JP5605652B2 - ラベル付きカップ容器 - Google Patents

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本発明は、インサート射出成形により合成樹脂製のカップ容器をインモールドラベルで外装したラベル付きカップ容器に関するものである。
インサート射出成形により合成樹脂製のカップ容器をインモールドラベルで外装したラベル付きカップ容器(以下、単に容器と記載する場合がある。)は、簡易な使い捨て容器として、コーヒー、ジュース、ヨーグルト等の飲食物用を初め、多くの用途で使用されている。
インモールドラベル(以下、単にラベルと記載する場合がある。)は、このインモールドラベルをインサート材として金型内にセットして実施するインサート射出成形により、カップ容器の成形と同時にカップ容器の側周壁に巻回状に貼着される。(たとえば特許文献1参照)
上記、インサート成形によればラベルをカップ容器の周壁に埋め込むようにして、ラベルの表面と容器の表面との段差を極めて小さくすることができると共に、皺の発生を抑制することが可能であり、容器の表面を高品位に加飾することができる。
また、射出成形時に高温、高圧状態で充填される溶融樹脂を利用して、ラベルと容器との接着強度を高くすることができる。
図8は、この種のラベル付きカップ容器の一例を示すもので、半縦断した正面図であり、カップ容器101の全体としての形状は有底筒状で、筒状の側周壁102の上部開口端に外鍔状にフランジ104が周設されている。
また、側周壁102の下端縁から上端縁に至る全高さ範囲に亘ってラベル111により外装している。さらに、フランジ104近傍を詳細に見ると、ラベル111はその上端縁部で、側周壁102とフランジ104の境界部分である角部103で水平方向に屈曲し、フランジ104の一部にまで延設されている。
ここで、容器の落下による衝撃時、運搬途中、内容物充填ラインの容器供給装置への容器の供給動作時、あるいはスタックしたカップ容器の収納取出し装置における個々のカップ容器の引き抜き操作では、上記角部103に衝撃荷重等による応力が集中し、この角部103から亀裂が発生し易くなるが、上記のようにラベル111の上端縁部をフランジ104の一部にまで延設することにより、ラベル111の補強効果が発揮され角部103からの亀裂の発生を効果的に抑制することが可能となる。
特開2009−227316号公報
しかし、上記したようにラベル111の上端縁部をフランジ104の一部にまで延設すると、今度はフランジ104に肉厚変化部分が形成されるため、応力が当該部分に集中しフランジ104に亀裂が生じる恐れがある。
特に、内容物充填ラインの容器の供給装置への容器の供給動作時には、装置の支持爪片から、図8中、黒矢印で示した方向に力が、しかも衝撃的な力が作用するので、ラベル111の端面とフランジ104の境界を起点として亀裂がフランジ104本体に進行し、フランジ104が破損する恐れがある。
そこで本発明は、ラベルの上端縁部をフランジの一部にまで延設するように外装したラベル付きカップ容器における、ラベルの端面とフランジの境界を起点としたフランジの破損を効果的に抑制することを技術的課題とするものである。
上記課題を解決するための本発明の主たる構成は、インサート射出成形により合成樹脂製のカップ容器をインモールドラベルで外装したラベル付きカップ容器において、
カップ容器は筒状の側周壁の上端に周設される外鍔状のフランジを有し、
インモールドラベルは、胴部の側周壁から、この側周壁とフランジの境界部分である角部を経てフランジの、基端部と外周縁の間の所定位置に至る領域を外装するものとし、
カップ容器をポリプロピレン(PP)樹脂製とし、インモールドラベルの積層構成を、保護層/紙製の層/接着層、として、保護層及び接着層をそれぞれ延伸ポリプロピレンフィルム製とする、と云うものである。
容器の落下や、内容物充填時の容器の供給装置におけるカップ容器の供給動作時にフランジの基端部を基端として、フランジの先端部を上方に押上げるような片持ち状の力が作用した際、前述したようにラベルの端面とフランジの境界部分に亀裂が発生し、さらにその亀裂がフランジ本体に進行してフランジが破損する恐れがあるが、
上記構成によれば、フランジの先端に片持ち状の力作用した際、ラベルの端面とフランジの境界部分に亀裂が発生すると共に、ラベルの紙製の層の層内で層間剥離が進行するため、この層間剥離により衝撃力を分散、緩和できると共に、亀裂のフランジへの進行を効果的に抑制することができ、容器の損傷を紙製の層
