以下、本発明の各実施形態を説明する。
(実施形態1) 概略説明
実施形態1に係るカーボンナノチューブデバイスは、カーボンナノチューブ素子を有する。カーボンナノチューブ素子は、互いに背向する第1カーボンナノチューブ形成面および第2カーボンナノチューブ形成面をもつ物体と、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面に形成された第1カーボンナノチューブと、物体の第2カーボンナノチューブ形成面に形成された第2カーボンナノチューブとを備える。第1カーボンナノチューブおよび第2カーボンナノチューブは、物理的性質(形状、寸法も含む)、化学的性質等において互いに性状が相違する。ここで、性状とは、カーボンナノチューブの長さ、径(太さ)、単位面積あたり本数、総本数、カーボンナノチューブの層数(カーボンナノチューブは1層の筒構造、2層等の複層筒構造などがある)、結晶性(G/D比:ラマン分光分析のGバンドとDバンドの比)、欠陥量、官能基種、官能基量、密度(カーボンナノチューブ群としての密度)、重量、分布等のうちの少なくとも1つのうちの少なくとも1つとすることができる。カーボンナノチューブの長さが長いと、一般的には電極表面積が大きく、担持性が良い。カーボンナノチューブの径が太いと、一般的には担持性が良い。カーボンナノチューブの径が細いと、一般的には、電解液の含浸性が高くなり、電解液に含まれるイオン伝導性が高くなる。カーボンナノチューブの本数が多いと、一般的には、電極表面積が大きく、担持性が良い。カーボンナノチューブの本数が少ないと、隣接するカーボンナノチューブ間の隙間が大きくなり、一般的には、電解液の含浸性が高くなり、電解液に含まれるイオン伝導性が高くなる。カーボンナノチューブの結晶性が低いと、グラフェンシートの欠損部により、担持性が良くなる。カーボンナノチューブの結晶性が高いと、グラフェンシートが良好となり、導電性が高くなる。カーボンナノチューブの密度が高いと、一般的には電極表面積が大きく、担持性が良い。カーボンナノチューブの密度が低いと、一般的には、電解液の含浸性が高くなり、電解液に含まれるイオン伝導性が高くなる。カーボンナノチューブの重量が大きいと、担持性が高い。カーボンナノチューブの分布は担持性に影響を与える。
ここで担持性が良いとは、カーボンナノチューブに粒子等の機能材を付着させやすいということを意味する。例えば、Liイオンキャパシタの場合、チタン酸リチウム粒子(電位制御粒子)の良好な担持性により負極電位を下げ、容量性能を増加させる。高分子型燃料電池の場合、白金粒子(触媒粒子)の良好な担持性により電極での酸化反応、もしくは還元反応を促進させ、出力性能を増加させる。
このように第1カーボンナノチューブおよび第2カーボンナノチューブとで性状を変更させるためには、基板等の物体の表面粗さ、物体の第1カーボンナノチューブ形成面および第2カーボンナノチューブ形成面に担持される触媒担持量、触媒組成、触媒密度、反応ガスの単位時間当たりの流量、第1カーボンナノチューブ形成面と第2カーボンナノチューブ形成面とにおける反応ガスの流量比、流速、反応ガス種、反応ガスの温度、反応ガスの流れ方向、反応ガス導入口のサイズ・ピッチ、第1カーボンナノチューブ形成面と第2カーボンナノチューブ形成面とにおける温度、加熱源の出力等の要因のうちの少なくとも1つを変更させることが好ましい。
例えば図13,図14、図16に示すように、隣接するカーボンナノチューブ素子の第1カーボンナノチューブ同士が対向すると共に、隣接するカーボンナノチューブ素子の第2カーボンナノチューブ同士が対向する対称的配置として、複数のカーボンナノチューブ素子は並設されることができる。
また図15、図17に示すように、隣接するカーボンナノチューブ素子の第1カーボンナノチューブおよび第2カーボンナノチューブが対向する非対称的配置として、複数のカーボンナノチューブ素子は並設されることができる。デバイスが電気部品または電子部品である場合には、物体は導電性を有することが好ましく、銅、銅合金、鉄、鉄合金(ステンレス鋼も含む)、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金が例示される。デバイスが電気部品でない場合には、導電性を有しない場合でも良い。このカーボンナノチューブデバイスとしては、キャパシタに限らず、燃料電池、リチウム電池、太陽電池、金属−空気電池等のデバイスについても適用できる。本実施形態によれば、互いに性状が異なる第1カーボンナノチューブおよび第2カーボンナノチューブを搭載し、デバイスの特性をハイブリッド化させるのに有利な新規なカーボンナノチューブデバイスを提供することができる。
(実施形態2) 長さの異なるCNTの並列接続
図13および図14は、実施形態2に係るカーボンナノチューブデバイスを示す。カーボンナノチューブデバイスは、電荷を蓄電するキャパシタを構成しており、複数個のカーボンナノチューブ素子108を組み付けて構成されている。図14に示すように、カーボンナノチューブ素子108は、(i)互いに背向する平坦な第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12をもつ物体1と、(ii)物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11に立設されるように第1カーボンナノチューブ形成面11にほぼ垂直に延びるように形成された第1カーボンナノチューブ101と、(iii)物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12に立設されるように第2カーボンナノチューブ形成面12にほぼ垂直に延びるように形成された第2カーボンナノチューブ102とを備える。このようなカーボンナノチューブ素子108は、電解液205と共に筐体200に密閉されている。電解液205としては、キャパシタで用いられる公知の電解液を採用できる。
物体1は板状をなしており、鉄、鉄合金、銅、銅合金等の導電性金属で形成されており、導電性を有する。第1カーボンナノチューブ101(CNT)および第2カーボンナノチューブ102(CNT)は基本的には同じ性状である。但し、第1カーボンナノチューブ101の長さは、第2カーボンナノチューブ102の長さよりも長い。長さが長い第1カーボンナノチューブ101は、表面積が大きく、担持量も大きい。長さが短い第2カーボンナノチューブ102は、イオン伝導度を向上した電極を実現できる。
図13に示すように、カーボンナノチューブ素子108は複数個並設されている。図13に示すカーボンナノチューブ素子108は、共通の物体1に形成された第1カーボンナノチューブ101および第2カーボンナノチューブ102を正極側とする複数個の正極用カーボンナノチューブ素子108pと、共通の物体1に形成された第1カーボンナノチューブ101および第2カーボンナノチューブ102を負極側とする複数個の負極用カーボンナノチューブ素子108nとで構成されている。図13に示すように、複数個の正極用カーボンナノチューブ素子108pの物体1同士は、第1電気的導通路1fにより電気的に接続されている。複数個の負極用カーボンナノチューブ素子108nの物体1同士は、第2電気的導通路1sにより電気的に接続されている。
本実施形態によれば、図13に示すように、隣接するカーボンナノチューブ素子108は、第1カーボンナノチューブ101および第2カーボンナノチューブ102がセパレータ300f,300sを介して互いに対称的配置とされている。従って、図13に示すように、素子の並設方向(矢印EA方向)において、第1カーボンナノチューブ101,第1カーボンナノチューブ101、第2カーボンナノチューブ102,第2カーボンナノチューブ102、第1カーボンナノチューブ101、第1カーボンナノチューブ101、第2カーボンナノチューブ102、第2カーボンナノチューブ102……の順に配置されている。
図13に示すように、第1カーボンナノチューブ101の長さは、第2カーボンナノチューブ102の長さよりも長くされている。長さが長い第1カーボンナノチューブ101同士は、第1セパレータ300fを介して互いに対向しており、表面積が大きいため、高容量単セルを構成する。これに対して、長さが短い第2カーボンナノチューブ102同士は、第2セパレータ300sを介して互いに対向しており、電気抵抗が低いため、高出力単セルを構成する。セパレータ300f,300sは、電解液に溶解する陰イオンおよび陽イオンの透過性を有すると共に、高い電気絶縁性をもつ。
このような本実施形態によれば、短いCNT(低抵抗)による高出力単セルと、長いCNT(高表面積)による高容量単セルを並列積層させるため、セルレベルで出力機能と容量機能とをハイブリッド化させることができる。即ち、図14に示すように、高出力機能を有するカーボンナノチューブ素子108と、高容量機能をもつカーボンナノチューブ素子108とをハイブリッド化させることができる。このように本実施形態によれば、互いに性状が異なる第1カーボンナノチューブ101および第2カーボンナノチューブ102を搭載し、デバイスの特性をハイブリッド化させるのに有利な新規なカーボンナノチューブデバイスを提供することができる。通常負荷時は高容量セルから放電し、高負荷時は高出力セルから放電することが好ましい。なお、本実施形態によれば、物体1の面方向に対してほぼ垂直方向に沿って反応ガスを流す方法で第1カーボンナノチューブ101および第2カーボンナノチューブ102を形成しても良い。あるいは、物体1の面方向に沿って反応ガスを流す方法で第1カーボンナノチューブ101および第2カーボンナノチューブ102を形成しても良い。
(実施形態3) 結晶性の異なるCNTの直列接続
