される代表的な方法としては、ナフトール化合物とプロパルギルアルコール化合物とを反応させる方法が挙げられる。前記式(2)で示される好適なクロメン化合物を製造する方法を例として説明する。
前記式(2)で示されるクロメン化合物は、
下記式(3)
【0061】
【化18】
【0062】
ここで、Zおよびa、R 3 、R4、R5、R8、R9およびbは、前記式(2)におけると同義である。
で示されるナフトール化合物と、下記式(4)
【0063】
【化19】
【0064】
ここで、R6、R7、cおよびdは前記式(2)におけると同義である。
で示されるプロパギルアルコール化合物とを、酸触媒存在下で反応させる方法により好適に製造することができる。
前記式(3)で表わされるナフトール化合物は、新規化合物であり、本発明により同様に提供される。
式(3)におけるZおよびa、R 3 、R4、R5、R8、R9およびbの具体例は前記式(2)について記載した具体例と同様である。前記式(3)で表わされるナフトール化合物の好ましい具体例として下記化合物を挙げることができる。
【0065】
【化20】
【0066】
【化21】
一般的なナフトール化合物は、例えば、Gazzetta Chimica italiana;102;1972;558−561、Justus Liebigs Annalen der Chemie;675;1964;142−150、Acta Chemica Scandinavia(1947−1973);10;1956;1006−1009、Liebigs Annalen der Chemie;3;1982;507−529、WO01/60881等の論文に記載の反応方法に基づいて合成することができる。
また、例えば、前記式(4)で示されるプロパルギルアルコール化合物は、前記式(4)に対応するケトン化合物とリチウムアセチリド等の金属アセチレン化合物とを反応させることにより合成できる。
【0067】
(ナフトール化合物の合成方法)
尚、前記式(3)で示されるナフトール化合物の合成法は、特に限定されないが、例えば、以下のようにして合成することができる。
下記式(5)
【0068】
【化22】
【0069】
で示されるベンゼン化合物は、市販品として購入するか、あるいは、下記文献にしたがって合成することができる。なお、式中Z、およびaは前記式(2)おけるものと同義であり、R3、R4は前記式(3)におけるものと同義である。
例えば、下記式(6)
【0070】
【化23】
【0071】
で示されるベンゼン化合物は、Izvestiya Vysshikh Uchebnykh Zavedenii, Khimiya i Khimicheskaya Tekhnologiya(1988),31(5),46−9.、Synthesis(1985),(1),31−3.等の論文に記載の反応方法に基づいて合成することができる。
また、例えば、下記式(7)
【0072】
【化24】
【0073】
で示されるベンゼン化合物は、Heterocyclic Communications(2001),7(2),135−141.等の論文に記載の反応方法に基づいて合成することができる。
また、例えば、下記式(8)
【0074】
【化25】
【0075】
で示されるベンゼン化合物は、Gazzetta Chimica Italiana;English;102;1972;558−561;ISSN:0016−5603.等の論文に記載の反応方法に基づいて合成することができる。
【0076】
得られた該ベンゼン化合物を臭素化後、次いで、Grignard試薬を調整し、酸クロリドと反応することで、下記式(9)
【0077】
【化26】
【0078】
で示されるベンゾフェノン化合物を得る。前記ベンゾフェノン化合物をStobbe反応、環化反応を行うことで、下記式(10)
【0079】
【化27】
【0080】
のナフタレン化合物を得、該ナフタレン化合物を、アルカリまたは、酸を用いて加水分解することで、下記式(11)
【0081】
【化28】
【0082】
で示されるカルボン酸を得る。なお、前記式(9)〜(11)におけるR5、bは、前記式(3)におけるものと同義であり、Rは、メチル基、エチル基等のアルキル基である。該カルボン酸を炭酸カリウム等の塩基と塩化ベンジルを用いることでベンジル化を行い、次いで、アルカリまたは、酸を用いることで加水分解を行い、下記式(12)
【0083】
【化29】
【0084】
で示されるベンジル保護されたカルボン酸を得る。該ベンジル保護されたカルボン酸をCurtius転位、Hofmann転位、Lossen転位等の方法によりカルボン酸をアミンに変換し、これからジアゾニウム塩を調製する。このジアゾニウム塩を、Sandmeyer反応等によりブロマイドに変換し、得られたブロマイドをマグネシウムやリチウム等と反応させ有機金属試薬を調製する。この有機金属試薬を、下記式(13):