の層内での部分的な層間剥離の程度、すなわち以降の使用に差し支えのない、あるいは外観状目立たない程度の損傷に留めることができる。
ここで、パルプ紙、ウス葉紙や雲竜紙等の和紙、あるいはレーヨン、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリロニトリル等の化学繊維を積層した化学繊維紙はいずれの場合も天然素材由来の繊維を積層したものであり、層内での層間剥離は比較的容易に進行する。
上記構成はラベル付きカップ容器の代表的な構成であり、ラベルの接着層をヒートシール性のある延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)製とすることにより、インサート成形と相俟って、ラベルをPP樹脂製のカップ容器に強固に接着固定させることができ、紙製の層内での層間剥離を確実に、またスムーズに進行させることができる。
また、保護層は紙製の層が直接、水等に濡れることを防ぐためものであり、この保護層を透明で薄肉にすることにより、繊維を積層したような紙独特の質感、風合い、外観を現出させることができる。
本発明のラベル付き容器は上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。すなわち、本発明の主たる構成を有するものにあっては、
フランジの先端部を上方に押上げるような片持ち状の力が作用した際、ラベルの端面とフランジの境界部分に亀裂が発生し、さらにその亀裂がフランジ本体に進行してフランジが破損する恐れがあるが、ラベルの紙製の層の層内で層間剥離が進行するため、この層間剥離により衝撃力を分散、緩和できると共に、亀裂のフランジへの進行を効果的に抑制することができ、容器の損傷を紙製の層の層内での部分的な層間剥離の程度、すなわち以降の使用に差し支えのない、あるいは外観状目立たない程度の損傷に留めることができる。
本発明のラベル付きカップ容器の一実施例を示す半縦断正面図である。 図1中のフランジ近傍を要部拡大して示す縦断面図である。 図1の容器に使用されるラベルの層構成を示す断面図である。 フランジ近傍の変形態様を縦断面で示す概略説明図である。 インサート射出成形の概略説明図である。 カップ容器の供給装置の概略説明図である。 図6の装置で、スタックしたカップ容器の供給操作時の状態を示す概略説明図である。 ラベル付きカップ容器の一例を示す半縦断正面図である。
以下、本発明の実施形態を、実施例に沿って図面を参照しながら説明する。
図1〜図3は、本発明のラベル付きカップ容器の一実施例を示すものであり、図1は半縦断正面図、図2はフランジ4の近傍を要部拡大して示す縦断面図、図3はラベル11の層構成を示す断面図である。
図5はラベル11をインサート材とした、インサート射出成形方法の概略説明図である。この図5に示されるように、金型はキャビティ金型31、コア金型32、そして底金型33から構成され、円筒状に巻回したラベル11をインサート材としてキャビティ金型31の金型面に吸着状にセットし、ゲート34から溶融樹脂を射出し、金型キャビティを充填することにより、カップ容器1を成形すると同時にラベル11を貼着することができる。
なお図5中、ラベル11をキャビティ金型31の金型面に吸着状にセットするためのスリット等の図示は省略している。
本実施例のラベル付きカップ容器のカップ容器1はPP樹脂製で、下方に向かって緩やかに縮径する円筒状の側周壁2を有し、この側周壁2の上端にはフランジ4が外鍔状に周設されている。また、側周壁2の内周面にはカップ容器を積み重ねた際のスタッキングを防止するための突片7が突設されている。また、側周壁2の下端は底部5の底面より下方に僅かに突出させて、接地部を構成させると共に、手による掴持性を付与した形状としている。
また、本実施例では、ラベル11の層構成は図3に示されるように、保護層12/紙製の層13/接着層14、と云う3層構造で、保護層12および接着層14はいずれも厚さが20ミクロンのOPPフィルム製で、紙製の層13の厚さは40ミクロンの、レーヨン繊維を積層したレーヨン紙である。
そして、ラベル11は側周壁2の下端から、この側周壁2とフランジ4の境界部分である角部3を越えて、水平方向に屈曲し、フランジ4の基端部と外周縁の間の所定位置、本実施例では基端部に近い位置に至る領域を、略全周に亘って外装している。
