C型肝炎ウイルスは、世界全体で慢性肝疾患の主因である(Boyer, N. et al., J. Hepatol. 2000 32:98-112)。HCVに感染した患者には、肝硬変とそれに続く肝細胞癌を発症するリスクがあるので、HCVは、肝移植の主たる適応症である。
HCVは、フラビウイルス科のウイルスメンバーとして分類されて、これには、フラビウイルス属、ペスチウイルス属、及びC型肝炎ウイルスが含まれるヘパシウイルス属が含まれる(Fields 「Virology(ウイルス学)」監修者:B. N. Fields, D. M. Knipe 及び P. M. Howley, リッピンコット−ラヴェン・パブリッシャーズ、ペンシルヴェニア州フィラデルフィア、第30章、931-959 (1996)中、Rice, C. M.「Flaviviridae: The viruses and their replication(フラビウイルス科:ウイルスとその複製)」)。HCVは、ほぼ9.4kbのポジティブセンス一本鎖RNAゲノムを含有するエンベロープウイルスである。このウイルスゲノムは、高度に保存された5’非翻訳領域(UTR)、ほぼ3011のアミノ酸のポリタンパク質前駆体をコードする長いオープンリーディングフレーム、及び短い3’UTRからなる。
HCVの遺伝子解析により、DNA配列の30%以上が多様化する、6つの主要な遺伝子型が同定された。30種より多いサブタイプが識別されている。米国では、被感染個体のほぼ70%が1a型及び1b型の感染を有する。アジアでは、1b型が最も優勢なサブタイプである(X. Forns and J. Bukh, Clinics in Liver Disease 1999 3: 693-716; J. Bukh et al., Semin. Liv. Dis. 1995 15: 41-63)。残念ながら、1型の感染は、2型又は3型いずれかの遺伝子型より治療に対して抵抗性である(N. N. Zein, Clin. Microbiol. Rev., 2000 13: 223-235)。
ウイルスの構造タンパク質には、ヌクレオカプシドコアタンパク質(C)と2つのエンベロープ糖タンパク質、E1及びE2が含まれる。HCVはまた、2つのプロテアーゼ、NS2−NS3領域によってコードされる亜鉛依存性メタロプロテイナーゼとNS3領域でコードされるセリンプロテアーゼ、をコードする。これらのプロテアーゼは、前駆体ポリタンパク質の特異領域を切断して成熟ペプチドにするのに必要とされる。非構造タンパク質5、NS5Bのカルボキシル側の半分は、RNA依存性RNAポリメラーゼを含有する。残る非構造タンパク質、NS4A及びNS4Bの機能とNS5A(非構造タンパク質5のアミノ末端側の半分)の機能は、不明のままである。HCV RNAゲノムによってコードされる非構造タンパク質のほとんどがRNA複製に関与していると考えられている。
現在、HCV感染の治療には、限られた数の承認治療法が利用可能である。HCV感染を治療するための、及びHCV NS5Bポリメラーゼ活性を阻害するための新規及び既存の治療アプローチが概説されている:R. G. Gish, Sem. Liver. Dis., 1999 19:5; Di Besceglie, A. M. and Bacon, B. R., Scientific American, October: 1999 80-85; G. Lake-Bakaar, Current and Future Therapy for Chronic Hepatitis C Virus Liver Disease(慢性C型肝炎ウイルス肝疾患の現行及び将来の療法), Curr. Drug Targ. Infect Dis. 2003 3(3): 247-253; P. Hoffmann et al, Recent patent on experimental therapy for hepatitis C virus infection(C型肝炎ウイルス感染症への実験療法に関する最新特許)(1999-2002), Exp. Opin. Ther. Patents 2003 13(11): 1707-1723; M. P. Walker et al., Promising Candidates for the treatment of chronic hepatitis(慢性肝炎の治療に有望な候補物質), Exp. Opin. Investing. Drugs 2003 12(8): 1269-1280; S.-L. Tan et al., Hepatitis C Therapeutics: Current Status and Emerging Strategies(C型肝炎治療薬剤:現状と新たな戦略), Nature Rev. Drug Discov. 2002 1: 867-881; J. Z. Wu and Z. Hong, Targeting NS5B RNA-Dependent RNA Polymerase for Anti-HCV Chemotherapy(抗HCV化学療法のためのNS5B RNA依存性RNAポリメラーゼの標的化), Curr. Drug Targ -Infect. Dis. 2003 3(3): 207-219。
リバビリン(1−((2R,3R,4S,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミド;Virazole(登録商標))は、合成、非インターフェロン誘導性、広域スペクトルの抗ウイルスヌクレオシド類似体である。リバビリンは、フラビウイルス科が含まれる、数種のDNA及びRNAウイルスに対する in vitro 活性を有する(Gary L. Davis. Gastroenterology 2000 118:S104-S114)。リバビリンは、単独療法において、40%の患者で血清アミノトランスフェラーゼレベルを正常へ抑えるが、それは、HCV−RNAの血清レベルを低下させない。リバビリンはまた、有意な毒性を示して、貧血を引き起こすことが知られている。ビラミジンは、リバビリンのプロドラッグであり、肝細胞中のアデノシンデアミナーゼによってリバビリンへ変換される(J. Z. Wu, Antivir. Chem. Chemother. 2006 17(1): 33-9)。
インターフェロン(IFN)は、ほぼ10年の間、慢性肝炎の治療に利用されてきた。IFNは、ウイルス感染に応答して免疫細胞によって産生される糖タンパク質である。2つの別種のインターフェロンが認められている:1型には、数種のインターフェロンαと1種のインターフェロンβが含まれ、2型には、インターフェロンγが含まれる。1型インターフェロンは、主に被感染細胞によって産生されて、近隣細胞を新たな感染から防護する。IFNは、HCVが含まれる多くのウイルスのウイルス複製を阻害して、C型肝炎感染の単独治療薬として使用されるとき、IFNは、血清HCV−RNAを検出不能レベルへ抑制する。加えるに、IFNは、血清アミノトランスフェラーゼレベルを正常化する。残念ながら、IFNの効果は一時的である。治療を止めると70%の再発率を生じて、正常な血清アラニントランスフェラーゼレベルを伴う持続的なウイルス学的応答を示すのは、10〜15%にすぎない(Davis, Luke-Bakaar, 上記)。
早期IFN療法の1つの限界は、このタンパク質の血液からの速やかなクリアランスであった。IFNのポリエチレングリコール(PEG)での化学的誘導化により、薬物動態特性が実質的に改善されたタンパク質がもたらされた。PEGASYS(登録商標)は、インターフェロンα−2aと40kD分岐鎖モノメトキシPEGのコンジュゲートであり、PEG−INTRON(登録商標)は、インターフェロンα−2bと12kDモノメトキシPEGのコンジュゲートである(B. A. Luxon et al., Clin. Therap. 2002 24(9):13631383; A. Kozlowski and J. M. Harris, J. Control. Release 2001 72:217-224)。
現行では、HCVに最適の療法は、リバビリンとインターフェロンαでのHCVの組合せ療法である。リバビリンとPEG−IFN(下記参照)を組み合わせると、1型HCVの患者の54〜56%において、持続的なウイルス応答(SVR)を生じる。2型及び3型のHCVでは、SVRが80%に近づく(Walker, 上記)。残念ながら、組合せ療法でも、臨床課題を提起する副作用が生じる。うつ、感冒様の症状、及び皮膚反応は、IFN-α皮下注に関連していて、溶血性貧血は、リバビリンでの持続治療に関連している。
現在、限定されないが、NS2−NS3オートプロテアーゼ、NS3プロテアーゼ、NS3ヘリカーゼ、及びNS5Bポリメラーゼが含まれる、抗HCV治療薬としての医薬開発への可能性があるいくつかの分子標的が同定されている。RNA依存性RNAポリメラーゼは、一本鎖、ポジティブセンスのRNAゲノムの複製に絶対的に不可欠である。この酵素は、医化学者の間で重大な関心を引き起こしてきた。
本発明の化合物とその医薬的に許容される塩はまた、互いに組み合わせて、及び、限定されないが、インターフェロン、ペグ化インターフェロン、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、低分子干渉RNA化合物、アンチセンス化合物、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド類似体、免疫グロブリン剤、免疫調節剤、肝臓保護薬、抗炎症剤、抗生物質、抗ウイルス薬、及び抗感染症化合物からなる群が含まれる他の生理活性薬剤と組み合わせて使用されるときに、ウイルス感染症、特にC型肝炎感染症と諸疾患を生体宿主において治療及び予防するのに有用である。このような組合せ療法はまた、本発明の化合物を他の医療薬剤又は増強剤(リバビリンと関連化合物、アマンタジンと関連化合物、例えば、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、等のような様々なインターフェロン剤、並びにペグ化インターフェロンといったインターフェロンの代替型のような)と同時的又は連続的に提供することを含んでよい。追加的に、本発明の化合物の少なくとも1つとの追加の組合せ療法として、リバビリン及びインターフェロンの組合せを投与してよい。
現在開発中の他のインターフェロンには、アルブインターフェロン−α−2b(Albuferon)、DUROSとIFN−ωの合剤、LOCTERONTM、及びインターフェロン−α−2b XLが含まれる。上記と他のインターフェロン剤が上市に至るときには、本発明の化合物との組合せ療法におけるそれらの使用が期待される。
HCVポリメラーゼ阻害剤は、薬物探索の別の標的であって、開発中の化合物には、R−1626、R−7128、IDX184/IDX102、PF−868554(ファイザー)、VCH−759(ViroChem)、GS−9190(Gilead)、A−837093及びA−848837(アボット)、MK−3281(メルク)、GSK949614及びGSK625433(グラクソ)、ANA598(Anadys)、VBY708(ViroBay)が含まれる。
HCV NS3プロテアーゼの阻害剤も、HCVの治療に潜在的に有用であるとみなされてきた。臨床試験中のプロテアーゼ阻害剤には、VX−950(テラプレビル、Vertex)、SCH503034(ブロセプレビル、シェーリング)、TMC435350(Tibotec/Medivir)、及びITMN−191(Intermune)が含まれる。開発の初期段階にある他のプロテアーゼ阻害剤には、MK7009(メルク)、BMS−790052(ブリストル・マイヤーズ・スクイブ)、VBY−376(Virobay)、IDXSCA/IDXSCB(Idenix)、BI12202(ベーリンガー)、VX−500(Vertex)、PHX1766(Phenomix)が含まれる。
研究下にある抗HCV療法の他の標的には、NS5bへのRNA結合を阻害するシクロフィリン阻害剤、ニタゾキサニド(nitazoxanide)、セルゴシビル(Celgosivir, Migenix)、α−グルコシダーゼ−1の阻害剤、カスパーゼ阻害剤、Toll様受容体アゴニスト、及びザダキシン(Zadaxin, SciClone)のような免疫刺激薬が含まれる。
現在、C型肝炎ウイルス(HCV)の予防治療薬は無く、現在承認されている治療薬も、HCVに対してのみ存在して、限られている。新しい医薬化合物の設計及び開発が不可欠である。本発明は、式I(式中、R1、R2、R3、及びXは、以下の通りである)に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩を提供する。
Xは、CH又はNである。
