JP2011074046A - クロメン化合物 - Google Patents
クロメン化合物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2011074046A JP2011074046A JP2009230098A JP2009230098A JP2011074046A JP 2011074046 A JP2011074046 A JP 2011074046A JP 2009230098 A JP2009230098 A JP 2009230098A JP 2009230098 A JP2009230098 A JP 2009230098A JP 2011074046 A JP2011074046 A JP 2011074046A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- ring
- atom
- groups
- chromene compound
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- RSCCFQBCGJHUQD-UHFFFAOYSA-N CC(C)(C(C(CC=C)(C(C)(CC=C)C1(N)N)N)(N)N)C1(N)N Chemical compound CC(C)(C(C(CC=C)(C(C)(CC=C)C1(N)N)N)(N)N)C1(N)N RSCCFQBCGJHUQD-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
Landscapes
- Optical Filters (AREA)
Abstract
Description
本発明は、フォトクロミック眼鏡レンズ用のフォトクロミック化合物として有用な新規なクロメン化合物に関する。
フォトクロミズムとは、ある化合物に太陽光あるいは水銀灯の光のような紫外線を含む光を照射すると速やかに色が変わり、光の照射をやめて暗所におくと元の色に戻る可逆作用のことである。この性質を有する化合物はフォトクロミック化合物と呼ばれ、フォトクロミックプラスチックレンズの材料として使用されている。
このような用途に使用されるフォトクロミック化合物においては、(I)紫外線を照射する前の可視光領域での着色度(以下、初期着色という。)が小さい、(II)紫外線を照射した時の着色度(以下、発色濃度という。)が高い、(III)紫外線を照射し始めてから発色濃度が飽和に達するまでの速度が速い(以下、発色感度が高いともいう。)、(IV)紫外線の照射を止めてから元の状態に戻るまでの速度(以下、退色速度という。)が速い、(V)この可逆作用の繰り返し耐久性がよい、及び(VI)使用されるホスト材料への分散性が高くなるように、硬化後にホスト材料となるモノマー組成物に高濃度に溶解するといった特性が求められている。
このような要求を満足し得るフォトクロミック化合物としては、インデノ(2,1−f)ナフト(1,2−b)ピラン構造を基本骨格として有するクロメン化合物が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
これまで見出されているクロメン化合物の問題点は、その物自体のフォトクロミック特性は優れており、例えば溶液中では発色濃度が高く、退色速度が速いものが知られているが、各種プラスチック材料のような高分子マトリックスに分散させた場合には、化合物が本来有する優れたフォトクロミック特性を十分に発揮することができず、発色濃度や退色速度が低下したり、耐久性が低下したりするという問題がある。このような問題は硬い高分子マトリックス中に分散させたときに顕著である。特に退色速度が著しく低下し、発色時の半分の発色濃度まで退色するのに1分程度を要する。退色速度を速くするために、インデノ(2,1−f)ナフト(1,2−b)ピラン構造の11位にπ共役を有する置換基を導入した化合物が知られている。しかし、一般的に、退色速度と発色濃度はトレードオフの関係にあるため、退色速度が速くなると、発色濃度は大きく低下することが知られている。
これまで退色速度が速いフォトクロミック化合物は下記式(A)に示すような化合物が知られており、この化合物は、優れた特性を発揮する化合物である。
しかしながら、この化合物は、以下の点で改善の余地があった。即ち、下記式(A)
で示されるクロメン化合物(特許文献3参照)は、退色速度は速いが、発色濃度が低いため、改善の余地があった。
したがって、本発明の目的は、発色濃度が高く、退色速度が速いクロメン化合物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった。その結果、優れたフォトクロミック特性を与えることが知られているインデノ(2,1−f)ナフト(1,2−b)ピラン構造を基本骨格として有するクロメン化合物において、インデノ(2,1−f)ナフト(1,2−b)ピラン構造の7位に特定の置換基を導入した場合に、退色速度が速く、かつ、発色濃度が高いという優れたフォトクロミック特性を示すという知見を得、本発明を完成するに至った。このような効果が得られる理由は定かではないが、クロメン骨格と燐原子の空のd軌道との相互作用により、予想しえない効果が得られたものと推察される。インデノ(2,1−f)ナフト(1,2−b)ピラン構造の7位に5価の燐原子を含む置換基を導入したものは、無置換(水素原子)のものと比較して、発色濃度を維持したままで、退色速度を速くすることができる。
即ち、第一の本発明は、下記式(1)で示される骨格を有するクロメン化合物である。
{式中、
R1は、ホスホノ基、ホスフィニル基、ジアルキルホスフィニル基、ビスハロアルキルホスフィニル基、ジシクロアルキルホスフィニル基、ジアルコキシホスホリル基、ジアリールホスフィニル基、及びジヘテロアリールホスフィニル基から選ばれる燐原子を有する置換基である。}
また、第二の本発明は、上記本発明のクロメン化合物と重合性単量体とを含有するフォトクロミック硬化性組成物である。
R1は、ホスホノ基、ホスフィニル基、ジアルキルホスフィニル基、ビスハロアルキルホスフィニル基、ジシクロアルキルホスフィニル基、ジアルコキシホスホリル基、ジアリールホスフィニル基、及びジヘテロアリールホスフィニル基から選ばれる燐原子を有する置換基である。}
また、第二の本発明は、上記本発明のクロメン化合物と重合性単量体とを含有するフォトクロミック硬化性組成物である。
さらに第三の本発明は、その内部に前記本発明のクロメン化合物が分散した高分子成型体を構成部材として有するフォトクロミック光学物品であり、第四の本発明は、少なくとも1つの面の全部又は一部が本発明のクロメン化合物が分散した高分子膜で被覆された光学基材を構成部材として有する光学物品である。
本発明のクロメン化合物は、発色濃度が高く、更に速い退色速度を示す。したがって、例えば、本発明のクロメン化合物を用いてフォトクロミックレンズを作製した場合には、屋外へ出た時に濃く発色して、屋外から室内に戻った時にすばやく退色して元の色調に戻るフォトクロミックレンズを製造できる。
本発明のクロメン化合物は、下記式(1)
で示されるインデノ(2,1−f)ナフト(1,2−b)ピラン構造を基本骨格として有する。インデノ(2,1−f)ナフト(1,2−b)ピラン構造を基本骨格として有するクロメン化合物は、優れたフォトクロミック特性を示すことが知られている。本発明は、その基本骨格を有するクロメン化合物の中でも、7位の炭素原子に、特定の置換基を導入することにより、その優れたフォトクロミック特性を維持しつつ、退色速度を速くすることが可能となる。ここで、特定の置換基とは、ホスホノ基、ホスフィニル基、ジアルキルホスフィニル基、ビスハロアルキルホスフィニル基、ジシクロアルキルホスフィニル基、ジアルコキシホスホリル基、ジアリールホスフィニル基、及びジヘテロアリールホスフィニル基から選ばれる燐原子を有する置換基である。このように特定の位置に、上記の特定の置換基を導入したクロメン化合物は、従来は知られていない。以下、ピラン構造の7位に導入された上記置換基を、単に燐原子を有する置換基とする場合もある。次に、この燐原子を有する置換基について説明する。
<R1>
R1は、ピラン骨格の7位の炭素原子と結合する置換基である。本発明においては、R1は、ホスホノ基、ホスフィニル基、ジアルキルホスフィニル基、ビスハロアルキルホスフィニル基、ジシクロアルキルホスフィニル基、ジアルコキシホスホリル基、ジアリールホスフィニル基、及びジヘテロアリールホスフィニル基から選ばれる燐原子を有する置換基でなければならない。
R1は、ピラン骨格の7位の炭素原子と結合する置換基である。本発明においては、R1は、ホスホノ基、ホスフィニル基、ジアルキルホスフィニル基、ビスハロアルキルホスフィニル基、ジシクロアルキルホスフィニル基、ジアルコキシホスホリル基、ジアリールホスフィニル基、及びジヘテロアリールホスフィニル基から選ばれる燐原子を有する置換基でなければならない。
