JP5614954B2 - 燃焼器とタービン部との連通構造、および、ガスタービン - Google Patents

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Description

本発明は、燃焼器とタービン部との連通構造、および、ガスタービンに関する。
一般に、ガスタービンは、圧縮機、燃焼器、および、タービン部を主な構成要素とし、圧縮機とタービンとが回転軸により連結され、圧縮機とタービン部との間に燃焼器が配置されている。
上述のガスタービンにおいては、作動流体である空気が、回転軸により回転駆動された圧縮機に吸入されて圧縮され、圧縮された空気が燃焼器に導入される。燃焼器では燃料が圧縮空気に混合され、混合気が燃焼されることにより、高温高圧の燃焼ガスが発生する。燃焼ガスは周囲を流れる圧縮空気等と混合され高温ガスとなり、燃焼器からタービン部に吐出され、タービン部を回転駆動させている。
具体的には、燃焼器から吐出された燃焼ガスを含む作動流体である高温ガスは、タービン部のタービン1段静翼の間を通過した後に、タービン1段動翼に流入する。タービン1段動翼において、作動流体の持つエネルギの一部が回転エネルギに変換され、回転軸に回転駆動力として伝達されている。
ここで、燃焼器からタービン部へ流入する作動流体の流れは、燃焼器で生成された高温ガスの流れであって、当該高温ガスの流れには、平均ガス温度(当該高温ガス流れにおけるガス温度の平均値)よりも温度が高い領域(以下、「ホットストリーク」(hot−streak)と表記する。)と、燃焼器を冷却するための圧縮空気などが混合して当該ホットストリークよりも温度が低い領域と、が存在すること、言い換えると、高温ガスの流れに温度分布のムラがあることが知られている。
高温ガスにおける周方向の圧力分布はほぼ均一である為、マッハ数の分布もほぼ一様であるが、ホットストリークは、周囲を流れる高温ガスよりも温度が高いため音速が早く、流速も早くなる。そのため、タービン1段静翼を通過した後のホットストリークは、温度が低く流速が遅い周囲を流れる高温ガスと比較して、タービン1段動翼に対する迎え角が大きくなる。言い換えると、ホットストリークは、タービン1段動翼の正圧面に衝突するように流入し正圧面に堆積し、正圧面に沿って流れる。
その結果、タービン1段動翼における正圧面のガス温度が局所的に高くなり、タービン動翼を冷却する冷却空気が多量に必要になるという問題があった。
上述の問題を解決するために、タービン1段静翼にホットストリークを衝突させる方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
非特許文献1では、ホットストリークと、タービン1段静翼と、タービン1段動翼と、が数において1対1対1の関係にある場合において、タービン1段静翼にホットストリークを衝突させることにより、タービン1段動翼における正圧面のガス温度を低下させる技術が開示されている。
つまり、ホットストリークをタービン1段静翼に衝突させ、タービン1段静翼の周囲に沿ってホットストリークを流すことにより、タービン1段静翼との間の摩擦損失等によりホットストリークにおける流速を減速させている。このことにより、タービン1段静翼と衝突した後のホットストリークは、衝突していない場合と比較して、タービン1段動翼に対する迎え角が小さくなる。言い換えると、衝突後のホットストリークは、タービン1段動翼の正圧面から離れた位置を流れるようになり堆積しなくなる。
その結果、タービン1段動翼における正圧面のガス温度が低くなる。
Daniel J.Dorney,Karen Gundy−Burlet,"Hot−Streak Clocking Effects in a 1−1/2 Stage Turbine",Journal of Propulsion and Power,May−June 1996,Vol.12,No.3,P.619−620