R1は、R1a、R1b、R1c、R1d、及びR1e:
{式中、R5は、水素又はC1−3アルキルであり、そしてR1aは、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−6アルコキシ、又はヒドロキシによって置換されていてもよい}からなる群より選択される。
R2は、(a)アリール、(b)ヘテロアリール、又は(c)NRaRbであり、ここで前記アリール又は前記ヘテロアリールは、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、ハロゲン、(CH2)nNRcRd、シアノ、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、(CH2)0−2CO2H、SO2NH2、C1−6アルキルスルフィニル、及びC1−6アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜3の置換基で独立して置換されていてもよい。
RaとRbは、それらが付く窒素と一緒に、(CH2)nNRcRd(ここでnは、0〜2である)によって独立して置換されて、C1−6アルキル又はハロゲンより独立して選択される1又は2の基によって追加的に置換されていてもよい、環式アミンである。
RcとRdは、独立して、水素、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アシル、O2SR4(ここでR4は、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキル−C1−3アルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、−SO2−NReRfである)である。
ReとRfは、(i)独立して、水素、C1−3アルキル、又は(CH2)2−6NRgRhであるか又は(ii)それらが付く窒素と一緒に、(CH2)2X5(CH2)2(ここでX5は、O又はNRgであり、Rgは、水素、C1−3アルキル、C1−3アシル、又はC1−3アルキルスルホニルである)である。
R3は、CF3、CH2CF3、C3−5シクロアルキル、ハロゲン、C1−6アルコキシ、C1−3ハロアルコキシ、CHR4aR4b、又はCR4aR4bR4cであり、ここで:
(i)R4、R4b、及びR4cは、C1−3アルキル、CD3、C1−2アルコキシ、C1−2フルオロアルキル、C1−3ヒドロキシアルキル、シアノ、又はヒドロキシより独立して選択される;又は
(ii)一緒になるとき、R4aとR4bは、一緒に、C2−4アルキレンであって、R4cは、水素、C1−3アルキル、CD3、C1−2アルコキシ、ハロゲン、C1−3ヒドロキシアルキル、シアノ、又はC1−2フルオロアルキルであるか又はR4aとR4bは、それらが付く炭素と一緒に、3−オキセタニル、又はテトラヒドロフラン−2−イルである。
さらに本発明は、式Iの化合物の医薬的に許容される塩を提供する。
本発明はまた、その必要な患者へ式Iによる化合物の治療有効量を投与することによってC型肝炎ウイルス(HCV)感染症の疾患を治療するための方法を提供する。該化合物は、単独で投与しても、他の抗ウイルス化合物又は免疫調節剤と併用投与してもよい。
本発明はまた、HCVを阻害するのに有効な量で式Iによる化合物を投与することによって細胞中でのHCVの複製を阻害するための方法を提供する。
本発明はまた、式Iによる化合物と少なくとも1つの医薬的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を含んでなる医薬組成物を提供する。
本明細書で使用する「(1つの)実体(a or an entity)」という句は、その実体の1以上を意味し;例えば、化合物(a compound)は、1以上の化合物又は少なくとも1つの化合物を意味する。このように、「1つ(a)」(又は「1つ(an)」)、「1以上」、及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書において交換可能的に使用し得る。
「本明細書において上記に定義されるような」という句は、「本発明の概要」又は最も広義の請求項において提供される、各基についての最も広い定義に言及する。下記に提供する他のすべての態様において、それぞれの態様に存在し得ても明白には定義されない置換基は、「発明の概要」に提供される最も広い定義を保持する。
本明細書において使用されるように、移行句の中にあっても、請求項の本文の中にあっても、「含む」及び「含んでなる」という用語は、制限のない意味を有するものとして解釈されたい。即ち、この用語は、「少なくとも〜を有する」又は「少なくとも〜が含まれる」という句と同義的に解釈されたい。製造法の文脈で使用されるとき、「含んでなる」という用語は、この製造法に少なくとも引用の工程が含まれるが、追加の工程も含まれてよいことを意味する。化合物又は組成物の文脈で使用されるとき、「含んでなる」という用語は、この化合物又は組成物に少なくとも引用の特徴又は成分が含まれるが、追加の特徴又は成分も含まれてよいことを意味する。
「独立して」という用語は、本明細書において、ある可変基(variable)が、同じか又は異なる定義を有する可変基の同じ化合物内での存在又は非存在に関わることなく、どの例でも適用されることを示すために使用される。従って、R”が2回現れて、「独立して炭素又は窒素」であると定義される化合物では、両方のR”が炭素であっても、両方のR”が窒素であっても、一方のR”が炭素で他方が窒素であってもよい。
どの可変基(例、R1、R4a、Ar、X1、又はHet)も、本発明において利用されるか又は特許請求される化合物を図示して記載するどの部分又は式においても1回より多く出現するとき、それぞれの出現に関するその定義は、他のどの出現でも、その定義から独立している。また、そのような化合物が安定した化合物を生じるのであれば、置換基及び/又は可変基の複数の組合せが許容される。
結合の末端にある「*」という記号、又は結合の中を通って引かれる「------」という記号は、官能基又は他の化学部分のそれが一部である分子の残りへの付加点をそれぞれ意味する。従って、例えば:
(明確な頂点で結合するのではなく)環系の中へ引かれる結合は、その結合が好適な環原子のいずれへも付加してよいことを示す。
本明細書で使用する「任意選択の(optional)」又は「〜であってもよい(optionally)」という用語は、後続に記載される事象又は状況が起きてよいが起こる必要はないこと、そしてその記載には、その事象又は状況が起こる事例とそれが起こらない事例が含まれることを意味する。例えば、「置換されていてもよい」は、置換されていてもよい部分が水素又は置換基を取り込んでよいことを意味する。
「約」という用語は、本明細書において、「概ね」、「の範囲において」、「およそ」又は「〜付近」を意味するために使用される。「約」という用語がある数的範囲とともに使用されるとき、それは、示した数値の上及び下の境界を拡げることによってその範囲を修飾する。一般に、「約」という用語は、本明細書において、述べた値の上及び下の数値を20%の分散により修飾するために使用される。
本明細書で使用するように、変数の数的範囲の引用は、本発明がその範囲内の値のいずれにも等しい変数で実施し得ることを伝えるために企図される。従って、本来的に離散量である変数では、その変数は、数的範囲の末端を含めて、その範囲のどの整数値にも等しくなり得る。同様に、本来的に連続量である変数では、その変数は、数的範囲の末端を含めて、その範囲のどの実数値にも等しくなり得る。1例として、0と2の間の数値を有すると記載される変数は、本来的に離散量である変数では、0、1、又は2であり得て、そして本来的に連続量である変数では、0.0、0.1、0.01、0.001、又は他のどの実数値でもよい。
式Iの化合物は、互変異性を明示する。互変異性の化合物は、2以上の相互変換可能な分子種として存在し得る。プロトトロピック(prototropic)互変異性体は、共有結合した水素原子の2つの原子間での移動より生じる。一般に、互変異性体は、平衡で存在するので、個々の互変異性体を単離する試みからは、通常、その化学的及び物理的特性が化合物の混合物と一致した混合物が生成される。平衡の位置は、分子内の化学特性に依存している。例えば、アセトアルデヒドのような、多くの脂肪族アルデヒド及びケトンでは、ケト形が優勢である一方で、フェノール類では、エノール形が優勢である。一般的なプロトトロピック互変異性体には、ケト/エノール(−C(=O)−CH−⇔−C(−OH)=CH−)、アミド/イミド酸(−C(=O)−NH−⇔−C(−OH)=N−)、及びアミジン(−C(=NR)−NH−⇔−C(−NHR)=N−)互変異性体が含まれる。終わりの2つはヘテロアリール及び複素環の環において特に一般的であり、本発明には、該化合物のすべての互変異性型が含まれる。
式Iの化合物は、酸性又は塩基性の官能基を含有し得て、好適な塩は、同様の抗ウイルス活性を有する無害な塩を生成し得る、酸又は塩基より生成される。無機酸の塩の例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩が含まれる。有機酸の塩の例には、酢酸塩、フマル酸塩、パモ酸塩、アスパラギン酸塩、ベシレート、炭酸塩、重炭酸塩、カムシレート、D及びL−乳酸塩、D及びL−酒石酸塩、エシレート、メシレート、マロン酸塩、オロト酸塩、グルセプテート、メチル硫酸塩、ステアリン酸塩、グルクロン酸塩、2−ナプシレート、トシラート、ヒベンズ酸塩、ニコチン酸塩、イセチオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、サッカリン酸塩、安息香酸塩、エシレート、及びパモ酸塩が含まれる。好適な塩に関する概説については、Berge et al, J. Pharm. Sci., 197766: 1-19 と G. S. Paulekuhn et al. J. Med. Chem. 2007 50: 6665 を参照のこと。
本明細書において使用する技術及び科学用語は、他に定義されなければ、本発明が関連する技術分野の当業者によって普通に理解される意味を有する。本明細書では、当業者に知られた様々な方法論及び材料が参照される。薬理学の一般原理を説明する標準参考書には、「Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics(グッドマン・ギルマンの薬理書)」第10版、マクグローヒルカンパニー社、ニューヨーク(2001)が含まれる。上記の化合物を製造するときに使用する出発材料及び試薬は、一般に、アルドリッチ・ケミカル社のような市販供給業者から入手可能であるか、又は参考文献に示される手順に従って、当業者に知られた方法によって製造される。以下の記載及び実施例において参照される材料、試薬、等は、他に述べなければ、市販の供給元より入手可能である。一般的な合成手順は、「Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis(フィーザーの有機合成試薬)」ウィリー・アンド・サンズ、ニューヨーク、1-21 巻;R. C. LaRock「Comprehensive Organic Transformations(有機変換総説)」、第2版、ウィリー−VCH、ニューヨーク(1999);「Comprehensive Organic Synthesis(有機合成総説)」B. Trost and I. Fleming(監修)、1-9 巻、ペルガモン、オックスフォード(1991);「Comprehensive Heterocyclic Chemistry(複素環式化学総説)」 A. R. Katritzky and C. W. Rees(監修)、ペルガモン、オックスフォード(1984)、1-9 巻;「Comprehensive Heterocyclic Chemistry II(複素環式化学総説II)」A. R. Katritzky and C. W. Rees(監修)、ペルガモン、オックスフォード(1996)、1-11 巻;及び、「Organic Reactions(有機反応)」ウィリー・アンド・サンズ:ニューヨーク(1991)、1-40 巻のような専門書に記載されていて、当業者には馴染みのものであろう。