前記ジアルキルホスフィニル基は、特に制限されないが、炭素数1〜6のジアルキルホスフィニル基が好ましい。好適なジアルキルホスフィニル基を例示すると、ジメチルホスフィニル基、ジエチルホスフィニル基、ジn−プロピルホスフィニル基、ジイソプロピルホスフィニル基、ジn−ブチルホスフィニル基、ジsec−ブチルホスフィニル基、ジtert−ブチルホスフィニル基等を挙げることができる。
前記ビスハロアルキルホスフィニル基は、特に制限されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子で置換された炭素数1〜6のビスハロアルキルホスフィニル基が好ましい。好適なビスハロアルキルホスフィニル基を例示すると、ビストリフルオロメチルホスフィニル基、ビスペンタフルオロエチルホスフィニル基、ビスクロロメチルホスフィニル基、ビス2−クロロエチルホスフィニル基、ビスブロモメチルホスフィニル基等を挙げることができる。
前記ジシクロアルキルホスフィニル基は、特に制限されないが、炭素数3〜8のジシクロアルキルホスフィニル基が好ましい。好適なジシクロアルキルホスフィニル基を例示すると、ジシクロプロピルホスフィニル基、ジシクロブチルホスフィニル基、ジシクロペンチルホスフィニル基、ジシクロヘキシルホスフィニル基等を挙げることができる。
前記ジアルコキシホスホリル基は特に制限されないが、炭素数1〜6のジアルコキシホスホリル基が好ましい。好適なジアルコキシホスホリル基を例示すると、ジメトキシホスホリル基、ジエトキシホスホリル基、ジn−プロポキシホスホリル基、ジイソプロポキシホスホリル基、ジn−ブトキシホスホリル基、ジsec−ブトキシホスホリル基、ジtert−ブトキシホスホリル基等を挙げることができる。
前記ジアルコキシホスホリル基は特に制限されないが、炭素数1〜6のジアルコキシホスホリル基が好ましい。好適なジアルコキシホスホリル基を例示すると、ジメトキシホスホリル基、ジエトキシホスホリル基、ジn−プロポキシホスホリル基、ジイソプロポキシホスホリル基、ジn−ブトキシホスホリル基、ジsec−ブトキシホスホリル基、ジtert−ブトキシホスホリル基等を挙げることができる。
前記ジアリールホスフィニル基は、特に制限されないが、炭素数6〜14のジアリールホスフィニル基が好ましい。好適なジアリールホスフィニル基を例示すると、ジフェニルホスフィニル基、ジ1−ナフチルホスフィニル基、ジ2−ナフチルホスフィニル基等を挙げることができる。
前記ジヘテロアリールホスフィニル基は、特に制限されないが、炭素数4〜12のジヘテロアリールホスフィニル基が好ましい。好適なジヘテロアリールホスフィニル基を例示すると、ジチエニルホスフィニル基、ジフリルホスフィニル基、ジピロリニルホスフィニル基、ジピリジルホスフィニル基、ジベンゾチエニルホスフィニル基、ジベンゾフラニルホスフィニル基、ジベンゾピロリニルホスフィニル基等を挙げることができる。
なお、前記ジアリールホスフィニル基、及び前記ジヘテロアリールホスフィニル基は、その基の1〜13個の水素原子、特に好ましくは1〜4個の水素原子が、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、窒素原子を含み該窒素原子がベンゼン環の炭素原子と結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
次に、これら、ジアリールホスフィニル基、及びジヘテロアリールホスフィニル基の置換基について説明する。
前記アルキル基は、特に制限されないが、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。好適なアルキル基を例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等を挙げることができる。
前記ハロアルキル基は、特に制限されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子で置換された炭素数1〜6のハロアルキル基が好ましい。好適なハロアルキル基を例示すると、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、ブロモメチル基等を挙げることができる。
前記シクロアルキル基は、特に制限されないが、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましい。好適なシクロアルキル基を例示すると、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
前記アルコキシ基は特に制限されないが、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。好適なアルコキシ基を例示すると、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等を挙げることができる。
前記アミノ基は、一級アミノ基に限定されず、置換基を有する2級アミノ基や3級アミノ基であってもよい。かかるアミノ基が有する置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数4〜12のヘテロアリール基等が挙げられる。これら、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基は、上記R1で説明した基と同様の基である。また、前記アリール基を例示すると、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を挙げることができる。また、前記へテロアリール基を例示すると、チエニル基、フリル基、ピロリニル基、ピリジル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾピロリニル基等を挙げることができる。好適なアミノ基を例示すると、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基等を挙げることできる。
前記窒素原子を含み該窒素原子がベンゼン環の炭素原子と直接結合する複素環基は、特に制限されないが、好適なものを例示すると、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジニル基、ピペラジノ基、N−メチルピペラジノ基、インドリニル基等を挙げることができる。さらに、該複素環基は、炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有してもよく、具体的な置換基としては、メチル基等のアルキル基を挙げることができる。置換基を有する複素環基のうち、好適なものを例示すると、2,6−ジメチルモルホリノ基、2,6−ジメチルピペリジノ基、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ基等が挙げられる。
前記アルキルカルボニル基は、特に制限されないが、好適なものを例示すると、アセチル基、エチルカルボニル基等を挙げることができる。
前記アルコキシカルボニル基は、特に制限されないが、好適なものを例示すると、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等を挙げることができる。
前記ハロゲン原子は、特に制限されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
前記アラルキル基は、特に制限されないが、炭素数7〜11のアラルキル基が好ましい。好適なアラルキル基を例示すると、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
前記アリール基は、特に制限されないが、炭素数6〜14のアリール基が好ましい。好適なアリール基を具体的に例示すると、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を挙げることができる。
前記アリールオキシ基は、特に制限されないが、炭素数6〜14のアリールオキシ基が好ましい。好適なアリールオキシ基を例示すると、フェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等を挙げることができる。
上記の燐原子を有する置換基において、発色濃度が高く、退色速度が速いという点で炭素数1〜6のジアルコキシホスホリル基、炭素数6〜14のジアリールホスフィニル基または炭素数1〜6のビスハロアルキルホスフィニル基が好ましい。特に好適なものを例示すると、ジメトキシホスホリル基、ジエトキシホスホリル基、ジフェニルホスフィニル基、ビストリフルオロメチルホスフィニル基等が挙げられる。特に、退色速度が速いという点で、炭素数1〜6のジアルコキシホスホリル基が好ましく、具体的に例示すると、ジメトキシホスホリル基、ジエトキシホスホリル基等が挙げられる。
<好適なクロメン化合物>
本発明のクロメン化合物の中でも、特に発色濃度が高く、退色速度が速いという観点から、下記式(2)で示されるクロメン化合物が好適である。
