JP5570510B2 - クロメン化合物 - Google Patents
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Description
このような用途に使用されるフォトクロミック化合物には、(i)紫外線を照射する前の可視光領域での着色度(以下、初期着色という。)が小さい、(ii)紫外線を照射した時の着色度(以下、発色濃度という。)が高い、(iii)紫外線を照射し始めてから発色濃度が飽和に達するまでの速度(以下、発色感度という。)が速い、(iv)紫外線の照射を止めてから元の状態に戻るまでの速度(以下、退色速度という。)が速い、(v)この発色と退色の可逆作用の繰り返し耐久性がよい、及び(vi)使用されるホスト材料への分散性が高くなるように、硬化後にホスト材料となるモノマー組成物に高濃度に溶解するといった特性が求められる。
ダブルピーク化合物としては、下記式(A)で示されるクロメン化合物(特許文献1参照)、下記式(B)、下記式(C)で示されるクロメン化合物(特許文献2参照)、下記式(D)で示されるクロメン化合物(特許文献3参照)および下記式(E)で示されるクロメン化合物(特許文献4参照)などが知られている。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
そこで、6、7位の置換基の電子供与性をより調整することにより、上記長所を生かしたまま、その短所を改善できるのではないかと考え、様々な置換基の導入を検討した。
さらに鋭意研究を行った結果、6位と7位に縮環したヘテロ環を導入し、該へテロ環上に電子吸引基をさらに導入した、インデノナフトピラン骨格を有するクロメン化合物が、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
下記式(1)
nは、1〜3の整数であり、nが2または3の場合、複数のZは互いに同一でも異なる基であってもよく、ただしnが1の場合Zは−CH2−であることはなく、nが2または3の場合、複数のZは、−CH2−のみからなることはなく、
R1は、Hammett数σpが0より大きい電子吸引基であって、式(3)において定義される基であり、R1が複数存在する場合、複数のR1は、互いに同一でも異なってもよく、
XおよびYは、それぞれ独立に、酸素原子、または下記式(2)
で示される基であり、
ただし、XおよびYが、共に酸素原子であることはない、
で示される骨格を有する、式(3)で表わされるクロメン化合物である。
で示されるナフトール化合物である。
下記式(1)
基Zは、下記式:
また、基Zの数を示すnは、1〜3の整数であり、nが2または3の場合、複数のZは、互いに同一であっても異なる基であってもよい。ただし、nが1の場合Zは−CH2−であることはなく、nが2または3の場合複数のZは、−CH2−のみからなることはない。つまり、基
nは、ダブルピーク性と退色速度の観点から、1または2であることが好ましい
本発明においては、基X、YおよびZの組み合わせが非常に重要である。次に、基Zにおける基R1について説明する。
基Zにおいて、基R1は、Hammett数σpが0より大きい電子吸引基である。
Hammett数σpとは、p−置換安息香酸の解離定数Kaを基準に用いて、π電子系に結合した置換基の電気的効果を定量化したHammett則に基づいて定義されるものである。そして、Hammett数σpが0となる置換基は水素原子であり、Hammett数σpが0より大きい置換基とは、水素原子よりも電子吸引性の高い置換基を指す。この基R1を有することにより、本発明のクロメン化合物は、優れた効果を発揮する。
σpが0より大きい電子吸引性の置換基であるR1としては、例えばハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアリール基、シアノ基(σp=0.66)、ニトロ基(σp=0.78)、ホルミル基(σp=0.43)、ヒドロキシカルボニル基(σp=0.45)、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基およびハロゲン原子が挙げられる。
以下、Hammett数σpが0より大きい、すなわちσpがプラスの値である、上記電子吸引基について、詳細に説明する。
アルケニル基は、σpが0より大きい基であり、炭素数2〜9のアルケニル基が好ましい。好適なアルケニル基の具体例としては、アリル基、プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基等を挙げることができる。
アルキニル基は、σpが0.1以上0.3以下の基であり、炭素数2〜9のアルキニル基が好ましい。好適なアルキニル基の具体例としては、プロパルギル基(σp=0.23)、1−ペンチニル基等を挙げることができる。
ハロアリール基は、σpが0より大きい基であり、炭素数6〜14の基が好ましい。好適なハロアリール基の具体例としては、4−フルオロフェニル基等を挙げることができる。
アルコキシカルボニル基は、σpが0.3以上0.6以下の基であり、炭素数2〜9のアルコキシカルボニル基が好ましい。好適なアルコキシカルボニル基の具体例としては、メトキシカルボニル基(σp=0.45)、エトキシカルボニル基等を挙げることができる。
