JP5613906B2 - 路面熱流センサーを用いた融雪装置制御方法及び走行車両への路面状態の伝達方法 - Google Patents

路面熱流センサーを用いた融雪装置制御方法及び走行車両への路面状態の伝達方法 Download PDF

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本発明は路面に熱流センサーを埋設することで路面の積雪及び凍結状態を検出し、小さいエネルギーでもって融雪することが出来る制御方法、及び路面状態を走行する車両に無線で伝達する方法に関するものである。
冬の路面は冬特有の気象の影響受けて気温が低下し、路面の凍結や積雪によって車両走行に不都合な状況が突発的に発生する。この不都合を防止する為、事故の多い危険個所には融雪設備や凍結防止液散布施設が設けられ、その他の部分は除雪車によって除雪し、また凍結防止剤を散布している。
ところで、融雪設備は色々あるが、東北や北海道の寒冷地では水を散水することが出来ない為に電熱を用いたロードヒーティング融雪(以後、「RH」と言う)が一般的であり、電気ヒーターと共に制御用の温度センサーや路面水分センサーを路面に埋設し、路肩や歩道に設置したRH制御盤には電力線と共にセンサーの信号線を埋設した配線で接続している。
RH路面水分センサーは路面の表面に設け、また温度感知部は車両に直接踏まれないヒーターと同程度の深さに埋設している。 水分センサーは路面表面に設けられる為に走行する車両に直接踏まれ、特に大型車両に踏まれるとダメージが大きく故障が絶えず、その都度路面を掘り返えして補修しなくてはならず、そしてRH制御盤への配線取替で通行止めが必要であると共に修繕費のコスト高を招いている。
すなわち、路面センサーを設置したり、又は該路面センサーの更新時においては、信号線や電源線の埋設または更新が伴う為に、道路上では長時間の通行止めの実施などが必要となり施工時の課題がある。そして、従来の融雪設備の制御は温度や水分によるものであり、さらに温度計の埋設深さが5〜10cm程度あるため、融雪面までの熱抵抗を考慮して、熱源の温度を5〜7℃に保つ必要がある。この為に降雪強度が小さい時には、路面表面の温度が5〜7℃近くまで上昇する場合があり、これが熱エネルギーの損失につながっている。
さらに、RH面にも凍結防止剤が散布される場合が多く、しかし、その効果(氷点降下)を有効に活用した制御は行われておらず、せっかく散布された薬剤が無駄になっている。一方、通行する車両が路面状況を把握できない為に、特に凍結時には事故が多発している。
図5は従来方式の路面センサーを用いた融雪装置の制御方法を示す概略図である。
(a)は温かくて道路面の温度が0℃以上であって、積雪はないと判断させ、ヒーターはOFFとなる。
(b)は乾燥時で寒くて路面温度は0℃以下である。その為にヒーターはONとなる。
(c)は寒くて路面に積雪が存在している場合で、路面温度は0℃以下となる。その為にヒーターはONとなる。
このように、従来方式では路面の温度を路面センサーにて検知する方法であることから、積雪の有無判断は不確定となる。その為に、路面温度が0℃以下である場合には常にヒーターをONとしなくてはならず、エネルギーが無駄に消費されるケースが多い。
このように従来のロードヒーティング制御装置には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、融雪をより少ないエネルギーにて行うことが出来ように制御し、また路面の融雪剤濃度に応じて0℃以下でのRH制御を可能とし、さらには路面下への信号配線埋設を不要とする路面熱流センサーを用いた融雪制御方法、及び通行車両への路面状態の伝達方法を提供する。
本発明に係る路面熱流センサーを用いた融雪制御方法は、冬季の路面管理において融雪設備(ロードヒーティング等)が稼働しているときの実路面の熱流量を計測して路面上の雪氷の融解潜熱量を検知することにより、路面上の積雪及び凍結状態の判定並びに融雪に必要な熱量の計測を容易に行うとともに、路面凍結防止剤の濃度に応じて路面温度を制御し、融雪装置の省エネルギー運転を実現する。一方、熱流センサーや凍結防止剤濃度センサーが自己起電力で動作することを応用して、路面と融雪装置あるいは道路管理車両との情報伝送を無線によって行い、さらに埋設時または更新時の施工コストを低減するように構成している。
(1)積雪または凍結の検知
融雪面の熱流は、積雪または凍結の強度に応じてその大きさが変化するので、融雪する為に必要なエネルギーを的確に把握する。そして、積雪または凍結がなくなると、氷の融解熱が消滅することで融雪の完了を精度よく検知する。