しかしながら、ガスタービンにおける、ホットストリークと、タービン1段静翼と、タービン1段動翼との、数における比率は、上述の非特許文献1に記載された1対1対1である場合だけでなく、その他の比率、例えば1対n対m(nおよびmは1以外の自然数)である場合もある。
その場合には、1枚のタービン1段静翼に対して一つのホットストリークを単純に衝突させるだけでは、衝突後のホットストリークにおける流速を効果的に減速させることができず、タービン動翼を冷却する冷却空気量を効果的に減らすことができないという問題が生じる場合があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、タービン動翼を冷却する冷却空気量を効果的に減らすことができる燃焼器とタービン部との連通構造、および、ガスタービンを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の燃焼器とタービン部との連通構造は、回転軸まわりに複数配置され、圧縮機から供給された圧縮空気、および、燃料ノズルから供給された燃料を混合して燃焼させることにより燃焼ガスを発生させる燃焼器と、前記燃焼ガスおよび前記圧縮空気を含む高温ガスを、前記回転軸まわりに複数配置されたタービン静翼およびタービン動翼からなるタービン段を順次通過させることにより回転駆動力を発生させるタービン部と、の連通構造であって、前記タービン静翼のうちの前記燃焼器に最も近いタービン1段静翼、および、前記燃焼器の少なくとも一方における前記回転軸まわりの位置は、前記高温ガスの流れのうちの平均ガス温度よりも温度が高い領域であるホットストリークと衝突する前記タービン1段静翼の枚数が最も多くなるように調節されていることを特徴とする。
本発明によれば、ホットストリークと衝突するタービン1段静翼の枚数が最も多くされているため、言い換えると、一つのホットストリークが複数枚のタービン1段静翼に衝突するため、一枚のタービン1段静翼のみに衝突する場合と比較して、タービン1段静翼の下流側に配置されたタービン1段動翼の正圧面におけるガス温度が低下する。
つまり、ホットストリークを形成する高温ガスは、タービン1段静翼に衝突した後、衝突したタービン1段静翼全体を浸すようにタービン1段静翼の表面に沿って流れる。当該表面には境界層が形成され、ホットストリークを形成する高温ガス流れのうち、表面の近傍を流れる高温ガスの流速は、摩擦損失などにより低下する。
ここで、一つのホットストリークが一枚のタービン1段静翼のみに衝突する場合と比較して、複数枚のタービン1段静翼に衝突する場合には、タービン1段静翼の表面積は、タービン1段静翼が増えた分だけ増加する。そのため、ホットストリークを形成する高温ガス流れのうち、摩擦損失などにより流速が低下する高温ガス流れの割合が増加し、ホットストリーク全体における高温ガス流れの流速はより低下する。
その結果、一つのホットストリークが一枚のタービン1段静翼のみに衝突する場合と比較して、複数のタービン1段静翼に衝突する場合には、ホットストリークは、タービン1段動翼の正圧面から、さらに離れた位置を流れるようになり堆積しなくなる。すると、タービン1段動翼の正圧面におけるガス温度はより低下する。
上記発明においては、前記ホットストリークの幅wが、複数の前記タービン1段静翼における前縁間の周方向の距離であるピッチpに対して以下の式(1)の条件を満たしている場合に、前記一つのホットストリークの中心から前記ホットストリークと衝突する前記タービン1段静翼の前縁までの周方向の距離yを、前記ピッチpで割った値φが、0.3から0.6までの範囲内の値、より好ましくは、0.5であることが望ましい。
2k+1≦w/p<2k+2 (k=0,1,2,・・・) ・・・(1)
本発明によれば、ホットストリークの幅wと、タービン1段静翼のピッチpと、が上述の式(1)の関係を満たす場合、φの値を0.3から0.6までの範囲内の値、より好ましくは、0.5とすることにより、偶数枚のタービン1段静翼に、一つのホットストリークを衝突させることができる。この時、一つのホットストリークを、奇数枚のタービン1段静翼に対して衝突させる場合と比較して、一つのホットストリークを、より多くのタービン1段静翼に衝突させることができる。