好適なハロゲン原子の例としては、フッ素原子(σp=0.06)、塩素原子(σp=0.23)、臭素原子(σp=0.23)およびヨウ素原子(σp=0.18)を挙げることができる。
本発明において、クロメン化合物が、高いダブルピーク性を保ちつつ、退色速度が大きく、初期着色が小さく、高い耐久性を有するために、基Zにおいて、基R1はσpが0.05以上0.7未満の範囲にある電子吸引基であることが好ましい。具体的には、ハロアルキル基、アルキニル基、シアノ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはハロゲン原子が好ましい。また、同じ観点から、基Zは、カルボニル基であることが好ましい。
特に、ダブルピーク性と退色速度のバランスの観点から、基Zにおいて、基R1は、ハロアルキル基、シアノ基、およびハロゲン原子であることが特に好ましく、例えば、トリフルオロメチル基、シアノ基、フッ素原子等であることが好ましい。また、同じ理由から、基Zが、カルボニル基であることが好ましい。
前記式(1)において、XおよびYは、それぞれ6位、および7位の炭素原子に結合する、酸素原子、または
下記式(2)
前記式(2)において、基R2は、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つその窒素原子で式(2)中の窒素原子に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子である。
ハロアルキル基としては、炭素数1〜8のハロアルキル基が好ましく、具体例としては、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等を挙げることができる。
アルケニル基としては、炭素数2〜9のアルケニル基が好ましく、具体例としては、アリル基、プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基等を挙げることができる。
アルキニル基としては、炭素数2〜9のアルキニル基が好ましく、具体例としては、プロパルギル基、1−ペンチニル基等を挙げることができる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましい。好適なアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等を挙げることができる。
アラルキル基としては、炭素数7〜11のアラルキル基が好ましい。好適なアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。また、アラルキル基は、ベンゼン環上の1つもしくは複数の水素原子が、上述と同様のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリールオキシ基で置換されていてもよい。
アラルコキシ基としては、炭素数7〜11のアラルコキシ基が好ましい。好適なアラルコキシ基の具体例としては、ベンジロキシ基、ナフチルメトキシ基等を挙げることができる。
アリール基としては、炭素数6〜14のアリール基が好ましい。好適なアリール基の具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基等を挙げることができる。また、アリール基は、ベンゼン環上の1つもしくは複数の水素原子が、上述と同様のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリールオキシ基で置換されていてもよい。
アミノ基は、一級アミノ基に限定されず、置換基を有する2級アミノ基や3級アミノ基であってもよい。かかるアミノ基が有する置換基としては、例えばアルキル基またはアリール基が代表的である。このような置換アミノ基(2級アミノ基或いは3級アミノ基)の好適な例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基等のアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;フェニルアミノ基等のアリールアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;などを挙げることできる。
窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つその窒素原子で式(2)中の窒素原子に結合する複素環基としては、例えばモルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジニル基、ピペラジノ基、N−メチルピペラジノ基、インドリニル基等を挙げることができる。該複素環基は、置換基を有してもよく、具体的な置換基としては、メチル基等のアルキル基を挙げることができる。置換基を有する複素環基の具体例としては、2,6−ジメチルモルホリノ基、2,6−ジメチルピペリジノ基、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ基等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜9のアルコキシカルボニル基が好ましく、具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等を挙げることができる。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を挙げることができる。