本発明のクロメン化合物の中でも、特に発色濃度が高く、退色速度が速いという観点から、下記式(2)で示されるクロメン化合物が好適である。
上記式(1)で示されるクロメン化合物の置換基について説明する。
<R1>
本発明の好適なクロメン化合物において、上記式中、R1は、ホスホノ基、ホスフィニル基、ジアルキルホスフィニル基、ビスハロアルキルホスフィニル基、ジシクロアルキルホスフィニル基、ジアルコキシホスホリル基、ジアリールホスフィニル基、及びジヘテロアリールホスフィニル基から選ばれる燐原子を有する置換基である。これら基は、既に説明した基と同様の基が挙げられ、好ましい基も同じ基である。
本発明の好適なクロメン化合物において、上記式中、R1は、ホスホノ基、ホスフィニル基、ジアルキルホスフィニル基、ビスハロアルキルホスフィニル基、ジシクロアルキルホスフィニル基、ジアルコキシホスホリル基、ジアリールホスフィニル基、及びジヘテロアリールホスフィニル基から選ばれる燐原子を有する置換基である。これら基は、既に説明した基と同様の基が挙げられ、好ましい基も同じ基である。
<R2及びR3>
本発明の好適なクロメン化合物において、上記式中、R2及びR3は、それぞれ独立に、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、窒素原子を含み該窒素原子がベンゼン環の炭素原子と直接結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アラルキル基、アリールオキシ基、又はアリール基である。
本発明の好適なクロメン化合物において、上記式中、R2及びR3は、それぞれ独立に、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、窒素原子を含み該窒素原子がベンゼン環の炭素原子と直接結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アラルキル基、アリールオキシ基、又はアリール基である。
前記アルキル基は、特に制限されないが、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。好適なアルキル基を例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等を挙げることができる。
前記ハロアルキル基は、特に制限されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子で置換された炭素数1〜6のハロアルキル基が好ましい。好適なハロアルキル基を例示すると、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、ブロモメチル基等を挙げることができる。
前記シクロアルキル基は、特に制限されないが、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましい。好適なシクロアルキル基を例示すると、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
前記アルコキシ基は特に制限されないが、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。好適なアルコキシ基を例示すると、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等を挙げることができる。
前記アミノ基は、一級アミノ基に限定されず、置換基を有する2級アミノ基や3級アミノ基であってもよい。かかるアミノ基が有する置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数4〜12のヘテロアリール基等が挙げられる。これら、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基は上記R2として既に説明した基と同じ基が適用される。また、前記アリール基を例示すると、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を挙げることができる。また、前記へテロアリール基を例示すると、チエニル基、フリル基、ピロリニル基、ピリジル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾピロリニル基等を挙げることができる。好適なアミノ基を例示すると、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基等を挙げることできる。
前記窒素原子を含み該窒素原子がベンゼン環の炭素原子と直接結合する複素環基は、特に制限されないが、好適なものを例示すると、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジニル基、ピペラジノ基、N−メチルピペラジノ基、インドリニル基等を挙げることができる。
前記アルキルカルボニル基は、特に制限されないが、好適なものを例示すると、アセチル基、エチルカルボニル基等を挙げることができる。
前記アルコキシカルボニル基は、特に制限されないが、好適なものを例示すると、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等を挙げることができる。
前記ハロゲン原子は特に制限されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
前記アラルキル基は、特に制限されないが、炭素数7〜11のアラルキル基が好ましい。好適なアラルキル基を例示すると、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
前記アリールオキシ基は、炭素数6〜14のアリールオキシ基が好ましい。好適なアリールオキシ基を例示すると、フェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等を挙げることができる。
前記アリール基は、特に制限されないが、炭素数6〜14のアリール基が好ましい。好適なアリール基を具体的に例示すると、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を挙げることができる。
なお、アラルキル基、アリールオキシ基及びアリール基は、ベンゼンもしくはナフタレン環等の1〜13個の水素原子、特に好ましくは1〜4個の水素原子が、前記のヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、窒素原子を含み該窒素原子がベンゼン環の炭素原子と結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
上記の中でも、R2としては、退色速度が速くなるという点で、水素原子(aが0である場合)であるか、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基、窒素原子を含み該窒素原子がベンゼン環の炭素原子と直接結合する複素環基が好ましい。特に好適なものを例示すると、水素原子、メチル基、メトキシ基、N,N−ジメチルアミノ基、モルホリノ基等が挙げられる。
一方、R3としては、水素原子(bが0である場合)、又は電子吸引性の置換基であることが好ましい。また、基R3が電子吸引性の基である場合、基R3は、退色速度をより速めるためには11位の炭素原子に結合することが好ましい。特に、電子吸引性の好適な置換基は、シアノ基、又は炭素数1〜6ハロアルキル基であり、具体的に例示するとシアノ基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
aは0〜3の整数であり、R2の基の数を指す。aが2以上である場合、R2は、互いに同一であっても異なる基であってもよい。また、bは0〜4の整数であり、R3の基の数を指す。bが2以上の整数である場合、R3は、互いに同一であっても異なる基であってもよい。なお、複数のR2、R3が存在する場合にも、好ましい基は、上記の説明で示した基である。
<R4及びR5>
R4及びR5は、互いに独立しており、それぞれ、下記式(3)で示される基、下記式式(4)で示される基、アリール基、ヘテロアリール基、又はアルキル基である。
R4及びR5は、互いに独立しており、それぞれ、下記式(3)で示される基、下記式式(4)で示される基、アリール基、ヘテロアリール基、又はアルキル基である。
前記式(3)中のR8は、アリール基又はヘテロアリール基である。ここで、アリール基は、R2、R3として既に説明した基と同じものが適用される。
前記ヘテロアリール基は、特に制限されないが、炭素数4〜12のヘテロアリール基が好ましい。好適なヘテロアリール基を例示すると、チエニル基、フリル基、ピロリニル基、ピリジル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾピロリニル基等を挙げることができる。