【0085】
【化30】
【0086】
で示されるケトン(前記式(13)におけるR8、R9は前記式(3)におけるものと同義である。)と、−80〜70℃、10分〜4時間、有機溶媒中で反応させ、下記式(14):
【0087】
【化31】
【0088】
で示されるアルコール体を得る。このアルコール体を水素とパラジウム炭素等で、脱ベンジル化反応を行い、次いで、中性〜酸性条件下で、10〜120℃で10分〜2時間、Friedel−Crafts反応を行うことにより、目的とするナフトール化合物を合成することができる。かかる反応において、前記有機金属試薬と前記式(13)で示されるケトンとの反応比率は、広い範囲から採用されるが、一般には1:10〜10:1(モル比)の範囲から選択される。反応温度は、通常−80〜70℃が好ましく、溶媒としては、非プロトン性有機溶媒、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン等が使用される。また、アルコール体の中性〜酸性条件下でのFriedel−Crafts反応を行うことで、前記式(3)で示されるナフトール化合物を得ることができる。酸触媒としては、酢酸、塩酸、硫酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酸性アルミナ等を用いて行うことが好ましく、このような酸触媒は、アルコール体100重量部当り0.1〜10重量部の範囲で用いるのが好適である。この反応に際しては、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン等の溶媒が使用される。
【0089】
ナフトール化合物とプロパルギルアルコール化合物との反応比率は、好ましくは1:10〜10:1(モル比)の範囲から選択される。また、酸触媒としては、例えば硫酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酸性アルミナ等が用いられる。酸触媒は、ナフトール化合物とプロパルギルアルコール化合物との総和100重量部当り、好ましくは0.1〜10重量部の範囲で用いられる。反応温度は、0〜200℃が好ましく、溶媒としては、非プロトン性有機溶媒、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン等が使用される。かかる反応により得られた生成物の精製方法としては特に限定されない。例えば、シリカゲルカラム精製を行い、さらに再結晶により、生成物の精製を行なうことができる。
【0090】
(クロメン化合物の特性)
本発明のクロメン化合物は、ダブルピーク性が高いため、他のフォトクロミック化合物と混合して、ブラウンまたはグレーに発色するフォトクロミック組成物とする場合、耐久性の低い黄色に発色するフォトクロミック化合物の使用量を抑えることができ、退色時の色調変化や、劣化時の色調変化を起こし難い。さらに初期着色が小さいため、例えば、本発明のクロメン化合物を含む光学物品、例えば、本発明のクロメン化合物を含むフォトクロミックレンズは、光未照射状態での透明性が高くなる。
本発明のクロメン化合物と混合して色調を調節するフォトクロミック化合物としては、公知の化合物を使用できる。このようなフォトクロミック化合物は、具体的には、国際公開第WO2001/060811パンフレット、特開2009−67680号等に記載されたクロメン化合物を挙げることができる。
【0091】
(クロメン化合物の用途)
本発明のクロメン化合物は、上記の通り、優れたフォトクロミック特性を発揮する。特に、本発明のクロメン化合物を高分子材料中に分散させて使用する態様が最も実用的であり、本発明のクロメン化合物が内部に分散した高分子成形体を構成部材として有するフォトクロミック光学物品は、優れたフォトクロミック特性を発揮する。そのため、本発明のクロメン化合物は、特に、光学物品であるフォトクロミックレンズに使用することができる。
本発明のクロメン化合物をフォトクロミックレンズに使用する場合には、均一な調光性能が得られる方法であれば、特に制限されるものではなく、一般的な方法を採用してレンズを形成することができる。例えば、熱可塑性樹脂と本発明のクロメン化合物を溶融状態で混合し、レンズを形成する方法が挙げられる。また、本発明のクロメン化合物を均一に分散してなる高分子膜をレンズ表面に積層する方法、あるいは、本発明のクロメン化合物を例えばシリコーンオイル中に溶解して150〜200℃で10〜60分間かけてレンズ表面に含浸させる方法が挙げられる。このようにレンズの表面部分にクロメン化合物を分散させた場合には、必要に応じて、さらにその表面を硬化性物質で被覆してフォトクロミックレンズとすることもできる。
【0092】