前記式(2)で示される基のうち、基R2は、ダブルピーク性と退色速度の観点から、σpが−0.20〜1.00の基であることが好ましい。具体的には、水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、またはハロゲン原子が好ましい。特に、ダブルピーク性の観点から、σpが−0.20〜0.3の基であることが好ましい。具体的には、水素原子、アルキル基、またはハロゲン原子が好ましい。具体的に、特に好適な置換基として、水素原子、メチル基、フッ素原子が特に好ましい。
特に好適なZ、n、X、Yの組み合わせの例は以下のとおりである。なお、下記式において、6、7が付されている位置の炭素原子が、前記式(1)における6位、7位の炭素原子である。
本発明においては、前記式(1)で示される骨格を有するクロメン化合物うち、
下記式(3)
前記式(3)において、Z、n、XおよびYは、前記式(1)におけるものと同義である。以下、これらの基以外のその他の基について説明する。
(基R3、およびR4)
前記式(3)で示されるクロメン化合物において、5位の基R3および8位の基R4は、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つその窒素原子で5位または8位の炭素原子に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはハロゲン原子である。ここで、これらのアルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つその窒素原子で5位または8位の炭素原子に結合する複素環基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子の具体例としては、前記のR2において説明した基と同様な基が好適な例として挙げられる。
本発明において、基R3およびR4は、退色速度に関与している。退色速度を速めるためにはR3が立体的に小さい置換基を有することが好ましい。そのため、特に好適なのは、水素原子である。
前記式(3)で示されるクロメン化合物において、9〜12位の置換基R5は、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つその窒素原子でそれが結合しているベンゼン環に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子である。ここで、これらのアルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つその窒素原子でそれが結合しているベンゼン環に結合する複素環基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはハロゲン原子の具体例としては、前記のR2において説明した基と同様な基が好適な例として挙げられる。
また、bは、R5の基の数を示すものであり、0〜4の整数である。bが2〜4の場合は、複数のR5は互いに同一でも異なってもよい。
前記式(3)において、R6およびR7は、それぞれ独立に、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つその窒素原子でそれが結合しているベンゼン環に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはハロゲン原子である。ここで、これらのアルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つその窒素原子でそれが結合しているベンゼン環に結合する複素環基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはハロゲン原子の具体例としては、前記のR2についての具体例と同様な基が好適な例として挙げられる。
cおよびdは、R6およびR7の置換基の数を示すものであり、それぞれ独立に、0〜5の整数である。cおよびdがそれぞれ2以上の場合は、複数のR6のそれぞれおよび複数のR7のそれぞれは、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記式(3)で示されるクロメン化合物において、13位の基R8およびR9は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つその窒素原子で13位の炭素原子に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子である。
ここで、これらのアルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つその窒素原子で13位の炭素原子に結合する複素環基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはハロゲン原子の具体例としては、前記のR2において説明した基と同様な基が好適な例として挙げられる。
また、R8とR9は、それらが結合する13位の炭素原子と一緒になって、カルボニル基または脂肪族炭化水素環を形成することもできる。