上記発明においては、前記ホットストリークの幅wが、複数の前記タービン1段静翼における前縁間の周方向の距離であるピッチpに対して以下の式(2)の条件を満たしている場合に、前記一つのホットストリークの中心から前記ホットストリークと衝突する前記タービン1段静翼の前縁までの周方向の距離yを、前記ピッチpで割った値φが、0.0から0.1までの範囲内の値、または、0.9から1.0までの範囲内の値、より好ましくは、0.0または1.0であることが望ましい。
2k≦w/p<2k+1 (k=0,1,2,・・・) ・・・(2)
本発明によれば、ホットストリークの幅wと、タービン1段静翼のピッチpと、が上述の式(2)の関係を満たす場合、φの値を0.0から0.1までの範囲内の値、または、0.9から1.0までの範囲内の値、より好ましくは0.0または1.0とすることにより、奇数枚のタービン1段静翼に、一つのホットストリークを衝突させることができる。この時、一つのホットストリークを偶数枚のタービン1段静翼に対して衝突させる場合と比較して、一つのホットストリークを、より多くのタービン1段静翼に衝突させることができる。
本発明のガスタービンは、空気を圧縮する圧縮機と、該圧縮機から供給された圧縮空気、および、燃料ノズルから供給された燃料を混合して燃焼させ、燃焼ガスを発生させる燃焼器と、前記燃焼ガスが有するエネルギの一部を、回転駆動力に変換するタービン部と、前記タービン部から前記回転駆動力を前記圧縮機に伝達する回転軸と、が設けられたガスタービンであって、上記本発明の燃焼器とタービン部との連通構造を有することを特徴とする。
本発明によれば、上記本発明の燃焼器とタービン部との連通構造を有することにより、タービン動翼を冷却する冷却空気量を効果的に減らすことができる。また、ガスタービン全体での効率を向上することができる。
本発明の燃焼器とタービン部との連通構造、および、ガスタービンによれば、一つのホットストリークが複数のタービン1段静翼に衝突するため、タービン動翼を冷却する冷却空気量を効果的に減らすことができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係るガスタービンの構成を説明する模式図である。 図1の圧縮機、タービン部、および燃焼器の構成を説明する模式図である。 図1のタービン部の構成を説明する部分拡大図である。 図3のタービン1段動翼に対する高温ガスの流れ方向を説明するベクトル図である。 タービン1段動翼の表面における温度変化を解析した領域を説明する図であって、タービン1段動翼を正圧面側から見た斜視図である。 図5の領域Z1における温度変化を説明するグラフである。 図3のタービン部における別の構成を説明する部分拡大図である。
以下、本発明の一実施形態に係るガスタービンについて図1から図6を参照して説明する。
図1は、本実施形態のガスタービンの構成を説明する模式図である。
本実施形態では、図1に示すように、本発明のガスタービン1を、発電機Gを駆動するものに適用して説明するが、ガスタービン1により駆動される対象は、発電機Gに限定されるものではなく、他の機器であってもよく特に限定するものではない。
ガスタービン1には、図1に示すように、圧縮機2と、燃焼器3と、タービン部4と、回転軸5と、が主に設けられている。
圧縮機2は、外部の空気である大気を吸入して圧縮し、圧縮された空気を燃焼器3に供給するものである。
圧縮機2には、圧縮機2に流入する大気の流量を調節する入口案内翼(図示せず)や、流入した大気を圧縮する1段動翼(図示せず)、および1段静翼(図示せず)など、が設けられている。
図2は、図1の圧縮機、タービン部、および燃焼器の構成を説明する模式図である。
燃焼器3は、図1および図2に示すように、圧縮機2により圧縮された空気、および、外部から供給された燃料を混合させ、燃焼させることにより、燃焼ガスを生成するものである。
燃焼器3には、図2に示すように、空気入口31と、燃料ノズル32aおよび燃料ノズル32bと、尾筒33と、が主に設けられている。