(2)塩分濃度と融雪温度に基づく制御
通常は、0℃以下で凍結する路面は、融雪剤があることで凍結しない。このことを利用して、RH制御の路面温度を路面の融雪剤濃度に応じた0℃以下でのRH制御が可能になる。
(3)乾燥路面の検知
塩分濃度計を水分センサーとして機能させ、路面の乾燥状態を判断する。このことにより、乾燥状態では0℃以下でも凍結しないので、RH制御の路面温度を乾燥時には0℃以下にすることにより省エネ化を図る。
(4)電源自立
自立型の電源として、熱流の温度差による起電力、又は水分を電解液とした起電力、あるいは太陽光、風力等の再生可能エネルギーによる起電力を利用する。
(5)走行車両への通信
路面熱流センサーからの信号を走行車両が受信するように構成し、ドライバーが路面状況の把握を容易に行えることで交通の安全性を確保する。
本発明の熱流センサーは融雪するために必要なエネルギーを的確に把握することが出来、積雪又は凍結がなくなると氷の融解熱が消滅するので、融雪の完了を精度よく検知することが出来る為に融雪制御の省エネ化が可能になる。
そして、融雪剤があれば0℃以下でも凍結しない為に、このことを利用して、RH制御の路面温度を、融雪剤濃度に応じた0℃以下での制御が可能になり、散布する凍結防止剤が無駄にならない。
塩分濃度計を水分センサーとして機能させ、路面の乾燥状態を判断することが出来る為に、乾燥状態では0℃以下でも凍結しないので、RH制御の路面温度を乾燥時には0℃以下にすることにより省エネ化を図ることが可能になる。
そして、本発明では熱流の温度差による起電力、又は水分を電解液とした起電力、あるいは太陽光、風力等の再生可能エネルギーによる起電力を利用し、これにより、配線の埋設等が不要になる。従って、熱流センサーの設置または取り換え更新がきわめて簡易に行うことが可能である。熱流センサー本体も貼り付け型やコア抜き型を採用することにより、簡易に設置可能になる。
一方、無線によってセンサーの検知情報を伝送する為の信号配線線が不要になり、該センサーからの情報を走行車両が受信することにより、ドライバーが路面状況の把握を容易に行えることで交通の安全性が向上する。
本発明の熱流センサーを用いた融雪装置の制御方法を示す概略図。 熱流センサー、凍結防止液濃度センサーなどを組み込んだ路面センサーの平面図。 熱流センサー、凍結防止液濃度センサーなどを組み込んだ路面センサーの断面図。 路面に積雪がある場合の熱流量出力値の変化を示すグラフ。 路面センサーを用いた従来の融雪装置制御方式。
図1(a)〜(c)は本発明の概略図であり、路面に埋設された熱流センサー1の動作を示している。
(a)は路面2が乾燥状態にあり、比較的温かい場合であり、路面下からの熱流量は極小である。そこで、熱流センサー1から発信されて制御盤へ送られる信号の判定は積雪無しであり、その為にヒーターはOFFとなり融雪装置は作動しない。
(b)も路面2が乾燥状態にあるが、気温は低い場合であり、路面下からの熱流量は小さい。そこで、熱流センサー1から発信されて制御盤へ送られる信号の判定は積雪無しであり、その為にヒーターはOFFとなり融雪装置は作動しない。
(c)は路面2に積雪があり、雪の潜熱による吸熱効果で路面下からの熱流量は極大である。そこで、熱流センサー1から発信されて制御盤へ送られる信号の判定は積雪有りであり、その為にヒーターはONとなり融雪装置は作動する。
図2は本発明に係るセンサーの平面図であり、図3は断面図を表している。
該センサーの直径は125〜150mm程度であり、同図の1は熱流センサー(熱流計)、3は凍結防止液濃度センサー、4は温度計、5は太陽電池、6は無線送信アンテナをそれぞれ表している。そして、上記部品はカップ7に収容され、内部には路面材と同等の熱伝導を有す樹脂が注入されている。従って、上記熱流センサー1、凍結防止液濃度センサー3、温度計4、太陽電池5、それに無線送信アンテナ6は所定の位置に固定されている。
凍結防止液濃度センサー3は、櫛状に配置した電気的に絶縁した異種金属間の表面が塩水や塩化カルシウムなどの水溶液(電解液)で覆われると異種金属間に起電力が生じる(ボルタ電池と同様)。実施例では、厚み2mmの銅板と厚み2mmの亜鉛板を使用した。塩水濃度5%程度で、発生する起電圧は1V程度であり、数百ミリアンペアが得られ、これを電圧増幅回路で6V程に昇圧し、数十ミリアンペアの電源として利用できる。
起電圧と電流の積は溶液濃度と比例の関係があり、高濃度程大きくなるので、負荷を一定に電圧を測定すると濃度が得られる。但し塩等の結晶が混入しない飽和濃度以下に限る。
