JP5619099B2 - 有機電界発光素子 - Google Patents
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Description
<1> 一対の電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層と陰極の間に、下記一般式(A−1)又は(B−1)で表される有機化合物を含有する層を有し、かつ前記発光層が少なくとも一種の電子輸送材料と少なくとも一種の正孔輸送材料を含有し、前記電子輸送材料と前記正孔輸送材料の少なくとも一方が発光材料であって、前記発光層において前記正孔輸送材料の濃度が、前記陽極から前記陰極に向かって減少していることを特徴とする有機電界発光素子。
<2> 前記発光層の前記陰極側界面付近の領域における前記正孔輸送材料の濃度が、前記発光層の前記陽極側界面付近の領域における正孔輸送材料の濃度に対して0%以上50%以下であることを特徴とする<1>に記載の有機電界発光素子。
<3> 前記一般式(A−1)又は(B−1)で表される有機化合物を含む層が前記発光層に接していることを特徴とする<1>又は<2>に記載の有機電界発光素子
<4> 前記正孔輸送材料が正孔輸送性発光材料であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
<5> 前記正孔輸送材料が正孔輸送性ホスト材料であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
<6> 前記電子輸送材料が電子輸送性発光材料であることを特徴とする<1>〜<3>及び<5>のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
<7> 前記電子輸送材料が電子輸送性ホスト材料であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
<8> 前記発光材料が3座以上の配位子を有する金属錯体であることを特徴とする<4>〜<6>のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
<9> 前記金属錯体が下記一般式(I)で表される金属錯体であることを特徴とする<8>に記載の有機電界発光素子:
<10> 前記3座以上の配位子を有する金属錯体が白金錯体であることを特徴とする<8>又は<9>に記載の有機電界発光素子。
特に、燐光発光材料を用いて高い発光効率で優れた駆動耐久性を有する有機EL素子が提供される。
好ましくは、前記発光層が燐光発光材料を含有する。
本発明の有機EL素子は基板上に陰極と陽極を有し、両電極の間に有機発光層(以下、単に「発光層」と称する場合がある)を含む有機化合物層を有する。発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は透明であることが好ましい。
本発明の有機化合物層の積層の形態としては、陽極側から、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の順に積層されている態様が好ましい。更に、正孔輸送層と陽極との間に正孔注入層、および電子輸送層と陰極との間に電子注入層を有しても良い。
本発明における一般式(A−1)又は(B−1)で表される有機化合物含有層は、陰極と発光層との間、好ましくは電子注入層もしくは電子輸送層と発光層との間に配される。
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層または正孔輸送性中間層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、電子輸送層または電子輸送性中間層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
本発明に於ける発光層は、少なくとも一種の電子輸送材料と少なくとも一種の正孔輸送材料とを含み、前記電子輸送材料と前記正孔輸送材料の少なくとも一方が発光材料であり、前記発光層における前記正孔輸送材料の濃度が陽極側から前記陰極側に向かって濃度が減少していることを特徴とする。
電子輸送材料としては電子輸送性発光材料もしくは電子輸送性ホスト材料が用いられる。正孔輸送材料としては正孔輸送性発光材料もしくは正孔輸送性ホスト材料が用いられる。
発光層の陰極側界面付近の領域における前記正孔輸送材料の濃度は、前発光層組成の0質量%以上50質量%以下が好ましく、より好ましくは0質量%以上25質量%以下である。
本発明に係る発光層中の発光材料は、電子輸送性であれば、蛍光発光材料でも、燐光発光材料であっても良い。
燐光発光材料としては、一般に、遷移金属原子又はランタノイド原子を含む錯体を挙げることができる。
遷移金属原子としては、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、及び白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、及び白金であり、更に好ましくはイリジウム、白金である。
ランタノイド原子としては、例えばランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテシウムが挙げられる。これらのランタノイド原子の中でも、ネオジム、ユーロピウム、及びガドリニウムが好ましい。
