以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態のパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が、裏側からではなく、表側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。なお、遊技盤5を除く部分が本発明の本体枠に該当する。
ガラス扉6の外周には、LEDランプなどによる電飾ランプが、略C字状に配置されている。前面板7には発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠3の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
また、ガラス扉よりも下側であって、遊技者の身体の一部、例えば腹部に近接する位置(例えば下皿9の下部、皿体内部、前枠3の所定位置など)には、低音用の大型スピーカSPd(不図示)が一個だけ配置されている。この実施形態では、低音用のスピーカSPdが一個だけ配置されるので、他の部材の設置スペースを消費することがない。一方、高音用で小型のスピーカSPu,SPu(不図示)については、ガラス扉6の上部の左右位置に配置されている。高音用のスピーカSPu,SPuは、小型であるので、他の部材の設置スペースを消費することがない。
図2に示すように、遊技盤5には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その内側の遊技領域5aの略中央には、液晶カラーディスプレイDISPが配置されている。また、遊技領域5aの適所には、図柄始動口15、大入賞口16、複数個の普通入賞口17(大入賞口16の左右に4つ)、2つの通過口であるゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
液晶ディスプレイDISPは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この液晶ディスプレイDISPは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19を有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行されたり、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、当否結果を不確定に報知する予告演出などが実行される。
普通図柄表示部19は普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。
図柄始動口15は、左右一対の開閉爪15aを備えた電動式チューリップで開閉されるよう例えば構成され、普通図柄表示部19の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪15aが所定時間だけ、若しくは、所定個数の遊技球を検出するまで開放されるようになっている。
図柄始動口15に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部Da〜Dcの表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口15への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。なお、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、一連の図柄演出の間に、予告演出が実行される場合がある。
大入賞口16は、例えば前方に開放可能な開閉板16aで開閉制御されるが、特別図柄表示部Da〜Dcの図柄変動後の停止図柄が「777」などの大当り図柄のとき、「大当りゲーム」と称する特別遊技が開始され、開閉板16aが開放されるようになっている。
大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態となるという特典が付与される。
図3は、本実施形態のパチンコ機GMの全体回路構成を示すブロック図である。図中の一点破線矢印は、主に、直流電圧ラインを示している。
図示の通り、このパチンコ機GMは、AC24Vを受けて各種の直流電圧やシステムリセット信号SYSなどを出力する電源基板20と、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板22と、演出制御基板22から受けた制御コマンドCMD’に基づいて液晶ディスプレイDISPを駆動する液晶制御基板23と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD”に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板24と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板25と、を中心に構成されている。
