JP5611258B2 - 真空断熱材、その製造方法、保温体及びその解体処理方法 - Google Patents
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Description
従来の樹脂繊維を芯材とする真空断熱材は、その樹脂素材として、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、生分解性プラスチック、ポリエチレンなどが用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
また、脂肪酸ポリエステルと芳香族ポリエステルとのコポリエステル材料を用いた生分解性不織布の製造方法に関する技術が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
また、特許文献2には、ドレープ性、防しわ性、弾力性や生分解性が求められる用途についての記載があるものの、真空断熱材の芯材として適用した構成及び作用についての記載はない。
また、本発明の真空断熱材の製造方法によれば、製造時に樹脂繊維の脆化処理ができ、解体処理し易い真空断熱材を製造することができる。
さらに、本発明の真空断熱材の解体処理方法によれば、解体処理と同時に樹脂繊維を脆化することができ、効率のよい分別リサイクルが実現できる。
まず、本発明の実施の形態1による真空断熱材の構成を説明する。図1は、本発明の実施の形態1による真空断熱材を示す断面模式図である。図1において、真空断熱材1は、複数枚の樹脂繊維不織布2を積層した積層体で構成される芯材3が外被材4により覆われ真空密閉されて構成されている。
まず、例えばスパンボンド製法を用い、芳香族樹脂5と脂肪族樹脂6とを予め溶融混錬して樹脂ペレットを作製し、これを溶融させノズルから押出した後、冷却しながらエジェクタ等を利用して延伸させて紡糸する。紡糸された繊維は、ベルトコンベアに集積して、低目付シート(薄肉シート)にする。その後、熱エンボスロールにて一部熱融着させて繊維を固着させてシートロールを形成する。得られたシートロールを所定の大きさに切断して樹脂繊維不織布2を得、これを積層して芯材3を作製する。
ここで、芯材3を挿入した袋の代わりに真空断熱材の外被材4を用いて熱処理を実施することもできる。この場合、予め製袋加工した外被材4に、芯材3を挿入して熱処理を実施し、次に外被材4から芯材3を取り出すことなく、高温状態のまま、外被材4の開口部に例えば乾燥空気を噴出させる。これによって、水蒸気を強制的に排出させ、芯材3を乾燥させることができる。
一方、PGAが多過ぎると、樹脂繊維自体が脆くなり、芯材の本来の機能である、外被材内部の空隙率の維持が困難になった。そのため、PETとPGAと用いた樹脂繊維では、PGAの含有量を10重量%以下にすることが望ましい。
以上の結果から、PGA含有量の調整と熱処理との組合せによって、リサイクル破砕に適合した樹脂繊維を芯材とする真空断熱材が製造でき、これを搭載した機器の破砕性改善によるリサイクル性が大幅に向上できることが分かる。
図4は、本発明の実施の形態2による真空断熱材1を示す断面模式図である。図4において、真空断熱材1は、樹脂繊維不織布2とガラス繊維不織布8とを交互に積層した積層体で構成される芯材3が外被材4により覆われ真空密閉されて構成されている。樹脂繊維不織布2は、実施の形態1で示したものと同様であり、また、ガラス繊維不織布8は、乾式製法で製造されたグラスウールや湿式製法で製造されたグラスペーパである。このような芯材3は、例えば、樹脂繊維不織布2の原反ロールとガラス繊維不織布8の原反ロールとから2つの繊維不織布を重ね合わせて一括切断し、これを積層したものを用いることができる。
この構成の真空断熱材を搭載した機器の破砕試験を実施したところ、樹脂繊維がガラス繊維に絡みついた状態になり易く、樹脂繊維不織布2だけの場合と比べて回収金属に絡まっていた樹脂繊維が減少することが確認された。つまり、この実施の形態2による真空断熱材では、破砕性が向上するばかりか、リサイクル金属の品質(純度)を向上させることができる。
この構成の真空断熱材では、破砕性及びリサイクル金属の品質(純度)が、樹脂繊維不織布2とガラス繊維不織布8とを交互に積層した積層体で構成される芯材3を用いた真空断熱材と同等レベルで改善される。さらに、芯材3を製造する時に交互に積層しないことから、樹脂繊維不織布2を積層した積層体1つと、ガラス繊維不織布8を積層した積層体2つを組み合わせることで容易に芯材3を作製することができる。
図7は、本発明の実施の形態3による樹脂繊維不織布の表面を示す模式図である。この樹脂繊維不織布2は、表面にスリット9が施され、樹脂繊維が短繊維化されている点が実施の形態1で示したものと異なる。樹脂繊維不織布2を製造する際のシート巻き取りへの送り方向をシート移動方向10aとし、このシート移動方向10aに垂直になる方向には、必ずスリット9が存在するように斜めにスリット9を配置している。また、シート巻き取りや巻き戻しに必要な樹脂繊維不織布2の引張強度を確保するために、シート移動方向10aと平行な方向には、スリットが存在しない直線部分10bを設けている。