これらの中でも、特に、優れた効果を発揮するのは、基R8およびR9が一緒になって単環を形成する場合である。具体的な単環を例示すれば、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロへキサン環、シクロへプタン環、シクロオクタン環、シクロノナン環、シクロデカン環、3,3,5,5−テトラメチルシクロへキサン環等を挙げることができる。
上記単環の中でも、特に、シクロオクタン環、3,3,5,5−テトラメチルシクロへキサン環が好ましい。
本発明の好適なクロメン化合物の具体例としては、次のような化合物を挙げることができる。
本発明のクロメン化合物は、常温常圧で無色あるいは淡黄色の固体または粘稠な液体として存在し、次の(イ)〜(ハ)のような手段で確認できる。
(イ)プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定することにより、δ5.0〜9.0ppm付近にアロマティックなプロトンに基づくピーク、δ0.5〜4.5ppm付近にアルキル基、およびアルコキシ基のプロトンに基づくピークが現れる。また、それぞれのスペクトル強度を相対的に比較することにより、それぞれの結合基のプロトンの個数を知ることができる。
(ロ)元素分析によって相当する化合物の組成を決定することができる。
(ハ)13C−核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定することにより、δ110〜160ppm付近に芳香族炭化水素基の炭素に基づくピーク、δ10〜80ppm付近にアルキル基、アルコキシ基の炭素に基づくピークが現われる。
本発明のクロメン化合物の製造方法は、特に限定されるものではなく、いかなる合成法により製造してもよい。好適に採用される代表的な製造方法としては、ナフトール化合物とプロパルギルアルコール化合物とを反応させる方法が挙げられる。前記式(3)で示されるクロメン化合物を製造する場合を例として説明する。
前記式(3)で示されるクロメン化合物は、
下記式(4)
で示されるナフトール化合物と、下記式(5)
で示されるプロパルギルアルコール化合物とを、酸触媒存在下で反応させる方法により好適に製造することができる。
前記式(4)で表わされるナフトール化合物は本発明により新規化合物として提供される。式(4)において、R3、R4、R5、R8、R9、Z、X、Y、bおよびnの定義ならびに具体例等は、前記式(3)におけるそれぞれの定義および具体例等と同じであると理解されるべきである。
前記ナフトール化合物としては、例えば下記式で表される化合物を好ましいものとして挙げることができる。
尚、前記式(4)で示されるナフトール化合物の合成法は、特に限定されないが、例えば、以下のようにして合成することができる。
下記式(I)
例えば、下記式(6)
また、例えば、下記式(7)
また、例えば、下記式(8)
得られた該ベンゼン化合物を臭素化後、次いで、Grignard試薬を調整し、酸クロリドと反応することで、下記式(9)
で示されるアルコール体を得る。このアルコール体を水素とパラジウム炭素等で、脱ベンジル化反応を行い、次いで、中性〜酸性条件下で、10〜120℃で10分〜2時間、Friedel−Crafts反応を行うことにより、目的とするナフトール化合物を合成することができる。かかる反応において、前記有機金属試薬と前記式(13)で示されるケトンとの反応比率は、広い範囲から採用されるが、一般には1:10〜10:1(モル比)の範囲から選択される。反応温度は、通常−80〜70℃が好ましく、溶媒としては、非プロトン性有機溶媒、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン等が使用される。また、アルコール体の中性〜酸性条件下でのFriedel−Crafts反応を行うことで、前記式(4)で示されるナフトール化合物を得ることができる。酸触媒としては、酢酸、塩酸、硫酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酸性アルミナ等を用いて行うことが好ましく、このような酸触媒は、アルコール体100重量部当り0.1〜10重量部の範囲で用いるのが好適である。この反応に際しては、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン等の溶媒が使用される。
本発明のナフトール化合物は、常温常圧で無色あるいは淡黄色の固体または粘稠な液体として存在し、次の(イ)〜(ハ)のような手段で確認できる。
(イ)プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定することにより、δ5.0〜9.0ppm付近にアロマティックなプロトンに基づくピーク、δ0.5〜4.5ppm付近にアルキル基、アルコキシ基のプロトンに基づくピークが現れる。また、それぞれのスペクトル強度を相対的に比較することにより、それぞれの結合基のプロトンの個数を知ることができる。
(ロ)元素分析によって相当する化合物の組成を決定することができる。
(ハ)13C−核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定することにより、δ110〜160ppm付近に芳香族炭化水素基の炭素に基づくピーク、δ10〜80ppm付近にアルキル基、アルコキシ基の炭素に基づくピークが現われる。
