以下、図面を参照して、実施形態に基づき本発明を説明する。本発明は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値や材料は例示である。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本発明に係る立体画像表示装置およびその駆動方法、全般に関する説明
2.各実施形態に用いられる立体画像表示装置の説明
3.逆視の軽減を行わないときの立体画像表示装置の動作の説明
4.参考例の実施形態および第1の実施形態
5.第2の実施形態
6.第3の実施形態
7.第4の実施形態
8.第5の実施形態
9.第6の実施形態
10.第7の実施形態
11.第8の実施形態(その他)
[本発明の立体画像表示装置、全般に関する説明]
本発明の立体画像表示装置として、複数の視点用の画像データに基づいて各視点用の画像を表示し、複数の観察領域のそれぞれにおいて各視点用の画像を観察することができる立体画像表示装置を広く用いることができる。
上述したように、本発明に係る立体画像表示装置においては、観察領域の端部付近において逆視関係となる画像の対の双方若しくは一方を、第1画像データと、第1画像データとは異なる第2画像データと第1画像データとの間の視差の関係に基づいて第1画像データ及び第2画像データの値に重み付けをして加算した加算画像データとを用いて表示する。これによって、逆視関係となる画像の対の間での視差量の絶対値を小さくすることができるので、観察領域の端部付近における逆視の程度を緩和することができる。
第2画像データと第1画像データとの間の視差の関係として、例えば、画像データの視差量の分布(ヒストグラム)を利用するといった構成とすることができる。データ処理を迅速に行うといった観点からは、加算画像データは、第1画像データと第2画像データの各データ間の視差量に基づいて第1画像データ及び第2画像データの値に重み付けをして加算することによって生成されている構成とすることが好ましい。
加算画像データの値は、視差量が例えば0のときは第1画像データの値に一致し、視差量が大きくなると第1画像データの値から第2画像データの値に向かって近づき、視差量がある閾値を超えると第2画像データの値と一致するように、第1画像データ及び第2画像データの値に重み付けをして加算した値となる構成とすることが好ましい。
立体画像表示装置の構成の簡略化の観点からは、第1画像データ及び第2画像データのそれぞれは、異なる視点用の画像データである構成とする構成とすることが好ましいが、これに限るものではない。例えば、視点用の画像データの一部若しくは全部を改変した画像データや、仮想的な視点に対応する画像データ等を別途生成し、これらを第1画像データ及び第2画像データとして用いるといった構成とすることもできる。
本発明に係る立体画像表示装置においては、画像の対の双方若しくは一方を、第1画像データと加算画像データとを組み合わせたデータに基づいて表示する構成とすることができる。この場合において、第1画像データと加算画像データとを組み合わせたデータに基づいて表示される画像は、第1画像データの画像の要素と加算画像データの画像の要素が交互にストライプ状に配列されて成る構成とすることがきるし、あるいは又、第1画像データの画像の要素と加算画像データの画像の要素が市松模様状に配列されて成る構成とすることができる。
画像の要素が交互にストライプ状に配列されて成る構成として、画像の要素が画素列単位若しくは画素行単位に交互に配列される構成や、隣接する複数の画素列から成る画素列群若しくは隣接する複数の画素行から成る画素行群単位で交互に配列される構成を例示することができる。また、画像の要素が市松模様状に配列されて成る構成として、画像の要素が画素単位で市松模様状に配列される構成や、複数の画素から成る画素群単位で市松模様状に配列される構成を例示することができる。
あるいは又、本発明に係る立体画像表示装置においては、画像の対の双方若しくは一方を、第1画像データと加算画像データとを平均したデータに基づいて表示する構成とすることができる。尚、「第1画像データと加算画像データとを平均したデータ」とは、同一の画素に対応するデータ同士を平均したデータの集合を意味する。また、「平均」とは、相加平均(算術平均)に限定するものではなく、例えば、加重平均であってもよい。加重平均を行う場合の重み係数は、立体画像表示装置の設計に応じて、適宜好適な値を選択すればよい。
立体画像表示装置が、多視点用画像を表示する画像表示部と、画像表示部に表示される多視点用画像を分離して各観察領域において各視点用の画像を観察可能とする光学分離部を備えている場合には、画像表示部と画像観察者との間に光学分離部が配置される構成であってもよいし、画像表示部と照明部との間に光学分離部が配置される構成であってもよい。前者の場合には、画像表示部として、液晶表示パネル、エレクトロルミネッセンス表示パネル、プラズマ表示パネル等といった、広く周知の表示装置を用いることができる。後者の場合には、画像表示部として、例えば透過型液晶表示パネルといった周知の透過型表示パネルを用いることができる。画像表示部は、モノクロ表示であってもよいし、カラー表示であってもよい。
光学分離部の構成や配置等は、立体画像表示装置の仕様等に応じて適宜設定すればよい。光学分離部としてパララックスバリアを用いる場合には、固定的なパララックスバリアを用いてもよいし、動的に切り替え可能なパララックスバリアを用いてもよい。
固定的なパララックスバリアは、アクリル系樹脂・ポリカーボネート樹脂(PC)・ABS樹脂・ポリメタクリル酸メチル(PMMA)・ポリアリレート樹脂(PAR)・ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)・ガラスなどといった周知の透明な材料から成る基材を用いて、フォトリソグラフ法とエッチング法との組合せ、スクリーン印刷法・インクジェット印刷法・メタルマスク印刷法といった各種印刷法、メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法)、リフトオフ法等の周知の方法により形成することができる。一方、動的に切り替え可能なパララックスバリアは、例えば、液晶材料層を備えた電気的に切り替え可能なライトバルブによって構成することができる。液晶材料層を用いたライトバルブを構成する材料の種類や、液晶材料層の動作モードは特に限定するものではない。場合によっては、モノクロ表示の液晶表示パネルを動的なパララックスバリアとして用いることもできる。パララックスバリアの開口部の大きさや配列ピッチ等は、立体画像表示装置の仕様等に応じて適宜設定すればよい。
また、光学分離部としてレンズシートを用いる場合、レンズシートの構成や構造は特に限定するものではない。例えば、上述した周知の透明な材料等を用いて一体的に成型されているレンズシートを用いてもよいし、上述した材料等から成るシート状の基材の上に例えば感光性の樹脂材料等を用いてレンズ列が形成されているレンズシートを用いてもよい。レンズ列の光学パワーや、レンズ列のピッチ等は、立体画像表示装置の仕様等に応じて適宜設定すればよい。
立体画像表示装置が透過型表示パネルと照明部とを備えている構成にあっては、広く周知の照明部を用いることができる。照明部の構成は、特に限定するものではない。一般に、照明部は、光源、プリズムシート、拡散シート、導光板等といった周知の部材から構成することができる。
後述する各実施形態においては、アクティブマトリクス方式の透過型カラー液晶表示パネルを画像表示部として用い、固定的なパララックスバリアを光学分離部として用いる。また、実施形態にあっては、光学分離部が画像表示部と照明部との間に配置されているとして説明するが、本発明はこの構造に限るものではない。
液晶表示パネルは、例えば、透明第1電極を備えたフロント・パネル、透明第2電極を備えたリア・パネル、及び、フロント・パネルとリア・パネルとの間に配置された液晶材料から成る。
ここで、フロント・パネルは、より具体的には、例えば、ガラス基板から成る第1の基板と、第1の基板の内面に設けられた透明第1電極(共通電極とも呼ばれ、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)から成る)と、第1の基板の外面に設けられた偏光フィルムとから構成されている。更には、カラー液晶表示パネルでは、フロント・パネルは、第1の基板の内面に、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂から成るオーバーコート層によって被覆されたカラーフィルターが設けられ、オーバーコート層上に透明第1電極が形成された構成を有している。透明第1電極上には配向膜が形成されている。カラーフィルターの配置パターンとして、デルタ配列、ストライプ配列、ダイアゴナル配列、レクタングル配列を挙げることができる。