本発明の1つの態様において、R1、R2、R3、R4、R4a、R4b、R4c、R5、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、及びnが本明細書で上記に記載される通りである、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1が、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−6アルコキシ、又はヒドロキシによって置換されていてもよいR1aであり、R2が(a)アリール又は(b)ヘテロアリール(ここで前記アリール又は前記ヘテロアリールは、(CH2)nNRcRdで置換されて、追加的に、シアノ、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、(CH2)0−2CO2H、SO2NH2、C1−6アルキルスルフィニル、及びC1−6アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜2の置換基で独立して置換されていてもよく、nは0である)であり、そしてR3が、CF3、CH2CF3、CHR4aR4b、又はCR4aR4bR4c(ここで、(i)R4a、R4b、及びR4cは、C1−3アルキル又はCD3より独立して選択されるか又は(ii)一緒になるとき、R4aとR4bは、一緒にC2−4アルキレンであって、R4cは、C1−3アルキル、ハロゲン、シアノ、又はC1−2フルオロアルキルである)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1が、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−6アルコキシ、又はヒドロキシによって置換されていてもよいR1aであり、R2が(a)アリール又は(b)ヘテロアリール(ここで前記アリール又は前記ヘテロアリールは、(CH2)nNRcRdで置換されて、追加的に、シアノ、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、(CH2)0−2CO2H、SO2NH2、C1−6アルキルスルフィニル、及びC1−6アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜2の置換基で独立して置換されていてもよく、nは0である)であり、そしてR3がCF3である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、XがCHであり、R1が、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−6アルコキシ、又はヒドロキシによって置換されていてもよいR1aであり、R2が(a)アリール又は(b)ヘテロアリール(ここで前記アリール又は前記ヘテロアリールは、(CH2)nNRcRdで置換されて、追加的に、シアノ、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、(CH2)0−2CO2H、SO2NH2、C1−6アルキルスルフィニル、及びC1−6アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜2の置換基で独立して置換されていてもよく、nは0である)であり、そしてR3が、CF3、CH2CF3、CHR4aR4b、又はCR4aR4bR4c(ここで(i)R4a、R4b、及びR4cは、C1−3アルキル又はCD3より独立して選択されるか又は(ii)一緒になるとき、R4aとR4bは、一緒に、C2−4アルキレンであって、R4cは、C1−3アルキル、ハロゲン、シアノ、又はC1−2フルオロアルキルである)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、XがNであり、R1が、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−6アルコキシ、又はヒドロキシによって置換されていてもよいR1aであり、R2が(a)アリール又は(b)ヘテロアリール(ここで前記アリール又は前記ヘテロアリールは、(CH2)nNRcRdで置換されて、追加的に、シアノ、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、(CH2)0−2CO2H、SO2NH2、C1−6アルキルスルフィニル、及びC1−6アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜2の置換基で独立して置換されていてもよく、nは0である)であり、そしてR3が、CF3、CH2CF3、CHR4aR4b、又はCR4aR4bR4c(ここで(i)R4a、R4b、及びR4cは、C1−3アルキル又はCD3より独立して選択されるか又は(ii)一緒になるとき、R4aとR4bは、一緒に、C2−4アルキレンであって、R4cは、C1−3アルキル、ハロゲン、シアノ、又はC1−2フルオロアルキルである)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1が、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−6アルコキシ、又はヒドロキシによって置換されていてもよいR1aであり、R2が、(CH2)nNRcRdで置換されて、追加的に、シアノ、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、(CH2)0−2CO2H、SO2NH2、C1−6アルキルスルフィニル、及びC1−6アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜2の置換基で独立して置換されていてもよいフェニルであり、nは0であり、そしてR3がCR4aR4bR4c(ここでR4a、R4b、及びR4cは、Me又はCD3である)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、XがCHであり、R1が、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−6アルコキシ、又はヒドロキシによって置換されていてもよいR1aであり、R2が、(CH2)nNRcRdで置換されて、追加的に、シアノ、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、(CH2)0−2CO2H、SO2NH2、C1−6アルキルスルフィニル、及びC1−6アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜2の置換基で独立して置換されていてもよいフェニルであり、nは0であり、そしてR3がCR4aR4bR4c(ここでR4a、R4b、及びR4cは、Me又はCD3である)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、XがCHであり、R1が、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−6アルコキシ、又はヒドロキシによって置換されていてもよいR1aであり、R2が、(CH2)nNRcRdで置換されて、追加的に、シアノ、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、(CH2)0−2CO2H、SO2NH2、C1−6アルキルスルフィニル、及び1−6アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜2の置換基で独立して置換されていてもよいピリジニルであり、nは0であり、そしてR3がCR4aR4bR4c(ここでR4a、R4b、及びR4cは、Me又はCD3である)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1が、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−6アルコキシ、又はヒドロキシによって置換されていてもよいR1aであり、R2が、(CH2)nNRcRdで置換されて、追加的に、シアノ、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、(CH2)0−2CO2H、SO2NH2、C1−6アルキルスルフィニル、及びC1−6アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜2の置換基で独立して置換されていてもよいフェニルであり、nは0であり、そしてR3がCR4aR4bR4c(ここでR4aとR4bは、一緒に、C2アルキレンであって、R4cは、C1−3アルキル、シアノ、又はC1−2フルオロアルキルである)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1が、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−6アルコキシ、又はヒドロキシによって置換されていてもよいR1aであり、R2がNRaRbであり、そしてR3が、CF3、CH2CF3、CHR4aR4b、又はCR4aR4bR4c(ここで(i)R4a、R4b、及びR4cは、C1−3アルキル又はCD3より独立して選択されるか又は(ii)一緒になるとき、R4aとR4bは、一緒に、C2−4アルキレンであって、R4cは、C1−3アルキル、ハロゲン、シアノ、又はC1−2フルオロアルキルである)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1が、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−6アルコキシ、又はヒドロキシによって置換されていてもよいR1aであり、R2がNRaRbであり、そしてR3がCF3又はCR4aR4bR4c(ここでR4a、R4b、及びR4cは、C1−3アルキル又はCD3より独立して選択される)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1が、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−6アルコキシ、又はヒドロキシによって置換されていてもよいR1aであり、R2がN1−ピロリジン−3−イルメチル−メタンスルホンアミドであり、そしてR3がCF3又はCR4aR4bR4c(ここでR4a、R4b、及びR4cは、C1−3アルキル又はCD3より独立して選択される)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1が、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−6アルコキシ、又はヒドロキシによって置換されていてもよいR1aであり、R2がN−(S)−1−ピロリジン−3−イルメチル−メタンスルホンアミドであり、そしてR3がCF3又はCR4aR4bR4c(ここでR4a、R4b、及びR4cは、C1−3アルキル又はCD3より独立して選択される)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明のなお別の態様では、R1が、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−6アルコキシ、又はヒドロキシによって置換されていてもよいR1aであり、R2がN−(S)−1−ピロリジン−3−イルメチル−メタンスルホンアミドであり、そしてR3がCF3又はCR4aR4bR4c(ここでR4a、R4b、及びR4cは、C1−3アルキルより独立して選択される)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1がR1dであり、R2が(a)アリール又は(b)ヘテロアリール(ここで前記アリール又は前記ヘテロアリールは、(CH2)nNRcRdで置換されて、追加的に、シアノ、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、(CH2)0−2CO2H、SO2NH2、C1−6アルキルスルフィニル、及びC1−6アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜2の置換基で独立して置換されていてもよく、nは0である)であり、そしてR3が、CF3、CH2CF3、CHR4aR4b、又はCR4aR4bR4c(ここで(i)R4a、R4b、及びR4cは、C1−3アルキル又はCD3より独立して選択されるか又は(ii)一緒になるとき、R4aとR4bは、一緒に、C2−4アルキレンであって、R4cは、C1−3アルキル、ハロゲン、シアノ、又はC1−2フルオロアルキルである)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1がR1dであり、R2が(a)アリール又は(b)ヘテロアリール(ここで前記アリール又は前記ヘテロアリールは、(CH2)nNRcRdで置換されて、追加的に、シアノ、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、(CH2)0−2CO2H、SO2NH2、C1−6アルキルスルフィニル、及びC1−6アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜2の置換基で独立して置換されていてもよく、nは0である)であり、R3がCF3である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1がR1dであり、R2が、(CH2)nNRcRdで置換されて、追加的に、シアノ、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、(CH2)0−2CO2H、SO2NH2、C1−6アルキルスルフィニル、及びC1−6アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜2の置換基で独立して置換されていてもよいフェニルであり、nは0であり、そしてR3がCR4aR4bR4c(ここでR4a、R4b、及びR4cは、Me又はCD3である)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1がR1dであり、R2が、(CH2)nNRcRdで置換されて、追加的に、シアノ、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、(CH2)0−2CO2H、SO2NH2、C1−6アルキルスルフィニル、及びC1−6アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜2の置換基で独立して置換されていてもよいフェニルであり、nは0であり、そしてR3がCR4aR4bR4c(ここでR4a、R4b、及びR4cは、Me又はCD3である)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1が2,4−ジオキソ−テトラヒドロ−ピリミジン−1−イルであり、R2が、(CH2)nNRcRdで置換されて、追加的に、シアノ、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、(CH2)0−2CO2H、SO2NH2、C1−6アルキルスルフィニル、及びC1−6アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜2の置換基で独立して置換されていてもよいピリジニルであり、nは0であり、そしてR3がCR4aR4bR4c(ここでR4a、R4b、及びR4cは、Me又はCD3である)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1がR1dであり、R2が、(CH2)nNRcRdで置換されて、追加的に、シアノ、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、(CH2)0−2CO2H、SO2NH2、C1−6アルキルスルフィニル、及びC1−6アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜2の置換基で独立して置換されていてもよいフェニルであり、nは0であり、そしてR3がCR4aR4bR4c(ここでR4aとR4bは、一緒に、C2アルキレンであって、R4cは、C1−3アルキル、シアノ、又はC1−2フルオロアルキルである)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1がR1dであり、R2がNRaRbであり、そしてR3が、CF3、CH2CF3、CHR4aR4b又はCR4aR4bR4c(ここで(i)R4a、R4b、及びR4cは、C1−3アルキル又はCD3より独立して選択されるか又は(ii)一緒になるとき、R4aとR4bは、一緒に、C2−4アルキレンであって、R4cは、C1−3アルキル、ハロゲン、シアノ、又はC1−2フルオロアルキルである)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1がR1dであり、R2がNRaRbであり、そしてR3がCF3又はCR4aR4bR4c(ここでR4a、R4b、及びR4cは、C1−3アルキル又はCD3より独立して選択される)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1がR1d、C1−6アルコキシ、又はヒドロキシであり、R2がN1−ピロリジン−3−イルメチル−メタンスルホンアミドであり、そしてR3がCF3又はCR4aR4bR4c(ここでR4a、R4b、及びR4cは、C1−3アルキル又はCD3より独立して選択される)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1がR1dであり、R2がN−(S)−1−ピロリジン−3−イルメチル−メタンスルホンアミドであり、そしてR3がCF3又はCR4aR4bR4c(ここでR4a、R4b、及びR4cは、C1−3アルキル又はCD3より独立して選択される)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明のなお別の態様では、R1がR1dであり、R2がN−(S)−1−ピロリジン−3−イルメチル−メタンスルホンアミドであり、そしてR3がCF3又はCR4aR4bR4c(ここでR4a、R4b、及びR4cは、C1−3アルキルより独立して選択される)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1がR1bであり、R5が水素又はメチルであり、R2が、(CH2)nNRcRdで置換されて、追加的に、シアノ、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、(CH2)0−2CO2H、SO2NH2、C1−6アルキルスルフィニル、及びC1−6アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜2の置換基で独立して置換されていてもよいフェニルであり、nは0であり、そしてR3がCR4aR4bR4c(ここでR4a、R4b、及びR4cは、Me又はCD3である)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1がR1cであり、R5が水素又はメチルであり、R2が、(CH2)nNRcRdで置換されて、追加的に、シアノ、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、(CH2)0−2CO2H、SO2NH2、C1−6アルキルスルフィニル、及びC1−6アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜2の置換基で独立して置換されていてもよいフェニルであり、nは0であり、そしてR3がCR4aR4bR4c(ここでR4a、R4b、及びR4cは、Me又はCD3である)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、R1がR1eであり、R5が水素又はメチルであり、R2が、(CH2)nNRcRdで置換されて、追加的に、シアノ、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、(CH2)0−2CO2H、SO2NH2、C1−6アルキルスルフィニル、及びC1−6アルキルスルホニルからなる群より選択される1〜2の置換基で独立して置換されていてもよいフェニルであり、nは0であり、そしてR3がCR4aR4bR4c(ここでR4a、R4b、及びR4cは、Me又はCD3である)である、式Iによる化合物を提供する。
本発明の別の態様では、表1より選択される化合物を提供する。
本発明の別の態様では、式I(ここで、R1、R2、R3、R4、R4a、R4b、R4c、R5、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、及びnは、本明細書において上記に定義される通りである)による化合物の治療有効量を投与することを含んでなる、その必要な患者においてHCV感染症を治療する方法を提供する。
本発明の別の態様では、式I(ここで、R1、R2、R3、R4、R4a、R4b、R4c、R5、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、及びnは、本明細書において上記に定義される通りである)による化合物の治療有効量と少なくとも1つの免疫系モジュレーター及び/又はHCVの複製を阻害する少なくとも1つの抗ウイルス剤を併用投与することを含んでなる、その必要な患者においてHCV感染症を治療する方法を提供する。
本発明の別の態様では、式I(ここで、R1、R2、R3、R4、R4a、R4b、R4c、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、及びnは、本明細書において上記に定義される通りである)による化合物の治療有効量と、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子、又はコロニー刺激因子より選択される少なくとも1つの免疫系モジュレーターを併用投与することを含んでなる、その必要な患者においてHCVによって引き起こされる疾患を治療する方法を提供する。
本発明の別の態様では、式I(ここで、R1、R2、R3、R4、R4a、R4b、R4c、、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、及びnは、本明細書において上記に定義される通りである)による化合物の治療有効量と、インターフェロン又は化学的に誘導化されたインターフェロンを併用投与することを含んでなる、その必要な患者においてHCV感染症を治療する方法を提供する。
本発明の別の態様では、式I(ここで、R1、R2、R3、R4、R4a、R4b、R4c、R5、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、及びnは、本明細書において上記に定義される通りである)による化合物の治療有効量と、HCVプロテアーゼ阻害剤、別のHCVポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤、HCVプライマーゼ阻害剤、及びHCV融合阻害剤からなる群より選択される別の抗ウイルス化合物を併用投与することを含んでなる、その必要な患者においてHCV感染症を治療する方法を提供する。
本発明の別の態様では、少なくとも1つの医薬的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と混合された、式I(ここで、R1、R2、R3、R4、R4a、R4b、R4c、R5、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、及びnは、本明細書において上記に定義される通りである)の化合物の治療有効量を送達することによって、細胞中でのウイルス複製を阻害するための方法を提供する。
本発明の別の態様では、式I(ここで、R1、R2、R3、R4、R4a、R4b、R4c、R5、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、及びnは、本明細書において上記に定義される通りである)による化合物を少なくとも1つの医薬的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とともに含んでなる組成物を提供する。
本明細書でさらなる制限なしに使用する「アルキル」という用語は、単独で、又は他の基と組み合わせて、1〜10個の炭素原子を含有する、非分岐鎖又は分岐鎖、飽和、一価の炭化水素残基を意味する。本明細書で使用する「C1−6アルキル」は、1〜6個の炭素より構成されるアルキルを意味する。アルキル基の例には、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、ヘキシルが含まれる低級アルキル基と、オクチルが含まれる。どの炭素−水素結合も、本発明の範囲より逸脱することなく、炭素−重水素結合に置き換えることができる。
