JP5607997B2 - ノイズキャンセルヘッドホンのための安定動作検査装置 - Google Patents

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本発明は、ノイズキャンセルヘッドホンのための安定動作検査装置に関する技術である。
ダイナミックヘッドホンを含むノイズキャンセルヘッドホンにおいては、ノイズ(外来音)をマイクロホンで検出し、この検出ノイズを相殺する周波数の逆位相信号音を発するようにしたシステムが採用されており、この場合におけるノイズ検出用のマイクロホンとしては一般に無指向性エレクレットコンデンサマイクロホンが用いられている。
また、ノイズキャンセルヘッドホンに組み込まれるマイクロホンユニットは、振動系が弾性制御であることから共振周波数は可聴帯域の上限に設定され、低域側は振動板の前後をわずかに漏洩させることによって振動板が外気圧で変動しない圧力等価となるように設計する必要がある。
このような要請に応えるものとしては、特許文献1に開示されているヘッドホンユニットが本出願人により既に提案されている。
特開2009−218686号公報
特許文献1の開示技術は、ヘッドホンユニットにおける振動板の近傍位置に圧力差を解消する弁部を設け、該弁部を介して振動板の前後を外気圧で変動しない圧力等価となるようにしたヘッドホンユニットに関するものである。
しかし、特許文献1に開示されているヘッドホンユニットのように弁部を設けても、振動板の前後の漏洩具合に仮にバラツキがある場合には、極く低域(10Kz以下)の周波数応答にもバラツキが発生する。特に、低域の周波数応答が延びている場合には、気圧の変動で振動板が変位するという不都合があった。
また、ドアの開閉時や地下鉄ホーム内での電車の移動時などには、感知できない圧力変動が発生して例えば目的音のレベルを大きく変動させたり、それが帰還型のタイプであれば発振してしまうなど、ノイズキャンセルヘッドホンの動作を不安定にする不具合もあった。
本発明は、従来技術の上記課題に鑑み、左右一対のヘッドホンユニットが圧力変動が発生するなかでも安定的に動作することを検査することができるノイズキャンセルヘッドホンのための安定動作検査装置を提供することに目的がある。
本発明は、上記目的を達成すべくなされたものであり、検査対象であるノイズキャンセルヘッドホンが備えるヘッドホンユニットを左右対称に装着支持させるためのヘッドホン支持体をその内部空間に配置した密閉容器と、前記内部空間に圧力変動を起こすべく前記密閉容器の一部に設けられた音通孔にその放音部を向けて該密閉容器に外付けされスピーカと、前記ヘッドホン支持体に装着支持させた際の前記ヘッドホンユニットのそれぞれの放音面の軸方向と直交する方向を収音軸方向として前記放音面と対向する位置関係のもとで前記ヘッドホン支持体に取り付けた一対の単一指向性コンデンサマイクロホンとを備え、前記ヘッドホン支持体に装着支持させた前記ヘッドホンユニットのそれぞれに同一の目的ソースの信号が入力された際に各別に発する出力音は、前記スピーカが低周波数の圧力変動を起こすなかで、前記単一指向性コンデンサマイクロホンの別に収音させてその収音レベルを確認することで、左右一対の前記ヘッドホンユニット相互間のバランス状態を検査できるようにしたことを最も主要な特徴とする。
この場合、前記単一指向性コンデンサマイクロホンの別に収音して得られる収音レベルは、前記単一指向性コンデンサマイクロホンに別途用意されるレベルメータ側を結線させてその振幅状態を目視により確認できるようにしたり、一方の前記単一指向性コンデンサマイクロホンには別途用意されるヘッドホンが備える一方のヘッドホンユニットを、他方の前記単一指向性コンデンサマイクロホンには他方のヘッドホンユニットにそれぞれ結線させて聴覚により確認できるようにしたりすることができる。
本発明によれば、検査対象であるノイズキャンセルヘッドホンが備える各ヘッドホンユニットのそれぞれに同一の目的ソースの信号を入力した際に発する出力音を、人為的に生成される圧力変動のもとで単一指向性コンデンサマイクロホンにより各別に収音させ、その際におけるそれぞれの収音レベルを各別に確認するだけで、左右のヘッドホンユニット相互間のバランス状態を簡単に検査することができる。
本発明の構成例を示す概要説明図。