具体的な配位子としては、好ましくは、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、芳香族炭素環配位子(例えば、シクロペンタジエニルアニオン、ベンゼンアニオン、またはナフチルアニオンなど)、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、またはフェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトンなど)、カルボン酸配位子(例えば、酢酸配位子など)、アルコラト配位子(例えば、フェノラト配位子など)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子であり、より好ましくは、含窒素ヘテロ環配位子である。
上記錯体は、化合物中に遷移金属原子を一つ有してもよいし、また、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。異種の金属原子を同時に含有していてもよい。
蛍光性の発光性ドーパントとしては、一般には、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ピラン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物、縮合多環芳香族化合物(アントラセン、フェナントロリン、ピレン、ペリレン、ルブレン、又はペンタセンなど)、8−キノリノールの金属錯体、ピロメテン錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン、およびこれらの誘導体などを挙げることができる。
具体的には、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテシウム錯体が挙げられ、より好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、又は白金錯体であり、最も好ましくは白金錯体である。
白金錯体を以下に例示するが、本発明はこれらに限定されものではない。
本発明における3座以上の配位子を有する金属錯体について説明する。
1)金属イオン
該金属錯体において金属イオンに配位する原子は特に限定されないが、酸素原子、窒素原子、炭素原子、硫黄原子又はリン原子が好ましく、酸素原子、窒素原子又は炭素原子がより好ましく、窒素原子又は炭素原子が更に好ましい。
本発明における3座以上の配位子を有する金属錯体としては、発光効率向上、耐久性向上の観点から、3座以上6座以下の配位子を有する金属錯体が好ましく、イリジウムイオンに代表される6配位型錯体を形成しやすい金属イオンの場合には、3座、4座、または6座の配位子を有する金属錯体がより更好ましく、白金イオンに代表される4配位型錯体を形成しやすい金属イオンの場合には、3座または4座の配位子を有する金属錯体がより好ましく、4座の配位子を有する金属錯体が更に好ましい。
本発明における金属錯体の配位子は発光効率向上、耐久性向上の観点から、鎖状、又は、環状であることが好ましく、中心金属(例えば、後述する一般式(I)で表される化合物の場合であればM11を表す。)に窒素で配位する含窒素へテロ環(例えば、ピリジン環、キノリン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、またはトリアゾール環など)を少なくとも一つ有することが好ましい。該含窒素ヘテロ環としては、含窒素6員ヘテロ環、含窒素5員ヘテロ環であることがより好ましい。これらのヘテロ環は他の環と縮合環を形成してもよい。
本発明における金属錯体としては、以下に詳述する一般式(I)で表される有機化合物であることが好ましい。
先ず、一般式(I)で表される有機化合物について説明する。
Y11、Y12、およびY13はそれぞれ連結基、単結合、または二重結合を表す。また、Y11、Y12、又はY13が連結基である場合、L11とY12、Y12とL12、L12とY11、Y11とL13、L13とY13、Y13とL14の間の結合は、それぞれ独立に、単結合又は二重結合を表す。n11は0〜4を表す。M11とL11〜L15との結合は、それぞれ配位結合、イオン結合、共有結合のいずれでもよい。
一般式(I)中、M11は金属イオンを表す。金属イオンとしては特に限定されないが、2価または3価の金属イオンが好ましい。2価または3価の金属イオンとしては、白金イオン、イリジウムイオン、レニウムイオン、パラジウムイオン、ロジウムイオン、ルテニウムイオン、銅イオン、ユーロピウムイオン、ガドリニウムイオン、テルビウムイオンが好ましく、白金イオン、イリジウムイオン、またはユーロピウムイオンがより好ましく、白金イオン、イリジウムイオンがさらに好ましく、白金イオンが特に好ましい。
L11、Y12、L12、Y11、L13、Y13、及びL14から成る配位子は、アニオン性配位子(少なくとも一つのアニオンが金属と結合する配位子)であることが好ましい。アニオン性配位子中のアニオンの数は、1〜3が好ましく、1、2がより好ましく、2がさらに好ましい。
本発明において用いられる正孔輸送性発光材料としては、正孔輸送性蛍光発光材料、正孔輸送性燐光発光材料を用いることができるが、好ましくは正孔輸送性燐光発光材料である。
本発明に於ける正孔輸送性発光材料について説明する。
本発明に用いられる電子輸送性ホスト材料としては、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、電子親和力Eaが2.5eV以上3.5eV以下であることが好ましく、2.6eV以上3.4eV以下であることがより好ましく、2.8eV以上3.3eV以下であることが更に好ましい。また、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、イオン化ポテンシャルIpが5.7eV以上7.5eV以下であることが好ましく、5.8eV以上7.0eV以下であることがより好ましく、5.9eV以上6.5eV以下であることが更に好ましい。