また、保護層12を透明で薄肉とすることにより、紙製の層13が透けて見えると共に、紙製の層13の表面の凹凸性状が、保護層12の表面にも現れ、全体として繊維を積層した紙独特の質感、風合い、そして外観を現出させるような装飾効果が発揮されている。
次に、図6は内容物充填時のカップ容器の供給装置の概略説明図である。
この供給装置41は、上下の位置に、それぞれ4ケの支持爪片42(42a、42b)が等中心角度に配設されており(図中ではこのうちの2ケを図示している。)これら上下の支持爪片42a、42bの前進あるいは後退動作により、スタックされた多数のカップ容器1中、最下位のカップ容器1から順次、1ケずつ充填ラインに供給する機能を有するものである。
図6(a)は、上下の支持爪片42a、42bが前進して、最下位とその上にスタックしているカップ容器のフランジ4に係止した状態であり、ここで下方から最下端のカップ容器1を引き抜くための吸引治具43が近づいてきている。
次に、図6(b)は、下の支持爪片42bを後退させて、最下位のカップ容器1を吸引治具43で下方に引き抜く過程を示している。
また、図6(c)は、下の支持爪片42bを前進させ、上の支持爪片42aを後退させて、今度は図6(a)中、下から2番目に位置したカップ容器1のフランジ4に下の支持爪片42bに係止した状態を示している。
そして、このように図6(a)、(b)、(c)に示される工程を繰り返すことにより、スタックした多数のカップ容器1から、順次、1ケずつ充填ラインに供給することができる。
ここで、上記供給装置41では、カップ容器1のスタック数あるいはスタック高さが、予め定めた値になると、図7に示されるようにカップ容器1を数十ケ程度スタックしたスタック体を落下状に供給する。
図7は、上下の支持爪片42a、42bをいずれも前進させて、最下位と2番目のカップ容器1のフランジ4に係止させた状態で、スタック体を供給する例であるが、この例では、2番目のカップ容器1のフランジ4にフランジ4の先端部を上方に押上げるような片持ち状の力、しかも衝撃的な力が作用する。
図4は、供給装置41において上記のような態様で、あるいは内容物を充填したカップ容器製品の落下等により、フランジ4に衝撃的な力が作用した際の、フランジ4近傍の変形態様を縦断面で示す概略説明図である。
ここで、図中、黒矢印で示した方向に衝撃的な力がフランジ4作用した際には、通常、角部3に応力が集中しこの角部3から亀裂が発生、進行するが、本実施例の容器では、角部3を越えてフランジ4の一部にまでラベル11による外装を延設することにより、ラベル11による補強効果が発揮され角部3での応力集中を分散させることができ、角部3を起点とした容器の割れを効果的に防ぐことができる。
しかし一方、本実施例のように角部3を越えてフランジ4の一部にまでラベル11による外装を延設すると、今度はフランジ4に肉厚変化部分が形成され、応力がこの肉厚変化部、すなわちラベル11の端面とフランジ4の境界部分に応力が集中し、当該部分に図4に示されるように亀裂C1が発生し、図中、二点鎖線の矢印で示した方向、すなわちフランジ4本体への亀裂が進行し、フランジ4が破損する恐れがある。
そこで、本実施例ではラベル11の層構成を、保護層12(OPPフィルム)/紙製の層13/接着層14(OPPフィルム)、としており、上記のように、図中、黒矢印で示した方向に衝撃的な力がフランジ4に作用した際には、まずラベル11の端面とフランジ4の境界部分に亀裂C1が発生するが、この亀裂C1の発生に伴って、フランジ4とラベル11の接着層14との層間、ラベル11の各層間、さらにはラベル11の各層内に水平方向に層間剥離が発生するような方向に力が作用する。
上記各層間、あるいは層内のなかでは、繊維を積層した積層構造を有する天然素材の紙、あるいは多数の扁平状のミクロボイドが水平方向に広がった構造を有する合成紙からなる紙製の層13では、層内での剥離強度が弱く、このため紙製の層13層内での層間剥離を伴って亀裂C2が水平方向に進行する。
そして、上記した紙製の層13の層内での層間剥離により衝撃力を分散、緩和することができると共に、図4中、二点鎖線の矢印で示した方向、すなわちフランジ4本体への亀裂C1の進行を効果的に抑制することができ、容器の損傷を紙製の層13の層内での部分的な層間剥離の程度、すなわち以降の使用に差し支えのない、あるいは外観状目立たない程度の損傷に留めることができる。
