JP5623878B2 - 原盤製造方法、記録媒体製造方法、プログラム、記録媒体 - Google Patents
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Description
これらのBD、DVD、CDの各範疇では、再生専用型の光ディスクとして、BD−ROM(Blu-ray Disc- Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc - Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disc - Read Only Memory)がある。
このように再生専用ディスクは、同一タイトル(同一のコンテンツのディスク)として、全て同じデータが記録されたものが大量生産される。
代表的なものとしてBCA(Burst Cutting Area)を用いる手法がある。
例えばBDやDVD等の光ディスクでは、ディスク内周側の所定領域に、バーコード状の記録領域としてBCAを設けている。
このBCAは、反射率の異なる領域として放射状のパターンが形成されることで、トラッキングフリーで情報を読み出せる領域とされる。そして特に、大量生産される光ディスクに、ディスク固有の情報、例えばシリアルナンバ等の情報を付加できる領域として用いられている。
即ちBCAは、光ディスクがその製造工程により完成した後、信号領域のさらなる内周(例えば半径21〜22mmの領域)に、ディスク一枚ごとにシリアルナンバーやディスクインフォメーションなどを、BCA記録装置によってオフラインで書き込み、一枚ごとの管理ができるようにしている。
ここで「グループ」というのは、或る程度まとまった数のディスク群のことをいう。例えば販売仕向地別のグループ、販売者(ディスク製造工場からみれば出荷先)毎のグループ、製造ライン毎のグループ、用途別(レンタル用・販売用等)のグループなどである。
すると結局、同じタイトルのディスクでありながら、グループ毎のディスクを製造することは、異なるタイトルの光ディスクを製造するのと同等の手間がかかることとなり、製造効率は悪い。
また、BCAには対応できない再生装置の存在もある。
この原盤製造方法では、オーサリング段階で作成されたマスターデータの段階において、ファイルシステムによってコンテンツデータと被差し替えデータとが管理されるデータ構造とされていることで、原盤露光の段階でその被差し替えデータを差し替えデータに差し替えることが可能となる。つまりオーサリングのやり直しをせずに、一部のデータが異なる再生専用の記録媒体のための原盤を製造できる。
この記録媒体製造方法では、オーサリング段階で作成されたマスターデータでは、ファイルシステムによってコンテンツデータと被差し替えデータとが管理されるデータ構造とされている。そこでグループ毎の差し替えデータを用意し、各グループの記録媒体についての原盤露光の段階で、そのマスターデータの被差し替えデータを、該当するグループの差し替えデータに差し替えることができる。つまり各グループの記録媒体の製造毎にオーサリング段階からやり直さなくともよい。
このプログラムにより、露光工程前の前処理工程(プリマスタリング)においてグループ単位のデータなどである、差し替えデータへの差し替えの用意が可能となる。
このプログラムにより露光装置での露光段階で、被差し替えデータを差し替えデータに差し替えることが可能となる。
この記録媒体では、例えばグループ単位の固有情報が、差し替えデータとして付加されたものであり、大量生産品として同一のタイトルの記録媒体であっても、グループ毎の情報が通常のデータで付加されているものとできる。つまりグループ毎の情報が、コンテンツデータと同様に、ファイルシステムに基づいて読み出せるデータとして記録されている。
これによって、グループ毎に異なる情報を記録した同一タイトルの記録媒体の製造効率を大きく向上させることができる。
本発明のプログラムによれば、マスターデータにおける被差し替えデータを差し替えデータに差し替える処理を行うプリマスタリング装置や露光装置を実現できる。
また本発明の記録媒体によれば、BCA等の特殊な態様ではなく、ファイルシステムで管理される通常の再生専用データでグループ固有情報を記録できる。従って再生互換性、汎用性のあるグループ固有情報を持った再生専用の記録媒体を提供できる。
<1.製造工程及びデータ差し替えの概要>
<2.プリマスタリング装置及び露光装置>
<3.ディスク製造工程>
<4.プリマスタリング及び露光処理の第1例>
<5.プリマスタリング及び露光処理の第2例>
<6.差し替えデータを記録するフォルダ・ファイル>
<7.プログラム>