図15(A)(B)は、実施形態3に係るカーボンナノチューブデバイスを示す。カーボンナノチューブデバイスは、電荷を蓄電するキャパシタを構成しており、複数個のカーボンナノチューブ素子108を組み付けて構成されている。図15に示すように、カーボンナノチューブ素子108は、(i)互いに背向する平坦な第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12をもつ物体1と、(ii)物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11に立設されるように第1カーボンナノチューブ形成面11にほぼ垂直に延びるように形成された第1カーボンナノチューブ101と、(iii)物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12に立設されるように第2カーボンナノチューブ形成面12にほぼ垂直に延びるように形成された形成された第2カーボンナノチューブ102とを備える。図15に示すように、隣接するカーボンナノチューブ素子108については、第1カーボンナノチューブ101および第2カーボンナノチューブ102は、図略のセパレータを介して、互いに非対称的配置として配置されている。従って、図15に示すように、素子108の並設方向(矢印EA方向)において、第2カーボンナノチューブ102、第1カーボンナノチューブ101,第2カーボンナノチューブ102、第1カーボンナノチューブ101,第2カーボンナノチューブ102、第1カーボンナノチューブ101の順に配置されている。図15(B)に示すように、カーボンナノチューブ素子108は複数個並設されている。図15(B)に示すカーボンナノチューブ素子108は、共通の物体1に形成された第1カーボンナノチューブ101を負極とし、第2カーボンナノチューブ102を正極とする。複数個のカーボンナノチューブ素子108を筐体200の内部で直列接続することにより高い起電力を取り出すことが可能である。
物体1は基板を形成する板状をなしており、鉄、鉄合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電性金属で形成されており、導電性を示す。第1カーボンナノチューブ101および第2カーボンナノチューブ102は基本的には同じ性状である。但し、第1カーボンナノチューブ101の結晶性は、第2カーボンナノチューブ102の結晶性よりも低い。このように第1カーボンナノチューブ101は、低結晶性をもつ。低結晶性の方が、カーボンナノチューブを構成する筒形状のグラフェンシートの欠損部が多く、電位制御粒子の担持性が高いと考えられる。高結晶性の方が、カーボンナノチューブを構成する筒形状のグラフェンシートの欠損部が少なく、高い導電性が得られる。このように本実施形態によれば、高結晶性のCNT正極(導電性狙い)と低結晶性CNT負極とを片面づつ形成させることにより、高出力および高容量化を両立させることができる。特にリチウムイオンキャパシタに適用した場合には、長いCNT正極(導電性狙い)と低結晶性CNT負極とを片面づつ形成させることにより、高出力および高容量化を両立させることができる。更に本製造形態により同時形成することにより生産性を向上させることが可能になる。本実施形態によれば、第1カーボンナノチューブ101の結晶性は、第2カーボンナノチューブ102の結晶性よりも低いが、逆にしても良い。図15において、筐体200,電解液205として図略されている。
(実施形態4) 結晶性の異なるCNTの並列接続
図16は、実施形態4に係るカーボンナノチューブデバイスを示す。カーボンナノチューブデバイスは、電荷を蓄電するキャパシタを構成しており、複数個のカーボンナノチューブ素子108を組み付けて構成されている。図16に示すように、カーボンナノチューブ素子108は、(i)互いに背向する平坦な第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12をもつ物体1と、(ii)物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11に立設されるように第1カーボンナノチューブ形成面11にほぼ垂直に延びるように形成された第1カーボンナノチューブ101と、(iii)物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12に立設されるように第2カーボンナノチューブ形成面12にほぼ垂直に延びるように形成された形成された第2カーボンナノチューブ102とを備える。
本実施形態では、図16に示すように、隣接するカーボンナノチューブ素子108について、低結晶性の第1カーボンナノチューブ101および高結晶性の第2カーボンナノチューブ102は、図略のセパレータを介して、互いに対称的配置として配置されている。従って、図16に示すように、素子108の並設方向(矢印EA方向)において、第2カーボンナノチューブ102,第1カーボンナノチューブ101,第1カーボンナノチューブ101,第2カーボンナノチューブ102,第2カーボンナノチューブ102……の順に配置されている。低結晶性の第1カーボンナノチューブ101は一般的に表面積が大きい。これに対して、高結晶性の第2カーボンナノチューブ102は良好な筒状のグラフェンシートを形成するため、相対的に導電性良い。このため、図16に示すように、低結晶性の第1カーボンナノチューブ101同士とが向き合い、高結晶性の第2カーボンナノチューブ102同士とが向き合うように積層し、並列接続することで高出力機能と高容量機能をハイブリット化させることができる。このように本実施形態によれば、結晶性において互いに性状が異なる第1カーボンナノチューブ101および第2カーボンナノチューブ102を搭載し、デバイスの特性をハイブリッド化させるのに有利な新規なカーボンナノチューブデバイスを提供することができる。本実施形態によれば、第1カーボンナノチューブ101の結晶性は、第2カーボンナノチューブ102の結晶性よりも低いが、逆にしても良い。図16において、筐体200,電解液205として図略されている。
(実施形態5) 太さの異なるCNTの直列接続
図17は、実施形態5に係るカーボンナノチューブデバイスを示す。太い第1カーボンナノチューブ101は、一般的に担持性が良いので、チタン酸リチウム粒子等の粒子を担持することで負極として機能し易い。これに対して、細い第2カーボンナノチューブ102は、相対的に電解液の含浸性が良くイオン伝導の優れた正極として使用可能である。図17に示すように、太い第1カーボンナノチューブ101と細い第2カーボンナノチューブ102とが向き合うように積層し、直列接続することで高い起電力のキャパシタを高い生産性で製造できる。
図17に示すように、隣接するカーボンナノチューブ素子108について、太い第1カーボンナノチューブ101および細い第2カーボンナノチューブ102は、図略のセパレータを介して、互いに対称的配置として配置されている。従って、図17に示すように、素子108の並設方向(矢印EA方向)において、細い第2カーボンナノチューブ102,太い第1カーボンナノチューブ101,細い第2カーボンナノチューブ102,太い第1カーボンナノチューブ101,細い第2カーボンナノチューブ102……の順に配置されている。本実施形態によれば、第1カーボンナノチューブ101の結晶性は、第2カーボンナノチューブ102の結晶性よりも低いが、逆にしても良い。図16において、筐体200,電解液205として図略されている。
(製造方法の例示)
上記した性状の異なるカーボンナノチューブをもつカーボンナノチューブ素子108を形成するにあたり、次の製造方法が例示できる。
(i)カーボンナノチューブを形成するためのカーボンナノチューブ形成面をもつ物体(物体)を用意すると共に、物体を収容するための反応室と、反応室に収容される物体のカーボンナノチューブ形成面に間隔を隔てて対面しつつカーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に沿って延設されたガス供給室と、ガス供給室と反応室とを連通させると共にガス供給室の反応ガスを反応室に吹き出す複数の吹出口とを有するガス通路形成部材と、物体のカーボンナノチューブ形成面、ガス通路形成部材、反応ガスのうちの少なくとも一つをカーボンナノチューブ形成温度に加熱させる加熱源とを用意する準備工程を実施する。次に、(ii)物体のカーボンナノチューブ形成面、ガス通路形成部材、反応ガスのうちの少なくとも一つをカーボンナノチューブ形成温度に加熱させた状態で、反応ガスを前記ガス供給室に供給することにより、反応室内の物体のカーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に対して交差する方向に沿って、ガス供給室の反応ガスを吹出口から物体のカーボンナノチューブ形成面に向けて吹き出し、物体のカーボンナノチューブ形成面にカーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブ形成工程を実施する。この製造方法において、好ましくは、反応ガスの吹き出しの際に、各吹出口から物体の共通のカーボンナノチューブ形成面までの最短距離Lを100として相対表示するとき、各吹出口にわたり75〜125の範囲内に設定され、各吹出口から物体のカーボンナノチューブ形成面までの最短距離Lが均衡化されている。この場合、第1カーボンナノチューブの全体のばらつきが低減される。同様に第2カーボンナノチューブのばらつきが低減される。
好ましくは、物体のカーボンナノチューブ形成面は、第1カーボンナノチューブ形成面と第2カーボンナノチューブ形成面とを有しており、第1カーボンナノチューブ形成面にカーボンナノチューブを形成する第1操作と、第2カーボンナノチューブ形成面にカーボンナノチューブを形成する第2操作とを独立に制御する。この場合、第1操作および第2操作をそれぞれ独立で制御すれば、第1カーボンナノチューブ形成面に第1操作で形成されるカーボンナノチューブの性状と、第2カーボンナノチューブ形成面に第2操作で形成されるカーボンナノチューブの性状とを変更させることができる。また、第1操作および第2操作は同時に実施されることが生産上好ましいが、時間的に重複しないように時間的にずらして実施してもよい。更には、第1操作および第2操作は、時間的に一部重複させつつ時間をずらして実施しても良い。
好ましくは、複数の吹出口の中心線から物体に向けて延びる延長線は、物体のカーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に対して所定角度(図4に示すθ1,θ2に相当、θ1,θ2=70〜110°)以内で交差するように設定されている。この場合、第1カーボンナノチューブ形成面において第1カーボンナノチューブの全体のばらつきが低減される。第2カーボンナノチューブ形成面において第2カーボンナノチューブの全体のばらつきが低減される。