なお、前記ヘテロアリール基は、その基の1〜7個の水素原子、特に好ましくは1〜4個の水素原子が、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
また、R9は、水素原子、アルキル基、又はハロゲン原子である。アルキル基、ハロゲン原子は、R2、R3として既に説明した基と同じものが適用される。
mは1〜3の整数であるが、原料入手の観点からmは1であるのが好適である。
前記式(3)で示される基のうち好適な基を例示すれば、フェニル−エチレニル基、(4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル)−エテニル基、(4−モルホリノフェニル)−エテニル基、(4−ピペリジノフェニル)−エテニル基、(4−メトキシフェニル)−エテニル基、(2−メトキシフェニル)−エテニル基、フェニル−1−メチルエテニル基、(4−メトキシフェニル)−1−メチルエテニル基、フェニル−1−フルオロエテニル基、(4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル)−1−フルオロエテニル基、2−チエニル−エテニル基、2−フリル−エテニル基、2−(N−メチル)ピロリニル−エテニル基、2−ベンゾチエニル−エテニル基、2−ベンゾフラニル−エテニル基、2−(N−メチル)インドリル−エテニル基等を挙げることができる。
前記式(4)において、R10は、前記R8と同じアリール基、又はヘテロアリール基である。また、nは1〜3の整数であるが、原料入手の容易さの観点からnは1であるのが好適である。
前記式(4)で示される基のうち好適な基を例示すれば、フェニル−エチリニル基、(4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル)−エチニル基、(4−モルホリノフェニル)−エチニル基、(4−ピペリジノフェニル)−エチニル基、(4−メトキシフェニル)−エチニル基、(4−メチルフェニル)−エチニル基、(2−メトキシフェニル)−エチニル基、2−チエニル−エチニル基、2−フリル−エチニル基、2−(N−メチル)ピロリニル−エチニル基、2−ベンゾチエニル−エチニル基、2−ベンゾフラニル−エチニル基、2−(N−メチル)インドリル−エチニル基等を挙げることができる。
R4及びR5のアリール基、ヘテロアリール基、アルキル基は、上記R2、R3として既に説明した基と同じ基が適用される。
また、R4及びR5は、互いに結合して脂肪族炭化水素環もしくは芳香族炭化水素環を形成することもできる。
脂肪族炭化水素環としては、特に制限はされないが、好適な環を具体的に例示すると、アダマンタン環、ビシクロノナン環、ノルボルナン環等を挙げることができる。
また、芳香族炭化水素環としては、特に制限はされないが、好適な環としては、フルオレン環等を挙げることができる。
上記R4及びR5の基において、特に、優れたフォトクロミック特性を発揮するためには、少なくとも一方、好ましくは両方の基が、アリール基、又はヘテロアリール基であることが好ましい。さらに、R4及びR5の少なくとも一方、好ましくは両方の基が、下記(i)〜(iv)に示される何れかの基であることが特に好ましい。
(i)アルキル基もしくはアルコキシ基を置換基として有するアリール基、又はヘテロアリール基、
(ii)アミノ基を置換基として有するアリール基、又はヘテロアリール基、
(iii)窒素原子をヘテロ原子として有し且つ該窒素原子とアリール基、又はヘテロアリール基とが結合する複素環基を置換基として有するアリール基、又はヘテロアリール基、
(iv)前記(iii)における複素環基に、芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基を置換基として有するアリール基、又はヘテロアリール基;
なお、上記(i)〜(iv)におけるアリール基においては、置換基の置換する位置は特に限定されず、その総数も特に限定されるものではない。ただし、優れたフォトクロミック特性を発揮するためには、置換位置は、アリール基がフェニル基であるときは3位又は4位であることが好ましい。また、その際の置換基の数は、1乃至2であることが好ましい。このような好適なアリール基を例示すると、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、4−n−プロポキシフェニル基、4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル基、4−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル基、4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル基、4−モルホリノフェニル基、4−ピペリジノフェニル基、3−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル基、4−(2,6−ジメチルピペリジノ)フェニル基等を挙げることができる。
(ii)アミノ基を置換基として有するアリール基、又はヘテロアリール基、
(iii)窒素原子をヘテロ原子として有し且つ該窒素原子とアリール基、又はヘテロアリール基とが結合する複素環基を置換基として有するアリール基、又はヘテロアリール基、
(iv)前記(iii)における複素環基に、芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基を置換基として有するアリール基、又はヘテロアリール基;
なお、上記(i)〜(iv)におけるアリール基においては、置換基の置換する位置は特に限定されず、その総数も特に限定されるものではない。ただし、優れたフォトクロミック特性を発揮するためには、置換位置は、アリール基がフェニル基であるときは3位又は4位であることが好ましい。また、その際の置換基の数は、1乃至2であることが好ましい。このような好適なアリール基を例示すると、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、4−n−プロポキシフェニル基、4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル基、4−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル基、4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル基、4−モルホリノフェニル基、4−ピペリジノフェニル基、3−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル基、4−(2,6−ジメチルピペリジノ)フェニル基等を挙げることができる。
また、前記(i)〜(iv)におけるヘテロアリール基において、置換基が置換する位置は特に限定されず、その総数も特に限定されないが、その数は1であることが好ましい。当該ヘテロアリール基として好適なものを具体的に例示すると、4−メトキシチエニル基、4−(N,N−ジメチルアミノ)チエニル基、4−メチルフリル基、4−(N,N−ジエチルアミノ)フリル基、4−(N,N−ジフェニルアミノ)チエニル基、4−モルホリノピロリニル基、6−ピペリジノベンゾチエニル基、6−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフラニル基等を挙げることができる。
<R6及びR7>
R6及びR7は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、窒素原子を含み該窒素原子が13位の炭素原子と直接結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アラルキル基、アリールオキシ基、又はアリール基である。
R6及びR7は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、窒素原子を含み該窒素原子が13位の炭素原子と直接結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アラルキル基、アリールオキシ基、又はアリール基である。
上記基において、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、窒素原子を含み該窒素原子が13位の炭素原子と直接結合する複素環基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アラルキル基、アリールオキシ基、及びアリール基は、上記R2、R3として既に説明した基と同じ基が適用される。
また、R6及びR7は、互いに一緒になってピラン構造の13位の炭素原子と共に、
環を構成する炭素数が該13位の炭素原子を含めて3〜20である脂肪族環、
前記脂肪族環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環、