一方、リア・パネルは、より具体的には、例えば、ガラス基板から成る第2の基板と、第2の基板の内面に形成されたスイッチング素子と、スイッチング素子によって導通/非導通が制御される透明第2電極(画素電極とも呼ばれ、例えば、ITOから成る)と、第2の基板の外面に設けられた偏光フィルムとから構成されている。透明第2電極を含む全面には配向膜が形成されている。これらの透過型の液晶表示パネルを構成する各種の部材や液晶材料は、周知の部材、材料から構成することができる。尚、スイッチング素子として、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)などの3端子素子や、MIM(Metal Insulator Metal)素子・バリスタ素子・ダイオードなどの2端子素子を例示することができる。
尚、カラー液晶表示パネルでは、透明第1電極と透明第2電極の重複領域であって液晶セルを含む領域が1副画素(サブピクセル)に該当する。そして、赤色発光副画素は、係る領域と赤色を透過するカラーフィルターとの組合せから構成され、緑色発光副画素は、係る領域と緑色を透過するカラーフィルターとの組合せから構成され、青色発光副画素は、係る領域と青色を透過するカラーフィルターとの組合せから構成されている。赤色発光副画素、緑色発光副画素、及び、青色発光副画素の配置パターンは、上述したカラーフィルターの配置パターンと一致する。
更には、これらの3種の副画素に更に1種類あるいは複数種類の副画素を備えた構成であってもよい。例えば、輝度向上のために白色光を発光する副画素、色再現範囲を拡大するために補色を発光する副画素、色再現範囲を拡大するためにイエローを発光する副画素、色再現範囲を拡大するためにイエロー及びシアンを発光する副画素を備えていてもよい。
画像表示部が通常の平面画像を表示すると仮定したときの画素(ピクセル)の数M0×N0を(M0,N0)で表記したとき、(M0,N0)の値として、具体的には、VGA(640,480)、S−VGA(800,600)、XGA(1024,768)、APRC(1152,900)、S−XGA(1280,1024)、U−XGA(1600,1200)、HD−TV(1920,1080)、Q−XGA(2048,1536)の他、(1920,1035)、(720,480)、(1280,960)等、画像表示用解像度の幾つかを例示することができるが、これらの値に限定するものではない。
画像表示部を駆動する駆動手段は、例えば、画像信号処理部、タイミング制御部、データドライバ及びゲートドライバ等の種々の回路から構成することができる。これらは周知の回路素子等を用いて構成することができる。
[各実施形態に用いられる立体画像表示装置の説明]
図1は、後述する各実施形態に用いられる立体画像表示装置を仮想的に分離したときの模式的な斜視図である。
図1に示すように、立体画像表示装置1は、画像表示部10、画像表示部10を背面から照射する照明部20、及び、画像表示部10と照明部20との間に配置され、画像表示部10に表示される多視点用画像を分離して各観察領域WAL,WAC,WARにおいて各視点用の画像を観察可能とする光学分離部30を備えている。尚、観察領域WAL,WAC,WARを纏めて「観察領域WA」と表す場合がある。
画像表示部10は、視点A1乃至視点A9用の多視点用画像を表示する。駆動手段100は、各視点に対応する画像データD1乃至D9を基に多視点画像表示データを生成し、画像表示部10を駆動する。駆動手段100の動作については、後ほど図9乃至図14を参照して詳しく説明する。
画像表示部10の表示領域11には、水平方向(図においてX方向)にM個、垂直方向(図においてY方向)にN個、合計M×N個の副画素12が配列されている。第m列(但し、m=1,2・・・,M)、第n行目(但し、n=1,2・・・,N)の副画素12を、第(m,n)番目の副画素12あるいは副画素12(m,n)と表す。また、第m列目の副画素12を、副画素12mと表す場合がある。
画像表示部10は、アクティブマトリクス方式のカラー液晶表示パネルから成る。副画素12は、第1列目が赤色発光副画素、第2列目が緑色発光副画素、第3列目が青色発光副画素といった順で配列されており、第4列目以降も同様の順を繰り返すように配列されている。即ち、第m列目の副画素は、「m−1」を3で除したときの剰余が0であれば赤色発光副画素、剰余が1であれば緑色発光副画素、剰余が2であれば青色発光副画素である。
画像表示部10が通常の平面画像を表示すると仮定したときの画素の数(M0,N0)は、例えば(1920,1080)である。この場合において通常の平面画像の画素が水平方向に並ぶ赤色発光副画素、緑色発光副画素および青色発光副画素の組から構成されるとすれば、M=M0×3、N=N0である。即ち、上述の例では、M=5760、N=1080である。
画像表示部10は、観察領域WA側のフロント・パネル、光学分離部30側のリア・パネル、フロント・パネルとリア・パネルとの間に配置された液晶材料等から構成されている。図示の都合上、図1においては画像表示部10を1枚のパネルとして表した。
光学分離部30は、実質的に垂直方向(図においてY方向)に複数並んで配置される開口部31から成る開口列と、開口列と開口列の間に位置する遮光部32とを備えている。そして、上述した開口列が、水平方向(図においてX方向)に複数(P個)並んで配列されている。第p列目(但し、p=1,2・・・,P)の開口列を構成する開口部31を、開口部31pと表す。後で詳しく説明するように、「M」と「P」とは、M≒P×9といった関係にある。
開口列は、基本的にはN個の開口部31から構成されている。後述するように、開口列の延びる方向とY方向とは若干の角度を成している。このため、端部に位置する開口列はN個未満の開口部31から構成されている。
光学分離部30は、例えばPETフィルム上に、黒色顔料を含有した感光性材料層を形成した後、フォトリソグラフ法とエッチング法との組合せにより遮光部32を残して感光性材料層を除去することにより構成した。感光性材料層が除去された部分が、開口部31となる。
尚、後述する図3乃至図7においては、光学分離部30の基材となるPETフィルムの図示を省略し、開口部31と遮光部32とを模式的に示した。また、遮光状態と透過状態を明確化するために、遮光部32を黒く表示した。
照明部20は、光源、プリズムシート、拡散シート、導光板等といった部材(これらは図示せず)から構成されている。拡散シート等を介した拡散光が、発光面21から画像表示部10の背面に向かって照射される。光学分離部30によって、照明部20の光の一部が遮光されると、画像表示部10に表示される画像が複数の視点用の画像に分離される。
光学分離部30の開口部31を透過した照明部20の光が透過型液晶パネル10に入射する際、一部の光は反射して光学分離部30を照らす。光学分離部30を照らす光によって視差画像の指向性が低下するといった場合には、画像表示部10の光学分離部30側の面上に反射防止膜を設ければよい。あるいは又、光学分離部30の画像表示部10側の面上に反射防止膜を設けてもよい。この場合には、遮光部32に対応する部分にのみ反射防止膜を設けることが好ましい。反射防止膜の構成は特に限定するものではなく、広く周知の反射防止膜を用いることができる。
光学分離部30と画像表示部10との間の距離、図のX方向における副画素12のピッチ(以下、単に、副画素ピッチと呼ぶ場合がある)、及び、図のX方向における開口部31のピッチ(以下、単に、開口部ピッチと呼ぶ場合がある)は、立体画像表示装置1の仕様上定めた観察領域WAにおいて好ましい立体画像が観察できる条件を満たすように設定されている。この条件について具体的に説明する。
各実施形態において、立体画像表示装置に表示される画像の視点数は、図1に示す各観察領域WAL,WAC,WARにおいて、それぞれ、視点A1,A2・・・,A9の9つであるとして説明するが、これに限るものではない。観察領域の個数や視点の数は、立体画像表示装置の設計に応じて適宜設定することができる。尚、図示の都合上、図1、図3乃至図7、後述する図44及び図46においては、観察領域WAL,WARの一部の視点の図示を省略した。
図2は、立体画像表示装置における開口部と副画素との配置関係を説明するための、光学分離部及び表示領域の一部の模式的な平面図である。
図2に示すように、第n行目の副画素12に対応する開口部31に対し、第(n+1)行目の副画素12に対応する開口部31は、副画素12の略ピッチ分−X方向にシフトして配置されている。従って、開口列の延びる方向とY方向とは若干の角度を成している。尚、図示の都合上、図2にあっては開口部31のX方向の幅を副画素12のピッチの幅と同じ長さとして表したが、これは例示に過ぎない。
図2及び後述する図8にあっては、赤色発光副画素、緑色発光副画素および青色発光副画素を、それぞれ、符号R,G,Bを用いて表した。
説明の都合上、図2乃至図8を参照して行う説明にあっては、第m列、第n行目の副画素12は赤色発光副画素であり、その中点は、第p列目の開口部31pの中心を通りZ方向に延びる仮想直線上に位置するものとする。
図3は、図1に示す観察領域における視点A1乃至A9と、画像表示部と、光学分離部と、照明部との配置関係を説明するための模式的な平面図である。より具体的には、図3は、上述した仮想直線を含みX−Z平面に平行な仮想平面上における、視点A1乃至A9と、画像表示部と、光学分離部と、照明部との配置関係を示した図である。