さらに、本発明のクロメン化合物と重合性単量体とを含有するフォトクロミック硬化性組成物を所定の手法により重合させてレンズとする方法が挙げられる。このフォトクロミック硬化性組成物を使用する方法においては、該硬化性組成物を公知の方法で重合することにより、直接、フォトクロミックレンズを形成することができる。さらに、プラスチックレンズ(光学基材)上に、該フォトクロミック硬化性組成物を塗布し、重合硬化させることにより、光学基材上に本発明のクロメン化合物が分散された高分子膜を形成し、フォトクロミックレンズとすることもできる(この方法をコーティング方法という場合がある。)。また、光学基材上に本発明のクロメン化合物が分散された高分子膜を形成した場合には、その表面を硬化性物質でさらに被覆することもできる。
なお、上記フォトクロミック硬化性組成物において、使用する重合性単量体としては、公知の重合性単量体を使用することができ、所望とする光学物品の性能に応じて、公知の重合性単量体を組み合わせることができる。
【0093】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
実施例1
下記式(15)
【0094】
【化32】
【0095】
で示されるナフトール化合物 1.00g(2.33mmol)と、下記式(16)
【0096】
【化33】
【0097】
で示されるプロパルギルアルコール化合物 0.92g(3.43mmol)とを、トルエン50mlに溶解し、さらにp−トルエンスルホン酸0.022gを添加し、1時間還流した。反応後、溶媒を除去し、カラムクロマトグラフ法により精製を行い、次いでメタノール(5ml)により晶析を行うことで、白色粉末1.11g(収率:70%)を得た。この生成物の元素分析値はC:79.44%、H:6.49%、N:0.00%であって、C45H44O6の計算値であるC:79.39%、H:6.51%、N:0.00%に良く一致した。
また、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ0.5〜4.5ppm付近にアルキル基、アルコキシ基に基づく28Hのピーク、δ5.0〜δ9.0ppm付近にアロマティックなプロトンに基づく16Hのピークを示した。
さらに、13C−核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ110〜160ppm付近に芳香環の炭素に基づくピーク、δ10〜80ppm付近にアルキル基、アルコキシ基の炭素に基づくピークを示した。
前記の結果から単離生成物は、下記式(17)で示される化合物であることを確認した。
【0098】
【化34】
【0099】
実施例2〜3
実施例1と同様にして表1に示したクロメン化合物を合成した。得られた生成物について、実施例1と同様な構造確認の手段を用いて構造解析した結果、表1に示す構造式で示される化合物であることを確認した。また、表2にこれらの化合物の元素分析値、各化合物の構造式から求めた計算値及び1H−NMRスペクトルの特徴的なスペクトルを示した。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
実施例4
(コーティング法により作製したフォトクロミックプラスチックレンズの物性評価)
実施例1で得られたクロメン化合物を光重合開始剤、および重合性単量体と混合後、レンズ基材表面に塗布し、さらに紫外線を照射して、レンズ基材表面の塗膜を重合した。
【0103】
フォトクロミック硬化性組成物としては、ラジカル重合性単量体として2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン/ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量532)/トリメチロールプロパントリメタクリレート/ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート(ダイセルユーシービー(株)製、EB−1830)/グリシジルメタクリレートをそれぞれ50質量部/10質量部/10質量部/10質量部/10質量部の配合割合で配合したものを使用した。このラジカル重合性単量体の混合物90質量部に対して、実施例1で得られたクロメン化合物1質量部を添加し十分に混合した後に、光重合開始剤であるCGI1800{1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドの混合物(重量比3:1)}を0.3質量部、安定剤であるビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートを5質量部、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]を3質量部、シランカップリング剤であるγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを7質量部、およびN−メチルジエタノールアミンを3質量部添加して十分に混合し、フォトクロミック硬化性組成物とした。