そして、本実施例のカップ容器についての、図6、7に示される供給装置41を配設した充填ラインでの試験結果では、フランジ4本体への亀裂の進行は見られなかった。
また、フランジ4とラベル11の接着層14と接着力が小さく、フランジ4と接着層14の境界で層間剥離が容易に発生する場合は、亀裂C1がフランジ4本体に進行する恐れがあるが、
この点、本実施例ではカップ容器1と接着層14が同種のPP樹脂製であり、インサート成形で強固に接着されることが相俟って、フランジ4と接着層14との接着力を十分大きくすることができ、紙製の層13で確実に層間剥離発生させることができる。
また、紙製の層13は表面が凹凸状であり、さらには内部にボイドを有する構造であり、その凹凸やボイドの中に溶融樹脂を進入させることにより、紙製の層13と接着層14および保護層12の接着力も十分に大きくすることができる。
以上、実施例に沿って、本願発明の実施形態とその作用効果について説明したが、本願発明はこの実施例に限定されるものではない。
上記実施例ではカップ容器をPP樹脂製としたが、勿論、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等、他の合成樹脂を使用することができる。
ラベルについては、カップ容器に使用する合成樹脂に合せて接着力を考慮して接着層に使用する樹脂を適宜選択することができ、
また、加飾のための印刷層を積層する等、必要に応じて他の層を積層することができ、一方、保護層を積層しない構成とする等、使用目的に応じて様々な態様に構成することができる。
また、ラベルにアルミ箔、アルミ蒸着PETフィルム、シリカ蒸着PETフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂製フィルム、ナイロンフィルム等のガスバリア性の高い層を積層することにより、ラベル付きカップ容器のガスバリア性を高くすることができる。
また、ラベルの層構成も、紙製の層で確実に層間剥離を進行可能である範疇のなかで、適宜選択することができ、
紙製の層を構成する紙素材としては、天然素材由来のパルプ繊維を積層したパルプ紙、ウス葉紙や雲竜紙等の和紙、あるいはレーヨン、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリロニトリル等の化学繊維を積層した化学繊維紙を使用することができる。
また、上記実施例では保護層を透明で薄肉にして紙独特の質感、風合い、そして外観を現出させる構成としたが、必ずしもこのように紙独特の風合い等を現出させることなく、紙製の層を層間剥離の機能を発揮させるためにだけに使用することもできる。
以上説明したように、本発明のラベル付きカップ容器はラベルを構成する紙製の層によりフランジの破損を効果的に抑制できるものであり、コーヒー、ジュース、ヨーグルト等の飲食物用を初め、多くの用途での幅広い利用展開が期待できる。
1、101;カップ容器
2、102;側周壁
3、103;角部
4、104;フランジ
5 ;底部
7 ;突片
11、111;インモールドラベル
12;保護層
13;紙製層
14;接着層
31;キャビティ金型
32;コア金型
33;底金型
34;ゲート
41;供給装置
42(42a、42b);支持爪片
43;吸引治具
C1、C2;亀裂

Claims (1)

  1. インサート射出成形により合成樹脂製のカップ容器(1)をインモールドラベル(11)で外装したラベル付きカップ容器であって、
    前記カップ容器(1)は筒状の側周壁(2)の上端に周設される外鍔状のフランジ(4)を有し、
    前記インモールドラベル(11)は、側周壁(2)から該側周壁(2)とフランジ(4)の境界部分である角部(3)を経てフランジ(4)の基端部と外周縁の間の所定位置に至る領域を外装するものとし、
    前記カップ容器(1)をポリプロピレン樹脂製とし、前記インモールドラベル(11)の積層構成を、保護層(12)/紙製の層(13)/接着層(14)、とし、前記保護層(12)及び前記接着層(14)をそれぞれ延伸ポリプロピレンフィルム製とした
    ことを特徴とするラベル付きカップ容器。
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