好ましくは、(a)物体のカーボンナノチューブ形成面は、互いに異なる位置(例えば、物体を基板とした場合の表面、裏面、あるいは側面)に設けられた第1カーボンナノチューブ形成面と第2カーボンナノチューブ形成面とを有しており、(b)対面壁は、物体の第1カーボンナノチューブ形成面に第1間隔を隔てて対面する第1対面壁と、物体の第2カーボンナノチューブ形成面に第2間隔を隔てて対面する第2対面壁とを有しており、(c)吹出口は、第1対面壁に形成された第1吹出口と、第2対面壁に形成された第2吹出口とを有しており、(d)ガス供給室は、第1ガス供給源に繋がると共に第1吹出口に連通する第1ガス供給室と、第2ガス供給源に繋がると共に第2吹出口に連通する第2ガス供給室とを有しており、(e)加熱源は、第1カーボンナノチューブ形成面にカーボンナノチューブを形成する第1反応ガス、物体の第1カーボンナノチューブ形成面、第1ガス供給室のうちの少なくとも一つを第1カーボンナノチューブ形成温度に加熱させる第1加熱源と、第2カーボンナノチューブ形成面にカーボンナノチューブを形成する第2反応ガス、物体の第2カーボンナノチューブ形成面、第2ガス供給室のうちの少なくとも一つを第2カーボンナノチューブ形成温度に加熱させる第2加熱源とを有する。この場合、第1カーボンナノチューブ形成面にカーボンナノチューブを形成する第1操作と、第2カーボンナノチューブ形成面にカーボンナノチューブを形成する第2操作とを独立に制御することができる。この場合、第1操作および第2操作をそれぞれ独立で制御すれば、第1カーボンナノチューブ形成面に第1操作で形成されるカーボンナノチューブの性状と、第2カーボンナノチューブ形成面に第2操作で形成されるカーボンナノチューブの性状とを容易に変更させることもできる。第1操作および第2操作は前述したように時間的に同時に行っても良いし、時間的にずらして行っても良い。
好ましくは、カーボンナノチューブを形成するにあたり、物体の一端側を一対の第1設置部で挟むと共に、物体の他端側を一対の第2設置部で挟むことができる。そして第1設置部と第2設置部とを物体の面方向に沿って相対的に離間させる方向に変位させることにより、物体の面方向に張力を与え、物体の過剰な撓み変形が抑制される。この場合、単位時間あたりについて、第1吹出口から吹き出される第1反応ガスの単位時間あたり流量と、第2吹出口から吹き出される第2反応ガスの単位時間あたりの流量とが同等でないときであっても、物体のカーボンナノチューブ形成面が物体の厚み方向に変位することが抑制される。このように物体の面方向に張力を与えつつ、カーボンナノチューブを物体に形成することもできる。好ましくは、ガス通路形成部材のガス排出通路の出口は、物体の側端面に対面する位置に配置されている。この場合、物体のカーボンナノチューブ形成面に接触した反応ガスは、カーボンナノチューブを形成させた後に速やかに、ガス排出通路から排出させることができる。このためカーボンナノチューブを形成した後の反応済みガスが反応室に残留することが抑制される。この場合、良好なカーボンナノチューブの形成に貢献できる。
カーボンナノチューブ形成反応においては、炭素源およびプロセス条件は特に限定されるものではない。カーボンナノチューブを形成させる炭素を供給させる炭素源として、アルカン、アルケン、アルキン等の脂肪族炭化水素、アルコール、エーチル等の脂肪族化合物、芳香族炭化水素等の芳香族化合物が例示される。従って、炭素源として、アルコール系の原料ガス、炭化水素系の原料ガスを用いるCVD法(熱CVD,プラズマCVD、リモートプラズマCVD法等)が例示される。アルコール系の原料ガスとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等のガスが例示される。更に炭化水素系の原料ガスとしてはメタンガス、エタンガス、アセチレンガス、プロパンガス等が例示される。
(製造形態1)
図1〜図4は製造形態1を示す。カーボンナノチューブを形成するための物体1(物体)は、互いに背向する第1カーボンナノチューブ形成面11と,第1カーボンナノチューブ形成面12とをもつ。カーボンナノチューブ製造装置は、第1カーボンナノチューブ形成面11に第1カーボンナノチューブを形成し、第2カーボンナノチューブ形成面12に第2カーボンナノチューブを形成する。ここで、図1〜図3に示すように、物体1は平らな基板状をなしており、互いに背向する2次元的に延設された平坦な第1カーボンナノチューブ形成面11と、2次元的に並設された平坦な第2カーボンナノチューブ形成面12とを有する。物体1の材質は特に限定されず、シリコン、金属等が例示される。金属としては、鉄、チタン、銅、アルミニウム、鉄合金(ステンレスを含む)、チタン合金、銅合金、アルミニウム合金等が例示される。図3から理解できるように、第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12は、2次元方向に延びる平坦状とされており、一方向であるX方向(長手方向)と、これに交差(直交)する他方向であるY方向(幅方向)とに延びる。
物体1のカーボンナノチューブ形成面11,12には、触媒が存在していることが好ましい。触媒としては、通常、遷移金属が用いられる。特に、V〜VIII族の金属が好ましい。カーボンナノチューブ集合体の密度の目標値等に応じて、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、銅、クロム、バナジウム、ニッケルバナジウム、チタン、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、銀、金、これらの合金が例示される。触媒はA−B系の合金であることが好ましい。ここで、Aは鉄、コバルト、ニッケルのうちの少なくとも1種であり、Bはチタン、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、タンタルのうちの少なくとも1種であることが好ましい。この場合、鉄−チタン系合金、鉄−バナジウム系合金のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。更に、コバルト−チタン系合金、コバルト−バナジウム系合金、ニッケル−チタン系合金、ニッケル−バナジウム系合金、鉄−ジルコニウム系合金、鉄−ニオブ系合金が挙げられる。鉄−チタン系合金の場合には、質量比でチタンが10%以上、30%以上、50%以上、70%以上(残部は鉄)、90%以下が例示される。鉄−バナジウム系合金の場合には、質量比でバナジウムが10%以上、30%以上、50%以上、70%以上(残部は鉄)、90%以下が例示される。
図1に示す装置本体2はカーボンナノチューブ製造装置の物体をなす。反応ガスを供給するガス通路形成部材3が装置本体2に設けられている。図1および図2に示すように、ガス通路形成部材3は、物体1を収容する容積を有する反応室30と、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11に第1間隔E1(最短間隔)を隔てて対面する第1対面壁31と、物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12に第2間隔E2を隔てて対面する第2対面壁32とを有する。E1=E2、または、E1≒E2(例えばE1/E2=0.85〜1.15)とされていることができる。但し、場合によっては、第1カーボンナノチューブ101および第2カーボンナノチューブ102について、性状を変化させる場合には、E1<E2としても良いし、E1>E2としても良い。
図1および図2に示すように、第1対面壁31は、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11にほぼ平行とされており、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11が延設する第1面方向(矢印S1方向)に沿って二次元的に延設されており、前記したX方向およびY方向に延設されている。この場合、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11に形成する第1カーボンナノチューブ101の全体についてばらつきを抑制させるのに有利である。第2対面壁32は、物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12にほぼ平行とされており、物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12が延設する面方向(矢印S2方向)に沿って二次元的に延設されており、前記したX方向およびY方向に延設されている。この場合、物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12に形成する第1カーボンナノチューブ101の全体についてばらつきを低減させるのに有利である。
図1および図2に示すように、ガス通路形成部材3は、第1対面壁31にこれを厚み方向に貫通するように形成された複数の第1吹出口41と、第2対面壁32にこれを厚み方向に貫通するように形成された複数の第2吹出口42と、第1対面壁31を用いて物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11が延設する第1面方向(S1方向)に沿って延設され且つ第1吹出口41に連通する第1ガス供給室51と、第2対面壁32を用いて物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12が延設する第2面方向(S2方向)に沿って延設され且つ第2吹出口42に連通する第2ガス供給室52と、反応室30にこれの第1出口38を介して連通する第1ガス排出通路33(図2参照)と、反応室30にこれの第2吹出口39を介して連通する第2ガス排出通路34(図2参照)を有する。第1吹出口41は、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11に対向する。第2吹出口42は、物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12に対向する。
