JP5614740B2 - 分岐流路構成体及び一軸偏心ねじポンプシステム - Google Patents

分岐流路構成体及び一軸偏心ねじポンプシステム Download PDF

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Description

本発明は、導入部に導入された流動体を複数系統に分岐させることが可能な分岐流路構成体、及び当該分岐流路構成体を備えた一軸偏心ねじポンプシステムに関する。
従来、下記特許文献1に開示されているような一軸偏心ねじポンプにより圧送された非搬送物(流体)を複数の流路に分岐させる場合は、前記一軸偏心ねじポンプに接続された流路を次々と分岐させる等の方策が採用されている。また、従来は、調整用の弁やノズル等を各分岐流路に設け、個別に微調整するといった方策を講じることにより、各分岐流路における吐出圧や吐出量の安定化を図っている。
特開2008−175199号公報
しかし、上述したようにして一軸偏心ねじポンプに接続された流路を分岐させる場合は、吐出圧や吐出量を均一化させるために分岐数が2のn乗(n=自然数)に限定されてしまい、所望の分岐数に分岐できない場合があるという問題がある。また、各分岐流路の配置を任意のものとするためには、各分岐流路から吐出される流体の吐出圧や吐出量の均一化がさらに困難になるという問題がある。具体的には、弁やノズル等を各分岐流路に取り付け、これらを微調整することにより吐出圧や吐出量を調整するなど、複雑な調整が必要になるという問題がある。したがって、従来技術では、流体を所望の分岐数で所望の位置に吐出可能なように分岐流路を形成することが極めて困難であり、流路設計上、大幅な制限が加わるといった問題がある。
また、弁やノズル等を各分岐流路に取り付け、これらを微調整することにより吐出圧や吐出量を調整するような方策を講じた場合は、前述した弁やノズルの微調整に熟練を要し、吐出圧や吐出量の均一化を図ることが極めて困難であるという問題があった。
そこで、本発明は、一軸偏心ねじポンプなどから吐出されてきた流体を所望の分岐数に分岐し、各分岐流路の吐出部を所望の位置に配置することが可能であると共に、容易かつ適切に各分岐流路における吐出圧や吐出量の均一化を図ることが可能な分岐流路構成体、及び当該分岐流路構成体を備えた一軸偏心ねじポンプシステムの提供を目的とした。
上述した課題を解決すべく提供される本発明の分岐流路構成体は、導入部から導入された流体をn個の吐出部から均等に吐出させるための分岐流路を構成可能なものである。本発明の分岐流路構成体は、前記n個の吐出部のそれぞれに対応するようにn個の中継部が設けられており、前記導入部と前記n個の中継部とを繋ぐn系統の導入・中継部間流路と、前記n個の中継部と当該中継部に対応する吐出部とを繋ぐn系統の中継・吐出部間流路とを有している。また、本発明の分岐流路構成体は、導入部の軸心を通る鉛直線上の一点を中心とする仮想円の円周をn分割する点に対応する位置に前記中継部が配置されており、前記n系統の中継・吐出部間流路の長さがそれぞれ同一であることを特徴としている。
本発明の分岐流路構成体は、前記中継部が、前記仮想円の円周を略n等分する位置に配置されたものであることが好ましい。
本発明の分岐流路構成体は、前記各中継・吐出部間流路が、下方に向けて流体を流動させることが可能な下降部と、水平方向に流体を流動させることが可能な水平部とを備え、前記水平部と前記下降部との間に屈曲部を有する流路であり、各中継・吐出部間流路に係る前記水平部の長さの総和が同一であり、各中継・吐出部間流路に係る前記下降部の長さの総和が同一であり、各中継・吐出部間流路における前記屈曲部の数が同一であるものであることが望ましい。
また、本発明の分岐流路構成体を構成する各中継・吐出部間流路は、屈曲部が上下方向に複数形成されたものであることが好ましい。
本発明の分岐流路構成体は、前記各中継・吐出部間流路に流路径が縮小された縮径部が設けられたものとすることも可能である。
本発明の分岐流路構成体は、各分岐流路を構成する各部位における流路径が、分岐流路によらず略均一であることが望ましい。
本発明の分岐流路構成体は、前記各分岐流路を構成する溝が形成されたプレートを重ね合わせることにより構成されるものであってもよい。また、本発明の分岐流路構成体は、導入部の断面形状が円形、あるいは、正n×a角形(aは任意の自然数)であることが好ましい。
本発明の一軸偏心ねじポンプシステムは、上述した本発明の分岐流路構成体と、一軸偏心ねじポンプとを有し、前記一軸偏心ねじポンプから吐出された流体を、前記分岐流路構成体の導入部に導入可能とされたものである。