本発明装置は、図1に示されているように、検査対象であるノイズキャンセルヘッドホン51が備えるヘッドホンユニット52,53を左右対称に装着支持させるためのヘッドホン支持体21をその内部空間14に配置した密閉容器11と、内部空間14に圧力変動を起こすべく密閉容器11の一部に設けられた音通孔13にその放音部32を向けて該密閉容器11に外付けされたスピーカ31と、ヘッドホン支持体21に装着支持させた際のヘッドホンユニット52,53のそれぞれの放音面52a,53aの軸方向と直交する方向を収音軸方向(図中の矢印方向)として各放音面52a,53aと対向する位置関係のもとでヘッドホン支持体21に取り付けた一対の単一指向性コンデンサマイクロホン41,41とを備えてその全体が構成されている。
これらのうち、適宜容量の内部空間15を備える密閉容器11は、例えば六面体のひとつである直方体形状を呈して形成されており、取り付けられるスピーカ21のコーン等の放音部22の最大径との関係で定まる適宜の開口径の音通孔13が、その一部である例えば上板部12に形成されている。
また、密閉容器11の下板部14上に位置固定されるヘッドホン支持体21は、検査対象であるノイズキャンセルヘッドホン51が備える各ヘッドホンユニット52,53を左右対称に装着支持できる略直方体形状を呈して形成されており、その左側面32側に左側のヘッドホンユニット52が、右側面33側に右側のヘッドホンユニット53をそれぞれ配置できるようになっている。なお、ヘッドホン支持体21自体の形状については、例えば人頭に模した形状を付与して形成するなど、ノイズキャンセルヘッドホン51が備える各ヘッドホンユニット52,53を左右対称に装着支持できる適宜の形状を備えているものであればよい。
さらに、一対の単一指向性コンデンサマイクロホン41,41のうち、一方の単一指向性コンデンサマイクロホン41は、ヘッドホン支持体21に装着支持させた際の左側のヘッドホンユニット52の放音面52aの軸方向と直交する方向を収音軸方向(図中の矢印方向)として該放音面52aと対向する位置関係のもとでヘッドホン支持体21に取り付けられている。
また、他方の単一指向性コンデンサマイクロホン41は、ヘッドホン支持体21に装着支持させた際の右側のヘッドホンユニット53の放音面53aの軸方向と直交する方向を収音軸方向(図中の矢印方向)として該放音面53aと対向する位置関係のもとでヘッドホン支持体21に取り付けられている。
この場合、一対の単一指向性コンデンサマイクロホン41,41のそれぞれは、ヘッドホンユニット52,53からの放音を収音し、図示は省略してあるが例えば1KHzのバンドパスフィルターを介してレベルメータでその振幅状態を検査者が目視確認できるように配線したり、一方の単一指向性コンデンサマイクロホン41に別途用意されるヘッドホンが備える一方のヘッドホンユニットを、他方の単一指向性コンデンサマイクロホン41に他方のヘッドホンユニットにそれぞれ結線させてその収音レベルを聴覚により確認できるように配線したりすることができる。
一方、スピーカー31は、その作動時に密閉容器11の内部空間15内に必要な圧力変動を起こすことができる適宜構成のものが用いられ、密閉容器11が備える音通孔13をコーン等の放音部32で外側から覆うようにして取り付けられている。
次に、上記構成からなる本発明の作用効果を図1に基づいて説明すれば、密閉容器11内に配置されるヘッドホン支持体21に取り付けられている一方の単一指向性コンデンサマイクロホン41に対しては、今回の検査対象であるノイズキャンセルヘッドホン51における左側のマイクロホンユニット52が、他方の単一指向性コンデンサマイクロホン41に対しては、右側のマイクロホンユニット53がそれぞれ装着支持される。
すなわち、左右のマイクロホンユニット52,53のうち、左側のヘッドホンユニット52は、その放音面52aの軸方向を一方の単一指向性コンデンサマイクロホン41の収音軸方向(図中の矢印方向)と直交させ、右側のヘッドホンユニット53は、その放音面53aの軸方向を他方の単一指向性コンデンサマイクロホン41の収音軸方向(図中の矢印方向)と直交させた配置関係のもとで、それぞれの放音面52a,53aを対応関係にある単一指向性コンデンサマイクロホン41に各別に対向させた状態のもとで、ヘッドホン支持体21側に装着支持される。
また、このようにして装着支持された各ヘッドホンユニット52,53は、外部から同一の目的ソースの信号が各別に入力されるように結線されており、該入力信号に受けて出力音を各別に発することができるようになっている。この場合における入力信号は、図示しないオシレータが発する例えば1KHzの正弦波信号などのほか、図示しないCDプレーヤから送られる楽音信号であってもよい。