空気入口31は、図2に示すように、圧縮機2により圧縮された空気を、燃料ノズル32bおよび尾筒33の内部に導くものである。
なお、空気入口31としては、公知の形状を用いることができ、特に限定するものではない。
燃料ノズル32aおよび燃料ノズル32bは、図2に示すように、外部から供給された燃料を尾筒33の内部に向けて噴霧するものである。燃料ノズル32aから噴霧された燃料は、燃料ノズル32bより噴射された燃料と空気との混合ガスの流れ等により攪拌されて、さらに燃料が混合された混合気となる。
なお、燃料ノズル32aおよび燃料ノズル32bとしては、公知の形状を用いることができ、特に限定するものではない。
尾筒33は、図2に示すように、燃料ノズル32aおよび燃料ノズル32bからタービン部4の流入部に向かって延びる流路を形成するものである。言い換えると、尾筒33は、その内部を、燃料と空気の混合気や、当該混合気の燃焼により生成される燃焼ガスなどを含む高温ガスが流れるものである。
なお、本実施形態では、カン型の燃焼器3に適用して説明しているが、カン型の燃焼器3に限定されることなく、アニュラ型の燃焼器など、他の形式の燃焼器に適用してもよく、特に限定するものではない。
タービン部4は、図1および図2に示すように、燃焼器3により生成された高温ガスの供給を受けて回転駆動力を発生させ、発生した回転駆動力を回転軸5に伝達するものである。
図3は、図1のタービン部の構成を説明する部分拡大図である。
タービン部4には、図3に示すように、燃焼器3に最も近いタービン1段静翼(タービン静翼)4SVと、その下流側に配置されたタービン1段動翼(タービン動翼)4RBと、が設けられている。
タービン1段静翼4SVは、タービン1段動翼4RBとともにタービン段を構成するものであり、タービン1段動翼4RBとともにタービン部4に流入した高温ガスから回転駆動力を発生させるものである。
タービン1段静翼4SVは、高温ガス流れにおける尾筒33の下流側端部(図3の右側端部)と対向する位置に、回転軸5まわりに等間隔に配置され、かつ、径方向(図3の紙面に対して垂直方向)に沿って延びるように配置された複数の翼である。さらにタービン1段静翼4SVは、燃焼器3からタービン1段静翼4SVの列に流入した高温ガスを、周方向(図3の上下方向)に偏向させるものでもある。
さらに、タービン1段静翼4SVには、周囲を流れる高温ガスの熱からタービン1段静翼4SVを保護する冷却空気が供給され、当該冷却空気により冷却(例えば、フィルム冷却やシャワーヘッド冷却、インピンジメント冷却、対流冷却など)が行われている。
タービン1段動翼4RBは、タービン1段静翼4SVとともにタービン段を構成するものであり、タービン1段静翼4SVにより偏向された高温ガスに基づいて回転駆動力を発生させるものである。
タービン1段動翼4RBは、高温ガス流れにおけるタービン1段静翼4SVの下流側の位置(図3の右側の位置)に、回転軸5まわりに等間隔に配置され、かつ、径方向(図3の紙面に対して垂直方向)に沿って延びるように配置された複数の翼である。さらにタービン1段動翼4RBは、タービン1段静翼4SVによって偏向された高温ガスを受けて回転軸5まわりに回転駆動されるものである。
さらに、タービン1段動翼4RBには、周囲を流れる高温ガスの熱からタービン1段動翼4RBを保護する冷却空気が供給されている。
なお、タービン部4には、上述のようにタービン1段静翼4SVおよびタービン1段動翼4RBのみが設けられていてもよいし、さらに、タービン2段静翼およびタービン2段動翼や、タービン3段静翼およびタービン3段動翼などがもうけられていてもよく、特に段数を限定するものではない。
ここで、本実施形態の特徴であるタービン1段静翼4SVの配置について、図3を参照しながら説明する。
本実施形態におけるガスタービン1では、燃焼器3からタービン部4に流入する高温ガス流れのうちの温度が高い領域であるホットストリークHSの幅wが、複数のタービン1段静翼4SVにおける前縁LE間の周方向の距離であるピッチpに対して、以下の式(1)の条件を満たしている。