本発明の分岐流路構成体では、導入部の軸心を通る鉛直線上の一点を中心とする仮想円の円周をn分割する点に対応する位置に前記中継部が設けられている。さらに、導入部と各中継部とを繋ぐようにn系統の導入・中継部間流路が設けられていることから導入・中継部間流路の長さが各系統毎に均一である。そのため、導入部から中継部に至るまでの区間において、流体が各分岐流路に略均一の圧力及び流量で流れることになる。また、本発明の分岐流路構成体では、n個の中継部からn個の吐出部まで至るn系統の中継・吐出部間流路の長さがそれぞれ均一とされているため、各中継・吐出部間流路を流体が流れることにより発生する圧損や流体の流量の均一化を図ることが可能である。したがって、本発明の分岐流路構成体によれば、導入部に導入された流体を吐出量や吐出圧を略一定としつつ、所望の分岐数に分岐することが可能となる。
本発明の分岐流路構成体では、別途弁やノズルを設ける等しなくても各吐出部における吐出量や吐出圧の均一化を図ることが可能である。そのため、流路構成を簡略化することが可能となり、前述した弁やノズルの調整が不要となる分、設置作業やメンテナンスの手間を最小限に抑制することが可能となる。
また、本発明の分岐流路構成体では、各中継・吐出部間流路の長さが均一であればよく、その配置に特別な制限が加わらない。そのため、本発明の分岐流路構成体によれば、所望の位置に各分岐流路の吐出部を配置することが可能となり、流路設計上の自由度が極めて高くなる。
本発明の分岐流路構成体は、導入部と同心位置にある仮想円を略n等分する位置に各中継部を配置することにより、各導入・中継部間流路を流れる流体の流量や圧力をより一層確実に均一化することが可能となる。したがって、本発明によれば、各吐出部における流体の流量や吐出圧をより一層均一化することが可能となる。
本発明の分岐流路構成体は、上述したように各中継・吐出部間流路を下降部と水平部とを備え屈曲した流路とし、前記水平部の長さの総和及び前記下降部の長さの総和を各中継・吐出部間流路毎に均一化すると共に、各中継・吐出部間流路における前記屈曲部の数を同一とすることにより、各中継・吐出部間流路を流体が流れることにより発生する圧損や、流量分布を均一化することが可能となる。したがって、各中継・吐出部間流路を前述したような屈曲流路構成部を有する流路とすることにより、各吐出部における流体の流量や吐出圧の均一化をさらに図ることが可能となる。
また、前記各中継・吐出部間流路が屈曲部を上下方向に複数備えたものである場合は、屈曲部に対して流体の流れ方向下流側に位置する水平部の向きを、これよりも上流側に位置する水平部とは異なる方向に向けることが可能となり、その分だけ各吐出部のレイアウトの自由度を高めることが可能となる。
また、本発明の分岐流路構成体は、各分岐流路の流路径を、分岐流路によらず略均一とすることにより、各分岐流路に繋がる吐出部における吐出量や吐出圧を略均一化することが可能である。また、上述したように、本発明では、導入・中継部間流路や中継・吐出部間流路の途中に流路径が縮小された縮径部を設けた場合や、流路径が拡大された拡径部を設けた場合は、この縮径部や拡径部の流路径についても、分岐流路の系統によらず略均一することにより、各分岐流路における吐出量や吐出圧を略均一化することが可能である。このように、分岐流路の各部位における流路径を分岐流路の系統によらず略均一とすることにより、流体が流れることにより生じる圧損などの流動条件の略均一化を図ることが可能となり、各吐出部における吐出量や吐出圧の略均一化も図ることが可能となる。
本発明の分岐流路構成体は、溝が形成されたプレートを重ね合わせることにより各分岐流路が形成されるものとすることにより、上述した条件に合致する分岐流路を容易かつ確実に形成することが可能となる。また、かかる構成とした場合は、分岐流路構成体の組み立てや分解、清掃等が容易であり、分岐流路構成体の設置やメンテナンスが実施しやすくなる。
また、本発明の分岐流路構成体は、導入部を断面形状が円形、あるいは正n×a角形(aは任意の自然数)となるように形成することにより、導入部からn系統分形成された導入・中継部間流路のそれぞれに流入する流体の流量や圧力を均一化することが可能となる。
本発明の一軸偏心ねじポンプシステムは、上述した本発明の分岐流路構成体と、一軸偏心ねじポンプとを有し、前記一軸偏心ねじポンプから吐出された流体を前記分岐流路構成体の導入部に導入可能なものであるため、一軸偏心ねじポンプから供給されてきた流体を所望の分岐数に分岐し、各分岐流路の吐出部を所望の位置に配置することが可能である。また、本発明の一軸偏心ねじポンプシステムでは、容易かつ適切に各分岐流路における吐出圧や吐出量の均一化を図ることが可能である。