実施の形態では、記録媒体として再生専用型の光ディスク、特にはBD−ROM(ブルーレイディスク−ROM)を例に挙げて説明する。
BD(ブルーレイディスク)について簡単に説明しておく。
BDは、ディスクサイズとしては、直径が120mm、ディスク厚は1.2mmとなる。即ちこれらの点では外形的に見ればCD方式のディスクや、DVD方式のディスクと同様となる。
そして記録/再生のためのレーザとして、いわゆる青色レーザ(例えば波長λ=405nm)が用いられ、また光学系が高NA(例えばNA=0.85)とされる。さらには狭トラックピッチ(例えばトラックピッチ=0.32μm)、高線密度(例えば記録線密度0.112μm/bit)を実現する。これらにより、直径12cmのディスクにおいて、ユーザーデータ容量として1層で25GB(Giga Byte)程度を実現している。
また更なる高密度記録により、27GB程度の容量も可能とされる。
また、記録層が複数層とされたいわゆるマルチレイヤーディスクも開発されており、マルチレイヤーディスクの場合、ユーザーデータ容量は、ほぼ層数倍となる。
この撮影・編集等で得られたデータは、制作するコンテンツの素材データ(映像素材、音声素材、字幕データ等)として格納される(S2)。
オーサリングスタジオでは、オーサリング処理のためのプログラムをインストールしたパーソナルコンピュータや所要のハードウエアを用いて、各種素材データを利用したコンテンツ制作を行う。
映像素材、音声素材はビデオエンコード、オーディオエンコードの各処理により、それぞれ所定の形式に圧縮符号化される。また字幕データ等から、メニューデータ、字幕データ等が作成される(S3)。次にコンテンツの構成としてのシナリオやメニュー作成が行われる(S4)。また各種データ編集が行われる(S5)。
コンテンツデータの生成としては、符号化された映像データや音声データ、メニュ−などを多重化する。この場合、例えばハードディスク内等に格納された画像、音声、字幕などの符号化された素材データをインターリーブし、各種フォーマットファイルと合わせて多重化されたデータを作成する多重化処理が行われる。最終的に作成された多重化データがコンテンツデータとなる。
このようにコンテンツデータを生成するとともに、コンテンツデータ及びその他の各種データを管理するファイルシステムを形成して、ディスクに記録するデータ群を用意する。
最終的にファイルシステムで管理されるコンテンツデータ等を備えたデータ構造のマスターデータ(ディスク製造用のカッティングマスタ)が形成される(S7)。
カッティングマスタは、例えばパーソナルコンピュータ内のハードディスク等に格納される。
そのカッティングマスタは、ディスク製造のために工場に送られることになる。
なお、以下では区別のため、プリマスタリングで処理する段階のマスターデータを「カッティングマスタ」、プリマスタリング処理されたマスターデータを「マスタリングデータ」と呼ぶ。
まず露光として、ディスク原盤に対して、マスタリングデータを変調した信号に基づいたレーザ照射を行う。そして現像処理で、露光部分と非露光部分が凹凸パターン(ピット列)とされたディスク原盤を完成させる。その後、ディスク原盤の凹凸パターンが転写されたスタンパを作成する。
ここでいう「グループ」とは、或る程度まとまった数のディスク群であり、先に述べたように、例えば販売仕向地別のグループ、販売者毎のグループ、製造ライン毎のグループ、用途別のグループなどである。
例えば製造した光ディスクを、複数の販売者に納品する場合に、各販売者のそれぞれに納品する光ディスクは、同じコンテンツデータを収録した光ディスクでありながら、各販売者毎に固有の情報が付加されているものとなるようにする。
図2(a)に示すように、カッティングマスタは共通コンテンツデータと、差し替えエリアがファイルシステムによって管理されているデータ構造を備える。
「共通コンテンツ」とは、グループの別に限らず同一の内容のコンテンツデータという意味である。
「差し替えエリア」とは、カッティングマスタ上で被差し替えデータが配されている部分を示している。必ずしも物理的に連続した領域でなくても良いが、あくまで被差し替えデータが記録されているとしてファイルシステムで管理されているデータ位置を示すものである。
上述のオーサリング工程で製作されるカッティングマスタは、このようなデータ構造のデータとされる。従来のカッティングマスタでは、差し替えエリアが存在しないが、本実施の形態の場合、差し替えエリアとして被差し替えデータが配置されたデータ位置が存在し、かつ、そのデータ位置が、ファイルシステムによって管理される。なお、被差し替えデータとは、具体的にはダミーデータなどであればよい。