副画素ピッチをND[mm]と表し、開口部ピッチをRD[mm]と表す。開口部31と画像表示部10との間の距離をZ1[mm]と表し、画像表示部10と観察領域WAL,WAC,WARとの間の距離をZ2[mm]と表す。また、観察領域WAL,WAC,WARにおいて隣接する視点間の距離をDP[mm]と表す。
開口部31の幅を符号PWと表し、遮光部32の幅を符号SWと表せば、開口部ピッチRD=SW+PWといった関係にある。定性的には、PW/RD=PW/(SW+PW)の値を小さくするほど、各視点用の画像の指向性は向上するが、観察される画像の輝度は低下する。PW/RDの値は、立体画像表示装置の仕様に応じて、適宜好ましい値に設定すればよい。
副画素12(m-4,n),12(m-3,n)・・・,12(m+4,n)を透過する開口部31pからの光のそれぞれが、中央の観察領域WACの視点A1,A2・・・,A9に向かう条件について考察する。説明の都合上、開口部31の幅PWは充分小さいとし、開口部31の中心を通る光の軌道に注目して説明する。
図4は、副画素からの光が中央の観察領域の視点A1乃至A9に向かうために満たす条件を説明するための模式図である。
開口部31pの中心を通りZ方向に延びる仮想直線を基準として、副画素12(m-4,n)の中心までの距離を符号X1で表し、中央の観察領域WACの視点A1までの距離を符号X2と表す。開口部31pからの光が副画素12(m-4,n)を透過して観察領域WACの視点A1に向かうとき、幾何学的な相似関係から、以下の式(1)に示す条件を満たす。
Z1:X1=(Z1+Z2):X2 (1)
ここで、X1=4×ND、X2=4×DPであるので、これらを反映すると、式(1)は、以下の式(1’)のように表される。
Z1:4×ND=(Z1+Z2):4×DP (1’)
上述した式(1’)を満たせば、副画素12(m-3,n),12(m-2,n)・・・,12(m+4,n)を透過する開口部31pからの光も、それぞれ、観察領域WACの視点A2,A3・・・,A9に向かうといったことは、幾何学的に明らかである。
図5は、副画素からの光が右側の観察領域の視点A1乃至A9に向かうために満たす条件を説明するための模式図である。
副画素12(m-4,n),12(m-3,n)・・・,12(m+4,n)を透過する開口部31p-1からの光のそれぞれが、右側の観察領域WARの視点A1,A2・・・,A9に向かう条件について考察する。
開口部31p-1の中心を通りZ方向に延びる仮想直線を基準として、副画素12(m-4,n)の中心までの距離を符号X3で表し、右側の観察領域WARの視点A1までの距離を符号X4と表す。開口部31p-1からの光が副画素12(m-4,n)を透過して観察領域WARの視点A1に向かうためには、幾何学的な相似関係から、以下の式(2)に示す条件を満たす。
Z1:X3=(Z1+Z2):X4 (2)
ここで、X3=RD−X1=RD−4×ND、X4=RD+5×DPであるので、これらを反映すると、式(2)は、以下の式(2’)のように表される。
Z1:(RD−4×ND)=(Z1+Z2):(RD+5×DP) (2’)
上述した式(2’)を満たせば、副画素12(m-3,n),12(m-2,n)・・・,12(m+4,n)を透過する開口部31p+1からの光も、それぞれ、観察領域WARの視点A2,A3・・・,A9に向かうといったことは、幾何学的に明らかである。
尚、副画素12(m-4,n),12(m-3,n)・・・,12(m+4,n)を透過する開口部31p+1からの光のそれぞれが、左側の観察領域WALの視点A1,A2・・・,A9に向かう条件は、図5をZ軸を中心として反転させたと同様であるので、説明を省略する。
距離Z2及び距離DPの値は、立体画像表示装置1の仕様に基づいて所定の値に設定される。また、副画素ピッチNDの値は、画像表示部10の構造によって定まる。式(1’)と式(2’)より、距離Z1と開口部ピッチRDについて、以下の式(3)と式(4)を得る。
Z1=Z2×ND/(DP−ND) (3)
RD=9×DP×ND/(DP−ND) (4)
例えば、画像表示部10の副画素ピッチNDが0.175[mm]、距離Z2が3000[mm]、距離DPが65.0[mm]であるとすると、距離Z1は約8.10[mm]、開口部ピッチRDは約1.58[mm]である。
尚、画像観察者が両眼の間の距離の約半分を移動したときに別の視点の画像を観察し得るように設定する場合には、DPを半分の値にすればよい。距離DPが32.5[mm]である場合には、距離Z1は約16.2[mm]、開口部ピッチRDは約1.58[mm]である。
立体画像表示装置1にあっては、画像表示部10と光学分離部30とは、上述した距離Z1で離間するように、図示せぬスペーサ等によって保持されている。
尚、照明部20の発光面21と光学分離部30との間の距離は、特に限定するものではなく、立体画像表示装置1の仕様に応じて、適宜好適な値に設定すればよい。
上述した例では、開口部ピッチRDの値は副画素ピッチNDの値の略9倍となる。従って、上述した「M」と「P」とは、M≒P×9といった関係にある。
距離Z1や開口部ピッチRDは上述の条件を満たすように設定されており、観察領域WAL,WAC,WARにおける視点A1,A2・・・,A9のそれぞれにおいて、所定の視点用の画像を観察することができる。
図6は、中央の観察領域における視点A1乃至A9で観察される画像を説明するための模式図である。図7は、右側の観察領域における視点A1乃至A9で観察される画像を説明するための模式図である。
尚、図2を参照して説明したように、第n行目の副画素12に対応する開口部31に対し、第(n+1)行目の副画素12に対応する開口部31は、−X方向に副画素12の略ピッチ分シフトして配置されている。従って、第(n+1)行目の副画素12についての説明は、上述した記載において「n」を『n+1』に置き換えると共に、「m」を『m−1』と置き換えればよい。また、第(n−1)行目の副画素12の説明については、上述した記載において「n」を『n−1』に置き換えると共に、「m」を『m+1』と置き換えればよい。
従って、それぞれ隣接する3行の副画素12に注目すると、或る視点に向かう光が透過する副画素は、後述する図9に示すように、行毎に1副画素分ずれて配列する。各視点毎の画像を構成する画素は、3行に亙る副画素12の組から構成される。
図8は、各実施形態に用いられる立体画像表示装置において各視点用の画像の画素を構成する副画素を説明するための、光学分離部及び表示領域の一部の模式的な平面図である。
画素構成行の中央に第n行が位置するとすれば、図8において、符号R,G,Bを、丸で囲った組、四角で囲った組、八角形で囲った組が、それぞれ、1画素を形成する。従って、各視点毎の画像の画素数を、水平方向にJ個、垂直方向にK個、合計J×K個と表せば、J=M/9、K=N/3である。M=5760、N=1080の場合には、J×K=640×360である。以下、図9乃至図12を参照して、各視点用の画像を構成する画素と画像表示部の副画素との関係について説明する。
図9は、第(1,1)番目乃至第(M,N)番目の副画素からの光が向かう視点を示す表である。
先ず、視点A4で観察される画像を構成する画素について考察する。視点A4で観察される画像は、図9において符号A4が付された副画素から構成される。そして、上述したように、各視点毎の画像を構成する画素は、3行に亙る副画素12の組から構成される。視点A4で観察される画像を構成する画素を符号412で表し、第j列(但し、j=1,2・・・,J)、第k行目(但し、k=1,2・・・,K)の画素412を、画素412(j,k)と表す。
図10は、視点A4用の画像を構成する副画素の組の配列を説明するための表である。
図10に示すように、画素412の水平方向の配列に注目すると、画素412は9列の副画素12毎に1つずつ配列され、その数はJ個である。一方、垂直方向の配列に注目すると、画素412は3行の副画素12毎に1つ配列され、その数はK個である。従って、画素412は、2次元マトリクス状にJ×K個配列されており、これらの画素412によって、視点A4で観察される画像が構成される。
次いで、視点A5で観察される画像を構成する画素について考察する。視点A5で観察される画像は、図9において符号A5が付された副画素から構成される。視点A5で観察される画像を構成する画素を符号512で表し、第j列、第k行目の画素512を、画素512(j,k)と表す。
図11は、視点A5用の画像を構成する副画素の組の配列を説明するための表である。
図10を参照して画素412について説明したのと同様に、画素512も、水平方向には9列の副画素12毎に1つずつ配列され、その数はJ個である。また、垂直方向には3行の副画素12毎に1つ配列され、その数はK個である。従って、画素512も、2次元マトリクス状にJ×K個配列されており、これらの画素512によって、視点A5で観察される画像が構成される。
以上説明したように、視点A4で観察される画像はJ×K個配列された画素412から構成され、視点A5で観察される画像もJ×K個配列された画素512から構成される。従って、視点A4で観察される画像を構成する画素の配列の模式的な平面図および視点A5で観察される画像を構成する画素の配列の模式的な平面図は、それぞれ、図12の(A)及び(B)のように表される。