【0104】
続いて前記方法で得られたフォトクロミック硬化性組成物、約2gをMIKASA製スピンコーター1H−DX2を用いて、レンズ基材(CR39:アリル樹脂プラスチックレンズ;屈折率=1.50)の表面にスピンコートした。この表面がコートされたレンズを窒素ガス雰囲気中で出力120mW/cm2のメタルハライドランプを用いて、3分間照射し、硬化させた。そうすることにより、クロメン化合物が分散した高分子膜で被覆された光学物品(フォトクロミックプラスチックレンズ)を作製した(高分子膜の厚さ:40μm)。
得られたフォトクロミックプラスチックレンズについて、下記フォトクロミック特性を評価した。結果を表3に示した。
【0105】
[1] 極大吸収波長(λmax): (株)大塚電子工業(株)製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォトディテクターMCPD3000)により求めた発色後の極大吸収波長であり、発色時の色調の指標とした。該極大吸収波長は、発色時の色調に関係する。
[2] 発色濃度(A0): 前記極大吸収波長における、120秒間光照射した後の吸光度{ε(120)}と光未照射時の吸光度ε(0)との差であり、発色濃度の指標とした。この値が高いほどフォトクロミック性が優れているといえる。
[3] ダブルピーク性(AY/AB):黄色(430nm〜530nmに最大吸収波長を有する)の発色濃度(AY:λmaxの値)と青色(550nm〜650nmに最大吸収波長を有する)の発色濃度(AB:λmaxの値)との比であり、ダブルピーク性の指標とした。
[4] 退色半減期〔τ1/2(sec.)〕: 120秒間光照射後、光の照射を止めたときに、試料の前記極大吸収波長における吸光度が{ε(120)−ε(0)}の1/2まで低下するのに要する時間であり、退色速度の指標とした。この時間が短いほど退色速度が速い。
【0106】
[5] 吸収端{λ0}: 前記条件にて得られたフォトクロミックプラスチックレンズを試料として、これを一昼夜暗所にて保存したのち、室温にて紫外可視分光光度計(Shimadzu、UV−2550)にて300nm〜800nmまでの紫外光の透過率(T%)を測定する。得られた紫外光吸収曲線の透過率(T%)が50%となる点を通るように、該紫外光吸収曲線に対して接線を引き、その接線の透過率(T%)が0となる吸収波長を吸収端(紫外光スペクトルの吸収端)とし、初期着色の指標とした。例えばメガネレンズのような光学物品においては、この値が低いほど初期着色が低く、光未照射状態の透明性が高い。
[6] サーモクロミズム{T0}: 前記条件にて得られたフォトクロミックプラスチックレンズを試料として、室温にて、紫外可視分光光度計(Shimadzu、UV−2550)を用いて、300nm〜800nmまでの透過率(T%)を測定する。430nm〜650nmの範囲にある透過率が極小値をとる波長における透過率とし、初期着色の指標とした。この値が大きいほど初期着色が小さく、光未照射状態の透明性が高い。
[7] 残存率(A50/A0×100): 得られたフォトクロミックプラスチックレンズをスガ試験器(株)製キセノンウェザーメーターX25により50時間促進劣化させた。その後、前記発色濃度の評価を試験の前後で行い、試験前の発色濃度(A0)および試験後の発色濃度(A50)を測定し、その比(A50/A0)を残存率とし、発色の耐久性の指標とした。残存率が高いほど発色の耐久性が高い。
【0107】
実施例5〜6
クロメン化合物として実施例2〜3で得られた化合物を用いた以外は、実施例4と同様の方法により、フォトクロミックプラスチックレンズの特性を評価した。その結果をまとめて表3に示した。なお、表3において、化合物No.1〜3は、それぞれ、実施例1〜3で得られたクロメン化合物のことである。
【0108】
【表3】
【0109】
比較例1〜5
さらに比較のために、下記式(A)(比較例1)、下記式(B)(比較例2)、下記式(C)(比較例3)、下記式(D)(比較例4)および下記式(E)(比較例5)のクロメン化合物をそれぞれ使用して、実施例4と同様の操作を行った。比較例で使用したクロメン化合物は以下の通りある。
【0110】
【化35】
【0111】
【化36】
【0112】
前記クロメン化合物を使用して、実施例4と同様にしてフォトクロミックプラスチックレンズを得、得られたフォトクロミックプラスチックレンズのフォトクロミック特性を評価した。その結果を表4に示した。