また、前記式(5)で示されるプロパルギルアルコール化合物は、既知化合物である。プロパルギルアルコール化合物は、例えば、前記式(5)に対応するベンゾフェノン化合物とリチウムアセチリド等の金属アセチレン化合物とを反応させることにより合成できる。
ナフトール化合物とプロパルギルアルコール化合物との反応比率は、広い範囲から採用することができ、好ましくは、1:10〜10:1(モル比)の範囲にある。また、酸触媒としては硫酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酸性アルミナ等が用いられる。酸触媒は、ナフトール化合物とプロパギルアルコール化合物との総和100重量部当り0.1〜10重量部の範囲で用いられる。反応温度は、0〜200℃が好ましい。溶媒としては、非プロトン性有機溶媒、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン等が使用される。かかる反応により得られた生成物の精製方法としては特に限定されない。例えば、シリカゲルカラム精製を行い、さらに再結晶により、生成物の精製を行なうことができる。
本発明のクロメン化合物は、ダブルピーク性が高いため、他のフォトクロミック化合物と混合して、ブラウン、またはグレーに発色するフォトクロミック組成物とする場合、耐久性の低い黄色に発色するフォトクロミック化合物の使用量を抑えることができるので、その場合退色時の色調変化や、劣化時の色調変化を起こし難い。さらに本発明のクロメン化合物は、初期着色が小さいため、本発明のクロメン化合物を含む光学物品、例えばフォトクロミックレンズは、光未照射状態での透明性が高くなる。
本発明のクロメン化合物と混合して色調を調節するフォトクロミック化合物としては、特に制限されることなく、公知の化合物を使用できる。このようなフォトクロミック化合物としては、国際公開第WO2001/060811パンフレット、特開2009−67680号等に記載されたクロメン化合物を挙げることができる。
本発明のクロメン化合物は、上記の通り、優れたフォトクロミック特性を発揮する。特に、本発明のクロメン化合物を高分子材料中に分散させて使用する態様が最も実用的であり、本発明のクロメン化合物が内部に分散した高分子成形体を構成部材として有するフォトクロミック光学物品は、優れたフォトクロミック特性を発揮する。そのため、本発明のクロメン化合物は、特に、フォトクロミックレンズ(光学物品)に使用することができる。
本発明のクロメン化合物をフォトクロミックレンズに使用する場合には、均一な調光性能が得られる、それ自体公知の方法でレンズを形成することができる。例えば、熱可塑性樹脂と本発明のクロメン化合物を溶融状態で混合し、レンズを形成する方法が挙げられる。また、本発明のクロメン化合物を均一に分散してなる高分子膜をレンズ表面に積層する方法、あるいは、本発明のクロメン化合物を例えばシリコーンオイル中に溶解して150〜200℃で10〜60分かけてレンズ表面に含浸させる方法が挙げられる。このようにレンズの表面部分にクロメン化合物を分散させた場合には、必要に応じて、さらにその表面を硬化性物質で被覆してフォトクロミックレンズとすることもできる。
なお、上記フォトクロミック硬化性組成物において、使用する重合性単量体は、特に制限されるものではなく、公知の重合性単量体を使用することができ、所望とする光学物品の性能に応じて、公知の重合性単量体を組み合わせればよい。
下記式(15)
さらに、13C−核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ110〜160ppm付近に芳香環の炭素に基づくピーク、δ10〜80ppmにアルキル基、アルコキシ基の炭素に基づくピークを示した。
前記の結果から単離生成物は、下記式(17)で示される化合物であることを確認した。
実施例1と同様にして表1に示したクロメン化合物を合成した。得られた生成物について、実施例1と同様な構造確認の手段を用いて構造解析した結果、表1に示す構造式で示される化合物であることを確認した。また、表2にこれらの化合物の元素分析値、各化合物の構造式から求めた計算値及び1H−NMRスペクトルの特徴的なスペクトルを示した。
(コーティング法により作製したフォトクロミックプラスチックレンズの物性評価)
上記実施例で得られたクロメン化合物を光重合開始剤、および重合性単量体と混合後、レンズ基材表面に塗布し、さらに紫外線を照射して、レンズ基材表面の塗膜を重合した。
