JP5620549B1 - 帯域通過フィルタ及びそれを用いた無線受信機 - Google Patents
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Abstract
Description
この短波帯通信の特徴としては、VHF帯やUHF帯のように周波数のチャンネル化が行われていないために他局の通信が自局の受信周波数に近接した帯域で実行されることが少なくなく、他局の電波が強い場合には自局の受信周波数において受信不能になることもある。
特許文献1の発明では、入力信号と局部発振器からの局部発振信号とを混合する混合器の後段に、中間周波信号を所定の周波数帯域幅で通過させる第1中間周波フィルタと、第1中間周波フィルタの周波数帯域よりも狭い周波数帯域幅で通過させる第2中間周波フィルタとを設け、それらの各中間周波フィルタの出力信号の差周波数成分に基づいて得られるフィルタ選択信号に基づいて第1又は第2の中間周波フィルタの出力を選択することにより、適応的に通過帯域を制御して混信を小さくしている。
しかし、短波帯の受信機における近接多信号特性には、フロントエンドの高周波受信部の後段に設けられている帯域通過フィルタの特性、フロントエンドの高周波増幅器及び第1混合器の対入力特性、局部発振器のローカル信号の低ノイズ化、第1混合器以降の中間周波数部における対入力特性などの様々な特性が影響するとされており、下記特許文献にあるような制御方式だけでは混信対策として限界がある。
すなわち、この帯域通過フィルタには、当然に減衰傾度ができるだけ大きいものを使用することが望ましく、メカニカルフィルタ、クリスタルフィルタ、セラミックフィルタなどを用いることにより、できるだけ受信信号である単側波帯のみを通過させて近接周波数の信号の混入を阻止している。
その場合には、第1中間周波段では第2段目以降よりも高い中間周波数(例えば、SSB受信機では70MHzや40MHz等)に変換されているため、影像周波数による混信信号や近接周波数での混信信号に対して有効なフィルタリングを行うことができると共に、第1中間周波段の帯域通過フィルタとして減衰傾度が大きく歪特性が優れたMCF(Monolithic Crystal Filter)等を適用することにより、混信信号を十分に減衰させることが可能になる。
しかし、通過帯域の狭いフィルタの場合には、Q(Quality factor)を大きくすると共振曲線が急峻になって減衰傾度を大きく設定できるが、通過帯域が広くなると如何にしても減衰傾度が低下を避けることができず、通過帯域の両側の減衰帯域幅が広くなって通過帯域外の信号をシャープにカットできなくなる。
一方、音声通信モードでは、理論上、音声の帯域幅(2.0kHz〜3kHz)
以下に第1中間周波段の通過帯域を狭くすることはできず、その帯域をカバーするだけの広い通過帯域を有する帯域通過フィルタルーを用いる必要があるが、前記のように通過帯域が広くなるにつれて減衰帯域幅が大きくなるために近接多信号特性が劣ったものになる。
したがって、各分割帯域フィルタの中心周波数を上記数式で与えると、見かけ上、各分割帯域フィルタの通過帯域が連続し、両側の減衰帯域は分割帯域フィルタの減衰帯域となるため、単一の帯域通過フィルタでは実現できないような大きな減衰傾度が得られる。
また、この発明の帯域通過フィルタにおける周波数特性上の通過帯域は、各分割帯域フィルタの周波数特性において通過帯域から両側の減衰帯域へ移行する部分の−3dB(電力比で1/2)に相当する点で連続していることになり、合成器による合成信号ではほぼ平坦な特性が得られて帯域内リプルは小さい。
これにより、各分割帯域フィルタへの入力信号の周波数をシフトさせ、また各分割帯域フィルタからの出力信号の周波数を元に戻すようにシフトさせることができ、見かけ上、帯域通過フィルタの通過帯域の特性を微妙に変更することが可能になる。
