以下、この発明のスイッチング電源装置の第一実施形態について、図1〜図9に基づいて説明する。第一実施形態のスイッチング電源装置10は、図1の回路図に示すように、いわゆるフルブリッジ方式の電力変換回路を備え、入力端子12a,12b間に入力された入力電圧Viを出力電圧Voに変換し、出力端子14a,14b間に接続された負荷16に電力供給する。この種の電力変換回路は、特に定格出力電流が100Aを超えるような大電力の装置に適している。
入力端子12a,12b間には、第一及び第二アームの並列回路で成るブリッジ型のインバータ回路18が設けられている。第一アームは主スイッチング素子20a,20bの直列回路であり、第二アームは主スイッチング素子20c,20dの直列回路である。そして、主スイッチング素子20a,20bの中点と主スイッチング素子20c,20dの中点との間に、トランス22の一次巻線24が接続されている。一次巻線24は、主スイッチング素子20a,20dが共にオンする期間に電圧Viが印加され、主スイッチング素子20b,20cが共にオンする期間に逆方向の電圧Viが印加される。
トランス22は、磁性コア26に回巻された一次巻線24と2つの二次巻線28とを備えている。一次巻線24は、一次巻線24(1),24(2)が直列に連続した巻線である。2つの二次巻線28は互いに巻数が等しく、それぞれ、磁性コア26に回巻されたコイル部32と、その両端を外に引き出す2組の引出部34を有している。以下、2つの二次巻線を28(1),28(2)、2つのコイル部を32(1),32(2)と表わして区別する。同様に、二次巻線28(1)が有する2組の引出部を34(1),34(2)と表わし、二次巻線28(2)が有する2組の引出部を34(3),34(4)と表わして区別する。
二次巻線28には、二次巻線28に発生する交流電圧を整流する4つの整流回路36が接続されている。二次巻線28(1)の一対の引出部34(1)に接続された整流回路36(1)は、MOS型FETである2つの整流素子38(1),40(1)と、その駆動回路42(1)を備えている。整流素子38(1)は、ドレイン端子が引出部34(1)の一方に接続され、ソース端子が整流素子40(1)のソース端子に接続され、整流素子40(1)は、ドレイン端子が引出部34(1)の他方に接続されている。さらに、整流素子38(1),40(1)の内部には、図示しない寄生コンデンサがドレイン・ソース端子間に存在する。駆動回路42(1)は、主スイッチング素子20a〜20dのオン・オフのタイミングに基づく同期制御により所定の駆動パルスを発生し、整流素子38(1),40(1)のゲート端子に向けて出力することによって整流素子38(1),40(1)を相補的にオン・オフさせる。いわゆるセンタータップ整流方式の整流回路である。
二次巻線28(1)と整流回路36(1)には、図1の回路図に現れない配線インダクタンス成分が存在する。このインダクタンス成分は、図2に示すように、一対の引出部34(1)の構造と、引出部34(1)の一方から整流素子38(1)のドレイン端子までの配線、整流素子38(1)及びその寄生コンデンサ、整流素子38(1)のソース端子から整流素子40(1)のソース端子までの配線、整流素子40(1)及びその寄生コンデンサ、及び整流素子40(1)のドレイン端子から引出部34(1)の他方までの配線から成る高周波電流ライン44(1)の構造とで定まる。すなわち、引出部34(1)と高周波ライン44(1)とで閉じられた高周波電流ループ46(1)が大きい程、配線インダクタンス成分が大きくなる。配線インダクタンス成分については後で詳しく説明する。
二次巻線28(1)の他の引出部34(2)、及び二次巻線28(2)の引出部34(3),34(4)にも、同様の整流回路36(2)〜36(4)が個々に接続され、それぞれ高周波電流ライン44(2)〜44(4)と高周波電流ループ46(2)〜46(4)を形成する。
駆動回路42(2)〜42(4)は、ここでは、駆動回路42(1)と同様のものが個別に設けられている。しかし一部の機能又は全ての機能を一つの駆動回路42に集約してもよい。例えば、各整流素子38,40のオン・オフのタイミングを決定する機能を駆動回路42(1)に集約し、整流素子38,40のゲート端子を駆動するバッファ機能は駆動回路42(1)〜42(4)ごとに設けることが考えられる。バッファ機能については、整流素子38,40を所望のタイミングで的確にオン・オフさせるため、個々の整流素子38,40の近傍に設けることが好ましい。
整流回路36(1)〜36(4)の後段には、図1に示すように、整流回路36(1)〜36(4)が出力する整流電圧を一括して平滑する平滑回路48であって、平滑インダクタ50と平滑コンデンサ52とで成るローパスフィルタが接続されている。整流回路36(1)は、整流素子38(1)、40(1)のソース端子と、二次巻線28(1)の中間電位を外に引き出すセンタータップ54(1)との間に整流電圧を出力するので、当該ソース端子が平滑コンデンサ52のグランド側(出力端子14b側)に接続され、センタータップ54(1)が平滑コンデンサ52のプラス側(出力端子14a側)に接続されている。そして、リング状磁性コア56の内側に後者の接続線が通過し、1ターンの平滑インダクタ50を形成する。