金属錯体中の金属イオンは特に限定されないが、好ましくはベリリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、インジウムイオン、錫イオン、白金イオン、またはパラジウムイオンであり、より好ましくはベリリウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、白金イオン、またはパラジウムイオンであり、更に好ましくはアルミニウムイオン、亜鉛イオン、白金イオンまたはパラジウムイオンである。
配位子としては、例えばアジン配位子(例えば、ピリジン配位子、ビピリジル配位子、ターピリジン配位子などが挙げられる。)、ヒドロキシフェニルアゾール配位子(例えば、ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール配位子、ヒドロキシフェニルベンズオキサゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾピリジン配位子などが挙げられる。)、アルコキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、2,4,6−トリメチルフェニルオキシ、4−ビフェニルオキシなどが挙げられる。)、
本発明の発光層に用いられる正孔輸送性ホスト材料としては、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、イオン化ポテンシャルIpが5.1eV以上6.4eV以下であることが好ましく、5.4eV以上6.2eV以下であることがより好ましく、5.6eV以上6.0eV以下であることが更に好ましい。また、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、電子親和力Eaが1.2eV以上3.1eV以下であることが好ましく、1.4eV以上3.0eV以下であることがより好ましく、1.8eV以上2.8eV以下であることが更に好ましい。
中でも、インドール誘導体、カルバゾール誘導体、アザインドール誘導体、アザカルバゾール誘導体、芳香族第三級アミン化合物、チオフェン誘導体が好ましく、特に分子内にインドール骨格、カルバゾール骨格、アザインドール骨格、アザカルバゾール骨格および芳香族第三級アミン骨格の少なくとも一方を複数個有するものが好ましい。
このような正孔輸送性ホスト材料としての具体的化合物としては、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明に於ける正孔輸送性ホスト材料および電子輸送性発光材料の混合比率は、十分な発光強度を得つつ会合発光や濃度消光、正孔が発光層から漏れ出ることを抑制する観点から、発光層の総計として、質量比でa95:5〜50:50が好ましく、b90:10〜70:30がより好ましい。
−電子輸送性ホスト材料および正孔輸送性発光材料の混合比−
本発明に於ける電子輸送性ホスト材料および正孔輸送性発光材料の混合比率は、十分な発光強度を得つつ会合発光や濃度消光、正孔が発光層から漏れ出ることを抑制する観点から、発光層の総計として、質量比でc5:95〜50:50が好ましく、d10:90〜30:70がより好ましい。
発光層の膜厚としては、輝度ムラ、駆動電圧、輝度の観点から、0.03μm以上0.5μm以下であることが好ましく、0.06μm以上0.4μm以下であることが好ましい。発光層の膜厚が薄いと、高輝度で低い電圧での駆動が可能となるが、素子抵抗が小さくなることで、電圧低下による輝度変化の影響を受けやすくなり、輝度ムラの増加を招く結果となる。発光層の膜厚が厚いと、駆動電圧が高くなり、発光効率の低下を招き、用途を限定する原因となってしまう。
発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。また、発光層が積層構造である場合については、積層構造を構成する各層の膜厚は特に限定されないが、各発光層の合計膜厚が前述の範囲になるようにすることが好ましい。
本発明における一般式(A−1)又は(B−1)で表される有機化合物含有層は、陰極と発光層との間、好ましくは電子注入層もしくは電子輸送層と発光層との間に配される。
本発明における一般式(A−1)又は(B−1)で表される有機化合物含有層は、本発明における正孔輸送性材料が濃度傾斜して含有される発光層と隣接して配されることによって、高い電子輸送性を有し、駆動電圧を低下させ、発光効率の向上させるとともに高い駆動耐久性を実現することが出来る。
本発明にぉける一般式(A−1)または(B−1)で表される有機化合物について説明する。
一般式(A−1)におけるLA1は、連結基を表す。LA1で表される連結基としては、好ましくは、単結合の他、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子、酸素原子、ホウ素原子、又はゲルマニウム原子等で形成される連結基であり、より好ましくは単結合、炭素原子、ケイ素原子、ホウ素原子、酸素原子、硫黄原子、ゲルマニウム原子、芳香族炭化水素環、又は芳香族ヘテロ環であり、さらに好ましくは炭素原子、ケイ素原子、芳香族炭化水素環、又は芳香族ヘテロ環であり、さらに好ましくは、二価以上の芳香族炭化水素環、二価以上の芳香族ヘテロ環、又は炭素原子であり、さらに好ましくは、二価以上の芳香族炭化水素環、二価以上の芳香族ヘテロ環であり、特に好ましくは1,3,5−ベンゼントリイル基、1,2,5,6−ベンゼンテトライル基、1,2,3,4,5,6−ベンゼンヘキサイル基、2,2’−ジメチル−4,4’−ビフェニレン基、2,4,6−ピリジントリイル基、2,3,4,5,6−ピリジンペンタイル基、2,4,6−ピリミジントリイル基、2,4,6−トリアジントリイル基、又は2,3,4,5−チオフェンテトライル基である。LA1で表される連結基の具体例としては以下のものが挙げられる。