【0113】
【表4】
【0114】
比較例1においては、発色濃度、ダブルピーク性は良好であり、初期着色も低いが、退色速度が遅い。また、比較例2、3および4においては、ダブルピーク性が低いため、中間色のフォトクロミックプラスチックレンズを作製する際の色調調節の点で好ましくない。また、比較例5においては、発色濃度、ダブルピーク性は良好であるが、吸収端が可視領域にあるため、初期着色が高い。
これに対し、本発明のクロメン化合物を用いた実施例4〜6では、比較例1と比較して、退色速度が速くなっている。また、比較例2、3および4と比較して、ダブルピーク性が良好である。また、比較例5と比較して、吸収端が短波長化しているため、初期着色が低い。さらに、本発明のクロメン化合物は、何れも耐久性が良好であった。
【0115】
以上のとおり、本発明のクロメン化合物は、単一化合物で中間色に発色するため、それ単独で使用することができ、退色時の色調変化や、劣化時の色調変化が起こり難い。さらに初期着色が小さく、発色濃度が高く、且つダブルピーク性が高く、退色速度が速いため、非常に優れたフォトクロミックレンズを得ることができる。そのため、他のフォトクロミック化合物と混合して色調を調整することもでき、混合して使用した場合も、優れたフォトクロミック特性を発揮することができる。
【0116】
実施例7〜25
実施例1と同様にして表5に示したクロメン化合物を合成した。得られた生成物のクロメン化合物について、実施例1と同様にして構造解析した結果、表5に示す構造式で示される化合物であることを確認した。表6には、各実施例で得られたクロメン化合物の元素分析値と1H−NMRスペクトル値を示した。表6において、化合物No.7〜25はそれぞれ実施例7〜25で得られたクロメン化合物である。
【0117】
【表5】
【0118】
【表6】
【0119】
【表7】
【0120】
【表8】
【0121】
【表9】
【0122】
【表10】
【0123】
【表11】
【0124】
実施例26〜44
クロメン化合物として実施例7〜25で得られた化合物を用いた以外は、実施例4と同様の方法によりフォトクロミックプラスチックレンズを製造し、その特性を評価した。その結果をまとめて表7に示した。表7中化合物No.7〜25はそれぞれ実施例7〜25で得られたクロメン化合物のことである。
【0125】
【表12】
【0126】
以下、ナフトール化合物の実施例
【0127】
実施例45
下記式(18)
【0128】
【化38】
【0129】
で示されるベンゼン誘導体 27.2g(178.5mmol)、ワコーゲルC−300(和光純薬株式会社) 14gをジクロロメタン 2,000mlに溶解し、−15℃まで冷却し、N−ブロモスクシンイミド 31.3g(174.9mmol)を加えて、12時間攪拌した。反応後、水で洗浄を行い、溶媒を除去し、カラムクロマトグラフ法により精製を行い、下記式(19)
【0130】
【化39】
【0131】
で示される化合物をオレンジ色のオイル 39.2g(169.6mmol、収率:95%)として得た。
マグネシウム 4.5g(185.2mmol)をテトラヒドロフラン 200mlに加え、55℃に昇温した。前記式(19)の化合物のテトラヒドロフラン(200ml)溶液を先の溶液に滴下し、Grignard試薬を調整した。得られたGrignard試薬を−78℃に冷却し、ベンゾイルクロライド 26.0g(185.0mmol)のテトラヒドロフラン(200ml)溶液を滴下した。滴下終了後、室温まで昇温し、3時間攪拌した。反応後、トルエンを加え、水で洗浄を行い、溶媒を除去し、メタノールで再結晶を行うことで精製を行い、下記式(20)
【0132】
【化40】
【0133】
で示される化合物を黄色固体 31.7g(123.8mmol、収率:73%)として得た。
前記式(20)の化合物、コハク酸ジエチル 24.8g(142.4mmol)をテトラヒドロフラン 250mlに溶解し、55℃に昇温した。この溶液に、カリウム−t−ブトキシド 16.0g(142.4mmol)のテトラヒドロフラン溶液(250ml)を滴下し、1時間攪拌した。反応後、トルエンを加え、濃塩酸、次いで、水で洗浄を行い、溶媒を除去し、下記式(21)
【0134】
【化41】
【0135】
で示される化合物をオレンジ色のオイル 47.6g(123.8mmol、収率:100%)として得た。
【0136】
前記式(21)の化合物、酢酸ナトリウム 11.2g(136.2mmol)および無水酢酸 63.2g(619.0mmol)をトルエン 180mlに溶解し、3時間還流した。反応後、水で洗浄を行い、溶媒を除去し、メタノールで再結晶を行うことで精製を行い、下記式(22)
【0137】
【化42】
【0138】
で示される化合物をオレンジ色の固体 15.2g(37.1mmol、収率:30%)として得た。