グループデータGPDとしては、テキストデータ、グループID等のコードデータ、制御データ、画像データその他、グループデータを付加する目的に応じて各種のデータが考えられる。
そのスタンパを用いて大量生産された多数の光ディスクは、図2(c)のグループGP1の光ディスクとなる。これは、共通コンテンツとグループデータGPD1がファイルシステムによって管理されたデータ構造を有するものとなっている。つまり通常に再生装置に装填した際には、コンテンツデータとグループデータGPD1の双方が、ファイルシステムに基づいて読み出せる状態である。
そのスタンパを用いて大量生産された多数の光ディスクは、図2(d)のグループGP2の光ディスクとなる。つまり共通コンテンツとグループデータGPD2がファイルシステムによって管理されたデータ構造を有し、再生装置に装填した際には、コンテンツデータとグループデータGPD2の双方がファイルシステムに基づいて読み出せる。
そのスタンパを用いて大量生産された多数の光ディスクは、図2(e)のグループGP3の光ディスクとなる。つまり共通コンテンツとグループデータGPD3がファイルシステムによって管理されたデータ構造を有し、再生装置に装填した際には、コンテンツデータとグループデータGPD3の双方がファイルシステムに基づいて読み出せる。
ここでファイルシステムを持つBDやDVD等の光ディスクでは、差し替えエリアを設定してファイルシステムの管理下に置く。すると、カッティング(露光)を行う都度その差し替えエリアのデータ内容を入れ替えることが可能となる。これにより、マスタリング毎に違う記録内容のディスク原盤、つまりグループ毎に異なるグループデータGPDを記録したディスク原盤を容易に作成できる。しかも、ファイルシステムで管理される通常のデータであるため、製造される光ディスクは、物理的・論理的にも通常の光ディスクと全く同じであるので、再生互換性等の心配がない。
グループデータGPDはファイルデータとすることで、光ディスクから容易に読み出すことが可能である。
実施の形態の製造方法に用いられるプリマスタリング装置及び露光装置(カッティング装置)について説明する。
図3は、プリマスタリング装置10と露光装置20を示している。
プリマスタリング装置10には、オーサリングで作成されたカッティングマスタが供給される。
プリマスタリング装置10は、カッティングマスタに対して所定の暗号化処理や署名データ付加等を行って露光用のマスターデータ(マスタリングデータMSD)を生成し、露光装置20に供給する。また、グループデータGPD(GPD1,GPD2,GPD3・・・)を生成し、そのグループデータGPDや、差し替えエリアを示すエリア情報ARIFO等を露光装置20に供給する。
第2例ではプリマスタリング装置10側でデータ差し替えを行う例であるため、既に差し替えがなされたマスタリングデータMSDを露光装置20に供給することになる。
プリマスタリング装置10は、例えば専用のプリマスタリング処理演算を行う装置だけでなく、汎用のコンピュータ装置などでも実現可能である。
プリマスタリング装置10は、記憶部31、演算部32、データ入出力部33、ユーザインターフェース部34を備える。もちろんこれ以外の構成要素があってもよい。
またプリマスタリング装置で処理されたマスタリングデータMSDは、データ入出力部33から露光装置20に送信される。
演算部32は、カッティングマスタに対するプリマスタリング処理として、暗号化や署名データの設定等の処理を行う。さらに本例の場合、演算部32は、カッティングマスタのファイルシステムの解析、差し替えエリアの確認、グループデータGPDの設定などの処理も行う。
ユーザインターフェース部34は、プリマスタリング処理のオペレータとのインターフェースであり、キーボード、マウス等の入力装置やモニタディスプレイ等の出力装置を備える。
露光装置20は、コントローラ40、レーザドライバ41、レーザ駆動パルス発生部42、変調部43、スピンドルモータ44、スライダ45、露光ヘッド46、スピンドルサーボ/ドライバ47、スライドドライバ48、センサ49、ターンテーブル50を備える。また露光装置20は、記憶部51、書込/読出制御部52を備える。
また、後述する第1例としての処理を採用する場合は、記憶部51には、プリマスタリング装置10から供給されたグループデータGPDを格納するグループデータテーブル記憶部51aとしての領域も用意される。
また、後述する第1例としての処理を採用する場合は、プリマスタリング装置10からのエリア情報ARIFOはコントローラ40に供給される。コントローラ40は、エリア情報ARIFOを受け取ることにより、マスタリングデータとしてのデータストリーム内で、被差し替えデータが配置されている領域(データ位置)を把握することができる。