本発明の一実施形態に係る一軸偏心ねじポンプシステムを示す説明図である。 (a)は本発明の一実施形態に係る分岐流路構成体を示す平面図、(b)はこの側面図である。 図2に示す分岐流路構成体に形成される分岐流路の構成を示す斜視図である。 分岐流路の構成を説明するための斜視図である。 分岐流路の流路設計における中継部及び導入・中間部間経路の設計方法を説明する説明図である。 分岐流路の流路設計における中継部及び吐出部を結ぶ中継・吐出部間流路の水平部の設計方法を説明する説明図である。 (a),(b)はそれぞれ分岐流路を構成する管路の変形例を示す説明図である。 (a),(b)はそれぞれ導入部の変形例を示す説明図である。
続いて、本発明の一軸偏心ねじポンプシステム1(以下、単に「ポンプシステム1」とも称す)、及び分岐流路構成体50について、図面を参照しつつ詳細に説明する。ポンプシステム1は、一軸偏心ねじポンプ5と、分岐流路構成体50との組み合わせによって構成されている。本実施形態のポンプシステム1は、分岐流路構成体50に特徴を有するものであるが、これについての説明に先立って一軸偏心ねじポンプ5の構成について概説する。
≪一軸偏心ねじポンプ5について≫
一軸偏心ねじポンプ5は、いわゆる回転容積型のポンプであり、ケーシング20の内部にステータ10や、ロータ30、動力伝達機構40などが収容された構成とされている。図2に示すように、ステータ10は、一軸偏心ねじポンプ5に組み込まれる部材であり、断面形状が長円であって2条の雌ねじ形状の孔を有する筒体である。ステータ10は、ゴムなどによって形成されている。ステータ10を構成するゴムの種類は、一軸偏心ねじポンプ5において移送する被搬送物の種類や性状などにあわせて適宜選択可能である。
ケーシング20は、金属製で筒状の部材あり、長手方向一端側に取り付けられた円板形のエンドスタッド20aに第1開口22aが設けられている。また、ケーシング20の外周部分には、第2開口22bが設けられている。第2開口22bは、ケーシング20の長手方向中間部分に位置する中間部20dにおいてケーシング20の内部空間に連通している。第1,2開口22a,22bは、それぞれ一軸偏心ねじポンプ5の吐出口および吸込口として機能する。上述したステータ10は、ケーシング20において第1開口22aに隣接する位置に設けられたステータ取付部22c内に収容され、固定されている。ステータ10は、フランジ部10aをケーシング20の端部においてエンドスタッド20aによって挟み込み、エンドスタッド20aとケーシング20の本体部分とに亘ってステーボルト24を取り付けて締め付けることにより固定されている。
ロータ30は、金属製の軸体であり、1条の雄ねじ形状とされている。ロータ30は、上述したステータ10に挿通され、ステータ10の内部において自由に偏心回転可能とされている。ロータ30は、上述したステータ10の貫通孔16に挿通され、ロータ30の外周面とステータ10の内周面とが両者の接線にわたって当接した状態とされている。また、この状態において、貫通孔16を形成しているステータ10の内周面と、ロータ30の外周面との間には、流体搬送路32が形成されている。
流体搬送路32は、ステータ10やロータ30の長手方向に向けて螺旋状に延びており、ロータ30をステータ10の貫通孔16内において回転させると、ステータ10内を回転しながらステータ10の長手方向に進む。そのため、ロータ30を回転させると、ステータ10の一端側から流体搬送路32内に流体を吸い込むと共に、この流体を流体搬送路32内に閉じこめた状態でステータ10の他端側に向けて移送し、ステータ10の他端側において吐出させることが可能である。
動力伝達機構40は、ケーシング20の外部に設けられたモータなどの動力源(図示せず)から上述したロータ30に対して動力を伝達するために設けられている。動力伝達機構40は、前述した動力源から伝達された回転動力をロータ30に伝達し、ロータ30を偏心回転させることが可能とされている。一軸偏心ねじポンプ5は、前述した動力源を作動させロータ30を回転させることにより、流体搬送路32を介して流体を搬送することが可能である。
≪分岐流路構成体50について≫
分岐流路構成体50は、上述したような構成の一軸偏心ねじポンプ5の吐出口として機能する第1開口22aに対して配管接続されている。図2に示すように、分岐流路構成体50は、金属製の流路構成プレートP1〜P4を、上下方向に重ね合わせ、上下方向に各プレートP1〜P4間を貫通するように挿通されたボルトによって一体化したものである。分岐流路構成体50は、導入部Sと、n個(nは2以上の自然数。以下同様。)の吐出部Fnに加え、導入部Sとn個の吐出部Fnのそれぞれとを繋ぐn系統の分岐流路Bnとを備えており、導入部Sに導入された流体をn系統の分岐流路Bnに略均等に分岐させ、n個の吐出部Fnのそれぞれから吐出させることが可能なものである。