但し、この実施形態では、主制御基板21が出力する制御コマンドCMDは、コマンド中継基板26と演出インターフェイス基板27を経由して、演出制御基板22に伝送される。また、演出制御基板22が出力する制御コマンドCMD’は、演出インターフェイス基板27を経由して、液晶制御基板23に伝送され、主制御基板21が出力する制御コマンドCMD”は、主基板中継基板28を経由して、払出制御基板24に伝送される。なお、演出インターフェイス基板27と演出制御基板22とは、ケーブルを使用することなくコネクタによって直結されている。
これら主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板23、及び払出制御基板24には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、これらの制御基板21〜24に搭載された回路、及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、本明細書では、主制御部21、演出制御部22、液晶制御部23、及び払出制御部24と言うことがある。なお、演出制御部22、液晶制御部23、及び払出制御部24の全部又は一部がサブ制御部である。
ところで、このパチンコ機GMは、図3の破線で囲む枠側部材GM1と、遊技盤5の背面に固定された盤側部材GM2とに大別されている。枠側部材GM1には、ガラス扉6や前面板7が枢着された前枠3と、その外側の木製外枠1とが含まれており、機種の変更に拘わらず、長期間にわたって遊技ホールに固定的に設置される。一方、盤側部材GM2は、機種変更に対応して交換され、新たな盤側部材GM2が、元の盤側部材の代わりに枠側部材GM1に取り付けられる。なお、枠側部材GM1を除く全てが、盤側部材GM2である。
図3の破線枠に示す通り、枠側部材GM1には、電源基板20と、払出制御基板24と、発射制御基板25と、枠中継基板32と、外部端子基板OTと、球貸機UTとのインターフェイス基板IFとが含まれており、これらの回路基板が、前枠3の適所に各々固定されている。一方、遊技盤5の背面には、主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板23が、液晶ディスプレイDISPやその他の回路基板と共に固定されている。そして、枠側部材GM1と盤側部材GM2とは、一箇所に集中配置された接続コネクタCN1〜CN4によって電気的に接続されている。
図3に示す通り、電源基板20は、接続コネクタCN2を通して、主基板中継基板28に接続され、接続コネクタCN3を通して、電源中継基板30に接続されている。そして、主基板中継基板28は、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYS、RAMクリア信号、電圧降下信号、バックアップ電源、DC12V、DC32Vを、そのまま主制御部21に出力している。同様に、電源中継基板30も、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYSや、交流及び直流の電源電圧を、そのまま演出インターフェイス基板27に出力している。なお、演出インターフェイス基板27は、受けたシステムリセット信号SYSを、そのまま演出制御部22と液晶制御部23に出力している。
一方、払出制御基板24は、中継基板を介することなく、電源基板20に直結されており、主制御部21が受けると同様の、システムリセット信号SYS、RAMクリア信号、電圧降下信号、バックアップ電源を、その他の電源電圧と共に直接的に受けている。
ここで、電源基板20が出力するシステムリセット信号SYSは、電源基板20に交流電源24Vが投入されたことを示す信号であり、この信号によって各制御部21〜24のワンチップマイコンその他のIC素子が電源リセットされるようになっている。主制御部21及び払出制御部24が、電源基板20から受けるRAMクリア信号は、各制御部21,24のワンチップマイコンの内蔵RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、係員が操作する初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。