2k+1≦w/p<2k+2 (k=0,1,2,・・・) ・・・(1)
言い換えると、燃焼器3またはタービン1段静翼4SVの一方について、回転軸5まわりの位置を調節することにより、1つのホットストリークHSを衝突させることが出来るタービン1段静翼4SVの最大枚数が偶数枚、例えば2枚となるようなガス温度分布が生じている。
タービン1段静翼4SVは、図3に示すように、1つのホットストリークHS対して、2枚のタービン1段静翼4SVが対応するように、言い換えると、2枚のタービン1段静翼4SVに対して1つのホットストリークHSが衝突するように配置されている。
なお、ホットストリークHSは、燃焼器3における燃料ノズル32a,32bから、圧縮空気や高温ガスの流れに沿って下流側に向かって延びる領域に相当するものである。
そのため、ホットストリークHSにおける高温ガスは、周囲の高温ガスと比較して燃料が燃焼した燃焼ガスの比率が高くなり、周囲を流れる高温ガスよりも温度が高くなる。その一方で、ホットストリークHSの周囲における高温ガスは、ホットストリークHSにおける高温ガスと比較して、圧縮空気の比率が高くなり、ホットストリークHSにおける高温ガスよりも温度が低くなる。
回転軸5は、図1に示すように、タービン部4により発生された回転駆動力を圧縮機2および発電機Gに伝達するものである。
なお、回転軸5としては、公知の構成を用いることができ、特にその構成を限定するものではない。
次に、上記の構成からなるガスタービン1における一般的な運転について説明し、その後に、本実施形態の特徴である燃焼器3の出口からタービン1段静翼4SVおよびタービン1段動翼4RBに至るまでの高温ガスの流れについて説明する。
ガスタービン1は、図1に示すように、圧縮機2が回転駆動されることにより大気(空気)を吸入する。吸入された大気は、圧縮機2により圧縮されるとともに、燃焼器3に向かって送り出される。
燃焼器3に流入された圧縮空気は、燃焼器3において外部から供給された燃料と混合される。空気および燃料の混合気は燃焼器3において燃焼され、燃焼熱により高温ガスが生成される。
燃焼器3において生成された高温ガスは、燃焼器3から下流のタービン部4に供給される。タービン部4は高温ガスにより回転駆動され、その回転駆動力は回転軸5に伝達される。回転軸5は、タービン部4において抽出された回転駆動力を圧縮機2および発電機Gに伝達する。
ここで、本実施形態の特徴である燃焼器3の出口からタービン1段静翼4SVおよびタービン1段動翼4RBに至るまでの高温ガスの流れについて説明する。
図2に示すように、圧縮機2により圧縮された空気の一部は、燃焼器3の空気入口31から燃料ノズル32bを経て、尾筒33の内部に流入する。尾筒33の内部に流入した圧縮空気は、燃料ノズル32bより噴射された燃料と混合されて混合ガスを形成すると共に、旋回方向の流速成分が与えられ、尾筒33の内部に循環流れを形成する。
このようにして形成された混合ガスの循環流れに対して、燃料ノズル32aから燃料が噴霧され、噴霧された燃料は循環流れを形成する混合ガス等により攪拌された後、燃焼される。燃焼ガスは周囲の混合ガスの流れに沿って、尾筒33の内部を下流に向かって流れつつ、周囲を流れる未燃混合ガスと混合され高温ガスとなる。
このとき、圧縮空気が、尾筒33の周囲から内部に流入するとともに、尾筒33に沿って流れ、尾筒33を燃焼ガスの高熱から保護する。
そのため尾筒33の内部には、図3に示すように、圧縮空気や高温ガスの流れに沿って下流側に向かって延びる領域に相当するホットストリークHSが形成される。ホットストリークHSにおける高温ガスは、周囲の高温ガスと比較して燃焼ガスの比率が高いため温度が高くなる。その一方で、ホットストリークHSの周囲における高温ガスは、ホットストリークHSの高温ガスと比較して圧縮空気の比率が高いため温度が低くなる。