nA1は2以上の整数を表し、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜6を表す。
一般式(B−1)におけるLB1は、連結基を表す。LB1で表される連結基としては、一般式(A−1)における連結基LA1の具体例として挙げたものが適用でき、LB1として好ましくは、単結合、二価以上の芳香族炭化水素環、二価以上の芳香族ヘテロ環、炭素原子、窒素原子、又はケイ素原子であり、より好ましくは、二価以上の芳香族炭化水素環、二価以上の芳香族ヘテロ環であり、さらに好ましくは1,3,5−ベンゼントリイル基、1,2,5,6−ベンゼンテトライル基、1,2,3,4,5,6−ベンゼンヘキサイル基、2,2’−ジメチル−4,4’−ビフェニレン基、2,4,6−ピリジントリイル基、2,3,4,5,6−ピリジンペンタイル基、2,4,6−ピリミジントリイル基、2,4,6−トリアジントリイル基、2,3,4,5−チオフェンテトライル基、炭素原子、窒素原子、又はケイ素原子である。
LB1はさらに置換基を有していてもよく、置換基としては例えば一般式(A−1)におけるLA1の置換基として挙げたものが適用でき、好ましい範囲も同様である。
ZB1が形成する芳香族ヘテロ環は、単環または二環以上の環が縮合した縮合環のヘテロ環であり、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜10の芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環として好ましくは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子の少なくとも一つを含む芳香族ヘテロ環である。
nB1は2以上の整数を表し、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜6を表す。
該電子移動度は、TOF(Time of Flight)法から求めることができる。
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いる正孔注入材料、正孔輸送材料は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
具体的には、ピロール誘導体、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、インドール誘導体、アザインドール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、チオフェン誘導体、有機シラン誘導体、カーボン、等を含有する層であることが好ましい。
この他にも、特開平6−212153、特開平11−111463、特開平11−251067、特開2000−196140、特開2000−286054、特開2000−315580、特開2001−102175、特開2001−160493、特開2002−252085、特開2002−56985、特開2003−157981、特開2003−217862、特開2003−229278、特開2004−342614、特開2005−72012、特開2005−166637、特開2005−209643等に記載の化合物を好適に用いることが出来る。
電子受容性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、正孔輸送層材料に対して0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.05質量%〜20質量%であることが更に好ましく、0.1質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
正孔輸送層の厚さとしては、1nm〜200nmであるのが好ましく、5nm〜100nmであるのがより好ましく、10nm〜60nmであるのが更に好ましい。また、正孔注入層の厚さとしては、0.1nm〜500nmであるのが好ましく、0.5nm〜300nmであるのがより好ましく、1nm〜200nmであるのが更に好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いる電子注入材料、電子輸送材料は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
具体的には、ピリジン誘導体、キノリン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、フタラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、トリアジン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、シロールに代表される有機シラン誘導体、等を含有する層であることが好ましい。
この他にも、特開平6−212153、特開2000−196140、特開2003−68468、特開2003−229278、特開2004−342614等に記載の材料を用いることが出来る。
電子供与性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、電子輸送層材料に対して0.1質量%〜99質量%であることが好ましく、1.0質量%〜80質量%であることが更に好ましく、2.0質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