主制御部21及び払出制御部24が、電源基板20から受ける電圧降下信号は、交流電源24Vが降下し始めたことを示す信号であり、この電圧降下信号を受けることによって、各制御部21、24では、停電や営業終了に先立って、必要な終了処理を開始するようになっている。また、バックアップ電源は、営業終了や停電により交流電源24Vが遮断された後も、主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンの内蔵RAMのデータを保持するDC5Vの直流電源である。したがって、主制御部21と払出制御部24は、電源遮断前の遊技動作を電源投入後に再開できることになる(電源バックアップ機能)。このパチンコ機では少なくとも数日は、各ワンチップマイコンのRAMの記憶内容が保持されるよう設計されている。
一方、演出制御部22と液晶制御部23には、上記した電源バックアップ機能が設けられていない。しかし、演出制御部22と液晶制御部23には、システムリセット信号SYSが共通して供給されており、他の制御部21,24と、ほぼ同期したタイミングで電源リセット動作が実現される。
図3及び図4に示す通り、演出インターフェイス基板27は、コマンド中継基板26と、電源中継基板30と、枠中継基板31と、演出制御基板22と、ランプ接続基板34と、液晶制御基板23と、インバータ基板33とに接続されている。また、演出インターフェイス基板27には、ロータリーコードスイッチ35が接続されている。ロータリーコードスイッチ35とは、回転操作の停止位置に応じたデジタル信号を出力するスイッチであり、ここでは、4ビット長の指令信号(二進数0000B〜1111B)を出力するよう構成されている。
この実施形態では、ロータリーコードスイッチ35は、遊技機内部に配置されており、係員による操作によって、音声演出における音質や音量を指令する用途に活用される。すなわち、このパチンコ機GMでは、図柄始動口15への遊技球の進入を調整可能な命釘の調整を甘くしたサービス台と、その他の遊技機とで、音質の異なる音声演出が実現できるようにしている。具体的には、スイッチ接点0を消音モードとし、その他15箇所のスイッチ接点1〜Fに応じて、第1パターンから第5パターンまでの5通りのイコライザ特性PTN1〜PTN5を選択可能に構成している。なお、機種毎に個性を有する音声演出の違いや、遊技ホールの客層の違いや、機種の設置環境の違いなどに応じて、適切な音質と音量とを選択することもできる。
スイッチ接点1〜スイッチ接点3が選択されると、イコライザ特性PTN1が指示されるが、1・2・3の接点位置に応じて、小・中・大の音量が選択される。イコライザ特性PTN2〜PTN5についても同様であり、同一グループ内の接点位置の違い応じて、小・中・大の音量が選択される。なお、スピーカは、高音用の上部スピーカSPuと、低音用の下部スピーカSPdに区分されるので、各パターンのイコライザ特性PTN1〜PTN5としては、各々、HPF(high pass filter )とLPF(low pass filter )の一対の特性が用意されている。
図5は、イコライザ特性の一部を例示したものであり、例えば、第5パターンPTN5は、250Hz付近をカットオフ周波数として高域を強調するHPF特性と、500Hz付近をカットオフ周波数として低域を強調するLPF特性とで構成されている。この実施形態では、フィルタ特性の急峻度とカットオフ周波数の異なる5通りのイコライザ特性を用意しており、例えば、第3パターンPTN3は、500Hz付近をカットオフ周波数として高域を強調するHPF特性と、300Hz付近をカットオフ周波数として低域を強調するLPF特性とで構成されている。この第3パターンPTN3では、第5パターンに比べ、HPFにおける低域抑制レベルや、LPFにおける高域抑制レベルを抑えている。
一方、第1パターンPTN1は、1000Hz付近をカットオフ周波数として高域を強調するHPF特性と、200Hz付近をカットオフ周波数として低域を強調するLPF特性とで構成されている。この第1パターンPTN1では、第3パターンより更に、HPFにおける低域抑制レベルや、LPFにおける高域抑制レベルを抑えている。なお、この実施形態では、第4パターンや第2パターンは、第5パターンと第3パターンの中間の特性と、第3パターンと第1パターンの中間の特性を有している。
図4に示すように、演出制御部22は、音声演出・ランプ演出・データ転送などの処理を実行するワンチップマイコン40と、ワンチップマイコン40の制御プログラムなどを記憶するEPROM41と、ワンチップマイコン40からの指示に基づいて音声信号を生成する音声再生LSI(YMZ774:ヤマハ株)42と、生成される音声信号の元データである圧縮音声データを記憶する音声用メモリ(フレーズROM)43と、ウォッチドッグタイマWDTとを備えて構成されている。