図2に示すように、第1ガス供給室51は、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11に対向するように形成され、箱状通路とされており、物体1の幅寸法D2よりも大きな幅寸法D20をもつ。第2ガス供給室52は、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11に対向するように形成され、箱状通路とされており、物体1の幅寸法D2よりも大きな幅寸法D20をもつ。図2に示すように、箱状通路は2次元方向(X方向,Y方向)に延設された偏平な箱状通路とされている。第1カーボンナノチューブ形成面11に第1反応ガスをできだけ均一に吹き付け、第1カーボンナノチューブ101をできるだけ均一に形成するためである。また、第2カーボンナノチューブ形成面12に第2反応ガスをできるだけ均一に吹き付け、第2カーボンナノチューブ102をできるだけ均一に形成するためである。なお、第1ガス供給室51の流路横断面積をSA1とし、第2ガス供給室52の流路横断面積をSA2とするとき、SA1=SB2,SA1≒SB2にできる。場合によっては、第1カーボンナノチューブと第2カーボンナノチューブとにおける性状を変更させるため、SA1/SB2==0.8〜1.2の範囲、または、0.9〜1.1の範囲にできる。但し、これに限定されない。本製造形態では図2に示すように、第1ガス供給室51は物体1の上側に、第2ガス供給室52は物体1の下側に配置されている。
複数の第1吹出口41は、千鳥配列でほぼ均等間隔で第1対面壁31のほぼ全面(周縁部を除く)に形成されていることが好ましい。この場合、第1反応ガスをできるだけ均一に吹き付けることができ、第1カーボンナノチューブ形成面11に形成される第1カーボンナノチューブ101の全体のばらつき低減に貢献できる。なお千鳥配列に限定されるものではなく、第1カーボンナノチューブ101の全体のばらつき低減に貢献できる限り、要するに、複数の第1吹出口41が第1対面壁31において散乱状に形成されていれば良い。同様に、複数の第2吹出口42が千鳥配列でほぼ均等間隔で第2対面壁32に形成されていることが好ましい。この場合、第2カーボンナノチューブ形成面12に形成される第2カーボンナノチューブ102のばらつき低減に貢献できる。なお千鳥配列に限定されるものではない。図4から理解できるように、第1吹出口41は、物体1のサイズ等にもよるが、内径DW1(例えば0.2〜8ミリメートル,0.3〜5ミリメートル)の円形状の孔で形成できる。最も隣接する第1吹出口41の中心軸線P1間のピッチをPA1とし、第1吹出口41の内径をDW1とすると、ピッチPA1=DW1×α1にできる。α1としては2〜50の範囲内、3〜25の範囲内が例示される。但しこれに限定されるものではない。第2吹出口42の内径DW2についても、第2吹出口42の中心軸線P2間のピッチPA2についても同様である。また、大面積の物体の面内に均一に原料ガスを導入するために、ガス供給の遠い位置ほどピッチを小さくしたり、孔径を大きくしても良い。
本製造形態によれば、物体1の厚みを示す断面図である図4から理解できるように、複数の第1吹出口41の中心軸線P1から物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11に向けて延びる延長線PK1は、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11が延設する面方向(S1方向)に対して第1所定角度θ1(θ1=70〜110°)以内で、具体的にθ1=85〜95°以内で交差するように設定されていることが好ましい。また図4に示すように、複数の第2吹出口42の中心軸線P2から物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12に向けて延びる延長線PK2は、物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12が延設する面方向(S2方向)に対して第2所定角度θ2(θ2=70〜110°)以内で、具体的にθ2=85〜95°以内で交差するように設定されていることが好ましい。良好なカーボンナノチューブを形成させるためには、θ1およびθ2は88〜92°、特に90°としても良い。
図2に示すように、ガス通路形成部材3において、第1対面壁31および第2対面壁32は、第1副壁61および第2副壁62で互いに連設されている。反応室30の第1出口38は、物体1の一方の側端面14に接近しつつ対向するように第1副壁61に形成されている。反応室30の第2出口39は、物体1の他方の側端面15に接近しつつ対向するように第2副壁62に形成されている。図2に示すように、物体1の厚みTAが比較的厚いときには、第1出口38と側端面14との距離をM1とし、第2出口39と側端面15との距離をM2とし、物体1の厚みをTAとするとき、M1は(0.3〜7)×TA、または、(0.5〜5)×TAとすることが例示される。但しこれに限定されるものではない。第1副壁61の厚みをTEとするときには、M1は(0.3〜7)×TE、または、(0.5〜5)×TEとすることが例示される。但しこれに限定されるものではない。このように、第1出口38は物体1の側端面14に対面しつつ近づいている。このためカーボンナノチューブ101,102を形成させた反応ガスを第1出口38から速やかに第1ガス排出通路33に排出させるのに有利である。同様に、M2は(0.3〜5)×TA、または、(0.5〜2)×TAとすることが例示される。この場合、第2出口39は物体1の側端面15に対面しつつ近づいている。このためカーボンナノチューブ101,102を形成させた反応ガスを第2吹出口39から速やかに第2ガス排出通路34に排出させるのに有利である。ここで、第1カーボンナノチューブ101と第2カーボンナノチューブ102とについて、M1=M2、または、M1≒M2でも良いし、M1<M2、M1>M2でも良い。図2に示すように、第1ガス排出通路33は、第1副壁61と、第1副壁61よりも外側の第1側壁63とを利用して形成されているおり、図示しないドレン側に繋がる。第2ガス排出通路34は、第2副壁62と、第2副壁62よりも外側の第2側壁64とを利用して形成されており、ドレン側に繋がる。
さらに、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11、ガス通路形成部材3、第1ガス供給室51の第1反応ガスのうちの少なくとも一つをカーボンナノチューブ形成温度(例えば400〜1000℃程度、550〜700℃)に加熱させるための第1加熱源71が、装置本体2に設けられている。物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12、ガス通路形成部材3、第2ガス供給室52の第2反応ガスのうちの少なくとも一つをカーボンナノチューブ形成温度に加熱させるための第2加熱源72が、装置本体2に設けられている。加熱源71,72は、ガス供給室51,52の外側に配置されているため、ガス供給室51,52の全体、通路形成部材3の全体を加熱させるにも有利である。
第1加熱源71は、第1ガス供給室51の外側(上側)に配置されており、近赤外線を放出するランプヒータで形成されていることが好ましい。第2加熱源72は、第2ガス供給室52の外側(上側)に配置されており、近赤外線を放出するランプヒータで形成されていることが好ましい。加熱源71,72は通路形成部材3自体も、通路形成部材3内の反応ガスも加熱できる。なお、通路形成部材3の全体は、近赤外線を透過できる材料(例えば石英ガラス)で形成されていることが好ましい。この場合、第1加熱源71および第2加熱源72は、反応室30内の物体1をカーボンナノチューブ形成温度に加熱できる。加熱源71,72はカバー部材75で外側から覆われている。第1加熱源71および第2加熱源72は制御装置により互いに独立して制御できることが好ましい。この場合、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11の温度T1と、物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12の温度T2とを独立させて制御するのに有利である。なお、物体1が鉄または鉄合金等の導電性および透磁性を有する場合には、第1加熱源71および第2加熱源72としては、電磁誘導で物体1を加熱させる誘導加熱方式としても良い。誘導加熱の場合には、第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12の表面を表皮効果により集中的に早期に加熱できる。さらには他の加熱方式としても良い。図1に示すように、第1ガス供給室51は、第1反応ガスおよび第1キャリヤガスを供給できる第1供給通路81を介して繋がる。第1供給通路81には、第1反応ガス用の第1供給バルブ81a,第1キャリヤガス用の第1供給バルブ81cが設けられている。第2ガス供給室52は、第2反応ガスおよび第2キャリヤガスを供給できる第2供給通路82を介して繋がる。第2供給通路82には、第2反応ガス用の第2供給バルブ82a,第2キャリヤガス用の第2供給バルブ82cが設けられている。第1供給通路81および第2供給通路82には、供給する各ガスの流量を計測する流量計を設けることが好ましい。
さて、カーボンナノチューブ形成工程について説明する。まず、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12にそれぞれ触媒を担持させておくことが好ましい。触媒は、蒸着、スパッタリング、ディッピング等に、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12に形成できる。その後、カーボンナノチューブ形成工程を実施する。すなわち、図1および図2に示すように、設置部18を介して物体1を反応室30に設置する。設置部18は固定式でも良いし、搬送ローラでも良い。固定式であれば、物体1を固定した状態でカーボンナノチューブを形成する。搬送ローラであれば、物体1を搬送方向に連続的に搬送させつつ、カーボンナノチューブ11,12を連続的に形成でき、生産性を向上できる。カーボンナノチューブ形成工程では、反応室30を真空引きしておく。さらに、第1加熱源71および第2加熱源72をオンさせて物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12を所定温度(例えば300〜600℃)に昇温させておく。この状態で、第1供給通路81からキャリヤガス(アルゴンガスまたは窒素ガス)を第1ガス供給室51および第1吹出口41を介して反応室30に供給する共に、第2供給通路82からキャリヤガスを第2ガス供給室52および第2吹出口42を介して反応室30に供給し、反応室30の圧力を調整する。その後、第1反応ガスを第1供給通路81から第1ガス供給室51に供給すると共に、第2供給通路82から第2反応ガスを第2ガス供給室52に供給させる。第1ガス供給室51に供給された第1反応ガスは、複数の第1吹出口41から物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11に向けてこれに衝突するように吹き出される。第2ガス供給室52に供給された第2反応ガスは、複数の第2吹出口42から物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12に向けてこれに衝突するように吹き出される。なお第1反応ガスおよび第2反応ガスは同量および同種にできる。