流路構成プレートP1〜P4には、上述した導入部Sやn個の吐出部Fnに加え、これらを繋ぐn系統の分岐流路Bnを構成する溝が形成されている。以下、導入部Sやn個の吐出部Fn、n系統の分岐流路Bnの構成についてさらに詳細に説明する。
図2や図3に示すように、導入部Sは、分岐流路構成体50において最も上方に配される流路構成プレートP1に設けられた断面形状略円形の部分である。流路構成プレートP1は円盤状で金属製のプレートであり、導入部Sはこの流路構成プレートP1の略中央に設けられている。また、吐出部Fnは、分岐流路構成体50において最も下方に配される流路構成プレートP4に設けられている。吐出部Fnの配置や個数(n個)は任意のものとすることができるが、本実施形態では図3に示すように、7個の吐出部Fn(n=1〜7)が直線L上に並ぶように形成されている。
分岐流路Bnは、流路構成プレートP1〜P4に形成された溝によって構成されるものである。分岐流路Bnは、n個設けられている吐出部Fn(n=1〜7)のそれぞれに対応してn系統分だけ形成されている。すなわち、第1〜第nの分岐流路Bnが形成される。本実施形態では、吐出部Fnが7個設けられているため、第1の分岐流路B1〜第7の分岐流路B7からなる7系統の分岐流路Bnが形成されている。
図4に示すように、分岐流路Bn(n=1〜7)は、吐出部Fn(n=1〜7)に対応して設けられた各中継部Rn(n=1〜7)と導入部Sとを繋ぐ導入・中継部間流路SRn(n=1〜7)と、各中継部Rn(n=1〜7)と各吐出部Fn(n=1〜7)とを繋ぐ中継・吐出部間流路RFn(n=1〜7)とに大別される。各導入・中継部間流路SRn(n=1〜7)と、各中継・吐出部間流路RFn(n=1〜7)とはそれぞれ連通しており、一連の流路を形成している。
図5に示すように、中継部Rn(n=1〜7)は、上述した導入部Sと同心の仮想円C1上に配置されている。また、中継部Rn(n=1〜7)は、仮想円C1の円周をn分割(本実施形態では7分割)する位置に配置されている。中継部Rn(n=1〜7)は、仮想円C1の円周をn分割するように配置されていれば良いが、各分岐流路Bn(n=1〜7)に流体を略均等に供給することを考慮すれば、仮想円C1の円周を略n等分する位置に配置することが好ましい。かかる観点から、本実施形態では、中継部Rn(n=1〜7)が仮想円C1の円周を略n等分(本実施形態では7等分)する位置に配置されている。そのため、各導入・中継部間流路SRn(n=1〜7)は、導入部Sを中心として放射状に形成されている。
図4に示すように、中継・吐出部間流路RFn(n=1〜7)は、それぞれ下降部Dnp(n=1〜7,p=1〜3)と、水平部Lnq(n=1〜7,q=1〜2)とを有し、これらを連通させることにより形成された屈曲流路である。具体的には、各中継・吐出部間流路RFn(n=1〜7)は、下降部Dn1→水平部Ln1→下降部Dn2→水平部Ln2→下降部Dn3の順で連通し、吐出部Fn(n=1〜7)に繋がるように形成された流路である。
本実施形態では、各下降部Dnp及び各水平部Lnqの長さが各系統毎に略同一であり、内径も略同一とされている。そのため、中継・吐出部間流路RFnの全長及び開口径は、系統によらず略同一であり、内部を流体が通過することにより発生する圧損についても略均一となる。
≪分岐流路Bnの設計方法について≫
続いて、上述した分岐流路Bn(n=1〜7)の設計方法について説明する。分岐流路Bnにおいて、下降部Dn1,Dn2,Dn3(n=1〜7)は、それぞれ流路構成プレートP2,P3,P4を上下方向に貫通するように形成された、同一開口径の貫通孔によって形成される。そのため、下降部Dn1,Dn2,Dn3(n=1〜7)の長さや開口径は、分岐流路Bn(n=1〜7)の系統によらず均一である。したがって、分岐流路Bを設計する場合は、水平方向に延びる部分、具体的には導入・中継部間流路SRn(n=1〜7)や、中継・吐出部間流路RFn(n=1〜7)を構成する水平部Lnq(n=1〜7,q=1〜2)の配置が問題となる。以下、導入・中継部間流路SRn(n=1〜7)や、水平部Lnq(n=1〜7,q=1〜2)の設計方法を中心に説明する。
導入・中継部間流路SRn(n=1〜7)や、水平部Lnq(n=1〜7,q=1〜2)は、導入部Sや、中継部Rn、吐出部Fn(n=1〜7)の水平方向の位置関係は、これらを仮想の水平面H上に投影した地点を基準にして定められる。具体的には、導入部Sや中継部Rn、吐出部Fn(n=1〜7)の軸心位置を通る鉛直線と水平面Hとの交点が、それぞれ導入基準点s、中継基準点rn、吐出基準点fnとして定められる(図4参照)。