そして、ワンチップマイコン40の入力ポートには、演出インターフェイス基板27を経由してロータリーコードスイッチ35からの4ビットの指令信号が入力されている。なお、ウォッチドッグタイマWDTは、ワンチップマイコン40から定期的に供給されるクリアパルスでリセットされるが、プログラムの暴走などによって、このクリアパルスが途絶えると、リセット信号RESETを出力するようになっている。その結果、ワンチップマイコン40は、初期状態に強制的にリセットされ、プログラムの暴走状態などが解消される。
音声再生LSI42がアクセスする音声用メモリ43には、音声演出を実現する圧縮音声データ(フレーズデータ)とは別に、音声エフェクト効果(フィルタ特性)を規定する一群の動作パラメータが予め格納されている。このような動作パラメータは、必要時に、ワンチップマイコン40から音声再生LSI42の該当レジスタに書き込むこともできるが、本実施形態では、予め、音声用メモリ43に複数組の動作パラメータ群を格納している。
音声用メモリ43格納された一群の動作パラメータは、SAC番号で特定されるが、ワンチップマイコン40が、このSAC番号を専用のレジスタに指定すると、特定された一群の動作パラメータが、音声用メモリ43から音声再生LSI42の該当レジスタに読み出されて機能するようになっている。なお、SAC番号で特定される一群の動作パラメータは、図5に例示したイコライザ特性PTN1〜PTN5の何れかを実現するデジタルフィルタ用のパラメータである。
図6(a)は、YMZ774(ヤマハ株)に概略構成を示すブロック図である。図示の通り、この音声再生LSI42(YMZ774)は、ホストCPUたるワンチップマイコン40からシーケンスコマンドを受けて記憶し、或いは内部動作状態(ステイタス)を記憶する各種レジスタ群42aと、音声用メモリ43に予め動作パラメータ群を格納する際に機能するシンプルアクセス部42bと、シーケンスコマンドに規定された音声再生動作を制御するシーケンサ42cと、シーケンサ42cに制御されて音声信号を出力する音声再生部42dとを有して構成されている。なお、音声信号としては、各々4つのデジタル信号とアナログ信号とが出力可能であるが、この実施形態では、チャンネル0の左右アナログ音声信号AOL0,AOR0と、チャンネル1の左側アナログ音声信号AOL1とを使用している。
音声再生部42dは、フレーズROMたる音声用メモリ43から読み出された圧縮データを伸張する複数チャンネル分のデコーダ部50と、各チャンネルの音声データの音量レベルを規定するチャンネルボリューム部51と、指定されたチャンネルの音声データを加算するチャンネルミックス部52と、ミキシング後の音声データの音量レベルを規定するトータルボリューム部53と、2つのチャンネル0とチャンネル1に設けられたエフェクト部54と、出力インターフェイス部55とで構成されている。
ここで、エフェクト部54は、一次IIRと二次IIRとからなるデジタルフィルタであり、音声用メモリ43に予め格納されている動作パラメータに基づいて、図5に例示するような、所定の音声エフェクト機能を付与する。なお、デジタルフィルタ(digital filter)とは、伸張されてミキシングされたデジタルデータに対するデジタル信号処理によりフィルタ機能を付与するものであり、この実施形態では、パルス伝達関数が無限の長さを持つIIR(Infinite Impulse Response)型フィルタが設けられている。
出力インターフェイス部55は、アナログインターフェイス部55aと、デジタルインターフェイス部55bとに区分されるが、アナログインターフェイス部55aは具体的にはDA変換器(DAC部)で構成される。このDA変換器のチャンネル0のアナログ音声信号AOL0,AOR0は、遊技機上部に配置された左右のスピーカSPu,SPuから出力されるので、チャンネル0のエフェクト部では、高域強調のフィルタ処理(HPF)が施される。一方、チャンネル1のアナログ音声信号AOL1は、遊技機下部に配置された単一の大容量スピーカSPdから出力されるので、チャンネル1のエフェクト部では、低域強調のフィルタ処理(LPF)が施される。
各フィルタ処理は、イコライザ特性PTN1〜PTN5の何れかを実現する処理であり、その処理内容は、ロータリーコードスイッチ35が出力する指令信号で特定される。より具体的には、指令信号で特定されるSAC番号に基づき、音声用メモリ43から読み出される一群の動作パラメータによって決定される。なお、指令信号で特定されるSAC番号を、ワンチップマイコン40が音声再生LSI42の該当レジスタに書込むのは前記した通りである。