なお、後述する第2例としての処理を採用する場合は、記憶部51では、マスタリングデータ記憶部51bでマスタリングデータMSDを記憶すればよく、グループデータテーブル記憶部51aとしての領域は必要ない。但しその場合、マスタリングデータ記憶部51bでは、グループ毎に異なる複数のマスタリングデータを記憶する場合がある。
例えば変調部43は、光ディスクに記録するデータ、即ちコンテンツデータ、ファイルシステム自体のデータ、グループデータGPD等を含むデータストリームについてのRLL(1−7)変調信号を出力する。
その変調信号はレーザ駆動パルス発生部42でレーザ駆動パルスに変換される。
レーザドライバ41は、レーザ駆動パルスに基づいて、露光ヘッド46内の露光用のレーザ光源に駆動信号を供給する。
これにより露光用のレーザ光源からの記録レーザ光は、ピット列に応じた変調光となり、ディスク原盤100にはピット列に相当する露光パターンが形成されることになる。
スピンドルモータ44は、スピンドルサーボ/ドライバ47によって回転速度が制御されながら回転駆動される。これによってディスク原盤100は例えば一定線速度又は一定角速度で回転される。
スライダ45は、スライドドライバ48によって駆動され、ディスク原盤100が積載されたターンテーブル50及びスピンドル機構を含む基台全体を移動させる。即ち、スピンドルモータ44で回転されている状態のディスク原盤100は、スライダ45で半径方向に移動されながら露光ヘッド46からのレーザ光によって露光されていくことで、露光されるピット列によるトラックがスパイラル状に形成されていくことになる。
スライダ45による移動位置、即ちディスク原盤100の露光位置(ディスク半径位置:スライダ半径位置)はセンサ49によって検出される。センサ49による位置検出情報はコントローラ40に供給される。
図1で説明したディスク製造工場で実行されるディスク製造工程、即ちプリマスタリング(S8)、マスタリング(S9)、リプリケーション(S10)を図6に詳しく示し、図7,図8を参照しながら説明していく。
例えば図7(a)に示すように、無機レジスト等のレジストが塗布されたディスク原盤100に対して、露光ヘッド46からマスタリングデータMSDに応じて変調されたレーザ光を照射し、ピットパターンに応じた露光を行う。これにより図7(b)に示すように、露光部分Rが形成される。
なお露光処理の詳細についても第1例、第2例として後述する。
例えば図7(b)に示した露光されたディスク原盤100に対して現像を行い、図7(c)のように露光部分が凹状となったディスク原盤100を作製する。凹部が完成後の光ディスクにおけるピットに相当することとなる。
次にステップF103でスタンパを作成する。
例えばディスク原盤100を用いたニッケル電鋳処理により、ディスク原盤100の凹凸が転写されたスタンパ101を作製する(図7(d))。スタンパ101の凹凸パターンではピット相当部分が凸形状となっている。
まずステップF104でスタンパ101を用いたディスク基板製造を行う。
図8(a)のようにスタンパ101を基板成形用の金型に配置させる。この金型は、下キャビティ120と上キャビティ121から成り、下キャビティ120に、ピット列を転写するためのスタンパ101が配置される。
即ちポリカーボネート樹脂による基板1は、その中心はセンターホール2とされるとともに、情報読出面側は、金型内のスタンパ101に形成された凹凸パターン101aが転写されたピットパターン3となる。
まずスパッタにより、スタンパ101から転写されたピットパターン上に、反射膜4の成膜が行われる。即ち図8(c)に示すように、ピットパターン3が形成された信号読出面側に例えばAg合金の反射膜4を形成する。
さらに、例えば紫外線硬化型樹脂のスピンコートにより、図8(d)のようにカバー層5を形成する。
なお、カバー層5の表面にさらにハードコート処理を施す場合もある。
また、ここでは記録層が1つの1層ディスクの場合を示しているが、2層以上の多層の場合は、さらに各記録層の形成工程が加わる。
以上の工程で、光ディスクが形成される。特にステップF104以降は、大量生産工程となる。
本実施の形態の場合、ステップF100のプリマスタリング処理、及びステップF101の露光処理が、以下で説明する第1例又は第2例のようにされることで、上記のように製造された再生専用型の光ディスクには、図2(c)(d)(e)に示したように、グループデータGPDが記録されている状態となっている。
即ち上記の工程で製造された光ディスクは、ファイルシステムにより、再生専用のコンテンツデータと、特定のフォルダ内又はファイル内のデータ位置に配置される被差し替えデータとが管理されるデータ構造を有し、被差し替えデータが再生専用の差し替えデータ(グループデータGPD)に差し替えられて記録されている。