導入・中継部間流路SRn(n=1〜7)は、導入部Sと中継部Rnとを結ぶ流路であるため、中継部Rn(n=1〜7)を定める必要がある。図5に示すように、中継部Rn(n=1〜7)は、導入部Sに対応して水平面H上に設定された導入基準点sを中心として半径r1の仮想円C1が規定され、仮想円C1の円周を略n等分する位置に中継部Rn(n=1〜7)に対応する中継基準点rnが設定される。本実施形態では、分岐流路Bnを7系統形成する必要があるため、仮想円C1の円周上に、360/7[度]毎に中継基準点rn(n=1〜7)が設定される。
ここで、水平部Ln1(n=1〜7)は、流路構成プレートP2,P3の間に形成され、上述した中継部Rn(n=1〜7)の直下の位置を基準として水平方向に延びる流路である。また、水平部Ln2(n=1〜7)は、流路構成プレートP3,P4の間に形成され、上述した吐出部Fn(n=1〜7)の直上の位置を基準として水平方向に延びる流路である。さらに、水平部Ln1(n=1〜7)の流路長は各系統毎に均一である必要があり、水平部Ln2(n=1〜7)の流路長も各系統毎に均一である必要がある。
そこで、水平部Ln1,Ln2の設計に際しては、先ず、図6に示すように、吐出部Fn(n=1〜7)に対応するように水平面H上に設定された中継基準点rn(n=1〜7)を中心とする半径r2の仮想円C2n(n=1〜7)、及び吐出基準点fn(n=1〜7)を中心とし仮想円C2n(n=1〜7)と交差する半径r3の仮想円C3n(n=1〜7)が水平面H上に設定される。これにより形成された仮想円C2n(n=1〜7)と仮想円C3n(n=1〜7)との交点が、屈曲基準点xn(n=1〜7)として定められる。
第1の分岐流路B1の設計方法を例に挙げて具体的に説明すると、水平部L11,L12の設計に際して、図6に示すように吐出部F1に相当する位置に吐出基準点f1が設定される。また、第1の分岐流路B1において想定される中継基準点r1を中心として半径r2の仮想円C21、及び吐出基準点f1を中心とする半径r3の仮想円C31が設定される。仮想円C21,C31の交点X1と中継基準点r1とを結ぶ位置に水平部L11が設定され、交点X1と吐出基準点f1とを結ぶ位置に水平部L12が設定される。これと同様にして、第2〜第7の分岐流路B2〜B7の水平部Ln1,Ln2(n=1〜7)が設定される。
上述したようにして中継基準点rn、屈曲基準点xn、及び吐出基準点fnが定められると、図4に示すように、これらを通る鉛直線Vrn,Vxn,Vfnが設定される。また、流路構成プレートP1,P2間を通る水平面J1、流路構成プレートP2,P3間を通る水平面J2、流路構成プレートP3,P4間を通る水平面J3が想定される。鉛直線Vrnと水平面J1との交点が導入・中継部間流路SRn(n=1〜7)と下降部Dn1との境界部となる。また、鉛直線Vxnと水平面J2との交点が水平部Ln1と下降部Dn2との境界部となり、鉛直線Vxnと水平面J3との交点が下降部Dn2と水平部Ln2との境界部となる。さらに、鉛直線Vfnと水平面J3との交点が水平部Ln2と下降部Dn3との境界部となる。このようにして導入・中間部流路Srnと、中継・吐出部間流路RFn(n=1〜7)とを設計することにより、流路長が同一であり導入部Sから各吐出部Fnに繋がる一連の分岐流路Bn(n=1〜7)を形成することができる。
上述したように、本実施形態の分岐流路構成体50では、導入部Sと同心位置にある導入基準点sを中心とする仮想円C1の円周をn分割する位置にn個の中継基準点rnが設定され、水平面J1上において各中継基準点rnに対応する位置に中継部Rnが設けられている。さらに、導入部Sと各中継部Rnとを繋ぐようにn系統の導入・中継部間流路SRnが設けられていることから導入・中継部間流路SRnの長さが各系統毎に均一である。そのため、分岐流路構成体50では、一軸偏心ねじポンプ5から導入部Sに導入された流体を中継部Rnに至るまでの区間において、各分岐流路Bnに対して略均一の圧力及び流量で流通させることが可能である。
また、本実施形態の分岐流路構成体50では、上述したような流路設計法に則って設計することにより、n個の中継部Rnからこれらに対応して設けられた各吐出部Fnまで至る各中継・吐出部間流路RFnの長さがそれぞれ均一とされている。そのため、分岐流路構成体50では、各中継・吐出部間流路RFnを流体が流れることにより発生する圧損や流体の流量を分岐流路Bnによらず均一化することが可能である。したがって、分岐流路構成体50によれば、導入部Sに導入された流体を吐出量や吐出圧を略一定としつつ、所望の分岐数に分岐することが可能となる。