他の視点で観察される画像を構成する画素の説明は、画素を構成する副画素の組み合わせが相違する他は上述したと同様である。従って、これらの画素およびその配列についての説明は省略する。尚、以下の説明において、視点A1で観察される画像を構成する画素、視点A2で観察される画像を構成する画素、視点A8で観察される画像を構成する画素および視点A9で観察される画像を構成する画素を、それぞれ、画素112、画素212、画素812および画素912と表す場合がある。
各視点毎の画像を構成する画素と画像表示部の副画素との関係について説明した。次いで、画像表示部に多視点画像を表示する多視点画像表示データについて説明する。
図13は、視点A1乃至A9のそれぞれに対応する画像データD1乃至D9に基づいて多視点画像表示データを生成する方法を説明するための模式図である。
図13に示すように、画像データD1は、赤色発光副画素用の画像データD1_R、緑色発光副画素用の画像データD1_Gおよび青色発光副画素用の画像データD1_Bの組から構成されている。他の画像データD2乃至D9においても同様である。
画像データD1_R,D1_G,D1_Bのそれぞれは、各視点毎の画像の画素数に対応したJ×K個のデータである。第j列、第k行目の画素に対応する画像データD1_R,D1_G,D1_Bを、画像データD1_R(j,k),D1_G(j,k),D1_B(j,k)と表す場合がある。また、これら3種類のデータを纏めて、画像データD1(j,k)と表す場合がある。他の画像データD2乃至D9や、後述する加重画像データDWG、データDS,DS1,DS2,DC1,DC2,Davにおいても同様である。
図14は、第m列、第n行目の副画素12(m,n)に対応する画像データの選択方法を説明するための模式的なフローチャート図である。
図1に示す駆動手段100は、図14に示すフローチャートに基づいて副画素12(m,n)に対応する画像データを選択して多視点画像表示データを生成し、このデータに基づいて表示部を駆動する。図14を参照してデータの選択方法を説明する。
図9に示すように、実施形態の立体画像表示装置1にあっては、画像表示部10の第1行目の副画素12において、第1列目から第9列目の副画素12の光はそれぞれ視点A1から視点A9に向かい、第10列目以降の副画素12において同様の関係を繰り返す。また、上述したように、或る視点に向かう光が透過する副画素12は、行毎に1副画素分ずれて配列する。
従って、第m列、第n行目の副画素12(m,n)からの光が向かう視点を視点AQ(但し、「Q」は1から9までのいずれかひとつの整数)と表し、被除数を除数で除したときの剰余を「mod(被除数,除数)」と表せば、「Q」の値は、以下の式(5)で与えられる。
Q=mod(m+n−2,9)+1 (5)
図15に、上述した式(5)に基づいて計算した、第(1,1)番目乃至第(M,N)番目の副画素からの光が向かう視点AQにおける「Q」の値を示す。
また、第m列、第n行目の副画素12(m,n)が視点AQ用の画像の第j列(但し、j=1,2・・・,J)且つ第k行目(但し、k=1,2・・・,K)の画素を構成する副画素の1つであるとすれば、「j」及び「k」の値は、それぞれ、以下の式(6)及び式(7)で与えられる。尚、式(6)及び式(7)における「INT」は、引数の小数点以下を切り捨てて整数化する関数である。
j=INT([mod(n−1,3)+m−1]/9)+1 (6)
k=INT((n−1)/3)+1 (7)
図16に、上述した式(6)に基づいて計算した、第(1,1)番目乃至第(M,N)番目の副画素に対応する「j」の値を示す。また、図17に、上述した式(7)に基づいて計算した、第(1,1)番目乃至第(M,N)番目の副画素に対応する「k」の値を示す。
そして、第m列目の副画素は、「m−1」を3で除したときの剰余が0であれば赤色発光副画素、剰余が1であれば緑色発光副画素、剰余が2であれば青色発光副画素である。
従って、第m列、第n行目の副画素12(m,n)には、mod(m−1,3)=0であれば視点AQ用の赤色表示データが対応し、mod(m−1,3)=1であれば視点AQ用の緑色表示データが対応し、mod(m−1,3)=2であれば視点AQ用の青色表示データが対応する。
逆視の軽減を行わないときには、視点A1乃至A9のそれぞれには、画像データD1乃至D9がそのまま対応する。一方、各実施形態では、一部の視点に対応する画像データを、適宜他のデータに置き換える等といった動作を行う。
説明の理解を助けるため、この段落では、逆視の軽減を行わないときのデータの選択について説明する。逆視の軽減を行わないとき、副画素12(m,n)には、mod(m−1,3)=0であれば、画像データDQ_R(j,k)が対応する。また、mod(m−1,3)=1であれば、画像データDQ_G(j,k)が対応する。また、mod(m−1,3)=2であれば、画像データDQ_B(j,k)が対応する。
各視点用の画像を構成する画素を斜めに配列された副画素12の組によって構成する関係上、図16に示すように、第(M−1)列目と第M列目の副画素12の一部にあっては「j」が「J(実施形態においては640)」を超える。これらの副画素12に対応する画像データはないので、例えばj=Jとして扱う等の例外処理を行って画像データを対応させればよい。尚、各視点用の画像データが(J+1)×K個のデータから成るといった構成としてもよい。このときには上述した例外処理は不要である。
上述した手順で画像データを選択することによって、画像表示部に多視点画像を表示する多視点画像表示データを生成することができる。
[逆視の軽減を行わないときの立体画像表示装置の動作の説明]
図18は、逆視の軽減を行わないときに画像表示部10に表示される画像データを説明するための、表示領域11の一部の模式的な平面図である。
図18に示す符号D1乃至D9は、各副画素12を駆動する画像データの種類を表す。図18に示す例では、第(m,n)番目の副画素12は赤色発光副画素であり符号D5が付されている。この副画素12には、画像データD5_R(j,k)が対応する。他の副画素においても同様に適宜読み替えればよい。
画像観察者の左眼と右眼とが共に1つの観察領域内にあるとき、画像観察者は画像を立体画像として認識する。例えば、図1に示す観察領域WACにおいて、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A4と視点A5とに位置する場合には、視点A4に向かって光が進む副画素12によって左眼で観察される画像が構成され、視点A5に向かって光が進む副画素12によって右眼で観察される画像が構成される。
図19は、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A4と視点A5とに位置するときに左眼で観察される画像を構成する画素と右眼で観察される画像を構成する画素とを説明するための、表示領域の一部の模式的な平面図である。
図19に示す符号A4及びA5は、副画素12からの光が向かう視点を示す。符号D4及びD5については図18の説明で言及したので説明を省略する。
画像観察者は、画像データD4によって駆動される副画素によって構成される画像を左眼で観察し、画像データD5によって駆動される副画素によって構成される画像を右眼で観察する。
図20の(A)は、左眼で観察される画像を説明するための模式的な平面図である。図20の(B)は、右眼で観察される画像を説明するための模式的な平面図である。
画像観察者は、画像データD4(1,1)乃至D4(J,K)に基づく画素412から成る画像を左眼で観察し(図20の(A)参照)、画像データD5(1,1)乃至D5(J,K)に基づく画素512から成る画像を右眼で観察する。これらの画像間の視差によって、画像観察者は画像を立体画像として認識する。
一方、画像観察者の左眼と右眼とがそれぞれ異なる観察領域内にあるとき、左眼用の画像と右眼用の画像が入れ替わって見える「逆視」といった状態が生ずる。画像観察者は手前と奥とが反転した画像を知覚することになり、不自然さや不快感を覚える。
例えば、図1に示す観察領域WALの視点A9に画像観察者の左眼が位置し、観察領域WACの視点A1に右眼が位置する場合には、視点A9に向かって光が進む副画素12によって左眼で観察される画像が構成され、視点A1に向かって光が進む副画素12によって右眼で観察される画像が構成される。
図21は、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A9と視点A1とに位置するときに左眼で観察される画像を構成する画素と右眼で観察される画像を構成する画素とを説明するための、表示領域の一部の模式的な平面図である。
図21に示す符号A1及びA9は、副画素からの光が向かう視点を示す。符号D1及びD9については図18の説明で言及したので説明を省略する。
画像観察者は、画像データD9によって駆動される副画素によって構成される画像を左眼で観察し、画像データD1によって駆動される副画素によって構成される画像を右眼で観察する。
図22の(A)は、左眼で観察される画像を説明するための模式的な平面図である。図22の(B)は、右眼で観察される画像を説明するための模式的な平面図である。