氷点下5℃程度までの道路の凍結防止に必要な塩水濃度は2〜5%の範囲でよい。塩水を氷点下に冷やし濃度に対する凝固点温度より低下すると、氷結温度に対応した濃度を保つように氷成分が増減するので、塩水の温度を下げるとシャーベット状態になり完全に氷結しないので滑らずに安全が保たれる。
異種金属間に生じる起電力は金属電極の温度に左右されるので、温度補正が必用となる。そこで、凍結防止液濃度センサー3の横に温度センサー4を配置し、濃度の温度補正と共に路面温度としても利用する。
熱流量計1(熱流センサー)はゼーベック効果を利用した温度差による発電を行なうもので、僅かな温度差で発電する素子を用いているが、温度差1℃当りの起電圧が小さいので6個を直列に利用した。降雪がセンサー上に積ると、融雪電力との関係で熱流計1に2〜5℃程度の温度差が生じるので、この温度差に比例した起電圧と電流が得られ、降雪時は太陽光発電が機能しないので、お互いを補い合うように発電する。
また、太陽電池の発電量と日射量が比例するので日射計としても利用する。日射で路面温度が上昇すると熱流計1は融雪と逆の温度差を受けるので、太陽熱が路面に蓄積される量の積算にも活用出来るので、日中の蓄熱と夜間の放射冷却の関係が数値化でき、凍結予測に利用出来る。
太陽電池5は日射強度の測定と共に、内部電子回路の電源として機能する。そして、蓄電池を備えて太陽エネルギーの一部を一時的に蓄電することが出来る。従来の融雪センサーには太陽の熱エネルギーを有効に利用する手立てが無く、路面下5〜10cm下の温度が常に4〜8℃を保つように融雪用電熱線8(ヒーター)を制御してきた。太陽電池5は太陽直射光の強度を測定し、路面2の温度上昇を予測し、温度計4はその結果を知らせてくれるので、路温が0℃近くでも太陽熱が路面2に反映されることが分かり融雪の節約制御に利用出来る。
計測情報の無線伝送には、RFID等で利用しているUHF帯を利用し、センサーから10〜20m程度離れた融雪盤横に設置した受信アンテナで安定して受信できるものとしている。但し、車両通過等で通信が途切れる場合があり、10分間程度の間隔で情報を平均化して制御を行う方法としている。今後は1分程度の平均値を用いるように改造する予定である。
情報量を極限まで短く繰り返し送信することで、車両速度(60km/h)で通過する通信可能時間約2〜3秒でほぼ完全に受信できることが出来る。
図4はモデル路面による熱流量測定結果を表しているグラフである。横軸は時間、縦軸は温度を表し、路面に積雪が存在するならば路面温度は低下する。ここでヒータの温度をほぼ一定とした場合、熱流量は増加することが分かる。しかし、積雪が無くなると(融雪完了)、熱流量は減少して0に収束する。本発明はこの熱流センサーを利用して融雪装置を効率よく制御することが出来る。
1 熱量センサー
2 路面
3 凍結防止液濃度センサー
4 温度計
5 太陽電池
6 無線送信アンテナ
7 カップ
8 融雪用電熱線

Claims (4)

  1. 路面の表面近傍に埋設したヒーターを該路面の積雪又は凍結の有無を判断して制御する融雪装置の制御方法において、熱流センサーと凍結防止液濃度センサーを路面に埋設し、該熱流センサーにて積雪又は凍結による熱流の変化を計測することによって、積雪又は凍結の状態を判定し、そして積雪又は凍結による熱流によって発生する起電力、又は凍結防止溶液による起電力によって積雪又は凍結の状態を判定した信号を無線によって送信し、該信号に基づいて融雪装置を制御することを特徴とする融雪装置の制御方法。
  2. 上記熱流センサーによる起電力、凍結防止液濃度センサーによる起電力の他に、路面に埋設した太陽電池からの起電力を利用した請求項1記載の融雪装置の制御方法。
  3. 路面の積雪又は凍結の有無を走行する車両のドライバーへ伝達する方法において、熱流センサーと凍結防止液濃度センサーを路面に埋設し、該熱流センサーにて積雪又は凍結による熱流の変化を計測することによって、積雪又は凍結の状態を判定し、そして積雪又は凍結による熱流によって発生する起電力、又は凍結防止溶液による起電力によって積雪又は凍結の状態を判定した信号を無線によって送信し、該信号を車両に搭載した受信機が受けるようにしたことを特徴とする走行車両への路面状態の伝達方法。
  4. 上記熱流センサーによる起電力、凍結防止液濃度センサーによる起電力の他に、路面に埋設した太陽電池からの起電力を利用した請求項3記載の走行車両への路面状態の伝達方法。
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