フォトクロミック硬化性組成物としては、ラジカル重合性単量体として2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン/ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量532)/トリメチロールプロパントリメタクリレート/ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート(ダイセルユーシービー(株)製、EB−1830)/グリシジルメタクリレートをそれぞれ50質量部/10質量部/10質量部/10質量部/10質量部の配合割合で配合したものを使用した。このラジカル重合性単量体の混合物90質量部に対して、実施例1で得られたクロメン化合物1質量部を添加し十分に混合した後に、光重合開始剤であるCGI1800{1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドの混合物(重量比3:1)}を0.3質量部、安定剤であるビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートを5質量部、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]を3質量部、シランカップリング剤であるγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを7質量部、およびN−メチルジエタノールアミンを3質量部添加して十分に混合し、フォトクロミック硬化性組成物とした。
得られたフォトクロミックプラスチックレンズについて、下記フォトクロミック特性を評価した。結果を表3に示した。
[2] 発色濃度(A0): 前記極大吸収波長における、120秒間光照射した後の吸光度{ε(120)}と光未照射状態の吸光度(ε(0))との差であり、発色濃度の指標とした。この値が高いほどフォトクロミック性が優れている。
[3] ダブルピーク性(AY/AB):黄色領域(430nm〜530nm)の発色濃度(AY:λmaxの値)と青色領域(550nm〜650nm)の発色濃度(AB:λmaxの値)との比であり、ダブルピーク性の指標とした。
[4] 退色半減期〔τ1/2(sec.)〕: 120秒間光照射後、光の照射を止めたときに、試料の前記極大吸収波長における吸光度が{ε(120)−ε(0)}の1/2まで低下するのに要する時間であり、退色速度の指標とした。この時間が短いほど退色速度が速い。
[6] サーモクロミズム{T0}: 前記条件にて得られたフォトクロミックプラスチックレンズを試料として、室温にて、紫外可視分光光度計(Shimadzu、UV−2550)を用いて、300nm〜800nmまでの透過率(T%)を測定する。430nm〜650nmの範囲にある透過率が極小値をとる波長における透過率とし、初期着色の指標とした。この値が大きいほど初期着色が小さく、光未照射状態の透明性が高い。
[7] 残存率(A50/A0×100): 得られたフォトクロミックプラスチックレンズをスガ試験器(株)製キセノンウェザーメーターX25により50時間促進劣化させた。その後、前記発色濃度の評価を試験の前後で行い、試験前の発色濃度(A0)および試験後の発色濃度(A50)を測定し、その比(A50/A0)を残存率とし、発色の耐久性の指標とした。残存率が高いほど発色の耐久性が高い。
クロメン化合物として実施例2〜3で得られた化合物を用いた以外は、実施例4と同様にして、フォトクロミックプラスチックレンズの特性を評価した。その結果をまとめて表3に示した。なお、表3において、化合物No.は、実施例No.に相当する(例えば、化合物No.1は、実施例1のクロメン化合物である。)。
さらに比較のために、下記式(A)(比較例1)、下記式(B)(比較例2)、下記式(C)(比較例3)、下記式(D)(比較例4)、および下記式(E)(比較例5)を使用して、実施例4と同様の操作を行った。比較例で使用したクロメン化合物は以下の通りある。
これに対し、本発明のクロメン化合物を用いた実施例では、比較例1と比較して、サーモクロミズムによる初期着色が小さく、退色速度が速くなっている。また、比較例2、3および4と比較して、ダブルピーク性が良好である。また、比較例5と比較して、吸収端が短波長化しているため、初期着色が小さい。さらに、本発明のクロメン化合物は、何れも耐久性が良好であった。
実施例1と同様にして表5に示したクロメン化合物を合成した。得られた生成物のクロメン化合物について、実施例1と同様にして構造解析した結果、表5に示す構造式で示される化合物であることを確認した。表6には、各実施例で得られたクロメン化合物の元素分析値と1H−NMRスペクトル値を示した。表6において、化合物No.7〜28はそれぞれ実施例7〜28で得られたクロメン化合物である。
クロメン化合物として実施例7〜28で得られた化合物を用いた以外は、実施例4と同様の方法によりフォトクロミックプラスチックレンズを製造し、その特性を評価した。その結果をまとめて表7に示した。表7中化合物No.7〜28はそれぞれ実施例7〜28で得られたクロメン化合物のことである。
下記式(18)
マグネシウム 4.6g(188.5mmol)をテトラヒドロフラン 200mlに加え、55℃に昇温した。前記式(19)の化合物のテトラヒドロフラン(200ml)溶液を先の溶液に滴下し、Grignard試薬を調整した。得られたGrignard試薬を−78℃に冷却し、ベンゾイルクロライド 26.5g(188.5mmol)のテトラヒドロフラン(200ml)溶液を滴下した。滴下終了後、室温まで昇温し、3時間攪拌した。反応後、水で洗浄を行い、溶媒を除去し、メタノールで再結晶を行うことで精製を行い、下記式(20)
前記式(20)の化合物、コハク酸ジエチル 25.8g(147.9mmol)をテトラヒドロフラン 250mlに溶解し、55℃に昇温した。この溶液に、カリウム−t−ブトキシド 16.6g(147.9mmol)のテトラヒドロフラン溶液(250ml)を滴下し、1時間攪拌した。反応後、濃塩酸、次いで、水で洗浄を行い、溶媒を除去し、下記式(21)