他の整流回路36(2)〜36(4)も同様に、各整流素子38(2)〜38(4),40(2)〜40(4)のソース端子と、各二次巻線28(2)〜28(4)の中間電位を外に引き出すセンタータップ54(2)〜54(4)との間に整流電圧を出力するので、各ソース端子が平滑コンデンサ52のグランド側(出力端子14b側)と、センタータップ54(2)〜54(4)が平滑コンデンサ52のプラス側(出力端子14a側)にそれぞれ接続されている。そして、リング状磁性コア56の内側に後者の接続線を通過させることによって、1ターンの平滑インダクタ50を形成する。このとき、平滑インダクタ50の部分の1ターン同士を絶縁することによって相互に磁気結合し、電源の動作中に各1ターンに発生する電圧及び電流のバランスをとる協調動作が可能になる。ここでは、後述する構造上の都合により、センタータップ54(1),54(2)からの接続線を互いに一体に接続した後でリング状磁性コア56の内側を通過させ、同様にセンタータップ54(3),54(4)からの接続線も互いに一体に接続した後でリング状磁性コア56の内側を通過させ、リング状磁性コア56の内側で2つの接続線を互いに絶縁している。従って、この2つの接続線の間での協調動作が可能になる。協調動作を行わない場合は、センタータップ54(1)〜54(4)からの全ての接続線を一体に接続した後で、リング状磁性コア56の内側を通過させればよい。
次に、トランス22、整流回路36(1)〜36(4)及び平滑インダクタ50の構造について説明する。この部分は、図3に示すように、略矩形のトランス22を中心に、その側方に整流回路36(1)〜36(4)及び平滑インダクタ50が配置され、一体に組み立てられる。
トランス22は、図4、図5に示すように、2つのE型コアを組み合わせた日の字型の磁性コア26を備えている。磁性コア26は、一次巻線24と二次巻線28が回巻される中足部58と、中足部の58の両端部にT字状に交差する一対の平板部60と、中足部58の両側に設けられ一対の平板部60の端部に交わる一対の外足部62とで成り、日の字型の閉磁路を形成する。ここではEE型のコアを使用しているが、EI型、EER型、PQ型等のコアでもよい。
各巻線は、図4(b)に示すように、内側から、一次巻線24(1)のコイル部、二次巻線28(1)のコイル部32(1)、二次巻線28(2)のコイル部32(2)、一次巻線24(2)のコイル部、という順番に重ね巻きされている。
二次巻線28(1)は、図6に示すように、薄手の銅板を用いて2ターンのコイル部32(1)が形成されている。コイル部32(1)は、幅寸法が中足部58の長さよりも僅かに短い略長方形の銅板を帯状に巻き付けたものであり、1ターン目と2ターン目の重なる部分に図示しない絶縁シートが挿入され、絶縁が確保されている。コイル部32(1)には、幅方向の一側端部であって巻き方向の始端及び終端の位置に、互いの根元部分が重なる一対の引出部34(1)が延設され、途中でL字に屈曲して先端部分が外向き突出している。コイル部32(1)の反対側の側端部にも、引出部34(1)とほぼ対称形の一対の引出部34(2)が延設されている。また、コイル部32(1)には、幅方向の一側端部であって1ターン目と2ターン目の中間電位の位置にセンタータップ54(1)が延設され、引出部34(1)と重なっている。コイル部32(1)の反対側の側端部にも、センタータップ54(1)とほぼ対称形のセンタータップ54(2)が延設されている。一対の引出部34(1)とセンタータップ54(1)とが重なる部分、及び一対の引出部34(2)とセンタータップ54(2)とが重なる部分には、それぞれ図示しない絶縁シートが挿入され、絶縁が確保されている。一対の引出部34(1),34(2)及びセンタータップ54(1),54(2)は、いずれも、図6(b)で言えば左側、図4(a)で言えばトランス22の上側の位置に設けられている。
二次巻線28(2)は、二次巻線28(1)とほぼ同じ形状であり、図7に示すように、薄手の銅板を用いて2ターンのコイル部32(2)が形成されている。コイル部32(2)は、幅寸法が中足部58よりも僅かに短い略長方形の銅板を帯状に巻き付けたものであり、1ターン目と2ターン目が重なる部分に図示しない絶縁シートが挿入され、絶縁が確保されている。コイル部32(2)には、幅方向の一側端部であって巻き方向の始端及び終端の位置に、互いの根元部分が重なる一対の引出部34(3)が延設され、途中でL字に屈曲して先端部分が外向き突出している。コイル部32(2)の反対側の側端部にも、引出部34(3)とほぼ対称形の一対の引出部34(4)が延設されている。また、コイル部32(2)には、幅方向の一側端部であって1ターン目と2ターン目の中間電位の位置にセンタータップ54(3)が延設され、引出部34(1)と重なっている。コイル部32(2)の反対側の側端部にも、センタータップ54(3)とほぼ対称形のセンタータップ54(4)が延設されている。一対の引出部34(3)とセンタータップ54(3)とが重なる部分、及び一対の引出部34(4)とセンタータップ54(4)とが重なる部分には、それぞれ図示しない絶縁シートが挿入され、絶縁が確保されている。一対の引出部34(3),34(4)及びセンタータップ54(3),54(4)は、いずれも、図7(b)で言えば右側、図5(a)で言えばトランス22の下側の位置に設けられている。