環を構成する原子数が該13位の炭素原子を含めて3〜20である複素環、又は
前記複素環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環
を形成する基であってもよい。
環を構成する炭素数が該13位の炭素原子を含めて3〜20である脂肪族環、
前記脂肪族環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環、
環を構成する原子数が該13位の炭素原子を含めて3〜20である複素環、又は
前記複素環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環
を形成する基であってもよい。
環を構成する炭素数が該13位の炭素原子を含めて3〜20である脂肪族環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ノルボルナン環、ビシクロノナン環、アダマンタン環が挙げられる。
また、前記脂肪族環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環としては、例えばフェナントレン環が挙げられる。
環を構成する原子数が該13位の炭素原子を含めて3〜20である複素環としては、例えばチオフェン環、フラン環、ピリジン環が挙げられる。
また、前記複素環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環としては、例えば、フェニルフラン環、ビフェニルチオフェン環が挙げられる。
<特に好適なR6及びR7>
本発明において、R6及びR7は、互いに一緒になってピラン構造の13位の炭素原子と共に環を形成していることが好ましい。
本発明において、R6及びR7は、互いに一緒になってピラン構造の13位の炭素原子と共に環を形成していることが好ましい。
中でも、退色速度が速くなるという観点から、前記脂肪族環、又は前記脂肪族環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環を形成していることが好ましい。その中でも、退色速度がさらに速く、且つ、サーモクロミズムによる初期着色が小さいという観点から、前記脂肪族環が好ましい。
R6及びR7が形成する脂肪族環として、特に好適なものとしては、該脂肪族環が脂肪族炭化水素環であって、該脂肪族炭化水素環は、13位の炭素原子を含めて該環を形成する炭素原子数が3〜20であり、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アラルキル基、アリール基、及びハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の置換基を有してもよい脂肪族炭化水素環であることが好ましい。なお、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アラルキル基、アリール基、及びハロゲン原子は、R2、R3として既に説明した基と同じ基が適用される。
前記脂肪族環のより好適な基を例示すると、炭素数7〜20の脂肪族環が好ましい。具体的な脂肪族環を例示すると、シクロヘプタン環、シクロオクタン環等の単環、ノルボルナン環、ビシクロノナン環等のビシクロ環、及びアダマンタン環等のトリシクロ環を例示することができる。これらは、メチル基等の炭素数4以下の低級アルキル基を置換基として少なくとも1個有していてもよい。
また、サーモクロミズムによる初期着色がさらに小さいという観点から前記脂肪族環の中でも、単環よりなる脂肪族環であることが特に好ましい。
前記単環よりなる脂肪族環のより好適な基を例示すると、炭素数7〜20の単環よりなる脂肪族環が好ましい。これらは、メチル基等の炭素数4以下の低級アルキル基を置換基として少なくとも1個有していてもよい。具体的な単環よりなる脂肪族環を例示すると、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロノナン環、シクロデカン環、3,3,5,5−テトラメチルシクロへキサン環等が挙げられ、特に、退色速度が速くなる観点から、3,3,5,5−テトラメチルシクロへキサン環等が好ましい。
本発明において、R6及びR7が結合して形成する環として最も好適なものの代表例は、例えば下記式で示される。尚、下記式中、13で示された位置の炭素原子が前記ピラン構造の13位の炭素原子となる。
本発明において、R6及びR7が結合して形成する環として最も好適なものの代表例は、例えば下記式で示される。尚、下記式中、13で示された位置の炭素原子が前記ピラン構造の13位の炭素原子となる。
本発明において特に好適なクロメン化合物を具体的に例示すれば、次のような化合物を挙げることができる。
(クロメン化合物の同定)
本発明のクロメン化合物は、一般に常温常圧で無色、あるいは淡黄色、淡緑色の固体又は粘稠な液体として存在し、次の(イ)〜(ハ)のような手段で確認できる。
(イ) プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定することにより、δ:5.0〜9.0ppm付近にアロマティックなプロトン及びアルケンのプロトンに基づくピーク、δ:1.0〜4.0ppm付近にアルキル基及びアルコキシ基のプロトンに基づくピークが現れる。また、それぞれのスペクトル強度を相対的に比較することにより、それぞれの結合基のプロトンの個数を知ることができる。
(ロ) 元素分析によって相当する生成物の組成を決定することができる。
(ハ) 13C−核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定することにより、δ:110〜160ppm付近に芳香族炭化水素基の炭素に基づくピーク、δ:80〜140ppm付近にアルケン及びアルキンの炭素に基づくピーク、δ:20〜80ppm付近にアルキル基及びアルコキシ基の炭素に基づくピークが現われる。
<クロメン化合物の製造>
本発明のクロメン化合物の製造方法は、特に限定されず如何なる合成法によって得てもよい。たとえば、前記式(1)で示されるクロメン化合物は次のような方法で好適に製造することができる。尚、以下の説明において、各式中の符号は、特記しないかぎり、前述した式で説明したとおりの意味を示す。
すなわち、下記式(5):
本発明のクロメン化合物の製造方法は、特に限定されず如何なる合成法によって得てもよい。たとえば、前記式(1)で示されるクロメン化合物は次のような方法で好適に製造することができる。尚、以下の説明において、各式中の符号は、特記しないかぎり、前述した式で説明したとおりの意味を示す。
すなわち、下記式(5):
で示されるナフトール誘導体と、下記式(6):
で示されるプロパルギルアルコール誘導体とを、酸触媒存在下で反応させる方法により好適に製造することができる。ナフトール誘導体とプロパルギルアルコール誘導体との反応比率は、広い範囲から採用されるが、一般には1:10〜10:1(モル比)の範囲から選択される。また、酸触媒としては硫酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酸性アルミナ等が用いられ、ナフトール誘導体とプロパルギルアルコール誘導体との総和100重量部当り0.1〜10重量部の範囲で用いられる。反応温度は、通常、0乃至200℃が好ましく、溶媒としては、非プロトン性有機溶媒、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン等が使用される。かかる反応により得られた生成物の精製方法としては特に限定されない。例えば、シリカゲルカラム精製を行い、さらに再結晶により、生成物の精製を行なうことができる。
尚、前記式(5)で示されるナフトール誘導体の合成法は、特に限定されないが、例えば、以下のようにして合成することができる。
先ず、下記式(7):
尚、前記式(5)で示されるナフトール誘導体の合成法は、特に限定されないが、例えば、以下のようにして合成することができる。
先ず、下記式(7):
で示されるカルボン酸誘導体を、Curtius転位、Hofmann転位、Lossen転位等の方法によりカルボン酸をアミンに変換し、これからジアゾニウム塩を調製する。このジアゾニウム塩を、Sandmeyer反応等によりブロマイドに変換し、得られたブロマイドをマグネシウムやリチウム等と反応させ有機金属試薬を調製する。この有機金属試薬を、下記式(8):
で示されるケトンと、−80〜70℃、10分〜4時間、有機溶媒中で反応させ、下記式(9)