上記したカーボンナノチューブ形成工程が実施されると、図2から理解できるように、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11に第1カーボンナノチューブ101が形成されると共に、物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12に第2カーボンナノチューブ102が形成される。第1カーボンナノチューブ101は、基本的には、第1カーボンナノチューブ形成面11にほぼ垂直方向に成長する。第2カーボンナノチューブ102は、基本的には、第2カーボンナノチューブ形成面12にほぼ垂直方向に成長する。第1反応ガスの吹き出しの際に、各第1吹出口41から物体1の共通の第1カーボンナノチューブ形成面11までの最短距離L1(図4参照)を100として相対表示するとき、各第1吹出口41について、75〜125の範囲内に設定されている。具体的には、各第1吹出口41にわたり90〜110の範囲内(特に95〜105の範囲内,100)に設定されていることが好ましい。このため各第1吹出口41について、第1吹出口41から物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11までの最短距離L1ができるだけ均衡化されている。この場合、第1カーボンナノチューブ形成面11において第1カーボンナノチューブ101が良好に形成される。同様に、第2反応ガスの吹き出しの際に、各第2吹出口42から物体1の共通の第2カーボンナノチューブ形成面12までの最短距離L2(図4参照)を100として相対表示するとき、各第2吹出口42について、75〜125の範囲内に設定されている。具体的には、各第2吹出口42にわたり90〜110の範囲内(特に95〜105の範囲内)に設定されていることが好ましい。このため各第2吹出口42から物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12までの最短距離L2ができるだけ均衡化されている。この場合、第2カーボンナノチューブ形成面12において第2カーボンナノチューブ102が良好に形成される。
上記した本製造形態によれば、第1反応ガスおよび第2反応ガスの単位時間あたりの流量は基本的には相違されている。このため、第1カーボンナノチューブ101と第2カーボンナノチューブ102とについて、性状(例えば長さ、径、本数、層数、結晶性、欠陥量、官能基種、官能基量、密度、分布等のうちの少なくとも1つ)の差を増加できる。この場合、加熱源71,72の出力も相違させることができる。更に、第1カーボンナノチューブ101および第2カーボンナノチューブ102の性状を変更させるためには、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12に担持される触媒についても、その担持量、担持密度および組成を基本的には変更させることができる。担持密度とは、カーボンナノチューブ形成面の単位面積あたりの触媒重量を意味する。本製造形態によれば、カーボンナノチューブ形成工程においては、図1に示すように、第1ガス供給室51については、互いに逆方向(矢印W10,W11方向)から第1反応ガスを第1ガス供給室51に供給することにしている。これにより物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11に形成される第1カーボンナノチューブ101のばらつき低減に貢献できる。また図1に示すように、第2ガス供給室52についても、互いに逆方向(矢印W20,W21方向)から第2反応ガスを第2ガス供給室52に供給することにしている。これにより物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12に形成されるカーボンナノチューブのばらつき低減に貢献できる。なお、第1カーボンナノチューブ101および第2カーボンナノチューブ102の形成が終了すると、反応室30から物体1を取り出す。
以上説明したように本製造形態によれば、第1反応ガスに基づいて物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11に第1カーボンナノチューブ101を形成する第1操作と、第2反応ガスに基づいて物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12に第2カーボンナノチューブ102を形成する第2操作とをそれぞれ独立に制御することができる。具体的には、バルブ81a,82aを互いに独立に制御できる。バルブ81c,82cを互いに独立に制御できる。加熱源71,72による加熱温度を互いに独立して制御できる。このように第1操作および第2操作をそれぞれ独立で制御すれば、第1カーボンナノチューブ形成面11に第1操作で形成される第1カーボンナノチューブ101の性状と、第2カーボンナノチューブ形成面12に第2操作で形成される第2カーボンナノチューブ102の性状とを変更させることができる。また、加熱源71,72の出力も独立に制御することができる。
本製造形態によれば、図2から理解できるように、ガス通路形成部材3の反応室30の第1出口38は物体1の側端面14に対面する位置に配置されている。第1出口39は物体1の側端面15に対面する位置に配置されている。この場合、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11に接触した第1反応ガスについては、第1カーボンナノチューブ形成面11において第1カーボンナノチューブ101を形成させた後に速やかに、矢印N1,N2方向に向けて、第1出口38および第2出口39から、ガス排出通路33,34に排出させることができる。このため第1カーボンナノチューブ101を形成した後の反応済みガスが反応室30に残留することが抑制される。この場合、良好な第1カーボンナノチューブ101の形成に貢献できる。同様に、物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12に衝突して接触した第2反応ガスについても、第2カーボンナノチューブ形成面12において第2カーボンナノチューブ102を形成させた後に速やかに、矢印N1,N2方向に向けて、第1出口38および第2出口39からガス排出通路33,34に排出させることができる。このため第2カーボンナノチューブ102を形成した後の反応済みガスが反応室30に残留することが抑制される。この場合、良好な第2カーボンナノチューブ102の形成に貢献できる。
(製造形態2)
本製造形態は前記した製造形態1,2と基本的には同様の構成、同様の作用効果を示す。以下、相違する部分を中心として説明する。第1反応ガスに基づいて物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11に第1カーボンナノチューブ101を形成する第1操作と、第2反応ガスに基づいて物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12に第2カーボンナノチューブ102を形成する第2操作とをそれぞれ独立に制御する。第1操作および第2操作をそれぞれ独立で制御する。これにより、第1カーボンナノチューブ形成面11に第1操作で形成される第1カーボンナノチューブ101の性状と、第2カーボンナノチューブ形成面12に第2操作で形成される第2カーボンナノチューブ102の性状とを変更させる。カーボンナノチューブ形成工程において、独立制御としては、(a)第1反応ガスの単位時間あたりの供給流量V1と第2反応ガスの単位時間あたりの供給流量V2とを変える形態、(b)第1加熱源71および第2加熱源72の出力を変えて、第1カーボンナノチューブ形成面11の温度T1および第2カーボンナノチューブ形成面12の温度T2とを変える形態、(c)第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12における触媒担持量および/または触媒組成を変える形態、(e)第1反応ガスおよび第2反応ガスの組成を変える形態等が例示される。
従って、第1カーボンナノチューブ形成面11に形成される第1カーボンナノチューブ101の長さを相対的に長くにでき、第2カーボンナノチューブ形成面12に形成される第2カーボンナノチューブ102の長さを相対的に短くできる。逆に、第1カーボンナノチューブ101の長さを第2カーボンナノチューブ102の長さよりも短く、第2カーボンナノチューブ102の長さを第1カーボンナノチューブ101よりも相対的に長くしても良い。あるいは、第1カーボンナノチューブ形成面11に形成される第1カーボンナノチューブ101の密度を第2カーボンナノチューブ102の密度よりも相対的に高くでき、第2カーボンナノチューブ形成面12に形成される第2カーボンナノチューブ102の密度を第1カーボンナノチューブ101の密度よりも相対的に低くすることもできる。逆でも良い。なお、キャパシタ電極に適用される場合には、カーボンナノチューブが長い場合には、表面積が増加し、高い蓄電容量を期待できる。カーボンナノチューブが短い場合には、応答性の向上を期待できる。なお、物体1の材質はシリコンでも良いし、金属でも良い。金属としては、鉄、チタン、銅、アルミニウム、鉄合金(ステンレスを含む)、チタン合金、銅合金、アルミニウム合金等が例示される。物体1の材質に応じて、第1操作および第2操作を互いに操作内容を変更するように実施できる。