一次巻線24(1),24(2)は、連続する被覆電線に直列に形成され、それぞれ中足部58の長さより僅かに短く縦巻きしたソレノイドコイルであり、図8に示すように、一次巻線24(1)の外側に所定の隙間を空けて一次巻線24(2)が同心状に巻かれ、ソレノイドの両端が一側端部から引き出されている。
トランス22は、これらの各巻線を空芯状に組み合わせ、例えば周囲に絶縁テープを巻く等して形状を保持し、磁性コア26の中足部58に嵌めこむことによって組み立てられる。また、各巻線を空芯状に組み合わせる作業を容易にするため、樹脂製のボビンを使用しても構わない。
整流回路36(1)〜36(4)は、図3に示すように、トランス22を間に挟むように平板部60に近接して対向する一対のプリント基板64(1),64(2)に振り分けて実装されている。プリント基板64(1)には、トランス22の引出部34(1)の先端部が接続されるスルーホール等である一対の接続部65(1)と、引出部34(3)の先端部が接続されるスルーホール等である一対の接続部65(3)とが設けられている。そして、接続部65(1)の近傍に、2つのMOS型FETを並列接続して成る整流素子38(1)と、2つのMOS型FETを並列接続して成る整流素子40(1)とが実装され、一対の接続部65(1)の間の高周波電流ライン44(1)が極力短くなるように配線パターンが設けられている。同様に、接続部65(3)の近傍に、2つのMOS型FETを並列接続して成る整流素子38(3)と、2つのMOS型FETを並列接続して成る整流素子40(3)とが実装され、一対の接続部65(3)の間の高周波電流ライン44(3)が極力短くなるように配線パターンが設けられている。
他方のプリント基板64(2)には、トランス22の引出部34(2)の先端部が接続されるスルーホール等である一対の接続部65(2)と、引出部34(4)の先端部が接続されるスルーホール等である一対の接続部65(4)とが設けられている。そして、接続部65(2)の近傍に、2つのMOS型FETを並列接続して成る整流素子38(2)と、2つのMOS型FETを並列接続して成る整流素子40(2)とが実装され、一対の接続部65(2)の間の高周波電流ライン44(2)が極力短くなるように配線パターンが設けられている。同様に、接続部65(4)の近傍に、2つのMOS型FETを並列接続して成る整流素子38(4)と、2つのMOS型FETを並列接続して成る整流素子40(4)とが実装され、一対の接続部65(4)の間の高周波電流ライン44(4)が極力短くなるように配線パターンが設けられている。
図3に示す導体フレーム66(1),66(2)は、センタータップ54(1)〜54(4)を平滑コンデンサ52に接続するための接続線である。導体フレーム66(1)は、棒状部68aとその端部がT字状に分岐した一対の接続部68bとを有し、一対の接続部68bがセンタータップ54(1),54(2)に接続され、棒状部68aがトランス22の外足部62と交差する方向に配置される。導体フレーム66(2)も同様に、棒状部68aとその端部がT字状に分岐した一対の接続部68bとを有し、一対の接続部68bがセンタータップ54(3),54(4)に接続され、棒状部68aがトランス22の外足部62と交差する方向に配置される。導体フレーム66(1),66(2)は、ほぼ平行に離間した状態(又は、図示しない絶縁シートを間に挟んだ状態)でリング状磁性コア56の内側を通過し、図示しない平滑コンデンサ52に接続される。
トランス22、プリント基板64(1),64(2)、導体フレーム66(1),66(2)及びリング状磁性コア56を組み立てると、図9に示すように、略矩形の構造体になる。組み立ては、まず、トランス22の側方に面一に突出する引出部34(1),34(3)の各先端部をプリント基板64(1)の接続部65(1),65(3)に差し込んでハンダ付けする。同様に、トランス22の反対側の側方に面一に突出する引出部34(2),34(4)の各先端部をプリント基板64(2)の接続部65(2),65(4)に差し込んでハンダ付けする。次に、導体フレーム66(1)の一対の接続部68bをトランス22のセンタータップ54(1),54(2)の先端部にハンダ付けする。同様に、導体フレーム66(2)の一対の接続部68bを反対側のセンタータップ54(3),54(4)の先端部にハンダ付けする。そして、リング状磁性コア56を一対の棒状部68aに通し、シール材等を用いて固定する。組み立ての手順は生産工程の都合に合わせて自由に変更できるが、どのような順番であっても容易に組み立てることができる。