本明細書に記載の定義を付け加えて、「ヘテロアルキルアリール」、「ハロアルキルヘテロアリール」、「アリールアルキルヘテロシクリル」、「アルキルカルボニル」、「アルコキシアルキル」、等のような、化学的に関連した組合せを形成してよい。「アルキル」という用語が、「フェニルアルキル」又は「ヒドロキシアルキル」のように、別の用語に続く接尾辞として使用されるとき、これは、上記に定義されるようなアルキル基が、他の具体的に呼称される基より選択される1〜2の置換基で置換されていることを意味するものである。従って、例えば、「フェニルアルキル」は、1〜2のフェニル置換基を有するアルキル基を意味するので、ベンジル、フェニルエチル、及びビフェニルが含まれる。「アルキルアミノアルキル」は、1〜2のアルキルアミノ置換基を有するアルキル基である。「ヒドロキシアルキル」には、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−(ヒドロキシメチル)、3−ヒドロキシプロピル、等が含まれる。従って、本明細書で使用するように、「ヒドロキシアルキル」という用語は、下記に定義されるヘテロアルキル基の亜集合を明確化するために使用される。−(アル)アルキルという用語は、未置換のアルキル又はアラルキル基のいずれかを意味する。(ヘテロ)アリール又は(ヘテロ)アリールという用語は、アリール又はヘテロアリール基のいずれかを意味する。
本明細書で使用する「アルキレン」という用語は、他に示さなければ、1〜10個の炭素原子の二価で飽和の直鎖炭化水素残基(例、(CH2)n)、又は2〜10個の炭素原子の分岐した飽和の二価炭化水素残基(例、−CHMe−又は−CH2CH(i−Pr)CH2−)を意味する。C0−4アルキレンは、1〜4個の炭素原子を含んでなる、直鎖又は分岐した飽和の二価炭化水素残基を意味するか、又はC0の場合、アルキレン残基は省略される。メチレンの場合を除き、アルキレン基の開いた原子価は、同じ原子へ付かない。アルキレン残基の例には、限定されないが、メチレン、エチレン、プロピレン、2−メチル−プロピレン、1,1−ジメチル−エチレン、ブチレン、2−エチルブチレンが含まれる。
本明細書で使用する「アルコキシ」という用語は、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシのような−O−アルキル基(ここでアルキルは、上記に定義される通りである)を意味して、それらの異性体も含まれる。本明細書で使用する「低級アルコキシ」は、先に定義したような「低級アルキル」基のあるアルコキシ基を意味する。本明細書で使用する「C1−10アルコキシ」は、−O−アルキル(ここでアルキルは、C1−10である)を意味する。
本明細書で使用する「ハロアルキル」という用語は、1、2、3個以上の水素原子がハロゲンによって置換されている、上記に定義されるような、非分岐鎖又は分岐鎖のアルキル基を意味する。例は、1−フルオロメチル、1−クロロメチル、1−ブロモメチル、1−ヨードメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、1−フルオロエチル、1−クロロエチル、1、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、2,2−ジクロロエチル、3−ブロモプロピル、又は2,2,2−トリフルオロエチルである。本明細書で使用する「フルオロアルキル」という用語は、フッ素がハロゲンである、ハロアルキル部分を意味する。
本明細書で使用する「アシル」(又は「アルカノイル」)という用語は、式:−C(=O)R(ここでRは、水素、又は本明細書に定義されるような低級アルキルである)の基を意味する。本明細書で使用する「アルキルカルボニル」という用語は、式:C(=O)R(ここでRは、本明細書に定義されるようなアルキルである)の基を意味する。C1−6アシル又は「アルカノイル」という用語は、1〜6個の炭素原子を含有する基:−C(=O)Rを意味する。C1アシル基は、R=Hであるホルミル基であって、C6アシル基は、アルキル鎖が非分岐である場合のヘキサノイルを意味する。本明細書で使用する「アリールカルボニル」又は「アロイル」という用語は、式:C(=O)R(ここでRは、アリール基である)の基を意味し;本明細書で使用する「ベンゾイル」という用語は、Rがフェニルである、「アリールカルボニル」又は「アロイル」基を意味する。
本明細書で使用する「アルキルスルホニル」及び「アリールスルホニル」という用語は、式:−S(=O)2R(ここでRは、それぞれ、アルキル又はアリールであり、アルキル及びアリールは、本明細書に定義される通りである)の基を意味する。本明細書で使用するC1−3アルキルスルホニルアミドという用語は、基:RSO2NH−(ここでRは、本明細書に定義されるようなC1−3アルキル基である)を意味する。C1−6ハロアルキルスルホニル、C3−7シクロアルキルスルホニル、C3−7シクロアルキル−C1−3アルキル−スルホニル、又はC1−6アルコキシ−C1−6アルキルスルホニルという用語は、化合物:S(=O)2R(ここでRは、それぞれ、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキル−C1−3アルキル、及びC1−6アルコキシ−C1−6アルキルである)を意味する。
本明細書で使用する「アルキルスルホニルアミド」及び「アリールスルホニルアミド」という用語は、式:−NR’S(=O)2R(ここでRは、それぞれアルキル又はアリールであり、R’は、水素又はC1−3アルキルであって、アルキル及びアリールは、本明細書に定義される通りである)の基を意味する。「スルホニルアミノ」という用語は、「スルホニルアミド」が対応する接尾辞であるのに対し、接頭辞として使用される場合がある。
本明細書で使用する「シクロアルキル」という用語は、3〜8個の炭素原子を含有する飽和の炭素環式基(即ち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、又はシクロオクチル)を意味する。本明細書で使用する「C3−7シクロアルキル」は、炭素環式環に3〜7個の炭素を含むシクロアルキルを意味する。
本明細書で使用する「シクロアルキルアルキル」という用語は、残基:R’R”−(ここでR’は、本明細書に定義されるようなシクロアルキル残基であって、R”は、本明細書に定義されるようなアルキレン残基である)を意味し、該シクロアルキルアルキル部分の付加点は、アルキレン残基上にあると理解される。シクロアルキルアルキル残基の例には、限定されないが、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルエチルが含まれる。C3−7シクロアルキル−C1−3アルキルは、残基:R’R”(ここでR’は、C3−7シクロアルキルであって、R”は、本明細書に定義されるようなC1−3アルキレンである)を意味する。
本明細書で使用する「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を意味する。
本明細書で使用する「ヒドロキシアルキル」及び「アルコキシアルキル」という用語は、異なる炭素原子上の1〜3個の水素原子がそれぞれヒドロキシル又はアルコキシ基によって置き換えられている、本明細書に定義されるようなアルキル残基を意味する。C1−3アルコキシ−C1−6アルキル部分は、1〜3個の水素原子がC1−3アルコキシによって置き換えられているC1−6アルキル置換基を意味して、このアルコキシの付加点は、酸素原子である。
本明細書で使用する「アルコキシカルボニル」及び「アリールオキシカルボニル」という用語は、式:−C(=O)OR(ここでRは、それぞれアルキル又はアリールであって、アルキル及びアリールは、本明細書に定義される通りである)の基を意味する。
本明細書で使用する「シアノ」という用語は、三重結合によって窒素へ連結した炭素、即ち、−C≡Nを意味する。本明細書で使用する「ニトロ」という用語は、基:−NO2を意味する。本明細書で使用する「カルボキシ」という用語は、基:−CO2Hを意味する。
オキソという用語は、は、二重結合した酸素(=O)、即ち、カルボニル基を意味する。
本明細書で使用する「アシル」(又は「アルカノイル」)という用語は、式:−C(=O)R(ここでRは、水素、又は本明細書に定義されるような低級アルキルである)の基を意味する。本明細書で使用する「アルキルカルボニル」という用語は、式:C(=O)R(ここでRは、本明細書に定義されるようなアルキルである)の基を意味する。C1−6アシル又は「アルカノイル」という用語は、1〜6個の炭素原子を含有する基:−C(=O)Rを意味する。C1アシル基は、R=Hであるホルミル基であり、C6アシル基は、アルキル鎖が非分岐であるヘキサノイルを意味する。本明細書で使用する「アリールカルボニル」又は「アロイル」という用語は、式:C(=O)R(ここでRは、アリール基である)の基を意味し;本明細書で使用する「ベンゾイル」という用語は、Rがフェニルである、「アリールカルボニル」又は「アロイル」基を意味する。
本明細書で使用する「ヘテロアリール」という用語は、追加の定義も制限もなしに、「ピリジニル」、「ピラジニル」、及び「ピリダジニル」環を意味する。「ピリジン」(「ピリジニル」)という用語は、1個の窒素原子がある6員の芳香族複素環を意味する。「ピリミジン」(ピリミジニル)、「ピラジン」(「ピラジニル」)、及び「ピリダジン」(「ピリダジニル」)という用語は、2個の窒素原子が、それぞれ1,3、1,4、及び1,2の関係で配置された6員の非縮合芳香族複素環を意味する。それぞれの残基名は、括弧にある。
本明細書で使用する「スルファモイル」という用語は、残基:−S(O)2NH2を意味する。本明細書で使用する「N−アルキルスルファモイル」及び「N,N−ジアルキルスルファモイル」という用語は、残基:−S(O)2NR’R”(ここでR’とR”は、水素と低級アルキルであり、R’とR”は、それぞれ独立して、低級アルキルである)を意味する。N−アルキルスルファモイル置換基の例には、限定されないが、メチルアミノスルホニル、イソプロピルアミノスルホニルが含まれる。N,N−ジアルキルスルファモイル置換基の例には、限定されないが、ジメチルアミノスルホニル、イソプロピル−メチルアミノスルホニルが含まれる。
本明細書で使用する「カルバモイル」という用語は、残基:−CONH2を意味する。接頭辞の「N−アルキルカルバモイル」及び「N,N−ジアルキルカルバモイル」は、残基:CONHR’又はCONR’R”(ここでR’及びR”基は、独立して、本明細書に定義されるようなアルキルである)をそれぞれ意味する。接頭辞の「N−アリールカルバモイル」は、残基:CONHR’(ここでR’は、本明細書に定義されるようなアリール残基である)を意味する。
本明細書で使用する「アルキルスルフィニル」及び「アリールスルフィニル」という用語は、式:−S(=O)R(ここでRは、それぞれアルキル又はアリールであって、アルキル及びアリールは、本明細書に定義される通りである)の基を意味する。
本明細書で使用する「アルキルスルホニル」及び「アリールスルホニル」という用語は、式:−S(=O)2R(ここでRは、それぞれアルキル又はアリールであって、アルキル及びアリールは、本明細書に定義される通りである)の基を意味する。
本明細書で使用する「ベンジル」という用語は、C6H5CH2残基を意味し、ここで該フェニル環は、他に示さなければ、ヒドロキシ、チオ、シアノ、アルキル、アルコキシ、低級ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、及びジアルキルアミノアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルフィニル、アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、カルバモイル、アルキルカルバモイル及びジアルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノより独立して選択される、1以上、好ましくは1又は3の置換基で置換されていてもよい。
本明細書で使用する「ヘテロアリール」という用語は、追加の定義も制限もなしに、「ピリジニル」、「ピラジニル」、及び「ピリダジニル」環を意味する。「ピリジン」(「ピリジニル」)という用語は、1個の窒素原子がある6員の芳香族複素環を意味する。「ピリミジン」(ピリミジニル)、「ピラジン」(「ピラジニル」)、及び「ピリダジン」(「ピリダジニル」)という用語は、2個の窒素原子が、それぞれ1,3、1,4、及び1,2の関係で配置された6員の非縮合芳香族複素環を意味する。それぞれの残基名は、括弧にある。
「オキセタン」(オキセタニル)、「テトラヒドロフラン」(テトラヒドロフラニル)、及び「テトラヒドロピラン」(テトラヒドロピラニル)という用語は、それぞれ1個の酸素原子を含有する、4、5、及び6員の非縮合複素環式環をそれぞれ意味する。
本明細書で使用する「アリール」という用語は、フェニルを意味する。