(実施例1) 流量独立制御
実施例1は図1〜図4に示すカーボンナノチューブ製造装置を用いて実施した。
(物体1)実施例1では、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11に形成される第1カーボンナノチューブ101、第2カーボンナノチューブ形成面12に形成される第2カーボンナノチューブ102について、その長さを異ならせた。物体1としては、0.5ミリメートルのシリコン基板を用いた。シリコン基板は研磨されていた。シリコン基板の第1カーボンナノチューブ101、第2カーボンナノチューブ形成面12について、表面粗さはRa5ナノメートルであった。
(前処理)第1段階として、物体1の表面を撥水処理した。処理液は、トルエンにヘキサオルガノシラザンを5体積%の濃度で配合したものとした。この処理液に物体1を30分間浸漬させた。その後、処理液から物体1を引き上げ、自然乾燥させた。第2段階として、ディップコート法により、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12に、コーティング液を塗布し、鉄−チタン合金の薄膜を30ナノメートル形成した。触媒は島状となっていると考えられる。コーティング液は、ヘキサン中に鉄−チタン合金の粒子(質量比でFe:80%、Ti:20%)を分散させ、可視光度計(WPA社製、CO7500)にて波長680ナノメートルの測定条件で吸光度が0.3となるように濃度調整した液とした。ディップコート法では、大気中において、常温下で、浸漬した後、3ミリメートル/分間の速度で引き上げた。引き上げ後、自然乾燥にて速やかにヘキサンが蒸発した。
(CNT形成)図1〜図4に示す構造をもつ熱CVD装置で形成されたカーボンナノチューブ製造装置にてカーボンナノチューブを形成した。予め、反応室30を10Paに真空引きしておくこの反応室30にキャリヤガスとして窒素ガス5000cc/分間を物体1の両面から導入し、且つ、反応室30の圧力を1×105Paに調整した。物体1の表面温度を600℃に昇温させた後、炭素源となる反応ガス(アセチレンガス)を物体1の両面から6分間導入した。この場合、上側の第1ガス供給室51については400cc/分とし、下側の第2ガス供給室52については1000cc/分とし、6分間導入した。これによりカーボンナノチューブを物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12の双方に形成した。図6は形成されたカーボンナノチューブを示す。第1カーボンナノチューブ101の長さは約54μmであり、第2カーボンナノチューブ102は約184μmであった。
(比較例1)
(CNT形成)図1〜図4に示す構造をもつ熱CVD装置で形成されたカーボンナノチューブ製造装置にてカーボンナノチューブを形成した。予め、反応室30を10Paに真空引きしておくこの反応室30にキャリヤガスとして窒素ガス5000cc/分間を物体1の両面から導入し、且つ、反応室30の圧力を1×105Paに調整した。物体1の表面温度を600℃に昇温させた後、炭素源となる反応ガス(アセチレンガス)を物体1の両面から6分間導入した。この場合、両面とも1000cc/分とし、6分間導入した。これによりカーボンナノチューブを物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12の双方に形成した。図5は形成されたカーボンナノチューブを示す。反応ガスの流量がほぼ同一であるため、第1カーボンナノチューブ101の長さは約94μmであり、第2カーボンナノチューブ102は約94μmであった。
(実施例2)
(物体1)実施例3では、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11に形成される第1カーボンナノチューブ101、第2カーボンナノチューブ形成面12に形成される第2カーボンナノチューブ102について、その長さを異ならせた。物体1は厚さ0.5ミリメートのシリコン基板とした。上面である第1カーボンナノチューブ形成面11の表面粗さはRa5ナノメートルとした。下面である第2カーボンナノチューブ形成面12の表面粗さはRa100ナノメートルとし、第1カーボンナノチューブ形成面11よりも粗い面とした。
(前処理)実施例1と同様とした。
(CNT形成)比較例1と同様とした。カーボンナノチューブを物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12の双方に形成した。図7は実施例2について形成されたカーボンナノチューブを示す。カーボンナノチューブの長さについては、上面である第1カーボンナノチューブ形成面11に形成された第1カーボンナノチューブ101は約72μmであった。下面である第2カーボンナノチューブ形成面12に形成された第2カーボンナノチューブ102は約144μmであった
(実施例1B)
本実施例は、物体の第1カーボンナノチューブ形成面および第2カーボンナノチューブ形成面において、互いに結晶性が異なるカーボンナノチューブを形成する。
(物体1) 物体1として、厚さ0.5mmのシリコン基板を使用する。基板両面とも研磨されており、表面粗さはRa5ナノメートルとする。
(前処理) 第1段階として、物体1の表面を撥水処理する。処理液はトルエン中にヘキサオルガノシラザンを5vol%の濃度で配合したものであり、これに物体1を30分浸漬させる。その後、引上げ、自然乾燥させる。第2段階としてディップコート法にて、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面および第2カーボンナノチューブ形成面の両面に、Fe-Ti合金薄膜を30ナノメートル形成する。コーティング液は、ヘキサン中にFe-Ti合金粒子(Fe80%-Ti20%)を分散させ、可視光度計(WPA社製CO7500)にて、波長680ナノメートルの測定条件で、吸光度が0.3になるように濃度調整する。ディップコートは、大気中、常温下で3mm/minの速度で引き上げる。引き上げ後、自然乾燥にて速やかにヘキサンが蒸発する。
(CNT形成) 前述の図1〜図4に示すような構造をもつ熱CVD装置にてカーボンナノチューブを形成する。この場合、あらかじめ10Paに真空引きされた反応容器中にキャリヤガスとして窒素ガス5000cc/分を両面から導入し、かつ、反応容器内の圧力を1×105Paに調整する。物体1の片面側のヒーター温度を低温(600℃)に設定する。もう一方の面側のヒーター温度を高温(750℃)に設定する。昇温後、炭素源となる原料ガスとして、アセチレンガス1000cc/分を物体1の両面から6分間導入し、カーボンナノチューブを形成させる。低温側の面のカーボンナノチューブはアモルファスカーボンが付着し、結晶性が低い。一方、高温側の面のカーボンナノチューブは結晶性が高い。この場合、低結晶性のカーボンナノチューブは一般的に担持性が良いので、チタン酸リチウム粒子を担持することで負極として機能させ易い。これに対して、高結晶性のカーボンナノチューブは、良好なグラフェンシートを形成しており、相対的に導電性や耐久性の高い正極として使用可能である。図15に示すように、高結晶性のカーボンナノチューブと低結晶性カーボンナノチューブとが向き合うように積層し、直列接続することで高い起電力のキャパシタを高い生産性で製造できる。カーボンナノチューブを形成するときにおける温度に限らず、カーボンナノチューブを形成させるガス流量等でも制御可能と考えられる。
(実施例2B)
本実施例は、物体の第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12において、互いに結晶性が異なるカーボンナノチューブを形成する。
(物体)(前処理)(CNT形成)は、実施例1Bと全て同じとする。低結晶性のカーボンナノチューブは一般的に表面積が高い。これに対して、高結晶性のカーボンナノチューブは相対的に導電性良い。このため、低結晶性のカーボンナノチューブ同士と、低結晶性カーボンナノチューブ同士とが向き合うように積層し、並列接続することで高出力機能と高容量機能をハイブリット化させることができる。
(実施例3B)
本実施例は、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12において、互いに太さが異なるカーボンナノチューブを形成する。
(物体1) 物体1として、厚さ0.5mmのシリコン基板を使用する。基板の両面とも研磨されており、表面粗さはRa5ナノメートルとする。
<前処理> 第1段階として基板表面を撥水処理する。処理液はトルエン中にヘキサオルガノシラザンを5vol%の濃度で配合したものであり、これに基板を30分浸漬させた後、引上げ、自然乾燥させる。第2段階として、スピンコート法にてシリコン基板の両面にFe薄膜を約10ナノメートル形成する。コーティング液は、ヘキサン中にFe粒子(Fe100%)を分散させ、可視光度計(WPA社製CO7500)にて波長680ナノメートルの測定条件で吸光度が0.3になるように濃度調整する。スピンコートは大気中、約5000rpmで約30秒回転させる。回転後、自然乾燥にて速やかにヘキサンが蒸発する。第3段階として、基板の第2カーボンナノチューブ形成面12(基板の第1カーボンナノチューブ形成面11の反対側の面)にスピンコート法にてシリコン基板両面にFe薄膜を10ナノメートル形成する。コーティング液はヘキサン中にFe-Ti合金薄膜を約30ナノメートル形成する。コーティング液はヘキサン中にFe-Ti合金粒子(Fe80%-Ti20%)を分散させ、可視光度計(WPA社製CO7500)にて波長680ナノメートルの測定条件で吸光度が0.3になるように濃度調整する。スピンコートは大気中、約5000rpmで約30秒回転させる。回転後、自然乾燥にて速やかにヘキサンが蒸発する。
<CNT形成> 前述の図1〜図4に示す構造をもつ熱CVD装置にてカーボンナノチューブを形成する。この場合、あらかじめ10Paに真空引きされた反応容器中にキャリヤガスとして窒素ガス5000cc/分を基板の両面に導入し、かつ反応容器内の圧力を1×105Paに調整する。基板の表面温度を600℃に昇温後、炭素源となる原料ガスとしてアセチレンガス1000cc/分を両面から6分間導入し、カーボンナノチューブを形成させる。