で示されるアルコール体を得る。このアルコール体を中性〜酸性条件下で、10〜120℃で10分〜2時間反応させ、アルコールをスピロ化することにより、目的とするナフトール誘導体を合成することができる。かかる反応において、前記有機金属試薬と前記式(8)で示されるケトンとの反応比率は、広い範囲から採用されるが、一般には1:10〜10:1(モル比)の範囲から選択される。反応温度は、通常−80〜70℃が好ましく、溶媒としては、非プロトン性有機溶媒、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン等が使用される。また、アルコール体の中性〜酸性条件下でのスピロ化は、酢酸、塩酸、硫酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酸性アルミナ等の酸触媒を用いて行うことが好ましく、このような酸触媒は、アルコール体100重量部当り0.1〜10重量部の範囲で用いるのが好適である。スピロ化に際しては、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン等の溶媒が使用される。
また、前記一般式(6)で示されるプロパルギルアルコール誘導体は、種々の方法で合成することができるが、例えば、前記一般式(6)に対応するケトン誘導体とリチウムアセチリド等の金属アセチレン化合物と反応させることにより、容易に合成できる。
以上のようにして合成される本発明のクロメン化合物は、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の一般の有機溶媒によく溶ける。このような溶媒に前記式(1)で示されるクロメン化合物を溶かしたとき、一般に溶液はほぼ無色透明であり、太陽光あるいは紫外線を照射すると速やかに発色し、光を遮断すると可逆的に速やかに元の無色にもどる良好なフォトクロミック作用を呈する。
また、前記一般式(6)で示されるプロパルギルアルコール誘導体は、種々の方法で合成することができるが、例えば、前記一般式(6)に対応するケトン誘導体とリチウムアセチリド等の金属アセチレン化合物と反応させることにより、容易に合成できる。
以上のようにして合成される本発明のクロメン化合物は、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の一般の有機溶媒によく溶ける。このような溶媒に前記式(1)で示されるクロメン化合物を溶かしたとき、一般に溶液はほぼ無色透明であり、太陽光あるいは紫外線を照射すると速やかに発色し、光を遮断すると可逆的に速やかに元の無色にもどる良好なフォトクロミック作用を呈する。
(クロメン化合物の用途)
また、本発明のクロメン化合物は、高分子固体マトリックス中でも同様なフォトクロミック特性を示す。かかる対象となる高分子固体マトリックスとしては、本発明のクロメン化合物が均一に分散するものであればよく、光学的に好ましくは、例えばポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
さらに、ラジカル重合性多官能単量体を重合してなる熱硬化性樹脂も上記高分子マトリックスとして用いることができる。このようなラジカル重合性多官能単量体としては、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールビスグリシジルメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン等の多価アクリル酸及び多価メタクリル酸エステル化合物;ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、酒石酸ジアリル、エポキシこはく酸ジアリル、ジアリルフマレート、クロレンド酸ジアリル、ヘキサフタル酸ジアリル、ジアリルカーボネート、アリルジグリコールカーボネート、トリメチロールプロパントリアリルカーボネート等の多価アリル化合物;1,2−ビス(メタクリロイルチオ)エタン、ビス(2−アクリロイルチオエチル)エーテル、1,4−ビス(メタクリロイルチオメチル)ベンゼン等の多価チオアクリル酸及び多価チオメタクリル酸エステル化合物;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレート、ビスフェノールA−モノグリシジルエーテル−メタクリレート、4−グリシジルオキシメタクリレート、3−(グリシジル−2−オキシエトキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−(グリシジルオキシ−1−イソプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−グリシジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のアクリル酸エステル化合物及びメタクリル酸エステル化合物;ジビニルベンゼン等を例示することができる。
また、上述したラジカル重合性多官能単量体を、ラジカル重合性単官能単量体と共重合させた共重合体も、前記高分子マトリックスとして使用することができる。このようなラジカル重合性単官能単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のアクリル酸及びメタクリル酸エステル化合物;フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル化合物;メチルチオアクリレート、ベンジルチオアクリレート、ベンジルチオメタクリレート等のチオアクリル酸及びチオメタクリル酸エステル化合物;スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレンダイマー、ブロモスチレン等のビニル化合物等が挙げられる。
本発明のクロメン化合物を上記高分子固体マトリックス中へ分散させる方法としては特に制限はなく、一般的な手法を用いることができる。例えば、上記熱可塑性樹脂とクロメン化合物を溶融状態にて混練し、樹脂中に分散させる方法、又は上記重合性単量体にクロメン化合物を溶解させた後、重合触媒を加え熱又は光にて重合させ樹脂中に分散させる方法、あるいは上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の表面にクロメン化合物を染色することにより樹脂中に分散させる方法等を挙げることができる。
本発明のクロメン化合物はフォトクロミック材として広範囲に利用でき、例えば、銀塩感光材に代る各種の記憶材料、複写材料、印刷用感光体、陰極線管用記憶材料、レーザー用感光材料、ホログラフィー用感光材料などの種々の記憶材料として利用できる。その他、本発明のクロメン化合物を用いたフォトクロミック材は、フォトクロミックレンズ材料、光学フィルター材料、ディスプレイ材料、光量計、装飾などの材料としても利用できる。
例えば、フォトクロミックレンズに使用する場合には、均一な調光性能が得られる方法であれば特に制限がなく、具体的に例示するならば、本発明のフォトクロミック材を均一に分散してなるポリマーフィルムをレンズ中にサンドウイッチする方法、あるいは、本発明のクロメン化合物を前記の重合性単量体中に分散させ、所定の手法により重合する方法、あるいは、この化合物を例えばシリコーンオイル中に溶解して150〜200℃で10〜60分かけてレンズ表面に含浸させ、さらにその表面を硬化性物質で被覆し、フォトクロミックレンズにする方法などがある。さらに、上記ポリマーフィルムをレンズ表面に塗布し、その表面を硬化性物質で被覆し、フォトクロミックレンズにする方法などもある。
更に本発明のクロメン化合物を含有する重合硬化性組成物からなるコーティング剤をレンズ基材の表面に塗布し、塗膜を硬化させてもよい。このとき、レンズ基材には予めアルカリ性溶液による表面処理あるいはプラズマ処理等の表面処理を施してもよく、更に(これら表面処理と併せて又はこれら表面処理を行なわずに)基材とコート膜との密着性を向上させるためにプライマーを施用することもできる。
また、本発明のクロメン化合物は、高分子固体マトリックス中でも同様なフォトクロミック特性を示す。かかる対象となる高分子固体マトリックスとしては、本発明のクロメン化合物が均一に分散するものであればよく、光学的に好ましくは、例えばポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
さらに、ラジカル重合性多官能単量体を重合してなる熱硬化性樹脂も上記高分子マトリックスとして用いることができる。このようなラジカル重合性多官能単量体としては、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールビスグリシジルメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン等の多価アクリル酸及び多価メタクリル酸エステル化合物;ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、酒石酸ジアリル、エポキシこはく酸ジアリル、ジアリルフマレート、クロレンド酸ジアリル、ヘキサフタル酸ジアリル、ジアリルカーボネート、アリルジグリコールカーボネート、トリメチロールプロパントリアリルカーボネート等の多価アリル化合物;1,2−ビス(メタクリロイルチオ)エタン、ビス(2−アクリロイルチオエチル)エーテル、1,4−ビス(メタクリロイルチオメチル)ベンゼン等の多価チオアクリル酸及び多価チオメタクリル酸エステル化合物;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレート、ビスフェノールA−モノグリシジルエーテル−メタクリレート、4−グリシジルオキシメタクリレート、3−(グリシジル−2−オキシエトキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−(グリシジルオキシ−1−イソプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−グリシジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のアクリル酸エステル化合物及びメタクリル酸エステル化合物;ジビニルベンゼン等を例示することができる。