「環式アミン」という用語は、上記に定義されるように、3〜6個の炭素原子を含有する飽和炭素環を意味して、ここでは該炭素原子の少なくとも1個がN、O、又はSからなる群より選択されるヘテロ原子に置き換わっていて、例えば、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ジオキソチオモルホリン、ピロリジン、ピラゾリン、イミダゾリジン、アゼチジンでは、該環式炭素原子が、ハロゲン、ヒドロキシ、フェニル、低級アルキル、低級アルコキシからなる群より選択される1以上の置換基によって置換されていてもよく、又は炭素上の2個の水素原子がともにオキソ(=O)によって置き換わる。環式アミンがピペラジンであるとき、1個の窒素原子は、C1−6アルキル、C1−6アシル、C1−6アルキルスルホニルによって置換されていてもよい。
(i)2,4−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピリミジン−5−イル(R5がHである場合)、(ii)2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル、(iii)2,4−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル、又は(iv)3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−4−イルという用語は、以下の部分を意味する:
3−オキソ−3,4−ジヒドロ−ピラジン−2−イル、(ii)3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−イル、(iii)2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−オン−5−イル、(iv)2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル、(v)6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアジン−5−イル、及び(vi)。
通常使用される略語には、アセチル(Ac)、水性(aq.)、気圧(Atm)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ピロ炭酸ジtert−ブチル又はboc無水物(BOC2O)、ベンジル(Bn)、ブチル(Bu)、ケミカル・アブストラクト登録番号(CASRN)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ又はZ)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,2−ジクロロエタン(DCE)、ジクロロメタン(DCM)、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL又はDIBAL−H)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、エチル(Et)、酢酸エチル(EtOAc)、エタノール(EtOH)、2−エトキシ−2H−キノリン−1−カルボン酸エチルエステル(EEDQ)、ジエチルエーテル(Et2O)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロリン酸塩(HATU)、酢酸(HOAc)、1−N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、イソプロパノール(IPA)、メタノール(MeOH)、融点(mp)、MeSO2−(メシル又はMs)、メチル(Me)、アセトニトリル(MeCN)、m−クロロ過安息香酸(MCPBA)、質量スペクトル(ms)、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、N−メチルモルホリン(NMM)、N−メチルピロリドン(NMP)、フェニル(Ph)、プロピル(Pr)、イソプロピル(i−Pr)、重量ポンド毎平方インチ(psi)、ピリジン(pyr)、室温(rt又はRT)、satd.(飽和)、tert−ブチルジメチルシリル又はt−BuMe2Si(TBDMS)、トリエチルアミン(TEA又はEt3N)、トリフレート又はCF3SO2−(Tf)、トリフルオロ酢酸(TFA)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム・テトラフルオロホウ酸塩(TBTU)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、テトラヒドロフラン(THF)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、トリメチルシリル又はMe3Si(TMS)、p−トルエンスルホン酸一水和物(TsOH又はpTsOH)、4−Me−C6H4SO2−又はトシル(Ts)、N−ウレタン−N−カルボキシ無水物(UNCA)が含まれる。接頭辞のノルマル(n−)、イソ(i−)、二級(sec−)、三級(tert−)、及びネオ(neo−)が含まれる慣用の命名法は、アルキル部分とともに使用されるときにその通例の意味を有する(J. Rigaudy and D. P. Klesney,「Nomenclature in Organic Chemistry(有機化学の命名法)」IUPAC 1979,ペルガモン・プレス、オックスフォード)。
本発明によって、そして本発明の範囲内に含まれる代表的な化合物の例を以下の表に提供する。以下に続くこれらの実施例及び製法は、当業者が本発明をより明確に理解して実践することを可能にするために提供する。それらは、本発明の範囲を制限するものではなく、単にその例示で代表的なものとみなすべきである。
一般に、本出願において使用する命名法は、AUTONOMTMv.4.0(IUPAC系統命名作成用のバイルシュタイン研究所コンピュータ化システム)に基づく。図示される構造とその構造へ付与される名称の間に矛盾があれば、図示される構造がより重視されるべきである。加えるに、ある構造又はある構造の一部の立体化学が、例えば、太線又は破線で示されなければ、その構造又はその構造の部分には、そのすべての立体異性体が含まれると解釈されるべきである。
本発明の化合物は、以下に示して記載する例示の合成反応スキームにおいて図示される多様な方法によって作製することができる。上記の化合物を製造するときに使用する出発材料及び試薬は、一般に、アルドリッチ・ケミカル社のような市販供給業者から入手可能であるか、又は「Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis(フィーザー夫妻の有機合成試薬)」ウィリー・アンド・サンズ、ニューヨーク、1-21 巻;R. C. LaRock「Comprehensive Organic Transformations(有機変換総説)」、第2版、ウィリー−VCH、ニューヨーク(1999);「Comprehensive Organic Synthesis(有機合成総説)」B. Trost and I. Fleming(監修)、1-9 巻、ペルガモン、オックスフォード(1991);「Comprehensive Heterocyclic Chemistry(複素環式化学総説)」 A. R. Katritzky and C. W. Rees(監修)、ペルガモン、オックスフォード(1984)、1-9 巻;「Comprehensive Heterocyclic Chemistry II(複素環式化学総説II)」A. R. Katritzky and C. W. Rees(監修)、ペルガモン、オックスフォード(1996)、1-11 巻;及び、「Organic Reactions(有機反応)」ウィリー・アンド・サンズ:ニューヨーク(1991)、1-40 巻のような参考文献に示される手順に従って、当業者に知られた方法によって製造する。
以下の合成反応スキームは、本発明の化合物を合成し得るいくつかの方法を単に例示するのであって、当業者には、本出願に含まれる開示を参考にして、これらの合成反応スキームへの様々な修飾が示唆されて、それを行うことができよう。
合成反応スキームの出発材料及び中間体は、所望されるならば、限定されないが、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー、等が含まれる慣用の技術を使用して、単離して精製することができる。このような材料は、物理定数及びスペクトルデータが含まれる、慣用の手段を使用して特性決定することができる。
反対に特定されなければ、本明細書に記載の反応は、好ましくは、大気圧での不活性な雰囲気下に、約−78℃〜約150℃、より好ましくは、約0℃〜約125℃の反応温度範囲で、そして最も好ましくて簡便には、ほぼ室温(又は周囲温度)、例えば、約20℃で行う。
以下のスキーム中のいくつかの化合物を一般化した置換基とともに図示するが、当業者は、R基の特性を変化させて、本発明において考慮される様々な化合物を提供し得ることをすぐに理解されよう。さらに、この反応条件は例示であって、代わりの条件もよく知られている。以下の実施例における反応順序は、請求項に示すような本発明の範囲を制限するものではない。
本発明の範囲内にあるキナゾリン誘導体は、7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−tert−ブチル−キナゾリン(22a)より製造する。(22a)の製造は、5−ブロモ−アントラニルイミドのアセチル化によって製造される(20b)の環化によって達成される。4−メタンスルホンアミン置換基は、Suzuki プロトコールを利用する、4−メタンスルホンアミド−フェニルボロン酸と(22a)のパラジウム触媒カップリングによって導入する。
この Suzuki 反応は、ボロン酸(R−B(OH)2)(ここでRは、アリール又はビニルである)のアリール又はビニルのハロゲン化物又はトリフレート(R’Y、ここでR’=アリール又はビニル;Y=ハロゲン化物又はOSO2CF3)とのパラジウム触媒カップリングであって、化合物:R−R’が得られる。典型的な触媒には、Pd(PPh3)3、Pd(OAc)2、及びPdCl2(dppf)が含まれる。PdCl2(dppf)を用いると、一級アルキルボラン化合物を、β−脱離を伴うことなく、アリール又はビニルのハロゲン化物又はトリフレートへカップリングすることができる。きわめて活性のある触媒が同定されてきた(例えば、J. P. Wolfe et al., J. Am. Chem. Soc. 1999 121(41):9550-9561 及び A. F. Littke et al., J. Am. Chem. Soc. 2000 122(17):4020-4028 を参照のこと)。この反応は、トルエン、THF、ジオキサン、1,2−ジクロロエタン、DMF、PhMe、MeOH、DMSO、及びアセトニトリルが含まれる多様な有機溶媒、水性溶媒において二相性の条件下で行うことができる。典型的には、ほぼ室温〜約150℃で反応を行う。添加剤(例、CsF、KF、TlOH、NaOEt、及びKOH)は、しばしばこのカップリングを促進する。Suzuki 反応には、パラジウム供給源、リガンド、添加剤、及び温度を含めて数多くのパラメータがあって、最適な条件には、所与の反応体の対について、この変数の最適化が求められるときもある。A. F. Littke et al., 上記は、Pd2(dba)3/P(tert−bu)3を室温で利用するアリールボロン酸での Suzuki クロスカップリングの高収率の条件と、Pd(OAc)2/P(C6H11)3を室温で利用するアリール及びビニルトリフレートのクロスカップリングについての条件を開示する。J. P. Wolf et al., 上記は、Pd(OAc)2/o−(ジtert−ブチルホスフィノ)ビフェニル又はo−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニルを利用する Suzuki クロスカップリングについての効率的な条件を開示する。当業者は、不当な実験無しに、最適な条件を決定することができる。