Fe触媒が形成される面に形成されるカーボンナノチューブの径は、15ナノメートルと太い。これに対して、FeTi触媒が形成される面に形成されるカーボンナノチューブの径は8ナノメートルと細い。図17に示すように、太いカーボンナノチューブは、一般的に担持性が良いので、チタン酸リチウム粒子を担持することで負極として機能し易い。これに対して、細いカーボンナノチューブは、相対的に電解液の含浸性が良くイオン伝導の優れた正極として使用可能である。
太いカーボンナノチューブと細いカーボンナノチューブとが向き合うように積層し、直列接続することで高い起電力のキャパシタを高い生産性で製造できる。
(実施例4B)
本実施例は、物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11および第2カーボンナノチューブ形成面12において、互いに本数が異なるカーボンナノチューブを形成する。
(基板) 物体1として、厚さ0.5mmのシリコン基板を使用する。基板の両面とも研磨されており、表面粗さはRa5ナノメートルとする。
<前処理> 第1段階として基板の表面を撥水処理する。処理液はトルエン中にヘキサオルガノシラザンを5vol%の濃度で配合したものであり、これに基板を30分浸漬させた後、引上げ、自然乾燥させる。第2段階としてディップコート法にてシリコン基板両面にFe-Ti合金薄膜を30ナノメートル形成する。コーティング液はヘキサン中 にFe-Ti合金粒子(Fe80%-Ti20%)を分散させ、可視光度計(WPA社製CO7500)にて波長680ナノメートルの測定条件で吸光度が0.3になるように濃度調整する。ディップコートは大気中、常温下で3mm/min.の速度で引き上げる。引き上げ後、自然乾燥にて速やかにヘキサンが蒸発する。
<CNT形成> 前述の図1〜図4に示す基本構造をもち、片面の開口数を少なく(もしくは開口径を小さく)した熱CVD装置にてカーボンナノチューブを形成する。あらかじめ10Paに真空引きされた反応容器中にキャリヤガスとして窒素ガス5000cc/分を基板の両面から導入し、かつ圧力を1×105Paに調整する。基板表面温度を600℃に昇温後、炭素源となる原料ガスとしてアセチレンガス1000cc/分を両面から6分間導入し、カーボンナノチューブを形成させる。開口数の少ない面は触媒への原料ガスの到達頻度が少なく、カーボンナノチューブの本数が少なくなる。本数の多いカーボンナノチューブが形成されている側は、一般的に担持性が良いので(担持用の足場が多いから)、チタン酸リチウム粒子等の粒子を担持することで負極として機能させ易い。これに対して、本数の少ないカーボンナノチューブは、隣接するカーボンナノチューブ間の隙間が確保されるため、電解液の含浸性が良く、イオン伝導の優れた正極として使用可能である。本数の多いカーボンナノチューブ面と本数の少ないカーボンナノチューブ面とが向き合うように積層し、直列接続することで高い起電力のキャパシタを高い生産性で製造できる。温度に限らず、基板の表面粗さ、触媒径、触媒活性度、ガス流量等でも制御可能と考える。
(その他)上記した実施例は、第1カーボンナノチューブと第2カーボンナノチューブとで1因子(長さ、結晶性、本数のいずれか)が異なる例である。しかし、カーボンナノチューブの長さ、径、本数、層数、結晶性、欠陥量、官能基種、官能基量、密度、重量、分布等のうちの複数の因子が異なることにしても良いものである。
(製造形態3)
図8は製造形態3を示す。本製造形態は前記した製造形態1,2と基本的には同様の構成、同様の作用効果を示す。以下、相違する部分を中心として説明する。図8に示すように、第1ガス供給室51の一端51e側には供給通路810が設けられ、第1反応ガス用の供給バルブ810a,キャリヤガス用の供給バルブ810cが設けられている。図8に示すように、第1ガス供給室51の他端側51fには供給通路811が設けられ、第1反応ガス用の供給バルブ811a,キャリヤガス用の供給バルブ811cが設けられている。第1ガス供給室51に第1反応ガスを供給するとき、第1ガス供給室51の一端51e側と他端51f側とにおいて、単位時間あたりのガス流量を制御できる。この場合、第1カーボンナノチューブ形成面11について、一端51e側と他端51f側とにおいて、第1カーボンナノチューブ11の性状を変更させることを期待できる。
図8に示すように、第2ガス供給室52の一端52e側には供給通路820が設けられ、第2反応ガス用の供給バルブ820a,キャリヤガス用の供給バルブ820cが設けられている。第2ガス供給室52の他端52f側には供給通路822が設けられ、第2反応ガス用の供給バルブ822a,キャリヤガス用の供給バルブ822cが設けられている。第2ガス供給室52に第2反応ガスを供給するとき、第2ガス供給室52の一端52e側と他端52f側とにおいて、単位時間あたりのガス流量を制御できる。この場合、第2カーボンナノチューブ形成面12について、一端52e側と他端52f側とにおいて、第2カーボンナノチューブ12の性状を変更させることを期待できる。
(製造形態4)
図9は製造形態4を示す。本製造形態は前記した製造形態1,2と基本的には同様の構成、同様の作用効果を示す。以下、相違する部分を中心として説明する。図9に示すように、第1ガス供給室51および第2ガス供給室52は横方向(水平方向)に沿って延設されている。第1反応ガスは、第1ガス供給室51に矢印W1方向(一方向,図8において右方)に向けて供給される。その第1反応ガスは、複数の第1吹出口41から下方向に沿って物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11にほぼ垂直に衝突するように吹き出される。第2は反応ガスは第2ガス供給室52に矢印W2方向(一方向図8において左方)に供給される。その第2反応ガスは、複数の第2吹出口42から上方向に沿って物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12にほぼ垂直に衝突するように吹き出される。この場合、第1ガス供給室51から第1吹出口41を介して反応室30に供給された第1反応ガスを考慮すると、第1反応ガスが第1ガス供給室51において図9の矢印W1方向に向かうとき、第1反応ガスの流量は、第1ガス供給室51の上流領域51uから下流領域51dに向かうにつれて次第に減少する。従って、第1吹出口41の個数が同一であれば、複数の第1吹出口41の内径は、第1ガス供給室51の下流領域51dでは上流領域51uよりも相対的に増加している。あるいは、各第1吹出口41の内径が同一であれば、単位面積あたり、複数の第1吹出口41の個数は、第1ガス供給室51の下流領域51dでは上流領域51uよりも増加している。その理由としては、第1ガス供給室51の第1反応ガスを反応室30に吹き込むとき、吹き込む流量のばらつきを低減させるためである。このような本製造形態によれば、第1カーボンナノチューブ形成面11において形成される第1カーボンナノチューブ101の全体のばらつきを低減させるのに有利である。
第2吹出口42についても同様である。すなわち、第2反応ガスが第2ガス供給室52において図9の矢印W2方向に向かうにつれて、第2反応ガスの流量は、第2ガス供給室52の上流領域52uから下流領域52dに向かうにつれて次第に減少する。従って、第2吹出口42の個数が同一であれば、複数の第2吹出口42の内径は、第2ガス供給室52の下流領域52dでは上流領域52uよりも相対的に増加している。あるいは、各第2吹出口42の内径が同一であれば、単位面積あたり、複数の第2吹出口42の個数は、第2ガス供給室52の下流領域52dでは上流領域52uよりも相対的に増加している。その理由としては、第2ガス供給室52の第2反応ガスを反応室30に吹き込むとき、吹き込む流量のばらつきを低減させるためである。このような本製造形態によれば、第2カーボンナノチューブ形成面12において形成される第2カーボンナノチューブ102の全体のばらつきを低減させるのに有利である。
(製造形態5)
図10は製造形態5を示す。本製造形態は前記した製造形態1,2と基本的には同様の構成、同様の作用効果を示す。以下、相違する部分を中心として説明する。図10に示すように、第1ガス供給室51および第2ガス供給室52は、互いに対向する箱状通路とされつつも、縦方向(高さ方向,矢印H方向)に沿って延設されている。物体1は縦方向に沿って配置されており、上部1u,下部1dをもつ。カーボンナノチューブ形成面11,12は高さ方向(矢印H方向)に沿って延設されている。第1ガス供給室51に供給された第1反応ガスは、複数の第1吹出口41から横方向に沿って物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11にほぼ85〜95℃の角度で衝突するように吹き出される。第2ガス供給室52に供給された第2反応ガスは、複数の第2吹出口42から横方向に沿って物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12にほぼ85〜95°の角度で衝突するように吹き出される。本製造形態によれば、上側の設置部18cと下側の設置部18a間における距離が長いときであっても、あるいは、物体1の厚みTAが薄いときであっても、物体1のうち設置部18a,18c間の部位1mが重力により下方に垂下することが抑制される。さらに、物体1の一端側を設置部18c,18cで挟むと共に、物体1の他端側を設置部18a,18aで挟む。そして設置部18c,18cと設置部18a,18aとを物体1の面方向S1,S2方向に沿って相対的に離間させる方向に変位させる。これにより物体1の面方向S1,S2方向に張力を与え、物体1の部位1mの撓み変形を抑制できる。この場合、間隔E1,E2を目標値に維持できる。なお、単位時間あたりについて、第1吹出口41から吹き出される第1反応ガスの流量と、第2吹出口42から吹き出される第1反応ガスの流量とを同等にすれば、物体1のカーボンナノチューブ形成面11,12に差圧が作用することが抑制される。ひいては、差圧により物体1の部位1mが物体1の厚み方向に変位することが抑制される。この場合、カーボンナノチューブ101の性状の安定化に貢献できる。同様に第2カーボンナノチューブ102の性状の安定化に貢献できる。