図9,図10でプリマスタリング処理及び露光処理の第1例を説明する。
第1例の場合、図6のステップF100のプリマスタリング処理として図9の処理が行われる。この図9はプリマスタリング装置10の演算部32がプログラムに基づいて実行する処理となる。
そして演算部32はステップF202でマスタリングデータMSDを生成する。この場合、カッティングマスタの所定のデータの暗号化処理や署名データの付加などの処理を行ってマスタリングデータMSDを生成する。マスタリングデータMSDは記憶部31に格納する。
演算部32は、差し替えエリアのデータ位置や差し替えデータサイズを確認することになる。
次に演算部32は、ステップF204でグループデータテーブルを生成して用意する。
グループデータテーブルは、各グループGP1,GP2・・・毎に、グループデータGPD1,GPD2・・・を設定したテーブルである。このようなグループデータテーブルを用意し、記憶部51に格納する。
具体的な各グループデータGPDの内容は、オペレータの入力に基づいて生成しても良いし、予め各種のグループデータ内容を記憶部51等に格納しておき、今回製造する光ディスクにおいて必要なグループに対応する各グループデータGPDを、オペレータの入力等に基づいて選択するものでもよい。
図5で説明したように、マスタリングデータMSD及びグループデータテーブルは、露光装置20において記憶部51(マスタリングデータ記憶部51b、グループデータテーブル記憶部51a)に格納される。またエリア情報ARIFOはコントローラ40に供給される。
まずステップF251でコントローラ40はグループ設定を行う。これは、これから実行するマスタリングで、どのグループのディスク原盤を作成するかを設定する処理である。実際には、オペレータの入力に応じてグループ選択を行えばよい。オペレータの入力は露光装置20において図5に示していないユーザインターフェース部から行う。或いはプリマスタリング装置10と露光装置20がシステム接続されていれば、プリマスタリング装置10のユーザインターフェース部34から露光装置20への指示入力を行うことを可能とすることもできる。
コントローラ40は書込/読出制御部52にマスタリングデータMSDの読み出しを指示し、さらに変調部41、レーザ駆動パルス発生部42、レーザドライバ41、露光ヘッド46の動作を開始させる。またスピンドルサーボ/ドライバ47、スライドドライバ48に指示し、ディスク原盤の回転駆動を実行させる。
これにより、マスタリングデータMSDに基づいたディスク原盤100に対する露光が開始される。
結果としてこのステップF254の時点から、グループデータGPDが変調され、変調信号に基づいたレーザ露光が行われることとなる。
なお、この図10の例は、差し替えエリアがマスタリングデータMSDのストリーム上で連続した1つのデータ位置範囲の場合と仮定している。もし、差し替えエリアが、ストリーム上で離れた位置に複数存在する場合は、ステップF253〜F256の処理が複数開行われるようにすればよい。
その後、図6のステップF104〜F106で光ディスクが製造されるが、当然その光ディスクは、グループデータGPD1が記録された図2(c)のようなデータ構造の光ディスクとなる。即ちファイルシステムにより、再生専用のコンテンツデータと、グループデータGPD1が管理される光ディスクである。
例えばグループGP1の光ディスクを生産する場合、上記図10のステップF251でグループデータGPD1を選択して1つのディスク原盤100を作成する。すると、そのディスク原盤100を元にして、グループGP1の光ディスクを大量生産できる。
またグループGP2の光ディスクを生産する場合、上記図10のステップF251でグループデータGPD2を選択して1つのディスク原盤100を作成する。すると、そのディスク原盤100を元にして、グループGP2の光ディスクを大量生産できる。
このように、各グループとしてのディスク製造工程は、グループ毎にマスタリング以降を行えばよい。従って、オーサリングによるマスターデータ生成や、プリマスタリング処理をやり直す必要はなく、多数のグループの光ディスクを製造する場合の製造効率は著しく向上する。
即ち、グループ毎に異なる情報を記録した同一タイトルの記録媒体の製造効率を大きく向上させることができる。
図11,図12でプリマスタリング処理及び露光処理の第2例を説明する。
第2例の場合、図6のステップF100のプリマスタリング処理として図11の処理が行われる。この図11はプリマスタリング装置10の演算部32がプログラムに基づいて実行する処理となる。