上述したように、分岐流路構成体50を用いることにより、各吐出部Fnにおける流体の吐出量や吐出圧を均一化することができる。そのため、従来技術のように各吐出部Fnやこれに別途接続された流路に吐出量や吐出圧を調整するための弁やノズルなどを設ける必要がなく、弁やノズルの調整の必要もない。したがって、上述した分岐流路構成体50を用いて一軸偏心ねじポンプ5から供給されてきた流体を複数系統に分岐させることとすれば、流路構成が簡略化され、吐出量や吐出圧の調整が不要となり、メンテナンスや設置作業に要する手間を最小限に抑制することが可能となる。
分岐流路構成体50は、上述したようにして流路設計を行うことにより導入・中継部間流路SRn及び中継・吐出部間流路RFnの流路長を分岐流路Bnによらず同一とすることが可能である。したがって、分岐流路構成体50は、上述したように吐出部Fnを所定の直線上に配置するだけでなく、要望に応じて適宜配置することが可能であり、吐出部Fnのレイアウト選択の自由度が極めて高い。また、分岐流路構成体50によれば、従来技術のように吐出部Fnの数を2のn乗個としなくても各吐出部Fnにおける流体の吐出量や吐出圧を均一化することが可能であり、吐出部Fnの数を要望に応じて適宜調整することが可能である。
本実施形態の分岐流路構成体50は、下降部Dnpの長さの総和、及び水平部Lnqの長さの総和が分岐流路Bnの系統によらず同一とされている。また、分岐流路構成体50は、各分岐流路Bnを構成する各部位、具体的には導入・中継部間流路SRn、中継・吐出部間流路RFnを構成する管路の大きさや断面形状が略同一とされている。さらに、各分岐系統Bnにおいて水平部Lnqと下降部Dnpとの境界に形成される屈曲部分の総数が同一である。そのため、各中継・吐出部間流路RFnを流体が流れることにより発生する圧損や、流量分布を均一が分岐流路Bnの系統によらず略均一であり、各吐出部Fnにおける流体の吐出量や吐出圧を均一化することができる。
本実施形態で示した分岐流路Bnは、水平部Lnqと下降部Dnpとが、境界部分において大きく湾曲することなく屈曲した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本実施形態の分岐流路構成体50は、溝を形成した流路構成プレートP1〜P4を重ね合わせることにより各分岐流路Bnを構成したものであるため、水平部Lnqと下降部Dnpとの境界部分を大きく湾曲させることなく連続させることが可能であったが、例えば銅管の配管を屈曲させて各分岐流路Bnを形成する場合は、本実施形態で示したものよりも水平部Lnqと下降部Dnpとの境界部分において大きく湾曲させざるを得ない。そのため、分岐流路Bnは、図7(a)に示すように本実施形態において示したものよりも大きな曲率で前記境界部分が湾曲したものであってもよい。
なお、上述したように境界部分を大きく湾曲させた場合についても、分岐流路Bnは系統によらず全体として略同一の流路長を有し、系統によらず下降部Dnpの長さの総和が同一であり、水平部Lnqの長さの総和が同一であり、さらに屈曲部分の数が同一となるように流路設計される必要がある。これらの条件を満足する限りにおいて、本実施形態において例示したものと同様に、各吐出部Fnにおける流体の吐出圧や吐出量を略均一化することが可能である。
分岐流路構成体50においては、前記各中継・吐出部間流路RFnが屈曲部を備えており、屈曲部を境として下流側の水平部Lnqの向きを、屈曲部よりも上流側(上方側)の水平部Lnqとは異なる方向に向けることが可能である。また、中継・吐出部間流路RFnは、それぞれ上下方向に複数箇所において屈曲部を備えた構成とされている。そのため、分岐流路構成体50は、各吐出部Fnのレイアウトにあわせて各中継・吐出部間流路RFnを水平方向に任意の位置まで到達させることが可能であり、流路構成上の自由度が高い。
本実施形態において示した分岐流路構成体50は、各分岐流路Bnを構成する流路の開口径が部位によらず均一のものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、全系統の中継・吐出部間流路RFnに、図7(b)に示すように流路の開口径が縮小された部位(縮径部60)を設けた構成とすることも可能である。また逆に、各分岐流路Bnに、流路径が他の部位よりも拡大した部位(拡径部)を設けることも可能である。さらに、各分岐流路Bnを構成する部位の一つとして流路の断面形状が他の部位とは異なる部位を設けることも可能である。なお、前述した縮径部60などの流路径や断面形状が他と異なる部位を設ける場合は、各分岐流路Bnにおいて流体が流れることにより発生する圧損や流体の流量等の均一化を図るべく、各分岐流路Bnにおいて同様の位置に縮径部60などの部位を設けることが望ましい。また、各分岐流路Bnに設ける縮径部60などの部位の流路径や流路断面積は、分岐流路Bnの系統によらず略均一であることが望ましい。このようにすることにより、縮径部60を設けた場合であっても、各分岐流路Bnにおける圧損や流体の流量のバランスをより一層均一化することが可能となり、各吐出部Fnにおける流体の吐出量や吐出圧のばらつきが発生するのを防止することができる。