(製造形態6)
図11は製造形態6を示す。本製造形態は前記した製造形態1,2と基本的には同様の構成、同様の作用効果を示す。図11に示すように、第1対面壁31および第1ガス供給室51は、板状の物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11の面方向に沿って二次元的に横方向に沿って延設されている。横方向に延びる第1対面壁31を利用して形成されている第1ガス供給室51は、板状の物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11の面方向に沿って二次元的に横方向に沿って延設されている。このような第1ガス供給室51は、第1カーボンナノチューブ形成面11に対向する偏平な箱状通路とされている。第1吹出口41は、第1対面壁31のほぼ全域に散点状にほぼ均等間隔で形成されている。第1ガス供給室51に供給された第1反応ガスは、複数の第1吹出口41から下方向に沿って物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11にほぼ垂直に衝突するように吹き出される。第2ガス供給室52は形成されていないため、物体1のうち主として第1カーボンナノチューブ形成面11にカーボンナノチューブが形成される。すなわち、反応ガスを第1ガス供給室51に供給することにより、反応室30内の物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11が延設する面方向に対して交差する方向(第1カーボンナノチューブ形成面11に対してほぼ垂直方向)に沿って、第1ガス供給室51の反応ガスを第1吹出口41から物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11に向けて衝突させるように吹き出す。これにより物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11にカーボンナノチューブを形成する。
本製造形態においても、反応ガスの吹き出しの際に、各第1吹出口41から物体1の同一の第1カーボンナノチューブ形成面11までの最短距離L1を100として相対表示するとき、各第1吹出口41にわたり、90〜110の範囲内(特に95〜105の範囲内、具体的に100)に設定されている。よって、各第1吹出口41について、各第1吹出口41から物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11までの最短距離Lが均衡化されている。従って、第1カーボンナノチューブ形成面11に形成される第1カーボンナノチューブ101の全体のばらつき低減に貢献できる。なお、図11から理解できるように、物体1のうち第1カーボンナノチューブ形成面11と反対側の表面12xには、反応ガスが直接的には吹き付けられない。このため、反応ガスの供給が制約され、表面12xにカーボンナノチューブは生成されるものの、その生成は制約される。
(製造形態7)
図12は製造形態7を示す。本製造形態は前記した製造形態1,2と基本的には同様の構成、同様の作用効果を示す。図12に示すように、第1反応ガスの吹き出しの際に、各第1吹出口41から物体1の同一の第1カーボンナノチューブ形成面11までの最短距離L1とする。最短距離L1を100として相対表示するとき、各第1吹出口41にわたり、90〜110の範囲内(特に95〜105の範囲内,100)に設定されている。このため各第1吹出口41から物体1の第1カーボンナノチューブ形成面11までの最短距離L1が均衡化されている。この場合、第1カーボンナノチューブ形成面11において形成される第1カーボンナノチューブ101の全体のばらつきが抑制される。同様に、第2反応ガスの吹き出しの際に、各第2吹出口42から物体1の同一の第2カーボンナノチューブ形成面12までの最短距離L2とする。最短距離L2を100として相対表示するとき、各第2吹出口42にわたり75〜125の範囲内に設定されていることが好ましい。具体的には、各第2吹出口42にわたり、90〜110の範囲内(特に95〜105の範囲内)に設定されている。このため各第2吹出口42から物体1の第2カーボンナノチューブ形成面12までの最短距離L2が均衡化されている。この場合、第2カーボンナノチューブ形成面12において形成される第2カーボンナノチューブ102の全体のばらつきが抑制される。
本製造形態によれば、図12に示すように、最短距離L1<最短距離L2とされている。従って、間隔E1<間隔E2とされている。第1カーボンナノチューブ形成面11に形成される第1カーボンナノチューブ101と、第2カーボンナノチューブ形成面12に形成される第2カーボンナノチューブ102との性状を変えるのに貢献できる。なお最短距離L1>最短距離L2としても良い。
(その他)本発明は上記し且つ図面に示した製造形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。本明細書の記載から次の技術的思想が把握できる。
[付記項1](i)カーボンナノチューブを形成するためのカーボンナノチューブ形成面をもつ物体を用意すると共に、前記物体を収容するための反応室と、前記反応室に収容される前記物体の前記カーボンナノチューブ形成面に間隔を隔てて対面しつつ前記カーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に沿って延設されたガス供給室と、前記ガス供給室と前記反応室とを連通させると共に前記ガス供給室の反応ガスを前記反応室に吹き出す複数の吹出口とを有するガス通路形成部材と、前記物体の前記カーボンナノチューブ形成面、前記ガス通路形成部材、前記反応ガスのうちの少なくとも一つをカーボンナノチューブ形成温度に加熱させる加熱源とを用意する準備工程と、(ii)前記物体の前記カーボンナノチューブ形成面、前記ガス通路形成部材、前記反応ガスのうちの少なくとも一つをカーボンナノチューブ形成温度に加熱させた状態で、前記反応ガスを前記ガス供給室に供給することにより、前記反応室内の前記物体の前記カーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に対して交差する方向に沿って、前記ガス供給室の前記反応ガスを前記吹出口から前記物体の前記カーボンナノチューブ形成面に向けて吹き出し、前記物体の前記カーボンナノチューブ形成面に前記カーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブ形成工程とを実施するカーボンナノチューブ製造方法。
[付記項2]
付記項1において、前記反応ガスの吹き出しの際に、各前記吹出口から前記物体の同一の前記カーボンナノチューブ形成面までの最短距離Lを100として相対表示するとき、各前記吹出口にわたり75〜125の範囲内に設定され、各前記吹出口から前記物体の前記カーボンナノチューブ形成面までの最短距離Lが各前記吹出口について均衡化されていることを特徴とするカーボンナノチューブ製造方法。
[付記項3]付記求項1または2において、前記物体の前記カーボンナノチューブ形成面は、第1カーボンナノチューブ形成面と第2カーボンナノチューブ形成面とを有しており、前記第1カーボンナノチューブ形成面に前記カーボンナノチューブを形成する第1操作と、前記第2カーボンナノチューブ形成面に前記カーボンナノチューブを形成する第2操作とを独立に制御するカーボンナノチューブ製造方法。
[付記項4]カーボンナノチューブを形成するためのカーボンナノチューブ形成面をもつ物体にカーボンナノチューブを製造するカーボンナノチューブ製造装置であって、(i)装置本体と、(ii)前記装置本体に設けられ、前記物体の前記カーボンナノチューブ形成面に間隔を隔てて対面しつつ前記物体の前記カーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に沿って延設された対面壁と、前記対面壁にこれを貫通するように形成された複数の吹出口と、前記対面壁を用いて前記物体の前記カーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に沿って延設され且つ前記吹出口に連通するガス供給室と、前記反応室に連通するガス排出通路とを有するガス通路形成部材と、(iii)前記装置本体に設けられ、前記物体の前記カーボンナノチューブ形成面、前記ガス通路形成部材、前記反応ガスのうちの少なくとも一つをカーボンナノチューブ形成温度に加熱させる加熱源とを具備するカーボンナノチューブ製造装置。
[付記項5]付記項4において、各前記吹出口の中心線から前記物体に向けて延びる延長線は、前記物体の前記カーボンナノチューブ形成面が延設する面方向に対して所定角度θ(θ=70〜110°)以内で交差するように設定されているカーボンナノチューブ製造装置。
[付記項6]付記項4または5において、前記物体の前記カーボンナノチューブ形成面は、互いに異なる位置に設けられた第1カーボンナノチューブ形成面と第2カーボンナノチューブ形成面とを有しており、前記対面壁は、前記物体の前記第1カーボンナノチューブ形成面に第1間隔を隔てて対面する第1対面壁と、前記物体の前記第2カーボンナノチューブ形成面に第2間隔を隔てて対面する第2対面壁とを有しており、前記吹出口は、前記第1対面壁に形成された第1吹出口と、前記第2対面壁に形成された第2吹出口とを有しており、
前記ガス供給室は、第1ガス供給通路に繋がると共に前記第1吹出口に連通する第1ガス供給室と、第2ガス供給通路に繋がると共に前記第2吹出口に連通する第2ガス供給室とを有しており、
前記加熱源は、前記第1カーボンナノチューブ形成面に前記カーボンナノチューブを形成する第1反応ガス、前記物体の前記第1カーボンナノチューブ形成面、前記第1ガス供給室のうちの少なくとも一つを第1カーボンナノチューブ形成温度に加熱させる第1加熱源と、前記第2カーボンナノチューブ形成面にカーボンナノチューブを形成する第2反応ガス、前記物体の第2カーボンナノチューブ形成面、前記第2ガス供給室のうちの少なくとも一つを第2カーボンナノチューブ形成温度に加熱させる第2加熱源とを具備するカーボンナノチューブ製造装置。
[付記項7]付記項4〜6のうちの一項において、前記ガス通路形成部材の前記反応室の出口は、前記物体の側端面に対面する位置に配置されているカーボンナノチューブ製造装置。