アミン置換基、NRaRbの導入は、パラジウム触媒アミノ化によって行う。アリール若しくはヘテロアリール環上の塩素、臭素、ヨウ素、メシレート(メタンスルホネート)、又はトリフレート(トリフルオロ−メタンスルホネート)置換基のような好適な脱離基のアミンによる置換は、十分に確立された手順になっている(例えば、ブッフバルト−ハートウィッグカップリング;(a)J. P. Wolfe, S. Wagaw and S. L. Buchwald J. Am. Chem. Soc. 1996, 118, 7215-7216;(b)J. P. Wolfe and S. L. Buchwald Tetrahedron Lett. 1997, 38, 6359-6362;(c)J. P. Wolfe, S. Wagaw, J.-F. Marcoux and S. L. Buchwald Acc. Chem. Res. 1998, 31, 805-818;(d)B. H. Yang and S. L. Buchwald J. Organomet. Chem. 1999, 576, 125-146;(e)J. F. Hartwig Angew. Chem. Int. Ed. 1998, 37, 2046-2067 を参照のこと)。(ヘテロ)アリールのハロゲン化物又はスルホネートのアミノ化は、トリス−(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)又はPd(OAc)2のようなパラジウム触媒、トリフェニルホスフィン、rac−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフタレン(rac−BINAP)、ジシクロヘキシル−(2’,4’,6’−トリイソプロピル−ビフェニル−2−イル)−ホスファン(X−Phos)、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジtert−ブチルホスフィン(Josiphos;Q. Shen, S. Shekhar, J. P. Stambuli and J. F. Hartwig Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 1371-1375 を参照のこと)、P(C6H11)3、P(オルト−Tol)3、又はP(tert−Bu)3のようなホスフィンリガンドによって触媒される。通常、Cs2CO3、K3PO4、又はKO−tert−Buのような塩基性の添加剤をトルエン、EtOH、DME、ジオキサン、又は水、又はこれらの混合物のような溶媒中で利用する。C−N形成は、室温又は上昇温度で行ってよく、ここでは、加熱を慣用的に、又はマイクロ波照射によって達成してよい(「Organometallics in Synthesis(合成における有機金属化合物)」(M. Schlosser 監修)、第2版(2002)、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ社、チチェスター、イギリス、第4章中の「Palladium (0) Complexes in Organic Chemistry(有機化学におけるパラジウム(0)錯体)」、及び D. Prim et al., Tetrahedron 2002 58:2041-2075 も参照のこと)。
引き続き、POCl3を用いて、4−ヒドロキシ基を対応する塩化物へ変換することによって、ヘテロアリール置換基を導入する。置換されていてもよい2−メトキシ−ピリジン−3−イルボロン酸(又は対応するボロン酸エステル)を(24)との Suzuki カップリングへ処して(26)を得て、これをHBr/HOAcで脱メチル化して、所望の生成物を得た。
本発明の化合物の製造に有用であるボロン酸には、限定されないが、2−メトキシ−ピリジン−3−イルボロン酸(CASRN163105−90−6)、2−ベンジルオキシ−3−ピリジンボロン酸、2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−ボロン酸(CASRN951655−49−5)、5−フルオロ−2−メトキシ−3−ピリジンボロン酸(CASRN957120−32−0)、2−メトキシ−6−メチル−ピリジン−3−イルボロン酸(CASRN1000802−75−4)、5−クロロ−2−メトキシ−ピリジン−3−イルボロン酸(CASRN943153−22−8)、2,6−ジメトキシ−ピリジン−3−イルボロン酸(CASRN221006−70−8)、又は2,4−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−イルボロン酸(CASRN70523−22−7)が含まれる。当業者は、Suzuki カップリングでは、4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル残基のようなボロン酸及びボロン酸エステルを可換的に使用し得ることを認められよう。
あるいは、2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルは、ハロゲン化アリールをウラシルに置き換える銅触媒アリールアミノ化反応によって導入することができる。CuI触媒アリールアミノ化については数多くの手法が報告されている(R. Wagner et al. WO2009/039127は、ハロゲン化アリールのウラシルによるCuI触媒置換を開示する)。3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾフランの連続的なモノ臭素化によって製造した二臭化物(42)を初めに(29)との Suzuki カップリングへ処して、(44)と異性体のカップリング生成物を得た。この異性体を分離させて、この両方をウラシル、CuI、(2−シアノ−フェニル)−ピリジン−2−カルボキサミド、及びCs2CO3でアミノ化して、(I−1)と(I−4)を得た。
類似のピリド[3,2−d]ピリミジン誘導体は、(20a)を3−アミノ−5−ブロモ−ピリジン−2−イルカルボキサミドで置き換えること以外は同様にして製造する。4位の置換基と7位の置換基の導入は、上記の記載のように行うことができる。
R1がR1bであってR5がC1−3アルキルである化合物は、2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イルボロン酸(又はそのエステル)のパラジウム触媒カップリングによって、そしてその後でその付加物をヨウ化メチル(又はその同等物)で処理することによって4−メトキシ−1−メチル−2−オキソ−1H−ピリミジン−5−イル誘導体を生成して、これを本明細書に記載のようにHBr/HOAcで処理して1−メチル−2,4−ジオキソ−1H−ピリミジン−5−イル類似体を得て、製造することができる。R1がR1eである化合物は、本明細書において上記に記載したように製造し得る、対応する4−アミノ誘導体より製造する。このトリアゾロンの修飾は、このアミンをトリエチルオルトアセテート及びヒドラジンメチルカルボキシレートで弱酸性条件下に処理して、引き続きアルカリアルコキシドで環化することによって達成する。
本発明の化合物のHCV活性の阻害剤としての活性は、in vivo 及び in vitro アッセイが含まれる、当業者に知られた好適な方法のいずれによっても測定してよい。例えば、式Iの化合物のHCV NS5B阻害活性は、Behrens et al., EMBO J. 1996 15: 12-22, Lohmann et al., Virology 1998 249: 108-118 及び Ranjith-Kumar et al., J. Virology 2001 75: 8615-8623 に記載の標準アッセイ手順を使用して定量することができる。他に述べなければ、本発明の化合物は、このような標準アッセイにおいて、in vitro HCV NS5B阻害活性を実証した。本発明の化合物のために使用するHCVポリメラーゼアッセイ条件については、実施例8に記載する。非構造タンパク質がHuh7細胞においてサブゲノムのウイルスRNAを安定的に複製する、HCV用の細胞ベースのレプリコン系が開発された(V. Lohmann et al., Science 1999 285: 110 及びK. J. Blight et al., Science 2000 290: 1972)。本発明の化合物のために使用する細胞ベースのレプリコンアッセイ条件については、実施例4に記載する。ウイルスの非構造タンパク質と宿主タンパク質からなる、精製された機能性HCVレプリカーセの非存在において、フラビウイルス科のRNA合成についての我々の理解は、活性な組換えRNA依存性RNAポリメラーゼを使用する研究成果と、HCVレプリコン系におけるこれらの研究成果の検証に由来する。in vitro の生化学アッセイにおける、組換え精製HCVポリメラーゼの化合物での阻害は、他のウイルスポリペプチドと細胞ポリペプチドが適正な化学量論比で会合したレプリカーゼ複合体の内部にポリメラーゼが存在する、このレプリコン系を使用して検証することができる。HCV複製の細胞ベースの阻害の実証は、in vitro の生化学アッセイにおけるHCV NS5B阻害活性の実証よりも、in vivo 機能をより予測させる可能性がある。
本発明の化合物は、多種多様な経口投与の剤形及び担体において製剤化することができる。経口投与は、錠剤、被覆錠剤、糖衣錠剤、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、溶液剤、乳剤、シロップ剤、又は懸濁液剤の形態であり得る。本発明の化合物は、他の投与経路の中でも、連続(静脈内点滴)、局所、非経口、筋肉内、静脈内、皮下、経皮(これには、浸透増強剤を含めてよい)、頬内、経鼻、吸入、及び坐剤投与が含まれる、他の投与経路によって投与されるときに有効である。一般的には、好ましい投与手段は、苦痛の度合いと有効成分への患者の応答に従って調整することができる、簡便な毎日の投薬レジメンを使用する経口投与である。
本発明の単数又は複数の化合物は、その医薬として使用可能な塩と同様に、1以上の慣用の賦形剤、担体、又は希釈剤と一緒に、医薬組成物及び単位剤形の形態の中へ入れることができる。医薬組成物と単位剤形は、慣用の比率での慣用の成分より、追加の活性化合物又は成分の有り無しで構成されてよくて、単位剤形は、企図される1日投与量範囲に釣り合った有効成分を利用するのに適したどの有効量も含有してよい。医薬組成物は、錠剤又は充填カプセル剤、半固形剤、散剤、持続放出製剤のような固形剤、又は溶液剤、懸濁液剤、乳剤、エリキシル剤、又は経口使用の充填カプセル剤のような液剤として、又は直腸又は膣内投与用の坐剤の形態で、又は非経口使用のための注射可能な無菌溶液剤の形態で利用してよい。典型的な調製物は、約5〜約95(w/w)%の単数又は複数の活性化合物を含有するものである。「調製物」又は「剤形」という用語には、活性化合物の固体製剤と液体製剤がともに含まれると企図されて、当業者は、標的の臓器又は組織に、そして所望される用量及び薬物動態変数に依存して、有効成分が異なる調製物において存在し得ることを理解されよう。
本明細書で使用する「賦形剤」という用語は、医薬組成物を調製するのに有用であり、概して安全、無害で、生物学的にも他の点でも望ましくなくはない化合物を意味して、ヒトの医薬使用だけでなくて、獣医学での使用にも受け容れられる賦形剤が含まれる。本発明の化合物は、単独で投与し得るが、一般的には、企図される投与経路と標準の医薬実践に関連して選択される、1以上の好適な医薬賦形剤、希釈剤、又は担体と混合して投与される。
「医薬的に許容される」は、概して安全、無害で、生物学的にも他の点でも望ましくなくはない医薬組成物を調製するときに有用であるものを意味して、ヒトの医薬使用に受けいれられるものが含まれる。
有効成分の「医薬的に許容される塩」の形態はまた、初めに、非塩型には存在しなかった望ましい薬物動態特性を有効成分に付与する場合があり、有効成分の身体中での治療活性に関するその薬力学にプラスの影響を及ぼす場合さえある。化合物の「医薬的に許容される塩」という句は、医薬的に許容されて、親化合物の所望の薬理学的活性を保有する塩を意味する。そのような塩には、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、等のような無機酸とともに生成される酸付加塩;又は、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフト酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコ酸、等のような有機酸とともに生成される酸付加塩;又は(2)親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン(例、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又はアルミニウムイオン)に置き換わるか、又はエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン、等のような有機塩基と配位結合するときに生成される塩が含まれる。