電子輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、電子注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.1nm〜50nmであるのがより好ましく、0.5nm〜20nmであるのが更に好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
本発明で使用する基板としては、有機化合物層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。その具体例としては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料が挙げられる。
例えば、基板としてガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合には、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
熱可塑性基板を用いる場合には、更に必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
(陽極)
陽極は、通常、有機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
陰極は、通常、有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
また、陰極と前記有機化合物層との間に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1nm〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、一種の電子注入層と見ることもできる。誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
また、陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、陰極の材料を1nm〜10nmの厚さに薄く成膜し、更にITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。
その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al2O3、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2O3、Y2O3、TiO2等の金属酸化物、SiNx、SiNxOy等の金属窒化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
さらに、本発明の有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
また、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書、等に記載の駆動方法を適用することができる。
本発明における有機EL素子は、共振器構造を有しても良い。例えば、透明基板上に、屈折率の異なる複数の積層膜よりなる多層膜ミラー、透明または半透明電極、発光層、および金属電極を重ね合わせて有する。発光層で生じた光は多層膜ミラーと金属電極を反射板としてその間で反射を繰り返し共振する。
別の好ましい態様では、透明基板上に、透明または半透明電極と金属電極がそれぞれ反射板として機能して、発光層で生じた光はその間で反射を繰り返し共振する。
共振構造を形成するためには、2つの反射板の有効屈折率、反射板間の各層の屈折率と厚みから決定される光路長を所望の共振波長の得るのに最適な値となるよう調整される。
第一の態様の場合の計算式は特開平9−180883号明細書に記載されている。第2の態様の場合の計算式は特開2004−127795号明細書に記載されている。
本発明の有機EL素子の用途は特に限定されないが、携帯電話ディスプレイ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、コンピュータディスプレイ、自動車の情報ディスプレイ、TVモニター、あるいは一般照明等広い分野に適用できる。
1.有機EL素子の作製
(本発明の有機EL素子1の作製)
0.5mm厚み、2.5cm角の酸化インジウム錫(ITOと略記)を蒸着したガラス基板(ジオマテック(株)製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極上に真空蒸着法にて以下の層を蒸着した。本発明の実施例における蒸着速度は特に断りのない場合は0.2nm/秒である。蒸着速度は水晶振動子を用いて測定した。以下に記載の膜厚も水晶振動子を用いて測定したものである。
正孔輸送層:N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(α−NPDと略記する)、厚み10nm。
電子輸送層:本発明の一般式(A−1)の有機化合物ETA−1を厚み40nmに蒸着した。
電子注入層:LiF、厚み1nm。
各層はいずれも抵抗加熱真空蒸着により設けた。
有機EL素子1において、電子輸送層の有機化合物ETA−1をETA−2に変更し、その他は有機EL素子1と同様にして有機EL素子2を作製した。
有機EL素子1において、電子輸送層の有機化合物ETA−1をETA−3に変更し、その他は有機EL素子1と同様にして有機EL素子3を作製した。
有機EL素子1において、電子輸送層の有機化合物ETA−1をETA−4に変更し、その他は有機EL素子1と同様にして有機EL素子4を作製した。