図4に示す通り、演出制御基板22のワンチップマイコン40には、主制御基板21から出力された制御コマンドCMDとストローブ信号(割込み信号)STBとが、演出インターフェイス基板27のバッファ48を経由して供給されている。そして、ストローブ信号STBによって起動される受信割込み処理によって、演出制御部22は、制御コマンドCMDを取得することになる。演出制御部22が取得する制御コマンドCMDには、(a )エラー報知その他の報知用制御コマンドなどの他に、(b )図柄始動口への入賞に起因する各種演出動作の概要を特定する制御コマンド(変動パターンコマンド)が含まれている。ここで、変動パターンコマンドで特定される演出動作の概要には、演出開始から演出終了までの演出総時間と、大当り抽選における当否結果とが含まれている。なお、これらに加えて、リーチ演出や予告演出の有無などを含めて変動パターンコマンドで特定してもよいが、この場合でも、演出内容の具体的な内容は特定されていない。
そのため、演出制御部22では、変動パターンコマンドCMDを取得すると、これに続いて演出抽選を行い、取得した変動パターンコマンドで特定される演出概要を更に具体化している。例えば、リーチ演出や予告演出について、その具体的な内容が決定される。そして、決定された具体的な遊技内容にしたがい、LED群などの点滅によるランプ演出や、スピーカによる音声演出の準備動作を行うと共に、液晶制御部23に対して、ランプやスピーカによる演出動作に同期した図柄演出に関する制御コマンドCMD’を出力する。この場合、演出制御部22は、液晶制御部23に対するストローブ信号(割込み信号)STB’と共に、制御コマンドCMD’を演出インターフェイス基板27に向けて出力する。なお、演出制御部22は、液晶ディスプレイに関連する報知用制御コマンドその他の制御コマンドを受信した場合は、その制御コマンドを、そのまま割込み信号STB’と共に演出インターフェイス基板27に向けて出力する。
このような演出制御基板22の構成に対応して、演出インターフェイス基板27は、8ビット長の制御コマンドCMD’と1ビット長の割込み信号STB’を受けるよう構成されている。そして、これらのデータCMD’,STB’は、バッファ回路45を経由して、そのまま液晶制御基板23に出力される。また、演出インターフェイス基板27は、演出制御部22から出力されるランプ駆動用の制御信号を受けて、バッファ回路46を経由して出力する。演出インターフェイス基板27から出力されたランプ駆動制御信号は、ランプ接続基板34を経由してLEDランプ群に供給され、その結果、主制御部21が出力した制御コマンドCMDに対応するランプ演出が実現される。
一方、演出制御基板22の音声再生LSI42から出力される音声信号AOL0,AOR0,AOL1は、演出インターフェイス基板27に搭載された2つのデジタルアンプ44u,44dで増幅されて出力される。先に説明した通り、音声信号AOL0,AOR0は、適宜に高域強調されており、遊技機上部のスピーカSPu、SPuに供給される。一方、音声信号AOL1は、適宜に低域強調されており、遊技機下部の大容量スピーカSPdに供給される。その結果、主制御部21が出力した制御コマンドCMDに対応する音声演出が実現される。
このように、本実施形態では、デジタルアンプ44u,44dで増幅された後の音声信号を、スピーカSPu、SPuの位置まで引き回すので、スピーカ位置に近接してデジタルアンプ44u,44dを設ける場合より、大幅にS/N比が改善される。また、図4に示す通り、デジタルアンプ44u,44dには、専用の安定化電源回路PWから、デジタルアンプ専用の電源電圧(DC15V)として供給されている。
そのため、DC15Vの電源ラインに、他の制御基板の高周波ノイズが重畳することがなく、この意味でも、高音質の音声演出が可能となる。音質差を把握して、当該遊技機に予定されている払出期待値を推定しようとする遊技者にとって、ノイズの重畳などは極めて不愉快なものとなるので、本実施形態の構成は極めて有効である。
ところで、図7(a)に示す通り、低音用の大容量スピーカSPdに供給すべき音声信号を生成するデジタルアンプ44dは、2つの入力端子IN1,IN2に受けた音声信号AOL1を別々にD級増幅した後、各々一対の出力端子OUT1P,OUT1N/OUT2P,OUT2Nに出力するパワーアンプICで構成されている。なお、図示を省略しているが、高音用の2つのスピーカSPu,SPuに供給すべき音声信号を生成する(単一の)デジタルアンプ44uも、デジタルアンプ44dと同一のパワーアンプICであり、2チャンネルの音声信号AOL0,AOR0を、各々に対応する入力端子IN1,IN2に受けることを除けば、図7(a)と同一の回路構成を有している。
この実施形態では、デジタルアンプ44dの2つの入力端子IN1,IN2には、結合コンデンサC0と入力抵抗R1とを経由して、同一の音声信号AOL1が供給される。なお、この音声信号AOL1は、音声再生LSIのエフェクト部54において、適宜に低域強調されている。入力された音声信号AOL1は、IC内部に設けられた2チャンネルのD級増幅部(内蔵アンプ)で、同じ増幅率で電力増幅されて一対の出力端子に出力される。一対の出力端子OUT1P,OUT1N/OUT2P,OUT2Nには、各々、一対のコイルL1,L1と一対のコンデンサC1,C1とで構成された2つのローパスフィルタ回路FTが設けられている。そして、各フィルタ回路FT,FTの出力は、共に単一のスピーカSPdに供給される。なお、ツェナーダイオードZDは、過電圧を吸収するための保護用素子である。