分岐流路構成体50は、溝が形成された流路構成プレートP1〜P4を重ね合わせることにより各分岐流路Bnが形成されるものであるため、上述した設計方法により設計された分岐流路Bnを容易かつ的確に形成することが可能である。なお、本実施形態では、流路構成プレートP1〜P4を重ね合わせることにより各分岐流路Bnを構成する例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、金属管や樹脂管などを適宜屈曲等させることにより、上述した分岐流路Bnを形成することとしてもよい。また、分岐流路構成体50を複数種類の共通部品によって構成されるものとしておき、前記共通部品を適宜組み合わせることにより所望の配置や形状の分岐流路Bnを形成可能なものであってもよい。さらに、分岐流路構成体50は、導入・中継部間流路SRnを構成する部分と、中継・吐出部管流路RFnを構成する部分とを別々のパーツして構成し、これらを連結することにより各分岐流路Bnを構成可能なものであってもよい。また、例えば下降部Dnpを構成するパーツと水平部Lnqを構成するパーツとを別々に準備し、これらを適宜接続することにより中継・吐出部管流路RFnを構成可能なものとしてもよい。
本実施形態で示した分岐流路構成体50は、各流路構成プレートP1〜P4の境界に想定される水平面J1〜J3に相当する位置において各分岐流路Bnを屈曲させたものであるため、同一の高さにおいて各分岐流路Bnが屈曲したものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、各分岐流路Bnの全長が同一になるという条件を満足する限り、各分岐流路Bnが異なる高さにおいて屈曲したものであってもよい。各分岐流路Bnが異なる高さにおいて屈曲した構成とした場合は、分岐流路Bn同士の干渉を容易に回避することが可能となり、より一層各分岐流路Bnや各吐出部Fnのレイアウトの自由度を高めることが可能となる。
本実施形態では、導入部Sに繋がる各分岐流路Bnが途中で分岐することなく、一連の流路を構成するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、各分岐流路Bnがそれぞれ途中においてさらに多系統に分岐するように形成されてもよい。なお、各分岐流路Bnを途中で分岐させる場合は、各分岐流路Bn毎に分岐数を同一にすることが望ましい。また、各分岐流路Bnを途中で分岐させる場合についても、上述した流路設計法に準じて流路設計することにより、流体が流れることにより発生する圧損や流量を均一化し、各吐出部Fnにおける流体の吐出圧や吐出量を均一化することが可能となる。
本実施形態の分岐流路構成体50では、導入部Sの断面形状が円形であり、周方向に略等間隔に各分岐流路Bnが接続されているため、一軸偏心ねじポンプ5から導入部Sに導入された流体を各分岐流路Bnに対して略均一に供給することができる。なお、導入部Sは、断面形状が円形のものに限定される訳ではなく、断面形状が多角形のものであっても良いが、各分岐流路Bnに対して略均一に流体を供給するとの観点からすると断面形状が略正n角形、あるいは、略正n×a角形(aは自然数)であることが好ましい。具体的には、例えば吐出部Fnが3つ設けられており、分岐流路Bnが3系統形成される場合は、図8(a)に示すように導入部Sの断面形状を正三角形としたり、図8(b)に示すように正六角形(n=3,a=2,n×a=6)としたりすることが可能である。このように導入部Sの形状を調整することにより、一軸偏心ねじポンプ5側から導入部Sに導入された流体を角分岐流路Bnに略均一に供給することが可能となる。
本実施形態では、導入・中間部間流路SRnが水平方向に延びる部分のみを有するものであったが、本発明はこれに限定されるものであってもよく、中継・吐出部間流路RFnの下降部Dnpのように上下方向(鉛直方向)に延びる部分を有するものであってもよい。かかる構成とした場合についても、上述した分岐流路Bnの設計方法において説明したのと同様に、仮想円C1の円周をn分割する位置に設けられた中継部Rnと導入部Sとを繋ぐよう、各導入・中間部間流路SRnが流路設計されることにより、導入部Sから各分岐流路Bnに対して流体を略均一に供給することが可能となる。