そして演算部32はステップF302で、ファイルシステムから差し替えエリアを確認する。即ち差し替えエリアのデータ位置や差し替えデータサイズを確認する。
まずステップF304で演算部32は変数n=1とし、ステップF305でグループGP(n)用のマスタリングデータMSDを生成する。従ってまずグループGP1用のマスタリングデータMSD1を生成することとなる。このマスタリングデータMSD1は、カッティングマスタの所定のデータの暗号化処理や署名データの付加などの処理を行うとともに、ファイルシステムで管理されている差し替えエリアのデータをグループデータGPD1に置き換えたものとされる。
グループGP1用のマスタリングデータMSD1を生成したら、演算部32はステップF306で、そのマスタリングデータMSD1を記憶部31に格納する。
従って、以上の処理で引き続きグループGP2,GP3・・・用のマスタリングデータMSD2,MSD3・・・が生成され、記憶部31に格納されていくこととなる。
ステップF307でn≧グループ数となったら、全てのグループに対応するマスタリングデータMSD1〜MSD(n)が生成されたとしてプリマスタリング処理を終了する。
まずステップF351でコントローラ40はグループ設定を行う。即ち、これから実行するマスタリングで、どのグループのディスク原盤か作成するかを設定する。
露光装置20はステップF352で、送信されてきたマスタリングデータMSDを記憶部51マスタリングデータ記憶部51bに記憶する。
例えばグループGP1用のディスク原盤100を作成する場合、コントローラ40はプリマスタリング装置10にグループGP1についてのマスタリングデータMSD1を要求する。そしてそれに応じて転送されてきたマスタリングデータMSD1を記憶部51に格納することとなる。
なお、この第2例としての処理の場合、プリマスタリング装置10から露光装置20に対してグループデータGPDや差し替えエリアのエリア情報ARIFO等の供給は不要である。露光装置20に供給されるマスタリングデータMSDは、既に被差し替えデータ(例えばダミーデータ)がグループデータGPDに差し替えられたものだからである。
コントローラ40は書込/読出制御部52にマスタリングデータMSDの読み出しを指示し、さらに変調部41、レーザ駆動パルス発生部42、レーザドライバ41、露光ヘッド46の動作を開始させる。またスピンドルサーボ/ドライバ47、スライドドライバ48に指示し、ディスク原盤の回転駆動を実行させる。
これにより、マスタリングデータMSDに基づいたディスク原盤100に対する露光が開始される。
その後、図6のステップF104〜F106で光ディスクが製造されるが、当然その光ディスクは、グループデータGPDが記録された、例えば図2(c)のようなデータ構造の光ディスクとなる。即ちファイルシステムにより、再生専用のコンテンツデータと、グループデータGPDが管理される光ディスクである。
各グループとしてのディスク製造工程は、グループ毎にマスタリング以降を行えばよいため、オーサリングによるマスターデータ生成や、プリマスタリング処理をやり直す必要はなく、多数のグループの光ディスクを製造する場合の製造効率は著しく向上する。
即ち、グループ毎に異なる情報を記録した同一タイトルの記録媒体の製造効率を大きく向上させることができる。
但し、その一方で、露光装置20側では、通常に受け取ったマスタリングデータMSDに基づく露光を行えば良いため、露光装置20側の処理負担は発生しない。換言すれば従前の露光装置をそのまま用いて露光工程を実行できるという設備負担上の利点が生ずる。
ここで、図2で説明した差し替えエリアの具体例を例示しておく。
カッティングマスタからマスタリングデータMSD、さらには最終的に生産される光ディスクに引き継がれるデータ構造の例を図13に示す。図13はBD方式に準拠したディレクトリ構造である。
BDMVフォルダは、ブルーレイディスクにおけるコンテンツやその管理情報、付加情報を配置するフォルダである。図示のように、BDMVフォルダ内には、“index.bdmv”、“MovieObject.bdmv”、“PLAYLIST”、“CLIPINF”、“STREAM”、“AUXDATA”、“META”、“BDJO”、“JAR”、“BACKUP”という各フォルダ又はファイルが配置される。
例えば“PLAYLIST”内には“00000.mpls”“00001.mpls”“00002.mpls”等のプレイリストファイルが配置される。これは、コンテンツデータの再生を指定するための情報が記録されたファイルである。