また、上述したラジカル重合性多官能単量体を、ラジカル重合性単官能単量体と共重合させた共重合体も、前記高分子マトリックスとして使用することができる。このようなラジカル重合性単官能単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のアクリル酸及びメタクリル酸エステル化合物;フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル化合物;メチルチオアクリレート、ベンジルチオアクリレート、ベンジルチオメタクリレート等のチオアクリル酸及びチオメタクリル酸エステル化合物;スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレンダイマー、ブロモスチレン等のビニル化合物等が挙げられる。
本発明のクロメン化合物を上記高分子固体マトリックス中へ分散させる方法としては特に制限はなく、一般的な手法を用いることができる。例えば、上記熱可塑性樹脂とクロメン化合物を溶融状態にて混練し、樹脂中に分散させる方法、又は上記重合性単量体にクロメン化合物を溶解させた後、重合触媒を加え熱又は光にて重合させ樹脂中に分散させる方法、あるいは上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の表面にクロメン化合物を染色することにより樹脂中に分散させる方法等を挙げることができる。
本発明のクロメン化合物はフォトクロミック材として広範囲に利用でき、例えば、銀塩感光材に代る各種の記憶材料、複写材料、印刷用感光体、陰極線管用記憶材料、レーザー用感光材料、ホログラフィー用感光材料などの種々の記憶材料として利用できる。その他、本発明のクロメン化合物を用いたフォトクロミック材は、フォトクロミックレンズ材料、光学フィルター材料、ディスプレイ材料、光量計、装飾などの材料としても利用できる。
例えば、フォトクロミックレンズに使用する場合には、均一な調光性能が得られる方法であれば特に制限がなく、具体的に例示するならば、本発明のフォトクロミック材を均一に分散してなるポリマーフィルムをレンズ中にサンドウイッチする方法、あるいは、本発明のクロメン化合物を前記の重合性単量体中に分散させ、所定の手法により重合する方法、あるいは、この化合物を例えばシリコーンオイル中に溶解して150〜200℃で10〜60分かけてレンズ表面に含浸させ、さらにその表面を硬化性物質で被覆し、フォトクロミックレンズにする方法などがある。さらに、上記ポリマーフィルムをレンズ表面に塗布し、その表面を硬化性物質で被覆し、フォトクロミックレンズにする方法などもある。
更に本発明のクロメン化合物を含有する重合硬化性組成物からなるコーティング剤をレンズ基材の表面に塗布し、塗膜を硬化させてもよい。このとき、レンズ基材には予めアルカリ性溶液による表面処理あるいはプラズマ処理等の表面処理を施してもよく、更に(これら表面処理と併せて又はこれら表面処理を行なわずに)基材とコート膜との密着性を向上させるためにプライマーを施用することもできる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
下記のナフトール誘導体
下記のナフトール誘導体
1.20g(2.3mmol)と、下記のプロパルギルアルコール誘導体
0.80g(3.0mmol)とをトルエン70mlに溶解し、さらにp−トルエンスルホン酸を0.022g加えて加熱還流下、1時間攪拌した。反応後、溶媒を除去し、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製することで、白色粉末状の生成物1.26gを得た。収率は71%であった。
この生成物の元素分析値は、C74.68%、H6.89%、O14.40%、P4.03であり、C48H53О7Pの計算値であるC74.59%、H6.91%、O14.49%、P4.01%に極めてよく一致した。
また、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、1.0〜3.0ppm付近にテトラメチルシクロヘキサン環のメチル、メチレンプロトン及びジエトキシホスホリル基のメチルプロトンに基づく24Hのピーク、δ2.3〜4.5ppm付近にメトキシプロトン及びジエトキシホスホリル基のメチレンプロトンに基づく13Hのピーク、δ5.6〜9.0ppm付近にアロマティックなプロトン及びアルケンのプロトンに基づく16Hのピークを示した。
さらに13C−核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ110〜160ppm付近に芳香環の炭素に基づくピーク、δ80〜140ppm付近にアルケンの炭素に基づくピーク、δ20〜60ppmにアルキル、アルコキシの炭素に基づくピークを示した。
上記の結果から単離生成物は、下記構造式で示される化合物であることを確認した。
実施例2〜3
実施例1と同様にして表1(実施例2、及び3)に示したクロメン化合物を合成した。得られた生成物について、実施例1と同様な構造確認の手段を用いて構造解析した結果、表1に示す構造式で示される化合物であることを確認した。また、表2にこれらの化合物の元素分析値、各化合物の構造式から求めた計算値及び1H−NMRスペクトルの特徴的なスペクトルを示した。
実施例1と同様にして表1(実施例2、及び3)に示したクロメン化合物を合成した。得られた生成物について、実施例1と同様な構造確認の手段を用いて構造解析した結果、表1に示す構造式で示される化合物であることを確認した。また、表2にこれらの化合物の元素分析値、各化合物の構造式から求めた計算値及び1H−NMRスペクトルの特徴的なスペクトルを示した。
実施例4〜6
(コーティング法により作製したフォトクロミックプラスチックレンズの物性評価)
上記実施例で得られたクロメン化合物を光重合開始剤、および重合性単量体と混合後、レンズ基材表面に塗布し、さらに紫外線を照射して、レンズ基材表面の塗膜を重合した。
(コーティング法により作製したフォトクロミックプラスチックレンズの物性評価)
上記実施例で得られたクロメン化合物を光重合開始剤、および重合性単量体と混合後、レンズ基材表面に塗布し、さらに紫外線を照射して、レンズ基材表面の塗膜を重合した。
フォトクロミック硬化性組成物としては、ラジカル重合性単量体として2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン/ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量532)/トリメチロールプロパントリメタクリレート/ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート(ダイセルユーシービー(株)製、EB−1830)/グリシジルメタクリレートをそれぞれ50質量部/10質量部/10質量部/10質量部/10質量部の配合割合で配合したものを使用した。このラジカル重合性単量体の混合物90質量部に対して、実施例1で得られたクロメン化合物1質量部を添加し十分に混合した後に、光重合開始剤であるCGI1800{1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドの混合物(重量比3:1)}を0.3質量部、安定剤であるビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートを5質量部、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]を3質量部、シランカップリング剤であるγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを7質量部、およびN−メチルジエタノールアミンを3質量部添加して十分に混合し、フォトクロミック硬化性組成物とした。
続いて、前記方法で得られたフォトクロミック硬化性組成物約2gをMIKASA製スピンコーター1H−DX2を用いて、レンズ基材(CR39:アリル樹脂プラスチックレンズ;屈折率=1.50)の表面にスピンコートした。この表面がコートされたレンズを窒素ガス雰囲気中で出力120mW/cm2のメタルハライドランプを用いて、3分間照射し、硬化させ、クロメン化合物が分散した高分子膜で被覆された光学物品(フォトクロミックプラスチックレンズ)を作製した。(高分子膜の厚さ:40μm)