画像観察者は、画像データD9(1,1)乃至D9(J,K)に基づく画素912から成る画像を左眼で観察し、画像データD1(1,1)乃至D1(J,K)に基づく画素112から成る画像を右眼で観察する。従って、左眼用の画像と右眼用の画像が入れ替わった状態で観察する「逆視」といった状態が生じ、画像観察者は不自然さや不快感を覚える。
[参考例の実施形態および第1の実施形態]
第1の実施形態は、本発明に係る立体画像表示装置およびその駆動方法に関する。
先ず、第1の実施形態の理解を助けるため、参考例の実施形態について説明する。参考例の実施形態にあっては、観察領域の端部付近において逆視関係となる画像の対の双方を、2つの視点用の画像データを用いて表示する。具体的には、画像の対の双方を、2つの視点用の画像データを組み合わせたデータに基づいて表示する。画像データを組み合わせたデータに基づいて表示される画像は、2つの視点用の画像の要素が交互にストライプ状に配列されて成る。
動作の概要について説明する。2つの視点用の画像データ(具体的には、画像データD1と画像データD9)を組み合わせて、後述するデータDSを生成する。そして、視点A1には、画像データD1に変えてデータDSを対応させる。同様に、視点A9にも、画像データD9に変えてデータDSを対応させる。尚、視点A2乃至A8については、画像データD2乃至D8をそのまま対応させる。そして、図14に示すフローチャートに基づいて、多視点画像表示データを生成する。
このようにして生成した多視点画像表示データに基づいて画像表示部10を動作させることによって、観察領域の端部付近において逆視関係となる2つの画像のそれぞれを、2つの視点用の画像に対応する画像データを組み合わせて表示することができる。
図23の(A)は、参考例の実施形態におけるデータDS(j,k)の生成方法を説明するための模式図である。図23の(B)は、参考例の実施形態における多視点画像表示データを生成する動作を説明するための模式図である。
図23の(A)に示す式から明らかなように、「j」が奇数の場合にはDS(j,k)=D1(j,k)であり、「j」が偶数の場合にはDS(j,k)=D9(j,k)である。即ち、データDS(j,k)は、視点A1用と視点A9用の画像データの要素が交互にストライプ状に配列するように組み合わされて生成されている。
駆動手段100には画像データD1乃至D9がそのまま供給される。駆動手段100の内部で図23の(A)に示す動作に基づいてデータDSを生成し、視点A1に対応する画像データをデータDSで置き換え、視点A9に対応する画像データもデータDSで置き換える。尚、データDSの生成を駆動手段100の外部で行うといった構成であってもよい。
図24の(A)及び(B)は、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A9と視点A1とに位置するときに、左眼で観察される画像及び右眼で観察される画像を説明するための模式的な平面図である。
図24の(A)及び(B)に示すように、視点A9と視点A1で観察される2つの画像のそれぞれは、視点A1用と視点A9用の2つの画像の要素が交互にストライプ状に配列されて成る。具体的には、列方向にストライプ状に延びる画像の要素が、行方向に交互に配列されている。視点A9と視点A1で観察される2つの画像は同一の画像であるので、画像間に視差はない。
従って、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A9と視点A1とに位置するとき、画像観察者は2つの視点用の画像が重なった平面的な画像を認識するので、「逆視」に伴う不自然さや不快感を覚えることがない。複数の画像観察者が異なる位置から1つの立体画像表示装置を観察するといった場合においても、逆視に起因する不自然さや不快感を支障なく軽減することができる。
以上、参考例の実施形態について説明した。上述したように、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A9と視点A1とに位置するとき、平面的な画像を認識する。この画像は視点A9用の画像と視点A1用の画像とが重なった画像であり、基本的には輪郭のぶれた画像となる。
そこで、第1の実施形態にあっては、輪郭のぶれを軽減するために、観察領域の端部付近において逆視関係となる画像の対の双方を、第1画像データと、第1画像データとは異なる第2画像データと第1画像データとの間の視差の関係に基づいて第1画像データ及び第2画像データの値に重み付けをして加算した加算画像データとを用いて表示する。加算画像データは、第1画像データと第2画像データの各データ間の視差量に基づいて第1画像データ及び第2画像データの値に重み付けをして加算することによって生成されている。第1画像データ及び第2画像データのそれぞれは、異なる視点用の画像データである。
具体的には、画像の対の双方を、第1画像データと加算画像データとを組み合わせたデータに基づいて表示する。第1画像データと加算画像データとを組み合わせたデータに基づいて表示される画像は、第1画像データの画像の要素と加算画像データの画像の要素が交互にストライプ状に配列されて成る。
第1の実施形態では、視点A9用の画像データD9が第1画像データに対応し、視点A1用の画像データD1が第2画像データに対応する。後述する他の実施形態においても同様である。
図25は、第1画像データ(画像データD9)と第2画像データ(画像データD1)との視差量を説明するための模式的な平面図である。
図25にあっては、山を背景とする建物といった画像を表示するときの画像データD9のイメージと画像データD1のイメージとを上下に並べて模式的に示した。
例えば、画像データD9において山を表示する部分の画像データD9(j1,k1)が、画像データD1にあっては画像データD1(j1’,k1’)に対応する場合、第1画像データD9(j1,k1)に対する第2画像データの視差量をdJ(j1,k1)と表せば、視差量dJ(j1,k1)は、点(j1,k1)と点(j1’,k1’)との距離で与えられる。また、一般に垂直方向の視差量は小さく実使用上は無視することができるので、視差量dJ(j1,k1)は、値「j1」と値「j1’」の差分の絶対値として求めることができる。
同様に、画像データD9において建物を表示する部分のデータD9(j2,k2)が、画像データD1にあってはデータD1(j2’,k2’)に対応する場合、第1画像データD9(j2,k2)に対する第2画像データの視差量dJ(j2,k2)は、点(j2,k2)と点(j2’,k2’)との間の距離で与えられる。また、上述したように垂直方向の視差量を無視すれば、視差量dJ(j2,k2)は、値「j2」と値「j2’」の差分として求めることができる。
例えば平行法といった撮影方法で撮影したイメージを表示する場合には、遠景の部分の視差量は、近景の部分の視差量よりも小さい。上述した例では、dJ(j2,k2)>dJ(j1,k1)といった関係にある。このように、視差量dJは、近景の部分であるかあるいは遠景の部分であるかに応じてその値が変化する。
第1の実施形態では、画像データD9(1,1)乃至D9(J,K)のそれぞれについて、視差量dJ(1,1)乃至dJ(J,K)を求め、視差量dJ(1,1)乃至dJ(J,K)に基づいて第1画像データ及び第2画像データの値に重み付けをして加算し、後述する加算画像データDWGを生成する。尚、視差量dJ(1,1)乃至dJ(J,K)は、例えばパターンマッチング等といった周知の画像処理技術に基づいて求めることができる。
図26の(A)は、加算画像データDWG(j,k)の生成方法を説明するための模式図である。図26の(B)は、加算画像データDWGを計算する際の重み付け係数の変化を説明するためのグラフである。
図26の(A)に示す式における「dJth」は、立体画像表示装置の仕様に応じてその値が設定される閾値であって、例えば10乃至40程度の範囲の或る値に設定される。尚、閾値dJthの値は、基本的には立体画像表示装置の画像評価に基づいて、適宜好適な値を選択すればよい。
図26の(A)の式に示すように、加算画像データDWG(j,k)は、視差量dJ(j,k)が0ならばD9(j,k)となり、視差量dJ(j,k)が閾値dJth以上ならばD1(j,k)である。視差量dJ(j,k)が0を超え、閾値dJth未満の場合には、DWG(j,k)=(dJ(j,k)/dJth)・D1(j,k)+(1−dJ(j,k)/dJth)・D9(j,k)である。図26の(B)に、重み付けの係数(dJ(j,k)/dJth)と係数(1−dJ(j,k)/dJth))のグラフを示す。
尚、加算画像データDWG(j,k)も、データDWG_R(j,k),DWG_G(j,k),DWG_B(j,k)の組から成り、上述した計算は各色に対応するデータ毎に行われる。
駆動手段100には画像データD1乃至D9がそのまま供給される。駆動手段100の内部で、視差量dJ(1,1)乃至dJ(J,K)の計算と、図26の(A)に示す式による加算画像データDWG(1,1)乃至(J,K)の生成を行う。尚、加算映像データDWGの生成を駆動手段100の外部で行うといった構成であってもよい。