次に、図9に示す組立状態における一次巻線24の側からみた寄生インダクタンス成分、すなわち、トランス22の引出部34及び整流回路36の構造によって定まる配線インダクタンス成分と、トランス22の一次巻線24と二次巻線28のコイル部32との結合の粗密によって定まる漏れインダクタンス成分とを合成したインダクタンス成分について説明する。
二次巻線28(1)及び整流回路36(1)の構造によって定まる配線インダクタンス成分について考える。一対の引出部34(1)は、根元部分が重なるようにコイル部32(1)から引き出され、ごく近傍に配置されたプリント基板64(1)の接続部65(1)に接続される。また、整流回路36(1)は、平坦なプリント基板64(1)の一対の接続部65(1)の間に高周波電流ライン44(1)が極力短くなるように設けられている。従って、図9の上方から見たとき、引出部34(1)と高周波ライン44(1)とで閉じられた高周波電流ループ46(1)が小さくなって、配線インダクタンス成分が非常に小さく抑えられる。
二次巻線28(1)及び整流回路36(2)の構造によって定まる配線インダクタンス成分と、二次巻線28(2)及び整流回路36(3),36(4)の構造によって定まる配線インダクタンス成分についても、同様に小さく抑えられる。しかも、各高周波電流ループ46(1)〜46(4)がほぼ同じ大きさになるので、各配線インダクタンス成分の大きさもほぼ同じになる。さらに、各高周波電流ループ46(1)〜46(4)による4つの配線インダクタンス成分は、二次巻線28(1),28(2)を介して並列接続されるので、合成すると約1/4まで低減されることになる。
一方、トランス22の一次巻線24と二次巻線28(1)との間の漏れインダクタンス成分、及び、一次巻線24と二次巻線28(2)との間の漏れインダクタンス成分も等価的に並列接続されるので、合成すると約1/2まで低減されることになる。
従って、スイッチング電源装置10は、寄生インダクタンス成分が非常に小さいので、インバータ回路18の主スイッチング素子20a〜20dがターンオン又はターンオフのタイミングでサージ状の高周波電流が流れたとき、寄生インダクタンス成分によって発生する損失が非常に小さく抑えられる。しかも、4つの高周波電流ループ46(1)〜46(4)によって定まる各配線インダクタンス成分が略均一なので、高周波電流が特定の整流回路36に集中したり、二次巻線28(1)と二次巻線28(2)の間を高周波電流が循環したりする問題も生じない。
以上説明したように、スイッチング電源装置10は、二次巻線28及び整流回路36の組み合わせが並列に複数組設けられ、一組当たりに流れるスイッチング電流が小さくなるので、トランスの二次巻線を扱い易い材料(例えば、細い電線や薄い銅板など)で構成することができ、整流回路も放熱が容易な小型のトランジスタ素子を使用することができるので、組み立てが容易である。また、整流回路36又は二次巻線28に接続される平滑インダクタ50が簡単な構造であり、低損失な平滑回路48をシンプルに構成することができる。さらに、図9に示すように、トランス22、整流回路36及び平滑インダクタ50が略矩形のコンパクトな構造体になるので、スイッチング電源装置10の筺体の中の狭いスペースにも容易に収容することができ、装置全体を小型化することができる。
また、スイッチング電源装置10は、トランス22の二次巻線28(1),28(2)に接続される高周波電流ループ46(1)〜46(4)を容易に小さくすることができ、かつ、それらが二次巻線28(1),28(2)を介して並列に形成される構造なので、トランス22の一次巻線24の側からみた寄生インダクタンス成分が小さくなり、高周波電流と寄生インダクタンスによる損失を格段に低減することができる。さらに、高周波電流ループ46(1)〜46(4)が互いに同等の大きさに形成されるので、各ループに流れる高周波電流が均等化され、各ループ間を高周波電流が循環する問題も防止できる。
さらに、同期整流トランジスタ素子である整流素子38,40と駆動回路42とで成る整流回路36をプリント基板64上にコンパクトに実装されているので、的確なタイミング制御が可能な低損失の整流回路36を実現することができる。
次に、第一実施形態のスイッチング電源装置10の変形例について、図10〜図16に基づいて説明する。上記実施形態のトランス22は2つの二次巻線28を備えているが、この変形例に係るトランス70は、図10の回路図に示すように、4つの二次巻線72を備えている。
トランス70は、磁性コア26に回巻された一次巻線24と4つの二次巻線72とを備えている。一次巻線24は、一次巻線24(1),24(2)が直列に連続した巻線である。4つの二次巻線72(1)〜72(4)は互いに巻数が等しく、それぞれ、磁性コア26に巻かれたコイル部74(1)〜74(4)と、その両端を外に引き出す4組の引出部76(1)〜76(4)を有している。