前記式(22)の化合物をメタノール 80mlに分散した。この溶液に水酸化ナトリウム 26.7g(667.8mmol)の水溶液 300mlを加え、3時間還流した。反応後、トルエンとテトラヒドロフランを加え、濃塩酸、次いで、水で洗浄を行い、溶媒を除去し、トルエンでリスラリーを行うことで精製を行い下記式(23)
【0139】
【化43】
【0140】
で示される化合物を黄色固体 11.3g(33.4mmol、収率:90%)として得た。
前記式(23)の化合物および塩化ベンジル 9.3g(73.5mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド 160mlに溶解した。この溶液に炭酸カリウム 11.5g(83.5mmol)を加え、60℃に昇温し、3時間攪拌した。反応後、トルエンを加え、水で洗浄を行い、溶媒を除去することで、下記式(24)
【0141】
【化44】
【0142】
で示される化合物を黄色オイル 17.1g(33.1mmol、収率:99%)として得た。
前記式(24)の化合物をイソプロピルアルコール 150mlに分散した。この溶液に水酸化ナトリウム 19.9g(496.5mmol)の水溶液 120mlを加え、3時間還流した。反応後、トルエンを加え、濃塩酸、次いで、水で洗浄を行い、溶媒を除去し、トルエンでリスラリーを行うことで精製を行い下記式(25)
【0143】
【化45】
【0144】
で示される化合物を黄色固体 12.7g(29.6mmol、収率:89%)として得た。
【0145】
前記式(25)の化合物をトルエン 350mlに分散した。この溶液にトリエチルアミン 9.0g(88.8mmol)とジフェニルホスホリルアジド 10.6g(38.5mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。この溶液に、エタノール 6.8g(148.0mmol)を加えて、70℃で2時間反応した。この溶液に、エタノール 100mlを加え、次いで、水酸化カリウム 16.6g(296.0mmol)を加えて、5時間還流した。反応後、エタノールを常圧留去し、テトラヒドロフランを加え、水で洗浄を行い、溶媒を除去することで下記式(26)
【0146】
【化46】
【0147】
で示される化合物を黄色固体 11.8g(29.6mmol、収率:100%)として得た。
前記式(26)の化合物をアセトニトリル 500mlに分散し、6%塩酸水溶液 93.5g(148.0mmol)を加え、0℃〜5℃に冷却した。この溶液に、33%亜硝酸ナトリウム水溶液 18.4g(88.8mmol)を加え、30分攪拌した。この溶液に50%ヨウ化カリウム水溶液 51.5g(148.0mmol)を加え、室温で5時間攪拌した。反応後、トルエンを加え、水で洗浄を行い、溶媒を除去し、カラムクロマトグラフ法により精製を行うことで、下記式(27)
【0148】
【化47】
【0149】
で示される化合物を黄色固体 10.6g(20.7mmol、収率:70%)として得た。
前記式(27)の化合物をトルエン 600mlに分散し、−30℃に冷却した。この溶液に、n−ブチルリチウム(1.6Mへキサン溶液) 15.6ml(24.9mmol)を滴下し、30分攪拌した。この溶液に、3,3,5,5−テトラメチルシクロへキサノン 4.0g(25.9mmol)のトルエン溶液 8.0mlを滴下し、0℃で3時間攪拌した。反応後、トルエンを加え、水で洗浄を行い、溶媒除去後、メタノールでリスラリーを行うことで精製し、下記式(28)
【0150】
【化48】
【0151】
で示される化合物を黄色固体 7.3g(13.5mmol、収率:65%)として得た。
前記式(28)の化合物をテトラヒドロフラン 200mlに溶解し、ギ酸アンモニウム 3.4g(54.0mmol)、5%パラジウムカーボン 3.8gを加え、室温で、8時間攪拌した。反応後、ろ過を行い、トルエンを加え、水で洗浄を行い、溶媒除去後、トルエンでリスラリーを行うことで精製し、下記式(29)
【0152】
【化49】
で示される化合物を黄色固体 5.5g(12.2mmol、収率:90%)として得た。
前記式(29)の化合物をトルエン 150mlに溶解し、90℃に昇温した。この溶液に、p−トルエンスルホン酸 7.0g(36.6mmol)を加え、3時間還流した。反応後、水で洗浄を行い、溶媒除去を行うことで、下記式(30)
【0153】
【化50】
【0154】
で示されるナフトール化合物を黄色固体 4.0g(9.2mmol、収率:75%)として得た。
この生成物の元素分析値はC:78.15%、H:7.04%、N:0.00%であって、C28H30O4の計算値であるC:78.11%、H:7.02%、N:0.00%に良く一致した。