固体形態の調製物には、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散可能な顆粒剤が含まれる。固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、又は被包化材料としても作用し得る、1以上の物質であり得る。散剤において、担体は、一般に、細分化された活性成分との混合物である、細分化された固形物である。錠剤では、一般的に、必要な結合能力を有する担体と活性成分を好適な比率で混合して、所望される形状及び大きさに圧縮する。好適な担体には、限定されないが、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココア脂、等が含まれる。固体形態の調製物は、活性成分に加えて、着色剤、香味剤、安定化剤、緩衝剤、人工及び合成甘味料、分散剤、濃化剤、可溶化剤、等を含有してよい。
液体製剤も経口投与に適していて、液体製剤には、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水溶液剤、水性懸濁液剤が含まれる。これらには、使用の直前に液体形態の調製物へ変換されるように企図された固体形態の調製物が含まれる。乳剤は、溶液剤において、例えば、水性プロピレングリコール溶液剤において調製し得るか、又はレシチン、ソルビタンモノオレエート、又はアカシアのような乳化剤を含有してよい。水溶液剤は、活性成分を水に溶かして、好適な着色剤、香味剤、安定化剤、及び濃化剤を加えることによって調製することができる。水性懸濁液剤は、細分化した活性成分を、天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び他のよく知られた懸濁剤のような粘稠な材料とともに水に分散させることによって調製することができる。
本発明の化合物は、非経口投与(例えば、注射、例えば、ボーラス注射又は点滴による)用に製剤化してよく、アンプル剤、プレ充填シリンジ剤、少量注入剤での単位剤形において、又は保存剤を加えた多用量容器において提示してよい。この組成物は、油性又は水性の媒体中の懸濁液剤、溶液剤、又は乳剤、例えば、水性ポリエチレングリコール中の溶液剤のような形態を取り得る。油性又は非水性の担体、希釈剤、溶媒、又は媒体(vehicles)の例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例、オリーブ油)、及び注射可能な有機エステル(例、オレイン酸エチル)が含まれて、保存剤、湿潤剤、乳化剤又は懸濁剤、安定化剤,及び/又は分散剤のような製剤用の薬剤を含有してよい。あるいは、有効成分は、無菌固形物の防腐的な単離によって、又は好適な媒体(例、無菌の発熱性物質除去水)で使用前に構成するための溶液からの凍結乾燥によって入手される粉末形態であり得る。
本発明の化合物は、軟膏剤、クリーム剤、又はローション剤として、又は経皮パッチ剤として表皮への局所投与用に製剤化してよい。軟膏剤及びクリーム剤は、例えば、水性又は油性の基剤とともに、好適な濃化剤及び/又はゲル化剤を加えて製剤化してよい。ローション剤は、水性又は油性の基剤とともに製剤化してよく、一般的には、1以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、濃化剤、又は着色剤も含有する。口腔中での局所投与に適した製剤には、香味基剤(通常は、ショ糖及びアカシア又はトラガカント)に活性薬剤を含んでなる口内錠;ゼラチン及びグリセリン又はショ糖及びアカシアのような不活性基剤に有効成分を含んでなる香錠;及び好適な液体担体に有効成分を含んでなる含嗽剤が含まれる。
本発明の化合物は、坐剤としての投与用に製剤化してよい。脂肪酸グリセリド又はココア脂の混合物のような低融点ワックスを最初に融かして、活性成分を、例えば、撹拌によって均質に分散させる。次いで、この融けた均質混合物を簡便な大きさの型の中へ注ぎ、そのまま冷やして、固まらせる。
本発明の化合物は、膣内投与用に製剤化してよい。有効成分に加えて、当該技術分野で適正であると知られているような担体を含有する、ペッサリー剤、タンポン剤、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤、又はスプレー剤がある。本発明の化合物は、経鼻投与用に製剤化してよい。この溶液剤又は懸濁液剤は、慣用の手段によって、例えば、点滴器、ピペット、又はスプレーで、鼻腔へ直接適用される。この製剤は、単用量又は多用量の形態で提供してよい。後者の点滴器又はピペットの場合、これは、適正な所定量の溶液剤又は懸濁液剤を患者が投与することによって達成され得る。スプレーの場合、これは、例えば、目盛の付いた微粒化スプレーポンプの手段によって達成され得る。
本発明の化合物は、特に、気道への鼻腔内投与が含まれる、エアゾール投与用に製剤化してよい。一般に、本化合物は、例えば、5ミクロン以下のオーダーの小さな粒径を有するものである。このような粒径は、当該技術分野で知られた手段によって、例えば、微粒子化によって入手することができる。有効成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、又はジクロロテトラフルオロエタン、又は二酸化炭素又は他の好適なガスのような好適な推進剤付きの加圧パックにおいて提供される。エアゾール剤は、簡便には、レシチンのような界面活性剤も含有し得る。薬物の用量は、目盛付きの栓によって制御され得る。あるいは、有効成分は、乾燥粉末、例えば、乳糖、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなデンプン誘導体、及びポリビニルピロリドン(PVP)のような好適な粉末基剤中の化合物の粉末混合物の形態で提供してよい。この粉末担体は、鼻腔中でゲルを生成する。粉末組成物は、例えば、そこからその粉末が吸入器の手段によって投与され得る、例えばゼラチンのカプセル又はカートリッジ、又はブリスターパック中の単位剤形で提示してよい。
所望される場合、製剤は、有効成分の持続又は制御放出投与に適用される腸溶コーティング剤とともに調製することができる。例えば、本発明の化合物は、経皮又は皮下の薬物送達デバイスにおいて製剤化することができる。これらの送達系は、化合物の持続放出が必要であるとき、そして治療レジメンでの患者コンプライアンスがきわめて重要であるときに有利である。経皮送達系では、化合物を皮膚接着性の固体支持体へ付けることが多い。関心対象の化合物はまた、浸透エンハンサー、例えばアゾン(1−ドデシルアザ−シクロヘプタン−2−オン)と組み合わせることもできる。持続放出送達系は、手術又は注射によって皮下層の中へ皮下的に挿入される。この皮下インプラントは、脂溶性の膜(例えば、シリコーンゴム)又は生分解性ポリマー(例えば、ポリ乳酸)の中に化合物を被包化する。
好適な製剤については、医薬担体、希釈剤、及び賦形剤とともに、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy(レミントン:製剤の科学及び実践)」E. W. Martin 監修、マック・パブリッシング・カンパニー(1995)、第19版、ペンシルヴェニア州イーストンに記載されている。熟練した製剤科学者は、本明細書の教示内の製剤を変更して、本発明の組成物を不安定にすることも、その治療活性を損なうこともなく、特別な投与経路のために数多くの製剤を提供することができよう。
本発明の化合物を例えば水又は他の媒体により溶けるように修飾することは、当業者によく知られたわずかな修飾(塩製剤化、エステル化、等)によって容易に達成することができる。特別な化合物の投与経路や投与レジメンを変更して、本発明の化合物の薬物動態を患者において最大限に有益な効果のために管理することも、当該技術分野の通常の技量の範囲内にある。
本明細書で使用する「治療有効量」という用語は、個体の疾患の症状を抑えるのに必要とされる量を意味する。この用量は、それぞれの特別な症例における個々の要件に応じて調整されるものである。その投与量は、治療すべき疾患の重症度、患者の年齢と全般的な健康状態、患者が治療されている他の医薬、投与の経路及び形態、関与する医療従事者の選好及び経験といった数多くの要因に依存して、広い限度内で変動する可能性がある。経口投与では、単独療法において、及び/又は組合せ療法において、1日につき約0.01と約1000mg/kg(体重)の間の1日投与量が適正であるべきである。好ましい1日投与量は、1日につき約0.1と約500mg/kg(体重)の間、より好ましくは、0.1と約100mg/kg(体重)の間、そして最も好ましくは、1.0と約10mg/kg(体重)の間である。従って、70kgのヒトへの投与では、投与量範囲は、1日につき約7mg〜0.7gであろう。1日投与量は、単回投与量として投与しても、分割投与量において、典型的には1日につき1回と5回の間の投与量で投与してもよい。一般に、治療は、化合物の最適用量未満である、より少ない投与量で開始される。その後、投与量は、個々の患者への最適効果に達するまで、少量ずつ増加される。本明細書に記載の疾患を治療する当業者は、過当な実験なしに、そして個人の知識、経験と本出願の開示に依拠して、所与の疾患及び患者への本発明の化合物の治療有効量を確定することができよう。
本発明の態様において、活性化合物又は塩は、リバビリン、ヌクレオシドHCVポリメラーゼ阻害剤、別の非ヌクレオシドHCVポリメラーゼ阻害剤、又はHCVプロテアーゼ阻害剤のような別の抗ウイルス剤と組み合わせて、投与することができる。活性化合物又はその誘導体又は塩を別の抗ウイルス剤と組み合わせて投与するとき、その活性は、親化合物に優って増加する場合がある。治療法が組合せ療法であるとき、そのような投与は、ヌクレオシド誘導体の投与に関して、同時又は連続であり得る。従って、本明細書で使用する「同時投与」には、薬剤の同時の投与又は異なる時間での投与が含まれる。2以上の薬剤の同時の投与は、2以上の有効成分を含有する単一製剤によって、又は単一の活性薬剤を有する2以上の剤形の実質的に同時の投与によって達成することができる。
本明細書での治療への言及は、既存の状態の治療だけでなく、予防へも拡張されると理解されよう。さらに、本明細書で使用する、HCV感染症の「治療」という用語には、HCV感染症に伴うか又はそれにより媒介される疾患又は状態、又はその臨床症状の治療又は予防も含まれる。
本明細書で使用する「治療有効量」という用語は、個体の疾患の症状を抑えるのに必要とされる量を意味する。この用量は、それぞれの特別な症例における個々の要件に応じて調整されるものである。その投与量は、治療すべき疾患の重症度、患者の年齢と全般的な健康状態、患者が治療されている他の医薬、投与の経路及び形態、及び関与する医療従事者の選好及び経験といった数多くの要因に依存して、広い限度内で変動する可能性がある。経口投与では、単独療法において、及び/又は組合せ療法において、1日につき約0.01と約1000mg/kg(体重)の間の1日投与量が適正であるべきである。好ましい1日投与量は、1日につき約0.1と約500mg/kg(体重)の間、より好ましくは、0.1と約100mg/kg(体重)の間、そして最も好ましくは、1.0と約10mg/kg(体重)の間である。従って、70kgのヒトへの投与では、投与量範囲は、1日につき約7mg〜0.7gであろう。1日投与量は、単回投与量として投与しても、分割投与量において、典型的には1日につき1回と5回の間の投与量で投与してもよい。一般に、治療は、化合物の最適用量未満である、より少ない投与量で開始される。その後、投与量は、個々の患者への最適効果に達するまで、少量ずつ増加される。本明細書に記載の疾患を治療する当業者は、過当な実験なしに、そして個人の知識、経験と本出願の開示に依拠して、所与の疾患及び患者への本発明の化合物の治療有効量を確定することができよう。
本発明の化合物と、任意選択的に1以上の追加の抗ウイルス剤の治療有効量は、ウイルス負荷を低下させるか又は治療への持続的なウイルス応答を達成するのに有効な量である。持続応答に有用な指標には、ウイルス負荷に加えて、限定されないが、肝線維症、血清トランスアミナーゼレベルの上昇、及び肝臓での壊死性炎症性の活性が含まれる。マーカーの1つの一般例(これは例示であって、限定するものではない)は、標準的な臨床アッセイによって測定される、血清アラニントランスアミナーゼ(ALT)である。本発明のいくつかの態様において、有効な治療レジメンは、ALTレベルを約45IU/mL(血清)未満へ低下させるものである。
本発明の化合物を例えば水又は他の媒体により溶けるように修飾することは、当業者によく知られたわずかな修飾(塩製剤化、エステル化、等)によって容易に達成することができる。特別な化合物の投与経路や投与レジメンを変更して、本発明の化合物の薬物動態を患者において最大限に有益な効果のために管理することも、当該技術分野の通常の技量の範囲内にある。