二次巻線72には、二次巻線72に発生する交流電圧を整流し整流電圧を出力する4つの整流回路36が個々に接続されている。整流回路36(1)〜36(4)は、上記のように高周波電流ライン44(1)〜44(4)を有し、それぞれ対応する二次巻線72(1)〜72(4)の引出部76(1)〜76(4)に接続され、図2と同様に高周波電流ループ46(1)〜46(4)を形成する。その他の回路構成は、トランス22を用いた図1の構成と同じである。
次に、トランス70の構造について説明する。トランス70は、図11、図12に示すように、一次巻線24(1),24(2)及び二次巻線74(1)〜74(4)が磁性コア26の中足部58に回巻されており、図12(b)に示すように、内側から、一次巻線24(1)のコイル部、二次巻線72(1),72(2)のコイル部74(1),74(2)、二次巻線72(3),72(4)のコイル部74(3),74(4)、一次巻線24(2)のコイル部、という順番に重ね巻きされている。
二次巻線72(1)は、図13に示すように、薄手の銅板を用いて2ターンのコイル部74(1)が形成されている。コイル部74(1)は、幅寸法が中足部58の長さの半分よりも僅かに短い略長方形の銅板を帯状に巻き付けたものであり、1ターン目と2ターン目の重なる部分に図示しない絶縁シートが挿入され、絶縁が確保されている。コイル部74(1)には、幅方向の一側端部(図13(a)における右側の側端部)であって巻き方向の始端及び終端の位置に、互いの根元部分が重なる一対の引出部76(1)が延設され、途中でL字に屈曲して先端部分が外向き突出している。また、コイル部74(1)には、同じ側の側端部であって1ターン目と2ターン目の中間電位の位置にセンタータップ78(1)が延設され、引出部76(1)と重なっている。一対の引出部76(1)とセンタータップ78(1)とが重なる部分には、それぞれ図示しない絶縁シートが挿入され、絶縁が確保されている。一対の引出部76(1)及びセンタータップ78(1)は、図13(b)で言えば左側、図11(a)で言えばトランス70の上側の位置に設けられている。
二次巻線72(2)は、図14に示すように、薄手の銅板を用いて2ターンのコイル部74(2)が形成されている。コイル部74(2)は、幅寸法が中足部58の長さの半分よりも僅かに短い略長方形の銅板を帯状に巻き付けたものであり、1ターン目と2ターン目の重なる部分に図示しない絶縁シートが挿入され、絶縁が確保されている。コイル部74(2)には、幅方向の一側端部(図14(a)における左側の側端部)であって巻き方向の始端及び終端の位置に、互いの根元部分が重なる一対の引出部76(2)が延設され、途中でL字に屈曲して先端部分が外向き突出している。また、コイル部74(2)には、同じ側の側端部であって1ターン目と2ターン目の中間電位の位置にセンタータップ78(2)が延設され、引出部76(2)と重なっている。一対の引出部76(2)とセンタータップ78(2)とが重なる部分には、それぞれ図示しない絶縁シートが挿入され、絶縁が確保されている。一対の引出部76(2)及びセンタータップ78(2)は、図14(b)で言えば左側、図11(a)で言えばトランス70の上側の位置に設けられている。従って、二次巻線72(1)と72(2)は、左右に鏡面対称な形状になっている。
二次巻線72(3)は、図15に示すように、薄手の銅板を用いて2ターンのコイル部74(3)が形成されている。コイル部74(3)は、幅寸法が中足部58の長さの半分よりも僅かに短い略長方形の銅板を帯状に巻き付けたものであり、1ターン目と2ターン目の重なる部分に図示しない絶縁シートが挿入され、絶縁が確保されている。コイル部74(3)には、幅方向の一側端部(図15(a)における右側の側端部)であって巻き方向の始端及び終端の位置に、互いの根元部分が重なる一対の引出部76(3)が延設され、途中でL字に屈曲して先端部分が外向き突出している。また、コイル部74(3)には、同じ側の側端部であって1ターン目と2ターン目の中間電位の位置にセンタータップ78(3)が延設され、引出部76(3)と重なっている。一対の引出部76(3)とセンタータップ78(3)とが重なる部分には、それぞれ図示しない絶縁シートが挿入され、絶縁が確保されている。一対の引出部76(3)及びセンタータップ78(3)は、図15(b)で言えば右側、図11(a)で言えばトランス70の下側の位置に設けられている。
二次巻線72(4)は、図16に示すように、薄手の銅板を用いて2ターンのコイル部74(4)が形成されている。コイル部74(4)は、幅寸法が中足部58の長さの半分よりも僅かに短い略長方形の銅板を帯状に巻き付けたものであり、1ターン目と2ターン目の重なる部分に図示しない絶縁シートが挿入され、絶縁が確保されている。コイル部74(4)には、幅方向の一側端部(図16(a)における左側の側端部)であって巻き方向の始端及び終端の位置に、互いの根元部分が重なる一対の引出部76(4)が延設され、途中でL字に屈曲して先端部分が外向き突出している。また、コイル部74(4)には、同じ側の側端部であって1ターン目と2ターン目の中間電位の位置にセンタータップ78(4)が延設され、引出部76(4)と重なっている。一対の引出部76(4)とセンタータップ78(4)とが重なる部分には、それぞれ図示しない絶縁シートが挿入され、絶縁が確保されている。一対の引出部76(4)及びセンタータップ78(4)は、図16(b)で言えば右側、図11(a)で言えばトランス70の下側の位置に設けられている。従って、二次巻線72(3)と72(4)は、互いに鏡面対称な形状になっている。
