JP5622423B2 - 軸封装置 - Google Patents
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Description
一方、従来技術2の油潤滑システムにおける軸受にはころ軸受が採用されているので、ころがり軸受の摩擦抵抗は軽減できるものの、ころがり軸受のシールについて何らの対策も取られていないのでころがり軸受内に海水等が浸入したりする恐れがある。ころがり軸受内に海水等が浸入するところがり軸受が錆びてころが回転しなくなるという問題がある。また、ころがり軸受を潤滑する油をできるだけ海中に漏らさないようにしなければならない。これを考慮すると油潤滑システムにおいては、シール装置が不可欠である。
図6は、関連発明の軸封装置の全体構成を説明するための模式図である。
シールリング18は4つ設けられており、隣接するシールリング18相互間において、ライナ12まわりに、外側(海水側)から順に、一次環状室19、二次環状室20及び三次環状室21が形成されている。
一次環状室19には、発電装置本体内に設置された給気装置30の給気管31が接続されている。
給気装置30は、陸上に設置された給気源29と、この給気源29と一次環状室19との間に設けられた空気制御ユニット40とを有している。また、この空気制御ユニット40は、減圧弁41と流量調節弁42とを有している。
これら減圧弁41及び流量調節弁42を具備してなる空気制御ユニット40は、海水圧の変動時に、これに伴う空気供給量の変動は生じるものの、海水圧の変動に基づいた機械的作動は行わない無制御連動型となっている。
一方、二次環状室20内には、海水圧Paにリング締付け圧を加えた内圧に加え、油溜タンク32の高さに応じた潤滑油のヘッド圧が加算された圧力が作用する。
したがって、一次環状室19に供給された空気は、常に海水側へ吹き出る状態となる。
シールリング間の環状室に空気の供給ができない場合、シールリングにかかる負荷が大きくなり、シールリングの寿命が短くなるという問題がある。
また、油溜タンクに空気圧力を作用させることができなくなると、二次環状室内の油圧を海水圧の変動に対して追従させることができないため二次環状室内の油圧が海水圧より低くなったり、シールリングが損傷したりした場合、海水がころがり軸受の設置された室に浸入し、ころがり軸受を損傷させて潮流発電装置のタービン翼が回転できなくなるという問題が発生する。
関連発明に用いられている減圧弁41は、二次圧が設定値以上になると弁内部の二次側において空気を漏洩し、二次圧を開放するタイプのリリーフ型減圧弁と呼ばれるもので、空気の消費量が多いという問題があった。
また、本発明は、第二に、軸封装置にエアシール方式を採用する場合であっても、空気の消費量を必要最低限にした軸封装置を提供することを目的とする。
(1)第1の特徴において、複数のシールリング相互間に形成された環状室に、海中において環状室より高い位置に設置された油溜タンクに接続する給油管が接続され、油溜タンクは海水による圧力に応じて収縮するように形成されていることにより、加圧空気の供給ができない場合でも、環状室の圧力を海水圧力に追従させることができるため、シールリングの負荷を軽減できるとともに、ころがり軸受の設置された室内への海水の浸入を防止することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る軸封装置が装着される潮流発電装置の全体構成を示す斜視図である。
図2は、図1のタービン翼等から構成される潮流発電装置本体の断面図である。
図1に示す潮流発電装置本体5では、タービン翼4が上流側にのみ設けられているが、これと対象に下流側にも設け、上流側及び下流側のタービン翼4によりそれぞれ発電装置を駆動するようにしてもよい。
なお、タービン翼4が下流側にも設けられる場合は、回転軸6、ころがり軸受7、発電装置8及び軸封装置10も、上流側のこれらの部材と対称的に下流側延長位置に配置される。
また、発電装置8をケーシング9内に配置することなく、支持構造体2に設置することも可能であり、その場合、回転軸6の動力は、歯車機構及び伝達軸等を介して支持構造体2に設置される発電装置8に導かれる。
また、ころがり軸受7に対する潤滑油の供給は、支持構造体2の内部に配設される配管等を通して行うことができる。このように、ころがり軸受7が設けられるケーシング9内は大気に連通された空気室であり、ケーシング9内の圧力は大気圧であるから、仮に軸封装置が10が損傷された場合、ケーシング9内に海水が入りやすい圧力条件となっている。
軸封装置10は、図3に拡大して示されているように、ケーシング9のフランジ14にボルト等の固定手段により固定されたフランジリング15、複数の中間リング16、最外側のカバーリング17及び少なくとも4つのシールリング18から構成され、フランジリング15、中間リング16及びカバーリング17は図示しないボルトにより組み合わされており、これらのリング15、16、17の間にシールリング18が締付け、固定されている。シールリング18は、フッ素ラバーまたはニトリルラバー等からなり、ライナ12の動きに追従できるように、断面形状が“く”の字をしている。また、シールリング18に所定の圧力がかかるとこれを背面から支えるようにフランジリング15、中間リング16及びカバーリング17がバックアップし、シールリング18とライナ12との接触幅を常に一定に保持するようになっている。