図27の(A)は、第1の実施形態におけるデータDS1(j,k)の生成方法を説明するための模式図である。図27の(B)は、第1の実施形態における多視点画像表示データを生成する動作を説明するための模式図である。
図27の(A)に示す式から明らかなように、「j」が奇数の場合にはDS1(j,k)=DWG(j,k)であり、「j」が偶数の場合にはDS1(j,k)=D9(j,k)である。即ち、データDS1(j,k)は、加算映像データDWGの要素と視点A9用の画像データD9の要素が交互にストライプ状に配列するように組み合わされて生成されている。
そして、図27の(B)に示すように、視点A1には、画像データD1に変えてデータDS1を対応させる。同様に、視点A9にも、画像データD9に変えてデータDS1を対応させる。尚、視点A2乃至A8については、画像データD2乃至D8をそのまま対応させる。そして、図14に示すフローチャートに基づいて、多視点画像表示データを生成する。
具体的には、駆動手段100の内部で、画像データD9と加算映像データDWGとに基づいてデータDS1を生成し、視点A1と視点A9に対応する画像データを共にデータDS1で置き換える。尚、データDS1の生成も駆動手段100の外部で行うといった構成であってもよい。
図28の(A)及び(B)は、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A9と視点A1とに位置するときに、左眼で観察される画像及び右眼で観察される画像を説明するための模式的な平面図である。
図28の(A)及び(B)に示すように、視点A9と視点A1で観察される2つの画像のそれぞれは、第1画像データに対応する画像データD9の画像の要素と加算画像データDWGの画像の要素が交互にストライプ状に配列されて成る。視点A9と視点A1で観察される2つの画像は同一の画像であるので、画像間に視差はない。従って、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A9と視点A1とに位置するとき、画像観察者は2つの視点用の画像が重なった平面的な画像を認識するので、「逆視」に伴う不自然さや不快感を覚えることがない。
そして、加算画像データDWGは、視差量が少ない領域では画像データD9と値が一致するように重み付けがされているので、平面的な画像において視差量の少ない領域の画像のぶれが軽減される。
視点A1及び視点A9において観察される画像には、視点A1用と視点A9用の画像成分が含まれている。従って、例えば、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A1と視点A2とに位置するとき、左眼で観察する画像に含まれる視点A9用の画像成分と、右眼で観察する視点A2用の画像とは逆視の関係である。しかしながら、左眼で観察する画像には視点A1用の画像成分も含まれており、これと右眼で観察する視点A2用の画像とは通常の立体視の関係である。従って、上述の逆視の関係に伴う不自然さが顕著に知覚されるといったことはない。また、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A8と視点A9とに位置する場合においても、左眼で観察する視点A8用の画像と、右眼で観察する画像に含まれる視点A1用の画像成分とは逆視の関係である。しかしながら、右眼で観察する画像には視点A9用の画像成分も含まれており、これと右眼で観察する視点A2用の画像とは通常の立体視の関係である。従って、上述の逆視の関係に伴う不自然さが顕著に知覚されるといったことはない。
以上の説明では、画像データD1,D9に基づいて加算画像データDWGを生成した後、この画像データDWGと画像データD9とを組み合わせてデータDS1を生成した。第1の実施形態はこれに限るものではなく、例えば、視差量dj=0のときにDWG’=D1となり視差量djが閾値dJth以上のときにDWG’=D9となるような加算画像データDWG’を生成し、この加算画像データDWG’と画像データD1を組み合わせてデータDS1を生成するといった構成とすることもできる。あるいは又、例えば、画像データD2,D8に基づいて加算画像データDWGを生成した後、この加算画像データDWGと画像データD8とを組み合わせてデータDS1を生成するといった構成とすることもできる。画像データの組み合わせは、立体画像表示装置の設計に応じて適宜選択すればよい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形である。第1の実施形態では、視点A1と視点A9のそれぞれに同一のデータDS1を対応させた。これに対し、第2の実施形態では、視点A1には第1の実施形態と同様にデータDS1を対応させるが、視点A9にはデータDS1とは異なる後述するデータDS2を対応させる。
図29の(A)は、第2の実施形態におけるデータDS2(j,k)の生成方法を説明するための模式図である。図29の(B)は、第2の実施形態における多視点画像表示データを生成する動作を説明するための模式図である。
図29の(A)に示す加算画像データDWG(j,k)の構成は第1の実施形態において説明したので説明を省略する。また、図29の(B)に示すデータDS1(j,k)の構成も第1の実施形態において説明したので説明を省略する。
図29の(A)と図27の(A)の対比から明らかなように、データDS1(j,k)とデータDS2(j,k)では、データの選択先が相互に入れ替わった関係にある。即ち、「j」が奇数の場合にはDS2(j,k)=D9(j,k)であり、「j」が偶数の場合にはDS2(j,k)=DWG(j,k)である。データDS2(j,k)も、加算映像データDWGの要素と視点A9用の画像データD9の要素が交互にストライプ状に配列するように組み合わされて生成されている。
図30の(A)及び(B)は、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A9と視点A1とに位置するときに、左眼で観察される画像及び右眼で観察される画像を説明するための模式的な平面図である。
図30の(A)及び(B)に示すように、視点A9と視点A1で観察される2つの画像のそれぞれは、第1画像データに対応する画像データD9の画像の要素と加算画像データDWGの画像の要素が交互にストライプ状に配列されて成る。具体的には、列方向にストライプ状に延びる画像の要素が、行方向に交互に配列されている。視点A9と視点A1で観察される2つの画像はストライプ配列の位相が異なるものの、実質的にほぼ同一の画像として知覚される。従って、画像間に実質的な視差はない。
画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A9と視点A1とに位置するとき、画像観察者は2つの視点用の画像が重なった平面的な画像を認識するので、「逆視」に伴う不自然さや不快感を覚えることがない。
第1の実施形態において説明したように、加算画像データDWG’と画像データD1を組み合わせる構成や、画像データD2,D8に基づいて加算画像データDWGを生成した後、この画像データDWGと画像データD8とを組み合わせてデータDS1を生成するといった構成とすることもできる。画像データの組み合わせは、立体画像表示装置の設計に応じて適宜選択すればよい。
[第3の実施形態]
第3の実施形態も、本発明に係る立体画像表示装置およびその駆動方法に関する。
第3の実施形態においても、観察領域の端部付近において逆視関係となる画像の対の双方を、第1画像データと、第1画像データとは異なる第2画像データと第1画像データとの間の視差の関係に基づいて第1画像データ及び第2画像データの値に重み付けをして加算した加算画像データとを用いて表示する。加算画像データは、第1画像データと第2画像データの各データ間の視差量に基づいて第1画像データ及び第2画像データの値に重み付けをして加算することによって生成されている。第1画像データ及び第2画像データのそれぞれは、異なる視点用の画像データである。
具体的には、画像の対の双方を、第1画像データと加算画像データとを組み合わせたデータに基づいて表示する。第1画像データと加算画像データとを組み合わせたデータに基づいて表示される画像は、第1画像データの画像の要素と加算画像データの画像の要素が市松模様状に配列されて成る。
図31の(A)は、第3の実施形態におけるデータDC1(j,k)の生成方法を説明するための模式図である。図31の(B)は、第3の実施形態における多視点画像表示データを生成する動作を説明するための模式図である。
図31の(A)に示す加算画像データDWG(j,k)の構成は第1の実施形態において説明したので説明を省略する。
図31の(A)に示す式から明らかなように、「j+k」が奇数の場合にはDC1(j,k)=DWG(j,k)であり、「j+k」が偶数の場合にはDC1(j,k)=D9(j,k)である。これによって、データDC1(j,k)は、加算映像データDWGの要素と視点A9用の画像データD9の要素が市松模様状に配列するように組み合わされて生成されている。