本実施形態では、分岐流路構成体50を一軸偏心ねじポンプ5と組み合わせることにより一軸偏心ねじポンプシステム1を構成した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、分岐流路構成体50は一軸偏心ねじポンプ5以外の従来公知のポンプなどと組み合わせて使用される等してもよい。
1 一軸偏心ねじポンプシステム
5 一軸偏心ねじポンプ
50 分岐流路構成体
60 縮径部
Pn 流路構成プレート
S 導入部
Fn 吐出部
Bn 分岐流路
Rn 中継部
SRn 導入・中継部間流路
RFn 中継・吐出部間流路
Dnp 下降部
Lnq 水平部
s 導入基準点
rn 中継基準点
fn 吐出基準点
H 水平面
V 鉛直線

Claims (9)

  1. 導入部から導入された流体をn個の吐出部から均等に吐出させるための分岐流路を構成可能な分岐流路構成体であって、
    前記n個の吐出部のそれぞれに対応するようにn個の中継部が設けられており、
    各分岐流路が、
    前記導入部と前記n個の中継部とを繋ぐn系統の導入・中継部間流路と、
    前記n個の中継部と当該中継部に対応する吐出部とを繋ぐn系統の中継・吐出部間流路とを有し、
    導入部の軸心を通る鉛直線上の一点を中心とする仮想円の円周をn分割する点に対応する位置に前記中継部が配置され、
    前記n系統の中継・吐出部間流路の長さがそれぞれ同一のものであり、
    前記各中継・吐出部間流路が、下方に向けて流体を流動させることが可能な下降部と、水平方向に流体を流動させることが可能な水平部とを備え、前記水平部と前記下降部との間に屈曲部を有する流路であり、
    各中継・吐出部間流路に係る前記水平部の長さの総和が同一であり、
    各中継・吐出部間流路に係る前記下降部の長さの総和が同一であり、
    各中継・吐出部間流路における前記屈曲部の数が同一であり、
    前記各中継・吐出部間流路が、屈曲部が上下方向に複数形成されたものであることを特徴とする分岐流路構成体。
  2. 導入部から導入された流体をn個の吐出部から均等に吐出させるための分岐流路を構成可能な分岐流路構成体であって、
    前記n個の吐出部のそれぞれに対応するようにn個の中継部が設けられており、
    各分岐流路が、
    前記導入部と前記n個の中継部とを繋ぐn系統の導入・中継部間流路と、
    前記n個の中継部と当該中継部に対応する吐出部とを繋ぐn系統の中継・吐出部間流路とを有し、
    前記n系統の中継・吐出部間流路の長さがそれぞれ同一のものであり、
    前記各中継・吐出部間流路が、下方に向けて流体を流動させることが可能な下降部と、水平方向に流体を流動させることが可能な水平部とを備え、前記水平部と前記下降部との間に屈曲部を有する流路であり、
    各中継・吐出部間流路における前記屈曲部の数が同一であり、
    前記各中継・吐出部間流路が、屈曲部が上下方向に複数形成されたものであることを特徴とする分岐流路構成体。
  3. 前記中継部が、前記仮想円の円周を略n等分する位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の分岐流路構成体。
  4. 前記各中継・吐出部間流路が、
    各中継・吐出部間流路に係る前記水平部の長さの総和が同一であり、
    各中継・吐出部間流路に係る前記下降部の長さの総和が同一であることを特徴とする請求項2に記載の分岐流路構成体。
  5. 前記各中継・吐出部間流路に、流路径が縮小された縮径部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の分岐流路構成体。
  6. 各分岐流路の流路径が、分岐流路によらず略均一であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の分岐流路構成体。
  7. 前記各分岐流路を構成する溝が形成されたプレートを重ね合わせることにより構成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の分岐流路構成体。
  8. 導入部の断面形状が円形、あるいは、正n×a角形(aは任意の自然数)であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の分岐流路構成体。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の分岐流路構成体と、一軸偏心ねじポンプとを有し、
    前記一軸偏心ねじポンプから吐出された流体を、前記分岐流路構成体の導入部に導入可能とされていることを特徴とする一軸偏心ねじポンプシステム。
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