本実施の形態1では、シールリング18は4つ設けられている。隣接するシールリング18相互間において、ライナ12まわりに、外側(海水側)から順に、一次環状室19、二次環状室20及び三次環状室21が形成されている。
なお、以下において、説明の便宜上、シールリング18のうち、最も外側寄りとされるものから内側へ向けて順に、「1番シール22」「2番シール23」「3番シール24」「4番シール25」というものとする。即ち、一次環状室19は1番シール22と2番シール23とで形成され、二次環状室20は2番シール23と3番シール24とで形成され、三次環状室21は3番シール24と4番シール25で形成されていることになる。
油溜タンク38は、海水が浸入しないように密閉された構造をしており、海水の圧力を外部から受けて収縮するように形成されている。油溜タンク38の構造としては、例えば、形状を直方体とし、その底面をステンレス製として剛性を持たせ、その他の面はゴム膜のような可撓性のある材料で形成したり、あるいは、直方体形状の底面および上面を剛性のあるものとし、側面を蛇腹状にして上下方向に収縮できるようにしたものの他、形状を球状とし、全体をゴムのような可撓性のある材料で形成すること等が挙げられる。
なお、潤滑油としては、万一、装置外に漏れることも考慮すると、生分解油を用いることが望ましい。
油溜タンク38の設置高さは、特に限定されないが、給油管33をできるだけ短くするには二次環状室20の上部近傍に設置するのがよい。
図4に示した本実施の形態1の軸封装置では、4つのシールリング22、23、24、25が配置されているが、これは、3番シールリング24が圧力差の大きい過酷な条件で作動しており、2番シールリング23については圧力差が小さいもののシールリングの背面側が水(海水)で潤滑状態が悪く更には海水中の漁網等の異物がシールリングに巻き込み損傷しやすい為に、それぞれの問題点を補う為に1番シールリング22及び4番シールリング25を設けている。すなわち、仮に、1番シールリング22及び4番シールリング25を設けない場合は、2番シールリング23の背面側が海水にさらされ潤滑状態も悪く、加えて、海水中の異物の巻き込みにより損傷する可能性があり、また、3番シールリング24は過大な圧力差に加え、背面側は空気にさらされることから潤滑状態が悪く、摺動面の温度が上がり損傷する可能性があるため、1番シールリング22及び4番シールリング25を設け、一次環状室19及び三次環状室21に潤滑油を予め封入するようにしたものである。1番シールリング22については、海水側にシールリングの正面側を向け海水をシールするのと同時に、海水中の異物から2番シールリング23を保護する役割も併せ持つ。このように、シールリングの数を増やすことはシール機能の点では望ましいが、設置スペース及びコスト等を考慮するとシールリングの数は少ない方が望ましい。本実施の形態において、1番シールリング22及び4番シールリング25は望ましいものではあるが必須というものではなく、1番シールリング22及び4番シールリング25を省略しても、実施の形態1に係る発明の目的が達成できることはいうまでもない。したがって、実施の形態1に係る発明における必要最低限のシールリングの個数としては、2つである。
図5は、本発明の実施の形態2に係る軸封装置の全体構成を説明するための模式図である。本発明の実施の形態2に係る軸封装置が装着される潮流発電装置は、実施の形態1における 図1、2及び3に示したものと同じであるので、その説明は省略する。
また、実施の形態1の符号と同じ符号は同じ部材を意味しているので、それらの説明も省略する。
給気装置30は、給気源としての高圧空気タンク26と、この高圧空気タンク26と一次環状室19との間に設けられた空気制御ユニット27とを有している。また、この空気制御ユニット27は、減圧弁28と流量調節弁42とを有している。高圧空気タンク26は、ケーシング9側の適宜位置に固定されている。
本発明において、ノンリリーフ型減圧弁を用いることのできる理由は以下のとおりである。
一般に減圧弁と呼ばれるものの基本動作は、二次ポートの下流側で圧力変動が生じた場合に、この変動する圧力(二次側圧力)を設定値に維持させようとするものである。 しかし、減圧弁の二次側ポートを大気へ解放させると仮定すると、減圧弁の設定がどのようになっていようとも、この減圧弁から排出された直後に二次側圧力は大気圧に等しくなる。
一方、本発明で用いられた減圧弁28は、その二次側ポートが給気管31を介して一次環状室19に解放されていることになるため、この減圧弁28の二次側圧力は、海水圧にシールリング22、23の締付け圧を加えた合計値に等しくなる。すなわち、この減圧弁28においては、二次側圧力(=一次環状室19の内圧)の上限を、最大吃水に伴う海水圧に合わせて設定するためだけのものであり、これを一度設定してしまえば、減圧弁28は海水圧が変動することを起因としては何ら制御を行う必要がない。
油溜タンク38は、海水が浸入しないように密閉された構造をしており、海水の圧力を外部から受けて収縮するように形成されている。