駆動手段100には画像データD1乃至D9がそのまま供給される。そして、駆動手段100の内部で加算映像データDWGとデータDC1を生成し、視点A1に対応する画像データをデータDC1で置き換え、視点A9に対応する画像データもデータDC1で置き換える。尚、加算映像データDWGやデータDC1の生成を駆動手段100の外部で行うといった構成であってもよい。
図32の(A)及び(B)は、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A9と視点A1とに位置するときに、左眼で観察される画像及び右眼で観察される画像を説明するための模式的な平面図である。
図32の(A)及び(B)に示すように、視点A9と視点A1で観察される2つの画像のそれぞれは、第1画像データに対応する画像データD9の画像の要素と加算画像データDWGの画像の要素が市松模様状に配列されて成る。具体的には、画素毎に市松模様状に配列されている。視点A9と視点A1で観察される2つの画像は同一の画像であるので、画像間には視差はない。
従って、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A9と視点A1とに位置するとき、画像観察者は2つの視点用の画像が重なった平面的な画像を認識するので、「逆視」に伴う不自然さや不快感を覚えることがない。複数の画像観察者が異なる位置から1つの立体画像表示装置を観察するといった場合においても、逆視に起因する不自然さや不快感を支障なく軽減することができる。
そして、加算画像データDWGは、視差量が少ない領域では画像データD9と値が一致するように重み付けがされているので、平面的な画像において視差量の少ない領域の画像のぶれが軽減される。
また、第1の実施形態と異なり2つの画像の要素が市松模様状に配列されているので、画像観察者は、2つの視点用の画像が重なった平面的な画像をより滑らかな画像として認識する。第3の実施形態は、多視点画像表示データの生成が第1の実施形態よりも若干複雑になるが、画像をより滑らかにすることができるといった利点も備えている。
第3の実施形態においても、視点A1及び視点A9において観察される画像には、視点A1用と視点A9用の画像成分が含まれている。したがって、視点A1と視点A2で画像を観察する場合若しくは視点A8と視点A9で画像を観察する場合に逆視の関係に伴う不自然さが顕著に知覚されるといったことはない。
以上の説明では、画像データD1,D9に基づいて加算画像データDWGを生成した後、この加算画像データDWGと画像データD9とを組み合わせてデータDC1を生成した。第3の実施形態はこれに限るものではなく、例えば、視差量dj=0のときにDWG’=D1となり視差量djが閾値dJth以上のときにDWG’=D9となるような加算画像データDWG’を生成し、この画像データDWG’と画像データD1を組み合わせてデータDC1を生成するといった構成とすることもできる。あるいは又、例えば、画像データD2,D8に基づいて加算画像データDWGを生成した後、この画像データDWGと画像データD8とを組み合わせてデータDC1を生成するといった構成とすることもできる。画像データの組み合わせは、立体画像表示装置の設計に応じて適宜選択すればよい。
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、第3の実施形態の変形である。第3の実施形態では、視点A1と視点A9のそれぞれに同一のデータDC1を対応させた。これに対し、第4の実施形態では、視点A1には第3の実施形態と同様にデータDC1を対応させるが、視点A9にはデータDC1とは異なる後述するデータDC2を対応させる。
図33の(A)は、第4の実施形態におけるデータDS2(j,k)の生成方法を説明するための模式図である。図33の(B)は、第4の実施形態における多視点画像表示データを生成する動作を説明するための模式図である。
図33の(A)に示す加算画像データDWG(j,k)の構成は第1の実施形態において説明したので説明を省略する。また、図33の(B)に示すデータDC1(j,k)の構成は第3の実施形態において説明したので説明を省略する。
図33の(A)と図31の(A)の対比から明らかなように、データDC1(j,k)とデータDC2(j,k)では、データの選択先が相互に入れ替わった関係にある。即ち、「j+k」が奇数の場合にはDC2(j,k)=D9(j,k)であり、「j+k」が偶数の場合にはDC2(j,k)=DWG(j,k)である。データDC2(j,k)も、加算映像データDWGの要素と視点A9用の画像データD9の要素が市松模様状に配列するように組み合わされて生成されている。
図34の(A)及び(B)は、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A9と視点A1とに位置するときに、左眼で観察される画像及び右眼で観察される画像を説明するための模式的な平面図である。
図34の(A)及び(B)に示すように、視点A9と視点A1で観察される2つの画像のそれぞれは、第1画像データに対応する画像データD9の画像の要素と加算画像データDWGの画像の要素が市松模様状に配列されて成る。具体的には、画素毎に市松模様状に配列されている。視点A9と視点A1で観察される2つの画像は市松模様状の配列の位相が異なるものの、実質的にほぼ同一の画像として知覚される。従って、画像間に実質的な視差はない。
従って、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A9と視点A1とに位置するとき、画像観察者は2つの視点用の画像が重なった平面的な画像を認識するので、「逆視」に伴う不自然さや不快感を覚えることがない。
第3の実施形態において説明したように、加算画像データDWG’と画像データD1を組み合わせる構成や、画像データD2,D8に基づいて加算画像データDWGを生成した後、この画像データDWGと画像データD8とを組み合わせた構成とすることもできる。画像データの組み合わせは、立体画像表示装置の設計に応じて適宜選択すればよい。
[第5の実施形態]
第5の実施形態も、本発明に係る立体画像表示装置およびその駆動方法に関する。
第5の実施形態においても、観察領域の端部付近において逆視関係となる画像の対の双方を、第1画像データと、第1画像データとは異なる第2画像データと第1画像データとの間の視差の関係に基づいて第1画像データ及び第2画像データの値に重み付けをして加算した加算画像データとを用いて表示する。加算画像データは、第1画像データと第2画像データの各データ間の視差量に基づいて第1画像データ及び第2画像データの値に重み付けをして加算することによって生成されている。第1画像データ及び第2画像データのそれぞれは、異なる視点用の画像データである。
具体的には、画像の対の一方を、第1画像データと加算画像データとを相加平均(算術平均)したデータに基づいて表示する。
図35の(A)は、第5の実施形態におけるデータDav(j,k)の生成方法を説明するための模式図である。図35の(B)は、第5の実施形態における多視点画像表示データを生成する動作を説明するための模式図である。
図35の(A)に示す加算画像データDWG(j,k)の構成は第1の実施形態において説明したので説明を省略する。
図35の(B)に示すように、相加平均は、赤色発光副画素用、緑色発光副画素用および青色発光副画素用のデータそれぞれについて行われる。具体的には、データDav(j,k)は、Dav_R(j,k)、Dav_G(j,k)、Dav_B(j,k)の組から成る。Dav_R(j,k)は、DWG_R(j,k)とD9_R(j,k)を相加平均したデータ、Dav_G(j,k)は、DWG_G(j,k)とD9_G(j,k)を相加平均したデータ、Dav_B(j,k)は、DWG_B(j,k)とD9_B(j,k)を相加平均したデータである。
駆動手段100には画像データD1乃至D9がそのまま供給される。駆動手段100の内部で加算映像データDWGとデータDavを生成し、視点A1と視点A9に対応する画像データを共にデータDavで置き換える。尚、加算映像データDWGやデータDavの生成を駆動手段100の外部で行うといった構成であってもよい。
図36の(A)及び(B)は、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A9と視点A1とに位置するときに、左眼で観察される画像及び右眼で観察される画像を説明するための模式的な平面図である。
図36の(A)及び(B)に示すように、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A9と視点A1とに位置するとき、共にデータDavに基づく画像を観察する。視点A9と視点A1で観察される2つの画像は同一の画像であるので、画像間には視差はない。
従って、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A9と視点A1とに位置するとき、画像観察者は2つの視点用の画像が重なった平面的な画像を認識するので、「逆視」に伴う不自然さや不快感を覚えることがない。複数の画像観察者が異なる位置から1つの立体画像表示装置を観察するといった場合においても、逆視に起因する不自然さや不快感を支障なく軽減することができる。