“CLIPINF”内には“01000.clpi”“02000.clpi”“03000.clpi”等のクリップ情報ファイルが配置される。これは、ストリームファイルを管理するための管理情報が記録されたファイルである。
“STREAM”内には“01000.m2ts”“02000.m2ts”“03000.m2ts”等のストリームファイルが配置される。これは、ストリームデータが記録されたファイルである。
即ち、オーサリングで作成するカッティングマスタの段階では、このGPINFOフォルダ90内に、GPINFOファイル91を設け、例えばダミーデータを配置しておく。
そして最終生産品である光ディスクは、この図13のディレクトリ構造をファイルシステムにおいて管理している。従ってファイルシステムに基づいてGPINFOフォルダ90内のGPINFOファイル91として、グループデータGPDが読み出されることとなる。
この図14は、例えば上記図13のディレクトリ構造でBDMVフォルダ内に配置される“index.bdmv”ファイルの構造例を示している。
この“index.bdmv”ファイルは、タイプインジケータ、バージョンナンバ、インデックス情報等が記述される。
ここで、例えば128ビット(16バイト)の領域として“GPinfo”領域91を設定する。この16バイトの“GPinfo”領域91を図2(a)でいう差し替えエリアとする。
即ち、オーサリングで作成するカッティングマスタの段階では、この“index.bdmv”ファイル内の“GPinfo”領域91に、差し替えデータとして例えばダミーデータを配置しておく。そして上記第1例、第2例として示した露光の際には、この“GPinfo”領域91内のデータがグループデータGPDに置き換えられたものとされる。
最終生産品である光ディスクは、図13のディレクトリ構造をファイルシステムにおいて管理しているため、ファイルシステムに基づいて“index.bdmv”ファイルを読み出せば、“GPinfo”領域91に記録されたグループデータGPDが読み出されることとなる。
また、本発明はBD方式の光ディスク以外にも、DVD−ROM、CD−ROM等、ファイルシステムを持つ光ディスクに適用できる。従ってDVD方式でのディレクトリ構造におけるファイルやフォルダ内に差し替えエリアを設定することも当然考えられる。
また、本発明は光ディスクだけでなく、光カードなど他の種の記録媒体であってファイルシステムを持つデータ構造が採用された記録媒体にも適用できる。
実施の形態のプログラムは、プリマスタリング装置10や露光装置20の処理を実行させるプログラムである。
該プログラムは、ディスク原盤100の製造に用いるマスターデータとして、コンテンツデータと被差し替えデータとがファイルシステムによって管理されたデータ構造のマスターデータ(カッティングマスタ)について、ファイルシステムから被差し替えデータを確認するステップと、被差し替えデータに代える差し替えデータを用意するステップを情報処理装置(演算部32)に実行させる。
該プログラムは、被差し替えデータが含まれるマスターデータ(マスタリングデータMSD)と、差し替えデータ(グループデータGPD)とが供給されて、ディスク原盤100の露光を行う露光装置20の制御部(コントローラ40)の処理を実行させるプログラムである。そしてマスターデータを変調処理して得られる変調信号に基づいたレーザ光照射で露光を行うとともに、その変調処理に供するマスターデータにおける被差し替えデータを差し替えデータに差し替える処理を実行させる制御を、制御部に実行させる。
該プログラムは、ディスク原盤100の製造に用いるマスターデータとして、コンテンツデータと被差し替えデータとがファイルシステムによって管理されたデータ構造のマスターデータ(カッティングマスタ)について、ファイルシステムから被差し替えデータを確認するステップと、被差し替えデータに代える差し替えデータ(グループデータGPD)を用意するステップを情報処理装置(演算部32)に実行させる。さらに、被差し替えデータを差し替えデータに差し替えたマスターデータ(マスタリングデータMSD)を生成するステップを情報処理装置(演算部32)に実行させる。
あるいはまた、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magnet optical)ディスク、DVD、ブルーレイディスク、磁気ディスク、半導体メモリ、メモリカードなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、プログラムは、リムーバブル記録媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
Claims (11)
- 差し替えデータは、記録媒体をグループ単位で識別するための固有の情報として使用され、