より具体的には、帯域通過フィルタの通過帯域内にビート音などの強力な妨害信号が混入している場合、見かけ上、通過帯域におけるその妨害信号の周波数に対応する帯域だけを局部的に減衰させることができ、音声信号の劣化は否めないが、強力な妨害電波で実質的に受信不能となるような事態を回避させることができる。
第2の発明は、第1の発明を、複数の中間周波段を有する無線受信機の第1中間周波段に適用することにより、無線受信機の近接多信号特性を向上させる。
<実施形態1>
先ず、図1はSSB受信機のブロック回路図であり、1はアンテナ、2は高周波増幅器や同調回路等を含むフロントエンド、3は局部発振器、4はフロントエンド2からの受信信号と局部発振器3からの発振信号とを混合して第1中間周波の両側波帯信号(LSB+USB)を生成する混合器、5は混合器4が出力する両側波帯信号からLSB信号のみを通過させる帯域通過フィルタ、6は帯域通過フィルタ5が出力するLSB信号を増幅する中間周波増幅器、7は局部発振器、8は中間周波増幅器6が増幅したLSB信号と局部発振器7の発振信号とを混合して第2中間周波の両側波帯信号(LSB+USB)を生成する混合器、9は混合器8が出力する両側波帯信号からUSB信号のみを通過させる帯域通過フィルタ、10は帯域通過フィルタ9が出力するUSB信号を増幅する中間周波増幅器、11は復調用の搬送波相当信号を生成するうなり発振器、12はうなり発振器11の信号を用いて中間周波増幅器10が増幅したLSB信号から音声信号を復調する復調器、13は復調器12が復調した音声信号を増幅する低周波増幅器、14は増幅された音声信号により音声再生を行うスピーカ、15はSSB受信機のシステム全体及びその個々の機能を制御する制御部、16は周波数調整用ダイヤルやボタン・スイッチ類等からなる操作部を示す。
この要求に対して、帯域通過フィルタ5を構成する2つの分割帯域フィルタ22,23は、それぞれ通過帯域幅がBw/2(=1.5kHz)であり、第1中間周波段での通過帯域の下限周波数をfL[=fc−(Bw/2)=45098.5kHz]として、分割帯域フィルタ22の通過帯域の中心周波数f1が[fL+(Bw/4)](=45099.25kHz)に設定されており、また分割帯域フィルタ23の通過帯域の中心周波数f2が[fL+(Bw/4)+(Bw/2)](=45100.75kHz)として設定されている。
すなわち、分配器21に対して分割帯域フィルタ22と分割帯域フィルタ23は並列接続されており、混合器4から出力される両側波帯信号がそれぞれの分割帯域フィルタ22,23に入力されて、各分割帯域フィルタ22,23の有する周波数特性に基づいてフィルタリングが行われるが、フィルタリング後の各信号を合成器24で合成すると、その合成信号は図2の(C)の周波数特性を有した単一の帯域通過フィルタでフィルタリングを行った場合と同等のものとなる。
なお、同図においてfL〜fU(45098.5kHz〜45101.5kHz)の3.0kHzが帯域通過フィルタ5の通過帯域である。
特に、第1中間周波段の40MHz帯において3.0kHzという狭帯域の帯域通過フィルタを適用するについて、周波数特性の減衰傾度が大幅に改善される効果は非常に大きい。
この実施形態もSSB受信機の第1中間周波段に適用される帯域通過フィルタに係り、実施形態1では2つの分割帯域フィルタを並列に用いているのに対し、この実施形態では、図3の第1中間周波段のブロック図に示されるように、3つの分割帯域フィルタ31,32,33を並列に用いている。
なお、帯域通過フィルタ30が分配器21'と分割帯域フィルタ31,32,33と合成器24'とからなり、分配器21'が混合器4から出力される両側波帯信号を各分割帯域フィルタ31,32,33へ出力し、合成器24'が各分割帯域フィルタ31,32,33の出力信号を合成して中間周波増幅器6へ出力することは前記実施形態1と同様である。
各分割帯域フィルタ31,32,33の周波数特性の合成に係る基本的な考え方は実施形態1の場合と同様であり、各周波数特性の交差点がそれぞれの平坦特性部分のゲインレベルから3dBだけ低下した位置となっているため、通過帯域フィルタ30はその通過帯域幅fL〜fU(45098.5kHz〜45101.5kHz)においてほぼ平坦な特性となる。