一次巻線24(1),24(2)は、連続する被覆電線に直列に形成され、それぞれ中足部58の長さより僅かに短く縦巻きしたソレノイドコイルであり、図8に示すように、一次巻線24(1)の外側に所定の隙間を空けて一次巻線24(2)が同心状に巻かれ、ソレノイドの両端が一側端部から引き出されている。
トランス72は、これらの各巻線を空芯状に組み合わせ、例えば周囲に絶縁テープを巻く等して形状を保持し、磁性コア26の中足部58に嵌めこむことによって組み立てられる。トランス72、整流回路36(1)〜36(4)及び平滑インダクタ50を組み立てた構造は、図3、図9を用いて説明したものと同様である。
この変形例に係るトランス72を用いたスイッチング電源装置10は、上記のトランス22を用いた場合と同様の作用効果を得ることができ、さらに、二次巻線72(1)と72(2)の電流バランス、整流回路36(1)と36(2)の電流バランス、二次巻線72(3)と72(4)の電流バランス、及び整流回路36(3)と36(4)の電流バランスを一層向上させることができる。
次に、この発明のスイッチング電源装置の第二実施形態について、図17〜図20に基づいて説明する。ここで、上記実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。第二実施形態のスイッチング電源装置80は、いわゆるフルブリッジ方式の電力変換回路を備えている点で上記のスイッチング電源装置10と同様であるが、図17に示すように、トランス、整流回路及び平滑回路の構成が異なる。
スイッチング電源装置80のトランス82は、磁性コア26に回巻された一次巻線24と4つの二次巻線82とを備えている。一次巻線24は、一次巻線24(1),24(2)を直列にした巻線である。4つの二次巻線84(1)〜84(4)は互いに巻数が等しく、それぞれ、磁性コア26に巻かれたコイル部86(1)〜86(4)と、その両端を外に引き出す4組の引出部88(1)〜88(4)を有している。
二次巻線84には、二次巻線84に発生する交流電圧を整流し整流電圧を出力する4つの整流回路90が個々に接続されている。二次巻線84(1)の一対の引出部34(1)に接続された整流回路90(1)は、MOS型FETである4つの整流素子92(1)〜98(1)と、その駆動回路100(1)を備えている。整流素子92(1)は、ソース端子が引出部88(1)の一方に接続され、ドレイン端子が整流素子96(1)のドレイン端子に接続されている。整流素子94(1)は、ドレイン端子が整流素子92(1)のソース端子に接続され、ソース端子が整流素子98(1)のソース端子に接続されている。整流素子96(1)は、ソース端子が引出部88(1)の他方に接続されて、整流素子98(1)は、ドレイン端子が整流素子96(1)のソース端子に接続されている。さらに、整流素子92(1)〜98(1)の内部には、図示しない寄生コンデンサがドレイン・ソース端子間に存在する。駆動回路100(1)は、図示しない主スイッチング素子20a〜20dのオン・オフのタイミングに基づく同期制御により所定の駆動パルスを発生し、整流素子92(1)〜98(1)のゲート端子に向けて出力することによって、整流素子92(1)と98(1)、及び整流素子94(1)と96(1)をそれぞれ同位相で、かつ、整流素子92(1)と94(1)、及び整流素子96(1)と98(1)をそれぞれ相補的にオン・オフさせる。いわゆる全波整流方式の整流回路である。
二次巻線84(1)と整流回路90(1)には、図17の回路図に現れない配線インダクタンス成分が存在する。このインダクタンス成分は、一対の引出部88(1)の構造と、引出部88(1)の一方から整流素子92(1)のソース端子及び整流素子94(1)のドレイン端子までの配線、整流素子92(1),94(1)及びその寄生コンデンサ、整流素子96(1),98(1)及びその寄生コンデンサ、整流素子96(1)のソース端子及び整流素子98(1)のドレイン端子から引出部34(1)の他方までの配線から成る高周波電流ライン44(1)の構造とで定まる。すなわち、図2で説明したのと同様に、引出部88(1)と高周波ライン44(1)とで閉じられた高周波電流ループ46(1)が大きい程、配線インダクタンス成分が大きくなる。
二次巻線84(2)〜84(4)の引出部88(2)〜88(4)にも同様の整流回路90(2)〜36(4)が個々に接続され、それぞれ高周波電流ライン44(2)〜44(4)と高周波電流ループ46(2)〜46(4)を有している。駆動回路100(2)〜42(4)についても、駆動回路100(1)と同様のものである。なお、駆動回路100(1)〜100(4)の場合も、上記の駆動回路42(1)〜42(4)と同様に、一部の機能又は全ての機能を一つの駆動回路100に集約してもよい。