このようにして今回の検査対象であるノイズキャンセルヘッドホン51をヘッドホン支持体21を介して密閉容器11内に配置した後は、その内部空間15に低周波数の圧力変動を人為的に起こすために、スピーカー31の放音部32を鳴動させる。
この場合、単一指向性コンデンサマイクロホン41は、その収音軸方向に対し90度方向からの応答が無指向性成分であることから、音波の到来方向に対して収音軸方向を直角にすると近接効果の影響を受けない。
つまり、単一指向性コンデンサマイクロホン41は、圧力変動に対して比較的高い周波数で圧力等価することから、スピーカー31が極く低い周波数のもとで起こす圧力変動には応答しない特性を有している。
このため、一対の単一指向性コンデンサマイクロホン41,41のそれぞれが図示しない例えば1KHzのバンドパスフィルターを介してレベルメータ側と結線されている場合には、ヘッドホンユニット52,53からの放音を収音して得られる収音レベルをレベルメータに表示される振幅状態として検査者が目視により確認することで、その安定性を簡単に検査することができる。
また、一対の単一指向性コンデンサマイクロホン41,41のうち、一方の単一指向性コンデンサマイクロホン41に別途用意される図示しないヘッドホンが備える一方のヘッドホンユニットが、他方の単一指向性コンデンサマイクロホン41に他方のヘッドホンユニットにそれぞれ結線されている場合には、ヘッドホンユニット52,53からの放音を収音して得られる収音レベルを検査者が聴覚により確認することで、その安定性を簡単に検査することができる。
したがって、本発明によれば、検査対象であるノイズキャンセルヘッドホン51が備える各ヘッドホンユニット52,53のそれぞれに同一の目的ソースの信号を入力した際に発する出力音を、人為的に生成される低周波数の圧力変動のもとで単一指向性コンデンサマイクロホン41により各別に収音させ、その際におけるそれぞれの収音レベルを各別に確認するだけで、左右のヘッドホンユニット52,53相互間のバランス状態を簡単に検査することができる。
11 密閉容器
12 上板部
13 音通孔
14 下板部
15 内部空間
21 ヘッドホン支持体
22 左側面
23 右側面
31 スピーカ
32 放音部
41 単一指向性コンデンサマイクロホン
51 ノイズキャンセルヘッドホン
52,53 ヘッドホンユニット
52a,53a 放音面

Claims (3)

  1. 検査対象であるノイズキャンセルヘッドホンが備えるヘッドホンユニットを左右対称に装着支持させるためのヘッドホン支持体をその内部空間に配置した密閉容器と、前記内部空間に圧力変動を起こすべく前記密閉容器の一部に設けられた音通孔にその放音部を向けて該密閉容器に外付けされたスピーカと、前記ヘッドホン支持体に装着支持させた際の前記ヘッドホンユニットのそれぞれの放音面の軸方向と直交する方向を収音軸方向として前記放音面と対向する位置関係のもとで前記ヘッドホン支持体に取り付けた一対の単一指向性コンデンサマイクロホンとを備え、
    前記ヘッドホン支持体に装着支持させた前記ヘッドホンユニットのそれぞれに同一の目的ソースの信号が入力された際に各別に発する出力音は、前記スピーカが低周波数の圧力変動を起こすなかで、前記単一指向性コンデンサマイクロホンの別に収音させてその収音レベルを確認することで、左右一対の前記ヘッドホンユニット相互間のバランス状態を検査できるようにしたことを特徴とするノイズキャンセルヘッドホンのための安定動作検査装置。
  2. 前記単一指向性コンデンサマイクロホンの別に収音して得られる収音レベルは、前記単一指向性コンデンサマイクロホンに別途用意されるレベルメータ側を結線させてその振幅状態を目視により確認できるようにした請求項1に記載のノイズキャンセルヘッドホンのための安定動作検査装置。
  3. 前記単一指向性コンデンサマイクロホンの別に収音して得られる収音レベルは、一方の前記単一指向性コンデンサマイクロホンには別途用意されるヘッドホンが備える一方のヘッドホンユニットを、他方の前記単一指向性コンデンサマイクロホンには他方のヘッドホンユニットにそれぞれ結線させて聴覚により確認できるようにした請求項1に記載のノイズキャンセルヘッドホンのための安定動作検査装置。
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