ホットストリークHSの高温ガスは、2つのタービン1段静翼4SVと衝突して、衝突した2枚のタービン1段静翼4SV全体を浸すようにタービン1段静翼4SVの周囲に沿って流れる。タービン1段静翼4SVの表面には境界層が形成され、ホットストリークHSを形成する高温ガスの流れのうち、表面の近傍を流れる高温ガスの流速は摩擦損失などにより低下する。
さらに、ホットストリークHSを含む高温ガスの流れは、タービン1段静翼4SVにより、回転軸5における周方向(図3の下方向)に偏向される。偏向された高温ガスの流れは、タービン1段動翼4RBを回転軸5まわり(図3の下方向)に回転駆動させる。
このとき、ホットストリークHSにおける高温ガスは、タービン1段動翼4RBの正圧面PSから離れた位置を流れる。そのため、タービン1段動翼4RBの正圧面PSの近傍における高温ガスの温度が低くなる。
ここで、流速の低下したホットストリークHSにおける高温ガスが、タービン1段動翼4RBの正圧面PSから離れた位置を流れる理由について説明する。
図4は、図3のタービン1段動翼に対する高温ガスの流れ方向を説明するベクトル図である。
図4に示すように、静止した絶対系から見た場合に、タービン1段動翼4RBに対する高温ガスの流れ方向は、高温ガスの流速が速い場合AFであっても、遅い場合ASであっても大きな変化はない。
その一方で、タービン1段動翼4RBとともに回転する相対系から見た場合では、タービン1段動翼4RBに対する高温ガスの流れ方向は、高温ガスの流速が速い場合RFと、遅い場合RSとでは異なる。具体的には、流速が速い高温ガスの流れ方向RFは、流速が遅い高温ガスの流れ方向RSよりもタービン1段動翼4RBに対して迎え角が大きく、流速が速い高温ガスは、タービン1段動翼4RBの正圧面PSに向かって流れる。
ここで、図4における4RBSは、タービン1段動翼4RBの回転速度を示すものである。
そのため、ホットストリークHSにおける高温ガスの流速が低下すると、上述の流れ方向RSのように、タービン1段動翼4RBに対する迎え角が小さくなる。すると、タービン1段動翼4RBの正圧面PSと、ホットストリークHSにおける高温ガスの流れ方向とがなす角度が小さくなり、ホットストリークHSにおける高温ガスは、タービン1段動翼4RBの正圧面PSと衝突しにくくなる。つまり、正圧面PSから離れた位置を流れることとなる。
次に、ホットストリークHSに対するタービン1段動翼4RBの配置位置を変えた場合のタービン1段動翼4RBの表面における温度変化の解析結果について、図5および図6を参照しながら説明する。
図5は、タービン1段動翼の表面における温度変化を解析した領域を説明する図であって、タービン1段動翼を正圧面側から見た斜視図である。
ここでは、図5に示すように、タービン1段動翼4RBの表面における領域Z1における温度の変化を説明する。
領域Z1は、図5に示すように、タービン1段動翼4RBの正圧面PSである。
図6は、図5の領域Z1における温度変化を説明するグラフである。
図6における横軸は、ホットストリークHSに対するタービン1段静翼4SVの周方向における相対位置(クロッキング・ポジション)φを示している。ここで、図3を参照しながらφについて説明すると、φは、タービン1段静翼4SVにおける周方向の間隔であるピッチをpとし、ホットストリークHSの中心CLからタービン1段静翼4SVの前縁LEまでの周方向の距離をyとすると、以下の式(3)により表される値である。
φ = y/p ・・・(3)
本実施形態のように、燃焼器3またはタービン1段静翼4SVの一方について、回転軸5まわりの位置を調節することにより、1つのホットストリークHSを衝突させることが出来るタービン1段静翼4SVの最大枚数が2枚となるようなガス温度分布が生じている場合、図6に示すように、φが0.3から0.6までの範囲内の値のとき、特に好ましくは0.5のときに、領域Z1における温度が低くなる一方で、φが0.0から0.1までの範囲内の値、または、0.9から1.0までの範囲内の値、特に好ましくは0.0または1.0の時には、領域Z1における温度が高くなる結果となる。