コンテンツデータと被差し替えデータとがファイルシステムによって管理されたデータ構造のマスターデータについて、上記ファイルシステムから上記被差し替えデータを確認し、また上記差し替えデータを用意する前処理工程と、
上記被差し替えデータが上記差し替えデータに差し替えられたマスターデータに基づいて記録媒体原盤の露光を行う露光工程と、
上記露光が行われた記録媒体原盤に対して現像を行い露光に応じた凹凸パターンが形成された記録媒体原盤を形成する現像工程と、
を備えた原盤製造方法。 - 上記露光工程では、上記被差し替えデータが含まれるマスターデータと、上記差し替えデータとが供給され、上記マスターデータを変調処理して得られる変調信号に基づいたレーザ光照射で露光を行うとともに、上記変調処理に供するマスターデータにおける上記被差し替えデータを上記差し替えデータに差し替える処理が行われる請求項1に記載の原盤製造方法。
- 上記前処理工程では、上記被差し替えデータを上記差し替えデータに差し替えたマスターデータを生成し、
上記露光工程では、上記差し替えが行われたマスターデータを変調処理して得られる変調信号に基づいたレーザ照射で露光を行う請求項1に記載の原盤製造方法。 - 上記前処理工程に供するマスターデータを生成する工程として、上記コンテンツデータと上記被差し替えデータとがファイルシステムによって管理されたデータ構造のマスターデータを生成するオーサリング工程を、さらに備えた請求項1に記載の原盤製造方法。
- 上記オーサリング工程では、上記被差し替えデータが特定のフォルダ内又はファイル内に配置されるデータとして上記ファイルシステムに管理されるデータ構造のマスターデータを生成する請求項4に記載の原盤製造方法。
- 差し替えデータは、記録媒体をグループ単位で識別するための固有の情報として使用され、
コンテンツデータと被差し替えデータとがファイルシステムによって管理されたデータ構造のマスターデータについて、上記ファイルシステムから上記被差し替えデータを確認し、また製造される記録媒体のグループ単位で異なる複数の上記差し替えデータを用意する前処理工程と、
上記被差し替えデータが、製造する記録媒体のグループに応じて選択された上記差し替えデータに差し替えられたマスターデータに基づいて記録媒体原盤の露光を行う露光工程と、
上記露光が行われた記録媒体原盤に対して現像を行い露光に応じた凹凸パターンが形成された記録媒体原盤を形成する現像工程と、
上記現像工程で形成された記録媒体原盤を用いてスタンパを作成するスタンパ作成工程と、
上記スタンパを用いて記録媒体基板を作成し、該記録媒体基板上に記録層を含む層構造を形成することで記録媒体を作成する媒体作成工程と、
を備えた記録媒体製造方法。 - 差し替えデータは、記録媒体をグループ単位で識別するための固有の情報として使用され、
記録媒体原盤の製造に用いるマスターデータとして、コンテンツデータと被差し替えデータとがファイルシステムによって管理されたデータ構造のマスターデータについて、上記ファイルシステムから上記被差し替えデータを確認するステップと、
上記被差し替えデータに代える上記差し替えデータを用意するステップと、
を情報処理装置に実行させるプログラム。 - さらに、上記被差し替えデータを上記差し替えデータに差し替えたマスターデータを生成するステップを情報処理装置に実行させる請求項7に記載のプログラム。
- 差し替えデータは、記録媒体をグループ単位で識別するための固有の情報として使用され、
被差し替えデータが含まれるマスターデータと、上記差し替えデータとが供給されて、記録媒体原盤の露光を行う露光装置の制御部の処理を実行させるプログラムとして、
上記マスターデータを変調処理して得られる変調信号に基づいたレーザ光照射で露光を行うとともに、上記変調処理に供するマスターデータにおける上記被差し替えデータを上記差し替えデータに差し替える処理を実行させる制御を、上記制御部に実行させるプログラム。 - 差し替えデータは、記録媒体をグループ単位で識別するための固有の情報として使用され、
ファイルシステムにより管理されたデータ構造を有する記録媒体であって、
コンテンツデータと、特定のフォルダ内又はファイル内のデータ位置に配置された上記差し替えデータとが記録され、
上記差し替えデータは、上記データ構造における、当該記録媒体の製造時において被差し替え用データが配置された上記データ位置に記録される記録媒体。 - 上記差し替えデータは、製造される記録媒体のグループに応じて選択された固有の情報である請求項10に記載の記録媒体。
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