有機EL素子1において、電子輸送層の有機化合物ETA−1をETA−5に変更し、その他は有機EL素子1と同様にして有機EL素子5を作製した。
有機EL素子1において、電子輸送層の有機化合物ETA−1をETA−6に変更し、その他は有機EL素子1と同様にして有機EL素子6を作製した。
有機EL素子1において、発光層を下記に変更し、その他は有機EL素子1と同様にして有機EL素子7を作製した。
発光層:正孔輸送性ホスト材料mCPと電子輸送性発光材料Pt−1を共蒸着し、これらの共蒸着比を蒸着初期の陽極側界面ではmCPの混合比率が100質量%、蒸着終了段階の電子輸送層と近接する領域では混合比率が10質量%となるように各成分の蒸着速度を調整した。これらの界面の間では連続的に各成分の混合比率を変化させた。発光層の膜厚は60nmであった。
有機EL素子1において、発光層を下記に変更し、その他は有機EL素子1と同様にして有機EL素子8を作製した。
発光層:正孔輸送性ホスト材料mCPと電子輸送性発光材料Pt−1を共蒸着し、これらの共蒸着比を蒸着初期の陽極側界面ではmCPの混合比率が100質量%、蒸着終了段階の電子輸送層と近接する領域では混合比率が50質量%となるように各成分の蒸着速度を調整した。これらの界面の間では連続的に各成分の混合比率を変化させた。発光層の膜厚は60nmであった。
有機EL素子1において、発光層を下記に変更し、その他は有機EL素子1と同様にして有機EL素子9を作製した。
発光層:正孔輸送性ホスト材料mCPと電子輸送性発光材料Pt−1を共蒸着し、これらの共蒸着比を蒸着初期の陽極側界面ではmCPの混合比率が100質量%、蒸着終了段階の電子輸送層と近接する領域では混合比率が75質量%となるように各成分の蒸着速度を調整した。これらの界面の間では連続的に各成分の混合比率を変化させた。発光層の膜厚は60nmであった。
有機EL素子1において、発光層を下記に変更し、その他は有機EL素子1と同様にして有機EL素子10を作製した。
有機EL素子1において、発光層を下記に変更した。その他は有機EL素子1と同様にして比較の有機EL素子Aを作製した。
本発明の有機EL素子1において、電子輸送層を下記に変更し、さらに発光層と電子輸送層との間に下記正孔ブロック層を設けた。その他は本発明の有機EL素子1と同様にして比較の有機EL素子Bを作製した。
電子輸送層:トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(Alq3と略記する)、厚み40nm。
有機EL素子10において、電子輸送層を下記に変更し、さらに発光層と電子輸送層との間に下記正孔ブロック層を設けた。その他は有機EL素子2と同様にして比較の有機EL素子Cを作製した。
電子輸送層:トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(Alq3と略記する)、厚み60nm。
得られた比較有機EL素子、参考の有機EL素子および本発明の有機EL素子を同一条件で下記の手段によって外部量子効率および駆動耐久性を測定した。
輝度360cd/m2に達する直流電圧を駆動電圧とした。
作製した発光素子をKEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を発光素子に印加し発光させた。本発明及び参考の素子1から9と比較の素子A,Bは青色発光を示した。参考の素子10と比較の素子Cは、赤色発光を示した。
電圧を調整して、輝度360cd/m2になるように発光させ、その発光スペクトルと光量をトプコン社製輝度計SR−3を用いて測定し、発光スペクトル、光量と測定時の電流から外部量子効率を計算した。
各素子を輝度360cd/m2になるように直流電圧を印加し、連続駆動して輝度が180cd/m2になるまでの輝度半減時間を測定した。この輝度半減時間をもってして駆動耐久性の指標とした。
本発明及び参考の素子1から9と比較の素子A,Bは共に発光材料として電子輸送性発光材料Pt−1を用いているが、本発明の素子1は駆動耐久性が顕著に改良された。比較の素子Bに比べて比較の素子Aは駆動電圧が低下したが、駆動耐久性が劣化した。それに対して本発明及び参考の素子1から9は比較の素子Aと同等の低い駆動電圧で、極めて高い駆動耐久性を示した。
一方、正孔輸送性発光材料Ir(piq)3を用いた参考の素子10と比較の素子Cを比較すると、参考の素子10は駆動電圧が約1/2以下に低下し駆動耐久性も大きく向上した。
以上の結果から本発明により、駆動電圧が大幅に低下し、かつ発光効率、耐久性も大幅に向上した極めて優れた発光素子を得ることができることがわかった。
Claims (2)
- 陽極及び陰極からなる一対の電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層と陰極の間に、下記式ETA−1又はETA−2で表される有機化合物を含有する層を有し、かつ前記発光層が下記式Pt−1で表される電子輸送材料と下記式mCPで表される正孔輸送材料を含有し、前記発光層において前記正孔輸送材料の濃度が、前記陽極から前記陰極に向かって減少し、前記発光層の前記陰極側界面付近の領域における前記正孔輸送材料の濃度が、前記発光層の前記陽極側界面付近の領域における前記正孔輸送材料の濃度に対して0%以上50%以下であることを特徴とする有機電界発光素子。
- 前記式ETA−1又はETA−2で表される有機化合物を含む層が前記発光層に接していることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
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