本発明の実施の形態4による真空断熱材1は、実施の形態3で示したスリット加工を表面に施した樹脂繊維不織布2と、実施の形態2に示したガラス繊維不織布8とを交互に積層した積層体で構成される芯材3が外被材4により覆われ真空密閉されて構成されている。積層構造は、図4、図5又は図6に示したものと同様の積層構造とすることができる。スリット加工によって樹脂繊維が短繊維化されていることから、ガラス繊維により絡みつき易くなり、破砕後にガラス繊維と塊になる。従って、回収金属への樹脂繊維の絡まりが少なくなり、リサイクル金属の品質(純度)を向上させることができる。
また、ガラス繊維不織布8にも樹脂繊維不織布2と同等か、それよりも粗い間隔でスリット加工を施してもよい。この場合、ガラス繊維の破砕性も向上することから、樹脂繊維とガラス繊維がより絡み易くなる。従って、保温体の省エネ性を高めるために、従来以上に真空断熱材の厚みを大きくしたり、被覆率を大きくしたりしたものに対しても、リサイクル性を損ねることのない真空断熱材を提供することができる。
図8は、本発明の実施の形態5による保温体の解体処理方法の一部を示すフロー模式図である。図8において、11は保温体、12a,12bはコンベヤ、13は制御装置、14はヒータ、15は加湿器、16は破砕機、17は破砕処理装置、18は温度計、19は分別機、20はフィルタ、Aは湿度制御信号線、Bは温度信号線、Cはヒータ制御信号線である。
保温体11は、例えば外箱と内箱とで構成された冷蔵庫であり、その内箱と外箱との間に内箱の周囲を覆うように真空断熱材1と他の断熱材(例えば発泡ウレタン)が設けられている。保温体11は、コンベヤ12aによって破砕処理装置17内に導入され、破砕機16によって破砕される。このとき、温度計18で計測された温度値が温度信号線Bを介して制御装置13に送られ、この温度値に基づいて、制御装置13は、湿度制御信号線Aを介して加湿器15及びヒータ制御信号線Cを介してヒータ14にそれぞれ指令を送り、例えば70℃、85%RHとなるように制御する。破砕された材料は、コンベヤ12bによって分別機19に送られ、例えば金属材料、プラスチック固形材料、発泡材料(繊維材料を含む)などに分別され、一部はフィルタ20を通過して次工程に搬送される。
本実施の形態では、保温体11の破砕を40℃〜100℃/50%RH〜100%RHの高温高湿環境下で行うことにより、樹脂繊維を構成する脂肪族樹脂の分解を促進させている。この結果、樹脂繊維の破砕性をさらに高めることができ、保温体11のリサイクル性の向上を図ることができる。
Claims (9)
- 樹脂繊維からなる不織布を含む積層体で構成される芯材と、該芯材を真空密閉して覆う外被材とを備え、
該樹脂繊維が、エステル結合を有する芳香族樹脂を海成分とし、該芳香族樹脂のガラス転移温度よりも低いガラス転移温度を有する脂肪族樹脂を島成分とする海島型複合繊維であり、該脂肪族樹脂のガラス転移温度以上かつ該芳香族樹脂のガラス転移温度未満で熱処理されているか又は該脂肪族樹脂を2重量%以上含有することを特徴とする真空断熱材。 - 前記樹脂繊維は、前記脂肪族樹脂を1重量%以上10重量%以下含有し、前記脂肪族樹脂のガラス転移温度以上かつ前記芳香族樹脂のガラス転移温度未満で熱処理されていることを特徴とする請求項1に記載の真空断熱材。
- 前記芳香族樹脂はポリエチレンテレフタレートであり、前記脂肪族樹脂はポリグリコール酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の真空断熱材。
- 前記芯材は、前記樹脂繊維不織布とガラス繊維不織布とを積層した積層体で構成されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の真空断熱材。
- 前記樹脂繊維不織布の表面にスリット加工が施されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の真空断熱材。
- エステル結合を有する芳香族樹脂を海成分とし、該芳香族樹脂のガラス転移温度よりも低いガラス転移温度を有する脂肪族樹脂を島成分とする海島型複合繊維からなる不織布を積層して芯材を調製する工程と、
該芯材を外被材に挿入してパックを調製する工程と、
該パックを真空密封する工程とを含む真空断熱材の製造方法であって、
真空密封前に、該芯材を該脂肪族樹脂のガラス転移温度以上かつ該芳香族樹脂のガラス転移温度未満で熱処理することを特徴とする真空断熱材の製造方法。 - エステル結合を有する芳香族樹脂を海成分とし、該芳香族樹脂のガラス転移温度よりも低いガラス転移温度を有する脂肪族樹脂を島成分とし、該脂肪族樹脂を2重量%以上含有する海島型複合繊維からなる不織布を積層して芯材を調製する工程と、
該芯材として外被材に挿入してパックを調製する工程と、
該パックを真空密封する工程とを含むことを特徴とする真空断熱材の製造方法。 - 請求項1〜5の何れか一項に記載の真空断熱材を用いて箱体を覆うように設置されたことを特徴とする保温体。
- 請求項8に記載の保温体の解体処理方法であって、
40℃〜100℃/50%RH〜100%RHの高温高湿下で該保温体を破砕する工程を含むことを特徴とする保温体の解体処理方法。
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