【0155】
また、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ0.5〜4.5ppm付近にアルキル基に基づく22Hのピーク、δ5.0〜9.0ppm付近にヒドロキシル基、アロマティックなプロトンに基づく8Hのピークを示した。
さらに、13C−核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ110〜160ppm付近に芳香環の炭素に基づくピーク、δ20〜80ppmにアルキル基の炭素に基づくピークを示した。
前記の結果から単離生成物は、上記式(30)で示されるナフトール化合物であることを確認した。
この化合物は、前記実施例1で用いたナフトール化合物である。
【0156】
実施例46〜66
実施例45と同様にして表8に示したナフトール化合物を合成した。得られた生成物について、実施例45と同様な構造確認の手段を用いて構造解析した結果、表8に示す実施例で用いられたナフトール化合物であることを確認した。表8には、これらの化合物の元素分析値、各化合物の構造式から求めた計算値及び1H−NMRスペクトルの特徴的なスペクトルを示した。
【0157】
【表13】
【0158】
【表14】
Claims (6)
- 下記式(2)
R1は、Hammett数σpが−0.20未満の電子供与基であってヒドロキシル基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、または窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つ該窒素原子でそれが結合している炭素原子に結合する複素環基であり、R1が複数存在する場合、R1は互いに同一でも異なってもよく、
R2は、Hammett数σpが−0.20以上0以下の基であって水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基であり、R2が複数存在する場合、R2は互いに同一でも異なってもよく、
aは、1〜3の整数であり、aが2または3の場合、Zは、互いに同一でも異なってもよく、
ただし、
R 3 およびR 4 は、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つ該窒素原子で5位または8位の炭素原子に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子であり、
R 5 、R 6 およびR 7 は、それぞれ独立に、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つ該窒素原子でそれが結合しているベンゼン環に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子であり、
R 8 およびR 9 は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つ該窒素原子で13位の炭素原子に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子であり、
R 8 とR 9 は、13位の炭素原子と一緒になってカルボニル基または脂肪族炭化水素環を形成してもよく、
bは0〜4の整数であり、cおよびdは、それぞれ独立に、0〜5の整数であり、
bが2〜4の場合は、複数のR 5 は、互いに同一でも異なってもよく、
cおよびdが、それぞれ2〜5の場合は、複数のR 6 および複数のR 7 のそれぞれは、互いに同一でも異なってもよい。
で示されるクロメン化合物。 - 前記式(2)で示されるクロメン化合物において、R8とR9は、13位の炭素原子と一緒になって脂肪族炭化水素環を形成し、該脂肪族炭化水素環は、環員炭素原子数が4〜20であり、そしてアルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アラルキル基、アリール基およびハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有していてもよい請求項1に記載のクロメン化合物。
- 請求項1〜2のいずれかに記載のクロメン化合物と重合性単量体とを含有するフォトクロミック硬化性組成物。
- 請求項1〜2のいずれかに記載のクロメン化合物が内部に分散した高分子成形体を構成部材として有するフォトクロミック光学物品。
- 少なくとも一部が高分子膜で被覆された面を有する光学基材を構成部品として備えた光学物品であって、該高分子膜には、請求項1〜2のいずれかに記載のクロメン化合物が分散していることを特徴とする光学物品。
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