具体的には、φが0.3から0.6までの範囲内の値の場合は、一つのホットストリークHSが2枚のタービン1段静翼4SVに衝突している状態の解析結果であり、φが0.0から0.1までの範囲内の値、または、0.9から1.0までの範囲内の値の場合は、一つのホットストリークHSが1枚のタービン1段静翼4SVに衝突している状態の解析結果である。
φが0.3から0.6までの範囲内の値の場合には、φが0.0から0.1までの範囲内の値、または、0.9から1.0までの範囲内の値の場合と比較して、ホットストリークHSとタービン1段動翼4RBとの接触面積が約2倍となる。そのため、φが0.3から0.6までの範囲内の値の場合には、ホットストリークHSにおける高温ガスの流速の低下が、φが0.0から0.1までの範囲内の値、または、0.9から1.0までの範囲内の値の場合と比較して大きくなる。
その結果、φが0.3から0.6までの範囲内の値の場合のホットストリークHSは、φが0.0から0.1までの範囲内の値、または、0.9から1.0までの範囲内の値の場合と比較して、正圧面PSから離れた位置を流れ、領域Z1における温度が低くなることとなる。
ここで、φが約1.3から1.6までの範囲内の値のとき、特に好ましくは1.5のときにも、領域Z1における温度が低くなっているが、これは、タービン1段静翼4SVが、φが0.3から0.6までの範囲内の値の場合から1ピッチだけ移動した状態であって、φが0.3から0.6までの範囲内の値と同じ状態を示すものである。
上記の構成によれば、一つのホットストリークHSが2枚のタービン1段静翼4SV,4SVに衝突するため、一つのタービン1段静翼4SVのみに衝突する場合と比較して、タービン1段静翼4SVの下流側に配置されたタービン1段動翼4RBの正圧面PSにおけるガス温度が低下する。そのため、タービン1段動翼4RBを冷却する冷却空気量を効果的に減らすことができる。
燃焼器3またはタービン1段静翼4SVの一方について、回転軸5まわりの位置を調節することにより、1つのホットストリークHSを衝突させることが出来るタービン1段静翼の最大枚数が偶数枚となるようなガス温度分布が生じている場合には、φの値を0.3から0.6までの範囲内の値とすることにより、偶数枚のタービン1段静翼4SVに、一つのホットストリークHSを衝突させることができる。そのため、一つのホットストリークHSを、例えば、奇数枚のタービン1段静翼4SVに対して衝突させる場合と比較して、一つのホットストリークHSを、より多くのタービン1段静翼4SVに衝突させることができる。
図7は、図3のタービン部における別の構成を説明する部分拡大図である。
なお、上述の実施形態のように、ホットストリークHSの幅wとタービン1段静翼4SVのピッチpとが、上述の式(1)の関係を満たしていてもよいし、上述の式(2)の関係をみたしていてよく、特に限定するものではない。
言い換えると、燃焼器出口のガス温度分布(ホットストリークHSの幅w)は特に限定するものではない。
燃焼器3またはタービン1段静翼4SVの一方について、回転軸5まわりの位置を調節することにより、1つのホットストリークHSを衝突させることが出来るタービン1段静翼4SVの最大枚数が奇数枚となるようなガス温度分布が生じている場合には、ホットストリークHSに対するタービン1段静翼4SVの周方向における相対位置(クロッキング・ポジション)φが0.0から0.1までの範囲内の値、または、0.9から1.0までの範囲内の値、特に好ましくは0.0または1.0であることが望ましい。
このようにφの値を0.0から0.1までの範囲内の値、または、0.9から1.0までの範囲内の値とすることにより、奇数枚のタービン1段静翼4SVに、一つのホットストリークHSを衝突させることができる。そのため、一つのホットストリークHSを偶数枚のタービン1段静翼4SVに対して衝突させる場合と比較して、一つのホットストリークHSをより多くのタービン1段静翼4SVに衝突させることができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本発明を上記の実施形態に適用したものに限られることなく、これらの実施形態を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定するものではない。