整流回路90(1)〜90(4)の後段には、各整流回路90(1)〜90(4)が出力する整流電圧を一括して平滑する平滑回路102であって、平滑インダクタ104と平滑コンデンサ106とで成るローパスフィルタが接続されている。ここでは、平滑インダクタ104は、所定の磁性コアに数ターンの電線が回巻されたインダクタ素子である。整流回路90(1)は、整流素子92(1),96(1)のドレイン端子同士の接続点と、整流素子94(1),98(1)のソース端子同士の接続点との間に整流電圧を出力するので、前者の接続点が平滑インダクタ104の入力端に、後者の接続点が平滑コンデンサ106のグランド側(出力端子14b側)に接続されている。他の整流回路90(2)〜90(4)の出力も同様に、各接続点が平滑インダクタ104の入力端及び平滑コンデンサ106のグランド側(出力端子14b側)に接続されている。
次に、トランス82、整流回路90(1)〜90(4)及び平滑インダクタ104の構造について説明する。この部分は、略矩形のトランス82を中心に、その側方に整流回路90(1)〜90(4)及び平滑インダクタ104が配置され、一体に組み立てられる。外観上は、図9に示すスイッチング電源装置10の場合と類似している。
トランス82は、図18、図19に示すように、一次巻線24(1),24(2)及び二次巻線84(1)〜84(4)が磁性コア26の中足部58に回巻されており、図19(b)に示すように、内側から、一次巻線24(1)のコイル部、二次巻線84(1),84(2)のコイル部86(1),86(2)、二次巻線84(3),84(4)のコイル部86(3),86(4)、一次巻線24(2)のコイル部、という順番に重ね巻きされている。
一次巻線24(1),24(2)は、連続する被覆電線に直列に形成され、それぞれ中足部58の長さより僅かに短く縦巻きしたソレノイドコイルであり、図8に示すように、一次巻線24(1)の外側に所定の隙間を空けて一次巻線24(2)が同心状に巻かれ、ソレノイドの両端が一側端部から引き出されている。
二次巻線84(1)は、図20(a)に示すように、単線又はリッツ線を被覆した被覆電線を中足部58の長さの半分より僅かに短く縦巻きしたソレノイドコイルであり、根元部分が交差するように近接した一対の引出部88(1)が外向き(図20における右向き)に突出している。引出部88(1)は、図20(a)で言えば上側、図18(a)で言えばトランス22の上側の位置に設けられている。ここでは、一次巻線24よりも太い被覆電線が使用されており、引出部84(1)が図20(a)のようにフォーミングされ、その形状が保持されている。
二次巻線84(2)は、図20(b)に示すように、二次巻線84(1)と同様の被覆電線を中足部58の長さの半分より僅かに短く縦巻きしたソレノイドコイルであり、根元部分が交差するように近接した一対の引出部88(2)が、外向き(図20における左向き)に突出している。引出部88(2)は、図20(b)で言えば上側、図18(a)で言えばトランス22の上側の位置に設けられている。引出部84(2)も、図20(b)のようにフォーミングされ、その形状が保持されている。
二次巻線84(3)は、図20(c)に示すように、二次巻線84(1)と同様の被覆電線を中足部58の長さの半分より僅かに短く縦巻きしたソレノイドコイルであり、根元部分が交差するように近接した一対の引出部88(3)が、外向き(図20における右向き)に突出している。引出部88(3)は、図20(c)で言えば下側、図18(a)で言えばトランス22の下側の位置に設けられている。引出部84(3)も、図20(c)のようにフォーミングされ、その形状が保持されている。
二次巻線84(4)は、図20(d)に示すように、二次巻線84(1)と同様の被覆電線を中足部58の長さの半分より僅かに短く縦巻きしたソレノイドコイルであり、根元部分が交差するように近接した一対の引出部88(4)が、外向き(図20における左向き)に突出している。引出部88(4)は、図20(d)で言えば下側、図18(a)で言えばトランス22の下側の位置に設けられている。引出部84(4)も、図20(d)のようにフォーミングされ、その形状が保持されている。
トランス82は、これらの各巻線を空芯状に組み合わせ、例えば周囲に絶縁テープを巻く等して形状を保持し、磁性コア26の中足部58に嵌めこむことによって組み立てられる。
整流回路90(1)〜90(4)は、図3と同様に、トランス82を間に挟むように磁性コア26の平板部60に近接して対向する一対のプリント基板64(1),64(2)に振り分けて実装される。プリント基板62(1)には、トランス82の引出部88(1)の先端部が接続されるスルーホール等である一対の接続部65(1)と、引出部88(3)の先端部が接続されるスルーホール等である一対の接続部65(3)とが設けられている。そして、接続部65(1)の近傍に、4つのMOS型FETである整流素子92(1)〜98(1)が実装され、一対の接続部65(1)の間の高周波電流ライン44(1)が極力短くなるように配線パターンが設けられている。同様に、接続部65(3)の近傍に、4つのMOS型FETである整流素子92(3)〜98(3)が実装され、一対の接続部65(3)の間の高周波電流ライン44(3)が極力短くなるように配線パターンが設けられている。