このパワーアンプICは、2つの内蔵アンプが、単一のスピーカSPdに並列接続されるという特徴的な回路構成に配線されているので、消費電力を抑制できると共に高出力を得ることができる。図7(b)(c)は、この関係を説明する原理図である。図7(b)の等価回路では、コイルL1とコンデンサC1によるフィルタ回路FTで削除される高周波パルス成分を全て無視すると共に、内蔵アンプから、同一レベルの音声信号Eが出力されると擬制している。パワーアンプICでは、内蔵された2チャンネルのD級増幅部が同一増幅率に設定されており、且つ、同位相の増幅出力が得られるよう設定されているので、上記の擬制は現実に即している。なお、図7(b)において、抵抗rは、パワーアンプICの出力インピーダンスであり、抵抗Rは、スピーカの等価抵抗である。抵抗Rは、4Ω、8Ω、又は16Ωの何れかであり、通常は8Ωである。
図7(b)の等価回路から明らかな通り、本実施形態の場合には、2つの増幅回路が単一のスピーカSPdに対して並列接続されるので、出力インピーダンスrが1/2となり、スピーカSPdに流れる音声電流は、E/(R+r/2)となる。したがって、スピーカSPdでの出力電力は、R×{E/(R+r/2)}2・・・(式1)となる。
これに対して、図7(c)に示す通常の接続状態では、各スピーカに流れる電流が、E/(R+r)であるから、2つのスピーカの総合出力電力は、2×R×{E/(R+r)}2・・・(式2)である。二つの出力電力の差を求めるため、(式2)から(式1)を減算すると、図7に示す(式3)となり、パワーアンプICの出力インピーダンスrが、SQR(2)×Rより大きい場合には、本実施形態の回路構成の方が、通常の回路構成より出力電力が高いことが確認される。例えば、スピーカの抵抗R=8Ωである場合、SQR(2)×R=11.3Ωであるところ、通常のパワーアンプICの出力インピーダンスrは、11.3Ωを越えるので、本実施形態によれば、通常の回路構成より、大出力が得られる。
しかも、パワーアンプの出力電流は、本実施形態ではE/(r+2×R)となり、通常接続の場合の出力電流E/(r+R)より大幅に低いので、消費電力を抑制してパワーアンプICの発熱を抑制することもできる。大容量のスピーカに大出力電力を供給したい遊技機において、無駄な消費電力を抑制できる効果は極めて大きい。また、本実施形態では、スピーカが単一であるので、その占有空間が狭く、配置位置に自由度が増す意味でも極めて好適である。
なお、出力インピーダンスrの値に拘わらず、図7(a)の構成によれば、単一のスピーカSPdを単一の増幅回路で駆動する場合より、スピーカSPdに大出力が得られ、内蔵アンプの内部損失が減少するのは言うまでもない。
続いて、演出制御基板22のワンチップマイコン40の動作内容を説明する。演出制御部22の動作は、CPUがリセットされると開始されるメイン処理(図8(a))と、主制御部21から制御コマンドCMDを受信した際に起動される受信割込み処理(図6(b))とを中心に構成されている。
図8(a)に示す通り、CPUがリセットされると、ワンチップマイコン40が初期設定された後(ST1)、チェックデータ(管理データ)の適否が検査される(ST2)。ここでチェックデータとは、ステップST11において、RAMエリアの所定領域に対して加算演算に演算結果であるチェックサム値である。例えば、CPUが電源リセットされたような場合には、当然、チェックデータが一致しないので、RAMの全領域をクリア処理する(ST4)。一方、ウォッチドックタイマによるCPUリセットのような場合には、チェックデータが一致する場合もある。それは、プログラムが暴走状態とはなったものの、RAMのワークエリアに、不合理なデータを何も書込んでいないような場合である。そこで、そのような場合には、中断された制御動作を、問題なく再開できるようバックアップ復帰処理を実行する(ST3)。バックアップ復帰処理では、例えば、実行中の演出動作(音声演出やランプ演出)や、その他の制御動作を、適当な区切り位置から再開できるよう初期設定する。
その後、音声再生LSI42について初期化処理を実行する(ST5)。この初期化処理では、ロータリーコードスイッチ35から4ビット長の指令信号を受取り、その指令により特定される音質(イコライザ特性)について、SAC番号を音声再生LSIの該当レジスタに書込む。また、音声再生LSI42にコマンドを送出して、SAC番号に対応する一群の動作パラメータが、音声用メモリ43から読み出されて、エフェクト部に設定されるよう制御する。