したがって、図4の(D)に示す通過帯域フィルタ30の周波数特性における減衰帯域幅も0.5kHzになるため、実施形態1の場合よりも大きな減衰傾度と狭い減衰帯域幅によって、よりシャープに妨害信号25を除去することができる。
この実施形態は、SSB受信機において前記実施形態1,2のような帯域通過フィルタ5,30を用いる場合に、各分割帯域フィルタに入力される信号の周波数をシフト制御できるようにして、帯域通過フィルタ5,30の周波数特性に見かけ上の局部的減衰帯域を構成できるようにするものである。
したがって、この実施形態では、分配器21'と局部発振器41-1〜3と混合器42-1〜3と分割帯域フィルタ31,32,33と局部発振器51-1〜3と混合器52-1〜3と合成器24'とで帯域通過フィルタ40を構成している。
そして、それにより、各混合器42-1〜3では分配器21'からの両側波帯信号の周波数を、また各混合器52-1〜3においても各分割帯域フィルタ31,32,33からの出力信号の周波数をそれぞれ個別にシフトさせることができる。
この場合、帯域通過フィルタ31の周波数特性に対する入力信号のLSB信号とビート音信号の関係は図7の(A)に示され、LSB信号とビート音信号はΔfだけ高域側へシフトして二点鎖線で示す位置から実線で示す位置へ移動している。
また、帯域通過フィルタ32の周波数特性に対する入力信号のLSB信号とビート音信号の関係は図7の(B)に示され、LSB信号とビート音信号は図7の(A)の場合と逆にΔfだけ低域側へシフトして二点鎖線で示す位置から実線で示す位置へ移動している。
なお、図7においてfbはビート音信号の元の周波数を示している。
すなわち、混合器52-1では帯域通過フィルタ31からの出力信号を低域側へΔfだけシフトさせ、混合器52-2では帯域通過フィルタ32からの出力信号を高域側へΔfだけシフトさせて、それぞれ合成器24'へ出力する。
この場合、当然に局部的な減衰部分によってLSB信号も減衰せしめられるために、出力音声に歪みが生じることを避けられないが、ビート音によって受信不能になるような状態においてはこの実施形態での制御が有効である場合も少なくない。
Claims (2)
- 複数の中間周波段を有する無線受信機における第1中間周波段に設けられる帯域通過フィルタであって、
前記第1中間周波段での通過帯域幅をBwとして、(Bw/N)[但し、Nは2以上の整数]に相当する通過帯域幅を有すると共に、前記第1中間周波段の帯域通過フィルタを単一フィルタとして構成した場合に実現可能な最大減衰傾度よりも大きい減衰傾度を有するN個の分割帯域フィルタからなり、且つ各分割帯域フィルタの通過帯域の中心周波数が{(前記第1中間周波段の通過帯域の下限周波数)+(Bw/2N)+M*(Bw/N)}[但し、M=0,1,2,…,(N−1)]に設定されているフィルタ群と、
前記第1中間周波段において受信信号と局部発振器の発振信号とを混合する混合器が出力する第1中間周波信号を、後記第1混合器群の各混合器に分配する分配器と、
制御信号により発振周波数を変更可能なN個の局部発振器からなる第1発振器群と、
N個の混合器からなり、前記分配器で分配された第1中間周波信号と前記第1発振器群の各局部発振器の発振信号とをそれぞれ混合し、その混合後の各中間周波信号を前記フィルタ群の各分割帯域フィルタへ出力する第1混合器群と、
制御信号により発振周波数を変更可能なN個の局部発振器からなる第2発振器群と、
N個の混合器からなり、前記フィルタ群の各分割帯域フィルタの出力信号と前記第2発振器群の各局部発振器の発振信号とをそれぞれ混合して出力する第2混合器群と、
前記第2混合器群の各混合器の出力信号を合成する合成器と
から構成されることを特徴とする帯域通過フィルタ。 - 複数の中間周波段を有する無線受信機における第1中間周波段に、請求項1に記載の帯域通過フィルタを用いたことを特徴とする無線受信機。
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