油溜タンク38はその設置深さに応じて海水から圧力を受けて収縮し、内部の油を押出すことから、油溜タンク38に空気を連続して供給しなくても、二次環状室20の油圧は海水圧が変動してもその圧力に追従するため、シールリングの負荷が軽減されるとともに、軸受室内への海水の浸入を防止できる。
なお、潤滑油が空気制御ユニット40側へ流れないように逆止弁37を給気管31の空気制御ユニット27近傍に設けておく。
今、例えば、高圧空気タンク26内の空気圧を3MPaとする。高圧空気タンク26と空気制御ユニット27を接続し、空気源の圧力を減圧するとともに空気の消費量を設定する。例えば、一次環状室19への供給圧力を0.5MPaで減圧し、空気消費量を100cc/minに設定する。
一次環状室19には、給気装置30により、空気制御ユニット27における減圧弁28の設定値及び流量調節弁42の設定値の範囲内において、海水圧Paにリング締付け圧を加えた内圧が保持されるように空気が供給されることになる。
関連発明の装置では、リリーフ型減圧弁を用いていることから空気消費量が多いが、本実施の形態ではノンリリーフ型減圧弁を採用しているため空気消費量はかなり小さくできる。
さらに、本実施の形態2の軸封装置においては、減圧弁41及び流量調節弁42を具備してなる空気制御ユニット40と給気源29とを有して構成される給気装置30としては、海水圧の変動時に、これに伴う空気供給量の変動は生じるものの、海水圧の変動に基づいた機械的作動は行わない無制御連動型を用いた場合を説明しているが、これに限定されることなく、要は、海水圧が変動しても、(海水圧Pa)<(一次環状室19の内圧)の圧力関係が常に形成されるものであればよく、例えば、定流量式圧力制御弁を有した給気装置でもよい。
2 支持構造体
3 海面
4 タービン翼
5 潮流発電装置本体
6 回転軸
7 ころがり軸受
8 発電装置
9 ケーシング
10 軸封装置
11 支持部材
12 ライナ
13 Oリング
14 フランジ
15 フランジリング
16 中間リング
17 カバーリング
18 シールリング
19 一次環状室
20 二次環状室
21 三次環状室
22 1番シール
23 2番シール
24 3番シール
25 4番シール
26 高圧空気タンク
27 空気制御ユニット
28 減圧弁
30 給気装置
31 給気管
33 給油管
35 液面センサ
36 排水ポンプ
37 逆止弁
38 油溜タンク
42 流量調節弁
Claims (2)
- 潮流発電装置のタービン翼に連結された回転軸を支持するころがり軸受を海水からシールする軸封装置において、前記潮流発電装置は、潮流または海流としての水平な流れを生じる海中において、海底から立設された支持構造体により海面よりも下方で海中における流れの方向に向けられるように配設されたタービン翼、該タービン翼に連結されて回転される回転軸、該回転軸を支持するころがり軸受及び前記回転軸により回転駆動されて発電する発電装置、並びに、前記回転軸、ころがり軸受及び発電装置を収容するケーシング、を備え、前記タービン翼と前記ケーシングとの間の前記回転軸の周囲には、前記ケーシング側に4つのシールリングが軸方向に並設されて回転軸側の表面に接触してシールするように形成された軸封装置を設け、該軸封装置の4つのシールリング相互間で形成された3つの環状室のうち、海水側から一番目の一次環状室及び三番目の三次環状室には予め潤滑油が封入されており、海水側から二番目の二次環状室には、海中において環状室より高い位置に設置された油溜タンクに接続する給油管が接続され、前記油溜タンクは海水による圧力に応じて収縮するように形成されていることを特徴とする軸封装置。
- 潮流発電装置のタービン翼に連結された回転軸を支持するころがり軸受を海水からシールする軸封装置において、前記潮流発電装置は、潮流または海流としての水平な流れを生じる海中において、海底から立設された支持構造体により海面よりも下方で海中における流れの方向に向けられるように配設されたタービン翼、該タービン翼に連結されて回転される回転軸、該回転軸を支持するころがり軸受及び前記回転軸により回転駆動されて発電する発電装置、並びに、前記回転軸、ころがり軸受及び発電装置を収容するケーシング、を備え、前記タービン翼と前記ケーシングとの間の前記回転軸の周囲には、前記ケーシング側に4つのシールリングが軸方向に並設されて前記回転軸側の表面に接触してシールするように形成された軸封装置を設け、該軸封装置の4つのシールリング相互間に形成された3つの環状室のうち、海水側から一番目の一次環状室には、海水圧にリング締付け圧を加えた内圧が保持されるように前記ケーシング内に設けられた空気源から空気の供給を行う給気装置が接続され、該給気装置の空気制御ユニットにはノンリリーフ型減圧弁が設けられ、海水側から二番目の二次環状室には、海中において環状室より高い位置に設置された油溜タンクに接続する給油管が接続され、前記油溜タンクは海水による圧力に応じて収縮するように形成され、海水側から三番目の三次環状室には、予め潤滑油が封入されていることを特徴とする軸封装置。
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