前記式(21)の化合物、酢酸ナトリウム 11.6g(141.5mmol)および無水酢酸 72.2g(707.5mmol)をトルエン 180mlに溶解し、3時間還流した。反応後、水で洗浄を行い、溶媒を除去し、メタノールで再結晶を行うことで精製を行い、下記式(22)
前記式(22)の化合物をメタノール 80mlに分散した。この溶液に水酸化ナトリウム 27.8g(694.8mmol)の水溶液 300mlを加え、3時間還流した。反応後、濃塩酸、次いで、水で洗浄を行い、溶媒を除去し、トルエンでリスラリーを行うことで精製を行い下記式(23)
前記式(23)の化合物および塩化ベンジル 9.7g(76.3mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド 160mlに溶解した。この溶液に炭酸カリウム 12.0g(86.8mmol)を加え、60℃に昇温し、3時間攪拌した。反応後、水で洗浄を行い、溶媒を除去することで、下記式(24)
前記式(24)の化合物をイソプロピルアルコール 150mlに分散した。この溶液に水酸化ナトリウム 20.4g(510.0mmol)の水溶液 120mlを加え、3時間還流した。反応後、濃塩酸、次いで、水で洗浄を行い、溶媒を除去し、トルエンでリスラリーを行うことで精製を行い下記式(25)
前記式(25)の化合物をトルエン 350mlに分散した。この溶液にトリエチルアミン 9.0g(88.8mmol)とジフェニルホスホリルアジド 10.6g(38.5mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。この溶液に、エタノール 6.8g(148.0mmol)を加えて、70℃で2時間反応した。この溶液に、エタノール 100mlを加え、次いで、水酸化カリウム 16.6g(296.0mmol)を加えて、5時間還流した。反応後、エタノールを常圧留去し、テトラヒドロフランを加え、水で洗浄を行い、溶媒を除去することで下記式(26)
前記式(26)の化合物をアセトニトリル 500mlに分散し、6%塩酸水溶液 93.5g(148.0mmol)を加え、0℃〜5℃に冷却した。この溶液に、33%亜硝酸ナトリウム水溶液 18.4g(88.8mmol)を加え、30分攪拌した。この溶液に50%ヨウ化カリウム水溶液 51.5g(148.0mmol)を加え、室温で5時間攪拌した。反応後、トルエンを加え、水で洗浄を行い、溶媒を除去し、カラムクロマトグラフ法により精製を行うことで、下記式(27)
前記式(27)の化合物をトルエン 600mlに分散し、−30℃に冷却した。この溶液に、n−ブチルリチウム(1.6Mへキサン溶液) 15.6ml(24.9mmol)を滴下し、30分攪拌した。この溶液に、3,3,5,5−テトラメチルシクロへキサノン 4.0g(25.9mmol)のトルエン溶液 8.0mlを滴下し、0℃で3時間攪拌した。反応後、トルエンを加え、水で洗浄を行い、溶媒除去後、メタノールでリスラリーを行うことで精製し、下記式(28)
前記式(28)の化合物をテトラヒドロフラン 200mlに溶解し、ギ酸アンモニウム 3.4g(54.0mmol)、5%パラジウムカーボン 3.8gを加え、室温で、8時間攪拌した。反応後、トルエンを加え、水で洗浄を行い、溶媒除去後、トルエンでリスラリーを行うことで精製し、下記式(29)
前記式(29)の化合物をトルエン 150mlに溶解し、90℃に昇温した。この溶液に、p−トルエンスルホン酸 7.0g(36.6mmol)を加え、3時間還流した。反応後、水で洗浄を行い、溶媒除去を行うことで、下記式(30)
この生成物の元素分析値はC:75.21%、H:7.04%、N:5.99%であって、C29H32F2N2Oの計算値であるC:75.30%、H:6.97%、N:6.06%に良く一致した。
また、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ0.5〜4.5ppm付近にアルキル基に基づく24Hのピーク、δ5.0〜δ9.0ppm付近にヒドロキシル基、アロマティックなプロトンに基づく8Hのピークを示した。
さらに、13C−核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ110〜160ppm付近に芳香環の炭素に基づくピーク、δ20〜80ppmにアルキル基の炭素に基づくピークを示した。
前記の結果から単離生成物は、上記式(30)で示されるナフトール化合物であることを確認した。
この化合物は、前記実施例7で用いたナフトール化合物である。
実施例51と同様にして表に示したナフトール化合物を合成した。得られた生成物について、実施例51と同様な構造確認の手段を用いて構造解析した結果、表8に示す実施例で用いられたナフトール化合物であることを確認した。表8には、これらの化合物の元素分析値、各化合物の構造式から求めた計算値及び1H−NMRスペクトルの特徴的なスペクトルを示した。
Claims (6)
- 下記式(3)
nは1〜3の整数であり、nが2または3の場合、複数のZは、互いに同一でも異なってもよく、ただし、nが1の場合Zは−CH2−であることはなく、nが2または3の場合、複数のZは、−CH2−のみからなることはなく、