1 ガスタービン
2 圧縮機
3 燃焼器
4 タービン部
5 回転軸
32a,32b 燃料ノズル
4SV タービン1段静翼(タービン静翼)
4RB タービン1段動翼(タービン動翼)

Claims (5)

  1. 回転軸まわりに配置され、圧縮機から供給された圧縮空気、および、燃料ノズルから供給された燃料を混合して燃焼させることにより複数の高温ガスをそれぞれ発生させる複数の燃焼器と、
    前記複数の高温ガスを複数のタービン段を順次通過させることにより回転駆動力を発生させるタービン部とを備え、
    前記複数のタービン段の各々は、前記回転軸まわりに配置された複数のタービン静翼および複数のタービン動翼から形成され、
    前記複数の高温ガスに対応する複数のホットストリークのうちの一つの高温ガスに対応する一つのホットストリークの周方向の幅wが0より大きく、
    前記複数のタービン段のうちの前記複数の燃焼器に最も近いタービン1段に形成される複数のタービン1段静翼、および、前記複数の燃焼器は、
    記幅wと前記複数のタービン1段静翼における前縁間の周方向の距離であるピッチpとが、以下の式(1):
    2k+1≦w/p<2k+2 (k=0,1,2,・・・) ・・・(1)
    を満たしている場合に、前記一つのホットストリークが前記複数のタービン1段静翼のうちの(2k+2)個のタービン1段静翼に衝突するように、前記回転軸まわりに位置し、
    以下の式(2):
    2k≦w/p<2k+1 (k=0,1,2,・・・) ・・・(2)
    を満たしている場合に、前記一つのホットストリークが前記複数のタービン1段静翼のうちの(2k+1)個のタービン1段静翼に衝突するように、前記回転軸まわりに位置し、
    前記一つのホットストリークは、前記一つの高温ガスの流れのうちの平均ガス温度よりも温度が高い領域であり、
    前記平均ガス温度は、前記一つの高温ガスにおけるガス温度の平均値を示していることを特徴とする燃焼器とタービン部との連通構造。
  2. 前記式(1)の条件を満たしている場合に、前記一つのホットストリークの中心から前記(2k+2)個のタービン1段静翼のうちのあるタービン1段静翼の前縁までの周方向の距離yを、前記ピッチpで割った値φが、0.3から0.6までの範囲内の値であり、
    前記式(2)の条件を満たしている場合に、前記一つのホットストリークの中心から前記(2k+1)個のタービン1段静翼のうちのあるタービン1段静翼の前縁までの周方向の距離yを、前記ピッチpで割った値φが、0.0から0.1までの範囲内の値、または、0.9から1.0までの範囲内の値であることを特徴とする請求項1に記載の燃焼器とタービン部との連通構造。
  3. 前記値φは、
    前記式(1)が満たされているときに、0.5であり、
    前記式(2)を満たされているときに、0.0または1.0であることを特徴とする請求項2に記載の燃焼器とタービン部との連通構造。
  4. 前記複数のタービン1段静翼は、冷却されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の燃焼器とタービン部との連通構造。
  5. 空気を圧縮する圧縮機と、
    該圧縮機から供給された圧縮空気、および、燃料ノズルから供給された燃料を混合して燃焼させ、燃焼ガスを発生させる燃焼器と、
    前記燃焼ガスが有するエネルギの一部を、回転駆動力に変換するタービン部と、
    前記タービン部から前記回転駆動力を前記圧縮機に伝達する回転軸と、
    が設けられたガスタービンであって、
    請求項1から請求項4のいずれかに記載の燃焼器とタービン部との連通構造を有することを特徴とするガスタービン。
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