得られたフォトクロミックプラスチックレンズについて、下記フォトクロミック特性を評価した。実施例1のクロメン化合物を使用した下記の結果を表3にまとめた。
得られたフォトクロミックプラスチックレンズについて、下記フォトクロミック特性を評価した。実施例1のクロメン化合物を使用した下記の結果を表3にまとめた。
[1] 極大吸収波長(λmax): (株)大塚電子工業製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォトディテクターMCPD3000)により求めた発色後の極大吸収波長である。該極大吸収波長は、発色時の色調に関係する。
[2] 発色濃度(A0): 前記極大吸収波長における、120秒間光照射した後の吸光度{ε(120)}と前記ε(0)との差。この値が高いほどフォトクロミック性が優れているといえる。
[3] 退色半減期〔τ1/2(sec.)〕: 120秒間光照射後、光の照射を止めたときに、試料の前記極大吸収波長における吸光度が{ε(120)−ε(0)}の1/2まで低下するのに要する時間。この時間が短いほど退色速度が速い。
また、クロメン化合物として実施例2乃至3で得られた化合物を用いた以外は、上記と同様にしてフォトクロミックプラスチックレンズを得、その特性を評価した。その結果をまとめて表3に示す。なお、表3において、化合物No.は、実施例No.に相当する(例えば、表3において、実施例4のクロメン化合物は、化合物No.1に相当する。)。
比較例1〜2
比較のために、下記式(α)、(β)で示される化合物を用い実施例と同様にしてフォトクロミックプラスチックレンズを得、その特性を評価した。その結果を表4に示す。
比較のために、下記式(α)、(β)で示される化合物を用い実施例と同様にしてフォトクロミックプラスチックレンズを得、その特性を評価した。その結果を表4に示す。
本発明のクロメン化合物を用いた実施例4〜6(化合物1〜3)は、速い退色速度を示し、且つ、高い発色濃度も示すことが分かる。
本発明の実施例4(化合物1)は比較例1(化合物α)と比較して、発色濃度は同程度であるが、退色速度が向上していることが分かる。
本発明の実施例4(化合物1)は比較例2(化合物β)と比較して、発色濃度を損なうことなく、退色速度が向上していることが分かる
Claims (6)
- 下記式(2)で示される請求項1に記載のクロメン化合物。
R1は、前記式(1)におけるものと同義であり、
R2及びR3は、それぞれ独立に、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、窒素原子を含み該窒素原子がベンゼン環の炭素原子と直接結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アラルキル基、アリールオキシ基、又はアリール基であり、
R4及びR5は、それぞれ独立に、下記式(3)
R8は、アリール基、又はヘテロアリール基であり、
R9は、水素原子、アルキル基、又はハロゲン原子であり、
mは、1〜3の整数である。)で示される基、下記式(4)
R10は、アリール基、又はヘテロアリール基であり、
nは、1〜3の整数である。)で示される基、アリール基、ヘテロアリール基、又はアルキル基であり、
また、R4及びR5は、互いに結合して脂肪族炭化水素環、又は芳香族炭化水素環を構成する基であってもよく、
R6及びR7は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、窒素原子を含み該窒素原子が13位の炭素原子と直接結合する複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アラルキル基、アリールオキシ基、又はアリール基であり、
また、R6及びR7は、互いに一緒になってピラン構造の13位の炭素原子と共に、
環を構成する炭素数が該13位の炭素原子を含めて3〜20である脂肪族環、前記脂肪族環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環、環を構成する原子数が該13位の炭素原子を含めて3〜20である複素環、又は前記複素環に芳香族環もしくは芳香族複素環が縮環した縮合多環を形成する基であってもよく、
aは、0〜3の整数であり、
bは、0〜4の整数であり、
aが2以上である場合には、R2は、互いに同一でも異なる基であってもよく、
bが2以上である場合には、R3は、互いに同一でも異なる基であってもよい。〕 - 請求項2に記載のクロメン化合物において、R6とR7とが一緒になってピラン構造の13位の炭素原子と共に脂肪族炭化水素環を形成し、該脂肪族炭化水素環は、13位の炭素原子を含めて該環を形成する炭素原子数が3〜20であり、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アラルキル基、アリール基、及びハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の置換基を有してもよい脂肪族炭化水素環であることを特徴とするクロメン化合物。
- 請求項1〜3の何れかに記載のクロメン化合物と重合性単量体とを含有するフォトクロミック硬化性組成物。
- その内部に請求項1〜3の何れかに記載のクロメン化合物が分散した高分子成型体を構成部材として有するフォトクロミック光学物品。
- 少なくとも1つの面の全部又は一部が請求項1〜3の何れかに記載のクロメン化合物が分散した高分子膜で被覆された光学基材を構成部材として有する光学物品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009230098A JP2011074046A (ja) | 2009-10-02 | 2009-10-02 | クロメン化合物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009230098A JP2011074046A (ja) | 2009-10-02 | 2009-10-02 | クロメン化合物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011074046A true JP2011074046A (ja) | 2011-04-14 |
Family
ID=44018403
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009230098A Pending JP2011074046A (ja) | 2009-10-02 | 2009-10-02 | クロメン化合物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011074046A (ja) |
-
2009
- 2009-10-02 JP JP2009230098A patent/JP2011074046A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5685541B2 (ja) | クロメン化合物 | |
JP4663523B2 (ja) | クロメン化合物 | |
JP5813095B2 (ja) | クロメン化合物 | |
JP5606441B2 (ja) | クロメン化合物 | |
JP5052355B2 (ja) | クロメン化合物 | |
JP4157245B2 (ja) | クロメン化合物 | |
JP6031035B2 (ja) | クロメン化合物および硬化性組成物 | |
JP5920939B2 (ja) | クロメン化合物 | |
JP4256985B2 (ja) | クロメン化合物 | |
JP4157225B2 (ja) | クロメン化合物 | |
JP2005187420A (ja) | クロメン化合物 | |
JP2009067680A (ja) | クロメン化合物 | |
JP2009057300A (ja) | クロメン化合物 | |
JP2008074832A (ja) | クロメン化合物 | |
JP2009120536A (ja) | クロメン化合物 | |
JP5813019B2 (ja) | クロメン化合物 | |
JP2005112772A (ja) | クロメン化合物 | |
JP6798851B2 (ja) | クロメン化合物、及び該クロメン化合物を含む硬化性組成物 | |
JP2005289812A (ja) | クロメン化合物 | |
JP5721544B2 (ja) | クロメン化合物 | |
JPWO2011078030A1 (ja) | クロメン化合物 | |
JP2011057581A (ja) | クロメン化合物 | |
JP2011074046A (ja) | クロメン化合物 |