データDavには、画像データD1,D9の値が反映されている。従って、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A1と視点A2とに位置するとき、右眼で観察する視点A2用の画像とで逆視の関係を生じ得る。しかしながら、データDavには画像データD1の値も反映されているので、上述の逆視の関係に伴う不自然さが顕著に知覚されるといったことはない。また、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A8と視点A9とに位置する場合においても、左眼で観察する視点A8用の画像とで逆視の関係を生じ得る。しかしながら、データDavには画像データD9の値も反映されているので、上述の逆視の関係に伴う不自然さが顕著に知覚されるといったことはない。
以上の説明では、画像データD1,D9に基づいて加算画像データDWGを生成した後、この画像データDWGと画像データD9を用いてデータDavを生成したが、例えば、画像データD2,D8を用いてデータDWGを生成した構成とすることもできる。画像データの組み合わせは、立体画像表示装置の設計に応じて適宜選択すればよい。
[第6の実施形態]
第6の実施形態も、本発明に係る立体画像表示装置およびその駆動方法に関する。第6の実施形態は、第1の実施形態の変形である。
第6の実施形態にあっては、観察領域の端部付近において逆視関係となる画像の対の一方を、第1画像データと、第1画像データとは異なる第2画像データと第1画像データとの間の視差の関係に基づいて第1画像データ及び第2画像データの値に重み付けをして加算した加算画像データとを用いて表示する。加算画像データは、第1画像データと第2画像データの各データ間の視差量に基づいて第1画像データ及び第2画像データの値に重み付けをして加算することによって生成されている。第1画像データ及び第2画像データのそれぞれは、異なる視点用の画像データである。
具体的には、画像の対の一方を、第1画像データと加算画像データとを組み合わせたデータに基づいて表示する。第1画像データと加算画像データとを組み合わせたデータに基づいて表示される画像は、第1画像データの画像の要素と加算画像データの画像の要素が交互にストライプ状に配列されて成る。
図37は、第6の実施形態における多視点画像表示データを生成する動作を説明するための模式図である。
第1の実施形態では、視点A1と視点A9にデータDS1を対応させた。これに対し、第6の実施形態では、視点A1のみにデータDS1を対応させ、視点A2乃至A9については、画像データD2乃至D9をそのまま対応させる。そして、図14に示すフローチャートに基づいて、多視点画像表示データを生成する。
図37に示すデータDS1(j,k)の構成は第1の実施形態において説明したので説明を省略する。
図38の(A)及び(B)は、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A9と視点A1とに位置するときに、左眼で観察される画像及び右眼で観察される画像を説明するための模式的な平面図である。
図38の(B)に示すように、視点A1で観察される画像は、第1画像データに対応する画像データD9の画像の要素と加算画像データDWGの画像の要素が交互にストライプ状に配列されて成る。従って、図22の(A)及び(B)に示す画像を観察する場合に比べて、逆視の程度が軽減される。
尚、上述の説明では、視点A1のみにデータDS1を対応させたが、視点A9のみにデータDS1を対応させる構成とすることもできる。あるいは又、データDS1に変えて、第3の実施形態において説明したデータDS2を用いることもできる。
[第7の実施形態]
第7の実施形態も、本発明に係る立体画像表示装置およびその駆動方法に関する。第7の実施形態は、第3の実施形態の変形である。
第7の実施形態においても、観察領域の端部付近において逆視関係となる画像の対の一方を、第1画像データと、第1画像データとは異なる第2画像データと第1画像データとの間の視差の関係に基づいて第1画像データ及び第2画像データの値に重み付けをして加算した加算画像データとを用いて表示する。加算画像データは、第1画像データと第2画像データの各データ間の視差量に基づいて第1画像データ及び第2画像データの値に重み付けをして加算することによって生成されている。第1画像データ及び第2画像データのそれぞれは、異なる視点用の画像データである。
具体的には、画像の対の一方を、第1画像データと加算画像データとを組み合わせたデータに基づいて表示する。第1画像データと加算画像データとを組み合わせたデータに基づいて表示される画像は、第1画像データの画像の要素と加算画像データの画像の要素が市松模様状に配列されて成る。
図39は、第7の実施形態における多視点画像表示データを生成する動作を説明するための模式図である。
第3の実施形態では、視点A1と視点A9にデータDC1を対応させた。これに対し、第7の実施形態では、視点A1のみにデータDC1を対応させ、視点A2乃至A9については、画像データD2乃至D9をそのまま対応させる。そして、図14に示すフローチャートに基づいて、多視点画像表示データを生成する。
図39に示すデータDC1(j,k)の構成は第3の実施形態において説明したので説明を省略する。
図40の(A)及び(B)は、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A9と視点A1とに位置するときに、左眼で観察される画像及び右眼で観察される画像を説明するための模式的な平面図である。
図40の(B)に示すように、視点A1で観察される画像は、第1画像データに対応する画像データD9の画像の要素と加算画像データDWGの画像の要素が市松模様状状に配列されて成る。従って、図22の(A)及び(B)に示す画像を観察する場合に比べて、逆視の程度が軽減される。
尚、上述の説明では、視点A1のみにデータDC1を対応させたが、視点A9のみにデータDC1を対応させる構成とすることもできる。あるいは又、データDC1に変えて、第4の実施形態において説明したデータDC2を用いることもできる。
[第8の実施形態]
第8の実施形態も、本発明に係る立体画像表示装置およびその駆動方法に関する。第8の実施形態は、第5の実施形態の変形である。
第8の実施形態においても、観察領域の端部付近において逆視関係となる画像の対の一方を、第1画像データと、第1画像データとは異なる第2画像データと第1画像データとの間の視差の関係に基づいて第1画像データ及び第2画像データの値に重み付けをして加算した加算画像データとを用いて表示する。加算画像データは、第1画像データと第2画像データの各データ間の視差量に基づいて第1画像データ及び第2画像データの値に重み付けをして加算することによって生成されている。第1画像データ及び第2画像データのそれぞれは、異なる視点用の画像データである。
具体的には、画像の対の一方を、第1画像データと加算画像データとを相加平均したデータに基づいて表示する。
図41は、第8の実施形態における多視点画像表示データを生成する動作を説明するための模式図である。
第5の実施形態では、視点A1と視点A9にデータDavを対応させた。これに対し、第8の実施形態では、視点A1のみにデータDavを対応させ、視点A2乃至A9については、画像データD2乃至D9をそのまま対応させる。そして、図14に示すフローチャートに基づいて、多視点画像表示データを生成する。
図41に示すデータDav(j,k)の構成は第5の実施形態において説明したので説明を省略する。
図42の(A)及び(B)は、画像観察者の左眼と右眼のそれぞれが視点A9と視点A1とに位置するときに、左眼で観察される画像及び右眼で観察される画像を説明するための模式的な平面図である。
図42の(B)に示す画像には、視点A1用と視点A9用の2つの画像の要素が加重平均されている。従って、図22の(A)及び(B)に示す画像を観察する場合に比べて、逆視の程度が軽減される。
尚、上述の説明では、視点A1のみにデータDavを対応させたが、視点A9のみにデータDavを対応させる構成とすることもできる。
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、DPの値を32.5mmとした構成にあっては、図43に示すように、左眼が視点A8に位置し右眼が視点A1に位置する場合(図に示す逆視関係1)と、左眼が視点A9に位置し右眼が視点A2に位置する場合(図に示す逆視関係2)とで、逆視の関係が生ずる。この場合には、実施形態において視点A9,A1の組み合わせについて説明した動作を、視点A8,A1の組み合わせと、視点A9,A2の組み合わせのそれぞれについて、適宜読み替えて行えばよい。
また、立体画像表示装置は、例えば、図44に示すように、光学分離部の開口部が連続したスリット状である構成とすることもできる。この場合の開口部と副画素との配置関係を図45に示す。
あるいは又、図46に示すように、光学分離部の開口部が垂直方向に伸びる構成とすることもできる。この構成にあっては、各視点用の画像の画素は行方向に並ぶ3つの副画素から構成されている。この場合の開口部と副画素との配置関係を図47に示す。