R1は、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアリール基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはハロゲン原子であり、R1が複数存在する場合、複数のR1は、互いに同一でも異なってもよく、
X、およびYは、それぞれ独立に、酸素原子、または下記式(2)
で示される基であり、
ただし、X、およびYが、共に酸素原子であることはなく、
R 3 およびR 4 は、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つその窒素原子で5位または8位の炭素原子に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはハロゲン原子であり、
R 5 、R 6 およびR 7 は、それぞれ独立に、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つその窒素原子でそれが結合しているベンゼン環に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子であり、
R 8 およびR 9 は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つその窒素原子で13位の炭素原子に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはハロゲン原子であり、
R 8 とR 9 は、13位の炭素原子と一緒になってカルボニル基、または脂肪族炭化水素環を形成してもよく、
bは0〜4の整数であり、cおよびdはそれぞれ独立に0〜5の整数であり、
bが2以上の場合は、R 5 は、互いに同一でも異なってもよく、また、cおよびdが、それぞれ2以上の場合は、R 6 およびR 7 は、それぞれ互いに同一でも異なってもよい、
で示されるクロメン化合物。 - 前記式(3)で示されるクロメン化合物において、R8とR9は13位の炭素原子と一緒になって、脂肪族炭化水素環を形成し、該脂肪族炭化水素環は、環員炭素原子数が4〜20であり、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アラルキル基、アリール基、およびハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有してもよい請求項1に記載のクロメン化合物。
- 請求項1〜2のいずれかに記載のクロメン化合物と重合性単量体とを含有するフォトクロミック硬化性組成物。
- 請求項1〜2のいずれかに記載のクロメン化合物が内部に分散した高分子成形体を構成部材として有するフォトクロミック光学物品。
- 少なくとも一部分が高分子膜で被覆された面を有する光学基材を構成部品として備えた光学物品であって、該高分子膜には、請求項1〜2のいずれかに記載のクロメン化合物が分散していることを特徴とする光学物品。
- 下記式(4)
nは1〜3の整数であり、nが2または3の場合、複数のZは、互いに同一でも異なってもよく、ただし、nが1の場合Zは−CH 2 −であることはなく、nが2または3の場合、複数のZは、−CH 2 −のみからなることはなく、
R 1 は、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアリール基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはハロゲン原子であり、R 1 が複数存在する場合、複数のR 1 は、互いに同一でも異なってもよく、
X、およびYは、それぞれ独立に、酸素原子、または下記式(2)
で示される基であり、
ただし、X、およびYが、共に酸素原子であることはなく、
R 3 およびR 4 は、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つその窒素原子で5位または8位の炭素原子に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはハロゲン原子であり、
R 5 は、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つその窒素原子でそれが結合しているベンゼン環に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子であり、
R 8 およびR 9 は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アミノ基、窒素原子を環員ヘテロ原子として有し且つその窒素原子で13位の炭素原子に結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはハロゲン原子であり、
R 8 とR 9 は、13位の炭素原子と一緒になってカルボニル基、または脂肪族炭化水素環を形成してもよく、
bは0〜4の整数であり、
bが2以上の場合は、R 5 は、互いに同一でも異なってもよい、
で示されるナフトール化合物。
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