他方のプリント基板64(2)には、トランス82の引出部88(2)の先端部が接続されるスルーホール等である一対の接続部65(2)と、引出部88(4)の先端部が接続されるスルーホール等である一対の接続部65(4)とが設けられている。そして、接続部65(2)の近傍に、4つのMOS型FETである整流素子92(2)〜98(2)が実装され、一対の接続部65(2)の間の高周波電流ライン44(2)が極力短くなるように配線パターンが設けられている。同様に、接続部65(4)の近傍に、4つのMOS型FETである整流素子92(4)〜98(4)が実装され、一対の接続部65(4)の間の高周波電流ライン44(4)が極力短くなるように配線パターンが設けられている。
スイッチング電源装置80は、二次巻線84の中間電位が引き出さないので、図3に示す導体フレーム66は必要ない。スイッチング電源装置80の場合は、一対のプリント基板64(1),64(2)の間の位置に、インダクタ素子である平滑インダクタ104を固定し、インダクタ素子から引き出した一端が各整流回路90の出力に接続され、他端が平滑コンデンサ106に接続される。
このように、トランス82、プリント基板64(1),64(2)、及び平滑インダクタ104を組み立てると、外観的に図9と同様に、略矩形でコンパクトな構造体になる。組み立て方法は、平滑インダクタ104の両端をプリント基板64(1),64(2)にハンダ付けする点を除いて上記のスイッチング電源装置10と同様であり、非常に組み立て易い。また、スイッチング電源装置10と同様に、各高周波電流ループ46(1)〜46(4)の構造により定まる配線インダクタンス成分がバランス良く小さくなり、一次巻線24の側からみた寄生インダクタンス成分を小さくすることができる。
また、この実施形態のスイッチング電源装置80は、図21(a)に示すように、トランス82の引出線88(1)〜88(4)のフォーミング形状を変更することによって、トランス82を立てて配置してもよい。トランス82を立てて配置すると、図9に示す構造体の高さが高くなるものの、一対のプリント基板64(1),64(2)の間隔を狭くすることができる。トランス82を立てた場合でも、図19(a)のように横向きにした場合と同様の作用効果が得られる。従って、スイッチング電源装置80の筺体の中のスペースに合わせ、図19(a)と図21(a)のうちから都合のよい配置を選択することができる。
なお、この発明のスイッチング電源装置は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、電力変換の方式は、絶縁用のトランスを使用するものであればよく、上記のフルブリッジ方式や、共振コイルを使用してフェーズシフト動作を行うフルブリッジ方式のほか、例えば、ハーフブリッジ方式、プッシュプル方式、シングルエンディッド・フォワード方式、カスケード・フォワード方式、フライバック方式のスイッチング電源装置に適用することができる。また、部分共振用のアクティブクランプ回路を付加したものでもよい。
また、整流回路の構成についても特に限定されず、センタータップ整流方式、全波整流方式の他、図22に示す第三実施形態のスイッチング電源装置108のように、整流回路110(1)〜110(4)及び平滑回路112を備えたカレントダブラ整流方式の構成に適用することも可能である。また、整流素子としてダイオード素子を用いた場合も同様の作用効果が得られ、さらにリカバリ動作によって発生する高周波電流の影響も小さく抑えることができる。
ただし、整流回路の構成が異なると高周波電流ラインが異なってくるので、注意が必要である。例えば、整流素子に加わるサージ電圧を低減するためにスナバ回路(例えば、コンデンサと抵抗の直列回路)を付加すると、スナバ回路も高周波電流ラインの一部となる。従って、例えば、二次巻線の一対の引出部の間にスナバ回路を付加する場合は、上記実施形態における整流素子の配置と同様の考え方でスナバ回路を配置することに留意すべきである。また、図23に示す第四実施形態のスイッチング電源装置114のように、フライバック方式用の整流回路116及び平滑回路118を備えている場合、π型フィルタである平滑回路118の一段目の平滑コンデンサ120(1)〜120(4)が、それぞれ整流回路116(1)〜116(2)の高周波電流ラインの一部としての役割を果たす。従って、この場合、平滑コンデンサ120(1)〜120(4)の配置にも格別の配慮が必要になる。
また、二次巻線と整流回路とを組み合わせたものの数は二以上あればよく、それらを振り分けて実装するプリント基板の数も特に限定されない。