したがって、この初期化処理の結果、この遊技機では、係員がロータリーコードスイッチ35で指示した音質の音声演出が実行されることになる。なお、音声演出の音量(小・中・大)については、後で音声再生LSI42に指示されるので(ST41)、ステップST5の段階で取得した4ビットの指令信号は、ワークエリアに保存される。
以上の初期処理が終われば、ステップST6〜ST11の処理が無限ループ状に繰り返される。先ず、CPUを割込み許可状態に設定した後(ST6)、割込み待ち処理を実行する(ST6)。割込み待ち処理は、4mS毎に起動されるタイマ割込み処理(不図示)の完了を確認する処理である。この割込み待ち処理では、図8(c)に示す通り、先ず、ウォッチドッグタイマWDTにクリアパルスを送信して、CPUが強制リセットされることを回避する(ST31)。次に、演出抽選などで使用する乱数を更新しつつ(ST32)、タイマ割込み処理が完了するのを待つ(ST33)。なお、不図示のタイマ割込み処理では、タイマ割込みを受けると確認フラグFLGをセットするので、ステップST33では、この確認フラグFLGを繰り返しチェックすることになる。そして、確認フラグFLGのセット状態が確認されたら、確認フラグFLGをリセットしてサブルーチン処理を終える(ST34)。
このようにして割込み待ち処理(ST7)が終われば、受信割込み処理(図8(a))
で取得されている制御コマンドCMDを解析し、その後の処理のための初期処理を実行する(ST8)。この制御コマンド解析処理(ST8)には、制御コマンドCMDに基づく演出抽選処理や、液晶制御部への制御コマンドCMD’の伝送処理も含んでいる。なお、図8(b)に示す通り、受信割込み処理では、受信した制御コマンドをコマンド格納領域に格納している(ST20〜ST21)。
制御コマンド解析処理(ST8)が終われば、制御コマンドにより開始された音声演出、ランプ演出についてシナリオを進行させ(ST9)、進行したシナリオに対応した音データ出力処理を実行する(ST10)。
図8(d)に示す通り、音データ出力処理では、最初にエラー状態か否かが判定される(ST40)。ここでエラー状態には、閉鎖状態の入賞口から入賞信号が得られたことを示す不正入賞エラーや、遊技動作中にガラス扉6が開放されたことを示す扉開放エラーや、遊技動作中に主制御部21のCPUがリセットされたことを示すRAMクリアエラーとを含んでいる。これらは、全て不正遊技の可能性を含んだエラーであり、それぞれ主制御部21から送信される制御コマンドCMDによって把握される。
そこで、エラー状態であれば、ロータリーコードスイッチ35で指定される音量に拘わらず、最大音量の音声を出力するべく、音声再生LSI42を設定する(ST42)。エラー状態では、エラー内容に応じた音声報知が開始されるが(ST44〜ST45)、ステップST42の処理によって、例え、ロータリーコードスイッチ35によって消音レベルに音量が設定されていても、最大音量による音声報知が有効に開始される。
一方、エラー状態でなければ、ロータリーコードスイッチ35で指定される音量を出力するべく、音声再生LSI42を設定する(ST41)。具体的には、トータルボリューム部53の動作パラメータが指示される。ロータリーコードスイッチ35の指令信号(4ビット信号)は、ステップST5のタイミングで取得されて記憶されているので、この記憶値を活用する。但し、ステップST41の処理の毎に、指令信号を再取得しても良く、このような実施形態を採れば、遊技動作中にも音声や音質を変更できることになる。例えば、ロータリーコードスイッチ35を、遊技者に操作可能な位置に配置すれば、遊技者の好みに合わせて音質(イコライザ特性)や音量を調整することも可能となる。
以上のようにして音量設定が終われば、このタイミングが、一群の音声フレーズの開始タイミングか否かが判定される(ST43)。そして、再生開始タイミングであれば、次の実行すべき音声演出を特定するパラメータを音声再生LSIのレジスタ42aに設定して(ST44)、再生動作を開始させる(ST45)。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではない。特に、音声再生LSIやデジタルアンプの構成や動作は、一例を例示したものに過ぎず、各種の変更が許容される。
また、実施形態の構成に代えて、変動回数(外れ変動回数、リーチ外れ変動回数等)や遊技時間、遊技時間帯などによってイコライザ特性を変更してもよい。具体的には、SAC番号の再指定によって、イコライザ特性が変更される。
変更したイコライザ特性は、適宜なタイミングで最初の状態に戻すのが好ましいが、初期値に戻す条件としては、遊技者による遊技動作が検出されない場合や、イコライザ特性変更から所定時間の経過した場合や、利益状態の発生等を契機にして初期設定値に戻すようにしてもよい。この構成によれば、遊技者のイライラ感を緩和し、集客効果を高めることができる。